村上ファンド事件

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村上被告に懲役2年の実刑判決 追徴金11億円超 即日控訴 07/19/06(産経新聞)

 ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、証券取引法違反の罪に問われた村上ファンド元代表、村上世彰被告(47)の判決公判が19日、東京地裁で開かれた。高麗(こま)邦彦裁判長は「動機には強い利欲性が認められ、強い批難に値すると言わざるを得ない」として、村上被告に懲役2年、罰金300万円、追徴金約11億4900万円(求刑懲役3年、罰金300万円、追徴金約11億4900万円)の実刑を言い渡した。追徴金はインサイダー事件では過去最高額となった。村上被告は控訴した。

 高麗裁判長は、逮捕前に記者会見で罪を認めながら、否認に転じた村上被告を「不合理な弁明に終始しており、反省は皆無」と断罪した。

 公判の争点は(1)ライブドア(LD)がニッポン放送株の大量取得を決定したか(2)決定が村上被告に伝達されたか(3)村上被告にインサイダー取引の故意はあったか−などだった。

 高麗裁判長は、事件に関連してやり取りされた電子メールや、LD元取締役、宮内亮治被告(39)の法廷証言、捜査段階での村上被告の供述調書などの信用性を評価。これらの証拠から、LD前社長、堀江貴文被告(34)と宮内被告が平成16年9月15日以降に株大量取得の決定をしたと認定し、村上被告には同年11月8日に開かれたLD側、村上ファンド側双方が出席した会議で決定が伝達されたと判断した。

 その上で、伝達後にニッポン放送株を約193万株買い増した村上被告には、インサイダー取引の故意があったと結論付けた。

 高麗裁判長は、村上被告がファンドマネジャーとしてLDにニッポン放送株大量取得を勧めた上で、同社株を買い増していた点について「一般投資家が模倣しようとしても決してできない犯罪」と指摘。さらに、「『モノ言う株主』として、社会の耳目を集める一方、裏ではこのような犯罪を行っていた。市場など社会に与えた影響も大きい」などとした。

 追徴金については、検察側の主張通り、インサイダー期間中に取得したニッポン放送株の売却額に、村上被告のファンドへの出資割合を掛けて算出した。

 併せて起訴された村上ファンドの投資顧問会社「MACアセットマネジメント」には求刑通りの罰金3億円とした。

村上ファンド事件、19日判決 LD決定を聞いたか否か 07/17/06(毎日新聞)

 ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、証券取引法違反の罪に問われた村上ファンド元代表、村上世彰被告(47)の判決公判が19日、東京地裁で開かれる。検察側は「証券取引にかかわる者としての最低限の倫理観すら欠如している」として懲役3年、罰金300万円、追徴金約11億4900万円を求刑。弁護側は「検察側の主張は砂上の楼閣」と真っ向から対立、無罪を訴えている。逮捕前の記者会見でインサイダー取引を認めながら、起訴後に否認に転じた村上被告。被告がうそを言っていたのは会見か、それとも法廷か。東京地裁の判断が注目される。
起訴事実
 起訴状によると、村上世彰被告は平成16年11月8日ごろ、ライブドア(LD)前社長の堀江貴文被告らから、LDがニッポン放送株の5%以上を買い集める決定をしたことの伝達を受け、この事実の公表前の翌9日から17年1月26日までの間、ニッポン放送株計約193万株を約99億円で買い付けた。
16年11月の会議内容焦点
 約8カ月にわたる公判で、検察、弁護側は何を争ってきたのか。複雑な主張を分解して見てみよう。
 犯罪としてのインサイダー取引が成立するには、株を発行する会社に関する「重要事実」が「決定」され、なおかつその内容が容疑者に「伝達」されたことを立証する必要がある。
 村上ファンド事件で「重要事実」に当たるのは、「ライブドア(LD)によるニッポン放送株の大量取得」。
 「重要事実が決定していたか否か」は検察、村上被告側双方の主張に隔たりがある。ただ、LD側が、村上被告にニッポン放送株大量取得を勧められた平成16年9月15日以降、資金借り入れのためスイス系金融機関と交渉していた事実関係については争いがない。
 問題は、村上被告がLD側から資金調達の準備を「伝達」されていたかどうかだ。村上被告がこの話を聞いていれば、インサイダー取引が成立する可能性が高くなる。
 このため、法廷での攻防は、検察側が「村上被告に決定が伝達された」と主張する16年11月8日の会議で何が話し合われたか−に収斂(しゅうれん)した。
 会議出席者は、LD側から前社長、堀江貴文(34)と前取締役、宮内亮治(39)の両被告=ともに控訴中=ら4人。村上ファンド側からは村上被告ら4人。
 村上被告「金は大丈夫か」
 宮内被告「スイス系金融機関で300億借りられて、足りない200億も何とかなります。(発行済みニッポン放送株の)3分の1、いきます」
 堀江被告「よろしくお願いします」
 村上被告「そうか。協力するぞ」
 宮内被告は法廷で、この日の会議でのやり取りをこう証言した。宮内証言では、村上被告はLDの株大量取得の決定を伝達されたことになる。
 一方、村上被告は被告人質問で「この日の会議で資金調達の話は出ていない。初歩的な話で終わった」「スイス系金融機関の名前が出たことはない。出てたら本当かどうか裏を取る」などと供述。完全に食い違っている。
 出席した村上ファンド元幹部も、「具体的な話もなく、何で付き合わなければならないのか、正直不愉快だった」。村上ファンド側証人は全員、LD側から資金調達の話は出なかったと証言した。
 さらに、「この案件で一番熱心だった」と宮内被告に指摘された堀江被告に至っては、会議があったことすら「覚えていない」と証言した。
裁くのはこんな人
 村上被告の公判を指揮したのは東京地裁刑事4部の高麗(こま)邦彦裁判長(53)。公判前整理手続きが適用されたこの公判では、当初の予定より2回少ない27回で判決公判を迎えるという手際よい訴訟指揮だった。
 高麗裁判長は昭和51年に司法試験合格、司法修習31期。平成16年2月から東京地裁刑事4部の部総括を務める。
 これまでに担当した事件には、オランダの仏大使館を占拠した「ハーグ事件」などで殺人未遂などの罪に問われた、元日本赤軍の和光晴生被告(59)=上告中=の公判などがある。
 和光被告の1審判決では、検察側が主張した元日本赤軍最高幹部、重信房子被告(61)=控訴中=との共謀を認めなかった。
 村上被告の公判では、裁判官側から被告人への質問をせずに結審。入念な被告人質問をしたLD事件とは対照的だった。
村上被告の主な発言
 「聞いちゃったといえば聞いちゃった」。逮捕前の平成18年6月、東京証券取引所での記者会見でこう話し、インサイダー取引を認めた村上世彰被告。だが、法廷では一転して否認供述を繰り返した。村上被告の主な発言をまとめた。
 ■「私が悪い。人生の中で初めて闘うのをやめた」(18年6月5日、インサイダー取引を認めた東証での会見)
 ■「LDがニッポン放送の経営権を本気で取るつもりになっているとは到底思えず、LD一流の大言壮語を聞いたと受け止めた」(18年11月30日の初公判罪状認否)
 ■「長い闘いになると思うが、真実を貫いていく」(同、初公判後のコメント)
 ■「悔しいというか悲しい。なんでぼくがここ(被告人席)に座っているのか、完全に消化できない」(19年3月27日、弁護側から心境を聞かれて)
 ■「保釈になって1〜2カ月後に決めた。真実を明かした上で、裁判所に判断していただきたいと思った」(19年4月11日、検察側から否認に転じた時期を聞かれて)
 ■「うそです。うそつきました。分かりやすいストーリーを話して逮捕されることを決めてた。そうしないと、他の人まで逮捕しちゃうんでしょう?」(同、検察側から東証での会見について聞かれて)
 ■「裁判が始まる前に検察が主張していたことと全く違った事実を次々に明らかにでき、真実に近づくことができたのはよかった」(19年6月12日、最終弁論公判の最終意見陳述)
村上ファンド 元通産官僚の村上被告が創立した投資顧問グループの総称。資産価値や利益水準の割に株価が低い企業を狙って株を買い付け大株主になり、配当の増額や事業見直しを要求。「モノ言う株主」として注目された。検察側は「株の高値売り抜けのために企業に圧力をかけた」などと、実態はいわゆる「グリーンメーラー」(標的企業に株を高値で買い戻しさせる買収者)のようだったと指摘。村上被告は「自分だけがもうけようとは思わない」と否定している。村上被告の逮捕で事実上の解散状態になった。

村上ファンド公判:宮内被告、村上前代表を真っ向否定 11/30/06(毎日新聞)

 ニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件で証券取引法違反に問われた村上ファンド前代表、村上世彰(よしあき)被告(47)の初公判は、30日午後も東京地裁(高麗(こま)邦彦裁判長)で続き、ライブドア(LD)前財務担当取締役、宮内亮治被告(39)が検察側証人として出廷した。宮内被告は、04年9月15日に前代表から同放送株取得を勧められ、その日のうちに500億円の借り入れを金融機関に申し込んだと証言。午前中、同放送の経営権取得の意向を「大言壮語と受け止めた」と陳述した村上前代表の見方を真っ向から否定した。

 宮内被告は、同日の会合後、LD前社長の堀江貴文被告(34)が「村上さんも協力してくれる。今しかチャンスはない」と興奮気味だったと証言。宮内被告はすぐに前執行役員の中村長也被告(39)に「500本(億円)借りてくれ」と指示。同日夜にスイス系金融機関の日本法人幹部に融資を依頼したと述べた。

 また、この内容は一部幹部の極秘事項だったにもかかわらず、堀江前社長の同日付ブログに「朝から某投資会社社長と会議。面白いプロジェクト。ワクワクする」との記載があると検察側が指摘。宮内被告は「『書くなよ』と思いましたね。外部に漏れたら失敗する可能性もあったし」と振り返った。

 そのうえで「借り入れもしてるし、我々の中ではこの日からスタートだった」「何のちゅうちょもなかった」などと、当初から本気でニッポン放送の経営権取得を目指したと説明。村上前代表の弁護側が冒頭陳述で「その日、LDが株取得を決定した事実はなく、資金調達能力から客観的な実現性もなかった」とした認識を否定した。【川辺康広、篠田航一】

検察の脅しに屈し自白…初公判で村上被告が釈明 11/30/06(読売新聞)

 「事実に反して罪を認めたのは、ファンドと幹部を守るためだった」。30日、東京地裁で始まった初公判で、村上ファンド元代表・村上世彰(よしあき)被告(47)は、捜査段階での自白は検察の“脅し”に屈したためと釈明した。

 株式市場を席巻した「モノ言う株主」は、「私は法を犯す人間ではない」とインサイダー取引を全面否定した。

 一方、検察側は、ニッポン放送株の買収劇の舞台裏で「プロ中のプロ」が、その知識を悪用して市場を裏切った経緯を明らかにした。

 午前9時55分、黒のスーツに身を包んだ村上被告は、深々と一礼しながら法廷に入った。検察官が起訴状を読み上げる間は、ほおを膨らませたり、中空を見つめたりするなど緊張した面持ちだったが、その後の罪状認否では、かつての冗舌ぶりが戻った。

 村上被告はまず、「多くの皆様にご迷惑をおかけしたことをおわびします」と謝罪。最初は小声だったが、「無罪を確信している」と言い切ってからは、熱を帯びた口調に。逮捕前の会見で「聞いちゃっただけ」と述べたインサイダー情報については、「ライブドア一流の思いつき、大言壮語と受け止めた」と、当時と同様の説明を繰り返した。

 また、自白については、検察官から「(西武鉄道元会長の)堤(義明)さんは自ら罪を認めることで他の逮捕者を出さなかった。(ライブドア前社長の)堀江(貴文)さんは否認したので、多くの幹部社員が逮捕された」などと暗に脅されたことを示唆し、「逮捕者を私1人で済ませる道を選択した」と述べた。最後に、村上被告は、「私は法を犯す人間ではない。真実を見抜いていただければ、結論は明らかと楽観している」と締めくくった。

 これに対し、検察側は冒頭陳述で、村上被告は、ライブドアがニッポン放送株を買い占めた後の記者会見で、村上ファンドが関与したことを隠すよう会見での応答ぶりを指導したことや、ライブドアによる株買い占めで株価が高騰したため、「ファンドの保有株の10%は売却しない」という約束をほごにしたことなど、悪質さを強調した。

村上ファンド公判:株取得決定の伝達時期焦点に 11/30/06(毎日新聞)

 村上ファンド事件の公判での最大の争点は、04年11月8日に開かれた前代表、村上世彰被告(47)とライブドア(LD)幹部との会議の内容だ。検察側は、この日までにLD側がニッポン放送株の大量買い集めを正式決定し、インサイダー情報として会議の席で前代表に伝えたと主張。弁護側はこれを真っ向から否定した。

 検察側の描く構図は(1)村上ファンドはニッポン放送株の売り抜けに苦慮していた(2)売り抜け先として楽天なども視野に入れながら、LDに株大量取得を持ち掛けた(04年9月15日の会合)(3)LDの大量取得決定を知り、安心して株を買い進めて高値で売り抜けた−−というものだ。

 捜査段階では、前代表は容疑を認めた。早期の保釈▽部下の立件防止▽ファンドの存続が念頭にあったとされ、否認に転じた理由は「開示された証拠を分析すると、LD側は株の大量取得を11月8日までに正式決定していない。証券取引の実務に影響を与える問題なので裁判所の判断を仰ぎたい」と説明。有罪なら130億円前後の追徴を受ける可能性があることも、対決姿勢に転じた背景にあるとみられる。

 公判では、LD元幹部の法廷証言もカギになる。11月8日の会議にはLD前社長の堀江貴文(34)、前財務担当取締役の宮内亮治(39)両被告らが出席。宮内被告は検察側主張に沿った証言をするとみられるが、堀江前社長は村上前代表へのインサイダー情報伝達を否定する見通しだ。

 また、前代表が逮捕直前の記者会見で「(情報を)聞いちゃったと言えば、聞いちゃった」と発言したことも攻防の対象となる。検察側は捜査段階で「会見では過失のような言い方をしたが、実際は故意だった」と踏み込んだ調書を取ったが、弁護側は「無理やり作成された」と反論する予定だ。このほか検察側は、LDが株取得資金を調達できたことを村上ファンドに伝えた電子メールなども「物証」としており、その評価を巡っても双方が全面的に争うことになる。【篠田航一】

村上ファンド公判:「もの言う株主」、検察へ対決姿勢 11/30/06(毎日新聞)

 「起訴事実はまったくの誤解です」。保釈から約5カ月ぶりに公の場に姿を見せたかつての「もの言う株主」は30日、東京地裁の初公判で検察への対決姿勢をあらわにした。ニッポン放送株の取得を巡るインサイダー取引事件で証券取引法違反に問われた村上ファンド前代表、村上世彰(よしあき)被告(47)。プロ中のプロと自称した証券市場の「風雲児」は、法廷という新たな舞台で自らの主張を力説した。【川辺康広、篠田航一】

 村上前代表を乗せた黒塗りのハイヤーは午前9時31分、地裁の東側玄関前に到着した。黒いスーツに青いネクタイ姿。みけんにしわを寄せて口元を固く結んだまま報道陣のフラッシュを浴びながら、一礼して建物の中に入った。

 傍聴人で満席の104号法廷。意見陳述で村上前代表は「無罪であると確信しております」「(ニッポン放送の経営権を取得したいとの話は)ライブドア一流の面白おかしい大言壮語と受け止めた」と起訴事実を真っ向から否定した。

 捜査段階で認めたことについては、検事から「堤(義明・元コクド会長)さんは認めることで他の逮捕者を出さず、堀江(貴文ライブドア前社長)さんは否認したので多くの幹部社員が逮捕された」と言われたと主張。「事実に反して有罪と認め、私一人の逮捕で済ませるか、無罪主張を貫いて幹部とともに逮捕されるのかの岐路に立たされた」と説明した。

 「検察のストーリーに従い、早く裁判を終わらせ、次の人生を歩むという選択肢もあったと思う。しかし、自らの誇り、尊厳のために、事実を明らかにして、裁判所の判断を仰がせていただきます」と結んだ。

 関係者によると、前代表は保釈後まもなく、刑期を終え出所した人たちが社会復帰へ向け準備する「更生保護施設」数カ所を回った。拘置中、受刑者の立ち直りにどのような社会的支援が出来るかを考え、社会貢献したいと思ったという。ここ数日は転居した渋谷区の新居にこもり、公判対策を練ったという。

福井総裁、運用実態承知か 阪神株など保有 07/21/06(朝刊、産経新聞)

≪拠出ファンドが3カ月ごと報告≫

 日銀の福井俊彦総裁が村上ファンドに1000万円を拠出していた問題で、実際に資金運用していたファンドの投資銘柄や運用状況の詳細が20日、夕刊フジの報道で明らかになった。運用報告書は3カ月ごとに福井総裁にも送られており、運用益が急拡大していた実態は総裁も把握していたとみられる。また、福井総裁の資金が、村上世彰(よしあき)前代表のインサイダー取引の舞台となったニッポン放送株にも投資されていたことも分かり、改めて福井総裁の道義的責任が問われそうだ。

 福井総裁は平成11年10月に1000万円を村上ファンドに拠出。13年2月にファンド再編に伴い242万円の運用益を受け取った。同年4月、オリックスと1対1の契約となる「第1回アクティビスト投資事業組合第36号」に1000万円を移し、さらにオリックスを受け皿とする統合組合を通じて村上ファンドの一つに投資していた。

 オリックス作製のパンフレットでは、統合組合の目的を「最終的には株価上昇によるキャピタルゲインの享受」とし、利殖目的であることが明記されていた。

 ファンドは、福井総裁就任半年後の15年9月末からニッポン放送株も保有。17年6月末に大阪証券取引所株、同年9月末には阪神電気鉄道株にも投資され、ファンドの運用益は急増した。この結果、15年3月末には出資1000万円あたり944万円と、いったん元本を割り込んだ純資産額が、今年3月末には2228万円と3年で2倍以上に膨らんだ。

 一方、統合組合のうち22口がすでに解約されていることも分かり、福井総裁も途中解約可能だったことが浮き彫りとなった。

日銀役員の投資商品取引、退任後も1年間禁止 改正答申 07/07/06(読売新聞)

 日本銀行の福井俊彦総裁による村上ファンドへの投資問題を受け、日銀の内部規定改正を検討してきた外部有識者でつくる諮問会議(座長=園部逸夫・元最高裁判事)は6日、株式や私募ファンドなど投資性の強い金融商品の取引を役員(正副総裁、審議委員6人、理事6人)に禁止する答申をまとめ、日銀に提出した。退任後1年間は在任中と同じ規制をするなど、欧米の中央銀行より厳しい内容という。日銀は7日の政策委員会で答申内容を了承し、改正案の細部づくりに着手する。

 答申の内容は、(1)預貯金や個人向け国債など一般の人が自由に売買できる金融商品以外の取引を原則禁止(2)日銀の取引先金融機関の株・債券や私募ファンドは、在任中の保有も禁止(売却が難しい場合のみ、保有の公表で代替)(3)弁護士や公認会計士ら5人程度で第三者機関を新設し、就任・退任時に全資産の保有状況を報告(4)審議委員以上の役員は取引禁止資産の状況を就任・退任時に公開。正副総裁は預貯金などの金融資産も公開、などだ。退任後1年間も規制するのは、国内の公務員や主要国の中央銀行でも例がないという。

 ただ、日銀内部から昇格する理事は、報告を義務化するが、資産公開の対象から外した。配偶者や家族については、名義を利用した取引は禁止したものの報告・公開の対象にしなかった。

 在任中の審議委員以上の役員は、6月末時点の資産を9月末までに公開する予定。日銀は今後、一般職員の服務ルールも厳格化する方向で見直すことを決め、引き続き諮問会議に内容の検討を依頼。1カ月をめどに内容を公表する方針だ。

審議委員も資産公開へ 日銀内規改正有識者の諮問会議 07/06/06(読売新聞)

 日本銀行の福井俊彦総裁の投資問題を受け、日銀の内部規定の改正を検討している外部有識者の諮問会議(座長=園部逸夫・元最高裁判事)は5日の第3回会合で、総裁と2人の副総裁に加え6人の審議委員の資産も公開する方針を決めた。理事以上の役員に対し株式や投資信託、投資用不動産など投資商品の売買を禁止することでも合意した。役員の外貨預金保有額に一定の上限を設けることも検討する。

 6日まで日程を延長して細部を詰め、日銀の政策委員会に答申。同委員会は7日の通常会合で正式に改正を決める。

 審議委員については、金融政策を担う点では総裁や副総裁と同列であるため、資産公開を求めるものの、公開する範囲は総裁・副総裁より狭めることで調整している。

時間外取引は規制がなかった。日銀の内規にあたる「日本銀行員の心得」に明確に書かれていないので良い。 問題がないと取組まない姿勢は同じレベル。

違法でない、規制がなければやった者が得。これがイマドキの法則かもしれない。 違法であっても処罰されない、処分が甘い現状もある。

ある公務員が違反であってもお金を儲けてから改善すれば良いと言っていた。 これば日本の現状を反映しているかもしれない。

日銀総裁投資問題:「売却益が目的」明記 99年契約書 06/29/06(毎日新聞)

 日銀の福井俊彦総裁が99年秋に村上ファンドに1000万円を投資した契約書の全容が28日、明らかになった。福井氏が投資したのは「MACジュニア投資組合」と呼ばれるファンドで、99年9月20日付の契約だった。契約相手は村上世彰前代表が率いた投資アドバイザー「M&Aコンサルティング」。同投資組合は同年10月1日に設立され、設立目的は「国内の会社の証券に投資し、そのキャピタルゲイン(売却益)を得ること」となっていた。

 福井総裁ら一般投資家の出資は「一口1000万円」とされ「99年9月27日午後3時までに銀行口座に現金で振り込む」と定められていた。投資家は「M&Aコンサルティングに対し、投資状況について質問し、意見を述べることができる」ことになっていた。この投資組合には、福井氏のほかに3人が投資していたこともわかった。

 同投資組合は01年2月にファンド再編のため解散。福井氏は242万円の分配金を得たうえで、3月27日付で村上ファンド傘下の新たな投資組合と再契約し、1000万円を投資したことが分かっている。この投資組合はオリックスが投資家から資金を集めるまとめ役(業務執行組合員)になり、福井氏の契約相手はオリックスだったことも明らかになっている。

大きな声では言えないが:日銀の前科? 牧太郎 06/27/06(毎日新聞)

 罰金以上の刑(道交法違反の罰金を除く)を受けた者は本籍地の市町村に保管される犯罪人名簿に一定期間、記載される。「一定の職」につく資格、選挙権・被選挙権の有無を確認するのが目的で、この名簿を見ることが出来るのは、ごく限られた機関のみ。本人も見ることが出来ない。

 だから、前科を書くことはほとんどない。にもかかわらず“法律に触れなかった日銀の前科”を書くのは総裁という存在に不安がありすぎるからだ。

 98年、大蔵省・日銀ノーパンしゃぶしゃぶ遊びが発覚した。副総裁だった福井俊彦現総裁も東京・新宿の歌舞伎町・ノーパンしゃぶしゃぶ「楼蘭」に通っていた。地下3階の“掘りごたつの部屋”に、胸が横から丸見えの服を着た女性。チップを渡してパンティーを脱がす……コラムの品格を保つため、これ以上はとても書けない。

 しかし、そんな「遊び」があっても構わない。助平(すけべ)な男はいっぱいいる。問題は誰が、支払いをしたか。度を過ぎる接待はワイロである。

 このころ、日本は「戦後最悪の不況」に苦しんでいた。97年11月北海道拓殖銀行、山一証券が相次いでつぶれた。金融不安。福井さんは不況の責任ではなく、ノーパンしゃぶしゃぶの責任で辞任した。「恥ずかしい前科」である。

 福井さんが日銀を去った98年。秋には日本長期信用銀行、日本債券信用銀行が破たんした。日銀はやむなく翌99年、ゼロ金利政策を導入する。金融機関の資金調達金利を低く抑え、企業の設備投資を促し、景気を刺激する。

 ところが、日銀は、ここでも“前科”を犯す。1年半後の00年8月、ゼロ金利政策を解除した。「景気は回復した」と当時の速水優総裁は勘違いした。景気は大きく後退し、大きな声では言えないが、日銀の内部からも「日銀不況!」という声が上がった。翌01年、ゼロ金利が再開。タイミングを誤った「致命的な前科」だった。

 しかし、政府はその判断ミスに目をつぶった。国と地方を合わせ774兆円の巨大債務残高(05年末)。その利払いに苦しむ政府はゼロ金利を味方に、辛うじて破たんを回避した。

 今、日銀はゼロ金利解除の正念場を迎えている。

 そんな時、村上ファンドから「度を過ぎた接待」を受けた総裁。「辞任するな!」と応援する政府。

 何やら再犯の恐れあり? 限りなく不安である。(専門編集委員)

ヒルズ族捜査終結 「ルール厳守」原則示す 06/24/06(朝日新聞)

 ライブドアと村上ファンドを対象とした一連の証券取引法違反事件の捜査が23日、終結した。この2社に対する連続摘発は、「ルール厳守こそが自由な投資活動の大前提だ」ということを広く株式市場に示した点に、意義があった。

 ただ、期待も注目も集めた新進投資家2人を摘発したことには、「国策捜査」「微罪摘発」などと検察批判も起こった。「ライブドアを上場廃止にまで追い込む必要があったのか」という声も聞かれた。

 検察幹部のひとりは「ルールを守った上での金もうけはもちろん自由だ」と語った。ルールを破った投資家に市場から退場を求めるのは当然と言うべきだろう。

 外資系銀行の日本人幹部も「注目の投資家が摘発されると、『日本経済に元気を与えてきた人なのに』と同情論さえ起こる。これでは各国の市場から馬鹿にされてしまう」と話す。

 ただ本来、株式市場の番人は証券取引等監視委員会であるべきだ。監視委は、一連の捜査で東京地検特捜部と連携したものの、人員が限られ、独自の摘発件数を大幅にアップさせることが難しい状態にあるといわれる。

 その中で、検察庁は事実上、監視委の機能を補完する形になっている。

 投資家を欺く違反者を放置することは、健全な経済活動を停滞させることになる。さらに、日本市場の信頼を落とすことにもなるだろう。監視委の機能を強化して、ルール逸脱にもっときめ細かく目を光らせる制度の構築が急がれる。

「堀江被告を利用、申し訳ない」村上容疑者、関係者に 06/23/06(読売新聞)

 ニッポン放送株を巡る村上ファンドのインサイダー取引事件で、証券取引法違反の罪で起訴された元代表の村上世彰(よしあき)容疑者(46)は23日、拘置所で18回目の朝を迎えた。

 拘置中は、弁護士に子どもへのメッセージを託すなど家族の様子を気にかけ、「早く社会に戻りたい」と一日も早い保釈を望んでいるという。

 村上容疑者は当初、ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)らを利用し利益を得るつもりはなかったと強調していたが、起訴を目前に利益目的だったことも認めた。「ファンドマネジャーとして利益を追求したことで堀江被告を利用した結果となり、申し訳ない」。関係者に、こう漏らしたという。

 東京拘置所での取り調べは連日5時間前後。ライブドア側から同放送株の買い占め情報を聞いた時期や、株買い増しの動機などについて、検事に激しく反論したが、取締役会の議事録などを突きつけられ、次第に容疑を認めていった。取り調べの時間以外は、主に経済書を読んでいたという。

 今後は、シンガポールに拠点を移した投資顧問会社の残務整理に赴きたいとの意向を示しているという。

村上容疑者とファンド中核会社を起訴 06/23/06(読売新聞)

 ニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件で、東京地検特捜部は23日午前、村上ファンド元代表の村上世彰(よしあき)容疑者(46)と同ファンド中核の投資顧問会社だった「MACアセットマネジメント」(東京都港区)を、証券取引法違反の罪で東京地裁に起訴し、同事件の捜査を終結した。

 村上容疑者が不正に得た利益は約30億円で、インサイダー取引事件では過去最高額という。

 村上容疑者は起訴事実を認めており、弁護士を通じ、「各方面に多大なご迷惑をおかけしたことを心からおわび申し上げます」との談話を発表。MAC社も丸木強代表取締役名で「極めて重大かつ厳粛に受けとめており、深くおわびします。再発防止に向け、法令順守を徹底・強化し、一日も早い信頼回復に取り組みます」とのコメントを出した。

 起訴状によると、村上容疑者は2004年11月8日、ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)らから、同放送株の5%以上を買い占めるとの情報を伝えられ、その公表前に同放送株約193万株を計約99億5000万円で買い付けた。

 同ファンド幹部3人は、関与の度合いが低いとして、起訴は見送られた。起訴を受け、村上容疑者の弁護士は、東京地裁に保釈を請求した。

インサイダー取引事件、村上容疑者が全面自供 06/23/06(読売新聞)

 ニッポン放送株を巡るインサイダー取引事件で、村上ファンド元代表・村上世彰(よしあき)容疑者(46)が東京地検特捜部の調べに対し、ライブドアからインサイダー情報を得た後、利益を得る目的で同放送株を買い進めたなどと供述していたことが分かった。

 これで犯行目的も含め、容疑を全面的に認めたことになる。

 特捜部は23日、村上容疑者と同ファンドの中核投資顧問会社だった「MACアセットマネジメント」を証券取引法違反の罪で起訴する。

 村上容疑者は2004年11月8日、ライブドア前社長・堀江貴文被告(33)らから、同放送株を大量に買い占めるという情報を得て、その公表前に約193万株を購入したとして逮捕された。村上容疑者はこの株を高値で売り抜けて約30億円の利益を上げたとされている。

 関係者によると、村上容疑者は、これまでの調べに対し、「11月8日の時点で、ライブドア側から少なくとも5%以上の同放送株を買うという重要事実は聞いていた」と犯意は認めていたものの、「ライブドアを利用して利益を得ようと思っていたわけではない」などと、犯行目的については争う姿勢を見せていた。

 しかし、最近になって村上容疑者は、「インサイダー情報を聞いて、自分たちも同放送株を買い増して、最終的にはライブドアに売りつけてもうけようと思った」などと、利益目的の計画的犯行だったことを認める供述を始めたという。

 一方、証券取引等監視委員会は22日、村上容疑者と法人としてのMAC社を証取法違反容疑で同地検に告発した。MAC社元役員3人については、関与の度合いが低かったことなどから告発を見送った。

 特捜部も元役員3人の立件は見送る方針。

インサイダー取引:22日にも村上容疑者告発 証取監視委 06/21/06(毎日新聞)

 村上ファンドの証券取引法違反事件で、証券取引等監視委員会は22日にも、前代表の村上世彰(よしあき)容疑者(46)を同法違反(インサイダー取引)の疑いで、東京地検特捜部に刑事告発する方針を固めた。法人としての刑事責任も追及するため、同ファンドの投資顧問会社「MACアセットマネジメント」(東京都港区)も併せて告発する。告発を受け、特捜部は23日にも、村上容疑者とMAC社を起訴するとみられる。

 関係者によると、問題のニッポン放送株取得は、村上前代表と側近らが出席して開かれた「投資戦略委員会」で正式決定していた。さらに当時、村上前代表がMAC社を実質的に経営していたことから、証券監視委は前代表個人だけでなく、法人ぐるみで不正な株取引を行ったとみて、個人・法人双方の刑事責任を追及する同法の両罰規定の適用が不可欠と判断したとみられる。

 インサイダー取引の法定刑は、個人なら3年以下の懲役または300万円以下の罰金。両罰規定が適用されると、法人にも3億円以下の罰金が科される。

 村上前代表とMAC社は04年11月9日〜05年1月26日、ライブドアの大量取得計画を知りながら、ニッポン放送株193万3100株を約99億5000万円で買い付けた疑いが持たれている。

秘書給与肩代わり、松井議員認める…本人も給与受ける 06/20/06(読売新聞)

 村上ファンドの関連会社に秘書給与を肩代わりさせていた疑惑が浮上している問題で、民主党の松井孝治参院議員(京都選挙区)は20日、京都府庁で記者会見し、東京都港区の経営コンサルタント会社から秘書2人分の給与の一部計153万円の資金提供を受けていたことを認めた。

 また、松井氏本人も初当選した2001年7月の前後1年数か月にわたり、同社から給与として計162万円を受け取っていたことを公表した。

 松井氏は「国民のみなさんの信頼を損ね、おわび申し上げます」と陳謝したが、自らの進退については「国政で全力を尽くすという職責を全うすることが私の責任」と述べ、議員辞職の考えがないことを明らかにした。

 コンサルタント会社代表と村上世彰容疑者(46)との関係について、松井氏は「友人同士で、資本の提携があるとは認識していない」と述べた。秘書給与の一部肩代わりについては「勤務した実績がある」と語った。

 一方、松井氏は2002年、村上容疑者から、資金管理団体「京都経済文化研究所」に150万円、「民主党京都府参議院選挙区第3総支部」に350万円の献金を受けていたことも明らかにした。松井氏は、村上容疑者と東大の同級生で、旧通産省も同期入省。

オリックス、村上ファンドへの拠出残高200億円 06/20/06(読売新聞)

 オリックスの藤木保彦社長は20日開かれた同社の株主総会で、今年3月末時点で、村上ファンドに約200億円を拠出していたことを明らかにした。

 昨年3月末時点での残高は約107億円で、1年で投資額をほぼ倍に増やしたことになる。

 同社は今年5月、村上ファンドとの提携を解消し、同ファンドの中核会社への出資を引き揚げたが、藤木社長は拠出の引き揚げについては「他の投資家の動向もふまえ、適切に対応したい」とするにとどまった。村上ファンドへの拠出については、「証券取引法違反の容疑事実に当社は全く関与していない。法令が厳格に順守されることを当然の前提として投資している。村上世彰氏が逮捕されたことは、極めて遺憾」と説明した。

村上ファンド事件:堀江前社長から参考人聴取 06/20/06(毎日新聞)

 「村上ファンド」の証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は、前代表の村上世彰(よしあき)容疑者(46)からニッポン放送株の大量取得を持ちかけられたライブドア(LD)前社長、堀江貴文被告(33)=証取法違反で起訴=から参考人として事情聴取した。堀江前社長は、同放送株取得の経緯を説明したうえ「村上前代表の行為がインサイダー取引にあたるとの認識はなかった」などと証言したとみられる。

 聴取は東京都内で20日までに行われ、堀江前社長の弁護人は「20日までに聴取の申し入れがあり、一定条件を提示したところ合意に達した」とのコメントを出した。

 これまでの調べでは、村上前代表は04年9月15日、堀江前社長らに「同放送株を3分の1買えば、自分の持っている17%の株と合わせて過半数となる。議決権行使で協力するので経営権が手に入る」などと大量取得を持ち掛けた。LD側は同年11月8日、取得の意向を正式に伝えたとされ、村上前代表は翌9日〜05年1月26日、LD側の大量取得で値上がり確実な同放送株193万余株を約99億5000万円で買い付けたとしてインサイダー取引に問われている。

松井参院議員秘書給与、村上F関連会社が肩代わり? 06/19/06(読売新聞)

 民主党の松井孝治参院議員(京都選挙区)が一時期、村上ファンドの関連会社に秘書給与を肩代わりさせていた疑いがあるとして、民主党本部が調査を進めていることが19日、分かった。

 秘書給与肩代わりは政治資金規正法で寄付とされ、政治資金収支報告書に記載がない場合は同法違反に問われる可能性がある。

 これに関連し、小沢代表は同日、党本部で鳩山幹事長らと対応を協議。その後、鳩山氏は「松井氏本人が事実関係を精査している。20日にも本人が記者会見に臨み、説明する」と記者団に語り、松井氏に記者会見をするよう指示したことを明らかにした。

 民主党幹部によると、松井氏は初当選した2001年7月から数か月間、村上ファンドの関連会社から秘書給与の一部の支払いを受けていた疑いがある。また、過去に同ファンドに出資し、利益を得ていたとの情報もある。松井氏は先週、党幹部の一人に電話で自らの疑惑を報告、「お騒がせして申し訳ない」と伝えたという。

 松井氏は、村上ファンド元代表の村上世彰容疑者(46)と東大の同級生で、旧通産省も同期入省。松井氏が代表を務める民主党京都府参議院選挙区第3総支部と松井氏の資金管理団体の収支報告書には、02年12月、村上容疑者から350万円と150万円の寄付を受けたとの記載がある。

村上ファンド関連会社、民主議員の秘書給与肩代わり 06/19/06(朝日新聞)

 民主党の前原誠司・前代表は18日、京都市東山区で開いた国政報告会で、証券取引法違反容疑で逮捕された村上世彰容疑者が代表を務めていた村上ファンドの関連会社が、同党の松井孝治参院議員(京都選挙区)の秘書給与を肩代わりしていたことを明らかにした。党本部の調査で分かったという。

 前原前代表は「松井さんは、村上ファンドの関連の会社から秘書が給与をもらっていた。献金として計上しなければならないが、恐らくしていなかったのではないか」と述べた。期間は01年の初当選時から数カ月間という。また、同ファンドに出資もしており、「(議員になる前の)通産官僚の時に引き揚げ、もうかったお金は120万円だったと聞いている」と話した。

 政治資金収支報告書によると、松井議員は資金管理団体などに02年12月、村上容疑者から計500万円を受け取っている。

 松井議員は村上容疑者と東大時代の同級生で、通産省(現経済産業省)にも同期入省。01年の参院選で初当選した。

 松井議員の京都事務所は「事実を確認しないとコメントのしようがない」としている。

「経産省は昨年の裏金問題への反省から、全職員の株取引を自粛しているが、『自分の意思で売買できる株式と、取引を任せるファンドは違う』として、ファンドへの投資は禁止していない。」

しかし、ファンドに対する規制が緩くなるように働きかけることも出来るし、 違法に利益を得ていても、逮捕されなければ良いと言う事にもなる。

船の検査でも処分されないから不適切な検査をする会社もある。 問題が公になる、逮捕者や処分者が出るまで対応を先送りにするのは問題だ。 経産省も対応が遅いから裏金問題が起こったのだろう。

村上ファンド:経産省職員らも計1000万円投資 06/17/06(毎日新聞)

 証券取引法違反容疑で逮捕された村上世彰容疑者が代表を務めていた村上ファンドに、経済産業省(旧通産省)の職員が計1000万円の投資をしていたことが16日、分かった。

 関係者の話によると、投資していたのは、83年に旧通産省へ村上元代表と同期入省した10人程度で、既に経産省を退職している人物も含まれている。ファンド設立の99年以降、村上元代表を支援する意味から資金を出し合い、最低単位の1000万円にして投資した。その後配当を受け取ったが、数年して解約し、現在は投資残高はないという。

 村上ファンドをめぐっては、日銀の福井俊彦総裁が今年まで1000万円を投資していたことで批判を浴びている。経産省は昨年の裏金問題への反省から、全職員の株取引を自粛しているが、「自分の意思で売買できる株式と、取引を任せるファンドは違う」として、ファンドへの投資は禁止していない。

朝日新聞(2006年6月14日)より

福井総裁 大切な信用が傷ついた

朝日新聞(2006年6月14日)より

通貨の番人甘いワキ
村上ファンドに1000万円投資

職員の村上ファンド投資、経産次官「知らない、調べない」 06/15/06(朝日新聞)

 村上ファンド立ち上げにあたって、村上前代表が旧通産省(現経済産業省)の同僚に投資を募っていたことについて、経産省の杉山秀二事務次官は15日の記者会見で「事実関係は知らないし、調べる必要もない。ファンドへの投資は内規違反と思わない」と述べた。同省は昨年、職員のインサイダー取引や、裏金による株売買が発覚。昨年7月から1年間、全職員の株売買の自粛を決めている。

村上ファンド:日銀総裁、個人として1000万円拠出 06/13/06(毎日新聞)

 日銀の福井俊彦総裁は13日の参院財政金融委員会で、証券取引法違反容疑で逮捕された村上世彰(よしあき)容疑者が設立した「村上ファンド」に99年秋、個人として1000万円を拠出していたことを明らかにした。福井総裁は「日本のコーポレートガバナンス(企業統治)を変えていこうという志を支えるため、有志数人で1000万円ずつ拠出した」と説明した。株主としての出資ではなく、運用資金を拠出したが、数カ月前に解約を申し出て受理されたという。

 福井総裁によると、98年に富士通総研の理事長に就任した当時、通産省(現・経済産業省)に勤務していた村上容疑者と知り合った。村上容疑者が99年にファンドを設立後「『お金を集める自信がない』と言っていたので、1000万円拠出した」と説明。無報酬で同ファンドに対し総裁就任前まで、コーポレートガバナンスに限って時折、助言していたことも明らかにした。福井総裁は「運用による帳簿上の利益はきちんと申告して納税している」と述べたが、利益額は「よく分からない」と答弁。6月末に最終損益が確定するのを待って、過去の運用益を同委員会に提示する考えを示した。

 また、村上容疑者の逮捕について「ファンド設立当初は評価していた。出発点と到着点との落差があり、遺憾に思う」と語った。村上ファンドは阪神株の大量取得などを進めていたが、阪急ホールディングスによる株式公開買い付け(TOB)に応諾を表明。熱烈な阪神タイガースファンで知られる福井総裁は「生粋のファンにとって(タイガースは)心の古里のようなもの。コーポレートガバナンスとして手を出すことには強い違和感があった」と述べた。

 日銀の内規にあたる「日本銀行員の心得」では、個人的利殖行為について(1)職務上知ることができた秘密を利用した個人的利殖行為は、厳に行ってはならない(2)現担当職務と個人的利殖行為との間に直接的な関係がなくとも(中略)世間からいささかなりとも疑念を抱かれることが予想される場合には、そうした個人的利殖行為は慎まなければならない−−と定めている。株取引等についても「局長級職員は、所属長(所属長自身の場合はコンプライアンス会議の審議を経て総裁が役職員の中から定める者)に報告しなければならない」としている。福井総裁は答弁で、日銀への報告の有無に言及しなかった。

 福井総裁の道義的責任を問われた小泉純一郎首相は「それはないんじゃないですか」と答えた。与謝野馨金融・経済財政担当相は「総裁就任前に民間人として拠出したものであり、それ自体に問題はない。不適切との根拠は見出せない」との認識を示した。【野原大輔】

村上ファンド:ライブドアの捜索直後、違法性認識か 06/09/06(毎日新聞)

 証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で前代表、村上世彰(よしあき)容疑者(46)が逮捕された「村上ファンド」の首脳らが、東京地検特捜部の調べに対し「ライブドア(LD)が家宅捜索を受けた1月に、海外に拠点を移すことを決めた」と供述していることが分かった。村上前代表は5日の会見の際、直前の事情聴取で担当検事に指摘され、初めて違法性を認識したと説明したが、その4カ月以上前から対策を協議していたことになり、弁明が虚偽だった可能性がさらに強まった。

 また、4月に証券取引等監視委員会が取引記録などの書類の任意提出を求めた際、村上ファンド側は「国内に記録はない」などと回答。ニッポン放送株取引を巡る捜査・調査を予期して、着々と対策を練っていた実態が明らかになった。

 関係者によると、村上ファンド首脳らは、特捜部と証券監視委がLDへの家宅捜索に乗り出した1月16日の直後から対策を協議。ニッポン放送株の大量買い占め計画について、電子メールでLD側と連絡を取ったことなどが問題になり「メールが押収されれば危険。LDの幹部も口を割る(インサイダー取引を認める)可能性が高い」などの意見が大勢を占め、海外に拠点を移すことを決定した。

 この結果、ニッポン放送株の取得を担当した「MACアセットマネジメント」が3月、投資顧問業の廃業届を関東財務局に提出。4月になって、証券監視委に取引記録などの任意提出を求められると「シンガポールに拠点を移しており、国内には記録がない」と回答した。実際に、東京・六本木ヒルズの事務所には、同放送株取引を巡る資料は一切なかったという。

 村上ファンドは3月、シンガポールにMAC社の現地法人を設立し、阪神電鉄やTBSなどすべての保有株式を移し替えた。一方「M&Aコンサルティング」がヒルズに残り、阪神電鉄との交渉などを担当している。

村上ファンド:ニッポン放送株取得 決め手のメール判明 06/09/06(毎日新聞)

 「村上ファンド」の証券取引法違反事件で、前代表の村上世彰(よしあき)容疑者(46)が、ニッポン放送株を大量取得する意向をライブドア(LD)側から正式に聞いた04年11月8日の協議直前、LD側から送られたメールの内容が関係者の話で分かった。「3割は取れる」などと、村上前代表が提案した3分の1の大量取得が可能だとする記載があった。村上前代表がこの時点で、LD側の意向を知ったことを示すもので、東京地検特捜部は、インサイダー取引容疑を裏付ける物証と位置付けている模様だ。

 このメールは、同放送株の取得を担当していたライブドア証券担当幹部(30)から、村上ファンドの女性担当者にあて、04年11月5日に送られた。「月曜のmtg.についてだけど、戦略的な話になる。こちらは3割は取れる」などと記されていた。「月曜」は3日後の11月8日▽「mtg.」はミーティング▽「3割は取れる」はLDが取得目標を達成できることを示すものとみられる。

 11月8日の会合には、村上ファンド側から村上前代表のほか、▽滝沢建也・M&Aコンサルティング副社長(45)▽メールを受け取った女性担当者、LD側からは▽前社長の堀江貴文(33)▽前取締役の宮内亮治(38)▽ライブドアファイナンス前社長の中村長也(38)各被告=いずれも証取法違反で起訴=らが出席。LD側が同放送株の3分の1を取得する意向を正式に伝えていた。

 これに先立つ04年9月15日、村上前代表が堀江前社長や宮内前取締役と面談し、3分の1取得を提案。LD側の試算で600億円の資金が必要とされ、9月22日に「200億円程度の資金調達は可能になった」などと村上前代表側に伝えたことが既に判明している。

 その後も、LD側から資金調達について連絡があり、それまで堀江前社長に不安感を持っていた村上前代表は、10月20日から安心して同放送株を大口で買い増しするとともに、11月8日の協議をセットしたとされる。

 村上前代表は04年11月8日の協議の翌9日〜05年1月26日、LDの大量取得の意向を事前に知ったうえで同放送株193万余株を買い付けたとして、インサイダー取引容疑で逮捕された。

村上容疑者、ライブドアの資金計画を04年9月に把握 06/08/06(読売新聞)

 「村上ファンド」によるインサイダー取引事件で、元代表の村上世彰容疑者(46)が2004年9月、ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)らから直接、ニッポン放送株の買い占め資金を準備すると伝えられていたことが分かった。

 同事件では、ライブドアによる同放送株大量取得という未公表の重要情報を村上容疑者が把握した時期が焦点となっている。東京地検特捜部は、このやり取りを村上容疑者が内部情報を知った最初の場面として重視しており、インサイダー取引の不正利益は実際には逮捕容疑で認定した約30億円より多い約50億円に上るとみている。

 関係者によると、村上容疑者は04年9月15日に堀江被告らと面会し、ニッポン放送株について、「3分の1を買えば、自分の分と合わせてニッポン放送の経営権をとれる。ライブドアが議決権を行使する際には協力する」などと買い占めを提案した。堀江被告らは「部下に指示し、買い占めのための資金調達の準備をする」と応じ、子会社のライブドアファイナンス前社長・中村長也被告(38)の名前を挙げて資金調達させることを約束。実際の資金調達は、中村被告とは別のグループ幹部らが担当したという。

 村上容疑者は04年11月8日、堀江被告らから資金調達の準備が整ったことを正式に伝えられ、翌9日〜05年1月26日までに193万株を買い集め、高値で売り抜けて約30億円の利益を上げた疑いが持たれている。

 特捜部は、村上容疑者が、堀江被告らが株買い占め資金の調達を決めたことを知った時点で、ライブドアの内部情報を入手したとみている。村上容疑者が04年9月15日以降、05年1月26日までに買い集めた同放送株は計251万株あり、これを合わせると不正利益は約50億円に上る。

 村上容疑者は遅くとも03年ごろから、同放送株の購入を進めており、04年9月より前の購入分を含めると、100億円前後の利益を上げたとみられている。

朝日新聞(2006年6月8日)より

退場 村上ファンド
「反面教師」厳格化招く

朝日新聞(2006年6月8日)より

行き行きて 村上ファンド摘発
市場改革、理想・・・何のため?

村上ファンド:村上前代表「この株主は売る」堀江氏に助言 06/07/06(毎日新聞)

 証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された「村上ファンド」前代表の村上世彰(よしあき)容疑者(46)が04年11月8日、ライブドア(LD)前社長の堀江貴文被告(33)=証取法違反で起訴=らと会談した際、ニッポン放送の株主名簿を示し「この株主は売ってくれる」などと助言していたことが分かった。村上前代表は助言により、LDの同放送買収劇を演出し株価をつり上げたうえで、自社で保有する同社株を確実に高値で売り抜ける狙いがあったとみられる。

 東京地検特捜部の調べによると、村上前代表は04年9月15日、部下とともに堀江前社長やLD前財務担当取締役の宮内亮治被告(38)=同=と面談。ニッポン放送株の3分の1の取得を持ち掛け「自分が既に持つ株は17%。議決権行使で協力すればニッポン放送を手に入れられるし(当時子会社の)フジテレビも支配できる」と説明したことが分かっている。これらは、村上ファンドの保有する同放送株を高値で売り抜けるための「仕掛け」だったとされる。

 その後、同年11月8日に堀江前社長らと再び会談。宮内前取締役が「やりましょう」と大量取得の意向を伝えていた。

 新たに判明したのは、この席に村上前代表がニッポン放送の株主名簿を持参し、助言したこと。「この投資家(株主)とこの投資家(同)は売ってくれる」などと詳細に説明した上で「そうすればフジだって手に入る」と改めて述べ、同放送株の大量取得を確実に行うよう強く促していた。

 村上前代表は逮捕直前の5日午前の記者会見で「宮内さんから(大量取得の意向を)聞いてしまった」と説明したが、特捜部は「過失犯のように言っているが全く事実と違う。当初から売り抜けによる利益確保を意図していた」との見方を強めている。

村上ファンド:ニッポン放送株、楽天にも売却画策 06/07/06(毎日新聞)

 証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された「村上ファンド」前代表、村上世彰(よしあき)容疑者(46)が、ニッポン放送株の取得をライブドア(LD)に持ち掛ける前、楽天に買い取りを働き掛けていたことが分かった。これは実現せず、LDとフジテレビをてんびんに掛けた末、最後は「持っている株は売らない」というLDとの約束をほごにし、市場で高値売却していた。当初から利益確保を狙っていた村上前代表によるニッポン放送株売り抜けの全容が判明した。

 東京地検特捜部の調べによると、村上ファンドは04年夏ごろ、既に発行済み株式の10%以上を保有していた同放送株の売り抜けに苦慮。同年7月、ニッポン放送に企業価値向上や株買い取りの圧力を強めるとともに「ストラテジック・バイヤー」(SB=買収に伴う相乗効果など事業戦略に基づいて買収を行う企業買収者)への働き掛けを強めて、高値売却を図る方針を固めた。

 これに基づき同月28日、SBの一つである楽天に対する働き掛けを取締役会で正式決定し、実際に要請したという。しかし、同社による買い取りは実現しなかった。

 このため同年9月15日以降、LDに対する一連の働き掛けを始めた。同年11月にはフジテレビによる同放送株の公開買い付け(TOB)情報も入手。両社をてんびんに掛けた末、翌05年1月17日にフジが公表したTOBの買い付け価格(5950円)が予想以上に安かったため、2月8日、LD側に保有株の10%を6050円で売却した。

 残りの株は、LDがニッポン放送への議決権を行使する際に協力するため、売却しない約束だったにもかかわらず、LDの大量買い付けで同放送の株価が高騰したため、約束をほごにして高値で売り抜けていた。

 インサイダー取引に問われた04年11月〜05年1月のニッポン放送株の追加購入分は193万余株で、この売り抜けにより村上前代表側は30億円以上の利益を得ていた。だだし、実際にはこの193万余株を含め、保有していた約640万株のうち526万余株を05年2月末までに売却しており、売り抜けによる利益の総額はさらに膨れ上がるとみられる。

新しい時代の幕開け。以前は、日本では隠れて悪いことをしてきた感じがする。 「金もうけ、悪いことですか」と公然と言える時代。そして、日本が法律や規則を 見直す時代になってきた。モラルなんで綺麗ごと。罰則がない、取締りが緩ければ、 違法行為をしたものが得。

ライブドアの時と同じであるが、注目を受けたから、処分するのはおかしい。 悪い奴らはたくさんいる。隠れて悪いことをするものが得をしていると思える。

検察のパフォーマンスなのか、力があるものからの制裁なのか? 日本人であるから、処分されたのか?疑問はいろいろとある。日本にこだわりがないのなら 海外に籍を移して、外国人としてビジネスをするのがベストなのかもしれない。

村上代表「金もうけ、悪いことですか」 つきまとう酷評 06/06/06(朝日新聞)

 「もうけようと思ったのではない」

 5日午前。突然開いた記者会見で、数時間後に容疑者となる村上ファンドの村上世彰代表は、ニッポン放送株の取得がインサイダー取引にあたることを認めて謝罪しつつ、こう釈明した。

 だが、会見が熱を帯びるにつれ、相矛盾するような言葉が飛び出す。

 「金もうけ、悪いことですか」

     ■

 99年に通産官僚からファンド運営に転身。00年1月に、日本人初の敵対的株式公開買い付け(TOB)を不動産・電子部品会社の昭栄に仕掛け、02年5月の東京スタイルの株主総会では、株主の支持を求めて派手な委任状争いを繰り広げた。

 ファンドの一貫した理念は、株主にとっての企業価値の向上だ。その実現のため「モノ言う株主」として大幅増配や自社株買いによる株価向上策を求め、「会社は株主のもの」という米国的価値観を社会に広めた。

 昭栄の経営陣は、村上代表からの圧力で経営改革が進み、格段に収益力が増したと認める。村上代表に共鳴し、社外取締役に招いたシステム開発会社ソフトブレーンの宋文洲会長は「日本のコーポレートガバナンス(企業統治)向上に貢献したのは確か。事件で他のモノ言う株主が萎縮(いしゅく)しないか心配だ」と話す。

 だが、企業の経営規律を高めたという声の一方、酷評もつきまとう。

     ■

 04年7月に村上代表が「株を買った」と伝えた明星食品。日清食品との合併や資産売却などを提案した揚げ句、年間利益を上回る大幅な増配を手にした直後に全株を売り抜けた。永野博信社長は「高圧的な口ぶりで繰り返し『株主の権利』を求められた。まるで暴力団だ」。

 大阪・梅田の不動産売却を求められた阪神電気鉄道。統合を決めた阪急側の関係者は「売却で巨額の配当や株の値上がり益を得られれば、投資家の利回りは上がるが、企業はやがてぼろぼろになる」と、村上手法に冷ややかな目を向ける。

 05年秋には、株を大量保有したTBSに「共同経営」をちらつかせて株の買い取りを求める一方、楽天など新興企業にも水面下で購入を勧め、株価が上がった時点で売り抜けた。株式の大量保有情報の開示義務が緩いなど、ファンドへの特例制度を巧みに使って株を買い集め、突然大株主として要求を突きつける手法にも批判がある。

 「会社乗取り」などの著作がある経済評論家の佐藤朝泰氏は「全株主のためと言いながら、やり口は昔ながらの乗っ取り屋と変わらない」と指摘する。村上代表の主張と高利回りに引かれ、運用を委託した大手企業は最近、「乗っ取り屋のイメージが強くなった」として契約を解除した。

     ■

 「日本を良くするなんてNGO(非政府組織)ででもやってくれ。調子にのるな」。東京スタイルの委任状争いで負けた後、投資家からこう罵倒(ばとう)され「利益追求こそがファンドマネジャーとしての自分の職業と決意した」。村上代表は最近、周辺に語ったという。

 高邁(こうまい)な理念と利益最優先の行動。自らのファンドが巨大化するなか理念が薄らいだのか。元々理念は手段に過ぎなかったのか。事件で証券市場からの「退場」を宣言した男の真実は見えないままだ。

村上ファンド:「もうけたから嫌われた」村上代表語録 06/06/06(毎日新聞)

 村上ファンド代表、村上世彰容疑者は、00年の「昭栄」の買収で表舞台に登場して以来、容疑となったニッポン放送、大阪証券取引所、阪神電鉄、TBSの株式の大量取得などで話題を呼んだ。村上代表の発言をまとめた。

 「メーンバンク制から株主主体の経営へ」(00年1月24日、昭栄株のTOB発表で)

 「企業が最大の利益を上げ、株主にリターンをもたらし、税金をたくさん払わなければ国も成り立たない。こんな考えに(旧)通産官僚時代に目覚め今の仕事を始めた」(00年1月、毎日新聞のインタビューで)

 「全面的な敗北。自分の考えるマーケットと現状に開きがあった」(02年5月23日、筆頭株主として臨んだ東京スタイルの株主総会で、提案した全議案を否決され)

 「もうけたいから活動している。夢は特に何もない。楽しく生きることができればそれでいい」(02年6月、毎日新聞のインタビューで)

 「市場に重大な悪影響を与えかねない」(05年2月25日、ニッポン放送がフジテレビに新株予約権を発行する方針を表明したことを受け)

 「経済の活性化に極めてマイナス」(05年4月20日、衆院法務委員会に参考人として出席し、株式の持ち合いを批判)

 「今後の改革で株主価値を損なった場合、株主代表訴訟も考える」(05年5月24日、西武鉄道の臨時株主総会後に)

 「得をしたのは日本。こんなことをまじめに考えてこなかった国なんてほかにない」(05年6月24日、和解後初めてのニッポン放送の株主総会後、記者団に対し)

 「不認可は金融庁の裁量行政だ。何回でも再申請し直す」(05年8月17日、大阪証券取引所株を20%以上取得する認可を認めない金融庁を批判して)

 「プロ野球にはダーティーな面がある。クリーンな面を出してファンの気持ちをつかむには、上場を一つの選択肢として考えればいい」(05年10月8日、阪神電鉄の筆頭株主として球団上場案を提案後、山口県内の講演会で)

 「ファンを対象に(球団)上場の是非を問う投票を実施したい」(05年10月11日、阪神電鉄の西川恭爾社長とのトップ会談で)

 「TBSに横浜ベイスターズの売却や自社株買収を提案した」(05年10月14日、報道各社のインタビューに答え)

 「この国にはプライバシーがないのか」(06年5月31日、中部国際空港で帰国を待ち受けていた報道各社に)

 「(検察当局は)宮内さんが『そらいけ、やれいけ、ニッポン放送だ』というのを聞いちゃったでしょう、と。聞いちゃったと言えば、聞いちゃっているんですよね」「皆さんが僕のことがすごい嫌いになったのは、むちゃくちゃもうけたからですよ。2000億(円)くらい、もうけたんではないでしょうか」(06年6月5日、逮捕直前の会見で)

村上ファンド:シンガポール当局が調査の可能性も 06/06/06(毎日新聞)

 シンガポール通貨庁(中央銀行に相当)の広報担当者は5日、同国に本拠を置く村上ファンドの代表、村上世彰容疑者が逮捕されたことに関連し、今後、同ファンドの調査に乗り出す可能性を示唆した。

 担当者は「ファンドに不正が見つかった場合、適切な措置を取ることができる」と指摘。ニッポン放送株売買をめぐるインサイダー取引容疑がシンガポールへの移転前であることから、法令違反の疑いがある取引行為を故意に隠して移転申請したのかなどが調査着手のポイントとなりそうだ。

 同国金融界では「信用失墜は不可避」(地場証券)との見方が広がっており、3月の移転からわずか3カ月で同ファンドは厳しい局面を迎えた。

 ただ、今回の容疑は日本国内で浮上、現地で本格的な資金運用をまだ手掛けていないとみられており、関係者は「シンガポール市場が影響を受けることはない」(欧州系投資ファンド)との見方で一致している。

 同国最大の繁華街オーチャード・ロード沿いの高層ビルにある村上ファンドは同日、電話取材に「何もお答えできない」と繰り返した。ビルに入ろうとする報道陣を警備員が強く制止、押し問答となるなど一時緊迫した雰囲気となった。(共同)

村上代表、インサイダー容疑認める 5日午後にも逮捕 06/05/06(読売新聞)

 ニッポン放送株の売買をめぐって、インサイダー取引が取りざたされている村上ファンド代表の村上世彰氏(46)は5日、東京証券取引所で会見を開き、容疑を大筋で認めた。「認識が甘く、罪を犯してしまった」と謝罪した。東京地検特捜部は同日午前、村上氏の立件に向け、最高検など上級庁と最終的な協議を行った。同日中にも証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で関係先の一斉捜索に乗り出すとともに、村上氏を同容疑で逮捕する。

 村上氏はこれまで、特捜部の任意の取り調べに対し、容疑を否認してきたが、4日夜になって、大筋で認める意向に転じ、その旨の検事調書にも署名した。

 村上氏が会見で説明したところによると、04年9月15日にライブドア(LD)前社長の堀江貴文被告(33)とLD前取締役の宮内亮治被告(38)に会った際、村上氏は「ニッポン放送はいいよ。僕は一生懸命株を買うからあなたも少し買ってくれるとうれしいな」と話した。

 同年11月8日には堀江、宮内両被告らが村上氏のもとを訪れ、「ニッポン放送はいいですね。経営権が取得できたらいいですね。僕らもお金を準備するから」と言ったといい、村上氏は実現の可能性を疑いながら「へえー、全部欲しいんだ」と頭にとどめたという。

 その後、翌05年1月6日になって堀江、宮内両被告らと再び面談。LD側から「もしニッポン放送株の公開買い付けをしたら村上さんは協力してくれますか」「経営権が欲しい」などと言われたという。

 村上氏は、検察側から、公開買い付けをしたいと聞いたことなどが5%以上を買い集めることの準備に当たると言われたと説明。「(LD側から)聞いちゃったかと言われれば聞いちゃった」と述べ、12月から1月にかけて同ファンドが同放送株を買い続けたことがインサイダー取引にあたることをほぼ認めた。

 村上氏は、3日までの任意の事情聴取では、容疑を否定。LDが5%以上の同放送株を買うことを認識したのは05年1月末だったことや、同2月3日には村上氏本人が社内に同放送株を買わないよう文書で注意喚起したことなどを説明していた。

 特捜部は3月に堀江前社長らを起訴した後も、ニッポン放送株の大量取得の経緯について分析を進めてきた。その結果、LD元幹部から「04年12月に村上氏がLDに同放送株買収を持ちかけた」とする供述を得た。さらに、LDを巡る事件の捜査で押収したLD元幹部らのメールに同放送株取得に関したやりとりが一部記されていることがわかったという。

「プロ中のプロとしてミス」村上氏、悔しさにじむ会見 06/05/06(読売新聞)

 「聞いちゃったから、仕方がない」――。ニッポン放送株を巡るインサイダー取引疑惑で、東京地検特捜部の強制捜査が迫る中、「村上ファンド」を率いる村上世彰氏(46)が5日午前、東京証券取引所で異例の会見に臨んだ。

 「僕が作ってきたものを全部失うのか」と悔しさをにじませつつ、ニッポン放送株の買い占めという内部情報を聞いていたことを認め、謝罪した村上氏。「村上という名前は二度と出ない」と、投資活動の一線から“退場”することを明かした。

 村上氏は午前11時前、グレーのスーツに水色のネクタイ姿で、東京証券取引所3階の会見室に登場。

 「(ライブドア側から)『ニッポン放送株いいな』という話を聞いちゃったことが、私にとってのインサイダーじゃないか、ということだった。そんなバカなと思った」。村上氏は東京地検が証券取引法違反容疑で捜査していることを耳にした時の心境をこう表現した。

 しかし、その後、「構成要件を考えると、証券取引法にかかるかもしれないし、かからないかもしれない」「(検察と)争い続けることが僕に投資してくれた人のためになるのか」と思い悩んだことを吐露。

 最終的に「認識が甘かった点について、私自身が罪を認めることが私のやるべきこと」と判断し、昨日、同地検に「検事さんのおっしゃる通りかもしれない」と容疑を認めたことを明かした。

 「証券取引のプロ中のプロとしてミスがあった。本当に申し訳ありません」。村上氏はそう述べて立ち上がり、2度深く頭を下げた。

 引き続いて、村上氏は自身の進退について言及。「私はこの世界に役所を辞めて飛び込んで、株式市場をまっとうにしていく人間と思っていた」とこれまでの活動に自負をのぞかせながら、「証券取引法という、証券取引の憲法のような法律を犯してしまった以上、この世界に居続けるのはおかしい」「基本的に今日をもってこの世界から身を引く」と“引退宣言”した。

 ただ、「私の持っていた会社は、もし、従業員が引き続きやっていただけるなら、株も含め全部譲ろうと思います」と、自身の投資ファンドの存続にこだわりも見せた。

インサイダー取引:村上代表を逮捕 事前に株取得情報 06/05/06(毎日新聞)

 東京地検特捜部は5日午後、「村上ファンド」代表、村上世彰(よしあき)容疑者(46)を証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕した。ライブドア(LD)によるニッポン放送株大量取得の情報を事前に知ったうえで04年11月〜05年1月、同放送株193万余株を違法に買い付けた疑い。村上代表は同日午前に記者会見しインサイダー取引を認めたが、特捜部は全容解明のため逮捕は不可欠と判断した。LD前社長、堀江貴文被告(33)=証取法違反で起訴=に続き、証券市場を騒がせた「時代の寵児(ちょうじ)」の刑事責任が問われる事態に発展した。

 調べによると、村上代表はLD側から04年11月8日、ニッポン放送株の発行済み株式の3分の1を大量取得する意向を聞かされながら、翌9日〜05年1月26日、同放送株計193万3100株を違法に買い付けた疑い。証取法では5%以上の株式取得を公開買い付け(TOB)に準じる行為と規定し、その情報を事前に知ったうえで株式を購入することを禁じ、違反すれば3年以下の懲役か300万円以下の罰金と定めている。

 村上代表はこれに先立ち04年9月15日、既に買い進めていたニッポン放送株の処理に困り、堀江前社長や前財務担当取締役の宮内亮治被告(46)=同=に、一緒に同放送株を取得するよう要請。この際、「村上ファンドで17%持っているので、LDで3分の1(約33%)取得すれば同放送を手に入れられる。ひいてはフジテレビも支配できる」と持ち掛けた。

 これを受け、LDでは資金繰りを検討したうえ、11月8日に宮内前取締役らが正式に応じた。特捜部は、これ以降の村上ファンドによる株購入が、TOB情報を得たうえでのインサイダー取引に当たると判断した。

 村上代表は5日午前、東京証券取引所で記者会見し「宮内さんから『やりましょう』聞いたのは事実。証取法違反の構成要件にあたる」と認め、「プロ中のプロとしておわび申し上げたい」と謝罪した。

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