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パロマ事故:安全装置「配線短絡」改造を証言 複数関係者 08/10/06(毎日新聞)

 パロマ工業(名古屋市)製の瞬間湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が相次いだ問題で、同社製品の修理を請け負う東京都内の複数の「パロマサービス」関係者が警視庁捜査1課の調べに対し「点検や応急措置として、安全装置の配線を短絡する改造をしたことがある」と証言していることが分かった。パロマ側から改造の指示がなかったかなどについて、同課で調べを進めている。

 同課は一連の事故の中で唯一、公訴時効の経過していない昨年11月の港区の大学生、上嶋浩幸さん(当時18歳)死亡事故について立件を目指しているが、この事故機を90年ごろに修理した記録のある目黒区のパロマサービスショップ関係者も以前、点検などのために改造を行っていたことを認めた。ただ「事故機について改造したかどうかは覚えていない」と証言しているという。

 目黒区の業者は毎日新聞の取材に「担当者が不在でコメントできない」としている。【宮川裕章】

湯沸かし器不正改造への社員関与、パロマが調査継続 08/08/06(読売新聞)

 パロマ工業製の瞬間湯沸かし器による事故が相次いだ問題で、同社と親会社のパロマは7日、事故調査結果に関する追加報告書を経済産業省に提出するとともに、名古屋市の本社で記者会見を行い、報告内容を説明した。

 先月31日の会見では不正改造への社員の関与を否定したが、「調査が尽くせていない段階で発表したもので、誤解を与えた」とし、今後も調査を継続する考えを明らかにした。

 また、事故の発生を消費者に周知していなかった点について責任を認めたが、製品自体には欠陥はなかったと改めて強調するなど、全体としては従来の主張を繰り返す内容にとどまった。

 パロマ側は先月31日、経産省に調査報告書を提出したが、同省は「(調査結果を)裏付ける根拠が明確でない」などとして、30項目について7日までに追加報告するよう命じていた。同省では早急に追加報告書の内容を分析し、再び不備が認められれば立ち入り検査も視野に対応を検討する。

 この日はパロマ工業の川瀬二郎副社長が経産省を訪れ、追加報告書を提出した。不正改造への社員の関与を前回の会見で否定した点に関し、追加報告書では「(不正改造が原因で事故が起きた)15件について、疑いのある人物はいないとの趣旨だった」と釈明。「いかなる改造にも社員がかかわっていない」という意味ではなかった、とした。

 また、「ガス事業者、ガス器具修理業者への働きかけにとどまったのは、結果として不十分だったと反省している」などとして、消費者に事故を知らせなかった責任を認めた。

 しかし、会見では、パロマ工業の幹部4人が、これまでと同様「製品の問題ではなかった」などと主張し、遺族や被害者への補償問題に関しても明言を避けた。

パロマ改造関与、説明ちぐはぐで経産省が経緯報告命令 08/02/06(読売新聞)

 パロマ工業製の瞬間湯沸かし器による事故が相次いだ問題で、同社が先月31日に経済産業省へ提出した事故調査報告書では、パロマ側の不正改造への関与について触れていないにもかかわらず、提出直後の記者会見では、「(パロマグループ)社員で改造にかかわった人物はいない」と報告書にない発表をしていたことがわかった。

 経産省は説明の食い違いを重視し、1日、同社に経緯を報告するよう命じた。

 今回の報告書では、改造が原因とされる事故15件のうち、親会社のパロマや同社製品の修理などを行う系列のパロマサービスショップ従業員が事前に修理を行っていたのは複数あったことが判明。パロマサービスショップ従業員が改造にかかわったケースがあることは、事故を巡る民事訴訟での証言からも明らかになっている。

 パロマ工業は31日の会見で、経産省への報告の骨子とする資料を公表。資料では「社員で改造にかかわった人物はいない」「パロマサービスショップで改造をしたと認めている人物は確認されていない(法廷で証言をした人を除く)」などと記載。その後の取材にも、「経産省(提出報告書)と報道向け(資料)は同内容」と回答していた。ところが、経産省が報告書を調べたところ、報道向け資料のような記述はなかった。

 経産省は1日、発表内容の具体的な根拠を7日までに回答するよう命じるとともに、「(製品に)構造的欠陥はない」とするパロマ側の主張についても根拠を示すよう求めるなど、30項目の追加報告を命じた。

 パロマ総務部は「なぜ、報告書にない発表をしたのか分からない」としたうえで、「サービスショップへの聞き取り調査はしているが、詳細は分からない」としている。

パロマ事故報告書に遺族の怒り「反省しているのか」 07/31/06(読売新聞)

 自社製の瞬間湯沸かし器による一連の一酸化炭素(CO)中毒事故に関し、31日、パロマ工業が経済産業省に提出した調査報告書。

 焦点の不正改造問題では、「修理業者への周知徹底を図った」などとこれまでの対応を正当化する内容が目立ち、制御装置の不具合に関しても、「構造的欠陥ではない」と強調した。全容解明には程遠い内容に、遺族からは「何をどう反省しているのか分からない」などと不満の声が相次いだ。

 経産省への報告後、パロマ東京支社(東京都港区)で記者会見に臨んだ小林敏宏・パロマ工業社長(68)は、冒頭、約20秒間にわたって頭を下げた。

 「この度の事件では、亡くなられた方々に衷心よりおわび申し上げます」。険しい表情で語り、さらに約15秒間、頭を下げた。

 だが、会見で、用意した資料を読み上げたのは、パロマグループ内の事故調査委員会の委員長も務めるパロマ工業の社員。小林社長は終始、伏し目がちに書類に目を落とすだけだった。

 公表された調査報告書では、これまで判明していた27件に、新たに明らかになった事故が1件加わった。昨年11月に東京都港区で起きた事故で二男の上嶋浩幸さん(当時18歳)を亡くした母の幸子さん(52)は、「パロマ側は全社を挙げて調査、対処していると繰り返していた。それなのに、いまだに被害の全容すら把握できていない事態は、まったく信じられない。一連の事故を反省しているのか」と憤った。

 ほかにも報告書は、事故を消費者に知らせなかったことに関し、「ガス事業者を通じた働きかけの方が有効と判断した」とも釈明した。この点について幸子さんは、「知らされれば湯沸かし器を取りかえることも考えたし、少なくとも注意はできた。なぜ、こんなに大きな問題を業者にしか伝えなかったのか」と怒りを新たにしていた。

 87年1月に北海道苫小牧市で起きた事故で、婚約者の女性(同21歳)とともに死亡した藤原弘志さん(同20歳)の母、弘子さん(62)は、「事故が起きた時は本当にショックで、弁護士にも相談したが何もすることができなかった。これからどうやって会社の責任を追及していけばいいのか、正直言ってわからない」と言葉少なだった。

 一方、事故原因の一つの不正改造について、パロマ側は今回、「改造を指導、容認した事実はない」「(系列の)パロマサービスショップで、改造したと認める人物は確認されていない」とした。

 しかし、1987年の北海道苫小牧市と95年の恵庭市で起きた事故に関係する民事訴訟では、出廷したサービスショップの元修理員が「応急処理的に(不正改造となる)バイパス修理をある程度の件数行った」と証言している。

 しかも、問題発覚後、事故があった4機種に、類似した構造を持つ3機種も含めた計7機種を対象に実施した点検作業では、約1%の147件(28日現在)で不正改造が確認された。しかし、不正改造が横行した理由について、報告書では「他社製品に比べて出荷台数が圧倒的に多かった」「改造者の危険性に対する認識が希薄だった」と責任逃れの説明に終始した。

 ◆辞任時期「いずれ…」と小林敏広社長◆

 小林敏広社長は前回の会見で、事故について「1992年に初めて知った」としていたが、この日は「明確な記憶はないが、状況からみて87年の時点で聞いていたのではないかと思う。当時はメーカー責任ではないというぐらいの感覚で済ませてしまったのではないかと思う」などと述べた。

 また、18日の会見で意向を明らかにした辞任の時期について、小林社長は「しばらく時間をちょうだいし、この問題を処理させていただきたい。頭の中には一つの期限を描いており、いずれ現在の地位を降りるつもりだ」と述べた。

 ◆昨年11月の死亡事故立件に向け事情聴取◆

 警視庁捜査1課は、東京都内で起きたパロマ工業製湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒死事故3件のうち、業務上過失致死傷罪で公訴時効(5年)にかからない昨年11月の東京都港区の死亡事故について、同容疑での立件が可能かどうか関係者から事情聴取を続けている。

 この事故では、港区南麻布の2DKのマンションの住人だった上嶋浩幸さんがCO中毒で死亡、一緒にいた兄の孝幸さん(25)も重症を負った。同課が、この部屋の湯沸かし器を鑑定した結果、安全装置に連動するコントロールボックス(制御装置)の配線に不正改造が見つかった。

 1992年4月の札幌市の死亡事故を巡る損害賠償請求訴訟などでは、パロマ側が、コントロールボックス内の基板に「はんだ割れ」が多発し、修理業者による不正改造が横行していた事態を認識していたことが明らかになっている。同課ではこの事実を重視し、湯沸かし器自体の構造や、不正改造を許したパロマ側の安全管理態勢に問題がなかったか捜査している。

パロマ事故:「構造問題」認める 経産省への調査報告書で 07/31/06(毎日新聞)

 パロマ工業(名古屋市)製の瞬間湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が相次いだ問題で、同社の小林敏宏社長は31日午前、経済産業省に調査報告書を提出した。事故原因の一つとされるコントロールボックス内の安全装置の「はんだ割れ」について、温度の急変によって発生しやすいと結論付け、構造に問題があったことを初めて認めた。事故件数は新たに札幌市内で1件増え、28件になった。経年劣化による事故件数も、9件に増えた。小林社長自身が事故を認識した時期について、これまでは92年としていたが、北海道苫小牧市で発生した事故の87年1月だったことを明らかにした。

 報告書によると、はんだ割れについて、「温度の急激な上昇、下降を繰り返す環境の中で起こりやすい」と明記した。北海道では、はんだ割れが続出し、札幌地裁で00年開かれた損害賠償訴訟でも、機器が許容できる温度を「10〜60度」としていたが、同社としても認めた。しかし、「当時としては、標準的な仕様を採用していた」として、「欠陥」ではないことを強調している。

 また、新たに99年12月に札幌市で2人の入院事故が発生していたことが判明。問題となっている7機種(80〜89年製造)での事故は計28件になり、死亡は21人になっている。パロマ側が、安全装置のコントロールボックスの改造による事故を最初に認知したのは、85年1月、札幌市で2人が死亡した事故としている。

 事故原因の内訳は、▽安全装置の改造15件(18日時点で10件)▽老朽化による部品劣化9件(同4件)▽原因不明3件(同原因不明、調査中7件)▽問題機器以外の原因による事故1件−−だった。

 ◇  ◇

 パロマから調査報告書を受け取った経済産業省は31日午前、「報告書の内容を分析し、追加的に必要な情報があれば、さらに報告を求めることも検討する」とコメントを発表した。

マニュアル存在? 別室でも同じ改造 パロマ事故 07/25/06(朝日新聞)

 パロマ工業製ガス湯沸かし器で一酸化炭素(CO)中毒による事故が相次いでいる問題で、96年に男性(当時21)が死亡した東京都港区赤坂のマンションの別の部屋の湯沸かし器も改造されていたことが分かった。2台は同じ方法で改造されており、警視庁が業務上過失致死傷容疑で捜査している同区南麻布のアパートで05年に男子学生(当時18)が死亡した事故も同じ方法。安全装置を機能させなくする改造は全国各地で確認されており、同庁は、共通点に注目し、こうした改造方法を示すマニュアルなどがなかったかを調べる。

 捜査1課の調べなどによると、赤坂のマンションで男性が遺体で見つかったのは96年3月18日。男性は一人暮らしで、友人が見つけた。当時は湯沸かし器の改造は見つけられなかったが、遺族の依頼を受けて同課が今年に入って再捜査。一つのネジに配線を集中させることで、安全装置を作動させなくする改造が施されていたという。

 同課がこのマンションのほかの部屋についても調べたところ、少なくとも1部屋の湯沸かし器で配線を一つのネジに集中させるという同様の改造を確認したという。05年11月に男子学生が死亡した同区南麻布のアパートの湯沸かし器の改造も同じ方法だった。

 このため同課は、それぞれの使用者が独自に手を加えたとは考えにくく、同一の業者によるもの、または同じマニュアルなどに基づいた改造だったとみている。パロマ工業によると、神奈川県横須賀市のマンションで92年1月、2人が重体となった事故も、事故があった部屋と別の部屋でも改造が行われていた。

 赤坂のマンションでは、改造されていた湯沸かし器が最近まで使われており、マンション関係者は「いつ死亡事故が起きてもおかしくない状態だったと考えると恐ろしい」と話している。

 また、赤坂の死亡事故では、短時間で多量のCOが発生していたことが判明。男性の血中COヘモグロビン濃度は82%に達していた。

 一方で、男性は事故の前に友人や家族に「耳鳴りがする」などの体調の異常を訴えていた。遺体を解剖した医師は「慢性的なCO中毒の症状と考えられる」としており、湯沸かし器の不具合が以前から継続していた可能性もあるという。

パロマ事故:装置の応急修理で2件誘発 新品と交換せず 07/24/06(毎日新聞)

 パロマ工業(名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故で、安全装置の劣化により発生した事故4件のうち2件は、修理業者が制御装置を応急修理していた機器だったことが23日分かった。同社の事故機種では制御装置の故障が相次いだが、同社はすべてを新しい部品に交換せず、修理業者に応急修理するよう指導していた。この対応が、不正改造以外の事故も誘発したことになる。

 同社などによると、これまでに判明した事故は計27件で、うち4件は不正改造されておらず、機器の劣化が原因だった。さらにこのうち2件は、はんだ付け部分が割れて排気ファンが回らないなどのトラブルが原因だったとされるが、今回、このはんだ付けが、修理業者による応急修理によるものだったことが新たに分かった。

 事故の発生した湯沸かし器は、80年の発売後から制御装置の故障が続発。同社は当初、故障した制御装置を新品と交換していたが、82年に、修理業者が制御装置に新しい回路をはんだ付けする応急修理を行うよう文書で指導していた。今回、原因が判明した2件の事故はこの修理によるもので、北海道で93年と99年に発生、3人が軽症となった。

 応急修理によるはんだ付けは、工場で製造した部品より耐用年数が短く、安全装置が作動しなくなるトラブルが発生しやすい。応急修理を認めたことについて同社は「応急修理しても製品の安全性に問題はなく、修理業者からも要望があったため」としている。【中井正裕】

パロマ、不正改造で事故多発中に部品生産打ち切る 07/21/06(読売新聞)

 パロマ工業製の瞬間湯沸かし器による一連の事故で、同社には、安全装置の部品不足が不正改造につながるとの認識があったにもかかわらず、部品の製造を1996年で打ち切っていたことが分かった。

 同社は製造打ち切りを修理業者に知らせておらず、こうした対応が事故拡大を招いた可能性も出てきた。

 事故が起きた4機種は80〜89年に生産された。家庭用ガス器具などに関して、旧通産省が、生産中止から7年間は部品を安定的に供給できる態勢を保つよう通達していたため、同社は96年で製造を停止した。

 複数の修理業者によると、部品の製造停止についてパロマ側から連絡はなかったという。業者の一人は「部品の有無が不明で応急処理的に改造したことはある。製造停止を知っていたら新型製品への買い替えを勧めたはずだ」と話す。

 パロマは88年、前年に不正改造が原因の死亡事故が起きたことなどを踏まえ、改造を防ぐためにも部品を切らすことがないよう各営業所などに文書で通知。今月18日の会見では、パロマ工業が「故障の際に手持ちの部品がなく、修理として改造していた例がある」と認めている。

 部品の製造が打ち切られた96年以降の死亡事故の4件は、いずれも不正改造が原因だった。

 経済産業省製品安全課では「通達では最低限7年間保管するよう求めたが、事故の多発を把握していたならば、保管期限を延ばすのが適切だろう」と指摘。製造物責任(PL)法に詳しい杉浦英樹弁護士は、「不正改造される可能性を知りながら対策を講じないのは、メーカーの不作為だ」と批判している。

パロマ事故、修理の2人が書類送検 85年不起訴処分に 07/21/06(朝日新聞)

 札幌市で85年1月、パロマ工業製湯沸かし器の一酸化炭素中毒によって20代の男女2人が亡くなった事故で、北海道警が修理会社の作業員2人を業務上過失致死の疑いで書類送検していたことが分かった。札幌地検は当時、2人を「嫌疑不十分」で不起訴処分にした。一連の問題が発覚以降、捜査当局が過去に刑事責任を問う動きがあったことが表面化したのは初めて。この湯沸かし器は不正改造されていた。

 当時の資料などによると、2人は84年末、被害者宅の湯沸かし器を修理した際、強制排気装置の電気配線がはずれたままだったのに、点検を怠ったなどとして書類送検された。しかし地検は、男性が排気装置を動かした可能性があり、点検ミスとは言い切れないとした。

パロマ事故:電流不通続出で不正改造 予兆看過し惨劇に 07/21/06(毎日新聞)

 パロマ工業(名古屋市)製の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒死が相次いだ問題で、一連の死亡事故が起こる3年前の82年には、湯沸かし器を制御するコントロールボックス内で電流が不通となる故障が続出していたことが分かった。親会社のパロマが18日に公表した計27件の事故のうち、少なくとも10件はこの故障が原因となって不正改造が行われた。“予兆”となった故障の多発をパロマ側が深刻にとらえ、初期の段階で構造的な欠陥を改善していれば、事故を防げた可能性がある。

 この故障は、ボックス内の電気回路基板上で「はんだ割れ」が起こり、導通不良が起こるもの。基板とはんだの熱膨張率の違いなどが原因とされ、湯沸かし器使用時の高温と不使用時の温度差が大きい北海道など寒冷地でトラブルが多発した。問題となった機種は80年ごろから販売。2年ほどで故障が出始め、93〜97年には年平均約1300件に上り、そのうち3分の1がはんだ割れだった。

 パロマは事故を起こした「PH−101F」など3機種に使用している基板の応急修理方法として、2本の導線で接点をつなぐよう指示した図解入りのマニュアルを作成。82年に修理業者を集めた講習会などで配布していた。

 また、札幌地裁での恵庭市の重症事故をめぐる損害賠償訴訟の記録によると、パロマは故障した基板を取り出して修理したボックスを、別の湯沸かし器の修理の際に「使い回し」させていた。不正改造を行った修理業者は「全国的に故障が多く、取り換えるコントロールボックスの製造が間に合わず不足していた」と、故障の多発に対応するため、不正改造や使い回が行われていた背景を証言した。一方、パロマ工業の品質管理部長(00年当時)は「修理は新品交換が基本だが、(部品の)リサイクルで消費者の修理代を安くするのが目的だった」としている。

 道内のガス業者は「故障の多発が分かってすぐに自主回収や根本から改良をしていれば悲惨な事故は防げたはずだ」と話している。【真野森作、遠藤拓】

パロマが不正改造促す文書、修理会社へ80年代に配布 07/20/06(読売新聞)

 パロマ工業製の瞬間湯沸かし器で一酸化炭素(CO)中毒による死亡事故が相次いだ問題で、販売会社のパロマが1980年代、修理を手掛ける「パロマサービスショップ」に、安全装置に連動する「コントロールボックス」(制御装置)を通さずに配線する不正改造を促す文書を配布していたことが20日、警視庁捜査1課の調べでわかった。

 同課はすでに、関係者から、この文書の任意提出を受けている。同社製湯沸かし器の不正改造を巡っては、修理業者から、コントロールボックスの在庫不足が背景にあるとの指摘が出ており、同課は、パロマが在庫不足を補うため過去にこうした文書を配布したことが、安全対策の遅れにつながったとみて捜査を進めている。

 同社製湯沸かし器では85年1月以降、昨年11月までに計27件のCO中毒事故が発生し、20人が死亡、36人が重軽症を負った。

 このうち、コントロールボックスの配線を不正に改造したことが原因とみられる事故は14件判明している。

 これについて、パロマはこれまでの会見などで「当社が不正改造を指示したことはない」としていた。

 事故を起こした4機種の湯沸かし器はいずれも80年代に発売されたもので、すでに80年代半ばごろからは、コントロールボックスの基板に「はんだ割れ」などの異常が多発し、利用者からは、湯沸かし器が正常に作動しなくなるとの苦情が相次いでいた。

 修理には、新しいコントロールボックスに交換する必要があったが、製造が間に合わず在庫が不足。このため、パロマは、コントロールボックスが届くまでの「応急処置」として、配線を短絡させる不正改造をパロマサービスに促していたとみられる。

 同社製の湯沸かし器は本来、排気ファンが作動せず、内部が異常に過熱すると、コントロールボックスを通じガスの供給を止める仕組みになっているが、配線を不正改造で短絡させると、排気ファンが回らなくても、ガスは止まらずに、湯沸かし器を使うことができるようになる。

 捜査1課では、この文書の任意提出を受けており、全国のパロマサービスに配布された可能性もあるとみて、配布の時期や対象の特定を進め、パロマの事故責任の有無を判断したい考えだ。

 一連の事故を巡っては、87年1月に北海道苫小牧市で2人が死亡した事故をきっかけに、不正改造が原因と判明。同社が全国の営業所に注意文書を配布したため不正改造は減った。しかし、改造されたまま放置された湯沸かし器で、トラブルが重なった場合、不完全燃焼が起き、事故になったとみられる。

 パロマの話「コントロールボックスの修理方法を説明した文書を出したことはあるが、不正改造にかかわる文書は出していない」

パロマ事故:周知おろそかの姿勢 裁判の部長証言で判明 07/20/06(毎日新聞)

 パロマ工業(名古屋市)製の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒死事故を巡り、同社の品質管理部長(当時)が00年10月、95年1月に北海道恵庭市で1人が重症になった事故を巡る札幌地裁の損害賠償訴訟で、「一般ユーザーに危険性を知らせても点検しないだろう」と証言していたことが裁判記録で分かった。周知をおろそかにしてきた同社の姿勢が改めて浮き彫りになった。

 裁判では、事故原因の一つとされる湯沸かし器のコントロールボックスの不正改造が取り上げられた。改造の有無は、コンセントを外して燃焼し続けるかどうかを確認するだけで分かり、専門知識がない人でも簡単に点検できるが、部長は「点検方法を一般ユーザーに仮に知らせても、販売店に直接お願いするほどの効果はないと考えていた」と説明。さらに「器具の欠陥であれば(ユーザーに広報する)社内ルールがあるが、(不正改造は)欠陥と認識していない。一般への呼びかけを検討したことはない」とも述べた。裁判時には、パロマ側が発表した27件の事故のうち、既に25件が発生していたが、同社が点検方法を説明したのは販売業者らに対してのみだった。

 一方、このコントロールボックスの故障は年平均約1300件に達していたことが、部長の証言で分かった。故障原因の3分の1が基板のはんだ割れで、これが起きると点火しなくなるか排気ファンが回転しなくなる。基板の不具合が多数発生していたことが不正改造の背景にあるとみられており、その事実が裏付けられた形となった。【真野森作】

パロマ湯沸かし器、寒冷地に不適?民事訴訟で部長証言 07/20/06(読売新聞)

 パロマ工業製の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故に関連し、2000年10月の札幌地裁の民事訴訟に出廷した同社の品質管理部長が、制御基板に「はんだ割れ」などが起きることも考慮して設定した湯沸かし器の設置条件について、「気温が10〜60度の場所」と証言していたことがわかった。

 パロマが公表した事故27件のうち、北海道は最も多い15件。事故はほかにも秋田県や長野県など比較的寒い地域で目立ち、事故原因の一端に、部品の温度耐性がある可能性が浮上した。

 品質管理部長が出廷したのは、1995年1月に北海道恵庭市のアパートで、女子高生がCO中毒で重体になった事故の損害賠償請求訴訟。この事故では、安全装置と連動する「コントロールボックス」(制御装置)の制御基板にはんだ割れが起きていたことが、湯沸かし器の鑑定で明らかにされた。

 はんだ割れについて、品質管理部長は、各部分の熱膨張率の違いが原因で起きると証言。季節ごとの温度変化の繰り返しによって割れが起きることもあると説明したうえで、設置場所の想定温度について「10〜60度」と答えた。

 北海道で発生した15件の事故のうち、14件は12月〜4月に起きた。このほか、秋田県で2件、長野県でも2件の事故が起きていたことが、これまでのパロマ側の調査で判明している。

 これらの事故のうち何件ではんだ割れが起きていたかは明らかになっていないが、冬場や春先に室内温度が10度未満に下がる地域では、室温の変化が想定温度の範囲内におさまる地域に比べて、はんだ割れが起きる可能性が高くなるとみられている。部長も「(寒冷地の方が)多くなると思う」と証言していた。

 はんだ割れが生じると、点火不良や排気ファンが回らない不具合が起きやすくなる。恵庭市の事故の民事訴訟では、北海道内の業者が、問題の機種の発売から1〜2年後、はんだ割れが原因の「数え切れないほどの」故障が相次いだ結果、交換用の制御装置が不足した、と弁護士に語ったとする書面が提出されている。

パロマ工業事故:旭川で3人死亡 27件とは別機種 07/19/06(毎日新聞)

 パロマ工業製の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故で、経済産業省の発表以外に旭川市で92年11月、3人が死亡する事故が起きていたことが分かった。ガスを供給した旭川ガスによると、この事故を起こしたのは同社製の「PH−101M」で、問題となっている7機種とは異なる。

 同社によると92年11月6日未明、飲食店経営者(当時36)が自宅マンションで妻(同29)と長男(同5)、長女(同3)が倒れているのを発見した。3人は病院に運ばれたが、一酸化炭素中毒で間もなく死亡した。浴室の水道から水が出たままで、湯沸かし器は点火されていたという。

 事故があった機種はファンが内蔵されていない「自然排気式」。排ガスを屋外に逃がす排気筒と壁の間にすき間ができ、そこからガスが室内へ逆流したとみられる。不正改造はなく、旭川ガスは「安全装置が原因ではなく、問題となっている一連の事故とは関係ないのではないか」と話している。【金子淳】

不正改造:「パロマ講習会で習った」…元業者証言 苫小牧 07/19/06(毎日新聞)

 92年4月に札幌市で2人が死亡した事故の損害賠償訴訟で、パロマ製品の修理をする「パロマサービスショップ」を北海道苫小牧地区で経営していた元業者が、被告側弁護士に対し、「(不正改造は)パロマの講習会で教えられた」と証言していたことが、札幌高裁の裁判記録などで分かった。しかし、パロマ側は「改造を絶対に行ってはいけないと指導していた」と証言を否定し、判決はこの点に触れなかった。

 この訴訟は、遺族側がパロマと取り付け業者らを相手取って損害賠償を請求した。証言した業者は75〜87年まで同ショップを経営。札幌市の事故とは無関係だったが、87年に苫小牧市で2人が死亡、3人が軽症を負った事故で、安全装置が作動しないように不正改造をしていたとして、関連証言をした。

 ◇パロマは否定

 この業者は98年2月、取り付け業者の弁護士に対し「メーカーの指導なしに、サービスショップレベルの知識でこんな改造は出来ない。パロマ札幌営業所は年に2、3回、サービスショップを集めて講習会を開催していた。(動作制御をする)コントロールボックスの故障が多かったことから、講習会で応急措置として(安全装置を作動させない)バイパスを教えられた記憶がある」と証言し、証拠提出された。

 また、不正改造を行った動機について、この業者は「パロマの(事故機の一つの)PH−101Fなどはクレームが多かった。修理にはコントロールボックスの交換が必要だったが、パロマの製造が間に合わず改造で急場をしのいでいた」とし、「パロマはこのように応急措置をしていることを苫小牧事故以前から知っていたが、何もしなかった」と指摘した。

 この業者は18日、毎日新聞の取材に「自分個人でそれだけの改造の技量はないので出来なかった。こうすれば出来るよ、という話はあった」と改めて証言した。しかし、「今は誰から聞いたのかははっきり覚えていない」と、パロマの講習会かどうか明言しなかった。【真野森作、佐野優】

パロマ湯沸かし器事故、ほかに10件 死者20人に 07/18/06(朝日新聞)

 パロマ工業(本社・名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器で一酸化炭素中毒による死者が相次いだ問題で、同社は18日午後、記者会見を開き、経済産業省が把握している17件の事故以外に10件事故があったと発表した。同社が確認した事故件数は計27件で、死者数は計20人となった。同社の小林敏宏社長は「消費者の安全が図れたら進退を考えたい」と話した。

 会見では、経産省が点検を指示した同社製の湯沸かし器7機種について、すべて無償で新型製品と交換することも発表した。

 同社の親会社でグループを統括するパロマの小林弘明社長は記者会見の冒頭、「多大なご心配、ご迷惑をかけ、心からおわび申し上げます。本当に申し訳ございません」と頭を下げ陳謝した。

 これまで「不正改造」が原因だとしてきたことについては「我々の製品であるので我々が対応を取るべきだった。反省している」と述べた。

 会見に同席した弘明社長の父親の小林敏宏・パロマ工業社長は自らの進退について、「まずは消費者の安全を図ることが大事。それが完了したら進退を考えたい」と語ったが、弘明社長については「今のところ責任を問うことはない」として、弘明社長が辞任する必要はないとの認識を示した。

 パロマ工業によると、事故は起きていないものの、新たに「不正改造」が関東地方で4件、中部地方で1件、中国・四国地方で1件の計6件確認されたという。

帯広でも2人死亡 パロマ製湯沸かし器 07/16/06(朝日新聞)

 パロマ工業(本社・名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器で一酸化炭素中毒が起き死亡事故が相次いだ問題で、経済産業省が把握しているほかに、北海道帯広市で90年に2人が死亡する事故があったことがわかった。この事故は、湯沸かし器内部の配線が組み替えられていて、排気ファンが停止した場合、ガス供給を自動的に遮断する安全装置が働かなかったことが原因とされる。

 事故は90年12月11日、帯広市のアパートで発生。1階に住む女性店員(当時20)が自室の浴槽内で、真上の部屋では男性会社員(当時27)が脱衣所で、それぞれ一酸化炭素中毒が原因で死亡した。

 北海道警の調べでは、女性店員の部屋のパロマ製湯沸かし器は、強制排気用の電源コードが差し込まれていなかったうえ、コントロールボックスの回路の配線が組み替えられていたため、安全装置が作動しなかったという。関係者によると、機種は、経産省が事故が起きたとしてパロマ工業に点検を指示したPH―101Fだった。

 事故当日に当直で現場で調査にあたった帯広ガス社員(54)は「ガス漏れはなく、排気のトラブルが原因ではないかと推測した。当時、不正改造の情報は伝わっておらず、改造されているとは気づかなかった」と話している。

 一方、パロマ工業総務部は17日、朝日新聞の取材に「事故については把握しており、改造の事実も確認済み」と答えた。

パロマ事故、系列業者が不正改造 社長説明と食い違い 07/16/06(朝日新聞)

 パロマ工業(名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が相次ぎ、85年以降15人が死亡した問題で、親会社のパロマが事故原因だと主張する安全装置の不正改造を、87年ごろ同社系列の修理業者が行っていたことがわかった。小林弘明社長は14日の記者会見で、「下請けも含めてパロマでは不正改造はしていない」と説明していた。

 この不正改造は、92年に札幌市で起きたパロマ工業製湯沸かし器による死亡事故を巡る損害賠償請求訴訟で、過去の同種事案を指摘する中でとりあげられた。

 02年2月の札幌高裁判決によると、不正改造を行っていたのはパロマ製品の修理や販売を手がける「パロマサービスショップ」の従業員の一人。北海道苫小牧市周辺を担当区域として受け持っていた。

 判決によると、苫小牧市のアパートで87年1月、パロマ工業製の湯沸かし器で一酸化炭素中毒事故が発生。2人が死亡、3人が軽症を負った。この事故を受けてパロマが独自に調査を始めたところ、事故と同種の不正改造を、この従業員が行っていたことが判明した。

 判決では、パロマはこの従業員の修理伝票から顧客を調べ、不正改造が施された湯沸かし器を点検したという。88年には「事故が発生すれば責任を問われる」として、不正改造の禁止を全国の営業所に通達した。従業員が行っていた不正改造は、湯沸かし器の動作を制御する装置に配線を追加する方法で、安全装置が働かないようにしていたという。

 パロマによると、排気ファンが止まったままでも運転が可能になるため、室内に一酸化炭素が充満する恐れが強いという。

 苫小牧市の事故は経済産業省が14日に発表した17件の事故のうち、2件目にあたる。パロマは同日の記者会見で、苫小牧市の事故そのものを「把握していない」と説明していた。

 パロマの説明では、パロマサービスショップは全国にある修理代行店。パロマに直接寄せられた修理依頼の下請け先となっている。パロマ製品に関する保守・点検の知識は他の一般的なガス業者よりも高い。

 パロマの伊藤美樹夫・総務部長は「パロマサービスショップと直接の資本関係はないが、知らないところが勝手にやったとは言えない。今後どう対応するかは社内で検討したい」と話している。

パロマ、死亡事故を昭和62年から把握 07/16/06(朝日新聞)

 パロマ工業(名古屋市)のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒死が相次いだ事故で、パロマが昭和62年に北海道で起きた不正改造による死亡事故例を同年中に把握していたことが16日、分かった。

 パロマは翌63年には営業所に文書で不正改造の危険性を注意喚起していた。同じころ、通産省(現・経済産業省)や業界団体とも協力して業界内で同趣旨の広報活動をしていた。通算省にも当該事故を報告していたとみられる。パロマはこれまで、一連の17件の事故中、最初の把握は平成3年の長野県の事故としていた。食い違いの経緯については「調査中」としている。

 パロマによると、事故は62年1月9日に苫小牧市のアパートで起きた。安全装置が働かなくても点火が可能になる追加配線をした不正改造で不完全燃焼し、一酸化炭素が発生。2人が死亡、3人が軽症だった。

 事故発生直後にパロマが実施した調査で、不正改造はパロマが修理を依頼している「パロマサービスショップ」の担当者が行ったことが判明した。

 パロマは63年5月、全国の営業所に文書で(1)安全装置を外す改造作業は絶対にしない(2)万一そのような作業が原因で事故が発生した場合には責任を問われる恐れがある(3)安全に関する部品の在庫は絶対に切らさない―と注意喚起した。通産省や業界団体も通じて、広報活動を行った。

 パロマ総務部は不正改造を行ったパロマサービスショップについて「全国にある個人修理業者らで、自社で修理する人手が足りない時に代行をお願いすることはあるが、資本関係はなく系列会社や下請けとも言えない」と説明している。

パロマ事故、21年前に娘死亡の母「なぜもっと早く」 07/15/06(読売新聞)

 パロマ工業製の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故の死者15人の中には、結婚を目前に控えていた若い男女もいた。

 その死から21年を経て公表された事実に、女性の母親は「なぜもっと早く発表しなかったのか」と怒りをぶつけた。

 死亡したのは、美容師として働いていた金谷詳子さん(当時21歳)と婚約者の男性(同29歳)。1985年1月、男性が住んでいた札幌市中央区のアパートで事故に遭い、ともに亡くなった。同年10月に結婚式を挙げる予定だった。

 詳子さんの母親の慶子さん(69)は「当時、パロマから事故についての説明は一切なかった」と話す。娘の死を招いた湯沸かし器がパロマ工業製だったことも、今回の発表で初めて知ったという。

 慶子さんは「娘は帰って来ないが、もっと早い段階で発表されていたら、ほかの被害者は出なかったのではないか」と憤った。

 96年に東京都港区のマンションで亡くなった山根敦さん(当時21歳)の両親も、松江市内の自宅で改めて怒りに声を震わせた。

 息子の死の真相を知りたいと、警視庁への再捜査を依頼したことが、一連の事故の原因発覚のきっかけとなった。敦さんの父、山根健二さん(57)は、「息子の事故に遭う以前にも同様の事故が起きており、息子はパロマと経産省に殺されたのも同じ。利用者が勝手に改造したから事故が起きたような言い方をするパロマ側の対応には到底、納得できない」と話していた。

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