ライブドア事件

★HOME
★監査・検査は無意味か!会計監査 ★シンドラーエレベータ死亡事故 ★村上ファンド事件
★防衛施設庁談合事件


粉飾決算加担、ライブドア会計士の控訴棄却 09/26/07(読売新聞)

 ライブドア事件で粉飾決算に加担したとして、旧証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた公認会計士・小林元被告(53)の控訴審判決が26日、東京高裁であった。

 中川武隆裁判長は「ライブドアの監査では、後任の公認会計士に強い影響力を行使して犯行に関与しており、責任が軽いとは言えない」と述べ、懲役1年、執行猶予4年とした1審・東京地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。

 判決によると、小林被告は、元同社社長・堀江貴文被告(35)(上告中)らと共謀し、ライブドアの2004年9月期連結決算で、同社株売却益などを売り上げに不正計上し、約3億円の赤字を約50億円の黒字と偽った。小林被告は無罪を主張していた。

ライブドア・熊谷被告、控訴取り下げで有罪確定 06/29/07(読売新聞)

 ライブドア事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われ、1審・東京地裁で懲役1年、執行猶予3年の判決を受けたライブドア元代表取締役・熊谷史人被告(29)は29日、控訴を取り下げた。

 熊谷被告の有罪が確定した。弁護人は控訴取り下げの理由について、「コメントできない」としている。

 これにより、ライブドア元幹部5人のうち3人の有罪が確定。1審で実刑判決を受けた前社長・堀江貴文(34)、元取締役・宮内亮治(39)の2被告は控訴している。

ライブドア事件、公認会計士に実刑判決…東京地裁 03/23/07(読売新聞)

 ライブドア事件で粉飾決算に加担したとして、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた公認会計士・久野太辰(42)、同・小林元(52)両被告の判決が23日、東京地裁であった。

 小坂敏幸裁判長は「公認会計士に与えられた崇高な使命を忘れ、その職責を放棄しており、監査制度や公認会計士に対する社会的信用を著しく失墜させた」と述べ、久野被告に懲役10月(求刑・懲役1年6月)、小林被告に懲役1年、執行猶予4年(同)の有罪判決を言い渡した。

 日本公認会計士協会によると、粉飾決算など同法違反に問われた公認会計士が実刑判決を受けたのは初めてという。一連のライブドア事件での実刑は、前社長・堀江貴文被告(34)、元取締役・宮内亮治被告(39)に続いて、3人目となった。

 2人は、ライブドアの2004年9月期連結決算で、有価証券報告書に虚偽の内容が記載されているのを知りながら、監査で問題がないとする適正意見を付けたなどとして在宅起訴されたが、公判では、堀江被告ら旧経営陣と共謀した事実はないなどとして無罪を主張していた。

 判決はまず、捜査段階の供述やメールのやりとりから、「犯行の隠ぺい行為に積極的にかかわった」と、2人と旧経営陣との共謀を認定。その上で、「公認会計士として社会から託された職責を果たさず、堀江被告らの粉飾を是認した。ライブドアが一般投資家を欺くのを阻止できたにもかかわらず、それを助長した責任は重い」と厳しく批判した。また、不正の発覚を防ぐため2人が粉飾の仕組みを複雑化させた点についても、「専門知識を悪用しており悪質だ」と述べた。

 判決は、ライブドアの監査責任者で、適正意見を付けた監査報告書に署名した久野被告について、「犯行に加担した動機はライブドア関連の収入を確保することにあり、自己の経済的利益を投資家の利益に優先させた」とし、「職責の重さや結果の重大性からすると実刑をもって臨まざるを得ない」と述べた。

 一方、久野被告の前任者で、粉飾決算が行われた年の前年までライブドアの監査を担当していた小林被告については、事件当時は監査法人を脱退し、監査意見について責任を持って決定する立場になかったことなどから、執行猶予付きの判決とした。

ライブドア事件:会計士の久野被告に実刑 東京地裁判決 03/23/07(毎日新聞)

 ライブドア(LD)事件で、粉飾と知りながら「適正」との監査意見を付けたとして証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に問われた公認会計士の久野太辰(ひさのたいしん)被告(42)に対し、東京地裁は23日、懲役10月(求刑・懲役1年6月)の実刑判決を言い渡した。小坂敏幸裁判長は「専門家としての崇高な使命を忘れて職責を放棄し、監査制度や会計士に対する社会的信用を著しく失墜させた」と厳しく非難した。

 1審で実刑とされたのは前社長の堀江貴文被告(34)=懲役2年6月、控訴=と前財務担当取締役の宮内亮治被告(39)=同1年8月、同=に続き3人目。久野被告は在宅起訴されており、実刑は異例。粉飾によって見せかけの成長を装い投資家を欺いたとされるLD商法への裁判所の厳しい姿勢が鮮明になった。

 ともに在宅起訴された公認会計士の小林元(もとし)被告(52)については「事件当時はLD担当の監査法人を脱退していた」などとして、懲役1年、執行猶予4年(求刑・懲役1年6月)を言い渡した。

 公判で久野被告らは、粉飾に利用したとされる投資事業組合(ファンド)の中身は知らず、ファンドを通じたLD株売却益の売上高計上を違法と認識していなかったなどと無罪を主張。しかし判決は「粉飾と認識し、それを阻止し得たのに、自分の収益のために是認したばかりか、発覚を防ぐために忠告した結果、一部のファンドが組成された」と認定した。

 判決によると、両被告は堀江前社長らと共謀。監査を担当したLDの04年9月期連結決算で、LD株売却益37億円余を違法に売上高計上するなど計53億円余を粉飾した有価証券報告書に「適正」の意見を付け、関東財務局に提出した。【篠田航一】

 ▽岩村修二・東京地検次席検事の話 監査にかかわる者の責任の重みを適切に評価したものと受け止めている。

 ◇解説…「暴走」助長を断罪

 ライブドア(LD)事件で、粉飾を知りながら「適正」とする監査意見を出した公認会計士、久野太辰被告(42)を実刑とした23日の東京地裁判決は、企業の「暴走」をチェックする職責を放棄した責任を厳しく問う内容となった。

 粉飾決算事件では、カネボウの事件でも公認会計士3人が有罪になったが、いずれも執行猶予が付いた。カネボウが有価証券報告書に虚偽記載した粉飾額は800億円超で、50億円超とされるLDよりはるかに巨額だった。しかも、カネボウでは2人が2年度に渡り粉飾に加担し、3人とも逮捕されたが、LD事件は単年度で、久野被告らは在宅起訴。それだけ実刑の重みが際立つ。

 この日の判決は「粉飾額自体は過去の事例に比べ必ずしも高額ではない」としながらも、LDが一般投資家を欺き自社の利益のみを追求した詐欺的な粉飾を、会計士らが阻止できる立場にありながらむしろ助長した点を重視した。かつての「護送船団方式」に代表される「事前規制・行政調整型」の社会から、規制を撤廃しながら結果責任を厳しく問う「事後監視・司法チェック型」に移行する中で、チェックを業とする専門家が時代の要請に応えなかった責任の大きさを真正面から問いかけたと言える。

 判決は「監査対象企業から不当な圧力があったとしても、その事実こそ一般投資家に明らかにすべきだ」とも指摘し、今後の会計監査の健全化へ向けたメッセージを発した。会計士はこの判決を盾に、企業からの「不当な圧力」を拒否することが期待される。【篠田航一】

ライブドア・堀江被告、懲役2年6月の実刑判決 03/16/07(読売新聞)

 ライブドア事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載、偽計・風説の流布)の罪に問われた前社長・堀江貴文被告(34)の判決が16日、東京地裁であった。

 小坂敏幸裁判長は、堀江被告がすべての犯行の「中心的な役割を担った」と指摘した上で、「一般投資家を欺き、その犠牲の上に立って企業利益のみを追求した犯罪で、強い非難に値する」と述べ、堀江被告に懲役2年6月(求刑・懲役4年)の実刑を言い渡した。

 証券取引法違反の罪だけに問われた被告への実刑判決は、極めて異例だ。堀江被告は控訴する方針。

 堀江被告は、ライブドア本体の粉飾決算と、関連会社の企業買収などを巡る虚偽情報の発表という二つの事件の「首謀者」として起訴されたが、一貫して無罪を主張していた。

 粉飾決算では、投資事業組合(ファンド)を使った自社株売却益の売り上げ計上が違法かどうかが最大の争点になった。

 判決は、「ファンドは、会計ルールで禁じられた自社株売却益の売り上げ計上を可能にする目的で設立された。こうした脱法目的のファンドの存在は許されない」と述べ、ファンドを使った売り上げ計上を違法な粉飾と認定。さらに、「本来は利益の発生し得ないところに利益が発生しているように偽り、見せかけの成長を装った」と指摘した。

 また、買収予定2社を使って架空売り上げを計上したとされる点や、関連会社の決算や企業買収に絡んでウソの情報を公表したとされる点も、「買収先の企業価値を過大評価しており、公表内容は虚偽だった」などと述べ、違法とした。

 弁護側は、「被告に犯意はなく、当時の側近らとの共謀もなかった」とも主張したが、判決は、元代表取締役・熊谷史人被告(29)や元取締役・宮内亮治被告(39)の供述や証言が、メールなどの客観的証拠にも符合していると信用性を認め、すべての事件を堀江被告が指示・了承していたと判断した。

 さらに、判決は「一部を除き、犯行を主導したとまでは言えない」としつつ、「虚偽情報にほんろうされる投資家への配慮といった上場企業の経営者としての自覚は、みじんもない」と指弾。

 「多額の被害を受けた株主や投資家に対する謝罪の言葉を述べることもなく、反省の情は全く見られない」と、実刑を選択した理由を述べた。ライブドア事件では、堀江被告と元側近4人、公認会計士2人の計7人と、ライブドアなど2法人が起訴された。一連の事件で堀江被告は最初の判決となった。

          ◇

 堀江被告は閉廷後、いったん東京地検に身柄を拘束されたが、弁護人が東京地裁に保釈を請求した。認められれば、保釈金を納付した後、再び保釈される。

ライブドア判決:堀江被告に実刑 懲役2年6月 東京地裁 03/16/07(毎日新聞)

 証券取引法違反(偽計・風説の流布、有価証券報告書の虚偽記載)に問われたライブドア(LD)前社長、堀江貴文被告(34)に対し、東京地裁(小坂敏幸裁判長)は16日、懲役2年6月(求刑・懲役4年)の実刑判決を言い渡した。

 事件では、前社長やナンバー2だった前財務担当取締役、宮内亮治被告(39)らLD元幹部5人と、監査を担当した公認会計士2人の計7人、LDと関連会社ライブドアマーケティングの2法人が起訴されたが、判決は前社長が初めて。前社長は捜査段階から一貫して無罪を主張していた。

 公判では▽事件は前社長の主導か▽投資事業組合(ファンド)を介した自社株売却益の売上高計上は可能か▽前社長が粉飾を指示したとの宮内被告の証言は信用できるか−−などが争点となった。

 検察側は「宮内証言」は信用できるとしたうえで、事件はすべて前社長が主導したと位置付け、粉飾も指示したと主張。ファンドはダミーで、自社株売却益は資本に計上すべきで売上高計上は違法と強調していた。

 これに対し前社長側は、ファンドには実体があるため、自社株売却益はファンドからの配当に当たり、売上高計上できると反論。宮内被告は自らの横領疑惑に捜査が及ぶことを恐れ、検察と取引して「堀江主導」を証言したと主張していた。

朝日新聞(2006年12月23日)より

堀江被告に懲役4年求刑 

検察「反省なし、保身に終始」

ライブドア公判:堀江被告「目立ち過ぎてすきできた」 10/28/06(毎日新聞)

 証券取引法違反に問われたライブドア前社長、堀江貴文被告(34)の東京地裁公判は28日、証拠調べを終え、小坂敏幸裁判長は、検察側の論告求刑を次回12月22日、弁護側の最終弁論を来年1月26日と指定した。弁護側による大鶴基成・東京地検特捜部長らの証人申請は却下した。これにより、来春にも堀江前社長に判決が言い渡される見通しとなった。最後の被告人質問で堀江前社長は、裁判所に対して「公平に審理して頂いており、ありがたい」と述べた。

 この日は裁判長から質問され、堀江前社長は「役員を信頼していたが、請求書や見積書をもっとちゃんと見ればよかった。調子に乗り、成長ばかりに目がいき、組織固めができていなかった。目立ち過ぎてすきができた」と供述。「僕の発言も悪かった。『あいつは怪しい』と思われ、洗いざらい調べられた。甘かった」と振り返った。

 そのうえで「もっとコミュニケーションをとればよかった。スピード重視で会社を回してきたが、それがゆがんだ形でとりあえず事件になった。因果関係がないことはない」と述べた。今も残る社員には「僕のせいでつらい思いをさせて申し訳なかった。誇りを持って頑張ってほしい」と謝罪した。しかし、粉飾の指示については「絶対にないです。自信あります」と改めて否定した。【篠田航一】

堀江被告「論理破たんしてる」、検察の質問手法に反発 11/21/06(読売新聞)

 ライブドア事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた前社長・堀江貴文被告(34)の公判が21日、東京地裁で開かれ、4回目の被告人質問が行われた。

 堀江被告は検察側の質問手法に激しく反発、弁護側も「個別の質問に対して黙秘権を行使させる」と通告するなど、波乱の展開となった。

 弁護側は、検察側が堀江被告が元側近らと交わしたメールを示さずに質問をしようとしたり、事前に開示していないメールに基づく質問をしようとしたりしたことに対し、「記憶を混乱させている」と批判。堀江被告も、検察官に「提示すりゃいいじゃないですか」と猛反発した。検察側がメールの一部分だけ読み上げると、今度は「一部分だけあげつらうのは、どうかと思いますよ」と憤った。

 検察官も堀江被告の態度に、「あなたの要望を受け入れる場ではない」と反論したため、激しい応酬となり、堀江被告は「論理が破たんしている」と吐き捨てた。

 この結果、午前中の公判では、メール内容については、具体的な公判供述が得られないまま終了した。

ライブドア公判:堀江被告、粉飾を認識…熊谷被告が証言 10/17/06(毎日新聞)

 証券取引法違反に問われたライブドア前社長、堀江貴文被告(33)の17日の東京地裁(小坂敏幸裁判長)公判に、前代表取締役の熊谷史人被告(28)=分離公判中=が初めて証人出廷し、堀江前社長が粉飾を認識していたと証言した。熊谷被告は「15億円の粉飾は堀江さんに報告しながら進めていただけに、いまだに『知らない』というのは非常にショックを受けている」と述べた。起訴された同社元幹部5人のうち、堀江前社長を除く全員が、事件への前社長の関与を証言した。

 熊谷被告は「今でも堀江さんを尊敬し、(事実は)検察のシナリオとかなり違うところもあると思うが『すべて知らない』ということはないと思う。堀江さんが管轄する事業部門の赤字の埋め合わせのため部下が気を利かせてやっていたのに『知らない』というのは正直悔しい」などと述べた。堀江前社長は神妙な面持ちで聞いていた。

 熊谷被告によると、04年9月期の連結決算で、のちに子会社となる2社への15億円超の架空売り上げ計上に問題があると公認会計士から指摘された。「架空性が指摘されてますが、私が何とかします」と伝えると、堀江前社長は「熊ちゃん頑張って」と答えた。熊谷被告は「頑張ってというのは『ここは乗り切れ』という意味。堀江さんは架空性を理解していたはずだ」と述べた。【佐藤敬一、篠田航一】

ライブドア公判:堀江前社長に粉飾仕組み報告 宮内証言 07/14/06(朝日新聞)

 証券取引法違反に問われたライブドア(LD)前社長、堀江貴文被告(33)の第5回公判が15日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)であり、前財務担当取締役、宮内亮治被告(39)=分離公判中=が証人出廷した。宮内被告は、03年秋にLDが株式交換で企業買収するのに伴い、資金調達のため堀江前社長の保有するLD株を借り受けて売却する手法について「堀江に報告された」と証言。粉飾決算につながる仕組みを堀江前社長が認識していたと指摘した。

 宮内被告の証人尋問はこの日が初めて。自身の公判では起訴事実を大筋で認め、堀江前社長の粉飾への関与について「事前に報告し、了承を得ていた」と述べていた。

 この日、宮内被告は、携帯電話販売会社「クラサワコミュニケーションズ」の買収前、投資事業組合(ファンド)を介在させてLD株を売却する仕組みを、野口英昭エイチ・エス証券元副社長(自殺)が提案したと証言。「誰が株を貸しているか分からないようにした方が市場からの悪影響もないと提案した。提案が報告された03年9、10月ごろのLD定例会議には堀江前社長も出席していた」と述べた。【篠田航一】

 午前10時、東京地裁104号法廷。堀江前社長は初公判から着用し続けているスーツにグレーのネクタイ姿。宮内被告が入廷して証言台に進んだ際、2人は互いの顔をちらりと見た。直接会うのは1月の逮捕前以来。裁判長の方を向いて尋問に答えていく宮内被告は、堀江前社長のことを「堀江」と呼んだ。前社長は腕を組んだり、メモを取りながら見守った。

 「自分の責任にして堀江を守ろう」。1月の強制捜査後、宮内被告は元幹部に呼び掛けた。しかし、堀江前社長が保身の態度を見せたため、「うそをついてまで守ることはない」と決別を宣言。宮内被告自身の公判で「M&A(企業の合併・買収)に関して堀江前社長に一番発言権があった」と証言した。証人出廷については関係者に「淡々とやるしかない」と話していたという。

 一方、堀江前社長は、宮内被告らについて、周囲に語ることはないという。弁護側は4日の初公判の冒頭陳述で、昨年暮れの宴席で宮内被告が「LDはおれの会社だよな」と堀江前社長に言い、前社長は「僕は表の顔としてPR活動頑張ります」と答えたというエピソードを紹介。「車の両輪として実質的に対等の立場。(事件に問われた)ファイナンス部門は宮内被告が担当していた」と指摘した。

宇宙旅行計画のライブドア元役員、30億円を申告漏れ 07/14/06(朝日新聞)

 ライブドア(LD)元役員で投資家の榎本大輔氏(35)が東京国税局の税務調査を受け、04年分までの3年間の株売却益を全く申告していなかったとして、約30億円の申告漏れを指摘されたことが分かった。うち約5億円は他人名義で売買した株の売却益で、悪質な所得隠しと認定されたという。追徴税額は無申告加算税や重加算税を含め3億数千万円とみられる。

 榎本氏は、日本人初の宇宙観光客。旅行代金の約23億円は、主に株売却益が充てられたという。

 関係者によると、榎本氏は02年、自ら設立したソフトウエア開発会社をオン・ザ・エッヂ(現LD)に株式交換で売り、同社取締役になった。03年6月に退社。同社株売却益などを元手に複数のIT企業の株を購入し、04年までに約30億円の売却益を得たとされる。

 ところが榎本氏はこれらの売却益を全く申告していなかった。また、売却益のうち約5億円は知人名義の口座を使って得ており、国税局はこの分を意図的な所得隠しと認定し、重加算税の対象とした模様だ。

 榎本氏は一連の株取引にあたって、投資家の納税手続きの一部を証券会社が代行する「特定口座」を利用。同口座には、証券会社が投資家から税を源泉徴収して納税する方式と、証券会社が作ってくれる年間取引報告書を使って投資家が自ら申告する方式の2種類がある。榎本氏は後者を選んでいたという。

 榎本氏は千葉県出身。高校卒業後に米国の大学に留学。オン・ザ・エッヂ退社後は投資ビジネスを続け、資産総額は一時、約50億円に達した。

堀江被告の保身嫌気、宮内被告が“決別”決意 05/23/06(読売新聞)

 ライブドア事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)の罪に問われた同社前取締役・宮内亮治被告(38)が、前社長・堀江貴文被告(33)の関与を東京地検特捜部に供述したきっかけは、事件発覚後に堀江被告が見せた配慮に欠けた態度だったことが関係者の話で分かった。

 宮内被告が26日に東京地裁で開かれる初公判で、起訴事実を認める方針を固めたことも判明した。分離された裁判で堀江被告は無罪を主張しており、裁判で元トップと元ナンバー2が真っ向から対立する構図となる。

 関係者によると、宮内被告は、今年1月16日にライブドア本社などが捜索された直後には、ライブドアが上場廃止を免れるためにも堀江被告をかばおうと考えていた。そして、堀江被告ら幹部が集まり、捜査への対応を協議した会議で、宮内被告は「社長だけは守るべきだ。調べを受けたら、おれが全部決めたと言えばいい」と提案した。ところが、堀江被告は、宮内被告の心中を推し量る様子も見せず、「おれ何も知らないよね」と、自分の関与を否定する発言を繰り返したという。

 堀江被告に自己保身の姿勢を感じ取った宮内被告は、「堀江被告をかばうのはバカらしい」と、堀江被告との“決別”を決意。1月23日に特捜部に逮捕されて以降、こうした心境や堀江被告が一連の粉飾工作などに関与していた経緯を供述していた。宮内被告は26日の初公判で起訴事実を認めたうえで、ライブドアの2004年9月期連結決算で、自社株売却益を売り上げに不正計上したとされる点について、「当時は違法だと思っていなかった」と情状酌量を求めるとみられる。

“前哨戦”早くも激突…弁護側150項目釈明要求 05/10/06(読売新聞)

 ライブドア事件の「主役」に対する裁判の“前哨戦”が始まった。

 10日午前、東京地裁で行われた前社長堀江貴文被告(33)の第1回公判前整理手続き。迅速な裁判を実現するために導入された新制度の下、堀江被告を事件の主犯と位置づけ、200点以上の証拠を事前に開示した検察側に対し、弁護側は約150項目に及ぶ釈明を求め、早くも激しいつばぜり合いが繰り広げられた。

 「ライブドア商法」――。関係者によると、検察側は事前に弁護側に示した証明予定事実の中で、2001年ごろからライブドアが粉飾のために自社株を売却して売り上げに計上し市場を欺いてきた手法を、そう命名した。

 粉飾を重ねることで、会社を大きく見せてきたという構図を描いた。

 これに対し、弁護側は、起訴事実はあくまで04年の粉飾決算や虚偽発表で、こうした01年からの経緯は争点とは関係ない、という立場。「肝心のことが書いておらず、争点整理が出来ない」と反発し、証明予定事実を補充して再提出するよう求めたという。

 この日の手続きでは、ライブドア関連会社による企業買収などについて、弁護側が書面で釈明を求めた点について、検察側が具体的に回答する場面もあった。

 堀江被告の主任弁護人の高井康行弁護士は、元東京地検特捜部検事。司法制度改革では、政府の検討会の委員を務め、裁判員制度や公判前整理手続きの制度設計を手掛けている。

 一方、堀江被告は4月27日に保釈されて以降、自宅のある東京・六本木ヒルズにこもる生活を送り、この日も東京地裁には姿を見せなかった。会うのは弁護人やヒルズ内の知人程度で、大型連休は主に、検察側から開示された証拠など裁判資料を読んだり、弁護人と打ち合わせをしたりして過ごしたという。

 拘置中に読んだ小説の影響で「山に登ってみたい」とも話しているが、実現する見通しは立っていない。

ライブドア:堀江被告、全面対決 第1回公判前整理手続き 05/10/06(毎日新聞)

 証券取引法違反(偽計、風説の流布、有価証券報告書の虚偽記載)に問われたライブドア前社長、堀江貴文被告(33)の第1回公判前整理手続きが10日、東京地裁(小坂敏幸裁判長)で開かれた。堀江前社長側は起訴事実をすべて否認し、全面的に争う姿勢を示したうえで、三つの主な争点を提示した。今夏にも予想される初公判を前に、弁護側と検察側の攻防が全面対決の構図で始まった。【佐藤敬一、伊藤一郎】

 手続きは非公開で、裁判官3人と検察官3人、弁護人2人が集まり、午前11時から1時間近く行われた。堀江前社長は出席しなかった。

 弁護側は8日に▽起訴事実を否定する認否書▽起訴事実と証明予定事実(冒頭陳述の簡略版)に対する疑問について説明を求める求釈明書を提出。認否では、株や資金の流れなど外形的な事実は認めたものの「偽計や風説の流布に問われた公表内容が虚偽との認識はなかった」などと主張。求釈明では「粉飾とされる自社株売却益の還流の仕組みを作った経緯や、他の被告との共謀の経過が不明」などと具体的な説明を求めた。

 これらを基に、この日の手続きでは(1)共謀の成立過程(2)堀江前社長の認識(3)企業買収が自社株売却益の還流目的だったかどうか−−の3点が主な争点になると、弁護側が提示した。検察側は求釈明に対する回答を「補充書」として今月30日までに提出することに合意。公判日程についての協議はなかった。第2回公判前整理手続きは6月7日に開かれる。

 起訴状によると、堀江前社長は04年10月25日、関連会社の株価をつり上げる目的で、既に実質支配していた情報誌出版会社を関連会社が子会社化すると虚偽公表。11月12日には、関連会社が赤字だったのに、経常黒字との虚偽事実を公表した。04年9月期連結決算では自社株売却益を本来は認められない売上高に計上、子会社2社への架空売り上げも計上し、53億円余の粉飾決算をした。

 ◇堀江前社長「山登りに行きたい」…「沈まぬ太陽」読んで

 堀江前社長は、保釈直後はあまり眠れない様子だったが、徐々に十分な睡眠を取れるようになったという。関係者は「過ぎたことは仕方がないと考えるタイプで悲観的な感じはまったくない」と明かす。開示された部下らの供述調書に目を通し、公判の準備を進める毎日という。

 また、85年の日航機墜落事故を題材とした山崎豊子氏の小説「沈まぬ太陽」を拘置中に読んで影響を受け「山登りに行きたい」と話しているという。関係者は「狭い独居房で長く過ごしたため、開放的で自然の豊かな場所に出たいと思うのだろう」と推し量る。

ライブドア事件:2会計士、在宅起訴 「契約切られたくなかった」 03/31/06(毎日新聞)

 ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)らによる粉飾決算事件で、東京地検特捜部は31日、起訴対象となった04年9月期連結決算の監査を担当した港陽監査法人(横浜市)所属の久野太辰(ひさのたいしん)(41)▽元同監査法人所属の小林元(もとし)(51)両会計士を証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で在宅起訴した。両会計士は「大きな顧問先なので契約を切られたくなかった。以前から見逃していたので、他の監査法人が入ると自分たちの粉飾見逃しが発覚すると思った」と供述しているという。

 ライブドアを巡る一連の事件のうち、粉飾決算についてはこれで捜査を終えた。

 起訴状などによると、両会計士は堀江前社長らと共謀し、ライブドアの同期連結決算で、本来は売り上げと認められない自社株売却益37億円余や、子会社2社に対する架空売り上げ15億円余を売上高として計上。実際には3億円余の経常損失だったのに50億円余の経常利益と記載し、計53億4699万円を粉飾した有価証券報告書に「適正」と記載した監査報告書を添付して関東財務局に提出した。

 久野被告は同監査法人の代表社員として監査報告書の作成に関与。小林被告は03年12月に同監査法人を脱退後、ライブドア前財務担当取締役の宮内亮治被告(38)が設立したコンサルタント会社「ゼネラル・コンサルティング・ファーム」(横浜市)の代表取締役を務め、実質的な監査の責任者として指示や助言をしていた。

 両会計士は30日、証券取引等監視委員会から同法違反容疑で特捜部に告発されていた。

ライブドア決算粉飾、公認会計士2人を在宅起訴 03/31/06(朝日新聞)

 ライブドア(LD)の粉飾決算事件で、04年9月期の連結決算が粉飾されている事実を認識していたにもかかわらず、有価証券報告書に「適正」意見を付けたとして、東京地検特捜部は31日、「港陽監査法人」(横浜市)の代表社員の久野太辰・公認会計士(41)、元代表社員の小林元・公認会計士(51)の2人を証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で在宅起訴した。

 2人は容疑を認め、「LDは大きな契約先で、粉飾を認めないことで関係を切りたくなかった。過去の粉飾も見逃しており、不正が発覚するのを恐れた」と供述。久野会計士は「LDとの関係を生かし、ほかのベンチャー企業の監査先も増やすつもりだった」と話しているという。久野会計士の監査報酬は2000万円だったとされる。

 調べでは、2人は同期の監査で粉飾を指摘しながら、LD側から依頼を受けて意見を撤回。その際、具体的な資料名を挙げ「書類がないと適正意見は出せない」と、粉飾を隠す資料をそろえるようほのめかしていたという。

 特捜部によると、久野会計士が04年9月期の監査を担当。小林会計士は同監査法人を退職後も別のコンサル会社でLDの経理業務をしながら、先輩格として久野会計士に指示・助言を行うなど同期の監査に関与した。コンサル会社はLDグループから総額1億円の報酬を受けていたという。

ライブドア粉飾、2会計士「適正意見」拒む 03/30/06(読売新聞)

 ライブドアの2004年9月期の粉飾決算事件で、監査を担当した港陽監査法人(横浜市)の公認会計士3人のうち2人が、この決算に疑問があるとして、監査報告書への「適正意見」表明を拒否していたことが、関係者の話で分かった。

 証券取引等監視委員会は30日午後、監査の責任者として適正意見を出した担当会計士(41)と、前年まで同社の監査をしていた同監査法人OBの会計士(51)を、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で東京地検に告発する。

 告発される2会計士とは別に、同監査法人では、監査報告書の形式を整えるため、適正意見表明を拒んだ会計士の代わりに、直接担当していなかった別の会計士が署名に加わっていたことも判明した。

 監視委などの調べでは、ライブドアは04年9月期連結決算で、自社株売却益や買収予定の2社の預金を売り上げに不正計上。約3億円の経常赤字だったのに、約50億円の経常黒字だったように粉飾していた。

 関係者によると、港陽監査法人は同年12月、同社決算について審査会を開いた際、監査の責任者だった会計士は「決算期末に(買収予定の)2社からの広告費やコンサルタント費が集中している。単価も高く、不自然だ」と説明。一緒に担当した会計士2人は「監査報告書に署名できない。手を引きたい」と発言した。

 ところが、責任者だった会計士は自ら疑問を示す一方、「書類はそろっている。監査役の弁護士から『取引は適正』との意見書も得ており、グレーかもしれないが黒ではない」とも述べ、説得。公認会計士法では上場会社は複数の会計士で監査しなければならないため、「意見を表明しなければ市場に大きな影響を与える」と、監査を直接担当していなかった別の会計士が、責任者だった会計士と共に名を連ね、「決算は適正」との監査報告書をライブドアに提出した。

 OBの会計士はこの過程で、預金付け替えの送金手続きなどを行っていた。

 審査会に出た会計士の1人は「粉飾の可能性を否定できなかったが、ライブドアの有価証券報告書の提出期限まで時間がなく、手の打ちようがなかった」と話す。

 適正意見に急きょ、名を連ねた会計士は「今は何も話せない」としている。

ライブドア:会計士を告発へ、粉飾加担の疑い 証券監視委 03/30/06(毎日新聞)

 ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)らによる粉飾決算事件で、起訴対象となった04年9月期連結決算の監査を担当した公認会計士らが粉飾を認識しながら加担していたとして、証券取引等監視委員会は30日にも証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で東京地検特捜部に告発する方針を固めた模様だ。

 告発されるのは、当時ライブドアの監査を担当した港陽監査法人(横浜市)所属の会計士と、03年12月まで同監査法人に所属し、ライブドアと関係の深いコンサルタント会社「ゼネラル・コンサルティング・ファーム」(同)の代表取締役を務めた会計士の計2人。いずれも特捜部の任意聴取に事実関係を認めているとされる。

 04年9月期連結決算を担当した港陽監査法人の会計士は、粉飾があると認識しながら、堀江前社長らの意向に沿う形で、有価証券報告書に添付する監査報告書に「適正」との意見を記載したとされる。ゼネラル社取締役だった会計士は、同期決算でライブドア側の指示を受け、消費者金融「ロイヤル信販」など子会社2社に対する架空売り上げ15億8000万円を計上した際、送金手続きに関与したことが判明している。

ライブドア粉飾、会計士認識か 証券監視委が告発検討 03/26/06(朝日新聞)

 ライブドア(LD)の粉飾決算事件で、LDの会計監査を担当した公認会計士らが、04年9月期の連結決算が粉飾されていた事実を認識していたにもかかわらず、有価証券報告書を適正とする意見を付けていた疑いがあるため、証券取引等監視委員会が、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑での告発を検討していることが、関係者の話で分かった。月内に最終判断する見通し。

 この会計士らが所属していた監査法人は、00年にLDの前身「オン・ザ・エッヂ」が東証マザーズに上場して以来、同社の監査を担当している。

 関係者によると、会計士らは、LDが04年9月期の決算を粉飾していたことを知りながら、有価証券報告書に添付される監査報告書で「経営成績をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める」とする「適正意見」を記載した疑いがあるという。

 東京地検特捜部のこれまでの調べでは、LDの堀江貴文前社長(33)らは同期の連結決算で約53億4700万円の粉飾をしていた。約3億1300万円の経常損失が発生していたにもかかわらず、(1)売り上げ計上が認められていない自社株の売却収入約37億6700万円を売上高に含め(2)子会社2社に対する架空売り上げ計15億8000万円を計上する――などの手口で、約50億3400万円の経常利益が出たように装った有価証券報告書を提出したとされる。

ライブドア会計士所属の港陽監査法人、6月に解散へ 03/26/06(読売新聞)

 ライブドアの粉飾決算事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の容疑で告発される見通しとなった公認会計士が所属する「港陽監査法人」(横浜市)は、6月に解散する方針を決めた。代表社員の一人が25日、読売新聞の取材に明らかにした。

 代表社員の説明によると、事件の影響でクライアントである企業の多くから契約を打ち切られており、契約が残っている3月期決算の企業についても5月末までには有価証券報告書を出し終えることから、6月解散を決定したという。

ライブドア:粉飾決算、監査の会計士も立件へ 03/15/06(毎日新聞)

 ライブドア(LD)グループによる証券取引法違反事件で、東京地検特捜部は14日、同社の04年9月期連結決算で53億円余を粉飾したとして、前社長の堀江貴文容疑者(33)ら5人と法人としてのLDを証取法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で起訴した。この決算については、監査を担当した港陽監査法人(横浜市)の公認会計士が、粉飾を認識しながら「適正」とする監査報告書を提出したと供述し、特捜部は今後、在宅で立件する方向で、証券取引等監視委員会とともに調べを進めている。

 また、堀江前社長にはインサイダー取引や海外の借名口座を利用した脱税の疑いもあり、特捜部は引き続き、証券監視委や国税当局と連携して捜査を続ける。

 ほかに起訴されたのは▽前代表取締役、熊谷史人(28)▽前財務担当取締役、宮内亮治(38)▽関連会社「ライブドアマーケティング」(LDM)前社長で前取締役、岡本文人(38)▽金融子会社「ライブドアファイナンス」前社長で前執行役員、中村長也(38)の各容疑者。堀江前社長は起訴事実を否認し、宮内前取締役らは認めているという。

 起訴状によると、堀江前社長らは04年9月期連結決算で、自社株売却益37億6699万円を本来認められない売上高として計上し、子会社2社に対する架空売り上げ15億8000万円も計上。実際には3億1278万円の経常損失だったのに計53億4699万円を粉飾し、経常利益を50億3421万円と虚偽記載した有価証券報告書を提出した。

 ▽堀江前社長の弁護人の話 公判では争点を明確にして的確かつ十分な主張、立証をし、本件の実態が報道されているようなものであるかどうか明らかにしたい。

朝日新聞(2006年3月15日)より

ライブドア追起訴 香港舞台 法の網逃れ 工作 金融プロが協力

ライブドア04年決算、会計士が粉飾認識の供述 03/12/06(読売新聞)

 ライブドアの2004年9月期を巡る粉飾決算事件で、監査を担当した港陽監査法人(横浜市)の公認会計士が、東京地検特捜部の事情聴取に「粉飾だと思ったが、適正意見を出した」と供述していることが、関係者の話で分かった。

 今回の粉飾では、前年まで監査を担当し、その後、同監査法人を退職した別の会計士が、預金付け替え工作に関与したことが判明している。特捜部は両会計士について、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑での立件を視野に、証券取引等監視委員会と連携し、捜査を進めている。

 同法違反容疑で逮捕されたライブドア前社長の堀江貴文被告(33)らについて、特捜部は拘置期限の14日に起訴する見通しで、その後も両会計士の捜査を継続するとみられる。

 特捜部の調べによると、堀江被告らはライブドアの04年9月期連結決算で、自社株売却益を売り上げに不正計上したり、買収予定だったサイト運営「キューズ・ネット」など2社の預金を売り上げに付け替えたりして、約3億円の経常赤字を約50億円の経常黒字と偽った疑いが持たれている。

 関係者によると、港陽監査法人の会計士は、預金付け替えなどの経理操作に疑問を抱き、ライブドア側に確認を求めたが、ライブドア側は、実際に取引があったように見せかける書類を提出してきた。会計士は書類を見ても、なお粉飾の疑いがあると認識。監査法人内で協議したが、最終的にライブドアの意向に沿う形で、決算を「適正」とする監査報告書を作成。会計士は特捜部に対し、こうした経緯を認めているという。

 この会計士は、02年からライブドアの監査報告書の作成に関与。問題となった04年9月期では、監査の責任者を務めていた。

 一方、03年9月期まで監査の責任者を務め、同年12月に同監査法人を退職した別の会計士が、04年9月期決算で、ライブドア側の指示を受け、キューズ社の預金を売り上げに付け替える際の送金手続きなどをしていたことが判明している。

 会計士が立件されたケースとしては、カネボウの粉飾決算事件で、会計士3人が証取法違反の罪で起訴された例がある。

ライブドア、海外口座に一時200億円 03/11/06(読売新聞)

 インターネット関連企業「ライブドア」の粉飾決算事件に絡み、同社がスイス系金融機関などに開設した複数の海外口座に一時、200億円前後の資金がプールされていたことが関係者の話で分かった。

 自社株売却益などが中心で、簿外処理されていたものも含まれている。匿名口座などを利用し、資金の隠ぺいを図った可能性もあり、東京地検は外交ルートを通じてスイスの捜査当局に捜査共助を要請。海外に流れた資金の解明が、今後の焦点になるとみられる。

 関係者によると、口座が開設されていたのは、スイスに本店を置く国際金融機関など。この金融機関のプライベートバンキング部門は、匿名口座などで顧客情報を秘匿することで知られる。口座の開設手続きは、金融子会社「ライブドアファイナンス」前社長の中村長也被告(38)が担当。ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)も、この金融機関から個人的に資金を借り入れるなど、関係が深かった。

 こうした口座は主に、ライブドアが自社株などの売却益を還流させる過程で利用された。英領バージン諸島に登記されたペーパーカンパニー「エバートンエクイティ」の口座は、ライブドアの管理下にあったが、名義が番号で記された匿名口座で、自社株や関連会社「ライブドアマーケティング」株の売却益が一時入金されていた。これらの海外口座では、入出金が繰り返され、総額200億円前後の資金が入っていた時期があり、簿外処理された裏金も含まれていた。今年1月中旬には、こうした口座の中から、約120億円が国内のライブドア関連の口座に送金されたこともあったという。

スイス当局、ライブドア子会社の口座凍結 02/19/06(朝日新聞)

 東京地検特捜部が摘発したライブドア(LD)前社長の堀江貴文容疑者(33)らによる証券取引法違反事件で、スイスの捜査当局が、同国に本拠を置く国際金融機関に開設されたLD子会社の預金口座を凍結したことが関係者の話で分かった。口座はLDが粉飾決算のために行った資金還流工作に利用され、預金額は十数億円に上る。証券取引等監視委員会はスイスに調査官を派遣して協力を要請。特捜部も海外資金の解明を進めている。

 この金融機関の関連法人が、実際はLDの自社株売却で得た収入を、ほかの債券売却で得た利益と偽ってLD側に送金したことも判明。LDの決算を粉飾するための原資作りに協力していた可能性が強まっている。

 スイス当局が凍結したのは、LDの金融子会社「ライブドアファイナンス」(LDF)が、この国際金融機関の一部門である「プライベートバンク」(PB)に開いた口座。この口座には一連の資金還流工作の中でLDの関連会社「ライブドアマーケティング」株の売却益の一部が05年に入金されたことがわかっており、LDグループの裏金をプールする役割を果たしていたとみられる。

 関係者によると、LDF前社長の中村長也容疑者(38)がこの国際金融機関との交渉役を務めた。金融機関側は香港法人の幹部行員らがPBの口座管理を含め、LDグループとの取引を担当した。証券監視委は、LDが不正取引で得た資金がスイスの金融機関に流入した事態を問題視し、調査官を現地に派遣している。

 一方、資金の名目を偽装した還流工作が行われたのは、この国際金融機関の関連法人でカリブ海の英領バージン諸島に設立された「ドクターハウリ」をめぐる取引。ドクター社はLDのダミーとして投資事業組合に出資し、LD株の売却収入を得たが、この収入は別の理由で得られた利益としてLD側に戻った。

 関係者の話では、LDが自らは表に出ない形で、結婚仲介サイト運営会社と消費者金融会社の2社を株式交換で子会社化するために作られた「JMAMサルベージ1号投資事業組合」に対し、ドクター社は05年8月までに、LD側から受け取った資金45億円を出資した。2社の全株を事前に取得したJMAM組合は、株式交換で得たLD株を高値で売り抜け、出資者のドクター社は約26億円の利益を得た。

 その後、ドクター社は利益のうち約22億円を関連法人「エバートンエクイティ」経由でLDFに戻した。この際、LD株の売却収入であることを隠し、ほかの企業が発行した社債を売って得た利益と装っていたという。

 この操作でLDは資本に計上しなければならない自社株の売却収入を売り上げに見せかけることが可能になり、粉飾の原資にしたとみられる。

 ドクター社の偽装取引は国際金融機関側が考案したとされる。国際金融機関の日本法人はこれまでの朝日新聞の取材に対し、「コメントできない」としている。

ライブドア、ねつ造資料で粉飾隠し…監査法人も欺く 02/15/06(読売新聞)

 インターネット関連企業「ライブドア」が2004年9月期決算を粉飾した際、架空売り上げの計上が発覚しないよう、データのねつ造を関連会社に指示していたことが、関係者の話で分かった。

 監査法人の会計監査をごまかす狙いがあり、ねつ造データは監査法人に提出されていた。東京地検特捜部も同様の事実を把握しており、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で、前社長の堀江貴文被告(33)らの再逮捕に向けた捜査を続けている。

 関係者によると、ライブドアは04年9月期の単独の決算で、子会社化する予定だった結婚仲介サイト運営「キューズ・ネット」と消費者金融「ロイヤル信販」の預金など14億数千万円を自社の売り上げに付け替え、赤字を黒字に粉飾するなどした疑いが持たれている。付け替えの一部は、キューズ、ロイヤル両社が架空の広告費をライブドアに支払う形を取っていた。

 こうした架空取引に実態があったように見せかけるため、ライブドアの運営するサイトにキューズ、ロイヤル両社が広告を掲載していたことを示すデータのねつ造を計画。ライブドアのメディア事業本部の執行役員が同年11月初めごろ、関連会社「バリュークリックジャパン」(現ライブドアマーケティング)側に、データの作成をメールで指示したという。

 ねつ造されたデータは、ライブドアのサイトに掲載されたキューズ、ロイヤル両社の広告が、1日に何回表示されたかを月単位で集計したもの。実際には、両社の広告は掲載されていなかったが、バリュー社の担当者は、1日に複数回掲載されたなどとする虚偽のデータを同年7〜9月の3か月分作成。「配信レポート」としてまとめていた。

 この時期、ライブドアは9月期決算について港陽監査法人(横浜市)の会計監査を受けている最中で、配信レポートは同監査法人に提出された。関係者は「監査で不正が発覚するのを防ぐ目的があった」と話している。

 同期決算を巡っては、同監査法人が一時、粉飾の可能性があるとみて調査したが、ライブドア監査役の弁護士から「適法」とする意見書を出され、最終的に「適正意見」を表明したことが判明している。今回、監査法人を欺く工作が行われていたことが、さらに明らかになった形だ。

ライブドア:“自殺”副社長宅からチャート図押収 02/14/06(毎日新聞)

 1枚のチャート図がひそかに押収されていた。東京地検特捜部がライブドア本社への家宅捜索に踏み切った1月16日。関連会社の元社長でエイチ・エス証券副社長、野口英昭さん(38)の自宅から見つけ出した。

 そこには、六つの投資事業組合にライブドアグループが出資し支配していた実態や、企業買収などを通じた自社株売却益の還流システムが記され、事件の構図が読み取れる。解明された事実ともほぼ合致している。

 翌日、野口さんは那覇市のカプセルホテルに偽名で宿泊し、ひん死の状態で見つかる。沖縄県警は部屋の鍵が内側からかかっていたことなどを理由に、包丁で手首や首を切った自殺と断定した。

 関係者は「野口さんを含め、投資組合や株式分割に詳しい複数のプロがチャート作りにかかわった」と明かす。チャートの隅には「mtg.2004.4.09」とある。04年4月9日、前社長、堀江貴文被告(33)や前取締役、宮内亮治被告(38)らとの間で、この枠組みの「ミーティング」が持たれたとみられる。

 野口さんはなぜ死んだのか……。憶測を呼ぶ中で確かなことは、錬金術のほぼ全体像を知っていたということだけだ。

 証券マンだった野口さんは00年、ライブドアに引き抜かれる。宮内前取締役の右腕になったが堀江前社長とそりが合わず、2年で退社した。04年3月、友人の投資会社社長と投資事業組合「VLMA1号」を設立した。投資組合は出資者を募って企業に投資し、成功すれば配当が受けられる。だが、投資することなく解散した。

 「もう一度一緒に何かしよう」。間もなく2人は「2号」を作った。社長側が約1割、約9割は野口さん側が出資した。実際は野口さん側の出資は全額ライブドアが負担していたが、投資会社側には伏せられていた。

 2号は堀江前社長らが情報誌出版「マネーライフ社」を買収して見せかけの利益を上げる隠れみのになる。野口さんは「堀江さんとは話もしたくない」とライブドアを離れたのに、再びかかわった。周囲には「宮内さんには世話になった」と漏らした。関係者は「頼まれて仕方なく協力していたのではないか」と推測する。

 投資組合は日本では82年に登場した。米国でベンチャー企業を育てるために使われた仕組みだ。98年に外為法が改正されたのを皮切りに外資の参入が自由化され、国内外の資金が流入した。98年には国が出資する初の投資組合もできた。

 「仮面をかぶってバクチを打つようなもの」。ある投資組合に出資したベンチャー企業の社長は言う。投資組合から別の投資組合に出資されれば、元の出資者はいっそう分からなくなる。この社長は「後になって暴力団のカネが入っていたと知ることもある」と語る。

 事件後、金融庁は投資組合の運営者と所在地の届け出制度の導入を検討しているが、出資者までは明らかにさせない見通しだ。幹部が明かす。「表に出したくないカネをつぎ込む外資やオイルマネーが日本から引き揚げてしまったら、日本経済が立ち行かなくなる」

 エスカレートする一方のマネーゲーム。野口さんはその犠牲者だったのではないか。(「暴かれる錬金術」毎日新聞で連載中)

ライブドア:前例なき悪質粉飾 目的は株価 02/14/06(毎日新聞)

 ライブドア事件は13日、前社長の堀江貴文容疑者(33)らが1度目の起訴を迎え、事件解明の焦点は粉飾決算に移った。有価証券報告書に虚偽記載したとされ、同社株の上場廃止にもつながる。検察当局は、経営破たん回避のため債務超過を隠す従来型の粉飾ではなく、業績好調を装って株価をつり上げる極めて特異な動機とみる。公認会計士と一体となった手口も発覚し、事件は巨額の利益獲得を狙った「プロの犯罪集団」の様相を見せ始めた。【小林直、川辺康広】

 「株価をつり上げ、高値で売り抜けるのが目的。動機は積極的で悪質だ」。過去の粉飾事件と比較して、法務・検察幹部は語る。

 これまでの大型事件をみると、99年の日本長期信用銀行と日本債券信用銀行(いずれも当時)、昨年8月のカネボウの各事件は、巨額の不良債権を明らかにすると破たんに直結するため、粉飾決算に走った−−という構図だった。「負の遺産」を作ったのは旧経営陣たちで、摘発当時、社内からは「最後の経営陣だけに責任を取らせるのは不公平」という不満も聞こえた。

 このほか、山一証券は長年に及ぶ不良債権の「飛ばし」で生じた巨額の簿外債務隠し、運送会社のフットワークエクスプレスも銀行融資の継続が動機とされ、表面化すれば企業が存続の危機に立たされるという点で、動機は共通している。

 今回の粉飾決算疑惑は、これらの事件とは対照的だ。関係者によると、堀江前社長らは03年11月〜04年10月、立て続けに6件の企業買収を公表。実際は現金買収だったのに「新株発行による株式交換」などと虚偽公表し、計1403万株のライブドア株と、16万株の関連会社株を新たに発行した。

 この際「買収によるシナジー(相乗)効果」をアピール。さらに、粉飾決算で立件対象とみられる04年9月期の有価証券報告書の利益を大幅にかさ上げして好業績を装った。関連会社株の100分割という奇策まで絡ませて、株価を高騰させた後、新株を売り抜けて約90億円を還流させた。

 前取締役、宮内亮治被告(38)らが発案し、堀江前社長が了承して作り上げたスキームは捜査関係者も驚くほど巧妙だ。

 ◇公認会計士も一体…プロの犯罪

 一連の不正経理では、グループと深い関係のある会計・法律事務所「ゼネラル・コンサルティング・ファーム」(横浜市)の公認会計士が、架空取引や預金の付け替えで、ライブドア側に約16億5000万円もの不正送金を行ったことが判明している。なれ合い監査が問題となった過去の粉飾決算に比べ、会計士の関与が極めて強く、金融庁幹部も「癒着と言うより、ライブドアと一体化している。過去に例がない」と指摘する。

 疑惑の04年9月期決算を担当した「港陽監査法人」(横浜市)にも厳しい目が向けられている。

 「監査業務に問題があれば処分する」。日本公認会計士協会の藤沼亜起(つぐおき)会長は今月2日、記者団にこう話した。協会は、会計士を処分する権限を持つが、処分前に個別ケースに言及するのは異例のことだ。

 協会の厳しい対応の背景には、有効な再発防止策を打ち出せない焦りがある。

 4人の会計士が逮捕されたカネボウ事件では、同じ会計士が12年にわたり会計監査を担当していたことが判明し、監査先との癒着が問題になった。同協会は、会計士が同一企業を継続して監査できる期間を法律の規定より2年短縮した5年にする自主ルールを決め、4大監査法人に実行を要請するなど、大手に重点を置いた対策を講じた。しかし、港陽は会計士が十数人しかいない小規模監査法人で、対策の対象外だった。

 ■疑惑のポイント■

 粉飾に加え、インサイダー取引や脱税など、今後捜査対象になる疑惑のポイントをまとめた。

◆粉飾

 粉飾疑惑で東京地検特捜部は、関連会社「ライブドアマーケティング」(LDM)前社長、岡本文人被告(38)を除く3人を再逮捕する方針を固め、熊谷史人・代表取締役(28)も立件する方針だ。

 ライブドアは04年9月期決算で、子会社のロイヤル信販とキューズ・ネットの利益計14億円余を本体の経常利益に付け替え、本来赤字だった決算を黒字と装ったことが判明。また、03〜04年に別の4社(1社はLDM分)を加えた計6社の偽装買収に伴い、新規発行した自社株の売却益を還流させ、企業会計上の原則に反して「利益」として計上し、決算を粉飾したとされる。還流分のうち、粉飾に充てられた金額について調べが進められ、立件対象は数十億円となる見通しだ。

◆インサイダー取引

 堀江前社長らは昨年12月、グループ幹部が特捜部に事情聴取されたとの報告を受け、保有する自社株600万株を売却、約40億円の利益を得たとされる。投資家の判断に影響を及ぼす情報を把握しながら取引に踏み切った行為が、証取法で禁止されたインサイダー取引に当たる可能性があるとして、特捜部は、証券取引等監視委員会と合同で捜査している。

◆脱税

 堀江前社長らは、租税回避地(タックスヘイブン)の英領バージン諸島に本拠地を置く海外ファンドに自社株を売却して得た数十億円を、スイスなどの金融機関に開設した複数の借名口座にプールしていたことが判明。資金は税務申告されずに簿外で処理されており、脱税の疑いが浮上している。こうした蓄財のうち、違法行為に基づく収益については資金洗浄(マネーロンダリング)の疑いもある。

 特捜部は国税当局と協議を始め、当面、この蓄財がライブドアと堀江前社長個人のどちらに帰属するかを調べる方針。

きょう堀江前社長ら起訴 粉飾決算容疑で再逮捕へ 02/13/06(産経新聞)

 ライブドアグループによる証券取引法違反事件で東京地検特捜部は、証取法違反(偽計取引、風説の流布)容疑で逮捕した前社長、堀江貴文(ほりえ・たかふみ)容疑者(33)ら4人を拘置期限の13日、同法違反の罪で起訴する。

 堀江容疑者らは同社本体の2004年9月期決算で赤字を隠し、黒字に偽装した粉飾決算の疑いも強まっており、特捜部は近く同法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で再逮捕する方針。

 調べによると、4人は共謀し、2004年10月に発表した株式交換による関連会社の出版社買収で、出版社株と交換用に発行する関連会社株の売却益をライブドア側に還流させようと計画。

 出版社の企業価値を過大に評価したり、既にライブドア支配下の投資事業組合が出版社を買収していたのに、新たにグループ外から買収するように装ったりした疑い。

 また関連会社の株価をつり上げるため、同年11月、売上高などを水増しした関連会社の決算短信を発表した疑いが持たれている。

 これまでの調べに、堀江容疑者は容疑を全面的に否認。しかし前取締役、宮内亮治(みやうち・りょうじ)容疑者(38)ら3人は、事実関係や堀江容疑者の関与を認めているとされる。

 特捜部は同社関係者の供述や家宅捜索で押収した資料の分析から、証拠は十分と判断したとみられる。(共同)

◇ ≪税回避地経由し株売却 スイスや香港の金融機関も≫

 株式交換による企業買収を繰り返し、交換用に発行された新株の売却益数十億円を還流させたとされるライブドア。前社長の堀江貴文(ほりえ・たかふみ)容疑者(33)=証券取引法違反容疑で逮捕=らは、買収と株売却に複数の投資事業組合を介在させた上、スイスや香港など海外の金融機関やタックスヘイブン(租税回避地)の企業を経由させていたことも13日までに分かった。

 複雑な仕組みを構築することで、ライブドアが多額の利益を得る目的であることを分かりにくくしていたとみられる。

 関係者によると、還流の仕組みでは、企業買収目的で設立された投資事業組合が先に対象企業を買収し、ライブドアや関連会社の株を取得。投資事業組合にはライブドアのほか、同社側から資金提供を受けた海外企業が出資するケースもあり、実際の投資元は不透明だった。

 スイスを舞台にした取引は、ライブドア側の依頼を受けスイス系金融機関の日本代理店が担当。関連会社「ライブドアマーケティング」の株をめぐっては、タックスヘイブンの英領バージン諸島にある企業を経由させて市場で売り、最終的に売却益をライブドア側に還流させたという。

 こうした仕組みのライブドア側窓口だった前執行役、中村長也(なかむら・おさなり)容疑者(38)=同=は東京地検特捜部の調べに「手続きなどにはかかわったが、その先は代理店の担当者に任せていて詳しいことは分からない」などと供述。特捜部は代理店の担当者からも事情を聴き、海外での資金の流れの解明を進めている。(共同)

説明なく上場直後に投資会社、証券会社の抗議無視 02/09/06(読売新聞)

 前社長の堀江貴文容疑者(33)らが逮捕された「ライブドア」が、2000年4月の株式上場直後、投資家らに説明していなかった投資会社を突然設立し、上場の主幹事を務めた大手証券会社から厳重な抗議を受けていたことが、関係者の話で分かった。

 同社はこの後、上場前に掲げていた本業のインターネット事業から、この投資会社を通じたM&A(企業の合併・買収)事業に軸足を移していった。同社が上場時から、法律をすり抜け、利益を上げようとする企業体質を持っていた実態が浮かんだ。

 ライブドア(当時「オン・ザ・エッヂ」)は同月6日、東証マザーズに上場。5日後、100%子会社の投資会社「キャピタリスタ」(ライブドア証券に吸収合併)を設立することや、会長に堀江容疑者、社長には後にエイチ・エス証券副社長となる野口英昭氏(1月に死亡)が就くことを発表し、翌日、設立した。

 しかし、ライブドアは上場前、東証や証券会社に提出した資料、投資家向けに上場後の経営方針などを開示した「有価証券届出書」で、今後の具体的な事業にネット関連しか挙げておらず、投資会社を作る計画を明かしていなかった。

 関係者によると、ライブドアの発表で、投資会社設立を知った主幹事の大和証券SBCM(現大和証券SMBC)は、幹部が堀江容疑者を訪ね、「上場前、投資家に説明せず、本業以外の業務に乗り出すのは問題がある」と指摘したが、堀江容疑者は「ダメなんですか」と意に介さなかったという。ライブドアは、グループ内で投資やM&Aの事業を手がけるキャピタリスタを通じ、投資家らに事前に説明していたネット事業から、企業買収などに重点を移していった。

 有価証券届出書では、上場で得る資金約55億円の使途として「子会社、関連会社の設立」を含めており、子会社として投資会社を設立したこと自体は、直ちに証券取引法などに抵触する行為とは言えない。

 だが、同証券の元幹部は「上場直後なのに、未経験で利益が上がるかどうかはっきりしない投資事業に、投資家から集めた資金を使うのは問題で、事前に知っていれば主幹事を断っていた」と批判。

 その後、同証券は上場を目指す企業に、ライブドアの社名を挙げ、「このようなことをする会社の主幹事は受けない」と説明したという。

 ライブドアは、その後も株式の極端な分割や、東証の時間外取引を利用したニッポン放送株の大量取得など脱法的な手法が論議を呼び、今回の事件でも、一つ一つの行為は違法とは言えない株式交換などを組み合わせた自社株売却で、多額の利益を上げたことが判明している。

 新たに明らかになった上場前後の行為は、その原点とも言える。

 上村達男・早大教授(商法、証券取引法)は「誤解を与える情報開示で、上場時から投資家が眼中になかったのではないか」と指摘。

 大手証券会社の勤務経験を持つ経済評論家の三原淳雄さんは「証券各社は法律だけでなく、エチケットも守れる会社を選んで上場させるべきだ」と話している。

ライブドア:株売却益を本社の「特別利益」に計上 02/06/06(毎日新聞)

 ライブドア(東京都港区)グループによる証券取引法違反事件で、03〜04年の子会社6社の偽装買収に伴う株売却益が、本来計上すべきではないライブドア本社の「特別利益」に計上され、実際は赤字だった同社の「純利益」を大幅な黒字に見せかけていたことが分かった。特別利益への計上は計71億円余にのぼり、大半が粉飾だったとみられる。東京地検特捜部は、黒字偽装は同社の時価総額の高値維持が目的で、企業価値そのものを水増しした粉飾疑惑の核心部分とみて、前社長の堀江貴文容疑者(33)らを追及している。

 ◇70億円粉飾か…純利益の黒字装う

 前財務担当取締役の宮内亮治容疑者(38)は特捜部の調べにこうした粉飾を認め「時価総額経営を掲げる堀江前社長の意向に従った。会社を大きくしたかった」などと供述している模様だ。

 時価総額経営は、自社株の時価総額を高めることで、株を担保に巨額の資金を借り入れて企業買収するなど次々に事業を拡大する。しかし、ライブドアでは本業のインターネットのポータル(玄関)サイトや買収企業の業績が芳しくなかったことから、03年ごろには純利益が大幅な赤字に転落する危機にあったという。

 投資の重要な判断材料となる純利益が赤字に転落した場合、投資家が逃げ出して株価が下がり、時価総額経営は破たんする恐れがある。このため、宮内前取締役らは、赤字企業の偽装買収に伴い、新たに発行する自社株や関連会社株を高値で売り抜けて自社に還流させる手法を発案。03年11月〜04年10月にマネーライフ社など6社で▽偽装買収▽新株発行▽株式交換▽株式分割▽売却・還流という一連の工作を行った。

 還流させた株売却益は本来、資本の増減にかかわるため、企業会計上は「資本金」や「資本余剰金」に分類され、利益には反映されない。しかし、宮内前取締役らは企業会計上の処理に反して、特別利益に計上した。この結果、ライブドアの04年9月期の決算は、実際は大幅な赤字だったのに、還流させた株売却益など12億円余を特別利益に計上するなどして、12億1000万円余の純利益が出たと公表。05年9月期では同様に59億円余を特別利益として計上し、7億円余の純利益だったと公表していた。

 04年9月期決算ではほかに、買収した子会社2社の利益を本社に付け替え、経常利益を14億円余の黒字と虚偽公表したことも判明している。

ライブドア 「99.9%発覚しない」 不正経理指示のメール 内容判明 01/30/06(産経新聞)

 ライブドアグループの証券取引法違反事件で、不正な経理操作を同社の前取締役、岡本文人容疑者(38)=同法違反容疑で逮捕=が指示したり、担当者間で相談したりしたとみられる社内電子メールの内容が二十九日、分かった。「99・9%発覚することはない」「企業価値0円、その上で何とか高く売る」という記述や、前社長、堀江貴文容疑者(33)=同=と相談したことを示す個所もある。

 東京地検特捜部も既にこれらのメールを入手。堀江、岡本両容疑者らが違法性を認識していたことや、不正な経理操作が組織的に繰り返されたことを示す有力な証拠とみているもようだ。

 平成十六年のメールによると、岡本容疑者は逮捕容疑となった関連会社「バリュークリックジャパン(現ライブドアマーケティング)」による出版社買収後、バリュー社株の高値売却益をライブドア側に還流させた投資事業組合に言及。

 「リスクも思いのほか少ないことが堀江社長との会話でわかりました」「ファンド(投資事業組合)はLD社(ライブドア)からの出資に関しては5社ぐらいの国内外のファンド、個人を通しており、そういった意味では99・9%発覚することは無いと感じました」と投資組合の実態を隠す意図を示唆した。

 利益還流について「ライブドアがここまできたのもこの手法を使ってのことです」「力のない中小IPO(新規上場)会社が戦っていくためには…この手の手法を使うしかない」としている。

 一方、自社株を大量に新規発行し、投資組合を通じて売り抜けるのが目的とみられる企業買収について、岡本容疑者は別のメールで「かなりハイレベルの機密事項です。情報の管理は徹底してください」「デューデリ(価値査定)の結果、基本的には企業価値0円という前提です。その上で『何とか高く売る』ための動き」と書いている。

 ライブドア本体の粉飾決算の手口とされる事実上傘下の「キューズ・ネット」との架空取引について、社内関係者が「9月決算のため、キューズ・ネットに対し、下記売上を計上してください。本日中に請求書を発行し、9/29(水)に振込を完了します」と指示したメールもあった。

ライブドア:「身内」会計士が監査 金融庁審査会、調査へ 01/30/06(毎日新聞)

 ライブドア(東京都港区)の粉飾決算疑惑で、会計業務の是非をチェックする金融庁の外部組織「公認会計士・監査審査会」は、03年9月期まで4期連続で同社の監査を担当した公認会計士について、公認会計士法違反の疑いで調査に乗り出した。グループと関係の深いコンサルタント会社の経営に関与しつつ、ライブドアの監査を行った点が「利害関係のある会社の監査」を禁じた同法に抵触する疑いがあるという。同審査会は違反を確認次第、金融庁に懲戒処分を勧告する方針だ。

 この会計士は、03年12月まで「神奈川監査法人」(現・港陽監査法人)に所属。一方で、同年7月1日以降、前取締役、宮内亮治容疑者(38)=証券取引法違反容疑で逮捕=が経営するコンサルタント会社「ゼネラル・コンサルティング・ファーム」(横浜市)の取締役や代表取締役を務めていた。

 この兼任期間中の同年12月19日、会計士は「会計士法の規定により記載すべき利害関係はない」と記載した監査報告書を作成。同時に「適正」意見も出し、ライブドアはこの監査報告書を付した有価証券報告書を同月26日、関東財務局長に提出した。

 ゼネラル社には、会計士、弁護士、税理士らが所属。ライブドアが出資・支配する投資事業組合の管理やM&A(企業の合併・買収)などの業務を行うとともに、所属弁護士が、ライブドア本体やグループ各社の社内監査役に就任している。

 このため、同審査会は、ゼネラル社を利害関係企業の疑いがあると判断。兼任期間の03年7〜12月について、公認会計士法に違反するとみている模様だ。同審査会が違反行為と結論付けた場合、金融庁への勧告を経て、2年以内の業務停止か登録抹消処分となる。04年1月以降、この会計士はゼネラル社の業務に専従していた。

 会計士を巡っては、ライブドアと関連会社の総額16億5000万円余に達した粉飾決算疑惑で、子会社からの不正送金や、それに伴う決算書や確定申告書作成に深く関与していたことが既に判明。東京地検特捜部も証取法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で解明を進めている。

ライブドア:会計士、経理操作認める「女性執行役員指示」 01/29/06(毎日新聞)

 ライブドア(東京都港区)による粉飾決算疑惑で、グループと関係が深いコンサルタント会社代表取締役の公認会計士が、東京地検特捜部の調べに対し「ライブドアの財務経理担当グループを担当する女性執行役員の指示に従い、不正な経理操作を行った」と関与を認める供述を始めていることが、関係者の話で分かった。特捜部は、ライブドアの04年9月期決算、関連会社の04年12月期決算の粉飾疑惑を裏付ける重要な証言と位置付け、連日、この会計士から事情聴取。証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で追及している模様だ。

 一連の経理操作は、前取締役の宮内亮治容疑者(38)を経て、前社長の堀江貴文容疑者(33)に報告されており、特捜部は逮捕容疑となった企業買収の虚偽公表(偽計・風説の流布)と並行して解明を進めている。

 この会計士は、コンサルタント会社「ゼネラル・コンサルティング・ファーム」の代表取締役。東証マザーズ上場直後の00年9月期決算から4期連続でライブドアの監査を担当し、いずれも「適正」とする監査報告書を提出している。

 会計士は特捜部の調べに対し、04年9月〜同11月、消費者金融「ロイヤル信販」(現ライブドアクレジット)や結婚仲介サイト運営「キューズ・ネット」の2社から、ライブドアに14億2000万円余、関連会社側に2億3000万円余を不正送金したことを認めた。そのうえで「女性執行役員の指示に従い、2社とライブドアグループが商品を売買したように装った架空伝票や帳簿類を作成した」などと話しているという。

 ライブドアを巡っては、02年9月期決算を巡って、担当した「港陽監査法人」が「株式交換による赤字企業の買収は商法上問題がある」とする監査調書をいったん作成、後に削除したことが分かっている。これは「東証マザーズから東証1部か2部にくら替えしたい」とするライブドアから上場の準備を依頼された大手証券会社が、監査法人に報告書の修正を求めたための措置だったという。

ライブドア:十数億円「資金洗浄」 堀江前社長に疑い 01/29/06(毎日新聞)

 ライブドア(東京都港区)が04年に休眠会社を株式交換で買収した際、自社株70万株を新規発行して売却し、売却益十数億円が前社長、堀江貴文容疑者(33)=証券取引法違反容疑で逮捕=の管理下とみられる海外の口座に入金されていたことが分かった。東京地検特捜部もこうした経緯を把握しており、海外口座を利用したマネーロンダリング(資金洗浄)だった疑いを強めている。今後、資金の流れを追及するとともに、堀江前社長に対して組織犯罪処罰法適用の検討を始めた模様だ。

 ライブドアは04年2月、大阪府の消費者金融会社の子会社で貸金業の「ABS」(港区)を株式交換で買収すると発表。翌3月、ライブドアは新たに発行した自社株70万株をABS株2万株と交換した。関係者によると、ライブドアの新株はその後、海外の投資会社に売却され、十数億円の売却益は海外の金融機関の口座に入ったとされる。この口座は、堀江前社長個人が事実上管理している疑いが強いという。

 株式交換の際、ABSは社長1人、従業員ゼロで、04年1月期の売上高もゼロの休眠会社だったにもかかわらず、ライブドアはABSの企業価値を不当に過大評価した。さらに株式交換の直前、ABSはそれまで1000万円だった資本金を10億円に増資し、発行済み株を200株から2万株まで増やしていた。ABSの資本を見かけ上良くすることで、ライブドアの発行する新株を積み増しし、その後の売却益を増やす狙いがあったとみられる。

 堀江前社長らの逮捕容疑でも同様に、関連会社が発行する新株の売却益を得る目的を隠して、会社買収による相乗効果が見込めないのに、虚偽の事実を買収の際に公表した証取法違反(偽計など)の疑いが持たれている。

 特捜部は、法律に違反して不正に得たこうした株の売却益が、把握しにくい海外の口座に入金されていたことで、犯罪収益の隠匿や収受を禁じた組織犯罪処罰法に抵触する疑いがあるとみて捜査を進めている模様だ。

 【ことば】組織犯罪処罰法 不正な取引で得た資金の出所や流れが分からないようにするために、預金口座を替えたり海外に移すなどの「マネーロンダリング」の処罰を柱として、99年8月、通信傍受法などとともに「組織犯罪対策3法」の一つとして成立した。犯罪収益を隠匿した者は5年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、事情を知りながら犯罪収益を収受した者は3年以下の懲役または100万円以下の罰金。指定暴力団山口組旧五菱会のヤミ金融事件や、西村真悟衆院議員の弁護士法違反事件で適用された。今国会に犯罪収益を丸ごと没収・追徴できるようにする同法改正案提出が予定されている。

コンサル会社、深く関与 ライブドア事件 01/28/06(産経新聞)

 ライブドアグループの証券取引法違反事件で、同社の決算監査を以前担当した公認会計士が代表取締役のコンサルタント会社は、株式交換による本体の赤字会社買収や、ライブドアの前社長、堀江貴文(ほりえ・たかふみ)容疑者(33)=同法違反容疑で逮捕=らの逮捕容疑となった関連会社による出版社買収などの会計事務に深く関与していたことが28日、関係者の話で分かった。

 数十億円に上る買収後の株売却益還流にもかかわったとされ、東京地検特捜部は同日までに、コンサルタント会社を家宅捜索。堀江容疑者や前取締役、宮内亮治(みやうち・りょうじ)容疑者(38)=同=らとの共謀の有無などを捜査している。

 捜索を受けたのは、横浜市のゼネラル・コンサルティング・ファーム。

 関係者や法人登記簿などによると、ゼネラル社はライブドアグループによる企業買収計18件のうち、2004年2月に発表した人材派遣会社のトラインなどの買収で、ライブドアの前取締役、岡本文人(おかもと・ふみと)容疑者(38)=同=らと頻繁に連絡を取り合い、会計事務を担当。

 トラインは債務超過で株式交換に必要な資産査定もできない状態だったが、ライブドア側が増資した上で買収。交換用に発行されたライブドアの新株の売却益は同社側に還流したとされる。

 また関連会社の出版社買収では、株交換比率を算出するため、ライブドアの子会社社員とともに出版社の資産査定などに当たった。この査定で出版社の企業価値が実際の4―8倍に評価されたことが既に判明している。

 代表取締役の会計士はライブドアの決算や会計の監査を担当してきた港陽監査法人(横浜市)の元代表社員で、同社の03年9月期決算に「適正」との意見を付けた。

 ゼネラル社は宮内容疑者も一時代表取締役を務め、ライブドア監査役の弁護士はゼネラル社に併設されている弁護士法人に所属している。

(共同)

ライブドア:粉飾疑惑、不正指示は女性役員 01/26/06(毎日新聞)

 ライブドア(東京都港区)グループによる粉飾決算疑惑で、税理士資格を持つ執行役員の女性が、グループと関係の深いコンサルタント会社の代表取締役を兼ねる公認会計士に、不正な経理操作を指示していたことが分かった。女性は前社長の堀江貴文容疑者(33)や前取締役、宮内亮治容疑者(38)らの意向を受けて、粉飾の具体的な指示を出していたとみられる。東京地検特捜部は、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで女性から事情聴取した模様だ。

 指示は、買収企業の確定申告書や決算書の作成まで及んでおり、特捜部は、堀江前社長や宮内前取締役らからの指示内容などについて、説明を求めたとみられる。

 女性は財務経理グループを担当。粉飾決算や、逮捕容疑となった虚偽の企業買収公表に深く関与した金融子会社「ライブドアファイナンス」の前身の投資事業会社「キャピタリスタ」で、堀江前社長や宮内前取締役とともに取締役を務めていた。

 関係者によると、女性はグループが04年8〜9月に買収を公表した消費者金融「ロイヤル信販」(現ライブドアクレジット)や結婚仲介サイト運営「キューズ・ネット」の2社を担当していた会計士に、ネット広告を出したように見せかけるなどして、預金計約16億5000万円を不正に送金するよう指示した。

 指示を受けた会計士は、2社やグループの社員を使って、ライブドア本体に約14億2000万円、関連会社「ライブドアマーケティング」(LDM、当時バリュークリックジャパン)や「イーエックスマーケティング」(後にLDMと合併)に計約2億3000万円を送金したという。

 女性は、さらに2社の決算書や税務署に提出する確定申告書の作成も指示。不正送金が発覚しないよう、2社がライブドアに仕事を発注して代金を支払ったように帳簿類を整えさせたという。

堀江社長逮捕、1年前から極秘捜査 元社員ら情報提供 01/24/06(産経新聞)

 ライブドアの脱法的な経営手法について、東京地検特捜部は昨年二月、「時間外取引」によるニッポン放送株の大量取得を機に内偵捜査を始め、一年近くにわたり、隠密裏に捜査を続けてきた。昨年夏に同社社長の堀江貴文容疑者(33)が総選挙に出馬し、選挙への影響を避けるため捜査は一時中断したが、グループ元社員ら内部関係者からの情報提供によって、捜査は核心へとたどりついた。

 二十三日午後三時四十五分ごろ、東京都内のホテルの一室。特捜部の検事が堀江容疑者と向かい合って座り、任意で事情聴取を始めた。この聴取も十六日の捜索も、証券市場の混乱を避けるため、市場が閉まる午後三時以降に始められた。

 堀江容疑者は、一通り検事の質問に答えた後、午後六時過ぎ、霞が関の東京地検へ同行を求められた。三人の役員らとともに地検で逮捕の手続きが取られたのは、午後七時四十分ごろだった。

 関係者によると、特捜部と証券取引等監視委員会が初めに着目したのは、法の抜け道を突いた時間外取引の違法性について。だが、金融庁が「脱法行為だが適法」との見解を示すなど、取引自体を違法とすることはできず、この時点で犯罪をあぶり出すことはできなかった。

 これで捜査をやめたわけではなかった。ライブドアの脱法行為や不透明な経営実態について、関係者から情報提供が相次ぎ、少数の検事ら担当者で解明を進めた。「すぐに本格的な捜査に乗り出すべき事実はなかったが、情報を一つひとつ検討した」(捜査関係者)という。

 昨年八月、郵政解散による総選挙に堀江容疑者が広島6区から立候補し、捜査はいったん止まる。

 小泉政権に反旗を翻した亀井静香衆院議員に対する「刺客」として堀江容疑者は注目を浴びていた。もし捜査の動きが表面化すれば、有権者の判断に影響を与えるのは必至だったからだ。

 特捜部が再始動したのは秋。堀江容疑者が落選し、懸念は消えていた。

 株式分割と株式交換による企業買収を繰り返し、グループを拡大するライブドア流経営手法の不自然さに注目。堀江容疑者の経営に反感を抱くグループ内部の関係者や、グループを離れた元社員らから、秘密裏に事情聴取を重ね、容疑事実を固めていった。

 重要な指示も幹部がメールで伝達するライブドアでは、メール履歴が大事な証拠になる。コンピューターのボタン一つで重要な証拠があっという間に削除される恐れがあるため、堀江容疑者らグループの中心人物からは事情聴取を避けるなど、捜査の保秘には最大限の注意が払われた。

 年が明け捜査は詰めの段階に入ったが、検察当局内でも秘密保持を徹底。上層部からゴーサインを得たのは、今月十六日の捜索直前だった。

 「メールを押さえろ」。捜索当日、ライブドアに入った係官はこう叫んだ。同時にサーバーがある東京・新宿の雑居ビルも押さえた。一部、証拠隠滅が行われていたが、メールの徹底分析などで逮捕は揺るぎなかった。

★HOME


リンク先の情報については一切責任を負いかねますことを申し添えます。
リンク先の中には繋がらないものもあると思いますが、ご容赦ください。