防衛施設庁談合事件

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防衛ヘリ談合、監察本部の内部調査から浮上 09/06/12(読売新聞)

 防衛省発注のヘリコプター開発事業を巡る談合事件で、東京地検特捜部が4日に強制捜査に乗り出したのは、同省の防衛監察本部による内部調査で、陸上自衛隊の佐官級幹部らが談合に関与した疑いが浮上したためだったことが分かった。

 防衛監察本部のトップは元高検検事長で、同省から調査結果を検察側に通報したとみられる。

 防衛監察本部は、2006年の旧防衛施設庁の官製談合事件など不祥事が相次いだことを受け、07年9月に発足した。トップの防衛監察監は2代続けて元検事長が務め、検察庁や公正取引委員会からの出向者、公認会計士ら外部の専門家も加え、約60人態勢で同省と自衛隊の職務遂行をチェック。過去にも航空自衛隊の官製談合を公取委に情報提供した“実績”がある。

防衛施設庁入札:誤記が一致…丸写し? 談合裏付け 10/12/06(毎日新聞)

 防衛施設庁が04、05年度に発注した土木建設工事の入札490件中131件の入札で、「工事費内訳書」にある単価欄の誤記がそれぞれ一致していたことが会計検査院の調べで分かった。談合に協力する業者が「本命業者」の内訳書を丸写ししていたためとみられる。検査院は内訳書の精査が談合の探知につながるモデルケースになるとみて、今年度、政府に提出する決算検査報告に結果を明記する方針だ。【斎藤良太、反田昌平】

 内訳書は、入札価格の積算根拠となる現場管理費などの経費や工事に伴う物品の単価を項目別に書いた書類。ダンピングや談合を防ぐため、01年3月の閣議決定で、公共工事の入札の際に提出が義務付けられた。「事前に談合で落札業者が決まっていれば、落札しない入札参加業者が他の業者の内訳書を丸写しするケースがある」(公正取引委員会幹部)ため、国土交通省などは内訳書の精査を「談合情報対応マニュアル」で定めている。

 防衛施設庁発注工事を巡っては、官製談合を主導していた元技術審議官ら3人が競売入札妨害罪で東京地検に逮捕・起訴されたほか、公取委も官製談合防止法の適用を視野に調査中。事件を受け検査院が各社で同じ誤記がある内訳書を発見し、全参加業者の内訳書が残っていた490件の入札について同庁が調査した。

 その結果、ある入札では、8社中5社が単価項目の部分で、消火ポンプを「消化ポンプ」と誤って記載。別の入札では、塗装を「装置」と誤記した社が10社中5社以上あった。また、せっけんケースの単位は個なのに「組」、下吹型ユニットヒータを「横吹型」とするケースなどが発覚した。関係者によると、内訳書は各社が独自の書式でワープロ打ちしているため、字体などは異なっており、注意してチェックしないと発見しにくかったという。

 ▽防衛施設庁建設企画課の話 内訳書のチェックで不正行為の疑いが発覚したことはなかった。今後は積算が正しいかだけでなく、各社の項目を比較し、類似性についても重点的に点検したい。

受注企業に天下り集中 F2開発の防衛庁幹部 09/03/06(朝日新聞)

 約3700億円の開発費をかけた末に高コストなどを理由に調達が打ち切られたF2支援戦闘機をめぐって、開発にあたった防衛庁技術研究本部(技本)の幹部が退官直後に、開発事業を受注したメーカー5社とその系列会社に集中して天下っていたことが分かった。自衛隊法は退官後2年間、受注の関連企業への天下りを原則禁じている。ところが、売り上げが巨額な大企業の場合は、規制の対象外となるのに乗じて、幹部らの多くは退官直後に「直行」しており、規制が事実上骨抜きになっている。

 04年度までの5年間に、本庁の課長級以上で退官し、企業に天下りした技本幹部のうち、その4割近い14人が、F2開発を受注した5社とその系列企業に再就職していた。最も多いのは三菱重工業の6人で、次が川崎重工業の3人、あとは残る3社に各1人ずつ。石川島播磨重工業の系列会社2社にもそれぞれ1人が天下っていた。

 この間、5社は防衛装備品の研究開発で、技本から計約4700億円分の事業を受注。合わせて幹部9人が天下っている三菱重工と川崎重工の受注額は、全体の5割近くを占める。

 朝日新聞で調べたところ、このうち12人は退官直後に直接、天下っていた。このほか、22人の技本幹部も同じ時期に、F2関連以外の企業に再就職していたが、いずれも退官直後に直行していた。

 98年に発覚した防衛庁調達実施本部(当時)を舞台にした背任事件を機に、同庁では自衛隊法を改正し、役員になる場合以外も天下りが制限されるなど他の省庁なみに規制を強化。退官後2年間は、防衛庁などと密接な関係にある企業に天下ることを原則禁じている。

 ただ、関連法規で、「密接な関係にある」企業の対象については、退官前5年間にかかわった企業との契約額の総額が、その企業のこの間の売上額の1%以上▽退官前5年間に所属した機関との契約額が、その年の売上額の25%以上――などに限定している。

 三菱重工の場合、04年度に技本と結んだ契約額の総額は190億円。これに対し、同社のこの年の売上高は約2兆1000億円にのぼり、「25%」は5250億円、「1%」でさえ210億円になるため、規制対象には該当しない。他の防衛関連の大企業も同様で、売上額が巨額な大企業に対しては規制が歯止めになっていないのが現状だ。

 他の中央省庁の場合も同様に、大企業への天下りは規制の対象外だが、「ゼネコン汚職を機に、大手ゼネコンへの天下りは自粛している」(国土交通省)といい、技本のように退官直後に関連産業に天下りしているケースは異例だという。

 この点について、技本の総務課は「いずれも厳格な基準に照らして承認されている」としている。

 《防衛庁技術研究本部》 陸海空の3自衛隊が使用する航空機やミサイル、船舶など装備品の研究開発を行う。開発部門を担当する開発官や、主に基礎研究を行う研究所や試験場を持つ。06年度予算は1826億円で、職員数は約1100人。製造工場を持たないため、防衛関連企業に研究から製造までを委託している。

防衛施設庁談合:天下りシステム化 年収に応じ発注額決定 06/15/06(毎日新聞)

 防衛施設庁の発注工事を巡る官製談合事件に絡み、同庁建設部が、技術審議官、局長、部長などの天下りを民間企業が受け入れた場合の年収と、その見返り工事の発注額を細かく決めていたことが分かった。この仕組みは、防衛庁、陸海空自衛隊幹部の天下り条件にもなっていたことも判明。防衛庁は15日に、北原巌男施設庁長官を含む歴代の施設庁建設部職員ら約80人の処分を行う方針だ。官庁と企業が談合という裏の舞台を使って、もたれ合っていた実態が明らかになった。【反田昌平】

 官製談合事件では、施設庁元技術審議官、生沢(いけざわ)守被告(57)=公判中=ら3人が今年1月、競売入札妨害容疑で逮捕された。防衛庁はこれを受けて、談合の実態調査を進めてきた。その中で、防衛施設庁建設部は、同庁だけでなく、防衛庁、自衛隊幹部の天下り先確保の窓口となっていたことが新たに判明した。

 施設庁のケースでは、審議官を受け入れた企業は年収1500万円を保証、その見返りに約8億円の工事を発注する。同様に局長級は年収1200万円保証で工事額約6億円、部長級は年収1000万円保証で工事約4億円−−などと決めていた。同庁建設部はこれを基本に毎年、建設、土木などの部門ごとに、5億円以上の工事について配分表を作成して談合を行っていた。

 大手ゼネコン、港湾工事のマリコン、空調機メーカーなど業界ごとに取り決めており、20〜30年前からこういう手法を続けていたという。

 防衛庁は、すでに施設庁の解体と査察部門の新設などを柱とする組織改編を決めたほか、関連企業への再就職自粛を、今までの「退職後の2年間」から「5年間」に延長することなどを決めている。

 処分者は、談合に関与した職員約40人を停職、減給などの懲戒処分にする。注意など内規に基づく処分を含めると、処分者はOBを含めて計80人以上になる。北原長官についても監督責任を問い、減給の懲戒処分にする方針。また、成田空港の談合疑惑が報道された昨年11月、前建設部長が波及を恐れて配分表の処分を部下に指示し、裁断機にかけて証拠隠滅をはかっていたことが今年2月、毎日新聞の報道などで明らかになったが、この前建設部長についても処分する。

 一連の事件では、元技術審議官、生沢被告らが03〜04年度に建築、土木、機械設備(空調含む)、電気設備の各工事で談合を割り振り、金額は約1450億円で施設庁発注工事の半分を占めていたことが公判で明らかになっている。

元審議官「裏仕事やりたくなかった」 防衛施設庁談合 05/28/06(朝日新聞)

 防衛施設庁発注工事の官製談合事件で起訴された元同庁技術審議官の河野孝義被告(57)が、29日に東京地裁で開かれる初公判を前に朝日新聞の取材に応じ、「組織で必要な仕事と引き継ぎを受けた。できればやりたくなかった」と、不正な受注調整の内幕や複雑な心境を初めて明らかにした。4月に懲戒免職になった後、ハローワークで職探しをする日々を過ごす。後悔の思いは断ち切れないが、施設庁の後輩職員に向けて「正々堂々とした仕事をやり遂げてほしい」と語った。  施設庁発注の岩国基地(山口県)の工事や空調設備工事などで談合したとして、競売入札妨害の罪に問われている河野元審議官や、元技術審議官・生沢守被告(57)、元総務部施設調査官・松田隆繁被告(53)の施設庁元幹部3人は、初公判で起訴事実を認める方針だ。

 取材に応じた河野元審議官は、疲れた表情で伏し目がちに語り出した。

 「長年の流れの中で決心し、自分でやったことです」

 入札談合を施設庁が調整していたことを初めて知ったのは、03年に建設部長に就任した時だ。前任の生沢元審議官から「表の仕事ではないが、組織で大事な仕事なんだ」と言われたという。

 「具体的なところは部下がやり、それなりの段階で情報が上がってくる」。入札ごとに受注させる共同企業体を決め、配分表を作成するのが建設部の仕事だった。裏仕事に慣れないことに配慮して、生沢元審議官が度々アドバイスしてくれたという。部下から「こんな仕事は嫌だ」と言われ、河野元審議官自身も「できれば早く断ち切りたいという気持ち。生沢さんもそうだった」と振り返る。

 不正な受注調整や工事価格の漏洩(ろうえい)が続いた事情は、やはり業界への「天下り」だった。

 「私どもがそうすれば、(再就職の)あっせんの話がスムーズにいく。会社側も見返りを期待してね。(施設庁OBを)受け入れたら仕事につながりやすいという期待感がある」。「業界との接点」として施設庁の人事部門も、建設部による受注調整を承知していると思っていたという。

 東京地検特捜部の調べによると、施設庁での官製談合は約30年前から続けられていたとされる。河野元審議官は、いつからあったかさえ知らなかったと語る。

 「あの場所に座ったのがね……」。建設部長という「談合仕切り役」のポストに就いたことへの後悔を口にした。

 特捜部の事件摘発は、米軍再編に関する日米協議の時期とも重なった。「米軍関係が非常に難しい時期でもあり、不信感を抱かせた。ただし、ここで一気に切れたことは良かったと思う」。後輩職員に向けては、「変な仕事に携わらずに。プライドをなくさないで」と、反省を込めて語った。

 4月26日付で懲戒免職処分を受けた。再就職先はまだ決まっていない。退職金がない生活の中で、自宅マンションの購入費として長期のローンが残っている。

前部長が証拠隠滅指示、40人懲戒へ…防衛施設庁談合 05/15/06(読売新聞)

 防衛施設庁の官製談合事件で、東京地検による強制捜査前、当時の建設部長(57)が、同庁発注工事を建設業者に割り振る「配分表」など、談合の証拠書類を処分するよう部下に指示し、廃棄させていたことが、同庁の調査委員会の調べで分かった。

 同庁は早ければ今月末にも、証拠隠滅を行った職員も含め、談合に関与した四十数人を停職や減給などの懲戒処分とする方針。このほか、10人以上を内部規定に基づく注意処分とする見通しだ。

 関係者によると、前建設部長は昨年11月中旬、同庁発注工事での談合疑惑が報道された直後に、部下に書類の廃棄を指示。本庁や一部の地方の防衛施設局職員らが、シュレッダーなどで処分したという。

 前部長は、今年1月30日に前技術審議官の河野孝義被告(57)(談合罪で起訴)らが東京地検に逮捕された後、隠滅を指示したことを上司に報告、「職責に堪えられる自信がない」と更迭を願い出た。同庁は2月2日付で同庁付への異動を発令した。

 一方、内部調査に対し、建設部の幹部職員の大半が「談合を知っていた」と認めており、同庁では、今月29日に予定されている河野被告らの初公判を待って、関係職員を処分する。

防衛庁:談合防止へ第三者機関 「監察官制度」新設へ 03/23/06(朝日新聞)

 防衛施設庁の発注工事をめぐる談合事件を受けて、防衛庁の再発防止検討会(委員長・木村太郎副長官)は第三者をメンバーとする「監察官制度」を新たに設立する方針を固めた。メンバーには公認会計士や現職検事らを想定しており、独立した組織とする。

 談合事件では、防衛施設庁技術系トップの技術審議官、河野孝義被告(57)ら技術審議官が競売入札妨害(談合)の罪で東京地検から起訴・略式起訴された。これを受け、防衛庁は1月31日、再発防止検討会を設置し、入札制度などの見直しを進めてきた。

 この結果、防衛施設庁では総務部が業務監察を行ってきたが、会計検査院の検査への対策が主で、内部に対しては機能していなかったと分析。さらに、談合が30年以上も続いてきた点を重視し、内部だけでの改革は困難と判断した。【反田昌平】

公務員問題は解決すべき。モラルの無い公務員が多すぎる。 だから、公務員によるサービスにも問題がある。 田舎の悪しき慣例は公務員や組織の中に残っている。問題があれば、 変えればよい、止めればよい。出来なのであれば、少なくとも税金を上げるな! 無駄使いをするな!私的な利用でないと言って裏金を作るな!税金で飲み食いするな!

防衛施設庁、早期勧奨退職を中止…天下り批判に対応 03/20/06(読売新聞)

 防衛施設庁が、今春の人事異動に合わせて予定していた出先機関の中堅幹部30人前後の早期勧奨退職を、急きょ取りやめていたことがわかった。

 同庁を舞台にした官製談合事件で天下り問題が批判されたことから、その背景にある慣習を断ち切るのが狙いとみられる。“肩たたき”を控えたことで、新規採用者を削ったり、昇進予定を見送ったりするしわ寄せも生じている。

 ただ、今夏のキャリア人事については対応は未定で、課題を抱えての再出発となりそうだ。

 早期退職が取りやめになったのは、全国に八つある防衛施設局の課長や課長補佐ら。当初、4月1日付で退職を打診されていた。

 国家公務員法や自衛隊法では定年は60歳だが、実際には多くの官庁で、「出世レース」に敗れた同期入庁組が50歳代前半から肩たたきの対象となり、退職するのが一般的だ。防衛施設庁でも毎年この時期になると、まず出先機関の30人前後が早期退職を打診され、同庁側のあっせんで、所管の財団法人や民間企業に再就職していた。

 2004年4月1日付では、施設局の筆頭課長級3人、課長級15人、課長補佐級8人など計32人、05年の同日付で、施設局の筆頭課長級4人、課長級17人、課長補佐級5人など計30人が早期勧奨退職している。

 今回の事件では、天下り先の確保を目的に建設工事などを巡って談合を主導していた構図が浮き彫りになった。特に、同庁の元技術審議官・生沢守被告(57)ら歴代の審議官が理事長として天下っていた財団法人「防衛施設技術協会」は、民間企業へと天下る“トンネル組織”との批判が集まった。

 このため、同庁が同協会への天下りを全面的に自粛したことを受け、協会への再就職が“内定”していた職員は、同庁に残ることになった。また、同じく防衛庁所管の財団法人「防衛施設周辺整備協会」への再就職や、測量技術などを生かして不動産関係の民間会社に再就職する職員も多かったが、これも見合わせた。

 翌年度の職員の総定員や人件費は、前年度のうちに政令などで決められており、急に変更できない。施設庁では例年、1月上旬から欠員状況を見ながら採用試験合格者に内定を出し始めるが、退職予定だった幹部がとどまるため、新規採用者の数を抑えざるを得なくなった。また、ポストが空かないため、昇進も中止に。「課長になると思っていたが……」とこぼす職員も、出ているという。

 防衛庁と施設庁では今後、「可能な限り定年まで勤務させる」という方針を表明しているが、キャリアの処遇も含め、「実現には様々な課題が残されている」(防衛庁幹部)と話している。

「審議官一家」談合堅守、現役とOB一体 施設庁事件 03/13/06(朝日新聞)

 防衛施設庁の技官トップ「技術審議官」OBが、新たに刑事訴追された。施設庁をめぐる官製談合事件では、歴代審議官が相次いで「官」と「業」の橋渡し役などを務め、現役・OB一体で談合システムを堅守してきた実態がより鮮明になった。審議官OBらは、現在の官製談合が完成したとされる岩国基地の滑走路沖合移設工事で頭角をあらわしていた。

 略式起訴されたのは、施設庁で建設部長、技術審議官を務めた中堅ゼネコンの田原敬造・元社長(72)。ともに審議官経験者で海洋土木会社(マリコン)の元副社長(67)、別のマリコンの顧問(59)も談合への関与が明らかになった。逮捕・起訴された生沢守(57)、河野孝義(57)の両容疑者も技術審議官の経験者だった。

 「施設庁史上、最大規模のプロジェクト」と言われた岩国基地の滑走路移設工事。計画が大詰めを迎えていた90年前後、田原元社長は施設庁技官トップの技術審議官だった。92年に国が計画を決定。マリコン元副社長とマリコン顧問も間もなく同工事にかかわる主要ポストに就いた。

 総額2400億円にのぼる同工事をめぐっては、ともにゼネコン幹部で「中国のドン」「関西のドン」と呼ばれた2人の談合調整役が主導権争いを演じた。

 関係者によると、この際に「中国のドン」に調整してもらうよう裁断を下したのが、マリコン元副社長とマリコン顧問だった。2人はこの時の実績を足がかりに、退官後も談合調整への関与を続けた。

 先に天下っていた田原元社長はマリコン元副社長とともに、現役幹部が作成した「工事の配分表」を業者らに伝える窓口役を務め、業界を取り仕切った。田原元社長と元副社長が連れだって各地を巡る姿が見られた、とゼネコン関係者は話す。

 顧問はいったん公益法人「防衛施設技術協会」の理事長に就任。その後、マリコンに天下ったが、この間も談合の仕切りにかかわり続けたという。

 しかし、2000年代に入り、元副社長が一連のシステムから外された。談合に強引に関与しすぎたことが原因と周囲は見ている。

 ゼネコン幹部は「談合の全体を仕切っていたのはマリコン顧問で、元副社長を外したのも顧問」と証言している。

 官製談合の舞台から去った元副社長は昨年4月になって、防衛庁調達実施本部を舞台にした事件で背任や加重収賄の罪に問われた被告(66)とともに、土木と建築を専門にしたコンサルタント会社を始めた。

 この間、業界との窓口役を続けてきた田原元社長も、最近は高齢から「しんどい」などと周囲に漏らすようになった。今春、後任にマリコン顧問を指名し、「裏舞台」からも引退する意向だったという。

元審議官ら追起訴 防衛施設庁官製談合 03/13/06(産経新聞)

 防衛施設庁発注工事の談合事件で、東京地検特捜部は14日、土木建築工事の受注調整を主導したとして、競売入札妨害(談合)罪で防衛施設庁の元技術審議官、生沢守(いけざわ・まもる)容疑者(57)ら3人を追起訴した。各工事を受注したゼネコン8社の営業担当者各1人と、中堅ゼネコンに天下った田原敬造(たはら・けいぞう)・元防衛施設庁技術審議官(72)の計9人は同罪で略式起訴した。

 ゼネコン側担当者の刑事責任も追及されたことで、官側が主導し民間と一体となった談合の構図が明確になった。

 特捜部は、3人の逮捕容疑となった米軍岩国、佐世保両基地の土木工事に加え、防衛庁市ケ谷庁舎の建築工事でも受注調整があったとして、清水建設担当者の略式起訴の事実に加えた。

 ほかに追起訴されたのは、同庁の前技術審議官、河野孝義(かわの・たかよし)被告(57)と前総務部施設調査官、松田隆繁(まつだ・たかしげ)被告(53)。担当者が略式起訴されたのは清水建設、鹿島、大成建設、大林組、東亜建設工業、鉄建、五洋建設、りんかい日産建設。

 起訴状などによると、生沢被告らはゼネコンの担当者らと共謀。2004年1月―昨年3月に入札が実施された岩国基地の滑走路移設工事など5件(落札価格計約143億円)、04年3月入札の佐世保基地の岸壁整備工事2件(同約43億円)でそれぞれ業者間の受注調整をさせた。特捜部は生沢被告らが中心の官製談合とみている。

 岩国基地は鹿島や大成建設など、佐世保基地は五洋建設などを筆頭とする各建設共同企業体(JV)が落札できるように仕組まれた不正な入札をさせたとされる。

 田原元審議官は7件すべての工事で同庁から業界への連絡役を務め、峰久一市(みねひさ・かずいち)・大林組元役員(82)=略式起訴=が岩国基地の工事で地元業者の要望を同庁側に伝えていた。

 談合は防衛施設庁幹部の天下り先確保のために官側主導で約30年にわたって続き、天下りの受け入れ実績に基づく受注配分がなされてきた。

 生沢被告らは起訴事実を認め「再就職先を確保するため、自分の一存ではやめられなかった」などと話しているという。

 市ケ谷庁舎をめぐっては、空調設備工事でも三機工業を筆頭とするJVが落札できるよう受注調整したとして、生沢被告らが起訴され、同社の担当者も罰金50万円の略式命令を受けた。

施設庁談合:同庁幹部、役職によって天下り先の年収指定 03/13/06(毎日新聞)

 防衛施設庁の発注工事を巡る官製談合事件で、同庁幹部が入札参加企業に天下る際、退職前の役職によって天下り先での年収の水準をあらかじめ決めていたことが分かった。内部では「天下り年俸」と呼ばれていた。天下り先の企業が工事受注に成功した際には、天下ったOBに企業から数百万円の「特別手当」も別途支払われていた。東京地検特捜部は、こうした天下りシステム維持のため官製談合が行われたとみており、官主導による官民癒着の構図がいっそう鮮明になった。

 ◇受注時は「特別手当」…審議官1500万円、局長クラス1200万円、課長クラス1000万円

 関係者によると、「天下り年俸」は防衛施設庁側で指定し、同庁発注工事の受注を希望する企業側も受け入れていた。技術系トップの審議官で1500万円、全国11の防衛施設局・支局の局長クラスは1200万円、施設庁課長クラスは1000万円だった。企業側は、天下りOBを相談役や顧問などの肩書で受け入れたが、出社するかどうかは本人任せで、ほとんど出社しないOBもいたという。

 また、こうした年俸とは別に、天下り先の企業が同庁発注工事を受注した際、OBは年間数百万円の「特別手当」も受け取っていた。

 同庁発注工事では、5億円以上の工事のほぼすべてで談合が行われ、施設庁側が工事を受注予定社ごとに割り振る「配分表」を作成。この際、各社の過去の受注実績(シェア割り)とともに、各社ごとに天下りOBの給与額などを整理した一覧表を検討して、配分表を完成させていたことが判明している。

 特捜部は、天下りシステムの維持を目的に、元技術審議官の生沢(いけざわ)守容疑者(57)ら3人=いずれも競売入札妨害容疑で再逮捕=が談合を継続してきたとみて、3人の拘置期限の14日、立件対象工事を拡大して起訴するとみられる。

防衛施設庁談合:会計検査院天下り あっせん依頼常態化 03/12/06(毎日新聞)

 「財政の番人」の会計検査院が、またも監督先の官庁を使って幹部を天下りさせていた。検査院の帆刈(ほかり)信一第4局長(56)が防衛施設庁の元技術審議官、生沢(いけざわ)守容疑者(57)=競売入札妨害容疑で再逮捕=に依頼して行った元課長の再就職問題。検査院側は疑惑を全面否定するが、複数の施設庁関係者は経緯を認め「検査に現場の意向を反映させたかった」などと意図を説明する。他省庁の元首脳も天下りの仲介を認めており、7年半前に同様の問題が発覚した以降も、検査院による天下りのあっせん依頼が常態化していた実態が明らかになった。【川辺康広、小林直、反田昌平】

 98年10月15日の衆院決算行政監視委員会。旧防衛庁調達実施本部(調本)を巡る背任・汚職事件を受け、会計検査院の疋田周朗院長(当時)が答弁に立った。逮捕・起訴された上野憲一被告(66)が、検査院OBらの再就職を防衛関連企業にあっせんし、検査院側が旧調本の不正経理を把握しながら報告書に盛り込まなかった点を「なれ合い」と批判されたことを受け「批判を真摯(しんし)に受け止める。今後、公正性に疑念を持たれないように努めたい」と語った。

 ところが、検査院は姿勢を変えていなかった。ある省庁の元首脳は「その後、検査院から『天下り先が見つからない』と相談を受け、公益法人への再就職をあっせんした」と証言。今回表面化した施設庁を使った天下りも、国会答弁から約4年後のことだった。

 関与した当時の施設庁設備課長(57)=退職=は取材に対し、生沢容疑者の指示を受け「お願いしやすい会社」として空調工事の受注企業「大成設備」を選び、天下りさせた経緯を認めた。これに対し、検査院の川滝豊人事課長は「あっせんを求めることはない」と強調。「仮にあっせんが事実でも、検査とは別問題」とも言う。

 しかし、元設備課長は天下り仲介の意図について「検査で見解が分かれた時、再就職を世話した検査院の元課長を通じ、施設庁の意向を伝えるため。検査で仕事をかきまわされたくなかった」と説明した。

 ◇「受け入れ要請はあった気もする」検査院局長

 会計検査院の帆刈(ほかり)信一第4局長は今月2日、毎日新聞の取材に対し、疑惑を全面否定した。主な一問一答は以下の通り。

 −−(防衛施設庁元技術審議官の)生沢守容疑者とはどのような関係か。

 人事院の研修会で知り合い、面識はある。

 −−生沢容疑者に検査院の課長(当時)の再就職先をあっせんするよう依頼したのか。

 大成設備から直接、検査院に(受け入れの)求めがあったような気がするが、記憶がはっきりしない。

 −−しかし、複数の関係者が、あなたが防衛施設庁に天下りのあっせんを依頼したと証言している。

 うーん。取材は人事課を通じてほしい(その後、人事課を通じ「大成設備から再就職の受け入れ要請があった」と回答)。

防衛施設庁談合:生沢容疑者、検査院課長の天下り仲介 03/12/06(毎日新聞)

 防衛施設庁を巡る官製談合事件で再逮捕された元技術審議官、生沢(いけざわ)守容疑者(57)が02年、会計検査院の課長の天下り先をあっせんしていたことが分かった。当時検査院の人事課長だった帆刈(ほかり)信一第4局長(56)の要請を受けたもので、生沢容疑者らが大手総合建設会社(ゼネコン)の子会社に受け入れを要請し、実現させたという。施設庁関係者は「検査の懐柔が狙いだった」と証言しており、施設庁と検査院の不明朗な関係が浮かんだ。

 検査院職員の再就職を巡っては、98年に旧防衛庁調達実施本部(調本)を巡る背任・汚職事件で逮捕された元調本副本部長、上野憲一被告(66)=1、2審で懲役4年、上告中=が、企業に検査院OBの受け入れを要求して問題化し、検査院は是正方針を表明した。しかし、その4年後には、ほぼ同様の構図で天下りが行われていた。

 再就職した課長は、防衛や運輸分野の検査担当を経て02年12月、農林水産検査第3課長を最後に退職。直後の03年1月「大成建設」(東京都新宿区)の子会社で中堅空調設備会社の「大成設備」(同)に顧問として再就職した。

 施設庁の複数の関係者によると、人事課長だった帆刈局長は02年、施設庁建設部長だった生沢容疑者に「検査院にはいい天下り先がない」と再就職のあっせんを依頼。生沢容疑者はこれを承諾し、部下の設備課長(当時)に受け入れ先を選定させた。

 設備課長は02年夏ごろ、請負業者の大成設備に受け入れを依頼。大成設備側は既に施設庁OBを1人受け入れており、急な要請に驚いた様子だったが「施設庁側が今後の受注に有利になることを示唆したため、11月ごろ受け入れを決めた」(施設庁関係者)という。

 東京防衛施設局の入札調書によると、大成設備は02年度以降、計4件総額23億3600万円(うち2件20億円は共同企業体方式)の空調工事を受注。一方、大成建設も東京地検が捜査を進めている「自衛隊中央病院」(世田谷区)などの入札で、業界側の談合の「仕切り役」を務めていたことが既に判明している。

 帆刈局長は取材に対し「生沢さんとは人事院の研修会で知り合った」としたうえで「再就職は大成設備の要請によるもの。施設庁に(あっせんを)依頼していない」と疑惑を否定した。一方、施設庁人事課は「事実を把握できない」、再就職した課長や大成設備は「コメントできない」としている。【川辺康広、曽田拓、酒井祥宏】

 ■ことば(会計検査院) 官庁や独立行政法人、政府系機関などの予算執行が適正に行われているかを毎年チェックし、国に報告する行政機関。外部からの影響力を排除するため、裁判所、国会、内閣から独立した地位が与えられている。04年度は約251億円の税金の無駄遣いや不適切な予算執行を指摘した。第4局長は、検査業務を指揮・監督する事務総局の中で総長、次長に次ぐ役職で、文部科学省や農林水産省の検査を統括する。

防衛施設庁談合:ゼネコン幹部が認める供述 地検が立件へ 03/11/06(毎日新聞)

 防衛施設庁発注の建設・土木工事を巡る官製談合事件で、大手総合建設会社(ゼネコン)の営業担当幹部らが「市ケ谷庁舎」(防衛庁庁舎、東京都新宿区)と「自衛隊中央病院」(世田谷区)での談合を全面的に認める供述をしていることが分かった。

 東京地検特捜部は、元技術審議官、生沢(いけざわ)守容疑者(57)らの拘置期限の14日、再逮捕容疑となった岩国飛行場(山口県)などに加え、同庁舎などの談合も競売入札妨害罪で起訴し、ゼネコン側も刑事処分する方針を固めた模様だ。

 特捜部は先月末から、03年末以降の発注分を中心に、鹿島▽大成建設▽大林組▽清水建設など「スーパーゼネコン」の営業担当幹部らから事情聴取を開始。市ケ谷庁舎などの入札の経緯について説明を求めた。生沢容疑者が受注予定社を指定した「配分表」には、全国11の防衛施設局・支局発注の5億円以上の工事がすべて記載されており、各社の営業担当幹部らは、配分表を基に談合したことを認めたという。

 このため特捜部は、生沢容疑者らが主導した岩国飛行場と佐世保米軍基地(長崎県)での談合と同様に、立件が可能と判断したとみられる。

 市ケ谷庁舎は通称「新情報棟」の新設工事(07年度完成予定)で、総事業費約245億円。03年12月入札と05年3月随意契約の二つの工事を、清水建設の共同企業体(JV)が計100億円余で落札。自衛隊中央病院の工事は既存施設の建て替え(07年10月開院予定)で、総工費は約320億円。04年12月と05年9月入札の二つの工事を、大成建設のJVが計約47億円で落札した。

 同庁舎と同病院を巡っては、空調工事での競売入札妨害罪で生沢容疑者ら3人が起訴され、空調メーカーの営業担当者4人が罰金50万円の略式命令を受けた。

防衛庁OB4人、同時に2カ所に天下り 給与水準を維持 03/07/06(朝日新聞)

 防衛庁のキャリア職員OB4人が、同庁や防衛施設庁とつながりのある公益団体と、民間企業の両方に天下り、双方から給与を得ていることがわかった。天下り先はいずれも防衛庁の秘書課が紹介しており、民間企業4社中3社は施設庁の工事を受注している。公益団体には常勤で勤務する一方、民間企業では非常勤の立場で執務机や名刺がないケースもあった。公益団体の給与が現役時代より少ないため、工事発注などで関係のある企業に非常勤の形で勤め、収入の目減り分を補填(ほてん)していた形だ。

 東京地検特捜部が摘発した談合事件では、施設庁がOBの天下り受け入れ実績に応じて工事を配分していたことが判明している。防衛庁元幹部からも「天下り先を二つ紹介する必要があるのか。複数の法人に籍を置けば片方で勤務実態がなくなることが多い。企業は働かないOBに給与を支給することになり、必ず見返りへの期待が生じる」との批判が出ている。

 この4人は96年7月〜05年8月に施設庁次長や防衛庁契約本部長など幹部職で退職した元キャリア職員。現在は防衛庁または施設庁が所管する公益法人や職員生協で常勤として勤務し、民間企業では非常勤で顧問などを務めている。先に民間企業に天下り、後から公益団体に入ったケースでは企業での勤務を非常勤に切り替え、給与を減額して総額を調整するなどしていたという。

 4人のうち複数の元職員は「公益団体の給与は公務員退職時の7割前後。目減り分の中で退職時の1〜2割を民間企業で賄ってもらっている」と説明している。

 自衛隊法には両庁職員が退職後2年以内に、両庁発注業務を受注した民間企業に天下ることを禁じる規定がある。00年8月に対象が広げられ、役員だけでなく顧問や一般社員にも就けなくなった。しかし、4人のうち2人はそれ以前に施設庁発注の土木・建築工事などを受注する建設会社などに天下った。また、別の1人が05年10月に非常勤顧問となった建設資材会社は両庁発注業務を受注していないといい、この元職員は「米軍再編など防衛問題に興味がある会社で、施設庁の組織や部隊編成について助言した」と話している。

 関係者によると、勧奨を受けて58歳前後で退職する際、防衛庁秘書課が公益団体や民間企業を紹介。退職予定者が給与などを交渉し、契約する。建設会社の天下り先は施設庁建設部の建設企画課が確保。防衛庁厚生課は保険会社に頼むなど、民間企業に日常的に接する部署で業種ごとに天下り枠を用意するという。

 防衛庁秘書課は複数の天下り先を紹介していたことを認めたうえで、「紹介した企業は公益団体と業務上の関係がなく、公益団体の仕事に支障は出ない」と説明。給与面についても「非常勤なので、企業側に大きな負担をかけるわけではなく、問題はないと判断した」としている。

施設庁未発注工事、談合入札・OB在籍178社排除へ 03/03/06(朝日新聞)

 防衛施設庁を舞台にした談合事件を受け、同庁は、今年度の未発注分の建設工事(施設工事を含む)の入札から、2002年以降に同庁OBが在籍している企業と、東京地検特捜部の捜査で談合があったとされている8件の工事の入札に参加した計178社を排除する方針を決めた。

 額賀防衛長官が3日の閣議後の会見で明らかにした。未発注工事は全国で約1200億円分に上る。大手ゼネコンなども軒並み外れることになるが、同庁は「力のある業者はほかにも多くあり、全工事の発注は可能」としている。

 防衛施設庁によると、今年度の建設工事のうち、契約済みは494件(計約663億円)。例年、発注は年度末に集中することが多く、今年度も、発注額が数千万円から数十億円まで、711件、計1202億円分が残っている。

 同庁では、同庁ナンバー3の前技術審議官・河野(かわの)孝義被告(57)ら3人が逮捕されたこともあり、現在、ほとんどの建設工事で入札を延期・中止している。しかし、予算は翌年度に繰り越すことが出来ないうえ、「各部隊から一日も早く施設を完成させてほしいという声が強い」(施設庁幹部)として、来週以降、疑惑を招くような企業を入札から排除する形で入札・契約作業を再開する方針を決めた。

 排除対象となる178社のうち、155社には、同庁建設部があっせんする形で、OBが再就職していたという。ただ、人数は「捜査当局からの要望」として公表を拒んでいる。

 同庁幹部は「登録業者は3〜4万社あり、大手を含む178社が入札に参加しなくても、年度内の予定工事はすべて契約可能だと考えている」と話している。

施設庁談合:2年で165億円ムダ ゼネコン不正利得 02/25/06(毎日新聞)

 防衛施設庁発注の建設・土木工事を巡る官製談合事件で、元技術審議官の生沢(いけざわ)守容疑者(57)=競売入札妨害容疑で再逮捕=が受注予定社を指定する「配分表」の作成を開始した04年1月以降の2年間で、談合により約165億円の公金が失われていたことが、毎日新聞の推計で分かった。談合は約30年継続しており、業界側の不正利得は数千億円に達する計算だ。先行して摘発された空調工事の約9倍の規模で、大手総合建設会社(ゼネコン)が関与した事件の悪質さが鮮明になった。

 毎日新聞が入手した全国11の防衛施設局・支局の入札調書によると、生沢容疑者らが配分表作成の基準としていた予定価格5億円以上の建設・土木工事は計68件あり、予定価格(上限価格)の総額は約911億5380万円。これに対し、落札総額は891億7600万円で、平均落札率(予定価格に対する落札額の割合)は97.83%と極めて高率だった。

 公取委が明らかにしている推計値によると、落札額の18.6%が談合による上昇分とされ、この数値を当てはめると、生沢容疑者らが天下り先の確保と引き換えに、ゼネコンや海洋土木工事会社(マリコン)に与えた不当利得は、約2年間で約165億8673万円に達する。

 このうち、再逮捕容疑となった岩国飛行場(山口県岩国市)の滑走路移設工事は13件あり不当利得は約43億円、佐世保米軍基地(長崎県佐世保市)の岸壁整備工事は3件で約15億円を占める。

 生沢容疑者らの起訴により、20日に捜査を終えた空調工事は04年1月以降に19件発注され、営業担当幹部の供述などから算出した業界の不当利得は、約18億円だったことが既に判明している。

 空調や建設・土木工事の配分表の作成には、生沢容疑者のほか、後任の前技術審議官、河野(かわの)孝義(57)や前施設調査官、松田隆繁(53)の両容疑者も関与していたとされ、東京地検特捜部が解明を進めている。

 ◇業者と税金山分け

 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長・新海聡弁護士の話 施設庁と業者で税金を山分けしているようにしか見えない。そもそも、談合が繰り返されてきた中で蓄積した資料を基に予定価格が作られている限り、今後も無駄遣いはなくならないだろう。思い切って予定価格を2割下げるぐらいのことをやった方がいい。天下りの規制も、公益法人を迂回(うかい)するような「抜け道」を許さず、徹底させないと官製談合はなくならない。

朝日新聞(2006年2月25日)より

官製談合 暴かれた技官支配 OBの格や処遇で受注

施設庁元審議官ら3人再逮捕、151億円談合主導か 02/22/06(読売新聞)

 防衛施設庁が発注した在日米軍岩国基地(山口県)と佐世保基地(長崎県)の土木工事で談合を主導したとして、東京地検特捜部は21日、同庁元技術審議官・生沢(いけざわ)守被告(57)(空調設備の談合で起訴)ら3人を競売入札妨害(談合)容疑で再逮捕した。

 立件された5件の工事の発注規模は計約151億円に上る。関係者の供述などから、同庁が主導する官製談合は約30年前から続いていたことも新たに判明。特捜部はゼネコン各社が関与した建築、土木ルートの全容解明を進める。

 ほかに再逮捕されたのは、前技術審議官・河野(かわの)孝義(57)、前総務部施設調査官・松田隆繁(53)の両被告。3人は容疑を認めている。

 調べによると、生沢被告ら3人は、ゼネコン各社に天下った同庁OBなどと共謀し、広島防衛施設局が2004年1〜3月に入札を実施した岩国基地の滑走路移設関連工事3件と、福岡防衛施設局が同年3月に入札を実施した佐世保基地の岸壁整備工事2件で、受注予定業者を事前に決めていた疑いが持たれている。

 岩国基地の工事は、鹿島(東京都港区)、東亜建設工業(千代田区)、鉄建(同)をそれぞれ中心とする共同企業体(JV)が、約20億〜47億円で落札。佐世保基地の工事は、五洋建設(文京区)、りんかい日産建設(港区)をそれぞれ中心とするJVが、約16億〜26億円で落札していた。

 生沢被告らは当時、受注予定業者の配分表を決定。工事の配分は、同庁OBの天下り先に受注機会を与える目的で代々続けられており、OBの受け入れ状況やOBの年収などに応じて割り振られていた。

防衛施設技術協会、調査業務大半を丸投げ…施設庁談合 02/20/06(読売新聞)

 防衛施設庁を舞台にした談合事件で、元技術審議官・生沢(いけざわ)守容疑者(57)が理事長を務める「防衛施設技術協会」が、在日米軍岩国基地(山口県)の飛行場移設に関する調査研究業務を、専門性が高いとして同庁から随意契約で受注しながら、少なくとも2002〜04年度の間、民間会社に下請けに出していたことがわかった。

 こうした下請けは、他の調査研究業務を含めこの3年間だけで計55件に上り、その大半が丸投げとみられる。

 東京地検特捜部は、生沢容疑者らが岩国飛行場移設関連工事の談合にも密接にかかわっていたとして、20日にも競売入札妨害(談合)容疑で再逮捕し、実態解明を進める。

 施設庁などの調査研究業務は、専門的な知識や技術が必要とされ、同協会に随意契約で発注されていた。

 同協会によると、02年度以降、受注した調査研究業務は、施設庁発注が52件、防衛庁発注は4件。02年度は受注した計18件(総額約1億6700万円)を、03年度も計17件(同約1億5700万円)のすべてをそれぞれ下請けに出したほか、04年度は21件(同約2億1000万円)のうち20件を下請けに出していた。

 このうち、「岩国飛行場滑走路移設埋立造成・舗装委員会委託業務」は、工法などについて学識経験者らに検討してもらう内容で、同協会は1993年度から受注。同協会が公表したのは02〜04年度(受注総額約2400万円)のみだが、計4社に約570万円で下請けに出していた。

 また、下請け額が協会の受注額を上回ったケースも3件あった。03年度の「小松基地施設管理データベース化業務」(受注額約340万円)の場合、受注額の1・5倍の約530万円が下請けに支払われていた。下請け先は、3人の元技術審議官がこれまで天下っている都内のコンサルタント会社だった。

 同協会の3年間の受注総額は約5億3500万円で、受注額の50%以上の額を下請けに出したものだけで40件に上る。協会の収入は計約1億6500万円だった。

 同協会は「委員会の事務局となったり、施設庁との橋渡しをしたりしており、丸投げではない。委託先はOBの受け入れ状況には関係なく、これまでの実績などを考慮して決めた」などと説明している。

 財務省主計局は、随意契約の業務を下請けに出すことについて、「特別の理由なく下請けに出すことは望ましくない」としている。

防衛施設庁談合:歴代の技術審議官7人が関与 認める供述 02/15/06(毎日新聞)

 防衛施設庁発注の建設・土木工事を巡る官製談合事件で、施設庁ナンバー3で技官の頂点に立つ歴代の技術審議官のうち、7人が談合に関与していたことが分かった。このうち、少なくとも4人は、東京地検特捜部の調べに対し「談合を引き継いだ」などと供述しているという。「業界全体に工事を配分するには、いいシステムだった」と正当性を主張する元審議官もいるが、特捜部は退職後の天下り先を確保するための官製談合だったとみて追及している。

 特捜部は1月31日〜2月7日、大手総合建設会社(ゼネコン)や海洋土木工事会社(マリコン)を一斉に捜索しており、前審議官の生沢(いけざわ)守(57)、元審議官の河野(かわの)孝義(57)両容疑者らの逮捕容疑となった空調工事と並行して、建設・土木工事の談合についても解明を進めている。

 関係者によると、関与が明らかになったのは生沢、河野の両容疑者のほか5人の審議官。それぞれ、89〜91年、94〜96年、99〜00年、01〜02年、02〜03年に審議官を務めていた。

 このうち、02〜03年に審議官を務めた生沢容疑者の前任者は審議官時代、ゼネコン側から「自衛隊中央病院」(東京都世田谷区)と「市ケ谷庁舎」(防衛庁庁舎、新宿区)の新設工事で、従来の受注実績に基づいて工事を配分するよう依頼を受け、了承した。現在は天下り先の中堅ゼネコンで顧問を務めている。

 残る4人の元審議官は、現役時代に談合に関与しただけでなく、退職後も業界側の要望を後輩の審議官に伝えるなどして、談合に関与し続けていた。

 01〜02年に審議官を務めたOBは、いったん「天下りの待機場所」との批判が出ている財団法人「防衛施設技術協会」の理事長に就任した後、大手マリコンの顧問に就任。このほか3人のOBも退職後、準大手ゼネコンや中堅ゼネコンに再就職し、役員や顧問などを務めた。中には、勤務先のゼネコンに有利な工事の割り当てを要求し、施設庁側から抗議を受けたOBもいるという。

施設庁談合:歴代の審議官から一斉聴取 東京地検特捜部 02/09/06(毎日新聞)

 防衛施設庁の官製談合事件で逮捕された元技術審議官、生沢(いけざわ)守容疑者(57)らが、東京地検特捜部の調べに対し「入札の直前、受注予定だった共同企業体(JV)の構成企業を差し替えるよう指示した」と供述していることが分かった。JV内部で応札価格の算出に向けた準備が必要な時期に、構成企業を組み替えることは、通常はないとされる。特捜部は、予定価格など入札情報の漏えいによって差し替えが可能になったとみて、歴代審議官からの一斉聴取に乗り出した模様だ。

 ◇「企業体組み替え」追及

 差し替えは業界側の「仕切り役」から強い要請を受けたための措置。生沢容疑者や前技術審議官、河野(かわの)孝義容疑者(57)らの逮捕容疑となった空調工事に加え、大手総合建設会社(ゼネコン)や海洋土木工事会社(マリコン)が参加する建設・土木工事でも行われていた。

 関係者によると、入札の直前、業界側から「工事場所と工場の距離が近いA社に受注予定社を変更してほしい」「経営状態が悪いB社に早く工事を回せないか」などという要望がたびたび寄せられた。生沢容疑者らは、業界の「仕切り役」らを介してこうした意向をくみ上げ、JVの構成企業の一部を変更するよう指示したという。

 この仕切り役は、空調工事では「大気社」に天下りした施設庁OB、建設・土木工事では「鹿島」や「大成建設」の首脳らで、生沢容疑者らは、意向を受けて発注予定工事名や落札予定JV名などを列挙した「配分表」を作成。これに沿って業界が談合を繰り返していたことが判明している。

 ただ、業界の要請で一つの工事の受注業者を変更すると、通年の受注量も変動してしまうため、生沢容疑者らは、例年通りのシェア割りが維持できるよう、後続工事の配分表を作り替える複雑な作業を行っていた。

 空調工事を巡っては、OBの天下り先でのポストや給与などを数値化した独自の「計算式」を策定。各社のシェアと、この計算式を組み合わせて工事を割り振っていたことが分かっている。

施設庁の元審議官3人、建築・土木で談合関与 02/08/06(読売新聞)

 防衛施設庁を舞台にした談合事件に絡み、同庁発注の建築、土木工事では、ゼネコン業界に天下りした元技術審議官3人が、同庁側で作る配分表に業界の意向を反映させたり、業者へ配分結果を連絡したりするなど、役割を分担して受注調整に関与していたことが、関係者の話で分かった。

 元審議官らは東京地検特捜部の任意の事情聴取に対し、こうした事実を認めているという。特捜部は、このうち1人から2005年度分の配分表を入手し、天下りOBが官製談合に重要な役目を担っていたとみて調べている。

 この3人は、1989年〜91年、94年〜96年、99年〜2000年に、それぞれ同庁ナンバー3の技術審議官を務めた。

 関係者によると、94年〜96年に技術審議官だったOBは、96年に東京都港区の中堅ゼネコンに天下り、役員などを務め、OBの中では有力者として知られていた。同庁発注の建築、土木工事について、業界側から希望を聞き取り、配分表を作成していた同庁建設部に伝えていたという。この有力OBは昨年6月、中堅ゼネコンを退職し、現在、自ら設立したコンサルタント会社の社長を務めている。

 ほかの2人の元審議官は、この有力OBを補佐する形で、同庁の現役の技術審議官が最終的に了承した配分表の内容を業界側に連絡していた。2人は、建築工事の連絡窓口だった大成建設(東京都新宿区)と土木工事の窓口だった鹿島(港区)に、それぞれ配分表を渡すなどし、内容を業界各社に伝えるよう要請。

 また、各社の受注が配分表通りに実行されているかをチェックするなど、“お目付け役”でもあったという。

 89年〜91年に審議官だったOBは、防衛庁所管の財団法人の理事長となった後、奈良県内の中堅ゼネコンに天下り、副社長を経て現在は顧問。99年〜00年に審議官だったもう1人のOBは、大阪市内の準大手ゼネコンに天下り、常務執行役員に就いている。

防衛施設庁談合:歴代課長が天下り差配 再々就職先も決定 02/07/06(毎日新聞)

 防衛施設庁発注工事を巡る官製談合事件で、歴代の同庁建設企画課長がOBの天下りを差配していたことが、関係者の話で分かった。法律上の再就職禁止期間(2年間)の「待機場所」となっている「防衛施設技術協会」(東京都台東区)に受け入れを指示するだけでなく、その後の再々就職先まで決定していた。東京地検特捜部は、事件の背景に同庁に脈々と続く天下りシステムがあったとみて、同課長経験者で元技術審議官、生沢(いけざわ)守容疑者(57)らを追及している。

 協会を巡っては、離職後2年間の天下りを禁じた自衛隊法を骨抜きにしている「受け皿機関」との批判が集中。防衛庁は既に、協会を廃止する方針を固めている。

 建設企画課は表向き、全国11の防衛施設局・支局の建設部を統括し、各建設部の発注業務の監督などを行っている。しかし、関係者によると、歴代の建設企画課長は毎年、定年(60歳)を前倒しして早期退職する同庁技官のうち、協会に再就職する総数やその人選まで確定させ、協会側に指示していた。

 さらに同課長は、協会に在籍した後に天下りする民間企業探しも担当。OBと企業の担当者の双方から希望を聞き、複雑な当てはめ作業を繰り返していた。一連の作業は上司の建設部長、技術審議官の了承を得たうえで行われており、同協会の関係者は「協会にはOBの採用基準がなく、施設庁側の言いなりだった」と証言している。

 建設企画課長はいわゆる「出世コース」でもあり、技術審議官や建設部長のほとんどがこのポストの経験者で占められている。実際、生沢容疑者は97年7月から、前総務部施設調査官の松田隆繁容疑者(52)も03年8月から、それぞれ約2年間、同課長を務めた。

 事件を巡っては、生沢容疑者らが再就職を受け入れた企業に優先的に工事を割り振る「配分表」を作成。空調メーカーや大手総合建設会社(ゼネコン)などが、ほぼ配分表に沿った形で落札を繰り返していたことが判明している。

防衛施設庁談合:「配分表」前建設部長が廃棄指示 02/06/06(毎日新聞)

 防衛施設庁発注工事を巡る官製談合事件で、東京地検特捜部による家宅捜索前の1月上旬、当時の同庁建設部長(56)が、部内に保管されていた談合の「配分表」を部下に命じて廃棄処分させていたことが分かった。同庁はこうした事実を把握しながら公表せず、理由を「本人の希望」としたうえで今月2日、建設部長を施設庁付に更迭していた。前建設部長は特捜部の任意の事情聴取に証拠隠滅を認めているとされ、同庁の隠ぺい体質が厳しく問われそうだ。

 関係者によると、前建設部長は、昨年12月に同庁を巡る談合疑惑が報じられたことから、今年1月上旬、部下に命じて、空調関連工事や大手総合建設会社(ゼネコン)による土木・建設工事で業者に工事を割り振った「配分表」を、細断機にかけて処分するよう命じたとされる。

 この直後、事情を知った特捜部は前建設部長から任意で聴取したところ、証拠隠滅を認めたという。このため特捜部は1月31日に行った本格的な家宅捜索に先立ち、1月16日に同庁を捜索した。

 建設部は、談合の舞台となった大型工事の発注業務で中心となる部署。1月30日に競売入札妨害容疑で逮捕された3人のうち、元技術審議官の生沢(いけざわ)守(57)▽前技術審議官の河野(かわの)孝義(57)両容疑者は、技術審議官の直前に建設部長を務めていた。残る前総務部施設調査官の松田隆繁容疑者(52)も、建設部の建設企画課長当時に談合に関与したとされる。隠滅を図った前建設部長は、昨年8月に技術審議官に昇格した河野容疑者の後任だった。

 また、施設庁が前建設部長を更迭した今月2日の翌3日には、参院外交防衛委員会が開かれており、関係者は「国会で問題になる前にこっそり更迭したのではないか」と指摘している。

 防衛庁関連の事件を巡っては、98年に当時の防衛庁調達実施本部副本部長が背任などで逮捕・起訴された不正調達事件でも、関係資料を廃棄処分する証拠隠滅が行われていた。

技術協会、調査業務を下請けに「丸投げ」 官製談合事件 02/06/06(朝日新聞)

 東京地検特捜部が摘発した防衛施設庁の官製談合事件で、天下りのためのトンネル組織になっていたとされる施設庁所管の公益法人「防衛施設技術協会」(東京都)が、施設庁から受注した調査研究業務を下請けに事実上丸投げしていたことがわかった。協会は業務委託料の一部を受け取り、過去3年度の56件の調査では、随意契約で55件を民間会社に依頼していた。下請け関係者は「協会がかかわる必要は特にない」と指摘しており、施設庁の予算を落とすためだけに協会を関与させる構図が浮かんでいる。

 調査研究業務は、施設庁の出先機関である各地の防衛施設局が協会に発注する。協会の説明によると、発注される調査には、海上基地造成のための埋め立て技術▽飛行場建設のための滑走路のコンクリート強度の研究――などがある。

 02年度から04年度までの3年間に施設庁から受注した調査56件(業務委託費・総額5億4000万円)のうち、協会独自に完成させたのは1件だけだった。

 施設庁からの委託費の一部を協会が取り、残りの金額で下請け会社と契約する。協会の取り分は今年度分の例でみると、「那覇基地施設現況調査」(那覇防衛施設局発注)が50%▽「呉その他施設現況調査」(広島防衛施設局発注)が約35%――など。現場に出る必要の多い調査ほど下請けの取り分が多くなる仕組みだが、施設庁からの委託料のうち、多くて8割、少なくとも3割は協会側が受け取っている。

 調査結果は、下請けが現場で調べるなどした情報を協会が集約。協会で書類を作成し、提出するという。

 こうした調査は施設庁から、協会だけしかできないという意味の「特命随意契約」で発注される。発注側の各防衛施設局は「競争相手がおらず、入札にはなじまない」と説明している。

 しかし、調査を受注している大手コンサルタント会社の関係者は「協会がしているのは、基地などの現場で調査に協力してもらう自衛隊との調整役だけ。実際の調査は下請けがやっている。やろうと思えば、民間だけでもできる」と指摘する。

 ほとんどの調査を下請けに出していることについて、協会関係者は「調査内容には地質やコンピューターシステムなどの専門分野が多く、協会だけでは調べられない。下請けが調べ、協会が監修している」と説明している。

 協会の収支報告書などによると、04年度までの3年間の事業収入約41億円のうち、調査研究業務や建設工事の現場監督など施設庁から請け負う事業による収入が約36億円と9割近くを占める。協会に天下ったOBの仕事は大半が施設庁の予算で賄ったことになる。

 特捜部は協会理事長で元施設庁技術審議官の生沢守容疑者(57)ら3人を刑法の談合容疑で逮捕。協会をめぐっては、施設庁ナンバー3の技術審議官ら幹部職員16人が2年前後の短期間協会に在籍し、天下りの制限期間が過ぎた後、直接には再就職できない建設会社などに天下ったことが判明している。

 施設庁発注工事の談合では、施設庁OBの天下り受け入れ実績に応じて工事配分などを決めていたとされ、特捜部は天下り枠確保と結びついた談合システムの解明を進めているとみられる。

   ◇

 〈防衛施設技術協会〉 防衛施設庁所管の公益法人。90年7月、「防衛施設の建設技術の調査研究」などを目的に設立された。約100人の職員のほとんどが施設庁建設部の出身。歴代の理事長は施設庁を技術審議官で退職したOBが務めている。施設庁から請け負う事業のほかは、施設庁発注工事の設計図や協会が発行する図書の販売で収入を得ている。

施設庁発注工事、佐世保基地でも談合か 02/03/06(読売新聞)

 防衛施設庁発注工事を巡る談合事件に絡み、東京地検特捜部の捜索を受けた海洋土木会社などが、在日米海軍佐世保基地(長崎県)の岸壁工事でも、談合を行っていた疑いが強いことが、関係者の話でわかった。

 落札した共同企業体(JV)は95〜99%の高い落札率(予定価格に占める落札額の割合)で受注していた。

 在日米軍施設では、岩国基地(山口県)の飛行場移設関連工事でも談合が行われていたことが判明しており、特捜部は佐世保基地の工事についても、経緯を調べている。

 佐世保基地の岸壁工事は、大型艦船が接岸できるようにするため、浅瀬の小型船用の波止場など約5・7ヘクタールを埋め立て、長さ約500メートルの岸壁を建設するもので、総事業費は約200億円。施設庁発注の事業の中では大型に属する。2003年度に着工し、埋め立てや岸壁建設工事が進められており、6〜7年間での完成を見込んでいる。

 03年度の工事では、五洋建設(東京都文京区)などのJVが約26億円、りんかい日産建設(港区)などのJVが約16億円で受注。また04年度では、五洋建設のJVが約40億円で受注した。入札はいずれも一般競争入札で行われ、落札率は95〜99%の高率だった。五洋建設は今月1日に、競売入札妨害(談合)容疑で特捜部の捜索を受けている。また、捜索を受けた大林組(港区)、大成建設(新宿区)、東亜建設工業(千代田区)なども、それぞれJVを組んで入札に参加していた。

「岩国」移設工事、連絡役は大林組…防衛施設庁談合 02/02/06(読売新聞)

 防衛施設庁を舞台にした談合事件に絡み、在日米軍の岩国飛行場(山口県)移設関連工事でも、同庁側の了承の下で工事の配分表が作成され、その内容を大手ゼネコンの大林組(東京都港区)が各社に連絡していたことが、関係者の話で分かった。

 同庁発注工事では原則的に、建設は大成建設(新宿区)、土木は鹿島(港区)が連絡役になっていたが、工事案件によって、連絡役が異なるシステムが作られていた。東京地検特捜部も同様の事実を把握しており、大林組広島支店を捜索するなど、大型案件だった岩国飛行場の入札経緯を重点的に調べている。

 特捜部は先月31日以降、ゼネコン各社の捜索に乗り出し、初日の捜索対象に鹿島、大成建設、大林組の3社が含まれていた。これは、談合の中で連絡役を務めるなど、重要な役割を果たしていたためだったと見られる。また2日には、国土総合建設(東京都港区)、前田建設工業(千代田区)、本間組東京支店(同)などの捜索を行った。

 特捜部のこれまでの調べで、防衛施設庁発注の空調設備工事では、元技術審議官・生沢(いけざわ)守容疑者(57)らが談合を主導していたことが判明しているが、建設、土木工事でも同様に、官製談合が行われていた。

 建設、土木工事の談合の仕組みは、業界に天下りした同庁OBが、工事の配分表を作成。同庁側の了承を得た上で、鹿島や大成建設が結果を各社に連絡する形だった。両社の役員が特捜部の任意の事情聴取に、こうした官製談合を認めていることが判明している。

 関係者によると、在日米軍の岩国飛行場移設関連工事では、業界と施設庁側との連絡役を大林組が担っていた。大林組は大阪に本店を構え、関西にも強固な地盤を持つゼネコン。特に、中国地方の建設、土木工事については、長い間、大林組の関係者が受注調整の仕切り役を務めてきた経緯があるほか、1993年のゼネコン汚職事件後も、その影響力を保持してきたとされる。このため、連絡役は地域や案件ごとの事情も配慮しながら、決められていたと見られる。

防衛施設庁談合:官製談合「全国で」 前審議官供述 02/03/06(毎日新聞)

 防衛施設庁発注工事を巡る官製談合事件で、前技術審議官、生沢(いけざわ)守容疑者(57)=競売入札妨害容疑で逮捕=らが東京地検特捜部の調べに対し「全国の建設・土木工事で官製談合が行われた」と供述していることが分かった。このため、特捜部は入札に参加した大手総合建設会社(ゼネコン)や海洋土木工事会社(マリコン)の首脳や営業担当幹部から一斉に事情聴取。全国11の防衛施設局と施設支局が発注した全工事を対象に、幅広く説明を求めている模様だ。

 02年度末の自衛隊中央病院(東京都世田谷区)と市ケ谷庁舎(防衛庁庁舎、新宿区)に関係する3件の新設工事については、官製談合だったことが既に判明。これに04年度発注の▽岩国基地滑走路移設(山口県岩国市)▽佐世保米軍岸壁整備(長崎県佐世保市)▽呉係船堀係留施設整備(広島県呉市)などを加えた計55件の平均落札率(予定価格に占める落札額の割合)が98.26%と極めて高率であることが新たに分かり、官製談合が全国に広がっている疑いが強まった。

 関係者によると、特捜部は1月31日から開始したゼネコン、マリコンへの一斉捜索の際、各社の首脳や営業担当幹部を捜索先の応接間や会議室などに呼び「全工事で官製談合が繰り返されている」と追及した。

 これに対し、建設工事の業界側の調整役とされる大成建設の首脳ら一部は、生沢容疑者やその前任の技術審議官が、受注予定社を記載した「配分表」を作成するなどした官製談合だったことを認めたとされる。一方で、特捜部が土木工事の業界側の調整役とみている鹿島の首脳らは「知らない」と容疑を否認しているとみられる。

 特捜部の捜索は2日も続き、ハザマ、前田建設工業、国土総合建設、本間組の各本社やゼネコンの横浜、広島支店などに及んだ。今後、押収資料の分析を進め、対象工事の絞り込みを進める方針とみられる。

 ゼネコンを巡っては、大成建設の首脳や元技術審議官が、03年3月の自衛隊中央病院、市ケ谷庁舎新設工事の計3件の入札で、過去の受注実績に基づいて各社に工事を割り振る「シェア割り」方式で官製談合を行ったことを既に認めている。

防衛施設庁談合:審議官が隠ぺい指示 容疑3工事入れ替え 01/31/06(毎日新聞)

 防衛施設庁発注の空調工事を巡る官製談合事件で、競売入札妨害の容疑となった3件の入札前、同庁に談合を通報する情報が寄せられ、技術審議官だった生沢(いけざわ)守容疑者(57)=現・防衛施設技術協会理事長=らが、3工事の間で落札予定社を入れ替えるよう業者側に指示していたことが分かった。東京地検特捜部は、発注者として談合を制止すべき立場の施設庁側が、業界と結託して隠ぺいを図り談合を主導した実態を表すもので、容疑の核心とみている模様だ。

 関係者によると、業界にとって「2大プロジェクト」だった自衛隊中央病院(東京都世田谷区)と市ケ谷庁舎(防衛庁庁舎、新宿区)の新設に伴う計3件の空調工事の入札前、業界側は従来通り談合を行うことを確認。仕切り役の大気社(新宿区)の営業担当幹部が各工事を割り振った。

 ところが、入札直前の04年11月、割り振りを通報する談合情報が施設庁側に寄せられた。生沢容疑者は建設部長だった河野(かわの)孝義(57)=現・技術審議官=、同部建設企画課長だった松田隆繁(52)=現・総務部施設調査官=の両容疑者と対応を協議。落札予定社を3工事間で入れ替えることで談合隠ぺいを図る方針を決定し、業者側に「情報通りの業者が落札するのは良くない。工事を入れ替えてほしい」と指示した。

 業界側は指示に従ってあらかじめ決定していた落札予定社はそのままにして、受注する工事を差し替えたという。

 その結果、自衛隊中央病院の2件(04年11月15日と同25日入札、落札額は税抜きで11億円と10億円)は、それぞれ大気社の共同企業体(JV)と新菱冷熱工業(新宿区)のJVが、市ケ谷庁舎分(05年3月3日入札、同12億円)は三機工業(中央区)JVの落札が決まったという。

 特捜部は、談合組織の温存によって業界の利益を守る見返りに、施設庁からの天下りを受け入れさせるための指示だったとみて、全容解明を進めている。

絶大権力、超エリート 防衛施設庁審議官ら逮捕 01/31/06(産経新聞)

天下り先確保狙い「組織ぐるみ」主導

 防衛施設庁発注の空調工事をめぐる談合事件は、天下り先の確保を狙った施設庁技官トップの技術審議官が業者選定で談合を主導するなど、技術系幹部が「組織ぐるみ」で談合を牛耳っていた実態が明らかになった。技術審議官は長官、次長に次ぐナンバー3。千四百人の技官を束ねる「雲の上の存在」で、庁内でも絶大な権力を誇るという。直近二代の技官トップが逮捕される事態となり、同庁職員らは言葉を失った。

 「エリート街道を真っすぐに突き進んできた人たち。雲の上の存在だった」。談合容疑で三十日、東京地検特捜部に逮捕された防衛施設庁の現職と元職の技術審議官、河野孝義(57)、生沢守(57)の両容疑者について同庁関係者は語る。

 関係者によると、河野、生沢両容疑者は、ともに施設庁建設部長など主要ポストを歴任した「誰もが認める技術系のスーパーエリート」。同庁職員は「河野さんは温厚で、部下の信頼も厚かった。信じられない」。

 一方の生沢容疑者は「(河野容疑者と)同期で年齢も同じだが常に出世レースの一歩先を歩んでいた。退官後は防衛施設技術協会の理事長として組織の内外ににらみをきかせていた」という。

 激しい出世レースを戦った二人だが、談合行為への関与では手を握り合う。その背景には天下り先の確保を狙う施設庁全体の権益確保があったとされる。「他の官庁と違い、退官後の再就職先を確保するのは難しい。二人は“庁益”を考え、結果的に談合に関与してしまったのでは」。同情論も庁内からは漏れる。

 技術官僚をめぐる談合では、日本道路公団の橋梁(きょうりょう)談合事件で、公団技術系トップの元副総裁が独禁法違反と背任罪で起訴され、天下りを背景にした組織ぐるみの利権確保体質が批判にさらされた。検察幹部は「民間でリストラの嵐が吹き荒れる中、官が利権にしがみつくことは許されない。徹底した意識改革が求められる」と厳しい。

 施設庁の年間予算は約五千億円。職員の人件費は一割にも満たず、残りは米軍基地の施設整備工事などに充てられる。職員の一人は「施設庁の工事に絡んで、国会議員の事務所から電話がかかってくることもある。利権絡みの事件に発展するのだろうか」と唇をかんだ。

防衛施設庁の官製談合、天下り実績を基準に発注先 01/31/06(朝日新聞)

 防衛施設庁の発注工事をめぐり同庁幹部とOBが30日、東京地検特捜部に逮捕された。天下りの受け入れ実績を基準に、発注先を決めていたとみられる。自衛隊の装備品や燃料の入札では、数々の談合事件や不正な受注調整が繰り返されてきたが、業者の間では「受注できるかどうかはOBの有無で決まっていた」とささやかれていた。

 施設庁OBによると、同庁建設部は建築と土木、設備の3グループに分かれ、前技術審議官の生沢守容疑者(57)は「建築」、現審議官の河野孝義容疑者(57)は「土木」の代表格だった。

 総務部施設調査官の松田隆繁容疑者(52)を含む3人は逮捕容疑となった時期には、技術系のトップから三つのポストを占め、天下りなどの決定権を握っていたという。

 防衛庁をめぐっては99年に発覚した航空機のジェット燃料などの談合事件をはじめ、艦船の修理の入札調整(99年)▽陸上自衛隊発注の通信機用乾電池の入札(00年)▽航空機や自動車用タイヤ入札(04年)――と談合や不自然な入札の実態がたびたび明るみに出た。

 その過程で「官」が談合を助長したことは指摘されても、その関与がじかに問われたことはなく、防衛庁側は「被害者」という立場だった。

 しかし、入札に参加している業者の間でささやかれてきた見方は違う。

 施設庁の工事を下請けしたことがある電気工事会社の役員は「OBの有無によって受注できるかどうかが決まっていた」と明言する。雇用したOBの中には「午前だけ出勤し、再就職先の業界ごとに仲間で集まり、碁をうったりしていた」例さえあったという。

 同じ声は、同庁建設部のOBの間にもある。その一人によると、各メーカーに天下ったOBらは、天下り先の営業担当者らと同庁を訪問。幹部らに顔つなぎをするなど「営業活動」をするのが仕事の一部だという。

 営業は「今度一緒に飯を食おう」で始まる。同庁のある職員にも、メーカーに天下った施設庁OBからそう声がかかった。ひとしきり食事が終わった後、別れ際に「これからもよろしくな」と言われた。

 「『入札など必要な情報を頼むぞ』ってことだと思う。自分はそんな話には乗らないが、たびたびごちそうになれば断れなくなる。庁内の一部には、そういう脇の甘い体質が残っている」。この職員はそう語る。

防衛施設庁談合:公益法人が癒着の温床に 01/31/06(毎日新聞)

 技術系官僚の歴代トップが結託し、空調メーカーに工事の情報を漏らしていた。防衛施設庁を舞台にした官製談合疑惑は30日、現・元職の審議官ら3人の逮捕に発展した。元審議官が天下りした所管の公益法人は、企業に再就職する「待機場所」いわれ、癒着の温床になっていた。

 「ほぼ半数の職員が民間に再就職していく」。逮捕された元技術審議官、生沢守容疑者(57)が理事長を務める公益法人「防衛施設技術協会」(東京都台東区)の関係者は、こう打ち明ける。

 協会は90年に設立され、全国26カ所に事務所を持つ。約100人の職員のうち、7割が公共工事を発注する同庁建設部の出身者。協会の首脳はOBが占め、生沢元審議官の2代前の審議官も協会の理事長を経て、建設業界に天下りしている。

 主な仕事は同庁からの委託事業。OBたちは工事現場に顔を出し、作業に当たる民間企業の社員に技術的なアドバイスをする。業界関係者は「OBはここでコネを作り、次の勤め先を見つける」と明かす。

 関係者によると、地方の防衛施設局で部長を務めたあるOBは3年間、協会の幹部を務めた後、強制捜査を受けた1社に再就職し、間もなく役員に昇進。空調業界の談合の仕切り役に納まった。「最初からこの会社に行くことが決まっていた。協会は待機場所だった」(元上司)という。

 このOBは古巣の同庁を訪れ、後輩から入札情報を入手したり、各社の希望を取りまとめていた。他のOBの再就職先を差配する権限さえあったという。

 一方、同庁から民間へ直接天下りする場合は、受注実績がない企業に限られる。自衛隊法が離職後2年間は「離職前5年以内に従事していた職務と密接な関係にある営利企業への就職」を禁じているからだ。従来は天下り先の役員に就かなければ許されたが、「顧問就任」の抜け道が批判を浴び、00年8月の法改正で一般職員にも拡大された。

 ところが、この規制強化さえ骨抜きになりかけている。OBの一人は04年、受注実績のない中小空調メーカーに「顧問」として再就職した後、強制捜査を受けた「三機工業」へ再就職する予定だったという。

 協会や非受注企業を隠れみのに、巧妙に作り上げられた業界への天下りシステムは、成田空港を舞台にした官製談合事件とも重なる。防衛庁の元幹部は「役人はOBが再就職している会社は大事にする。『自分もいずれお世話になる』という気持ちが働くからだ」と漏らした。

防衛施設庁談合:OB、コンサル会社、政界関係者うごめく 01/31/06(毎日新聞)

 昨年11月の強制捜査に端を発した官製談合事件は30日、防衛施設庁ナンバー3の逮捕に発展した。発注者である現職幹部と受注者の空調メーカーの間には、OBやコンサルタント会社、政界関係者もうごめいていた。同庁では重電メーカー、大手総合建設会社(ゼネコン)による談合疑惑も浮上しているが、同庁発注工事独特の談合構造が浮かび上がっている。【小林直、高島博之、川辺康広】

 ◇天下りOBが主導権

 「OBには逆らえない」。ある空調メーカーの関係者はため息をつく。

 今回、東京地検特捜部が解明に乗り出した空調設備工事の談合事件では、仙台防衛施設局建設部長から「大気社」に天下りしたOBが主導権を握っていたことが、既に明らかになっている。この仕切り役のOBは直接、今回逮捕された後輩の防衛施設庁幹部らを訪ね、入札情報を入手。この情報を伝えることで談合が繰り返された。「他のメーカーは大気社の指示通りに入札額を書き込んでいただけ」。この関係者はそう語った。

 「メーカーが直接、同庁に働き掛けてもなかなか受注に結びつかない。官庁の中でも、防衛施設庁はハードルが高い」。関係者は同庁の技官で構成する「ギルド」に口が利けたのがこのOBだった、と指摘する。

 しかし、それだけではない。

 「コンサルタントがいつも近づいてくる」。ある自民党衆院議員の政策秘書はそう話す。このコンサルタントは、神奈川県厚木市に事務所を開設する表向きは空調・防災設備会社。しかし、実態は空調メーカーと同庁関係者をつなぐコンサルタントで、議員が時事問題を語る年数回の勉強会に出席するだけでなく、事務所に顔を出したり、パーティー券購入による資金提供も行っている。

 政策秘書は「コンサルタントに知り合いの官僚を直接紹介したことはない」と語る一方で「政界との接点を持つことで、業界に存在感をアピールしていた」と言う。

 このコンサルタント会社に資金提供しているのが、空調メーカーだ。関係者によると、談合に関与した疑いが持たれている空調メーカーのうち1社は、多額の資金を渡し、OB主導の談合システム打破を図ったという。

 ほかにもいる。防衛政務次官や郵政大臣を歴任した自民党国会議員の長女の夫は89年、東京都内にコンサル会社を設立した。計画段階にある官庁発注工事の情報を入手し、メーカーに営業アドバイスをするのが主な業務だったという。

 空調メーカー→コンサルタント会社→政界、という資金の流れ。この裏に何があるのか。あるコンサルタント会社幹部は防衛施設庁の体質を「国家機密という厚い壁を盾に、不祥事を明らかにしない体質がある。近づきにくいけれども、いったん中に入り込めば、談合をしても情報が漏れにくい」と表現した。特捜部の捜査は「防衛」の裏に隠れた暗部に迫ろうとしている。

 ◇再発防止、機能せず

 防衛庁、防衛施設庁は何の対策も取らなかったわけではない。

 防衛庁に納入する装備品を巡っては、メーカーによる納入価格の過大請求事件や談合が繰り返されてきた。そのたびに再発防止策が講じられたが、上滑りに終わった。

 「被告側(業界)の不正は察せられたのに、競争や公正さを軽視する姿勢だった」

 防衛庁が発注した航空タービン燃料(ジェット燃料)の納入を巡る石油元売り各社による独占禁止法違反事件(99年)で、東京高裁判決は04年3月、長年にわたる受注調整を放置した防衛庁の姿勢を痛烈に批判し、10社と入札担当幹部に有罪を言い渡した。

 この事件を受け、防衛庁は00年9月(1)入札参加企業の実態調査(2)不正入札を早期発見するための入札結果の電子化(3)官製談合を防ぐための教育の充実−−など、7項目に及ぶ改善措置を実施した。防衛庁は、防衛施設庁にも同様の措置を取るよう通知したという。

 ところが、高裁判決からわずか3カ月後の04年6月、戦闘機用タイヤの納入を巡る談合事件が発覚。防衛庁は公正取引委員会に「改善措置への取り組みが守られていない」と指摘され、入札に抜き打ち監査を行うなどの追加措置を強いられた。

 防衛庁が実施する入札に厳しい目が向けられる中、なぜ防衛施設庁で官製談合が起きたのか。防衛庁幹部は「施設庁が扱うのは一般工事が多く、特殊品を扱う防衛庁とは違うという油断があったのではないか」とみる。

 防衛施設庁発注の電機関連工事では、04年度までの5年間で重電6社が受注した52工事の落札率(上限価格に占める落札額の割合)は98.90%と高率なうえ、うち12件は入札価格と予定価格が一致する「100%入札」だったことが明らかになっている。不正入札を分析するため、電子システムが00年に導入されていたが、重電メーカーの談合疑惑が浮上した昨年11月まで、内部で検証された形跡はない。

 04年2月に、民主党議員の指摘で防衛庁と防衛施設庁が02年度に行った入札の約14%が「100%入札」と判明。それでも「談合の事実は確認されなかった」と結論付け、関連部局に「価格を業者に類推されないように努める」よう指示しただけだった。

 不正の芽を摘む好機は、何度も見逃された。防衛施設庁のある幹部は「職員のモラルに期待した性善説の取り組みだった」と肩を落とした。

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