緑資源談合事件

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強力な天下りシステム瓦解 「緑資源機構」官製談合事件 11/01/07(産経新聞)

 独立行政法人「緑資源機構」の官製談合事件で、“林野一家”による根深いなれ合い体質が浮き彫りになった。被告4法人のうち2つは解散が決まり、1つは倒産の危機。機構も今年度中に廃止されるなど、強力な天下りシステムは瓦解した。しかし、松岡利勝元農水相の自殺により、疑惑を残したままの幕引きとの感は否めない。

 公判で検察側は、同機構による平成17、18年の官製談合には、業者計40社が参加していたことを明らかにした。このうち起訴された4法人が全体の70%を受注していた。

 フォレステックは、事件により、省庁や多くの自治体に指名停止処分とされるなど、新たな受注ができない状況が続く。同社幹部は「このままでは今月中には事業資金が底を尽く。自力再建は難しい」と話す。

 「機構には林野庁OBが多く、機構と手を切ると林野庁ににらまれる。林業土木の仕事は行政発注が多く、つきあい続けるしかなかった」(同社幹部)。

 一方、存続が決まっている片平エンジニアリングの幹部は、法廷で「事件後に企業コンプライアンス(法令順守)を作った」と豪語。しかし、社内調査で自社の談合期間さえ把握できていないなど旧態依然とした体質をのぞかせ、裁判長に「魂が入っていない」と一喝される一幕も。

 今年度中に廃止される機構の事業は、農林水産省所管の独立行政法人などに移管される。職員約720人も、同省所管の団体などで再雇用する方向で検討中という。

緑資源談合:「機構」は今年度限りで廃止 農水省が方針 06/26/07(毎日新聞)

 農水省は26日、官製談合事件で元理事らが起訴された所管の独立行政法人・緑資源機構を、今年度限りで廃止する方針を決めた。談合の舞台となった大規模林道事業は、08年度から都道府県に移管する。林野庁や同機構から天下りを受け入れ、事件で逮捕者を出した公益法人の森公弘済会と林業土木コンサルタンツは設立許可を取り消す。

 同日開かれた「緑資源機構談合等の再発防止のための第三者委員会」で方針を説明した。今後は同委での議論を経たうえで、08年の通常国会に廃止法案を提出する。

 大規模林道事業は全国で計2000キロを整備するもの。残る700キロについては08年度から都道府県の事業となり、必要性も判断する。

 また、農用地整備と中山間地域で農地や林道を一体的に整備する事業は、継続中の区域が完了した時点で事業を廃止。水源をかん養するための造林事業は、10年度に設立する新たな独立行政法人に継承する。【北川仁士】

緑資源談合:受注側3法人を指名停止 国交省・地方整備局 06/20/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、国土交通省と8地方整備局は20日、公正取引委員会に告発された受注側の法人3社を最長5カ月の指名停止にした。3法人は▽「片平エンジニアリング」(東京都文京区)▽「フォレステック」(同三鷹市)▽農水省所管の財団法人「林業土木コンサルタンツ」(同文京区)。片平エ社については同省と8地方整備局が2〜4カ月、残り2法人は8地方整備局が3〜5カ月の処分を下した。

緑資源機構の談合、新たに1人の関与判明…7人を追加告発 06/13/07(読売新聞)

 緑資源機構の官製談合事件で、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕された機構前理事の高木宗男容疑者(59)ら6人以外に、機構発注業務を受注した財団法人「林業土木コンサルタンツ」のつる林(つるばやし)光久・元常務理事(65)も深く関与していたことが分かった。

 公正取引委員会は13日午前、機構側2人と同法人など受注4法人の5人を同容疑で検事総長に追加告発した。東京地検特捜部は同日午後、7人と既に告発を受けている4法人を起訴する見通しだ。

 つる林元常務理事は林野庁出身。これで受注者側5人のうち、4人が林野庁・機構のOBとなった。

 調べでは、高木容疑者と機構の前林道企画課長・下沖常男容疑者(56)は、2005〜06年度分の林道測量コンサルタント業務204件を発注する際、機構OBの在籍数や受注実績などを考慮し、事前に落札予定業者を決定。業者側は、決定に従って落札予定業者が落札できるよう協力し、競争を実質的に制限した疑い。

 公取委は今後、機構の責任などを明確にするため、官製談合防止法の適用を視野に入れた行政調査に、改めて乗り出す可能性もある。

 (「つる林」のつるは雨かんむりの下に「鶴」)

緑資源談合:前理事らを追加告発 不当な取引制限の疑い 06/13/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、公正取引委員会は13日午前、前森林業務担当理事の高木宗男容疑者(59)ら7人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検察当局に追加告発した。東京地検特捜部はこれを受け、同日中にこの7人と受注側の4法人を起訴する。これで一連の捜査は事実上終結する。

 高木前理事の他に告発されたのは、既に逮捕されていた機構の前林道企画課長、下沖常男容疑者(56)と、受注側の財団法人「林業土木コンサルタンツ」元環境部長、橋岡伸守(63)▽同「森公弘済会」業務第2部長、金子賢治(64)▽民間企業「フォレステック」元取締役技術本部長、谷本功雄(64)▽同「片平エンジニアリング」企画営業部技師長、杉本●佑(こうすけ)(62)の各容疑者。さらに任意で事情聴取されていた林業土木コンサルタンツの●林(つるばやし)光久・元理事(65)の関与も裏付けた、として告発対象に含めた。

 告発状などによると、高木前理事と下沖前課長は05年4月〜06年10月、機構発注の林道調査・設計業務で機構や林野庁OBの天下り先を優遇したり、過去の受注実績に基づいて落札予定業者を選定。橋岡元部長らは機構側の意向に従って受注業者を決定し、公平な競争入札を制限した疑い。

 談合を主導したとされる高木前理事は調べに対し「上司だった旧公団理事からシステムを受け継ぎ、OBの天下り先を優遇して発注した」などと話しているという。高木前理事は03年1月に官製談合防止法が施行された直後の4月の会議で、落札率について「最近はいろいろあるから、93%程度にしてほしい」と指示していたことも判明しており、不正を認識しながら談合の発覚を防ごうとしたとみられている。

 ※杉本●佑(こうすけ)のこうは日の下に高

 ※●林(つるばやし)光久のつるは雨の下に鶴

緑資源談合、裏金か2千万円移す…元幹部宅に団体解散後 06/13/07(読売新聞)

 緑資源機構の官製談合事件で、機構発注業務の受注業者らで作る任意団体「特定森林地域協議会」(特森協)が公正取引委員会の立ち入り検査直後の昨年11月に解散した後、保管していた現金約2000万円を千葉県内の元幹部宅に移していたことが分かった。

 東京地検特捜部は元幹部宅から現金を押収、特森協が会員業者から集めた事実上の「談合金」の一部で、裏金だったとみている。捜査終結後、活動を再開する際の資金としてプールされていた可能性があるという。

 関係者によると、特森協は、機構発注業務を受注している土木業者約300社や測量業者など約40社で構成され、機構の前身、旧森林開発公団の元理事・山崎進一元副会長(自殺)ら複数の機構OBが役員に就任。山崎元副会長らは、機構前理事の高木宗男容疑者(59)らの受注調整結果に了承を与えるなど、強い影響力を持っていた。

 特森協はこうした影響力を背景に、会員業者から受注高に応じ、年に数万〜数十万円の会費を徴収。会員業者は「会費は談合の実質的な上納金だった」と話す。

 特捜部は5月24日以降、山崎元副会長宅や社長らが特森協理事を務めていた宮崎、島根県内の土木会社などを捜索。捜査を進めた結果、特森協の解散時にあった2000万円が、元幹部に預けられていたことを突き止めた。特森協は解散後、会員業者に会費を返還しておらず、2000万円は会費として徴収した「談合金」の一部とみられる。また、捜査終結後、特森協が同様の団体を設立し、再び活動を始める際の資金に使うため現金を温存したと、関係者は話している。

 特森協元幹部は取材に対し、自宅が捜索されたことは認めたが、「特森協から金を預かったことはあるが、返した。経緯や時期は答えられない」としている。

          ◇

 特捜部は12日、緑資源機構の前田直登理事長(58)を参考人として事情聴取した。拘置期限の13日、公取委が独禁法違反容疑で告発した4法人と、高木容疑者らを起訴する見通し。

緑資源機構、島根でも官製談合…前理事ら供述始める 06/05/07(読売新聞)

 独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で逮捕された同機構前理事・高木宗男容疑者(59)らが、東京地検特捜部の調べに対し、同機構が島根県で実施している「特定中山間保全整備事業」でも談合を主導していたことを認める供述を始めたことが5日、関係者の話で分かった。

 同事業は、島根県江津市を中心とする「邑智(おおち)西部区域」(3080ヘクタール)で進められている農林水産省の助成事業で、2007〜13年度の総事業費が約120億円に上る大規模プロジェクト。

 関係者によると、高木容疑者と、同機構の前林道企画課長・下沖常男容疑者(56)は、特捜部の調べに対し、この事業の測量業務でも、下沖容疑者が入札前に受注予定業者を決定し、高木容疑者がこれを了承するなど、談合に主体的に関与したことを全面的に認める供述を行っているという。

 また、邑智西部区域の測量業務を受注した業者は、読売新聞の取材に対し、「下沖容疑者から、『お宅はこれ』という風に連絡があった」などと、同機構主導の官製談合が行われていたことを認めている。

 特捜部は先月25日、同事業を所管する松江地方建設部や、各工事を発注する近畿北陸整備局京都事務所などを捜索。また、事業を担当する機構本部の部長や出先機関の担当者らの一斉聴取を行っている。

島根の事業でも談合疑惑、緑資源部長ら参考人聴取 06/02/07(読売新聞)

 独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)が島根県で実施している「特定中山間保全整備事業」で、東京地検特捜部が、同事業を担当する機構本部の担当部長や出先機関の担当者らに対し、参考人として一斉に事情聴取を始めたことが、関係者の話で分かった。

 特捜部は5月25日、同事業を所管する松江地方建設部などを捜索している。特捜部では、既に官製談合疑惑が浮上している熊本県内と同様、島根県内でも官製談合が行われていた可能性が高いとみて、同事業を巡る談合の全容解明を進める。

 関係者によると、聴取を受けているのは、機構本部で特定中山間保全整備事業の農用地整備を担当する部長や、島根県江津市を中心とした「邑智(おおち)西部区域」(3080ヘクタール)で進められている同事業の各工事を発注する近畿北陸整備局京都事務所、松江地方建設部の担当者など約10人。

 松江地方建設部の幹部らは調べに対し、「工事発注の際に地元業者と受注を調整した」などと供述しているという。林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合を主導した機構の前理事・高木宗男容疑者(59)も、特定中山間保全整備事業でも談合が行われたことを認めている。

 同事業は、島根県と、熊本県小国町などを中心とする「阿蘇小国郷区域」(5800ヘクタール)の2か所で進められている。阿蘇小国郷区域では地元業者が事実上の談合組織を作り、同事業の工事を独占的に受注していたことが分かっている。

 特捜部は5月25日、松江地方建設部を捜索し、邑智西部区域に関する打ち合わせや積算の資料など段ボール箱計4箱分を押収している。

赤城農相が正式就任、緑資源機構の廃止を表明 06/01/07(読売新聞)

 赤城徳彦衆院議員は1日、皇居での認証式を経て農相に正式就任し、記者会見した。

 赤城農相は、官製談合の舞台となった独立行政法人、緑資源機構について「廃止の方向で検討するよう事務方に指示した」と述べ、機構の廃止を農林水産省として事実上、決めたことを明らかにした。

 農相は、機構廃止の理由について「発注側がかかわった談合で、決して許されない。これだけの問題を起こしたものが存続という訳にはいかない」と述べ、「(安倍)総理からも根本的に直すよう指示があった」ことも明らかにした。

 機構の約700人を超える職員の処遇や主要事業の処置について、農相は「組織の人材や事業の問題は、どうするか詰めないといけない」と述べ、今後、検討する考えを示した。

 5月30日にまとまった政府の規制改革会議の第1次答申は、緑資源機構の林道整備、農用地整備の主要2事業の廃止を求め、事実上の組織解体を促していた。

 農水省は、有識者らで作る第三者委員会を設立し、緑資源機構の組織の在り方などを検討していた。赤城農相は第三者委の検討も「作業を加速してもらう」と述べた。

朝日新聞(2007年5月30日)より

連日の訃報 異常事態

緑資源公団元理事自殺 大物政界と接点

森林開発公団の元理事が自殺か…緑資源で自宅が捜索対象に 05/29/07(読売新聞)

 29日午前5時15分ごろ、横浜市青葉区青葉台の7階建てマンション「ドルフ青葉台」1号棟と2号棟の間の駐車場に、男性が倒れて死亡しているとマンション管理人から119番通報があった。

 消防から連絡を受けた神奈川県警青葉署で調べたところ、亡くなっていたのは、同マンション5階に住む旧森林開発公団(現緑資源機構)の山崎進一元理事(76)と判明、全身を強打して即死だった。山崎元理事はパジャマ姿で死亡しており、山崎元理事が住む2号棟の6階外階段に靴がそろえてあった。

 同署によると、山崎元理事は妻と2人暮らし。同日午前4時30分ごろ、夫妻で一緒に起きて新聞を読んだ。妻(76)が「また、松岡大臣の(自殺の)ニュースばかりだね」と声をかけると、「ああ」とだけ相づちを打った。妻が居間のソファで再び寝て、同5時ごろに起きた時には姿が見えなくなっていた。最近は、緑資源機構に対する捜査を気にする様子だったという。同署は自殺したとみて調べている。

 山崎元理事は1988年、緑資源機構の前身、森林開発公団で生え抜き職員初の理事に就任。関係者によると、理事時代の90年ごろ、受注調整の手法を考案したという。手法を引き継いだ機構前理事・高木宗男容疑者(59)(独占禁止法違反容疑で逮捕)らが、緑資源機構談合事件を主導していた。

 山崎元理事は、退職後も機構に大きな影響力を持ち、高木容疑者らから落札予定業者の一覧表を見せられて了承。2006年度の一覧表も見せられていたという。また、退職後、林道関係の土木、測量業者などでつくる任意団体「特定森林地域協議会」(特森協、解散)の副会長も務めた。26日には、緑資源機構談合事件の関連先として、東京地検特捜部から自宅の捜索を受けていた。

 山崎元理事が副会長を務めた特森協と同じ場所にあった政治団体「特森懇話会」(解散)は、松岡農相ら国会議員に献金などをしていた。山崎元理事はこれまでの取材に、機構の受注調整などについて「私は関心はなく、課長たちがやっていた」と関与を否定していた。

 東京地検の岩村修二次席検事によると、自宅の捜索以降、連日、事件の参考人として任意で事情を聞き、28日も昼前ごろから午後8時ごろまで事情聴取。29日も午後から聴取予定だった。

 岩村次席検事は「高齢に配慮し、事情聴取をしていたと聞いており、28日も特段変わったことがあったとは聞いていない」とし、捜査への影響については「答えられない」と述べた。

緑資源談合:「陰のドン」も自殺 真相解明、闇の中 05/29/07(毎日新聞)

 官製談合システムを発案した緑資源機構の「陰のドン」も命を絶った。29日、機構の前身、旧森林開発公団の山崎進一・元理事(76)の自殺。山崎元理事は業界団体「特定森林地域協議会」(特森協)=解散=の副会長も務め、政界への窓口役とされた。命と引き換えに、いったい何を守ろうとしたのか。松岡利勝農相に続く死の選択で、真相は闇に葬られようとしている。

 「またも自殺者が出るとは」。検察関係者は29日朝、キーマンの自殺を知り絶句した。

 山崎元理事は公団発足(56年)当時からの職員。業務部長などを経て88年10月〜90年10月、理事を務めた。担当は今回事件の舞台となった林道部門など。発注権限を一手に握った山崎元理事は90年ごろ、天下りを多く受け入れた企業や公益法人に優先的に業務を回すため、出先機関から配分案を吸い上げ公団本部で決定する現行システムの原型を作り上げた。

 「自分は山崎さんから直接引き継いだ。最近も割り振り済みの業務に介入してきて、受注先を差し替えたことがあった」。24日に独占禁止法違反容疑で逮捕された高木宗男前理事(59)=解任=は逮捕前、周辺にこう語り、関係者は山崎元理事を「陰のドン」と呼んだ。

 山崎元理事には「政界とのパイプ役」というもう一つの顔があった。副会長を務めた機構の受注業者でつくる特森協は、表裏一体の政治団体「特森懇話会」=解散=を設立。03〜05年、この懇話会から21人の国会議員に計822万円の献金があり、うち計120万円が松岡氏に渡った。

 支援企業と特森協は、談合事件の裏で極秘裏に進めてきた政界捜査の焦点で、山崎元理事は真相を語ることができる重要人物だった。松岡氏の後を追うかのような自殺。「林野の闇」の実態解明が遠のこうとしている。

 ◇「にこやかな人」とマンション住民

 山崎進一元理事が自殺したマンションには29日午前、報道関係者数十人が集まった。

 山崎さんと顔見知りというマンションの女性住民は「山崎さんはここ1カ月で一度、団地内で後ろ姿を見たのが最後だった。あいさつをすると、にこやかで夫婦の仲がいい様子だった。自殺するような人には見えなかった。気の毒だ」と表情を曇らせた。

 同マンションに住む60代男性は「午前6時半ごろ自宅に車で戻るとパトカーが来て、警察がマンション上層階から距離を測る鑑識活動をしていた。昨日は松岡(農相)さんが自殺したばかりで嫌な気分だ」と話した。【山衛守剛、杉埜水脈】

緑資源談合:自殺した山崎元理事との主なやり取り 05/29/07(毎日新聞)

 29日自殺した山崎進一・元理事は今年4月28日と5月4日の2回、毎日新聞の取材に応じ、緑資源機構主導型の談合システムについて「まったく記憶にない。僕はあまりそういうのはやってない」と関与を否定していた。主な一問一答は次の通り。

 −−逮捕された(同機構の)高木宗男理事との面識は。

 孫みたいなもん。2代ぐらい違う理事(実際は5代)なので、何かを引き継いだりしたことはない。

 −−談合システムを作り引き継いだのでは?

 まったく記憶にないけど、そういうことはありえないと思う。僕はあんまりそういうのやってないんですよ。

 −−(機構の受注業者で作る)特定森林地域協議会(特森協)はなぜ設立したのか。

 時代の要請というか、過疎化で取り残された山をどうするかみたいな。

 −−入らないと仕事をもらえない?

 それはまったくない。

−−政治団体から松岡利勝農相ら政治家への献金の趣旨は。

 山のため、森林のために陳情するのが時代のすう勢だった。各種林業団体が一緒になって、山のために先生にお願いしようと。山のために真剣になってくれる人って少ないわけですよ

 −−解散の理由は?

 談合のための団体と誤解を生むので、社会的にどうだという意見があったと聞いている。

 −−談合隠しの意図があるのでは。

 それはそうだが、逆に今でもやってたらもっといろいろ言われるでしょ。

緑資源機構 元理事「事件、政治家にも」 松岡氏自殺 05/28/07(読売新聞)

 林野庁出身の松岡農水相の自殺。同庁を含む農水省や緑資源機構の関係者は、慌ただしさのなか、松岡氏の影響力と自殺への衝撃を口にした。

 「林野行政の後ろ盾だった。ここまで頑張って、大臣までのぼりつめて、築き上げてきたのになぜ……」。林野庁のある関係者は言葉を詰まらせた。「彼の政界での師匠は故中川一郎氏。中川氏も首をつって自殺した。これ以上、党に迷惑をかけると党にも申し訳ないという気持ちがあったのではないか。切腹するつもりで自ら命を絶ったのだろう」と無念さをあらわにした。

 農水省の小林芳雄事務次官は各省の事務次官会議から農水省へ戻った正午すぎに自殺の一報を受け、慶応大学病院へ向かった。午後4時から記者会見。「信じられない思い。それに尽きます」と印象を話した。

 「輸出促進とかバイオマスとか21世紀型農業に取り組んでいこうと、方向をリードされてきた。外交の交渉力もあり、功績、役割は非常に大きかった」と述べた。

 最後に会ったのは先週末の25日。松岡農水相はこのところ、世界貿易機関(WTO)の多角的貿易交渉で海外への出張がたて込んでいたが、特別に普段と変わった様子には気付かなかったという。

 一方、官製談合事件の舞台となった緑資源機構。理事と課長の逮捕に加え、二重の衝撃となった。ある機構関係者は「いずれ逮捕されることを感じて自殺したのかもしれない、と思った」と驚きを抑えた様子で話した。また、別の機構関係者は「捜査が地元に及んで、追い込まれたのだろうか」と話す。独占禁止法違反容疑で逮捕された高木宗男元理事は逮捕される前、「(談合事件が)いずれ政治家に及ぶのでは」と話していたという。

 テレビの速報で松岡氏の自殺を知ったという、元機構職員は「あぜんとした。順序としては、自殺よりも大臣をやめる方が先だったのではないか」と、「無責任さ」を指摘した。

 ある元秘書は「何事にも確信を持っていた。だからこんなことは予想もしていなかった。本当によく勉強していた人だった」と残念がった。

 また、自殺が及ぼす影響については「族議員としての影響力はあった。林野行政全体への影響は少なからずあるのではないか」と分析した。

緑資源談合:配分不満の業者排除 強い指名権裏付け 05/28/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、機構側が、工事の配分に不満を持つ業者を指名から外し、入札に参加させないようにしていたことが分かった。入札から排除した業者名とその理由を書いた文書が機構の出先機関から押収され、発覚したとみられる。東京地検特捜部は、機構が強大な指名権限を背景に業者側を従わせ、談合を主導したとみて調べている。

 機構が発注する林道の調査・設計業務は、全国8カ所にある地方建設部の林道課長が1年間の工事予定と落札予定社を記載した配分案を作成し、機構本部で集約。前森林業務担当理事、高木宗男容疑者(59)=独占禁止法違反容疑で逮捕=が最終的に配分表を決定し、業者側はそれに従って応札していたとされる。

 関係者によると、各林道課長は、機構側の決めた配分に不満を持つ業者が出た場合、以後その業者を指名から外していたという。排除した業者名とその理由を書いた文書を作成し、後任の課長に引き継いでいた課長もおり、昨年10月の公正取引委員会による立ち入り検査でこの文書が見つかっていた。

 談合事件では、各業者がお互いに「ルール」を守って活動し、談合から離脱しないという「相互拘束」の存在が独禁法違反(不当な取引制限)成立の要件の一つとなる。過去の事件では業者間で会合などでルールを合意するのが通例だったが、緑資源機構の場合は、こうした会合がほとんどなかったのが特徴となっている。

 ある受注業者の幹部は毎日新聞の取材に「指名されなくなったら困るので機構の指示に従った」と話し、業者選定の強い権限を持つ機構の意向には逆らえないことを強調した。特捜部も、業者間に「機構の決めたことに従う」という暗黙の了解があり、独禁法が禁じる「相互拘束」が実質的にあったと判断しているとみられる。

緑資源疑惑、熊本の36社で談合組織…「公取委に注意を」 05/28/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」が熊本県で実施している「特定中山間保全整備事業」を巡る談合疑惑で、同県阿蘇地域の一部の地元業者が事実上の談合組織を設立し、同事業の工事を独占的に受注していたことが、関係者の話で分かった。

 組織の設立時には、公正取引委員会による調査に注意することなどが確認されたという。東京地検特捜部は、機構側が、この組織の受注希望を踏まえ、落札予定業者を決定していたとみて調べている。

 この組織は「阿蘇北部地域中山間事業安全推進協議会」。同協議会の複数の会員業者によると、2003年度に行われた同事業の工事の入札で、地元業者間で受注を巡るトラブルがあったことから、阿蘇市の大手建設会社が、再びトラブルが起きないようにと設立を発案した。04年4月、同県北部の阿蘇地域の地元業者36社を会員に任意団体として発足。会長には大手建設会社が選ばれた。

 同協議会の設立総会では、〈1〉年会費は1万円とする〈2〉受注した工事の落札額の0・3%を「賦課金」として同協議会に納付する〈3〉共同企業体(JV)を組んで受注する場合は、会員同士でJVを構成する――ことなどを申し合わせたという。

 また、設立総会では、受注に当たっては、阿蘇地域内の北部、中部、南部の3区域で公平に受注することが確認され、役員側から「公取の調査が入るかもしれないので、気を付けるように」との指示も出されたという。

 受注希望については、会長が中心となって調整し、その結果が機構側に伝えられていたという。

 同事業で機構が06年度に発注した農林道や農用地などの整備工事計18件(総額約17億6000万円)では、同協議会の会員や会員同士が組んだJVが8割近い計14件(同約12億9000万円)を落札。平均落札率は、大手ゼネコンが入札に参加して談合ができなかったとされる1件を除き、約93・6%だった。一方、残る4件は大手ゼネコン2社や熊本市内の業者2社が落札。大手ゼネコンが落札した2件の工事の平均落札率は約69%と低率だった。

 特捜部では、同機構は、この談合組織の希望を踏まえた上で、各工事の落札予定業者を決定し、阿蘇小国郷建設事業所や宮崎地方建設部を通じて、落札予定業者に「本命」に決まったことを伝達するという官製談合システムが出来上がっていたとみている。

緑資源談合:業界団体「特森協」、年数千万円の使途不明 05/27/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、機構から林道関連業務を受注する業者でつくる「特定森林地域協議会」(特森協=昨秋解散)が、年間数千万円の会費を集めながら、使途を会員業者にも明らかにしていないことが分かった。東京地検特捜部は26日、機構OBで元特森協副会長の自宅を関連先として家宅捜索し、不透明な資金の流れの解明を進めている。

 関係者によると、特森協は、業界の陳情団体として1950年代に発足。全国の約300業者が会員になっていたが、昨年10月の公正取引委員会による立ち入り検査直後、突然解散した。

 各業者の分担金は、前年度の機構からの受注額2000万円当たり7万5000円と決められており、特森協の06年度の会費収入は5000万円程度と推計される。しかし、任意団体のため、収支状況は明らかにされていない。

 また、特森協があった東京都内のビルの一室には、政治団体「特森懇話会」(今年1月解散)が同居し、両団体は表裏一体と指摘されている。同会の政治資金収支報告書によると、特森協からの入金はないものの、03〜05年に21人の国会議員に対し、計822万円を献金していた。

 特森協のある会員業者は「毎年、請求された額を振り込んだらそれっきり。会報の一つも送ってこず、会費が何に使われていたのか分からないが、機構の仕事が受注できなくなるかもしれないと思い、断れなかった」と話している。

 捜索を受けた元特森協副会長は90年ごろ、天下り先に業務を優先的に発注する手法を確立。前機構理事の高木宗男容疑者(59)=独占禁止法違反容疑で逮捕=に談合システムを引き継いだとされ、周囲からは「陰のドン」とも呼ばれる。

 元副会長は毎日新聞の取材に対し、特森協と特森懇話会の関係は明言せず「特森協に入ってないと機構の仕事が取れないことはない。政治献金はすべて収支報告書に記載してある」と話した。突然の解散については「談合のための組織との誤解を生むという意見が以前からあったため」と説明した。

緑資源談合:天下りOBが頻繁に陳情 逮捕の理事に 05/26/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、同機構から受注側の業者に再就職した複数のOBが、前森林業務担当理事の高木宗男容疑者(59)=独占禁止法違反容疑で逮捕=を頻繁に訪問し、業務の発注や入札での指名を働き掛けていたことが分かった。高木前理事も「OBの天下り先を優遇して発注した」と供述しており、東京地検特捜部は、機構OBの陳情が天下り先への多額発注の背景にあるとみて、談合システムの解明を進める。

 受注側の公益法人に再就職したある元機構幹部によると「新しい仕事はないか」「うちの技術でできる仕事があれば、指名してほしい」と高木前理事にたびたび陳情していたという。この元幹部は、高木前理事への依頼について「どの業者でもやっていること」と話す。

 別の公益法人に天下りした元機構役員も「役員だったので、機構に行けば、職員が案内してくれる」と話し「『公益法人の事業計画を作りたいので、何か新しい仕事があれば教えてくれ』と高木前理事に聞いていた」と証言する。

 公正取引委員会や特捜部の調べに対し、高木前理事は「業者の希望や過去の実績、OBの天下り状況を基に配分を決めた」と供述。機構関係者は「OBがせっかく(機構に)来たのに、何の仕事も回さなかったら『お前はなんだ』と思われる。天下りした人のメンツを考えれば、高木前理事は働き掛けに応じて、業者に有利に発注せざるを得なかった」と語る。

 毎日新聞が入手した入札調書によると、03年4月から公取委が立ち入り検査に着手した06年10月までの発注総額約28億3432万円のうち、六つの公益法人が約半分の約13億1777万円を落札。この6法人には、同省や機構のOBが200人以上再就職していることが判明している。

緑資源談合:農用地整備業務関係 数カ所捜索 05/25/07(毎日新聞)

 緑資源機構の官製談合事件で、東京地検特捜部は25日、同機構が発注する農用地整備業務でも談合があったとみて、機構の地方機関数カ所を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で一斉捜索した。

 捜索が入ったのは、九州整備局(福岡市)、宮崎地方建設部(宮崎市)、阿蘇小国郷建設事業所(熊本県小国町)、松江地方建設部(松江市)、京都事務所(京都市)など。特捜部は今後、前森林業務担当理事、高木宗男容疑者(59)らの逮捕容疑となった林道整備業務だけでなく、農用地など別分野の業務の談合についても解明を進める。

 特捜部は、農用地業務の中でも、山地と平地が混在する中山間地域を対象としたプロジェクト「特定中山間保全整備事業」の「阿蘇小国郷区域」(熊本県)や「邑智(おおち)西部区域」(島根県)で機構側が主導的に業者選定をしていたとみて、関連先の捜索に踏み切ったとみられる。

経験のないキャリアは使えない。高給取りだけで必要ないと言うことか? 最終学歴だけでは使えないことを証明したケースと思う。
だったら、なおさら天下りは必要ない。 学歴だけで使えないキャリアは給料を上げる必要なし。実績による給料の差が あっても良いだろう。

緑資源談合:課長と談合差配 違法性認識か 05/25/07(毎日新聞)

 緑資源機構の官製談合事件で、独占禁止法違反容疑で逮捕された林道企画課長、下沖常男容疑者(56)=総務部付=が、直属の上司の森林業務部長を通さず、前森林業務担当理事の高木宗男容疑者(59)=解任=と2人だけで話し合って落札業者を決めていたことが分かった。2人は「自分たちの将来のためにも、林野庁出身のキャリア部長に傷をつけたくなかった」と語っているという。東京地検特捜部は、違法性の認識を裏付ける事実として重視し、追及している模様だ。

 関係者によると、下沖前課長は04年3月から、全国の各地方建設部で作成された受注予定業者の配分案を集約する立場になった。過去の実績との整合性など配分案のチェック方法は、森林業務部長だった高木前理事から引き継いだという。

 その後、2人はそれぞれ林道企画課長、理事に昇進。高木前理事の後任の森林業務部長には林野庁出身のキャリア職員が就いたが、2人は間に入った部長を通さず、受注調整を繰り返していたという。この部長は特捜部の調べに対し、談合への関与を否定しているとみられる。

 機構生え抜きの職員(プロパー)で談合を仕切った理由について、高木前理事らは周辺に「良くないことだと分かっていたから、キャリアに関与させないようにした。彼らに非が及ぶと、自分たちの将来の出世も危うくなると考えた」と説明しているという。

 機構関係者は「プロパーには『現場を知らないキャリア職員はよいしょしておいて、自分たちが仕切る』という自負もあったようだ」と指摘。特捜部は高木前理事、下沖前課長が、機構主導の談合システムで中心的な役割を果たしていたとみて、官製談合の全容解明を進めている。

緑資源機構、別の2事業でも大型談合…一両日中に捜索 05/25/07(毎日新聞)

 独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、東京地検特捜部は24日、談合を主導した機構の理事・高木宗男容疑者(59)(24日解任)ら6人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕した。

 一方、熊本、島根両県で実施している別の事業でも機構主導で官製談合を繰り返していた疑惑が、新たに浮上。いずれも総事業費100億円超の大規模プロジェクトで、特捜部もこの事実を把握しており、一両日中に、事業を管轄する出先機関の九州整備局(福岡市)や宮崎、松江両地方建設部の一斉捜索に乗り出す。

 この事業は、森林や田畑が混在する地域(中山間地域)の農林業振興などを目的とした「特定中山間保全整備事業」で、主に森林整備と農用地整備に分かれる。事業計画は農林水産省が採択し、各工事費の55〜100%が国の補助金として支給される助成事業。個別の工事費は数千万〜約2億円で、大半の工事は地元業者が受注している。

 同事業は1999年度に始まり、熊本県小国町などを事業区域とする「阿蘇小国郷区域」(5700ヘクタール)と、島根県江津市を中心とする「邑智(おおち)西部区域」(3080ヘクタール)の2か所で進められている。総事業費は熊本が2003〜09年度で154億円、島根は07〜13年度で120億円に上る。

 特捜部では、同事業の受注調整の実態についても、両地方建設部の部長や林道課長らから任意で事情聴取を進めてきた。

 関係者によると、両地方建設部の幹部らは調べに対し、「工事の発注の際に地元業者と受注を調整していた」などと供述。高木容疑者も周囲に、この事業でも談合が行われていたことを認めていたという。また、この事業の一部工事を受注した熊本県内の建設業者も取材に対し、「受注できる場合には、事前に機構の担当者から連絡があった。入札には競争原理は全くなかった」と談合が行われていたことを認めている。

 事業決定には、農水省が強い影響力を持っており、特捜部では、大規模プロジェクトの実施経緯や受注業者の選定過程などの解明も進めるとみられる。

          ◇

 逮捕されたのは、高木容疑者のほか、機構の林道企画課長・下沖常男容疑者(56)(24日総務部付)と、受注業者側の財団法人「林業土木コンサルタンツ」元環境部長・橋岡伸守(63)、同「森公弘済会」業務第2部長・金子賢治(64)、「フォレステック」元技術本部長・谷本功雄(64)、「片平エンジニアリング」企画営業部技師長・杉本こう佑(こうすけ)(62)の各容疑者。

 調べでは、高木、下沖両容疑者は2005〜06年度分の業務発注にあたり、機構OBの在籍数や受注実績などを踏まえて落札予定業者を決定。橋岡容疑者ら4人はこの決定に従い、落札予定業者が落札できるよう協力した疑い。両年度の受注業者は22社だったが、4法人の受注額は受注総額の約7割に上っていた。

 (杉本こう佑の「こう」は「日」の下に「高」)

緑資源談合:理事や公益法人担当者ら6人逮捕 05/24/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、東京地検特捜部は24日、同機構理事の高木宗男容疑者(59)や、機構発注の林道調査・設計業務の7割を独占的に受注していた公益法人など4法人の営業担当者ら計6人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕した。併せて、川崎市の機構本部などを家宅捜索した。これに先立ち、公正取引委員会は、4法人を同容疑で刑事告発した。

 逮捕されたのはこのほか、同機構林道企画課長、下沖常男容疑者(56)や、受注側の▽財団法人「林業土木コンサルタンツ」(東京都文京区)▽同「森公弘済会」(千代田区)▽民間企業の「フォレステック」(東京都三鷹市)▽同「片平エンジニアリング」(文京区)の元取締役や幹部ら。

 調べでは、高木理事は4法人の担当者らと共謀し05〜06年度、事前に受注業者を決定するなど競争を実質的に制限した疑い。機構は05年4月〜06年10月、計約14億4664万円の調査・設計業務を発注したが、▽林業土木コンサルタンツが2億9834万円▽フォレステックが2億8611万円▽森公弘済会が2億6524万円▽片平エンジニアリングが1億3882万円を受注した。

 関係者によると、機構の全国8カ所の地方建設部の林道課長が、業界への配分表の原案を作成し、本部の林道企画課の課長補佐が集約して、高木理事が承認。下沖課長らが4法人をはじめとした受注各社に、配分表を渡したり口頭で落札予定業者を指定していた。

 林道関係の調査・設計業務の入札では、約40の企業・公益法人が指名され入札に参加していたが、ほとんどの入札で談合が行われていたとみられる。また、受注の大半を占める4法人が、機構本部の幹部から1年分の配分表を渡されるなど、機構主導の官製談合に深く関与していた。さらに業者側には、同機構や林野庁のOBが多数再就職しており、受注業者決定と天下りに密接な関係があった。公取委と特捜部は、こうした悪質性を重視し、刑事責任を問う必要があると判断した。

緑資源談合:「影のドンから引き継いだ」理事明かす 05/24/07(毎日新聞)

 「影のドンから引き継いだ」。受注調整を主導した緑資源機構の高木宗男理事(59)は、周辺にそう明かした。24日、東京地検特捜部が一斉逮捕に乗り出す官製談合事件。林野庁や機構から多数の天下りを受け入れた法人を優遇する不正な発注は、高木理事の数代前の理事が、17年前に始めたという。年間約7億円の事業費のうち、95%前後を公金で賄う林道整備の調査・設計業務。そこに巣食ってきた癒着の構造に捜査のメスが入る。

 透明性を高めるため、随意契約から指名競争入札にシフトした97年4月。機構側は直後から入札前に落札業者を指定する官製談合を主導し、高木理事は当時からその仕切り役を務めた。「システムの発案者」。機構や業界の関係者は、公取委や東京地検特捜部の調べにそう口をそろえた。

 ところが実態は違った。関係者によると、高木理事の数代前の元理事が90年ごろ、天下り受け入れ数の多い業者に優先して業務を回す手法を確立した。入札手続きを経ない随意契約だったため、独占禁止法上違法な「談合」ではないが、天下りと受注を連動させるシステムが「不正」であることには変わりない。高木理事は周辺に「直接引き継ぎを受けた。元理事は今も落札業者を差し替えるよう介入してくる」と明かし、周辺は元理事を「陰のドン」と呼ぶ。

   ◇   ◇

 高木理事は宇都宮大農学部卒。70年に同機構の前身、森林開発公団に入った。受注調整の舞台になった林道企画課の課長を経て森林業務部長を務めるなど、林道・森林造成部門の要職を歴任し、05年4月に理事に就いた。

 機構の理事は森林業務のほかに総務、経理など担当別に5人いるが、農林水産省や林野庁出身者が占め「プロパー(機構出身の職員)の理事はまれ」(機構OB)。別の機構OBは「予算などで林野庁と交渉する能力が高く、業者の使い方にもたけていた」と語る。

 異例の出世ぶりから「プロパーの星」とまで呼ばれた高木理事。4月2日、「なぜ談合に関与したのか」との毎日新聞記者の質問に「分かりません」と繰り返したが、公取委の調べには「天下りを維持するためだった。申し訳ない」と供述しているという。一方、元理事は4〜5月、2回にわたって取材に応じ「高木理事は孫のようなもの。でも何かを引き継いだことはない」と関与を否定した。

緑資源談合:価格決定にも関与 24日にも理事ら逮捕 05/24/07(毎日新聞)

 独立行政法人・緑資源機構が発注する林道の調査・設計業務を巡る官製談合事件で、機構幹部が入札前、業界側に応札する価格を指示していたことが分かった。機構側が受注予定社(チャンピオン)だけでなく、落札価格まで決定していたことになる。森林業務担当理事(59)は、一連の不正入札システムの存在を認めており、東京地検特捜部は24日にも、公正取引委員会の告発を受け、理事ら6人前後を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕する方針を固めた模様だ。

 関係者によると、入札が近づくと機構本部や全国8カ所の地方建設部の幹部が、チャンピオンの営業担当者に連絡を取り、応札価格を具体的に指示。営業担当者から「特殊な地形だから、もう少し高くしてほしい」などと要望を受けると「それでは、もう少し上で」などと了承していた。こうして決められた落札価格は、チャンピオンを介し「サクラ」と呼ばれる他の指名業者の営業担当者に伝えられ、これを上回る価格で応札して、談合を成立させるシステムだったという。

 理事は公取委の調べに「不正入札が長年行われてきたことは知っていた」と供述。さらに、チャンピオンを指定するために作成する配分表についても「部下の原案を承認した」などと関与を認めているとみられる。

 特捜部も、発注者が落札予定業者を指定する水門設備工事を巡る国土交通省の官製談合事件(3月)などとは異なり、応札価格まで指定する悪質性を重視。受注上位の▽林業土木コンサルタンツ▽フォレステック▽森公弘済会▽片平エンジニアリングの営業担当者に加え、理事ら機構側の複数の幹部について、刑事責任追及は不可避と判断したとみられる。

 理事は70年、前身の森林開発公団に採用され、森林業務部長などを経て05年4月から現職。昨年10月の公取委による立ち入り検査直後から関与が指摘されていたが現職にとどまり、適正な入札を実現するため機構が1月に設置した改革委員会のメンバーにも就任した。このため、前田直登理事長や所管する農林水産省の監督責任を追及する声が高まりそうだ。

緑資源談合 天下りOBも立件へ 24日本格捜査 05/24/07(朝日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)が発注した林道整備の調査業務の入札談合事件で、受注上位の4法人のうち3法人で、同機構OBと林野庁OBが談合担当を務めていたことが関係者の話でわかった。談合を主導した同機構理事(59)らと天下りOBの身内同士で、不正行為を繰り返していた。理事や法人担当者は公正取引委員会の調べに談合への関与を大筋で認めている。

 公取委は24日午前に検察当局と告発問題協議会を開き、受注4法人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に告発する見通し。東京地検特捜部は告発後、4法人の担当者とともに、同機構理事らに対する本格捜査に乗り出す。

 公取委が告発を予定しているのは、(1)財団法人「林業土木コンサルタンツ」(東京都文京区)(2)民間のコンサルタント会社「フォレステック」(三鷹市)(3)財団法人「森公弘済会」(千代田区)(4)民間のコンサル会社「片平エンジニアリング」(文京区)。

 談合は、05、06年度に機構本部と8地方建設部が発注した林道整備事業に伴う測量や、環境調査で行われた疑いが持たれている。

 関係者によると、森公弘済会と片平エンジニアリングでは機構OB、林業土木コンサルタンツでは林野庁OBが談合に関与していたという。

 機構本部の林道企画課長が担当理事のアドバイスを受け、年度ごとの落札予定業者を決定。各法人の談合担当者は、課長と連絡を取った後、割り振られた事業の入札が地方建設部で行われる際、林道課長と電話で入札価格などを打ち合わせていたという。

 機構や林野庁OBが受注法人の談合担当になっていたのは、機構側との連絡調整を円滑にするのが狙いだったとみられている。

 片平エンジニアリングの機構OBは、機構に在職時は林道分野を担当。機構で談合を主導していた担当理事の元上司という立場で、割り振りで厚遇してもらう意図があった疑いもある。

 4法人はこれまでも、林野庁や機構OBを多数受け入れていた。機構関係者は公取委の調べに、「OBがいるところは発注を確保した」などと説明しているという。

年間落札予定表を毎年作成…緑資源談合、公取あすにも告発 05/23/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、機構が毎年度末、理事(59)を中心に翌年度のすべての発注予定業務の落札予定業者を事前に決め、入札に参加するだけの業者も含めた一覧表を作成していたことが分かった。

 公正取引委員会は一覧表を押収、官製談合を裏付ける証拠とみている。公取委は24日にも、2005〜06年度の受注上位4法人を、独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で検察当局に刑事告発する見通しだ。

 機構発注の林道測量コンサルタント業務は、05年度108件(落札総額約7億6074万円)、06年度98件(同約7億282万円)に上る。財団法人「林業土木コンサルタンツ」など、告発対象となる2公益法人と2社には、4月1日現在、農水省や機構のOB計58人が天下りしている。

 関係者によると、機構で林道事業の計画・発注を統括する森林業務部の担当理事は毎年3月、機構本部の林道企画課長に、翌年度発注予定の林道測量コンサルタント業務の落札予定業者をあらかじめ決めておくよう指示。林道企画課長は全国8か所の地方建設部の林道課長に、発注予定業務と入札参加業者の一覧表を作成させ、機構OBの在籍数や過去の受注実績などを踏まえて各林道課長と協議、落札予定業者を決定していた。この結果は理事に報告され、了承を得ていた。

 機構は毎年4月、地方建設部の林道課長らを集めた会議を開き、落札予定業者を最終確認。各林道課長は落札予定業者に、落札できることが決まった業務や具体的な入札額を指示していた。

 機構本部は、本命業者を記した一覧表を作成後に廃棄していたが、地方建設部の中には、担当地域内の発注予定業務の落札予定業者の部分に「○」などの印をつけたまま、保管していた所もあったという。

 公取委は地方建設部から一覧表を押収。機構幹部や林道課長らの事情聴取で、一覧表は入札前に機構本部の指示で作成されたものと判明した。理事は公取委の調べに、落札予定業者を事前に決めるよう指示し、最終的に了承していたことを認めているという。

緑資源談合のOB法人、受注業務を民間に格安で「丸投げ」 05/23/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(本部・川崎市)発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、公正取引委員会から独占禁止法違反で刑事告発されるとみられている財団法人「森公弘済会」(東京都千代田区)が、受注した業務のうち、少なくとも十数件を民間企業に下請けに出していたことがわかった。

 下請け側は「丸投げ同然だった」と話しており、受注額の4割で発注し、利ざやを稼いだケースもある。受注法人が、談合と、実質的な丸投げによって、法外な利益を得ていた疑いが浮かんだ。

 森公弘済会は2002〜06年度、機構から計83件(総額6億7750万円)の業務を受注。このうち、04〜06年度に受注した、少なくとも十数件を民間企業に下請けに出していた。

 読売新聞が入手した下請け企業の内部資料によると、600万円台で落札した機構本部発注の設計業務では、民間企業に2百数十万円で再発注し、落札価格の6割に当たる3百数十万円の差額を得ていた。300万円台で受注したほか数件の本部発注業務も同様で、落札価格の5〜7割の価格で再発注していた。

 残り約10件は、いずれも地方建設部が発注した調査測量設計業務で、計約6000万円で落札。落札価格の6〜10%の利ざやを稼いでいた。

 通常、機構が発注するコンサルタント業務を請け負うには、測量士や技術士などの国家資格が必要だが、国土交通省への登録文書によると、森公弘済会は役職員計22人のうち、機構OBの役員1人が測量士の資格を持つだけだった。複数の業界関係者は「森公弘済会に業務を遂行する能力はなく、受注業務はほとんど丸投げだった」と話している。

 また、機構業務を請け負う場合、業務を全般的にチェックする管理技術者を置くことが機構の内規で義務づけられているが、関係者によると、森公弘済会が下請けに出した業務では、管理技術者は、別の民間企業からの派遣で、森公弘済会と雇用関係はなかったという。機構は内規で受注業者が業務の企画や管理、技術判断など「主たる部分」を下請けに出すことを禁じている。森公弘済会は「しかるべき手続きで機構の仕事を受けている。それ以上については、答える義務があるとは思えない」としている。

緑資源談合:理事ら6人立件へ 24日にも強制捜査 05/23/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構による官製談合事件で、東京地検特捜部は、既に独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕する方針を固めている同機構の森林業務担当理事(59)のほか、機構からの受注額が上位の4法人の担当者を加えた6人前後を立件対象として絞り込んだ模様だ。公正取引委員会から24日にも告発を受けたうえで、強制捜査に乗り出すとみられる。

 機構が発注する林道整備などの測量・調査業務の落札業者は、林野庁や機構OBの天下り先となっている公益法人など4法人に集中している。理事らは、過去の受注実績だけでなく、機構や林野庁OBの天下り先を優遇する形で、独断で落札予定業者を決定していたとみられる。特捜部は、受注業者の決定と天下りに密接な関係があるとみており、6人前後を追及して談合システムの全容解明を進める方針。

 関係者によると、全国8カ所の地方建設部が毎年、業者側の技術力や過去の受注実績などを基にして配分案を作成。これを理事らが本部で集約して、1年分の発注予定工事と落札予定社(公益法人を含む)を記載した配分表を作成していた。これを業者らに配るなどして、談合を繰り返していたとされる。

 理事は公取委の調べに対し「OBが天下っている法人に配慮して配分した」などと供述。業者側も、機構側主導で談合が行われていたことを認めているとみられる。

朝日新聞(2007年5月22日)より

緑資源機構談合

下請け含め利益配分 幹部が細かく指示

緑資源談合、東京地検が本格捜査へ…来週にも公取委が告発 05/18/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、東京地検特捜部は、来週にも公正取引委員会の刑事告発を受けた上で、談合を主導した同機構理事(59)や、公益法人「林業土木コンサルタンツ」(東京)など受注4業者の担当者らについて、独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で本格捜査に乗り出す方針を固めた。

 検察当局と公取委は来週、告発問題協議会を開き、告発対象などについて最終的な検討を行う。

 関係者によると、同機構本部の森林業務部林道企画課が年度当初に、林道測量コンサルタント業務の計画を取りまとめる際、機構OBの在籍人数や過去の受注実績などを踏まえ、あらかじめ落札予定業者を決めていたという。

 同機構の森林業務部の担当理事が、同部次長だった2003年4月の会議で、全国8か所の地方建設部の林道課長を集め、「落札率は93%程度が適切だ」と指示していたことなどから、公取委は、この理事らが談合を主導したとみている。

 公取委は、05〜06年度の発注分について、受注件数が多い「林業土木コンサルタンツ」、「フォレステック」、公益法人「森公弘済会」、「片平エンジニアリング」(いずれも東京)の上位4業者に絞って告発するとみられる。

 これまでの公取委の事情聴取に対し、同機構理事や林道企画課長、公益法人の担当者らは、いずれも談合への関与を認めている。

農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」と財団法人・森公弘済会は、 社会保険庁 と同じように解体や廃止が必要。天下りのために必要な団体は必要なし。 財団法人・森公弘済会は天下りの給料と退職金を支払う理由のためと、必要も無い組織の 維持のために、税金が無駄に注ぎ込まれたケース。財団法人・森公弘済会がなければ、 安くなる。そして、国民の負担も軽くなる。独立行政法人「緑資源機構」も含めて、廃止しろ!!

緑資源官製談合:天下り法人が丸投げ 業者にマージン要求 05/08/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、機構OBが多数天下りしている財団法人・森公弘済会(東京都千代田区)が、機構から受注した測量・設計業務の大半を民間業者に丸投げし、中間マージンを得ていたことが分かった。機構は発注業務の丸投げを禁止しているが、事実上黙認していたという。税金を投入した事業を巡り、同じ農水省所管の法人が、天下りを背景に癒着していた構図が鮮明になった。

 同弘済会は、主に林道分野の研究・普及活動を行い、機構職員への住宅資金貸し付けなどの福利厚生事業もしている。現在、常勤の役職員17人のうち少なくとも16人が機構と林野庁OBで、理事長は機構の元理事長が務めている。

 関係者によると、同弘済会には、現場に出ることのない理事1人が測量業務に必要な「測量士」の資格を持っているが、設計業務に必要な「技術士」はいないため、機構が発注する林道の測量・設計業務を請け負うことはできない。それにもかかわらず、03年4月〜06年10月に機構から受注した業務は計約5億150万円に達し、全国で3番目に多い。

 請け負った業務は、民間の測量設計会社などに当初の請け負い金額より1〜2割安い価格で丸投げし、その差額を得ていたという。

 業務を丸投げされた会社の幹部は「弘済会は事実上のトンネル法人で、技術者がいないので独自に業務を請け負う能力はない。いつも1〜2割の中間マージンを要求された」と話す。さらに「機構で行う仕事の打ち合わせには弘済会からは誰も来ていなかった。機構も事実上黙認状態だった」と明かす。

 一方、同弘済会の幹部は「技術者がいないので、民間業者の技術者の名前を借りて機構に届け出ていた。書面で契約していれば手続き上の問題はなかったが、口約束だけで名前を使わせてもらっていたケースがあったようで、丸投げと言われても仕方がない」と話している。

 これに対し機構は「業務を発注する際の契約書に業務全体を再委託することを禁止すると明記している」としながらも、弘済会の丸投げについては「公正取引委員会の調査中なのでコメントできない」と明確な回答を避けている。

緑機構理事、「落札率は93%で」と指示…林道官製談合 05/06/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、同機構の理事(59)が、官製談合防止法施行直後の2003年4月、出先機関の担当課長が集まった会議で、受注予定業者に予定価格の約93%の金額で入札させるよう指示していたことが分かった。

 予定価格に対する落札価格の割合「落札率」が、95%以上だと一般的に談合が疑われるため、こうした指示をしたとみられる。公正取引委員会と共に捜査している東京地検特捜部は、週明けに応援検事を招集して捜査態勢を拡充、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で本格解明に乗り出す。

 関係者によると、指示したとされるのは、林道事業の計画・発注を統括する森林業務部の担当理事。森林業務部長などを経て、05年4月に理事に就任した。

 同機構では年度当初、全国8か所の地方建設部の林道課長を集めて「林道事業業務打ち合わせ会議」を開き、各林道課長が新年度の工事計画を報告。同機構本部の林道企画課が全体計画を取りまとめ、受注予定業者を決めていたとされる。

 03年当時の林道課長らは公取委の調べなどに、同年4月の会議の席上、当時森林業務部次長だった担当理事から「落札率は93%程度が適切だ」との発言があったことを認め、「落札率が100%に近いと談合が発覚しやすいため、『受注予定業者に93%の金額で入札させるように』という指示だと受け止めた」と供述。この指示に基づき、受注予定業者に入札額を漏えいしたことも認めているという。

 林道測量コンサルタント業務に関する入札の平均落札率は、02年度は96・22%だったが、03年4月から公取委が立ち入り検査に入る06年10月末までは93・43%だった。官製談合防止法は03年1月に施行され、発注者側が談合に関与した場合、公取委が改善措置を求めることができるようになった。公取委と特捜部は、機構側が談合発覚を免れるため、受注予定業者に落札率まで指示したとみている。

緑資源機構、公益法人の受注「丸投げ」を黙認 林道談合 05/01/07(産経新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合疑惑で、談合で林道整備・調査事業を受注した独占禁止法違反の容疑で公正取引委員会の強制調査(家宅捜索)を受けた公益法人が、受注事業をそのまま別の業者に下請けに出す「丸投げ」を慣例的に行っていた実態が関係者の証言で明らかになった。公益法人は実際の業務はせずに、機構からの受注額と下請けへの委託料の差額をマージンとして得ていた。機構は制度上丸投げを禁じているが、「業務の企画、分析などは公益法人自体が行っている」として、事実上黙認していた。

 こうした公益法人には機構や林野庁OBが多く天下っており、「林野一家」が天下りを軸に林道事業を“独占”する実態が浮かび上がった。刑事告発を前提に調査中の公取委も、こうした構図の解明を図っていく方針とみられる。

 機構は受注した公益法人や民間業者に丸投げを禁止。しかし関係者によると、「天下りが多く、現場経験の豊富な技術者はほとんどいない」という公益法人があるのが現状で、地形の複雑な山地での現地調査など、業務本体は民間業者にそのまま丸投げするケースが目立つという。

 平成18年度までの6年間で機構から91件の業務を受注している財団法人「森公弘済会」から、「事実上の丸投げを受けた」と産経新聞に認めた民間業者は、「過去に10件ほど丸投げを受けた」と証言。別の業者は「(森公弘済会は)丸投げで10〜20%のマージンを取っていた。マージンをとられた残りの額では、丸投げされてもほとんど赤字だった。やってられない」と語った。

 また関係者によると、機構の発注業務をめぐっては「同じ入札に参加した業者は、落札業者の下請けには入らない」という業界の慣習があるが、森公弘済会はこれを無視して丸投げを求めたこともあった。

 同弘済会から丸投げを受けるよう執拗(しつよう)に求められたという民間業者は、「『うちはこの件で入札に参加したから下請けはダメです』と何度も断ったが、弘済会の担当者は『何とかなるから請けてくれ』と押し切られた」と証言。この業者は「公益法人の下請けをしたという実績は機構が把握しているから、『汗をかいている』と思われれば談合で仕事を回してもらえると思い、断り切れなかった」と話した。

 機構発注事業を下請けに出す場合は原則として機構の承認が必要だが、この業者は「機構から止められることはなかった」と証言している。

 産経新聞がこうした受注形態について取材したところ、緑資源機構は「調査の企画・監督や分析は公益法人側が行っている」との認識を示し、「丸投げとはみなしていない」と説明した。また森公弘済会は、「丸投げがあったかどうかは答えられない。ただ、所定の手続きを踏んでやっている」と答えた。

農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」は、 社会保険庁 と同じように解体や廃止が必要。天下りのために必要なだけで、独立行政法人は 理由付けのためだろう。

緑資源談合「OB再就職先に配慮」 関係者が供述 04/28/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(本部・川崎市、前田直登理事長)発注の林道測量コンサルタント業務をめぐる官製談合疑惑で、同機構関係者が公正取引委員会の調べに対し、「OBの再就職先に配慮した割り振りが行われていた」などと供述していることがわかった。

 2002〜06年度に受注実績があった公益法人や民間法人の半数(12法人)に、約230人の同省や機構のOBが在籍していることも、読売新聞の調査で判明。所管官庁と機構、発注先を結ぶ天下りが官製談合の温床になった疑いがさらに強まった。

 関係者によると、発注担当の機構職員や幹部らは、公取委に対し、「発注先の割り振りでは、林野庁や機構のOBが在籍する公益法人や民間法人にも配慮していた」などと供述しているという。東京地検特捜部も天下りと受注調整の関連性に関心を寄せているとみられ、受注法人に再就職した元地方建設部長など機構OBに対する事情聴取を進めている。

 一方、読売新聞が02〜06年度の5年間に業務を受注した24法人について、天下りの受け入れ状況を調べた結果、4月1日現在、少なくとも12法人に、農水省と機構のOB計約230人が在籍していることがわかった。その9割強は、七つの公益法人に在籍。うち6法人は林野庁の所管で、森林の測量や調査、関連技術の開発など近い分野をそれぞれ事業目的としていた。

 6法人の中でOBの在籍数が最も多いのは「林野弘済会」(東京都文京区)で、元林野庁長官を含む役員9人と、全職員のほぼ半数に当たる約100人が、同省OBだった。次いで「日本森林技術協会」(同)に全役職員の約4分の1に当たる38人のOBが在籍しているほか、24法人の中で最多の101件を受注した「林業土木コンサルタンツ」(同)には33人のOBがいた。

 これに対し、民間への天下りは計16人にとどまったが、受け入れ法人は「機構や役所とのつながりが役に立つ」「発注に関する情報の収集能力が上がる」などと営業面での効果を認めている。

水門談合:疑惑の内部調査実施を要請せず 国交省 04/20/07(毎日新聞)

 国土交通省発注の水門設備工事を巡る官製談合事件で、05年に「OBが談合に関与している」との情報を得ながら事実上放置していた同省が、疑惑の中核とされた社団法人「日本建設機械化協会」(東京都港区)に対し、内部調査の実施を一度も要請していなかったことが分かった。同省の安富正文事務次官は先月の会見で「(疑惑の有無について)法人を通じて事実関係を確認した」と、同省が主体的に調査したかのような発言をしたが、実際には調査に全く関与していなかったことになる。【国交省官製談合取材班】

 同協会は、官製談合を主導した近藤治久・元課長補佐(58)の天下り先で、04年4月に同省を退職した後も、協会の電話を使うなどして業界側に談合を指示していたとされる。

 複数の協会幹部によると、同省側は05年、協会幹部に対し「元課長補佐ら4人の名前が出ている」と言いながら、談合疑惑を指摘する投書を示した。ところが、内部調査の実施やその結果の報告など、一切の指導を行わなかった。

 その後、協会の小野和日児(かずひこ)会長は、自主的に元課長補佐から事情聴取。「何か(身に)覚えがあるか」と質問すると、当時協会の調査部長だった元課長補佐は「覚えがありません」と否定した。協会幹部はその後、別件で同省に出向いた際、元課長補佐が関与を否定した事実を伝えたという。

 一連の経緯について、同省の安富正文事務次官は3月19日の会見で「公益法人を監督する立場という観点から、法人を通じて本人(元課長補佐)に事実関係を確認した」と述べた。しかし、協会幹部は毎日新聞の取材に対し「報告を求められたわけではない。(元課長補佐が関与を否定したことを同省に伝えたのも)報告ではないと思っている。用事があった時に、ぶらっと寄っただけ」と証言。安富次官の発言は、実際は協会が自主的に行った調査を、同省が主体的に実施したかのように誇張したことになる。

 談合情報の放置問題は毎日新聞が3月18日、元課長補佐らが談合に関与しているとの投書が寄せられ、系統だった調査はしなかったとする内容の局長経験者の証言を報じて発覚したが、同省は否定している。

林道談合、林野庁発注分も調査 公取委、天下りに関心 04/25/07(朝日新聞)

 独立行政法人「緑資源機構」が発注した林道整備調査業務の入札をめぐる談合事件で、独占禁止法違反の疑いで同機構や受注側の公益法人などを調査している公正取引委員会が、林野庁発注事業の受注実績や、同庁OBの天下りの実態について資料の提出を求めていることがわかった。林野庁からの天下りの慣習が談合の土壌になっているとみて、同庁発注の事業についても関心を寄せているとみられる。

 複数の関係者によると、公取委の調査では、緑資源機構が発注した事業だけではなく、林野庁発注の業務や、OBの天下りの実態についても報告を求められたという。

 ある関係者は天下りについて「特殊な業界で、経験のある人は人材として重要だ」といい、天下りが受注に関連したかについては「若干あるとは思う」と話している。

 衆議院調査局の資料によると、独禁法違反の疑いで強制調査を受けた農林水産省所管の五つの公益法人には、05年4月時点で国家公務員OBは277人在籍。うち理事職には44人が就いていた。大半は林野庁出身者とみられる。

 内訳は、多い順に林野弘済会が159人(うち役員14人)、林業土木コンサルタンツ45人(同9人)、日本森林技術協会40人(同12人)、林業土木施設研究所24人(同7人)、森公弘済会9人(同2人)。特に理事では、林野庁以外の出身者はわずか3人で、大半を本庁や営林局の元幹部職員が占めていた。

 また、林野庁との間で職員を相互に出向させている同機構にも、同じ時期に理事長以下、17人の林野庁OBがいたほか、受注上位の民間コンサルタント会社も、林野庁OBや同機構OBを役員などに受け入れていた。

 実際、天下りを受け入れてきた法人や会社の受注実績は高い。同機構が03〜06年度の4年間に発注した林道調査事業393件(総額約29億9592万円)のうち、5公益法人が170件を落札。全体の約43.3%にあたり、事業総額は約13億5112万円にのぼる。

 また、受注件数順でみると、上位4位までが林野庁OBの受け入れ実績があり、落札総額は全体の7割を超える約21億3420万円だった。

 この上位4法人・会社の予定価格に対する落札額の割合を示す平均落札率は93.4%。同機構の担当者が談合の疑いをもたれないように設定していたとされる「予定価格の93%」に非常に近い額だった。

緑資源官製談合…業者の継続案件、希望通りに受注 04/20/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(本部・川崎市、前田直登理事長)発注の林道測量コンサルタント業務をめぐる官製談合疑惑で、「実績のある業者が継続案件の受注を希望すると、ほぼその通りになるような発注が常態化していた」と関係者が証言していたことがわかった。

 業者側に希望する新年度予算額をヒアリングすることもあったという。公正取引委員会は、談合の背景に、機構側の発注姿勢の問題があったとみて実態解明を進めている。

 関係者によると、各地方建設部では、受注業者が請け負った業務を終えた後、担当者を訪ねて「来年度も継続案件を受注したい」と希望を伝える光景が当たり前になっていたという。あるコンサルタント会社幹部は「希望を伝えれば、ほぼ100%通った」と証言している。

 公取委に対し「『来年も継続してやってほしい』と、機構から頼まれることも多かった」と供述している業者もある。また、複数の受注業者は「計画路線ごとに担当業者を固定するような発注方法が一般化していた」と指摘する。

 一方、地方建設部の担当者が、業者に対し「新年度の予算をどのくらい確保すればいいか」と聞くようなケースもあったという。

 この業者は「機構には、地元と調整しながら計画を立てたり、積算したりする能力に欠けていて、すべてを我々に任せているような担当者も少なくない」という。

 発注先の公益法人の役員を務めたことのある機構OBは、「林野測量技術の開発を、業者の持ち出しで協力してもらうこともあり、『仕事を回すので、そっちで元を取ってほしい』と発注で借りを返すこともあった」と話している。

緑資源機構:公式会議で談合指示 招集文書「読後廃棄」 04/20/07(毎日新聞)

 独立行政法人「緑資源機構」(川崎市幸区)を舞台にした官製談合事件で、同機構本部幹部が全国8カ所にある出先機関(地方建設部)の林道課長を集めた会議の席で、談合を指示していたことが分かった。会議の案内文書は、シュレッダーで廃棄する決まりだったとされる。同機構理事(59)は公正取引委員会の調べに対し、こうした事実を認めているという。公式会議を利用し、証拠隠滅まで図っていた悪質な実態が明らかになった。

 この会議は、毎年春に開催される「各地方建設部林道課長会議」。談合が隠語で「業務」と呼ばれることから業務会議とも呼ばれていた。席上、本部の幹部が各林道課長に、将来発注予定の林道整備の調査・設計業務などの入札で、例年通り談合するよう指示していた。

 それぞれの入札の割当先については、各林道課長が過去の受注実績などを参考に原案を作成していたことが既に判明している。原案は、理事の承認を得て最終決定され、会議ではこうした決定に従い、談合を繰り返すことなどが確認されたとみられる。

 受注調整だけでなく、証拠隠滅も組織化されており、機構本部側は会議開催を呼び掛ける案内文書を「読後廃棄」と定めていた。関係者はこうした経緯を認めたうえで「情報公開請求を受けて開示される恐れがあるため、案内文書だけでなく談合を類推させる多くの文書をすぐシュレッダーにかけることになっていた」と話している。

 公取委は19日、独占禁止法違反の疑いで機構本部などを家宅捜索。官製談合の実態が悪質なことに加え、事業費の約95%が税金で賄われていることなども考慮し「刑事告発相当事案」との見方を強め、東京地検特捜部と連携して実態解明を進めているとみられる。

緑資源機構談合:身内で税金食い物 10年間隠ぺい 04/20/07(毎日新聞)

 公正取引委員会は19日、農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構を独占禁止法違反容疑で家宅捜索した。機構や農水省、林野庁から天下りを多く受け入れた公益法人に、手厚く業務を発注する構図は「身内だけで税金を食い物にする閉じられた世界」(公取委関係者)だ。機構側の強い主導の下、公式会議で談合するなど高度に制度化されていた実態も判明。林道調査という公益事業の陰で、10年間隠ぺいされてきた官製談合が暴かれようとしている。【斎藤良太、銭場裕司、伊藤一郎】

 ◇6公益法人が受注独占

 「身内だけで税金をぐるぐる回すとんでもないシステム」。公取委関係者はそう解説する。

 談合の舞台は林道整備の調査・設計業務など。指名競争入札の有資格業者は約1000社だが、機構が指名するのはわずか4%に当たる約40社(05年度、公益法人を含む)に限定された。いずれも天下りOBを受け入れてきた法人だ。

 中には営利企業もあるが、森公弘済会、林業土木コンサルタンツ、林野弘済会といった農水省所管の6公益法人が独占的に受注している。03年4月〜06年10月の入札調書によると、6法人だけで全体(約28億円)のほぼ半分に当たる13億円余を受注した。

 資本金(約6670億円)の全額を政府が出資して設立した農水省所管の機構が、同じ農水省所管で、言わば身内の6法人を優遇する。しかも、それぞれの事業(緑資源幹線林道事業)費の約95%は税金で賄われている。他の談合とは異なるこの事件特有の構図だ。

 その理由を機構OBの公益法人幹部は「地質や環境などへの配慮など、林道は普通の道路と異なり、専門性が必要」と説明する。しかし、捜索を受けたある民間企業幹部は「林道と普通の道路の規格は、ほぼ同じ。『公益法人でなければ設計できない』ということはない」と明かす。

 捜索を知った機構の別のOBは「森林事業は縮小しているのに、複数の公益法人が同種の仕事をしているのはおかしい。再編の必要がある」と業界の問題点を指摘している。

 ◇公式会議で方針確認も

 官製談合は2種類に大別される。官僚(国や自治体が資本金の2分の1以上を出資する「特定法人」職員を含む)によるものと、政治家によるものだ。

 05年末〜07年3月に摘発された▽成田国際空港(旧・新東京国際空港公団)▽防衛施設庁▽福島県▽和歌山県▽宮崎県▽国土交通省の各官製談合事件を分析すると、官僚の場合は天下り先の維持、政治家は選挙に協力的な企業に優先的に発注するため談合に関与していることが分かる。

 今回も天下りを目的とした事件という意味では、過去の官僚関与事件と構図が重なる。だが特異な点もある。発注者側の力が非常に強い点だ。

 防衛施設庁の事件では、元技術審議官=実刑確定=ら施設庁側の関与者の他に、大林組元顧問=略式命令で罰金50万円=ら業界側の調整役がいた。国交省の事件でも、談合を主導した元課長補佐は「世話役」と呼ばれる石川島播磨重工業など3社とともに受注調整した。

 今回は、業界側を仕切る人物がおらず、受注希望事業は個々の業者から受け付けるが、最終的な決定権をすべて機構側が握っていた。ある企業幹部は「機構の決定に従って落札するだけだった」と証言する。

 過去の同種事件と比べ、際立ってシステム化された手口も特徴だ。

 (1)全国8カ所の地方建設部の林道課長が、過去の受注実績などを基に各業者に業務を割り振る「配分案」を作成(2)機構本部の課長補佐が全国分を集約(3)課長が集約したものを受領して内容をチェックし、森林業務担当理事(59)に見せて了承を得る−−。本部と出先機関が一体となって各幹部らの役割も明確だった。年1回の公式会議で談合の方針を確認するという念の入れようだ。

 「公式業務」として繰り返された官製談合。公取委関係者は「非常に制度化されているという点で、特異かつ悪質な談合だ」と指摘する。また、問題の6公益法人中4法人は、01年12月にも林野庁東北森林管理局青森分局(青森市)の発注業務などを巡り、排除勧告を受けている。こうした事情から、公取委は「行政処分では不十分」との判断を固めたとみられる。

緑資源機構、天下り4法人で林道測量の7割落札 04/19/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(本部・川崎市、前田直登理事長)発注の林道測量コンサルタント業務をめぐる官製談合疑惑で、2002〜06年度に機構が実施した入札計約500件のうち7割以上を、林野庁や機構のOBが在籍している公益法人と民間会社の計4法人が落札していたことがわかった。

 公正取引委員会に対し、機構職員は「技術力のある業者に発注する必要があった」などと説明しているが、天下りしたOBの中には、機構で発注を担当したことのある機構元役員もいた。公取委は、天下りが受注調整に影響を与えた疑いがあるとみて調べる。

 入札調書によると、02〜06年度に発注された林道測量コンサルタント業務は計496件(発注総額約36億6600万円)で計24業者が落札した。

 この5年間で、落札件数が最も多かったのは「林業土木コンサルタンツ」(東京都文京区)で101件(受注総額約8億2500万円)、次いで「フォレステック」(三鷹市)が100件(同約8億1500万円)、さらに「森公(しんこう)弘済会」(千代田区)が83件(同約6億7700万円)、「片平エンジニアリング」(文京区)が67件(同約4億100万円)と続いた。

 5位の民間会社は20件(同約1億500万円)で大きく引き離されており、上位4法人が全体に占める割合は、件数にして70・76%、金額で74・17%にも達していた。

 林業土木コンサルタンツと森公弘済会は、いずれも林野庁所管の公益法人。

 読売新聞の調べによると、発注部門を担当する機構役員が森公弘済会の役員に天下りしたり、林業土木コンサルタンツの役員が、機構の役員に就いたりする密接な関係にあった。

 これら役員の中には、同庁OBも複数含まれ、機構と両法人を渡り歩き、天下り後に1億数千万円の報酬を得た元国有林野部長もいた。

 一方、受注上位の民間2法人は、同庁や機構のOBの受け入れについて「山の仕事は地元との折衝力や信頼関係が必要なため、人脈がある林野庁OBを雇用している」(フォレステック)、「政府開発援助(ODA)関連業務の専門家として十数年前に機構OBを受け入れるようになり、現在は元広島地方建設部長を技術顧問として迎え入れている」(片平エンジニアリング)などと説明している。

緑資源機構談合:20億円分不正入札…告発視野に 公取委 04/19/07(毎日新聞)

 独立行政法人・緑資源機構が発注する林道整備などの調査・設計業務を巡り、森林業務担当理事(59)らが官製談合を繰り返していた疑いが強まり、公正取引委員会は19日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で川崎市幸区の機構本部などを一斉に家宅捜索した。立ち入り検査(06年10月)直前まで談合を続けていた事実が新たに判明。公取委は04年4月〜06年10月の計約300件、約20億円分を不正入札とみて、東京地検特捜部への告発を視野に押収資料の分析を進める模様だ。

 捜索(強制調査)対象は発注者の機構本部のほか、受注した「森公弘済会」(東京都千代田区)、「林業土木コンサルタンツ」(文京区)などの農林水産省所管の公益法人、「片平エンジニアリング」(同)など民間のコンサルタント会社など約10カ所に及んだ。

 関係者によると、機構の出先機関である八つの地方建設部の林道課長は、受注実績などを基に業務を割り当てる「配分案」を作成。機構本部の課長補佐や課長がこれらを集約し、理事の承認を経て最終決定していた。

 官製談合は予定価格100万円以上の指名競争入札を対象に10年前に始まり、立ち入り検査直前の昨年10月まで繰り返された。公取委はこのうち04年度以降の約300件(約20億円)の立件を視野に調査を進めている。

 毎日新聞が情報公開請求で入手した入札調書によると、配分対象となったのは、林道建設予定地の地質調査や測量・設計、林道に架設する橋の調査、ワシやタカなど猛きん類の生息調査など。

 公取委の強制調査は、改正独禁法(06年1月施行)で導入された手続きで今回が3例目。組織ぐるみの悪質性に加え、大手ゼネコンが談合決別を申し合わせた05年末以降も談合を続け、過去に同法違反で排除勧告を受けた業者が含まれていることなどから、排除措置など行政処分では不十分な「刑事告発相当事案」との見方を強めている。

 ▽緑資源機構 旧森林開発公団と旧農用地整備公団を統合した緑資源公団が03年10月、独立行政法人化して発足した。約6670億円の資本金の全額を国が出資しているため、官製談合防止法の適用対象法人。林道や農業用道路の開設・改良、水源林の造成などを行う。職員数は728人(07年3月末)。うち11人は林野庁OBで、64人は農林水産省など省庁からの出向者。

林道談合 松岡農水省に献金428万円 公益法人や企業 04/19/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合疑惑で、19日に公正取引委員会の強制調査を受けた公益法人や民間企業から、松岡利勝農水相の資金管理団体が献金を受けていたことが分かった。パーティー券購入も含めた献金額は平成17年までの10年間で計約428万円に上る。機構と公益法人は農水省が所管しており、林野庁OBが天下っている。機構の調査業務の発注額は年間十数億円で、近年の受注件数は献金した法人と企業が上位だった。

 資金管理団体「松岡利勝新世紀政経懇話会」に献金していたのは、農水省が所管する公益法人では▽財団法人「林野弘済会」(東京都文京区、10年間の献金額は184万円)▽同「林業土木コンサルタンツ」(同区、同96万円)▽社団法人「日本森林技術協会」(同区、同36万円)。

 民間企業では、測量会社「フォレステック」(東京都三鷹市)が同じ10年間で112万円を献金した。このほか、公益法人の出資先企業も献金していた。これらの法人、民間企業から直接、資金管理団体に献金があったのは11年まで。12年以降は公益法人の理事長や会長らが個人名で献金している。公益法人からの献金について松岡農水相は記者会見で、「11年に返金した」としている。



 川崎市のJR川崎駅前にある緑資源機構には19日午前9時半ごろ、カメラのフラッシュを浴びながら、公取委の係官約10人が硬い表情のまま姿を見せた。報道陣からの「公取の立ち入り調査か」との問いにも口を真一文字に結んで答えず、足早に機構内へ。

 機構職員の一人は「役員室にも調査が入っている。昨年の立ち入り検査と同じように夜中まで調べが続くのだろうか」と不安げに話した。

緑資源機構談合:ひた隠しのシステム明らかに 天下り絡む 04/19/07(毎日新聞)

 詳細なメモが、税金を食い物にしてきた独立行政法人を追い詰めた。公正取引委員会が19日、独占禁止法違反容疑で家宅捜索に乗り出した「緑資源機構」の官製談合事件。機構側がひた隠しにしてきた談合システムを白日の下にさらしたのは、昨秋の立ち入り検査で業界側から見つかった資料だった。「OBの天下り先に優先的に発注した」。機構幹部はこう供述し、国土交通省官製談合事件(3月)と同じ構図が浮かび上がっている。

 昨年10〜11月、公取委は、機構と約30社(公益法人を含む)を立ち入り検査した。機構本部からは談合をうかがわせる物証がほとんど見つからない。ところが、業界側から見つかった多数の資料は「宝の山そのもの」(公取委関係者)だった。

 「×月×日、A林道課長から電話。『次の入札はお宅がチャンピオン(受注予定社)』」。機構や農林水産省から業界に天下りしたOBたちは、会社のデスクに克明なメモを残していた。「林道課長」は、機構の出先機関・地方建設部の発注担当者。メモは各社から見つかり、突き合わせていくうちに、一部の地方建設部だけではなく、全国に談合が広がっている実態が浮き彫りになったという。

 森公弘済会(東京都千代田区)の関係先からは、後任の営業担当者に談合の手口を伝える「引き継ぎ書」も見つかった。落札を希望する入札を、どうやって機構側に伝えるか。書面には「地方建設部の担当者に依頼し、落札後にはお礼を言う」などのノウハウが書き込まれていた。

 動かぬ証拠を突きつけられた機構職員は次々と談合を認め「天下りを多く受け入れた業者への発注を手厚くした」などと供述した。約6670億円に上る資本金(3月末現在)の全額を政府が出資し、事業(緑資源幹線林道事業)費の約95%を国の補助金や都道府県の負担金で賄う。税金で運営される独立行政法人から透けて見えるのは、天下りを介して業界ともたれ合う、過去の事件とまったく同じ「官・業癒着」の構図だった。

   ◇   ◇

 川崎市幸区の機構本部が入るビルには19日午前9時28分、公取委の係官十数人が入った。談合を主導した森林業務担当理事(59)宅=同市多摩区=にも、ほぼ同時刻に3人が訪れたが、家人が不在のため外で待機した。

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