シンドラーエレベータ死亡事故&その他の関連問題

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法とは別に日本の社会が下した処分の結果とも言えるだろう。

実際は、既存のシンドラーエレベータの対応や整備がもっとずさんになるだろう。ビルやマンションは長く使われるもの。変更や交換が簡単に出来ないものに関しての 選択は重要と言う事であろう。

関係ない話であるが、今後、東芝の白物家電は売上げが落ちるのでは?やはりアフターサービスに不安がある製品を選ばない人達はいると思うので!

シンドラー社、日本から事実上撤退へ 04/06/16(朝日新聞)

 シンドラーエレベータ(東京都)は5日、エレベーターやエスカレーターのサービス事業を日本オーチス・エレベータ(同)に売却すると発表した。

 シンドラー(スイス)は日本での事業から事実上撤退する。

 シンドラーは、日本での点検や修理などの事業と、社員約390人を、日本オーチスと設立した新会社に移す。年内にも新会社の全株式は日本オーチスに売却する。金額は非公表。

 シンドラーエレベータを巡っては、2006年に東京都港区で高校生が同社製エレベーターに挟まれ死亡する事故があった。その後、日本での販売は停止していた。日本法人自体は存続し、事故に関わる捜査や訴訟に引き続き対応する。

裁判になると本当に長い!9年も前の事故。

シンドラー事故、元課長に禁錮1年6カ月求刑 東京地裁 12/16/14(朝日新聞)

 東京都港区で2006年、高校2年生の市川大輔(ひろすけ)さん(当時16)が死亡したエレベーター事故で、業務上過失致死の罪に問われた「シンドラーエレベータ」(東京都江東区)の元課長ら4人の公判が16日、東京地裁であった。検察側は論告で、製造元のシンドラー社の元保守第2課長・原田隆一被告(46)に禁錮1年6カ月を求刑した。「事故を予想できたのに回避する義務を怠った」と指摘した。

 また、被害者が高校生だったことから、「尊い生命が奪われた結果は重大だ」とも主張した。検察側は、保守点検業務を担当していた会社の幹部ら3人についても、禁錮1年6カ月〜1年2カ月を求刑した。来年2月に弁護側が最終弁論し、結審する。判決は来夏にも言い渡される見込み。

 事故は06年6月3日に発生。扉が開いたままエレベーターが上昇し、降りようとした市川さんがエレベーターの床と外枠の間に挟まれて死亡した。

 起訴状によると、原田被告は、事故を起こしたエレベーターが04年11月に故障した際の点検を担当。回線がショートしてブレーキの摩耗が進む状態だったのに、原因を十分調べずに再発防止策をとらなかったとされる。

エレベーター落下、保守管理会社の4人書類送検 03/19/12(読売新聞)

 東京メトロ有楽町線・副都心線の平和台駅(東京都練馬区)で昨年7月、エレベーターが落下した事故で、警視庁は19日、エレベーターの保守管理を担当していた「三菱電機ビルテクノサービス」(本社・荒川区)練馬営業所の所長(50)や担当者ら4人を業務上過失傷害容疑で東京地検に書類送検した。

 同営業所がワイヤロープのさびを放置したことが、原因だったと判断した。

 送検されたのは、同営業所長のほか、エレベーターの管理を担当していた同営業所の係長(47)と元係長(42)、保守担当者(38)の3人。

 発表によると、4人は、同駅地下1階と地上を結ぶエレベーター(定員11人)の金属製ワイヤロープ3本(直径1センチ)がさびているのに気付きながら放置。昨年7月26日午後3時頃、ロープの切断でエレベーターを落下させ、乗っていた女性(52)に腰の打撲など2週間のけがを負わせた疑い。

 ロープは2007年3月に交換していたが、10年9月の同社の検査担当による定期検査で3本ともさびていることが発覚。交換を指示されたが放置したという。

 4人は調べに対し容疑を認め「交換時期の判断を誤った」などと供述している。一般的にロープ交換の目安は3年とされているという。

 同社広報室は「書類送検された事実を重く受けとめ、再発防止に向けて全力をあげています」とコメントした

エレベーター事故:保守点検の社員らを書類送検…警視庁 03/19/12(毎日新聞)

 東京メトロ有楽町線・副都心線平和台駅(東京都練馬区)でエレベーターが急降下し乗っていた女性(52)が軽傷を負った事故で、警視庁捜査1課は19日、エレベーターを保守点検していた三菱電機ビルテクノサービス(荒川区)の東京支社練馬営業所長(50)ら社員4人を業務上過失傷害容疑で書類送検した。破断したロープは事故の4カ月前までの交換を求められており、捜査1課は所長らが放置していたことが事故につながったと判断した。

 事故は11年7月26日午後3時ごろ発生。平和台駅の地下1階と地上を結ぶエレベーターが上昇中、かごをつるすロープ3本すべてが破断した。かごは急降下したが、安全装置が作動して高さ3メートルの地点で緊急停止した。

 捜査1課によると、ロープは10年9月の同社による法定検査で11年3月までの交換を指示されていたが、所長は担当者に任せきりにしていたという。4人は「ロープを交換するための意思疎通がうまくいかなかった」などと容疑を認めているという。

 三菱電機ビルテクノサービス広報室は「業務遂行に問題があった。書類送検を重く受け止め、再発防止に全力を挙げている」とコメントした。【内橋寿明】

エレベーター 相次ぐ事故で対策指導を強化 厚労省・国交省 02/06/12(産経新聞)

 ビルの荷物用エレベーターが着いていないのに乗ろうとして、誤って転落する事故が相次いでいる。エレベーターの施錠装置の不具合など構造上の欠陥が発覚するケースもあり、厚生労働省や国土交通省は指導を強化している。

 東京都新宿区のビルで、平成21年2月16日、1階のエレベーターがかごがない状態で扉が開き、出前にきた近くのそば店経営の男性=当時(74)=が約5メートル下に転落して死亡する事故が発生。警視庁は業務上過失致死の疑いで、ビル管理会社や製造元を家宅捜索した。

 また、同月、兵庫県姫路市の食品製造会社で従業員の女性が転落して死亡。東京都北区の特別養護老人ホームでも同年10月、ボランティアの女性が配(はい)膳(ぜん)台とともに約4・5メートル下に転落した。

 相次ぐ事故を受けて厚労省が実態調査したところ、18〜20年に荷物用エレベーターの労災事故による死者は37人、けが人は毎年200人以上に上ることが判明している。

エレベーター転落、10年耐用のフックを34年間交換なし 02/18/09(読売新聞)

 東京都新宿区信濃町の「帝都典礼ビル」で、近くのそば店店主塚田敏雄さん(74)がエレベーター内の地下1階床に転落して死亡した事故で、保守管理を行う「三精輸送機」(本社・大阪府吹田市)が18日、都内で会見し、1975年に管理を請け負って以降、手動式扉の安全装置を交換していなかったことを明らかにした。同装置に何らかの不具合が生じて事故を引き起こした可能性があり、警視庁は、業務上過失致死容疑も視野に同社関係者から事情を聞いている。

 会見した三和正明社長ら同社幹部によると、このエレベーターは、手動式扉の上部に扉の開閉を防ぐための安全装置(フック)が設置され、かご本体が到着した階だけ、フックが機械的に外れて開閉が可能になる仕組み。鉄製のフックの耐用年数は10年だが、同社で事故後に記録を点検したところ、少なくとも75年以降の34年間、交換したとする記録がなかったという。

 同社子会社の今月4日の点検では、安全装置は正常に作動していた。だが、事故当時、かご本体が5階に停止していたのに、1階の手動式扉は開いていた。

 安全装置を交換しなかった理由について三和社長は、「月2回の目視点検で部品の異常が確認されなかったため」と説明した。

駅エスカレーター事故、同型機を点検へ…国交省指示 05/12/07(読売新聞)

 名古屋市営地下鉄久屋大通駅で日本オーチス・エレベータ社製のエスカレーターが停止、逆行して11人がけがをした事故で、国土交通省は12日、駅などに設置されている同型の65基について、鉄道事業者などに緊急点検を指示した。

 設置場所は、都営地下鉄の光が丘、練馬、都庁前駅(計29基)、都内を走る新交通システム「ゆりかもめ」の芝浦ふ頭、青海駅(計4基)、名古屋市営地下鉄の久屋大通、桜山、野並駅(計18基)など。この事故では、ステップを駆動させるモーターなどを載せた鉄製台座の固定ボルト6本のうち5本が折れており、今回の点検では同様の折損や損傷の有無などの確認を求めた。

 国交省によると、同型機では、ゆりかもめの芝浦ふ頭駅の1基でも以前、同様に台座のボルト2本の折損が見つかっているという。

エレベータ事故の時から思っているが、国土交通省の対応能力や判断能力には問題がある。 「国土交通省は『オーチス社から1年前の件も含めてエスカレーターの補強修理を したという報告は受けていない』としている。ただ、補修の場合は法令上の報告義務はなく、 情報の提供も通常は求めていないという。」

法に改正の必要性があると思うなら、改正しろ!これだから国土交通省はだめなんだ。 道路のことばかり考えているのか?それとも天下りのことばかり考えているのか?

オーチス社の補強不備が原因か エスカレーター事故 12/18/07(朝日新聞)

 名古屋市営地下鉄で9日に乗客の転倒事故が起きたエスカレーターを、製造元の日本オーチス・エレベータ(東京都中央区)が昨年9月に補強工事していたことが、名古屋市交通局などの調査でわかった。エスカレーターが逆走したことで乗客11人がけがをしたが、同局はこのときの補強が十分でなかったことが被害が広がった原因との見方を強めている。

 同じように補強不足のエスカレーターがあれば同種の事故が起きかねない可能性も出てきた。

 安全面から通常エスカレーターは何らかの原因で緊急停止してもブレーキがかかる仕組みになっている。しかし、9日の事故では緊急停止後にエスカレーターが逆走し、乗客が次々に重なるように倒れた。

 同局などによると、ブレーキをかける制御装置の鉄製台座を固定するボルト4本のうち3本が折れ、台座自体がずれていた。そのためブレーキが十分に作動せず、乗客の重みで制御ができずに逆走したと同局はみている。

 89年に設置されたこのエスカレーターについては同社から昨年9月に「ほかの同型式のエスカレーターでボルトが折れる事例があったので調べさせて欲しい」との連絡があって2本が折れていたのが見つかり、直後に鉄製の金具などで補強した。市の照会に同社はその事例について場所も内容も明かさなかったという。

 一方、名古屋市営地下鉄で使用されているほかの18基の同型式のエスカレーターも同社がこのときに点検したが、異常は見つからなかった。

 同社の広報室は「場所は言えないが、同型式のエスカレーターでボルト1本が破損する事例があり、名古屋市営地下鉄のエスカレーターも調べた。同型式が国内にどれだけあるかは調査中で、名古屋以外も当時点検したかどうかは広報室で把握していない」としている。

 国土交通省は「オーチス社から1年前の件も含めてエスカレーターの補強修理をしたという報告は受けていない」としている。ただ、補修の場合は法令上の報告義務はなく、情報の提供も通常は求めていないという。

大沢工業のエレベーター、152基に弱い鋼材…国交省発表 12/18/07(読売新聞)

 国土交通省は18日、富山市のメーカー「大沢工業」が製造したエレベーター計152基に、設計よりも強度の弱い鋼材が使用されていたと発表した。

 同社は建築基準法上の強度は満たしていると説明しているが、同省では同社を厳重注意するとともに、都道府県などに強度を確認するよう指示した。

 強度の弱い鋼材が使用されていたのは、2002年4月〜今年12月に製造され、15都府県に設置されたエレベーター計152基。大半は家庭用という。

 同省と富山県によると、大沢工業はロープの巻き上げ機を支える部品やかごの下枠などを下請けメーカーに製造委託した際、鋼材の種類を明確に指定しなかったため、設計の3分の2程度の強度しかない鋼材が使用されたという。防火地域などの戸建て住宅にエレベーターを設置する場合は建築確認が必要だが、同社は一部でこの手続きも怠っていた。

 この問題は富山県への匿名の通報をきっかけに発覚しており、国交省ではメーカー各社に弱い鋼材が使用されていないかどうか再調査するよう指示した。

サブ・スタンダード船と旗国の関係サブ・スタンダード船と検査会社 を参考すると何かが見えてくる。エレベーターについて言えば、旗国=日本(国土交通省) の監督やチェックに問題がある可能性がある。チェックや処分が甘ければ、違反や不備の見逃しが 横行する。たぶん、 企業の意識・対応が現状を反映していると思う。

推測で上記のようなことを書いたが、かなり当たっていると思えてきた。

東芝製エレベーターに設計より弱い鋼材、学校などに設置 10/19/07(読売新聞)

 国土交通省は19日、2000年11月〜今年9月に製造された東芝エレベータ(東京都品川区)製エレベーター423基について、ワイヤロープの巻き上げ機を支える部材に設計より強度の弱い鋼材が使用されていたと発表した。

 フジテック製エレベーターの強度不足発覚を受けた調査で明らかになった。東芝エレベータは、いずれも建築基準法上の強度基準は満たしているとしているが、同省では同社を厳重注意するとともに、都道府県などに、強度を確認するよう指示した。

 同省によると、エレベーターの設置場所は、オフィスビルや小中学校が多く、病院や駅舎も含まれている。

 問題の鋼材は、部材製造の再委託を受けた機械部品製造業「錦中央工業」(東京都立川市)が東京都内の鋼材卸売会社に発注したもので、東芝エレベータの指定した鋼材に比べ3分の2程度の強度しかなかった。東芝エレベータも検査証明書などで指定通りの鋼材かどうか確認していなかった。

 錦中央工業では、「問題の鋼材は指定された鋼材より入手しやすかった。担当者の知識不足で同等の強度があると思い込んでいた」と説明。東芝エレベータは「鋼材の確認が不十分だった。品質管理の向上を目指したい」としている。

 フジテックの問題発覚後、三菱電機製1236基、日立製作所製256基でも強度の弱い鋼材の使用が判明している。

朝日新聞(2007年9月28日)より

定期検査基準明確に

エレベーター遊戯施設など国交省、制度見直しへ

フジテック製エレベーターで7人閉じ込め、滑車溝が摩耗か 09/26/07(読売新聞)

 広島市南区の市営住宅(9階建て)で今月16日、フジテック(滋賀県)製エレベーターが停止階にきちんと止まらず、7人が閉じ込められる事故があり、国土交通省は26日、ワイヤロープを動かす滑車の溝が摩耗していたためにロープが滑って起きた疑いが強いと発表した。

 同社は6月の定期点検では、滑車を含めて「異常なし」と広島市に報告しており、同省は、「点検が不適切だった」として同社が管理する全国の約3万基について滑車の緊急点検を指示した。

 滑車の溝の摩耗については、堺市で9月12日にシンドラーエレベータ(東京都)製のエレベーターが約2メートル降下し、9人がけがをした事故でも事故原因となった疑いが強いとみられている。

 16日の広島市での事故は午前8時過ぎ、住民7人が乗ったエレベーターが4階から1階に向かったものの、1階を通り過ぎ、1階床から約47センチ下がった位置で停止した。7人は約20分間閉じ込められたが、けがはなかった。同省によると、滑車の円周部には溝が刻まれ、ロープは溝にはまった状態で滑車の回転に伴って動く仕組みだが、フジテックで調べたところ、溝が同社の基準を超えて摩耗しており、溝の中でロープが滑りやすい状態になっていたことが判明した。

死亡事故後、シンドラー社エレベーターに重り…区に未報告 09/21/07(読売新聞)

 シンドラー社製のエレベーターに昨年6月、高校生が挟まれて死亡した東京都港区の区民向け住宅「シティハイツ竹芝」で、同社が昨年9月末から約2か月間、事故機隣の同社製エレベーターの天井の上に約140キロの鉄板を重りとして載せて運行していたことが、港区の調査でわかった。

 同社は振動を抑えるための措置と説明しているが、区は「事故による住民の動揺が続いている時期に、区に報告もなく重りを載せたのは遺憾だ」としている。

 区によると、区が今年7月、事故原因を究明するため独自調査を始めた際、エレベーターの天井の上に鉄板があるのを見つけ、取り除いた。同社に問い合わせたところ、「昨年9月27日に振動を抑える目的で置いた」と説明したという。同社は、工事のため昨年11月20日に運転を停止するまで重りを載せて使用しており、停止後もそのままにしていた。

 振動を抑える重りを置く行為自体は応急処置として行われるケースがあるとされるが、区は「相談もなく勝手に重りを載せるのは問題だ。地震で落下すれば、別の事故につながる危険性もあった」としている。

 一方、同社は「顧客情報にあたり、コメントできない」としている。

サブ・スタンダード船と旗国の関係サブ・スタンダード船と検査会社 を参考すると何かが見えてくる。エレベーターについて言えば、旗国=日本(国土交通省) の監督やチェックに問題がある可能性がある。チェックや処分が甘ければ、違反や不備の見逃しが 横行する。たぶん、 企業の意識・対応が現状を反映していると思う。

神戸新聞(2007年9月19日)より

大阪・堺のビル エレベーター落下

検査不備 磨耗見逃す

エレベーター:シンドラー社に緊急点検指示…異常落下受け 09/18/07(毎日新聞)

 堺市の複合レジャー施設「とこりん石津店」で今月12日、9人乗りエレベーターが異常落下した事故で、国土交通省は18日、エレベーターのロープを巻き上げる滑車の溝が規定より摩耗し、上昇ボタンを押しても下降する欠陥があったと発表した。同省は、保守管理する「シンドラーエレベータ」(東京都江東区)の点検に問題があったとして、全国約5000台の滑車の緊急点検を指示した。

 同社への緊急点検指示は、港区で06年6月に起きた高校生死亡事故直後以来3回目。シンドラー社は事故機の滑車の状態について、同年6月の緊急点検と07年4月の法定点検で「問題はない」と判定。国交省は「4月の段階で異常があったはず。緊急点検での見逃しは極めて遺憾」と厳しく批判している。

 国交省によると、事故機を使ってシンドラー社が実験すると、上昇ボタンを押したのにエレベーターはゆっくりと約2メートルにわたって落下し、安全装置で停止した。滑車に4本のロープを回す溝が交換基準の深さ0.5ミリより摩耗していた。溝の摩耗が進むと、ロープが滑りやすくなる。事故では3階から4階に上がろうとした際に2階付近まで落下し、9人が約1時間にわたって閉じ込められた。

 国交省は今回の緊急点検で、自治体ごとに無作為に2台のエレベーターを抽出し、自治体職員がシンドラー社の報告を現場で再確認することを決めた。また全台の写真提出も求める。

 滑車の点検方法は法令で決められておらず、業界の基準書でも「摩耗が甚だしくないこと」とされているだけ。国交省は年内に点検基準を法令上で明確化することを決めている。【長谷川豊】

 シンドラー社社長室の話 点検で見逃したことは、大変申し訳なかった。定期検査と保守点検を一層強化したい。

三菱のエレベーター4基が不適合、問題は計7社898基に 09/18/07(読売新聞)

 エレベーターのワイヤロープの破断が相次いだ問題で、国土交通省は18日、三菱電機ビルテクノサービス(東京)が保守管理するエレベーター約16万8000基のうち、4基が日本工業規格(JIS)基準に適合せず、安全上の問題があったと発表した。

 これで三菱を含め、同省が緊急点検を指示した計7社分(約48万基)の点検結果が出そろい、今年8月末までに問題が見つかったエレベーターは計898基になった。同省では、「三菱は他社に比べ、ロープの交換時期が早く、問題の発生率が低かった」としている。

 同省によると、エレベーターのかごをつるすワイヤロープは、金属線約20本の束を八つ程度、より合わせてできている。

 JISの検査基準では、一つの束のうち、5本以上の金属線が破損したり、ロープが一定以上伸びたりしないよう求めているが、点検対象となった16万8169基のうち、金属線の破損、ロープの伸びともに、各2基が基準に適合していなかった。4基は、既にロープ交換などの対応を終えたという。金属線の束が完全に破断したケースはなかった。

 エレベーターの緊急点検では、今年8月末までに、日立ビルシステム(東京)の757基、日本オーチス・エレベータ(同)の80基など計6社894基で問題が見つかっていた。

シンドラー製エレベーターで事故2件、堺では9人けが 09/12/07(読売新聞)

 12日午前0時50分ごろ、堺市西区浜寺石津町西4の遊戯施設「とこりん石津店」(4階建て)3階で、26歳〜14歳の男性客9人が、4階に上がるためエレベーターに乗り込んだところ、エレベーターが突然、約2メートル下の2階付近まで落下し、扉が開かなくなった。

 閉じ込められた客は、非常通報ボタンを押したが応答がなかったため、携帯電話で店に救助を要請。エレベーターの製造元で、保守管理をする「シンドラーエレベータ」(東京)の従業員が約1時間後に駆けつけ、エレベーターを1階まで下ろし全員を救出した。

 9人は、落下の衝撃で腰を打ったり、気分が悪くなったりして、救急車で病院に搬送されたが、いずれも軽症。大阪府警捜査1課と堺南署は、エレベーターの管理が不十分だった可能性があるとみて、業務上過失傷害容疑で実況見分を行い、事故原因を詳しく調べている。堺市も立ち入り調査に入った。

 堺南署の調べでは、エレベーターの定員は9人、最大重量600キロ・グラム。客が4階のボタンを押したが、エレベーターは上がらずに落下したという。店側は、客が閉じ込められている間、消防に救助要請をしておらず、救出されてから119番通報していた。

 2階で止まったのは、エレベーターに設置されている衝撃緩和用の安全装置が働いたとみられる。

 堺市によると、エレベーターは1973年のビル建設と同時に設置。ビルを所有する会社の男性従業員によると、所有会社はシンドラー社に依頼して、月に1回、エレベーターの点検を実施。最近では、8月29日に点検を行ったが、異常は見当たらなかったという。

 また、12日午前7時25分ごろ、兵庫県神河町新野の県営住宅(3階建て)で、3階から降下中のシンドラーエレベータ社製のエレベーターが、3階と2階の間で停止し、乗っていた4人が閉じ込められた。

 女性がエレベーター内の通報装置で同県姫路市内の管理会社に連絡し、担当者が約1時間後、エレベーターを復旧させて救出した。4人にけがはなかった。同県住宅供給公社によると、エレベーターは定員9人で、8月6日の定期点検では、異常はなかった。

 シンドラー社は、2件の事故について、原因調査のため現地に技術者を派遣した。同社社長室は「けがをした方や精神的な苦痛を与えてしまった方に、深くおわびしたい。一刻も早く原因を解明し、対応を検討したい」としている。

エレベーター:3メートル落下、9人軽症 堺 09/12/07(毎日新聞)

 12日午前0時50分ごろ、堺市西区浜寺石津町西4丁、複合レジャー施設「とこりん石津店」(4階建て)で、男性9人(26〜14歳)が3階からエレベーターに乗って4階に上がろうとしたところ、エレベーターは2階付近まで約3メートル落下して止まった。エレベーターはスイスの「シンドラーエレベータ社」製。9人は約40分間閉じ込められ、連絡を受けた同社職員がエレベーターを1階に下ろし、午前1時半ごろ全員を救出した。9人は腰を打ったり気分が悪くなるなどして病院に運ばれたが、いずれも軽症。大阪府警堺南署は業務上過失傷害の可能性もあるとみて、原因や管理に問題がなかったかを調べる。

 調べでは、同施設は以前からの建物を改装して8月4日に開店。24時間営業で1階が駐車場、2階にゲームコーナー、3階にボウリング場、4階にカラオケなどがある。エレベーターは1基だけで、以前の建物から引き続いて使っていた。2階に受付があり、1階には停止しない。

 エレベーターは1階と2階の中間の、天井が2階床の上約50センチの位置まで落下したという。エレベーターは定員9人で制限重量は600キロ。9人の体重を合わせても600キロは超えないとみられる。9人は会社の同僚らで遊びに来ていた。何人かは「エレベーターに乗って1、2秒して落下した。上昇した感覚はない」と話している。

 シンドラー社製のエレベーターを巡っては昨年6月、東京都港区のマンションで、男子高校生がエレベーターの床と入り口の天井の間に挟まれ死亡した事故の他、人が閉じこめられるなどのトラブルが全国で相次いだ。

 大阪府によると、東京都杉並区で5月に発覚したワイヤロープ破断事故を受け、府などは所有者を通じてシンドラー社に緊急点検を通知。6〜7月、同社管理の府内698台のロープなどを点検したが、異常なかった。また同施設によると、このエレベーターは8月29日に同社が点検したが、異常なかったという。

 同社は「現在、事実関係を調査している。まとまり次第、対応する」と話している。【田中博子】

朝日新聞(2007年9月8日)より

三菱・日立も低強度鋼材

エレベーター両社で1492基に使用

「ワイヤロープを巻く滑車の周辺部分の製造を委託された『古田鉄工』(岐阜県坂祝町)が、 鋼材卸売業『丸杉』(岐阜市)に鋼材を発注した際、設計上の鋼材の規格を伝えていなかったため、 丸杉が弱い鋼材を納入していた。」

たぶん、 フジテックのエレベーターに強度の低い鋼材が使われている ことを他の業者や同業者が知っていたのだろう。 しかし、国交省は事実を知らないし、問題は発覚しない。結果、処分も無い。ならば、うちでも同じ ことをしても大丈夫だろうし、同じ事をしないと価格で不利になる。告発して嫌われるよりも、 同じ事をしたほうが、問題が発覚しても皆、横並びでリスクが少ない。こんなことを思った 人達がいたのでは???

品質管理がずさんで問題を片付けるのであれば、エレベーターに使われているすべての機器の信頼性や 耐久性、いろいろな機器を選んだ根拠(強度、耐久性、材料、計算方法等)の見直しが必要となる。 国交省は徹底的に原因を調べ、公表する義務がある!

三菱、日立製のエレベーター1492基に設計より弱い鋼材 09/07/07(読売新聞)

 フジテック(滋賀県)製エレベーターに強度不足が判明した問題で、国土交通省は7日、新たに三菱電機(東京都)製の1236基と、日立製作所(同)製の256基の計1492基でも、同様に設計より強度の弱い鋼材が使用されていたと発表した。

 両社はこれらのエレベーターについて、本体や一部部材の製造を外部委託しており、鋼材の納入過程で商品の規格が十分に確認されていなかった疑いが強いという。

 三菱、日立の両社は、すべて建築基準法上の強度基準を満たしていると説明しているが、同省では両社に対して厳重注意をするとともに、都道府県などに、詳細な強度を早急に確認するよう指示した。これらのエレベーターの設置場所はスーパーやオフィスなどが多いが、一部は学校にも設置されているという。

 同省によると、三菱製の1236基のうち、1177基(03年8月〜07年7月製造)は、ワイヤロープを巻く滑車の周辺部分の製造を委託された「古田鉄工」(岐阜県坂祝町)が、鋼材卸売業「丸杉」(岐阜市)に鋼材を発注した際、設計上の鋼材の規格を伝えていなかったため、丸杉が弱い鋼材を納入していた。

 また、三菱の残りの59基(03年7月〜07年2月製造)と、日立の256基(99年11月〜07年6月製造)については、いずれも本体の製造委託を受けた機械メーカー「内原電機製作所」(水戸市)が鋼材卸売業「スズヤス」(東京都中央区)に設計通りの鋼材を発注していたが、スズヤス側が調達しやすい鋼材を代わりに納入したことを口頭でのみ内原側に伝え、内原側も十分に理解していなかったという。

 古田鉄工は「規格を伝えなかったのは明らかな落ち度で申し訳ない」、内原電機製作所も「品質管理に問題があり、反省している」などとしている。国交省では「品質の管理がずさんとしか言いようがない。業界全体として再発防止策を考えるべきだ」としている。

神戸新聞(2007年9月5日)より

エレベーター日立製15万基 点検要請

国交省が自治体に「検査不適切の恐れ」

「札幌市への報告を怠った理由について、 日立ビルシステムは『人身事故以外は行政に報告する義務がないから』という。」 コメントをする会社の姿勢が結果として出たのだろうか??

エレベーター5社、813基でワイヤ不適が判明 09/01/07(読売新聞)

 国交省が緊急点検を指示した国内7社のうち、既に結果を公表した日本オーチス・エレベータ(東京都)と、調査中の三菱電機ビルテクノサービス(同)を除く5社分(計約26万2000基)について、都道府県を通じて同省が集計、発表した。

 それによると、JISの検査基準などに適合していなかったのは、日立ビルシステム756基、東芝エレベータ15基、フジテック(滋賀県)39基、シンドラーエレベータ(東京都)2基、日本エレベーター製造(同)1基だった。

 ワイヤロープは、約20本の金属線を束にしたものを、八つ程度より合わせて構成している。JISの検査基準では、〈1〉一つの束のうち5本以上の金属線が破損しない〈2〉ロープが一定以上伸びない〈3〉ロープの摩耗した部分でも通常の90%以上の太さがある――ことなどを求めている。

 ただ、この基準はあくまで「業界の努力目標」で、不適合の場合は自治体の行政指導の対象となるが、法的な強制力は伴わない。

 不具合の内訳は、金属線の破損が最も多く772基で、このうち日立ビルシステム、フジテック各2基、東芝エレベータ1基では、ロープの一つの束が完全に破断していた。このほか、ロープの摩耗や変形なども41基で見つかった。大半はすでに、ロープを交換するなどしているという。

 JIS基準不適合が多かった日立ビルシステムでは「利用者に心配をかけて申し訳ない。問題が見つかったロープの使用状況などを詳しく調べて、今後も、点検・検査方法の見直しをしていきたい」としている。

エレベーター強度不足:住友重機製の変速機使用74台で 08/03/07(毎日新聞)

 国土交通省は30日、住友重機械工業(東京都品川区)製の変速機を使用したエレベーターの一部に強度不足の可能性があると発表した。同日までに3社74台(16都道府県)について強度不足を確認したとしている。変速機の安全性の計算式に誤りがあり、実際以上の強度が算出されていたためで、人が乗る「かご」の巻き上げ用ロープを回転させる車軸部分が折れ、停止する恐れがある。

 03年以降、かごに人が閉じ込められるなど3件の事故が確認されているが、けが人は出ていない。同省は、この変速機を導入しているメーカー全25社(計2934台)に点検を指示、同日までに7割に当たる2100台について作業を終えた。強度不足は三精輸送機(大阪府吹田市)で42台、ダイコー(東京都港区)で16台、横浜エレベータ(横浜市)で16台見つかった。これらのエレベーターでは、部品交換を進めている。

 問題のあるのは92年以降に製造された変速機。定員数など使用条件によって問題がないエレベーターもあるが、業界標準の8割程度の強度しかないケースもあった。今年3月16日には千葉市の郵便関連施設でかごが停止し、人が閉じ込められる事故があった。【高橋昌紀】

朝日新聞(2007年8月11日)より

業者「安全宣言」

国交省「待った」

フジテックのエレベーター強度不足鋼材、93年から納入 08/03/07(朝日新聞)

 フジテック(滋賀県彦根市)製のエレベーターに設計よりも強度の低い鋼材が使われていた問題で、注文と異なる鋼材は93年からフジテックに納入されていたことが、3日公表された鋼材商社・JFE商事建材販売(大阪市)の社内調査でわかった。国土交通省は強度不足の鋼材が使われた施設の特定と、建築基準法上の強度を満たしているかどうかの調査を早急に行うように指示した。

 J社の岩瀬光治社長は会見し、再発防止のめどが立った時点で辞任する意向を明らかにした。

 強度不足の鋼材は02年9月以降、1万2000基以上のエレベーターに使われ、560基は強度不足の恐れがあることが判明しているが、その10年近く前から納入されていたことになる。

 J社によると、93年から注文された「SS400」と呼ばれる鋼材とは別の無規格品の納入が始まった。フジテックの報告でも、00年1月から02年8月に川鉄商事(J社の親会社の前身)から購入した鋼材はエレベーター481台とエスカレーター556台の構造部材に使われた可能性があるが、強度不足の恐れはないとみられるという。

 岩瀬社長らは会見で、93年12月17日付でフジテックに出した書類に「現在納入の材料は無規格品(SS400相当)」と書かれているとコピーを使って説明。取引が合意の下で始まり、注文以外の鋼材と認識していたと主張し、合意はないとするフジテックと対立している。

フジテック製の鋼材強度不足、さらに1000基…国交省 08/03/07(毎日新聞)

 フジテック(滋賀県彦根市)製エレベーターに強度不足が判明した問題で、国土交通省は3日、新たにエレベーター481基とエスカレーター556基で、設計より強度の弱い鋼材が使用されていたと発表した。

 フジテック側は、建築基準法が定める強度については調査中としており、弱い鋼材が使われたエレベーターは計1万3208基、エスカレーターも計1190基になった。国交省は、同社に対し、詳細な強度を早急に調査するよう指示した。

 一方、鋼材を納入したJFE商事建材販売(大阪市)の岩瀬光治社長は同日、再発防止のめどが立った段階で社長を辞任する意向を明らかにした。

 この問題を巡っては、2002年9月〜07年6月に製造されたフジテック製エレベーター計560基に建築基準法上の強度不足が判明していたが、JFE側が国交省に提出した調査報告書によると、弱い鋼材の納入は1993年から始まっており、00年1月〜02年8月にはエレベーターのかご枠を支える一部に使用されたこともあったという。

 また、強度不足の鋼材納入については、双方はこれまで、「フジテック側も合意の上だった」(JFE側)、「合意は確認されていない」(フジテック側)としていたが、フジテック側の調査報告書では、同社の担当者が05年夏、JFE側の担当者から、注文書より弱い鋼材も納入品に含まれていることを口頭で告げられ、今後、注文書に記す鋼材名を変更するよう要請されていたことを明らかにした。ただ、フジテックでは「(担当者は)鋼材の違いがよくわからなかったため、上司にも報告せず、問題の発見が遅れた」としており、「合意」は改めて否定した。

 記者会見でフジテック側は、「合意を示す文書は一切見つかっていない」としたが、JFE側は、93年12月17日付で「現在納入の材料は無規格品」とする文書をフジテック側に提出したとするコピーを示し、相手も注文とは異なる鋼材が納入されていることを認識していたとし、今回も主張は平行線のまま終わった。

いつも後手後手の日本!

エレベーター:定期検査の報告制度で改正案公表 国交省 08/03/07(毎日新聞)

 エレベーターと遊戯施設に課されている定期検査の報告制度で、国土交通省は3日、探傷試験の実施などの具体的な検査方法を明記した改正案を公表した。現行の報告制度は建築基準法に基づいているが、検査方法は日本工業規格(JIS)に準拠するなど、あいまいさが指摘されていた。同省は11月までに規則、告示などで法令化する方針。

 同省建築指導課によると、改正案は(1)定期調査・検査の方法、基準などの明確化(2)報告内容の充実化−−を2本柱にした。法令化することで、法律違反を問いやすくする効果もある。

 具体的には▽金属線切れの有無が確認できないほど〓(さび)が付着したロープは直ちに交換する(エレベーター)▽目視で異常が発見されなくても1年以内の探傷試験を定期的に実施する(遊戯施設)−−などと定義する。

 さらに現行の報告書は点検結果のみを記載している点を問題視。探傷試験の結や摩耗部分の写真など、具体的な資料を報告書に添付させる。検査者全員の名前と担当内容の記載なども検討しており、同課は「責任の所在の明確化を図りたい」としている。【高橋昌紀】

朝日新聞(2007年7月29日)より

エレベーター鋼材問題 偽装の責任 泥仕合

JFE「担当間で合意」フジテック「適正な発注」

朝日新聞(2007年7月25日)より

エレベーター偽装

JR西、改修進まず

朝日新聞(2007年7月13日)より

エレベーター鋼材偽装

フジテックにJFE系納入 1万2000基低い強度

朝日新聞(2007年7月13日)より

エレベーター偽装 納入業者「合意あった」

フジテックと主張対立

中国新聞(2007年7月11日)より

フジテック製エレベーター 強度不足の鋼材使用

基準以下560基 JFE系販社が納入

罰則はなければ規則を守るほうが損をする。検査は安い方が良い。 問題を指摘する検査会社は使わない。問題のある会社を行政はチェック及び処分をしない。 大事故や死亡事故が起きるまで、対応しない。

これが現実だ。行政や役所だって、問題があれば逃げるだけ。この国は、綺麗事の国。 美しい国、日本。そう繰り返せば、美しい国でなくとも良いのだろう。

「きちんと定期検査すれば素線の破断は見つかる」(国交省幹部)のは当然のこと。 きちんと検査するメリットは何なのか?きちんと検査しようが、適当な検査をしようが 事故が起きない限り、誰が評価するのか、処分するのか、明確でない。

問題がある保守管理会社は仕事が出来ないように行政処分をするのか? 検査会社をチェックするだけの能力は行政や役所(国)にあるのか? また、問題がある保守管理会社を故意に指名した依頼者の責任は? 保守管理会社が問題を指摘したレポートは、依頼者だけに提出するのか、行政や役所(国)にも コピーを提出させるのか?

大事故や死亡事故が起きた時だけ、運が悪い(当然の報い?)会社を厳しく処分し、 同様な事をしていた会社を見逃すのでは、問題は解決しない。しかし、これが日本の やり方のような気がする。問題のある企業と行政の問題がオーバーラップして 事故が起こると思う。適切な対応が出来ない国にも責任がある。綺麗事だけじゃ、 生きていけない。悪いことをする方が儲かる。

「札幌市への報告を怠った理由について、日立ビルシステムは『人身事故以外は行政に報告する 義務がないから』という。」現実を理解した上で、国交省は対応しないとだめだ。 キャリアは天下りや出世しか興味がないのかもしれないが、改善が目に見えるような対応を しなければならない。やっているだけじゃ、だめだ。日本の優等生教育の問題も影響しているかも。

エレベーターロープ破断 定期検査は有名無実 06/05/07(産経新聞)

 またエレベーターのロープ破断が判明した。日本オーチス・エレベータの約5万基の点検結果がでたのと同じ日、国土交通省は日立ビルシステムが保守管理するエレベーター約15万基の緊急点検を決めた。昨年6月に東京都港区の都立高校生、市川大輔さん(16)がシンドラー社製エレベーターに挟まれ死亡した事故から1年。事故は教訓にされず、定期点検や報告がないがしろにされていた可能性があり、安全性への信用回復は遠い。

高校生死亡1年 生かされぬ教訓

 今回、破断が分かった札幌市の住友生命札幌ビルのエレベーターの保守管理を請け負う日立ビルシステムは今年3月25日にロープの破断が分かってから約2カ月間、札幌市への報告を怠っていた。

 エレベーターのロープを構成するストランド(鋼線の束)の破断は一歩間違えると全体のロープ破断につながるもので、国交省住宅局では「あってはならない事態」と位置づける。

 日本工業規格(JIS)では、ストランドを構成する19本の素線のうち、5本以上に切断が見つかれば速やかに交換するよう規定されている。「きちんと定期検査すれば素線の破断は見つかる」(国交省幹部)といい、ストランドの破断に至るということは、エレベーターの定期検査が有名無実となっていることを意味する。

 昨年6月の市川さんの死亡事故以降、エレベーター保守管理のずさんさが次々に明らかになっている。

 4月には六本木ヒルズ・森タワーで起きたエレベーター火災の原因が、切れたワイヤロープのストランドが滑車に接触し、散った火花が原因と分かり、保守点検を請け負っていたオーチス社が保守管理するエレベーター約4万9000基を緊急点検したばかり。先月にもシンドラーエレベータが保守管理するエレベーターでワイヤロープのストランドが破断したことが明らかになった。

 札幌市への報告を怠った理由について、日立ビルシステムは「人身事故以外は行政に報告する義務がないから」という。だが国交省は「ストランドの破断は重大事故」として、破断があった場合は自治体に速やかに報告するよう通達を出すことも検討している。

国交省:定期検査の報告制度、大幅見直しへ 05/10/07(毎日新聞)

 大阪のジェットコースター脱線事故や東京の六本木ヒルズのエレベーター機械室火災など整備不良が原因とみられる事故が相次ぐ中、国土交通省は10日、定期検査の報告制度を大幅に見直す再発防止策を固めた。定期報告の際に金属部品を詳しく調べる「探傷試験」を建築基準法令上で新たに義務付けるほか、検査員への罰則制度導入などが柱で、来月中に具体案をまとめる。

 国交相の諮問機関「社会資本整備審議会」の専門部会で示した。新たな対策では、探傷検査を行ったことを示す書類の自治体への提出を義務付け、不具合の発生状況や改善状況も報告書に盛り込ませることで、自治体が検査の詳しい内容を確認できるようにする。

 建築基準法では、施設の所有者が事実と異なる定期検査報告書を自治体に提出した場合、罰則の対象は所有者だけで、実際に検査を担当した検査員は資格が取り消されるだけだった。このため、検査員への罰則導入を検討する。また、検査員に対しては資格取得以後、講習会への参加が義務付けられていないため、定期的に講習会を開き、能力の向上も目指す。【高橋昌紀】

エレベーター破損:さび対策を社内決定も放置 オーチス社 05/01/07(毎日新聞)

 東京都港区の「六本木ヒルズ」森タワーの高層階用エレベーターで4月、金属製ロープの一部が破断して火災が起きた問題で、エレベーターを製造・管理する「日本オーチス・エレベータ」(東京都中央区)は1日、ロープが赤さびだらけで検査の障害になるためふき取りが必要と05年1月に社内決定しながら、事故まで十分な清掃をしていなかったと発表した。詳細な検査ができない状態にもかかわらず、同社は今年3月の定期検査で「A判定」(指摘事項なし)と虚偽の報告書を作成、都に提出しようとしていた。国土交通省は「調べ方も報告も不適切」としている。

 同社は03年4月の六本木ヒルズ開業時に、高層階用エレベーター11台を設置し、保守管理・検査を始めた。05年1月に11台すべてのエレベーターをつるすロープ周囲に赤さびが発生したため、同月、当時の社長も出席した社内の品質会議で他のビルなどに設置された中型機でも同様の問題が2年間で92台起きていたことが報告され「給油と清掃が必要」と決定した。同3月にはロープ周囲に鉄粉がこびりつき始め、状態はより悪化した。

 しかし同社は問題を放置。06年9月からようやく清掃を始め、事故機でも同11月〜今年3月まで計4回、ロープを清掃したが清掃方法が不十分で、ロープは詳しく検査できない状態のままだった。建築基準法で定められた年に1度の定期検査が同月あり、都への報告書にはロープについて「A判定」と事実と異なる評価を記載。本来は報告すべきロープの汚れについての言及はなかった。

 同社は6月にロープを交換する予定だったが、ロープ内の金属線の一部が破断した結果、4月4日にぼやが起きた。報告書は正式提出前だったため、今後「C判定」(法不適合の指摘あり)に変更して提出する。昨年3月は「A判定」と報告していた。

 同社によると、一部の担当者は「鉄粉がなかなか取れない」などと問題を認識していたが、社内で情報共有できていなかったという。赤さびが発生した原因は使用していた油が関係しているとみられる。江崎英二社長は記者会見で「検査ルールが守られず、社内の管理体制に問題があった。4月29日から始めた緊急点検に力を注ぎたい」と述べた。【長谷川豊、高橋昌紀】

大卒なのに「中卒」 実務経験、長く偽り昇降機検査資格 03/30/07(朝日新聞)

 エレベーター保守会社の社員が実務経験年数を詐称してエレベーターの法定検査の資格を不正取得していた問題で、大学卒の点検員が中学卒とあえて学歴を低く詐称して検査資格を得ていたケースが30日、新たに別の社で発覚した。

 「エス・イー・シーエレベーター」(東京都台東区)が30日、社員2人が他社に在籍時、経歴詐称して資格を得ていたと発表。うち1人はメーカー系社員で32歳だった98年、大学の文系卒で実務経験が9年余りと当時の条件の15年以上に満たないため、つじつまを合わせようと、中学卒と虚偽申告していた。「会社に指示された」と話しているという。もう1人は国土交通省が厳重注意したハイン社の退職者だった。

 エス・イー・シー社は、東京都港区の公営マンションで昨年6月、死亡事故が起きた当時の保守会社。

シンドラーなどに厳重注意 検査員資格の不正取得問題 03/28/07(産経新聞)

 シンドラーエレベータ(東京)などが社員の実務歴を偽り、エレベーター検査者の資格を不正に取得させていた問題で、国土交通省は28日、シンドラー社と保守会社「ハイン」(新潟県三条市)を厳重注意し、再発防止策などを報告するよう文書で指示した。

 シンドラー社のゲアハルト・シュロッサー社長は取材に対し「日本の社会にご心配をかけ申し訳ない。再発防止に向け全力で取り組む」と謝罪。ハインの羽賀一夫会長も「会社の監督が行き届かず、お客さまにおわびしたい」と述べた。

 両社は、社員がエレベーターの定期点検を行う「昇降機検査資格者」になるための講習と試験を受ける際に、必要な実務経験を実際より長く記入させ、資格の不正取得に関与したとされる。

 不正取得が発覚し資格が取り消された社員は、退職者を含めシンドラー社が53人、ハインが14人。国交省は2社に対し、67人が年1回の定期点検を実施した計約2600基のエレベーターについて、早急に再点検するよう指示した。

シンドラーなど2社、エレベーター検査資格を不正取得 03/28/07(産経新聞)

 シンドラーエレベータ(東京都江東区)など2社が、社員計67人の実務年数などを偽り、エレベーターの検査資格を不正に取得させていたことが27日、分かった。国土交通省は、対象者の資格を取り消し、無資格者が点検を担当していた計約2600基のエレベーターの再点検を2社に指示した。同省は業界の約2350社についても実態を調査する。

 資格の不正取得が見つかったのは、シンドラー社が53人のほか、エレベーター保守会社の「ハイン」(新潟県三条市)が14人。

 国交省によると、2社の67人は、エレベーターの定期検査の資格を取得するために必要な「登録昇降機検査資格者講習」を受講した際、学歴に応じて定められた2〜11年の実務経験を積んだように詐称し、資格を取得した。

 講習を受ける際、大卒で2年、高卒7年、実務経験のみ11年の実務経験が必要だが、2社の67人のうち、22人が半分未満しか実務経験がなかった。シンドラー社の4人は全くなかった。

 国交省の事情聴取に対し、シンドラー社幹部は「管理するエレベーターの基数に見合う資格者を確保したかった。会社ぐるみといわれても仕方ない」と話したという。

 同省は、エレベーターの保守、管理を業務とする全2349社で同様のケースがないか、聞き取り調査やサンプリング調査を進める方針。

 シンドラー社をめぐっては、昨年6月、都立高校2年、市川大輔さん=当時(16)=がエレベーターに挟まれて死亡した事故が起きたが、このエレベーターは別会社に代わる平成17年3月までの1年間、保守、管理を点検していた4人のうち、資格者は1人で、しかも業務経験を詐称していたという。

「シンドラーエレベータ」社長ら、国交省が厳重注意 03/28/07(読売新聞)

 「シンドラーエレベータ」(東京都江東区)など2社の67人が、法定点検資格に必要な実務経験を偽っていた問題で、国土交通省は28日、同社のゲアハルト・シュロッサー社長と、保守点検会社「ハイン」(新潟県三条市)の羽賀一夫会長らを呼び、「定期点検制度の信頼を著しく損なう行為」などと厳重注意した。

 また、67人が過去1年間に法定点検を実施したエレベーターの再点検の実施計画や再発防止策を4月10日までに提出するよう求めた。

シンドラー社、昇降機検査資格を不正取得 実務歴を詐称 03/27/07(朝日新聞)

 東京都港区で昨年6月、死亡事故が起きたエレベーターの製造元「シンドラーエレベータ」(東京都江東区)の社員53人(うち退職者9人)が、実務経験が必要年数を満たすように経歴を詐称し、法定の定期検査を行うのに必要な昇降機検査資格を不正取得していたことが27日、分かった。新潟県三条市の保守会社「ハイン」も14人(同1人)が同様に詐称していた。

 国土交通省はこの67人の資格を26日付で失効させた。さらに、会社ぐるみの経歴詐称とみて、失効者が法定検査した両社の各約1300台の再点検を指示する。他社にも自主点検を指示する。

 昇降機検査資格は、各エレベーターが毎年1回受ける法定検査の責任者に必要な資格。67人の経歴詐称は、1月下旬〜2月初め、国交省などに匿名の情報提供があり、資格者講習を行う日本建築設備・昇降機センターが本人や会社に聞き取り調査をして判明した。

 資格者講習を受けるには、学歴に応じて2〜11年(00年度までは3〜15年)の実務経験が必要で、申込書には所属企業の責任者が実務経験を証明する欄がある。

 両社の失効者は、入社年を実際よりも古く偽り、営業職なのに技術職を装うなどしていた。中には実務経験ゼロなのに、15年以上と虚偽申告した例もあった。調査には、「上司の指示だった」「自分は書いた覚えがない」などの証言が出ている。

 正規の資格者と失効者を合わせた総数はシンドラー社が183人(うち退職者25人)、ハイン社が24人(同2人)。詐称の期間は、シンドラー社が前身の日本エレベーター工業時代も含む87〜03年度、ハイン社は01〜06年度に及んだ。

 一方、死亡事故があった港区の公営マンションは、98年4月〜05年3月にシンドラー社が保守点検を請け負ったが、当時は制度上、自治体所有の建物は法定検査が不要だった。

シンドラー社製29基が改修必要 国交省発表 07/01/06(朝日新聞)

 国土交通省は7日、東京都港区で高校生が死亡した事故を受けて実施した、シンドラーエレベータ社製エレベーターに対する全国調査の中間状況を発表した。これまでの緊急点検で、29基に部品の劣化などに伴う改修が必要な不良が見つかった。また、報告があった設置機の4割近くに過去に何らかの不具合が起きていたという。

 国交省は、事故機の製造元のシンドラー社の製品の安全性を確認するため、各都道府県に緊急点検の結果と、過去の不具合の発生状況などの報告を求めていた。

 期限までに緊急点検の結果が報告された3525基のうち、3496基は問題がなかったが、29基は、建築基準法に基づく関係自治体の審査で「否」と判定された。

 主な内容は、定員オーバーでもブザーが鳴らない▽換気装置の不備で、機械室が高温となる可能性がある▽非常時に保守管理会社に連絡する装置が機能しない▽停電時に最寄り階までかごを動かす装置がうまく作動しない――など。

 広島県北広島町の工場の荷物用エレベーターでは、ドアの開閉を感知して昇降を制御する安全装置に不良が見つかった。また、茨城県鹿嶋市内のエレベーターは、ロープを巻き上げるモーターのコイルの絶縁不良でモーターが回らなくなる可能性があり、改修が済むまで運転が停止された。

 こうした不良の大半は、すでに改修を終えたか、今月中に改修予定だという。

 また、過去の不具合発生の有無が報告されたのは3925基で、うち36%の1418基で閉じこめや動作不良など何らかの不具合が起きていた。

 この調査では、シンドラー社が8834基分のリストを同省に提出したが、6月末までに自治体が稼働を確認した同社製品は5440基。うち126基はリスト外だった。一方で、リストのうち1291基はすでに建物がなかったり、他社製品に換えられたりしていた。残る2229基は確認作業が続いている。

シンドラー製、「優良」のお墨付き保留 07/01/06(朝日新聞)

 東京都港区の公共住宅で起きたエレベーター事故を受け、国土交通省の外郭団体「ベターリビング」は30日、事故機の製造元、シンドラーエレベータ製の15機種に与えた「優良住宅部品(BL部品)」の認定を、一時停止したことを明らかにした。現時点では安全性を確認できないと判断した。いったん与えた「お墨付き」を保留したり取り消したりするのは、73年に認定制度ができて以来2例目。

 一時停止は29日付で、事故機とは異なる機種の高層住宅用エレベーターなどが対象。港区と同様の事故の可能性のないことが確認されるまで、優良の認定を与えない。

 一時停止の理由について、ベターリビングは「BL部品15機種の事故発生の可能性について、シンドラー社に資料と説明を求めたが、確かな回答を得られなかった」としている。

 BL部品は、玄関ドアやガス給湯機など68品目の住宅部品を対象に、機能や安全性、確実な維持管理サービスなど五つの観点でベターリビングが審査、認定する。認定された部品は、専用の賠償責任保険もつき、優れた品を消費者が安心して買えるメリットがある。

シンドラーが点検、1週間後にまた不具合…山口・岩国 06/20/06(読売新聞)

 20日午後3時ごろ、山口県岩国市岩国の市障害者サービスセンター(3階建て)で、シンドラーエレベータ社製のエレベーターと建物床面との間に7ミリの段差があるのを電動車いすで乗り込んだ障害者が気づき、市は、使用を中止した。

 このエレベーターは昨年4月、扉が閉じなくなるトラブルがあったほか、2年ほど前にも段差が生じたとの指摘が寄せられていた。

 東京都港区での死亡事故を受け、同社が13日に点検したばかりだった。

「異常なし」でもトラブル…シンドラー製エレベーター 06/19/06(読売新聞)

 新潟市が管理する福祉施設「新潟テルサ」で17日午後6時20分ごろ、「シンドラーエレベータ」社製のエレベーターが2階フロアから約40センチ上にずれて停止していたことがわかった。

 人は乗っておらず、けが人はなかった。

 9日に行われたシンドラー社の点検では「異常なし」と報告されていた。

 同市によると、トラブルがあったのは施設にある3基のうち1基。トラブル後、シンドラー社が緊急点検したが、異常は見つからなかったため、17日夜から運転を再開。18日は通常通り使用した。同市は19日朝になって同施設から連絡を受け、同日夕に運転を停止して緊急点検したが、原因は不明という。

 この施設では2005年7月にも別のエレベーターで男性職員が閉じこめられるトラブルがあった。

エレベーター事故:ブレーキ故障、シンドラー社内で未報告 06/19/06(毎日新聞)

 東京都港区のマンション「シティハイツ竹芝」で都立高2年、市川大輔(ひろすけ)君(16)がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、事故機で04年11月に起きたブレーキの故障がシンドラーエレベータ社(江東区)の危機管理部門に報告されていなかったことが分かった。この故障は港区住宅公社の要請でシンドラー社の保守担当者が原因を調査し、公社には報告書を提出していた。

 19日のシンドラー社の記者会見で明らかになった。同社によると、エレベーターの故障は、重大性や発生頻度に応じて社内の危機管理部門に報告され、対応を検討することになっている。

 問題のブレーキ故障は04年11月6日に発生し、エレベーターが動かなくなった。住宅公社は、以前からトラブルが相次いでいたことから、当時は保守点検も請け負っていたシンドラー社に原因調査を依頼した。同社は約10日後、報告書を住宅公社に出していたが、社内では危機管理部門に伝えられていなかったという。同社の西村智行・新設事業本部長は会見で「調整程度で不具合が解決していた」と述べた。

 今回の死亡事故について、警視庁捜査1課は事故機のブレーキ部分の異常が原因につながった可能性が高いとみている。

 ◇事故と同一機38件トラブル国交省調査

 一方、国土交通省は19日、事故機と同種機で安全装置なども同一の12基について過去のトラブルを調査した結果を公表した。少なくとも38件のトラブルがあったという。

 トラブルは02年10月から今年5月に「降下中に5秒間停止した」「上昇中に突然停止した」などがあった。同省は事故に似たトラブルがなかったかをさらに分析する。

 内訳は▽事故機の隣のエレベーターで13件▽シティハイツ竹芝と同じ建物にある港区立心身障害者福祉センターの2基で9件▽都総合技術教育センター(文京区)の2基で7件▽広島市西区地域福祉センターの1基で4件▽都営百人町3丁目アパート2号棟(新宿区)の1基で3件▽港区立身障者保健センターの1基で2件。【種市房子】

エレベーター欠陥・改修で初の実態調査へ…国交省 06/17/06(読売新聞)

 東京都港区で高校生が死亡する事故を起こしたエレベーターの製造元「シンドラーエレベータ」社製のエレベーターで深刻な欠陥が見つかったことを受け、国土交通省は、他の国内大手メーカーからも事情聴取するなど、エレベーターの欠陥・改修などについて初の実態調査に乗り出す方針を固めた。

 エレベーターには、自動車のリコールのような欠陥情報を届け出る制度がなく、シンドラー社も欠陥や改修を公表してこなかったため、国交省もトラブルを把握していなかった。同省では調査結果を踏まえ、トラブル・欠陥情報の集約システム作りを検討する。

 シンドラー社が公表したのは、1991〜93年に設置した52基分の制御プログラムの欠陥。ドアが開いたまま昇降する恐れがあるという、港区の事故機で起きたトラブルと似た深刻な不具合だった。

 同社はこの欠陥に93年に気づき、改修していたが、当時の建設省(現国交省)に報告されておらず、所有者に正しい情報が伝わったかも明らかではない。

 その背景には、エレベーターの欠陥情報に関する制度不備がある。

 自動車の場合、欠陥があれば国交省に届け出を義務づけるリコール制度があり、行政は欠陥情報を蓄積してユーザーにも公開される。怠れば罰則もある。しかし、エレベーターには、欠陥情報を集めて公開する仕組みはない。

 港区の事故を受け、国交相の諮問機関「社会資本整備審議会」の建築物等事故・災害対策部会が15日に開いた臨時会合では、学識経験者の委員から「自動車のリコールのようにエレベーターの不具合が公表されたケースはないのか」と質問が出た。これに対し、業界団体「日本エレベータ協会」は、「そうしたケースはない」と回答していた。

 同協会によると、世界的には20%のシェア(市場占有率)を誇るシンドラー社も日本国内の新規設置分のシェアはわずか1%。三菱電機、日立製作所など大手5社が全体の9割以上を占めている。

 国交省では大手5社などがエレベーターの心臓部である制御装置などの不具合をどのように処置しているか、初めて実態調査に乗り出すとともに、安全にかかわる欠陥の情報開示や、事故につながるようなトラブルの情報を集積する仕組み作りを急ぐ方針だ。

「異常なし」について多くの人は誤解していると思う。 点検した項目については「異常なし」であって、全ての項目で「異常なし」と言う 意味で使われていない。日本語の曖昧さから来る誤解であろう。 「シンドラー社は制御盤の中の基板をすべて交換したが、15日になって『問題があったのは 交換した基板ではなく、プログラムと判明した』と連絡してきたという。」

この件にしても、点検項目に基盤のチェックはあるのか、プログラムは最新のバージョンであるのか、 検査レポートで確認すれば、他の業者や専門家にも聞ける。もし、チェックしたことになっていても 事故が起こり、同様の説明をメーカーがすればメーカーの責任が短時間で明確になる。

点検を依頼するのであれば、点検した報告書のコピーがもらえるのか問い合わせたほうが 良いだろう。少なくも点検していないが、「異常なし」と記入したのか、 点検項目に入っていないので点検していないのか、後で他の点検業者や専門家に確認が取れる。 人の言葉を鵜呑みに出来るほど、日本は安全でない。 船の検査でも処分されないから不適切な検査をする会社もある。 今でも不適切な検査を続けている。

他の第三者に問合せが出来るような対応を要求しないと運が悪ければ悲劇は起きる。 社会保険庁の国民年金の不正免除問題 を見てもわかる。公務員でもこれぐらいのレベルである。しかも組織的。

制御プログラム修正後、再び「欠陥」に戻す二重ミス 06/17/06(読売新聞)

 東京都港区の死亡事故を起こした事故機の製造元「シンドラーエレベータ」が16日になって公表した制御盤のプログラムミス。

 いったん欠陥を修正しながら、再び欠陥プログラムに戻してしまうという同社のずさんな管理体制も露呈。同社はこれまで、エレベーターには欠陥はないと主張してきただけに、利用者からは「命を預かっているという自覚があるのか」と憤りの声があがった。

 いったん修正しながら、再び欠陥プログラムに戻すという二重のミスが犯されていたのは、東京都八王子市の市芸術文化会館「いちょうホール」など4施設の6基。

 いちょうホールの場合、1993年に設置された直後に欠陥が判明し、同社がプログラムを修正。だが10年以上も経過した2004年、老朽化した部品を交換した際、同社の作業員が、誤って欠陥プログラムを再び搭載してしまったという。

 この施設では今年4月、ドアが開いたままエレベーターが上昇し、利用者3人が閉じ込められるトラブルが発生。だがトラブル後、2度にわたって点検したシンドラー社は「異常なし」と報告していた。

 施設を運営する市学園都市文化ふれあい財団は「不備を見つけられないなら、いったい何のための点検だったのか」とあきれる。施設を週2回ほど利用しているという国分寺市の女性(54)は「エレベーターは人の命を預かるもの。安心して利用できるよう、しっかり整備してほしい」と訴えた。

 今月、2度もトラブルが起きた千葉県浦安市の都市再生機構の賃貸マンション。シンドラー社は制御盤の中の基板をすべて交換したが、15日になって「問題があったのは交換した基板ではなく、プログラムと判明した」と連絡してきたという。

 同マンションでも、港区で事故が起きた後の点検で、シンドラー社は「問題なし」と説明していたという。

 シンドラー社のエレベーターが3基設置され、うち2基に問題があることが判明した愛知県白壁庁舎では、問題のある2基がどれなのか情報が交錯、混乱した。県は「シンドラー社の本社と支社の間で情報がうまく伝達できなかったようだ。まさに危機管理ができていない」と語った

「 『考えられない』。シンドラー社など98社が加盟する社団法人『日本エレベータ協会』(東京都港区) の井出邦勝事務局長は驚く。エレベーターは通常、スピードの出過ぎやドアが開いたままの昇降など、 重大トラブルを想定して二重三重に制御装置が働くよう設計されているからだ。」

規則で二重三重に制御装置が働くような設計が要求されているのか知らないが、要求されていなければ 従う義務もない。 船の検査でも処分されないから不適切な検査をする会社もある。

今回の事件にしても、死亡事故が起きたからこれほど注目を浴び、世間が騒いでいるだけで、 以前から問題は存在し、対応が取られてこなかった。 11人が死傷した関西電力美浜原子力発電所3号機の蒸気噴出事故でも三菱重工業と日本アーム の引継ぎで問題が指摘された。 同じ事故でないが、点検や管理業務の引継ぎの問題点としてはこのことから学ぶことはあったはずだ。 結局、シンドラー社エレベーターによる死亡事故の調査で責任のなすりつけ合いの形で、 引継ぎによるデーターの共有なしの問題が指摘された。

なぜ、日本は死亡事故や大きな事故が起きないと対応できないのか。 人柱と同じように誰かの犠牲により問題の深刻さが指摘される方法しかないのか。 日本はODAに使うお金はあっても、いろいろな問題の解決や対応にかけるお金や暇はない国なのであろう。

エレベーター事故:裏切られた!欠陥製品に批判相次ぐ 06/17/06(毎日新聞)

 「裏切られた」。16日、プログラムミスが明らかになったエレベーターの利用者らは、口々にシンドラー社を批判した。中には2日前(14日)に点検を受け「問題ない」と告げられたため、運転を再開した管理者も。信頼はさらに揺らいだ。

 神奈川県相模原市の外務省研修所には、16日午後4時すぎ、同社から「(基板の)チップを取り換えるまで運転を止めて下さい」と連絡があった。研修所は港区の高校生死亡事故(3日)を受け8日、自主的に運転を停止。同社が点検で「問題ない」と言ったため、14日夕から利用を再開した。職員は「部品が交換されても本当に大丈夫なのか心配」と語った。

 東京都八王子市の芸術文化会館は94年10月の開館から毎月、同社の点検を受けてきたが、これまでの報告はすべて「異状はなく順調」。横田敏之館長は「裏切られた思い。報告を疑い始めたらきりがない。これから何を信じればいいのか」と憤る。同館には16日午後6時過ぎ、同社の技術者が訪れ点検を始めた。

 今月10日、暴走事故が発生した千葉県浦安市高洲のマンション「浦安マリナイースト21潮音の街」7号棟(14階建て63戸)。閉じ込められるなど被害を受けた男性は「当事者に話も聞かずどうやって調べたのか。分かっていたのに放置していたのでは」と不信感をあらわにした。

 業界側からも疑問の声が上がる。

 「考えられない」。シンドラー社など98社が加盟する社団法人「日本エレベータ協会」(東京都港区)の井出邦勝事務局長は驚く。エレベーターは通常、スピードの出過ぎやドアが開いたままの昇降など、重大トラブルを想定して二重三重に制御装置が働くよう設計されているからだ。

 井出事務局長は「プログラムミスがありドアが開いた状態で動きかけても『自動的に電源が切れブレーキがかかる』というのが基本中の基本」と語った。【中川聡子、奥山智己、江口一】

「日本企業なら入札自粛もあり得るだろうが、シンドラー社の場合、どうなのか。 かといって、こちらから『辞退してください』とも言えない」と、東京都の担当者は困惑気味だ。

自治体だけでなく、日本政府は外国や外国企業に甘い。国際化とか、外国人労働者を受け入れて いる事実に反し、対応は遅いし、甘い。日本企業だったらとか、日本人だったらと言わず、 ロジカルで適切な制度を作るべきだ。

日本の制度や対応は遅れている。自治体や国は理解し問題に対応するべきだ。

シ社、入札「より安く」で浸透 自治体は困惑 06/15/06(朝日新聞)

 東京都港区で高校生が挟まれて死亡したエレベーターの製造元・シンドラー社は、官公庁の入札で同業他社に比べて安値を提示して実績を伸ばしてきた。国内シェアは1%程度とされるが、官公庁に限ればその割合を大きく上回る。「税金を使う以上、より安い方を選ぶのは当然」としてきた自治体は、今回の事故に戸惑いを隠せない。

 東京都はシンドラー社製品の大口ユーザー。石原慎太郎知事は9日の記者会見で怒りをぶちまけた。

 「安かろう悪かろうじゃ困る」

 都営住宅にあるエレベーターは2942基。うち、シンドラー社製は344基と約11.7%を占める。全体のシェアからすれば突出した数字だ。都担当者は「(同社が)都営地下鉄大江戸線のエスカレーター設置工事を97年に受注した後から、積極的に参入してくるようになった」と話す。

 シンドラー社参入は、それまで高止まり傾向にあったエレベーターの入札に競争をもたらした。

 都によると、同社は04〜05年度に、都営住宅や都立学校のエレベーター設置工事6件を落札した。落札額は、いずれも予定価格の80%。これを下回ると受注できなくなる「最低制限価格」と一致する。

 愛知県では05年度、県営住宅や県立高校のエレベーター工事17件のうちシンドラー社が4件を落札、業界トップの受注数となった。4件のうち3件は、発注側が業者から安値の理由を聴き取りする低入札価格調査の対象となった。

 調査に対しシンドラー社は「資材のストックや、据え付け工事をする業者の協力で安くできる」と説明。結局、問題なしとして契約が結ばれた。

 また、大阪府が04〜05年度に発注した府営住宅や府立専門学校など23件のエレベーター工事の入札で、シンドラー社は4件を落札した。

 「発注する役所にすれば、1円でも安くやってくれるところに工事を任せるのは当然だ」。自治体担当者たちはそう主張する。

 しかし、安全への信頼を根底から覆す死亡事故と、説明責任を果たさなかった対応で同社への批判は収まりそうもない。エレベーターを止めての再点検を余儀なくされるなど、自治体への影響は広がりを見せる。

 東京都の要綱では、刑事事件として起訴されれば指名停止などの措置を取れるが、現段階ではできない。ほかの自治体も同様だ。

 「日本企業なら入札自粛もあり得るだろうが、シンドラー社の場合、どうなのか。かといって、こちらから『辞退してください』とも言えない」と、東京都の担当者は困惑気味だ。

エレベーター事故:ブレーキ不良放置 保守業者 06/15/06(毎日新聞)

 東京都港区のマンションで都立高2年、市川大輔(ひろすけ)君(16)がエレベーターに挟まれて死亡した事故で、保守点検を請け負っていた「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)社員が、警視庁捜査1課の事情聴取に「点検時に、ブレーキの利き具合を調整するナットの位置がおかしいと思ったが、そのままにしていた」と証言していることが分かった。同課は、ブレーキ不良を調整していれば事故を回避できた可能性が高いとみて、さらに捜査を進めている。

 事故機は、ブレーキが利きにくくなっていたことが分かっていたが、ブレーキパッドにずれが生じ、モーター軸のドラム(円筒)を十分に締め付けられない状態だったことが、同課の検証で新たに判明した。さらに、ブレーキ部品に付いているナットの締め具合が甘いなどの問題も見つかった。

 エス社は今年4月にエレベーターの保守点検を受注した。4月13日に初めて点検をした際、この社員は機械室にある巻き上げ機などを目視でチェックする作業にあたったが、「巻き上げ機のブレーキに付いているナットの位置がおかしいと思った。しかしシンドラーエレベータ社製の機械を扱ったことがなかったので、どうしていいか分からず、そのままにしていた」と話している。

 死亡事故は、エス社の初点検から51日後の今月3日に起きた。この間にも3回の保守点検を行っていたが、ブレーキ部品を調整し直す作業は一度もしていなかったという。

 同課は、エス社の社員がブレーキの調整不良に気づきながら、2カ月近くも補修に手を付けていなかったことに注目。製造部品の問題も調査しながら、保守点検について重点的に関係者から事情を聴いている。【宮川裕章、鈴木泰広】

エレベーター事故:シ社、ドア開き動いたのは過去6回 06/14/06(毎日新聞)

 エレベーターの製造元「シンドラーエレベータ」(江東区)は14日、港区の死亡事故と同様にエレベーターのドアが開いたまま動いたケースがこれまでに全国で4基に計6回起きていたことを記者会見で明らかにした。原因が判明しだい、国土交通省に報告するという。

 シンドラー社によると、同様のトラブルは、千葉県浦安市で6月に2回、東京都八王子市で4月と04年11月に計2回、名古屋市で04年11月に1回、広島県で1回(時期不明)起きていた。いずれも96〜97年ごろに据え付けていた。

 このうち広島県で起きたトラブルは、据え付け時の故障だったため、直後に制御基盤を交換したが、他の5件は据え付けから8年程度たっていた。制御装置は、死亡事故が起きたエレベーターを含めてすべて同じタイプだったが、同社は「設置してからの年数との関係も含めて原因を調べている」としている。

 一方、国交省はこの日、シンドラー社のグループ本部の事業最高責任者、ローランド・ヘス氏ら幹部から聞き取り調査を行った。国交省は、同社に製品についての資料を求めるとともに、利用者から苦情を受けた場合の対応や類似の事故事例について今後も聞き取り調査を続ける方針。

エレベーター圧死、ブレーキ異常が原因 ディスクに多数の傷 06/14/06(朝刊、産経新聞)

 東京都港区のエレベーター圧死事故は、ブレーキ異常が直接の原因だったことが13日、警視庁捜査1課の調べで分かった。鑑定した結果、ブレーキディスクに多数の傷が見つかった。これらの傷で利きが悪くなったとみられる。警視庁は「エス・イー・シーエレベーター」など管理会社側が傷を見落とした疑いもあるとみて、業務上過失致死容疑で関係者から事情を聴く一方、事故の再現実験を行うなど裏づけを急ぐ。

 調べでは、人が乗る「かご」はワイヤの反対側につるされた「重り」でバランスが取られており、ブレーキは、かごの巻き上げ機とモーターをつなぐディスクに取り付けられている。モーターへの送電が止まるとブレーキが作動する仕組みで、ドアが開いた状態では制御盤の指示で送電が止まり、重りの重量でかごが上下しないようディスクを押さえつける。

 事故機は救出作業で電源が切られた後、ゆっくり上昇して最上階の天井部に衝突しており、管理会社の社員は「ブレーキが利かなかった」と証言。かごが空になって重りが下がったため上昇したとみられ、送電がないにもかかわらずブレーキが利いていなかった。

 モーターでかごが上昇すると強い負荷がかかるが、遺体の損傷は激しくなかったため、制御盤の誤作動でモーターに送電される誤作動を起こしたとは考えにくい。このため、事故の際も送電がないのにブレーキが利かなかった疑いが強まった。

 警視庁でブレーキを分解して鑑定を進めたところ、アーム部分やバネには異常がなく、ブレーキパッドの摩耗も許容範囲内だったが、ディスクに新旧の無数の傷があることが新たに判明。これらの傷がブレーキの利きを甘くしたとみられるという。

 警視庁では管理会社がこれらの重大な傷を見落とした可能性があるとみて捜査するとともに、事故機などがトラブル続きだったことから、ブレーキ異常につながる構造的欠陥の有無について製造元の「シンドラーエレベータ」側から事情を聴いている。

 過去のトラブルについて管理会社間の引き継ぎがなかったことも明らかになっており、委託元の「港区住宅公社」の安全管理に問題がなかったかについても調べている。

不具合情報は社外秘…エレベーター業界は密室体質 06/14/06(読売新聞)

 東京都港区の高層住宅で都立高校2年の男子生徒(16)がエレベーターに挟まれて死亡した事故では、過去のトラブル情報が製造元のシンドラーエレベータ(江東区)から保守管理会社に引き継がれていなかったが、現状では情報引き継ぎを義務付ける法令などはないのが実態だ。

 またエレベーターメーカーが系列外の管理会社に情報を出し渋るという業界の「悪弊」も背景にはある。

 このため国土交通省は、エレベーターのトラブル情報の引き継ぎや情報開示など、新たなルール作りを進める方針を固めた。

 「メーカーは不具合情報を決して、系列以外の管理会社に漏らさない」。メーカーの系列には属さない、都内の独立系保守管理会社の社長はそう明かす。

 国内で60万〜70万基が稼働中とされるエレベーター。新規設置分のうち、三菱電機や日立製作所など大手5社が9割超。設置後の保守管理も系列会社が受託するのが圧倒的に多い。だが、近年は入札で管理会社を決める官公庁を中心に、安価に業務を請け負う独立系の食い込みが目立つ。

 独立系18社で組織する「エレベーター保守事業協同組合」(豊島区)によると、国内では現在、独立系が五十数社で、全体の約1割の管理を請け負っている。

 だが関係者によると、管理会社が交代すると、元のメーカー系がエレベーターのかごの上部にある動作点検用のスイッチを取り外していったり、閉じこめ時にドアを開ける専用キーを売らないなど、様々な“締め付け”が始まるという。

 「管理会社に黙ってメーカーが機械を直していくこともある。機種に欠陥があっても公表されることはない」と、先の独立系の社長は語る。

 2002年には国内最大手の三菱電機系の「三菱電機ビルテクノサービス」が、独立系に対する保守部品の納入をわざと遅らせたり、不当な高値で売ろうとしたとして、公正取引委員会から排除勧告を受けている。

 これに対し、大手メーカーなどで作る「日本エレベータ協会」は、「情報の引き継ぎなどの問題は、管理会社を変更する際、所有者の責任で対処すべきだ。メーカー側の問題ではない」と話す。

 シンドラー社のケン・スミス社長は12日の会見で、系列外の管理会社2社への情報提供がなかったことについて、「業界ではそれが通常のやり方だが、そういう要求があるまで何もしなかったのは落ち度だった」と非を認めた。

 現在はエレベーターの保守管理に関し、管理会社が代わった際の引き継ぎ義務や、情報開示の仕組みがない。国交省は、国交相の諮問機関に諮るなど、制度化に向けた議論を進める。

エレベーター事故:メンテ価格が3年で4分の1に 06/11/06(毎日新聞)

 事故機の保守点検は98年3月の設置時から03年度まで、随意契約でシンドラー社が行っていたが、費用削減のため04年度から指名競争入札が導入された。その結果、04年度はシンドラー社が347万円で落札して引き続き受注。05年度の日本電力サービスは158万円、06年度のエス・イー・シーエレベーターは115万円で落札していた。

 シンドラー社が随意契約で請け負った03年度の契約額は446万円。メンテナンス価格は、03年度から3年で約4分の1になったことになる。

 業界関係者は「エレベーター業界のうまみは、メンテナンスを受注して、納品後も収益を上げ続けるところにある」と話している。

エレベーター事故:公社が故障内容を保守点検業者に伝えず 06/11/06(毎日新聞)

 東京都港区のマンション「シティハイツ竹芝」で都立高2年の市川大輔(ひろすけ)君がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、このエレベーターが04年11月にブレーキ故障を起こした際の調査内容を、管理者の「港区住宅公社」が、その後、点検を請け負った業者に伝えていなかったことが分かった。今回の事故でも、かごの昇降を止めるブレーキパッドの劣化が事故原因の焦点になっている。メーカーや保守点検業者に加え、同公社にも管理責任という問題が浮上した。【宮川裕章、鈴木泰広】

 事故機のエレベーターは04年11月6日、1階で扉が閉まったままの状態で止まった。翌日には隣の別のエレベーターが扉を開けたまま停止した。たび重なる故障に、港区住宅公社は製造元で保守点検も請け負っていた「シンドラーエレベータ」(江東区)に原因調査を依頼した。

 約10日後、同社が住宅公社に提出した報告書には、事故機の故障について「ブレーキ作動不具合により停止。再調整後、正常に運転を確認。今後このようなことがないよう、一層の注意を払って点検させていただきます」などと書いていた。

 保守点検はその後、05年度は「日本電力サービス」(多摩市)、06年度は「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)が請け負った。しかし、04年11月の報告書をはじめ、22件発生したトラブルについて、公社は後任業者にほとんど伝えなかった。シンドラー社も文書などでの引き継ぎはしなかった。

 毎日新聞の取材に、日本電力サービスは「事故機はやや故障が多いと担当者が聞いただけ」、エス・イー・シーエレベーターは「公社を通じ伝えられた前任会社からの不具合のリポートは3件だった」と話している。住宅公社は「口頭で引き継ぎを指示はしたが、実際に行われたかは最終確認していない」と認めた。

 また公社幹部は「契約期間中に修理をして解決した不具合を、新しい業者に引き継ぐ必要はないと判断していた」と打ち明けた。ある保守点検業者は「トラブルの引き継ぎを業者任せにすること自体、管理者の責任放棄だ」と批判している。

日本も入札の方法や制度について改善や見直しをする必要性がある。 安ければ、品質を無視して購入することにより、問題が起こる可能性を理解させる事件であろう。

シンドラー製エレベータや他のエレベータについて知識がないので一般的なことしか言えない。 設計、製造、組立て及び保守管理のどれかに問題があっても、事故が起こる可能性がある。 設計に問題がなくとも、製造工場や製造ラインの従業員の技術レベルが低い場合、同じ設計で 製造されても品質は違う。欠陥品であれば、保守点検だけでは直せない。また、ソフトや技術 レベルが高い技術者にしか発見できない欠陥や問題は、点検だけをおこなっているサービス マンでは対応できないかもしれない。点検後も頻繁に故障やトラブルがあり、原因を突き止め られなければ、問題がないとは言い切れない。問題の原因がわからないが、今は問題なく 動いているとの判断する場合が一番問題だと思う。点検後、再度問題が発生しなければ、 今は問題がないからとの判断もよいだろう。しかし、再度、頻繁に問題がおこれば同じ対処 で済ませられると判断しなければ問題だ(もちろん、コストで考えると問題が大きくなるまで は、何とか説得するほうが安上がりだが!)

シンドラー社本社幹部、警視庁が来週にも聴取へ 06/08/06(読売新聞)

 東京都港区の区民向け住宅「シティハイツ竹芝」で、高校2年の男子生徒(16)がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、警視庁捜査1課は9日、事故機の製造元の「シンドラーエレベータ」(江東区)のスイス本社幹部が来週来日するのに合わせ、国内で事情聴取する方針を固めた。

 事故機の設計や事故防止の仕組みのほか、同社製のエレベーターが世界各地で起こしている事故・トラブルについても説明を求める。また同課は、スイス本社での製造管理などの実態を調べるため、スイスへの捜査員派遣について検討を始めた。

 シンドラー社は、エレベーターの占有率では世界第2位の大手メーカーで、スイスに本部を置く「シンドラーホールディング」の傘下企業。スイス本社では今回の事故を受け、経営幹部が来週中に来日する意向を示しており、捜査1課は、幹部に対し、任意での事情聴取に応じるよう要請することを決めた。

 同社製のエレベーターを巡って2004年8月、ニューヨーク市内の高層ビルで死亡事故が起きたほか、02年1月にも香港で男児が胸を挟まれて死亡するなど重大事故が相次いでいる。

 また、国内でも32都道府県で、少なくとも459件の故障やトラブルを同社製のエレベーターが起こしていたことが判明。同課ではシンドラー本社が、世界各地や日本国内で起きた事故の情報をどのように収集し、防止策を講じているかについて事情を聞き、同本社が事故を予見できる可能性があったかどうか捜査を進めるものとみられる。

 一方、今回の事故について、シンドラー本社は「製品の設計ミスが事故につながったことを示す証拠は出てきていない」との声明を出し、整備や点検の不備が事故の原因であることを示唆している。このため同課は、こうした主張についても、現地で確認する必要があるとの判断に傾いている。

エレベーター事故:シンドラー製は国有施設で計153基 06/08/06(毎日新聞)

 死亡事故が起きたエレベーターを製造していた「シンドラーエレベータ」(東京都江東区)製が、全国の国有施設104カ所に計153基設置されていることが、国土交通省の調べで分かった。同省はこれらの施設でトラブルがなかったか調査する。

 同社はスイスに本部を持ち、世界各国のエレベーター会社を買収することなどで成長した。現在、110カ国以上に販売網を持つという。日本エレベーター協会などによると、同社の国内シェアは約1%程度だが、大手と比べて価格が安いため、官公庁の入札に強いという。

 一方、事故機と安全装置、制御器、モーターのすべてが同一のものが全国7カ所に12基あることを7日、同省が明らかにしたが、広島市西区地域福祉センター(5階建て)ではこれまでに、途中で停止するなどの不具合が4件発生していた。長野県上田市の上田郵便局は点検が済み、異常は見つからなかった。【種市房子、鈴木泰広】

エレベーター事故:シンドラー社のトラブル、140件 06/08/06(毎日新聞)

 東京都港区のマンションで高校生が死亡したエレベーター事故に絡み、「シンドラーエレベータ」(江東区)が製造したエレベーターのトラブルが少なくとも15都道府県で約140件、判明していることが毎日新聞のまとめで分かった。今月3日に発生した死亡事故を受け、再点検の動きが各地で広がっている。

 毎日新聞の全国の支局などが地方自治体や公共機関などに取材した情報を集約した。それによると、シンドラー社製エレベーターのトラブルが判明しているのは北海道、埼玉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府、福岡県などにある公営住宅や公共施設など。トラブルとして把握された総数は約350件で、このうち「ごみ詰まり」など電気・機械系統の不具合でないことが明らかなものを除くと約140件だった。

 福岡市の福岡中央公共職業安定所では95年、エレベーターが1階から5階に急上昇した後、地下1階まで一気に15メートル下降するトラブルがあった。けが人はなかったが、このエレベーターは99年にも2階と3階の間で停止する不具合を起こしていた。京都市の京都府立植物園の植物園会館では今年4月8日、扉が開かず7人が約30分にわたって閉じ込められた。原因不明で今月7日から運転を休止した。

 さいたま市のさいたま新都心合同庁舎では、00〜05年、扉が開かなかったり、開いたまま動かないトラブルが5件あった。関東地方整備局は事故後、緊急点検を実施した。横浜市鶴見区の市営住宅では、「この3年間で閉じ込めや段差ができるなどのトラブルが相次いでいる」として「子供を1人で乗せないように」と書いた警告書を張り出した。

 東京都営住宅には、同社製のエレベーターが計344基ある。都住宅供給公社が賃貸する住宅や、公社が施工した都民住宅には同社製のエレベーターが計26基。05年4月〜06年2月の間にこれらの住宅で136件の不具合があった。うち、定員オーバーなど乗り方の悪さや溝に異物が入るなどのケースを除いた「電気機械的不良」は50件だった。また大阪市営住宅には同社製エレベーターが計127基あり、03年1月〜今年5月に不具合は167件。このうち、ごみ詰まりなどの「管理不良」を除いた「機器不良(故障)」は37件だった。

 シンドラーエレベータはスイスに本拠を置くシンドラーホールディングの日本法人。同社のホームページや民間信用調査機関によると、グループは世界各国の中小エレベーター企業を買収することなどで成長し、現在、110カ国以上に販売網を持ち、昇降機メーカーとして世界2位のシェアをもつ。日本では85年以降、前身の「日本エレベーター工業」の株式を取得、91年、現社名に変更した。

 日本エレベーター協会や国土交通省などによると、国内では大手3社が合わせて約8割のシェアを持つ一方、同社のシェアは約1%だが、価格が安いため入札に強いとされ、公営住宅や公共施設での割合が高いという。

エレベーター事故と同型ブレーキ、取り寄せ再現実験へ 06/08/06(読売新聞)

 東京都港区の区民向け住宅「シティハイツ竹芝」で今月3日、高校2年の男子生徒(16)がエレベーターに挟まれて死亡した事故で、警視庁捜査1課は8日、事故機と同型のブレーキを「シンドラーエレベータ」(江東区)のスイス本社から取り寄せ、再現実験することを決めた。

 事故は、昇降を制御する「制御盤」の異常が引き起こした可能性が高く、救出作業時の影響を受けていない新品のブレーキに交換し、制御盤の作動状況を検証する。また同課は、管理者側が事故の兆候を見逃していなかったかどうかを調べるため、同住宅で過去に起きた計41件のエレベーターの故障について、住民から聞き取り調査を始めた。

 事故機のブレーキは、屋上にある機械室の巻き上げ機の内部に設置されている。検証では、ブレーキと巻き上げ機には、明らかな異常は見つからなかった。

 しかしその後、事故機が上昇して屋上部分に衝突したため、ブレーキが衝撃などを受けた可能性もある。

 このため、同課は、事故機のブレーキを分解して調べるとともに、新たなブレーキを巻き上げ機に取り付けて再現実験を実施することが不可欠と判断。スイス本社に事故機と同型のブレーキを発注した。

 一方、同課は7日から、過去の故障の状況や、その後の区住宅公社と保守管理会社の対応などについて、住民からの聞き取り調査を始めた。

 すでに一部の住民からは「停止するはずの階を通過して落下した」などと、これまで公社側が把握していないトラブルが寄せられたという。同課は、公社や保守管理会社が、訴えに適切に対応していなかった疑いもあるとみており、トラブルを見逃していた可能性がないか、担当者の事情聴取も進める。

シンドラー社エレベーター、閉じ込め・急降下各地で 06/08/06(朝日新聞)

 閉じこめや誤作動、急降下――。東京都港区で高校生がエレベーターに挟まれて死亡した事故で、7日、警視庁の捜索を受けたシンドラー社が製造したエレベーターは、これまでも各地で不具合が報告されていた。同社製を備えた建物では、事故の後、相次いで運転を取りやめた。日常生活に欠かせないエレベーターの欠陥に、人々の不安が広がっている。

     ◇

 6日午前、広島県呉市坪ノ内町の市営アパートで、シンドラー社製のエレベーターに市内の女性(45)が約45分間にわたって閉じこめられた。

 呉市住宅課によると、女性が1階で降りようとしたところ、ドアが開かなかったという。非常ボタンの警報音を聞いた市施設の相談員が同社広島支社に連絡。到着した技術者が扉を開けた。同社は「何らかの衝撃でドア駆動用のベルトが外れた」と説明しているという。

 茨城県日立市の4階建ての県営住宅では昨年7月、母親と子ども2人がエレベーター内に約1時間閉じ込められた。子どもの一人が「エレベーターに乗りたくない」と恐怖心を抱いたため、家族は12月、市内の別の県営住宅に引っ越したという。

 仙台市の宮城県図書館ではエレベーター5基がシンドラー製。うち4基が過去3年間で、押しボタンが作動しなくなる、フロアより上で停止する――など10件の問題が発生した。いずれも部品交換や調整作業で解消されたという。

 福岡県久留米市の県青少年科学館では03年5月、親子や高校生ら4人が乗ったエレベーターが、扉が閉まったまま1階から3階の往復を繰り返すトラブルがあった。

 20分後駆けつけたメンテナンス業者が、1階でとまったところで扉を非常解除して救助。19歳の女性が気分が悪くなり、病院で治療を受けた。

 兵庫県西宮市住宅保全グループによると、市営団地で98年6月ごろ、小学生の女児が乗ったエレベーターが、7階付近から3階付近まで急降下したと自治会から市に届け出があった。女児にけがはなかったが、当時、シンドラー社が点検したという。

 朝日新聞が調べたところ、シンドラー社製エレベーターでは、都道府県や市などが把握しているだけで、過去3年間に、閉じこめや誤作動など人が乗っている時のトラブルが100件以上報告されている。

シンドラー社を家宅捜索 エレベーター圧死事故 06/07/06(産経新聞)

 東京都港区の港区住宅公社が管理するマンションのエレベーターで都立高校2年、市川大輔(ひろすけ)さん(16)が圧死した事故で、警視庁捜査1課は7日、安全管理に問題があった疑いがあるとして、業務上過失致死容疑でエレベーターを製造した「シンドラーエレベータ」(本部・スイス、日本法人・江東区)など関係先を家宅捜索した。シンドラー社製のエレベーターが全国で不具合を起こしていた事実が次々明らかになり、不安感が広がっていることから、早期の強制捜査が必要と判断した。

 ほかに捜索を受けたのは、港区役所の都市計画課と港区住宅公社、今年4月からエレベーターの保守点検をしていた管理会社「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)など。

 事故機を含めた同マンションのエレベーターは平成9年に製造され、過去3年間に、ドアが開かなくなって中に閉じこめられるなどのトラブルが41件起きていたことが明らかになっている。

 長崎県佐世保市の県営住宅のエレベーターでも今年4月、女性が約1時間閉じこめられる事故があり、女性が精神的ショックから通院を続けているほか、海外でも死亡事故があった事実が判明するなど、全国に6000−8000機あるとされるシンドラー社製のエレベーターに対する不安感が広がっていた。

 発生から5日目という早期の捜索では、事故機の設計資料やトラブルに関する報告書、メンテナンス記録などを押収。捜査1課は専門家を立ち会わせて6日と7日に行った現場検証の結果、ドアが開いた状態では昇降しないようにコントロールするコンピューター制御盤の「ソフト」に加え、ドアが閉まっていないのに上昇を許した「ブレーキ」に問題があり、複合要因で事故が起きたとの見方を強めている。

 機械の問題に加え、不具合が相次いでいながら事故を回避できなかった原因について、トラブルの連絡体制や対処方法にも問題があったとみて、関係者から詳しく事情を聴いている。また8日にも、事故機を使って再現実験を行う方針。

 市川さんは今月3日午後7時20分ごろ、自宅のある港区芝のマンション「シティハイツ竹芝」12階で、自転車にまたがったまま後ろ向きでエレベーターを降りようとした際、エレベーターが急上昇し、自転車ごとエレベーターの床と天井に挟まって窒息死した。

 ドアは人が乗る「かご」側と、各階ごとの両方が全開のままだった。

死亡事故「シンドラーエレベータ」など警視庁が捜索 06/07/06(読売新聞)

 東京都港区の区民向け住宅「シティハイツ竹芝」で今月3日、都立小山台高校2年市川大輔さん(16)がエレベーターに挟まれて死亡した事故で、警視庁捜査1課は7日、事故機の製造元の「シンドラーエレベータ」(江東区)と、同住宅を管理する港区住宅公社など関係先6か所を業務上過失致死容疑で捜索した。

 同住宅のエレベーターは約3年前から、ドアが開かないなどのトラブルが少なくとも41件起きており、捜査1課は、事故の直接の原因とともに、同社や住宅公社の安全管理に落ち度がなかったか捜査を進める。

 一方、国土交通省は、全国に七千数百台あるとみられる同社製エレベーターの設置場所を調査し、所有者に点検を依頼するよう、全都道府県に指示した。

 このほか捜索を受けたのは、港区役所と、今年4月から事故機の保守管理業務を請け負っていた「エス・イー・シーエレベーター」(台東区)、昨年4月から1年間、同業務を委託された「日本電力サービス」(多摩市)など。

 事故は3日午後7時20分ごろ、同住宅の12階で、市川さんが自転車をまたいだまま事故機から降りようとした直後、事故機はドアが全開のまま急上昇し、市川さんは12階の天井とエレベーターの床に挟まれた。

 捜査1課による3日間の現場検証では、モーターやブレーキなど機械本体などには目立った不具合や故障はなかった。また7日、事故後初めて事故機の主電源を入れ、通電状況を確認したが、異常は見つからなかった。このため捜査1課は、事故機の昇降を制御している制御盤を中心に異常があったとみて調べている。

 一方、事故機のほかにもシンドラーエレベータ製のエレベーターでは、人が閉じ込められるなどの故障やトラブルが全国各地で相次いでいることから、捜査1課は、こうしたトラブルについて同社がどのように認識していたかについても調べを進める。

 国交省によると、事故機と全く同一の安全装置、制御装置が使われているエレベーターは東京都と長野、広島、福岡各県に計12台あり、緊急点検を要請した。

エレベーター事故:トラブル頻発、数カ月前から 怒る住民 06/04/06(毎日新聞)

 「トラブルばかりでおかしいと思っていた」。都立高2年、市川大輔君(16)がエレベーターに挟まれて死亡した東京・港区のマンションは、数カ月前から突然止まるなどたびたびトラブルを起こしていた。しかし、運営している区に報告が来たのは3日夜、死亡事故が起きた後だった。住民たちは安全なはずのエレベータでの事故に不安と怒りを口々にぶつけた。【曽田拓、永井大介】

 現場のマンション「シティハイツ竹芝」(23階建て)は98年4月に区が開設した。1〜7階が港区立障害保健福祉センターなど福祉施設で、8〜23階が区民向け住宅になっている。区は住宅部分を同区住宅公社に委託・管理させている。

 建物内にはエレベーター5基があり、うち2基が住宅用で、1〜7階は止まらず8階まで直行するようになっていた。

 事故が起きたエレベーターは、今冬からたびたびトラブルが起き、住民の間で問題になっていた。

 20階にすむ男性会社員(39)は、自宅からエレベーターで地下駐車場へ降りようとしたところ、開くはずのない4階で突然止まり、今度はドアが開いたままエレベーターが動かなくなった。この男性の妻(40)も別の日に地下駐車場へ降りたところ、ドアがしばらく開かなかったという。妻は「こんな事故が起きるなんて不安だ」と表情をくもらせた。

 また、21階に住む男性(27)は、エレベーターで自宅がある21階まで上がった際、エレベーターと出口に数センチの段差ができていたこともあったという。「途中の階で突然止まったという話はよく聞いた」と怒る。

 最近は1カ月に1度の割合でエレベーターの点検をしていたが、そのたびに、「点検をしたが、異常はなかった」とする張り紙が掲示されていたという。

  ◇  ◇

 事故を受け、武井雅昭港区長は午後11時半から区役所で会見。「亡くなられた方に心からごめい福をお祈りしたい。区としても今後情報を得て、適切な対応をとりたい」と述べた。

 会見に同席した区都市計画課幹部によると、エレベーターの故障などがあった場合は、公社から区に報告することになっていたが、これまで報告はなかった。今回事故が起き、区の担当者が現場に行って初めて、公社担当者が「住民からの苦情があり、エレベーター管理会社が点検したことがある」と報告したという。【永井大介】

 ◇野球部でレギュラーに 両親、姉と暮らす市川君

 近所の人によると、亡くなった市川君は、両親と姉と現場のマンションに住んでいた。中学、高校と野球部に所属。今春からはセカンドでレギュラーになり張り切っていたという。事故の連絡を受けて駆けつけた野球部の監督は「まじめで静かに闘志を燃やすタイプだった。こんなことになるとは信じられない」と言葉少なにマンションへ入った。地域の祭りのおはやし会で踊ったりすることもあったという。その会の主婦(53)は「少しはにかみ屋だったけど、会えばあいさつする元気な子だったのに」と声を詰まらせていた。

 ◇「考えられないトラブル」 保守・点検業者

 エレベーターの保守・点検を行う業者は「考えられないトラブルだ」と口をそろえた。

 関東地方のある業者は「エレベーターは扉が閉まらなければ動き出さない仕組みになっている。造った段階でそういう検査をパスしたから設置されているはず。こういう事故やトラブルはまったく聞いたことがない。思い当たる原因はない」と話した。

 また、関西地方のある業者も「通常では、とても考えられない事故だ。事故があった(シンドラー社の97年製)エレベーターはコンピューターで制御されており、ドアが閉まらないまま、動き出すことはありえない」と驚いていた。

 ◇同機種の調査「必要かも」 国交省

 国交省によると、エレベーターは通常、厳重な安全装置が付いており死亡事故が発生することはほとんどないという。同省住宅局幹部は「事故の報告はまだ受けていないが、安全装置は建築基準法などで厳しく定められている。港区などの調査結果によっては、同種のエレベーターの調査をする必要があるかもしれない」と話している。

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