談合事件(その他)

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震災復旧工事で談合?オリンピック関連の工事もある意味談合では?

震災復旧工事で談合容疑…道路舗装業者を捜索 01/20/16(朝日新聞)

 東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事を巡る談合疑惑で、東京地検特捜部と公正取引委員会は20日午前、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、工事を受注した前田道路や日本道路など、道路舗装業者の捜索を始めた。

 一部の業者は、特捜部や公取委の聴取に談合を認めている。震災復興に乗じて業界内で利益を分け合った悪質な談合が行われた可能性があり、特捜部などは全容解明を進める。

 特捜部による独禁法違反容疑での強制捜査は、2014年2月の北陸新幹線の雪害対策工事を巡る談合事件以来、約2年ぶり。

談合のやり得?自治体も思慮の欠ける?

談合メーカー営業停止、整備局で時期にズレ…受注に影響も 11/01/07(読売新聞)

 談合事件に関与したプラントメーカーに対して国土交通省がペナルティーとして科す営業停止処分が、どの地方整備局(地整)で処分を決定するかによって時期にずれが生じている。

 し尿処理施設をめぐる談合事件では、最大約3か月の差がついた。営業停止になると入札に参加できないため、受注競争にも影響を与えている。

 営業停止は、独占禁止法違反や刑法の談合罪、公正取引委員会の課徴金納付命令などが確定した業者に対し、最長1年間、契約や入札、見積もりなどを禁じるペナルティー。プラントや機械系のメーカーは今年に入り、「トンネル換気」「し尿処理」「水門」各設備の工事をめぐる談合で延べ37社が営業停止になった。

 し尿処理施設談合で処分を受けたのは日立造船、クボタなど11社。11社は昨年5月に公取委に告発され、今年5月までに全社で有罪が確定している。営業停止期間は10社が30日間、荏原製作所は他の事件の処分が加重され45日間だったが、始まりは最も早かった日立造船など3社が7月10日、クボタが9月21日、栗田工業など7社は10月5日からとばらばらだった。

 処分を決めるのは建設業許可の申請を受けた地整で、遅かった7社は関東地整の担当。残る4社は近畿地整だった。営業停止はし尿処理に限らず清掃施設全般に及ぶため、処分が遅れたメーカーは今秋、発注されるごみ処理施設工事を受注する機会を失った。

 岐阜県山県市発注のごみ焼却炉工事(予定価格38億8000万円)の入札は先月25日で、処分が早かった2社だけが応札し、日立造船が落札。静岡市発注の粗大ごみ処理施設工事(同39億1000万円)は、入札参加申請期限の先月15日から入札日の今月6日までに処分期間が重なると失格になるため、関東地整の担当だったメーカーは、いずれも参加できない。

 処分の遅れについて、関東地整建設産業第一課は「処理件数が多く、手続きに時間がかかる」と説明するが、失格になった大手メーカー幹部は「コストをかけて見積もりしてきたが、無駄になった」と話すなど、どこに申請したかによって明暗が分かれた形だ。

 発注側も影響を受けている。「1社でも多く入札に参加させて競争性を保つため、発注を遅らせたが、処分と重なった。国交省に『いつですか』とも聞けないし、悩ましい」と静岡市の担当者。

 行政処分では、複数の業者が関与した事件で処分のタイミングに配慮を求めるルールはなく、国交省建設業課は「談合事件の摘発が続いているので、手続きの進み方に差が出るのはやむを得ない」としている。

元警部補、「副市長に」と1千万円受領 枚方談合 08/07/07(朝日新聞)

 大阪府枚方市の清掃工場建設をめぐる官製談合・汚職事件で、談合を見逃す見返りに大手ゼネコン「大林組」から1000万円を得たとして収賄容疑で再逮捕された府警捜査2課元警部補が、副市長への退職祝いと称して金を要求していたことが大阪地検特捜部の調べでわかった。共犯で逮捕された業者が「すでに立て替えた」「払わないと談合をばらす」と迫っていたことも判明。金の受け渡しも業者が担っていた。特捜部は、汚職捜査を熟知する元警部補がわいろ性を薄めようと画策したとみている。

 「今回、副市長には色々と骨を折ってもらった。近く退職されるので金を贈りたい」

 関係者の供述によると、元警部補の平原幸史郎容疑者(47)=談合罪で起訴=は、大林組側が清掃工場建設を談合によって不正受注した翌月の05年12月、副市長の小堀隆恒被告(61)=同=が退職するとうそをつき、同社元顧問の森井繁夫容疑者(64)=贈賄容疑で再逮捕、談合と別の贈賄罪で起訴=に現金の支出を持ちかけた。

 その後、元警部補と親しい大阪府泉佐野市の建設会社社長、山田睦司容疑者(46)=収賄容疑の共犯で再逮捕=が元顧問に「受注額の1%」と具体的な金額を指定し、5000万円を要求した。元顧問が「高すぎる」と拒否すると、山田社長は「すでに立て替えて副市長に払っている」「あれは談合だろう。支払わないと、ばらすぞ」と執拗(しつよう)に迫ったという。

 森井元顧問は平原元警部補に「山田社長を抑えてほしい」と依頼し、その結果、支払額は1000万円で決着した。元警部補が捜査2課員だった昨年12月、元顧問は大林組本店(大阪市)で山田社長と会い、約束の1000万円を手渡した。しかし、現金は小堀副市長に渡ることはなく、平原元警部補が山田社長から全額を受け取り、自らの借金返済や知人女性への贈答品などに使っていたという。

 平原元警部補は5月に逮捕されるまで、談合や汚職を摘発する捜査2課に通算7年余り在籍し、「エース格」と評価されていた。

 特捜部は、平原元警部補が山田社長と共謀のうえ、専門の知能犯捜査の知識を悪用して、自身への収賄罪が成立しにくくなるよう画策したとみている。一方、贈賄側の森井元顧問についても山田社長のバックに元警部補がいることを認識していたと判断し、1000万円は不正を捜査すべき警官が談合を見逃す見返りのわいろだったとみて調べている。

枚方談合:逮捕の市長が供述 「談合ないと言えない」 08/01/07(毎日新聞)

 大阪府枚方市の清掃工場建設工事を巡る談合事件で逮捕された市長の中司宏容疑者(51)が大阪地検特捜部の調べに対して「こういう状況になって、談合がなかったとは言い切れない」と供述していることが分かった。長年の盟友である府議や府警警部補、腹心の副市長が談合容疑で逮捕・起訴される中で、自身のかかわりを一定程度認めたものといえるが、特捜部は、実際には中司容疑者が主体的に関与した疑いが強いとみており、今後調べを本格化させる。

 調べでは、中司容疑者は府議の初田豊三郎被告(49)や元府警警部補の平原幸史郎容疑者(47)、副市長の小堀隆恒被告(61)らと共謀。05年11月10日にあった入札で、大林組と浅沼組の共同企業体が落札できるよう談合した疑い。

 同工事を巡っては、まず、入札方法などについて普段から相談していた初田被告が大林組側に談合を仕切るよう要請。05年8月の1回目の入札が不調に終わった後、今度は、20年来の知り合いである平原容疑者が工事規模を拡大してほしいという大林組の要望を小堀被告に伝えていた。この際、中司容疑者は小堀被告に、要望に沿うよう指示していたとされる。

 こうした状況の中で、中司容疑者は自身の関与を否定しきれないと考えたものとみられる。特捜部は、中司容疑者を軸とする人脈が談合の根幹にかかわっていた上、自ら同社に有利になるよう指示を出していたことを重視。主体的に加担した可能性が高いとみて追及するとみられる。【田中龍士、藤田剛】

水門談合、元技監が受注予定変更を指示…国交省調査報告 06/15/07(読売新聞)

 水門設備工事を巡る官製談合で、国土交通省は15日、同省国土技術政策総合研究所の現職課長と、当時現職だった元技官やOBの計6人が談合に関与していたことを認める調査報告書を正式に公表した。

 この中で、豊田高司・元建設省技監が、2001年7月の参院選で、同省OBの岩井国臣参院議員(自民)を支援したとされる業者を受注予定企業に入れるよう働きかけた疑いがあることも指摘された。

 報告書によると、豊田元技監は01年5月ごろから05年5月ごろまで、「ダム新設用」工事について、業界が決めた受注予定企業を承認する役割を担っていた。大半はそのまま了承していたが、岩井議員を参院選で支援したという業者が01年末ごろ、「選挙で応援したのに、仕事がとれない」と注文を付けた際、「世話役」と呼ばれた業界の幹事社に対し、受注予定企業を一部変更し、この業者を加えるよう指示したという。

 元技監は同省の調査に対し、「工事は(公平に)行き渡らせた方がよいと考えた」などと説明、岩井議員の事務所は「事実関係が確認できず、コメントのしようがない」と話している。

 一方、報告書は、同省OBの天下りについて、「押しつけ的あっせん」はなかったとしたが、「OBの受け入れと受注の関連は否定できない」として、官製談合の背景に天下りがあったことを事実上、認めた。

 国交省は18日付で、出先機関の現職課長を停職2か月の懲戒処分とし、安富正文次官ら幹部7人を訓告などの処分とする。

朝日新聞(2007年6月15日)より

水門談合 国交省現職も関与

内部調査で判明 職員を懲戒処分へ

逮捕の警部補、1千万円受領を認める…枚方市の官製談合 06/06/07(読売新聞)

 大阪府枚方(ひらかた)市発注の清掃工場建設を巡る官製談合事件で、競売入札妨害容疑(談合)で逮捕された大阪府警捜査2課警部補・平原幸史郎容疑者(47)が、大林組から支出された受注謝礼4000万円のうち、1000万円が流れたとされる現金の受領を認める供述を始めたことがわかった。

 関係者によると、平原容疑者は、調べに対し、大阪府泉佐野市の建設会社「国土建設」社長・山田睦司(ちかし)容疑者(46)を介して、1000万円を受け取ったことを認めた。しかし、市側に働きかけたことは否認し、中司宏市長(51)と他の容疑者らを引き合わせたとされる会食については「自分は主導していない」と供述しているという。

 一方、当時、枚方市議で大阪府議の初田豊三郎容疑者(49)(同容疑で逮捕)が工事の入札前に、自らが実質経営する建設会社が破産するなどして経済的に窮地に陥り、大手ゼネコン大林組に受注工作を持ちかけていたことも判明した。

 大阪地検特捜部は、平原、初田両容疑者が受け取った金の一部が、市側に流れた可能性もあるとみて追及する。

枚方談合 大林組に受注工作提案 逮捕の大阪府議、金策困り 06/05/07(産経新聞)

 大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事をめぐる官製談合事件で、元枚方市議で府議の初田豊三郎容疑者(49)=競売入札妨害(談合)容疑で逮捕=が入札前、大林組側に「市側に働きかけてあげる」などと自ら受注工作を持ちかけていたことが5日、わかった。初田容疑者が当時、金に困っていたことも判明。初田容疑者は、受注した大林組側に一時、億単位の謝礼を要求しており、大阪地検特捜部は、親密な関係だった中司宏市長(51)の威光を武器に利得を図ろうとしたとみて追及している。

 特捜部は、中司市長の関与がなければ談合は成立しなかったと判断。官製談合の全容解明に向け、中司市長に対する強制捜査に乗り出す方針を固めている。

 関係者によると、初田容疑者は平成10年ごろ、中司市長から、府警捜査2課警部補、平原幸史郎容疑者(47)=同=を紹介された。さらに今回の清掃工場建設工事の入札前年の16年ごろ、平原容疑者から「会わせたい人がいる」と、大林組顧問の森井繁夫容疑者(63)=同=を紹介され、ゼネコン人脈のコネを得たとされる。

 その後、森井容疑者の訪問を受けるようになった初田容疑者が「工事を受注できるように市側に働きかけてあげる」などと自ら提案したという。

 初田容疑者は当時、市発注工事について協議する市議会建設常任委員会に所属。議員控室に市の担当部長らを頻繁に呼び出し、話し込む場面が複数の市議らに目撃されている。

 入札では大林組と浅沼組の共同企業体(JV)が予定価格の98.4%にあたる55億6000万円で落札した。

 一方、初田容疑者が実質的に経営する建設会社が14年5月に多額の負債を抱えて破産。自宅の土地建物が一時、枚方税務署に差し押さえられたこともあったという。

 初田容疑者は大林組の工事受注後、大林組に受注額の2%(約1億1000万円)の謝礼を要求したが、大林組から依頼を受けた土木建築会社「羽衣組」社長と交渉する中で3000万円で折り合ったとみられている。

 特捜部はこうした経緯に着目。初田容疑者が水面下で進めた受注工作の解明とともに、3000万円が市側の人物に流れた疑いもあるとみて贈収賄容疑を視野に捜査している。



 大阪地検特捜部は5日、競売入札妨害容疑で兵庫県西宮市の「羽衣組」を捜索した。

枚方談合 市長バックに勢力拡大 「一心同体」の初田府議 06/05/07(産経新聞)

 大阪府枚方市発注工事の官製談合事件で、逮捕された元枚方市議で府議の初田豊三郎容疑者(49)と、中司宏市長(51)は同世代で似通った家に育ち、「一心同体」の関係で歩んできた“盟友”といわれる。市長は、初田容疑者が市議時代、議会対策で信頼を寄せ、初田容疑者も市長の後ろ盾を使って勢力を拡大してきたという。市長は「(逮捕は)何かの間違いではないか」と話すばかりだ。

 2人は昭和30年代前半に枚方市で生まれた同世代。中司市長は昭和62年に府議の父の後を受け31歳で府議選に立候補して当選。2期務めた後、平成7年に39歳の若さで市長に就任した。

 一方、初田容疑者も祖父が府議、父が市議という政治家の家に育った。中司市長よりも2歳若く、青年会議所(JC)の活動を通して出会い、親交を深めるようになった。市長と同じく平成7年に市議に初当選した。

 初田容疑者は父親が市役所内で築いた人脈があり、当初から影響力を持っていた。しかし、中司市長は若さをアピールして「停滞した市政を変える」と乗り込んできただけに、市長就任当初は、ベテラン議員や市の古参幹部の反発にあうことも少なくなかった。

 関係者によると、そうした状況に、初田容疑者の方から近づき、中司市長を援護し始めたという。交渉力にたけた初田容疑者は議会対策を自ら買って出て、市政方針に反発する議員のもとを精力的に回り、市長の代わりに説得役をこなした。

 次第に、市長は相談相手として信頼を寄せ、初田容疑者と頻繁に市長室などで会い、今後の市政運営を話し合うようになったという。

 プライベートでも結びつきは強く、初田容疑者の結婚式では、市長が仲人になり、初田容疑者の母親が亡くなったときは葬儀委員長も務めた。

 今回の事件で逮捕された大阪府警捜査2課警部補の平原幸史郎容疑者(47)を初田容疑者に紹介したのも市長。「捜査2課の選挙のプロで、初田氏は建設業界にいて、そういうことにも興味があると考え、よかれと思って紹介した」と市長は言う。

 一方、そうした2人の蜜月ぶりに、まゆをひそめる関係者も少なくなかった。枚方市内の建設業者は「利権屋の初田容疑者に、中司市長はうまく利用されていた」。別の業者も「市長の後ろ盾を利用して、初田容疑者は傘下の建築業者に、工事をまわしていた」と話す。

 また、2人の関係をよく知る元市幹部は、クリーンさをアピールする中司市長にとって、初田容疑者は「汚れ役だった」と指摘。さまざまな案件を持ち込んでくる建築業者との防波堤となり、「先回りして動いていた」という。

 さらに、反中司派だった元市議が引退したことをめぐり、事情を知る関係者は「この市議は初田容疑者とも、ことあるごとに対立していた。市長と初田容疑者の利害が一致し、引退へ圧力をかけたのではないか」と話す。

 長年の盟友が逮捕された中司市長。4日の記者会見で、「いまだに信じられない思いでいっぱいで、何かの間違いではないか」と話した。大きなショックを受けていることを包み隠さず打ち明け、「談合はいまでもなかったと信じている」と言い切った。

枚方談合:工事発注や規模、市長が最終決済 聴取不可避か 06/05/07(毎日新聞)

 大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事を巡る談合事件で、外部委員会が決めたプラントと建屋の分離発注や庁内委員会による工事規模拡大の決定を、中司宏市長が最終的に決裁していたことが分かった。市長は、受注した大林組の意向を受けて動いていた府議で元枚方市議の初田豊三郎(49)と府警警部補の平原幸史郎(47)の両容疑者と発注方法などについて頻繁に会合していた。さらに、副市長の小堀隆恒容疑者(60)から、こうした大林組に有利な決定について逐一報告を受けていたことも分かり、大阪地検特捜部による市長の取り調べは避けられない情勢になった。

 これまでの調べなどによると、中司市長は発注方法などを検討するため、外部の識者による「第2清掃工場建設検討会議」(会議)と相互補完し合う部長級以上の「第2清掃工場建設検討委員会」(委員会)を設置。小堀容疑者は委員会の委員長を務め、会議にもオブザーバー参加していた。

 今回のような工事では従来、プラントメーカーに一括発注されるケースが多かったが、会議は建屋工事を分離し、ゼネコンが有利な形で発注することを決定。さらに、委員会はいったん予定価格約39億円で発注した工場本体工事が応札なしで不調に終わった後、大林組の意向に沿う形で管理棟工事などを付加して工事を約56億円規模に拡大していた。

 中司市長はこうした会議や委員会の存在を挙げ「市長が談合に関与する余地はない」と繰り返し釈明。しかし、大林組から謝礼を受け取ったとされる初田、平原の両容疑者と「謀議」と受け取られかねない会合を開いていた上、同じく同社の意向を承知していた小堀容疑者を委員会のトップに据えて報告を受け、決裁していた。【田中龍士、藤田剛】

枚方談合、大阪府議は3000万円受領か…逮捕の業者供述 06/04/07(読売新聞)

 大阪府枚方(ひらかた)市発注の清掃工場建設を巡る官製談合事件で、逮捕された兵庫県西宮市の建設会社「羽衣組」社長・松山武仁容疑者(65)が、大阪地検特捜部の調べに対し、大手ゼネコン大林組から受け取った3000万円を、当時枚方市議だった府議(49)に渡したことを認める供述を始めていたことがわかった。

 府議は当初、大林組に受注謝礼として、受注額の2%(約1億1000万円)を要求していたことも判明。大林組から金額の調整役を依頼された松山容疑者が府議と交渉、3000万円に「値切った」という。特捜部は近く、府議を事情聴取し、3000万円の流れを解明する方針。

 これまでの調べで、大林組顧問・森井繁夫容疑者(63)(逮捕)ら同社側の3人は受注謝礼として4000万円を支出。1000万円は、府警捜査2課警部補・平原幸史郎容疑者(47)(同)の要求を受けて、大阪府泉佐野市の建設会社「国土建設」社長・山田睦司(ちかし)容疑者(46)(同)経由で平原容疑者に渡り、残る3000万円は、松山容疑者が受け取っていたことがわかっている。

 調べなどによると、府議は平原容疑者から森井容疑者を紹介され、中司(なかつか)宏市長(51)も含めた4人で会食。森井容疑者から数回、訪問を受けていた。

 こうした経緯から、府議は「第2清掃工場」(仮称)の建設工事の受注を市側に働きかけたとみられ、大林組が予定価格の約98・4%に当たる55億6000万円で落札した後、森井容疑者らに受注額の2%を要求したという。

 しかし大林組側は「金額が大きすぎる」といったん断り、取引のあった松山容疑者に調整を依頼。最終的に、3000万円で合意したため、松山容疑者を経由して府議に渡ったという。

 特捜部は府議が受け取ったとみられる3000万円が、さらに市側に流れた可能性もあるとみて、近く、府議から事情を聞く。

 読売新聞の取材に対し、府議は「森井容疑者から受注を依頼されたことはなく、金銭の授受も一切、ない」などと話していた。

朝日新聞(2007年6月3日)より

枚方市談合

「元市議が謝礼要求」大林組顧問ら 市側に流れる?

朝日新聞(2007年6月3日)より

枚方市談合

警察官がフローカーとは

大林組の受注謝礼、平原警部補へ1000万円…枚方談合 06/01/07(読売新聞)

 大阪府枚方(ひらかた)市発注の清掃工場建設を巡る談合事件で、工事を受注した大手ゼネコン大林組が受注謝礼として支出した4000万円のうち1000万円は、競売入札妨害容疑で逮捕された府警捜査2課警部補・平原幸史郎容疑者(47)が受け取っていたことが大阪地検特捜部の調べでわかった。

 平原容疑者から大林組に現金を要求していたといい、特捜部は金銭の趣旨について追及している。

 また、特捜部は1日午前、大林組とJV(共同企業体)を組んでいた中堅ゼネコン浅沼組(大阪市天王寺区)を捜索した。

 調べでは、大林組は工事の受注後、共犯として逮捕された大阪府内の建設会社社長に1000万円、別の業者に3000万円を渡していたが、うち建設会社社長に渡った1000万円は平原容疑者に全額が流れていたことがわかった。建設会社社長は大林組が支出し平原容疑者に渡す現金の受け渡し役だったとみられる。

 特捜部は、別の業者に渡された3000万円の流れとともに、平原容疑者に渡った1000万円の一部が、さらに別の人物に流れた可能性もあるとみて追及する。

 これまでの調べや関係者の話によると、平原容疑者は、大林組顧問・森井繁夫容疑者(63)(競売入札妨害容疑で逮捕)の要望を受け、中司(なかつか)宏市長(51)や当時、枚方市議だった府議(49)との会食を設定した。さらに、中司市長の紹介を受けて、逮捕された副市長・小堀隆恒容疑者(60)と再三、接触し、大林組の意向を受けて入札に関する情報を入手し、同社などに伝えたとされる。

 特捜部は、これら大林組が支出した現金の一部が枚方市側に流れた疑いがあるとみて、贈収賄容疑を視野に捜査を進める方針。

 ◆枚方副市長、警部補に詳細情報◆

 小堀容疑者は、大林組側に伝わることを知りながら、平原容疑者に詳細な入札情報を提供していたことがわかった。小堀容疑者が、平原容疑者に入札の実務を取り仕切る枚方市の重点プロジェクト推進部長(59)(当時)を紹介していたことも判明。特捜部は、市ナンバー2の小堀容疑者による談合への積極的な関与を裏付ける事実とみている。

 調べや関係者の話によると、小堀容疑者は2003年5月の助役(現・副市長)就任直後、中司市長の紹介で平原容疑者と知り合った。その後、小堀容疑者は副市長室などで、たびたび平原容疑者と面会し、「第2清掃工場」(仮称)工事の入札の情報などを細かく説明していたという。

 清掃工場建設を巡っては、05年8月、予定価格約39億円で工場棟などの工事の入札を行ったが応札はなく、管理棟などの工事を追加して価格を約17億円も引き上げて同年11月に再入札していた。当初の価格では、受注者側に大幅な赤字が出るため、平原容疑者が、管理棟の工事を追加して再入札するよう小堀容疑者に持ちかけ、小堀容疑者らも、ゼネコン側に有利になることを知りながら受け入れていたとみられる。

 小堀容疑者はさらに、工事の実務責任者だった当時の重点プロジェクト推進部長(現枚方市議)を平原容疑者に会わせ、入札の進ちょく状況の説明をさせていたこともあったという。

大阪地検特捜部、枚方副市長を談合容疑で逮捕 06/01/07(読売新聞)

 大阪府枚方(ひらかた)市発注の清掃工場建設を巡る談合事件で、大阪地検特捜部は31日、談合に関与したとして、工事の実質責任者である副市長・小堀隆恒容疑者(60)を競売入札妨害(談合)容疑で逮捕した。

 小堀容疑者は、容疑を認めているという。事件は、市のナンバー2が絡んだ官製談合に発展した。

 調べによると、小堀容疑者は大手ゼネコン大林組顧問・森井繁夫(63)、府警捜査2課警部補・平原幸史郎(47)の両容疑者ら6人と共謀。2005年11月に枚方市が実施した「第2清掃工場」(仮称)の建設工事の制限付き一般競争入札で、大林組と浅沼組のJV(共同企業体)が落札できるよう談合した疑い。

 小堀容疑者は、清掃工場の建設に向けて市幹部でつくる「建設検討委員会」の委員長で、建設計画や入札や発注などの大まかな方針を決める立場にあった。読売新聞の取材に対し、「市長の紹介で平原容疑者からたびたび面会を受け、清掃工場の工事の入札状況などを聞かれた。一連の経緯やその理由などを細かく説明した」と話したが、談合への関与は否定していた。

 小堀容疑者の逮捕を受けて31日夜、同市役所で記者会見した中司(なかつか)宏市長は、自らの進退について「大変重い責任があると受け止めているが、まだ事態が整理できていない」と明言を避けた。

枚方官製談合 警部補、平成14年工事も関与か? 06/01/07(産経新聞)

 大阪府枚方市発注の清掃工場建設をめぐる官製談合事件で、競売入札妨害(談合)容疑で大阪地検特捜部に逮捕された府警捜査2課警部補、平原幸史郎容疑者(47)が、平成14年に入札が実施された同市のコミュニティー施設建設工事でも、業者の「受注工作」に関与した疑いがあることが1日、分かった。平原容疑者は知人の元市議に「この工事は大阪のゼネコンに取らせる」と話し、中司宏市長にも「了承」を求める考えをほのめかしていたという。

 中司市長との面会示唆

 平原容疑者の指摘通り、大阪に本社がある中堅ゼネコン「浅沼組」が落札していた。同社は、今回の談合事件でも役員が逮捕されているが、中司市長は産経新聞の取材に対し「この件で平原容疑者と話したことは一切ない」と疑惑を全面否定している。

 コミュニティー施設は平成15年12月にオープンした「南部市民センター」(現・南部生涯学習市民センター)。14年9月5日に行われた入札には8社が参加し、浅沼組が予定価格の96.2%に当たる9億7550万円で落札した。入札前には浅沼組の落札を名指しした談合情報が市に寄せられていたという。

 一方、元市議によると、日ごろから情報交換をする間柄だった平原容疑者が入札前、受注を希望する地元業者から相談を受けていた当時現職の元市議宅を訪問し、入札をめぐる内幕を明かしたという。

 平原容疑者は「面倒なことになるから手を引いた方がいい」と発言。さらに「この工事は大阪のゼネコンに取らせる」と漏らし、帰る際には「これから市長にも会いに行ってくる」と、親交のある中司市長と面会して話を進めることを示唆したという。平原容疑者は入札が行われた当時、府警捜査2課に所属していた。

 元市議は「この約3年後に、摘発された清掃工場建設工事の入札があったが、事件の構図は似たような印象を受ける」とも話し、今回の談合事件以前から平原容疑者が業者の受注工作に関与していた可能性を指摘している。

 浅沼組は「今回の事件に関連することについては、コメントを一切差し控えさせていただきたい」と話している。

「警部補通じて市と価格調整」大林組顧問ら供述 06/01/07(朝日新聞)

 大阪府枚方市の清掃工場建設をめぐる官製談合事件で、競売入札妨害(談合)の容疑で逮捕された大手ゼネコン「大林組」(大阪市)顧問の森井繁夫容疑者(63)らが、府警捜査2課の警部補平原幸史郎容疑者(47)=同容疑で逮捕=を通じ、副市長の小堀隆恒容疑者(60)=同=らを含む市幹部と受注価格を調整したと供述していることが、大阪地検特捜部の調べでわかった。1度目の入札が不調に終わった市側も発注実現に向けて相当な危機感を抱いており、特捜部は、双方とつながりのあった警部補が利害を調整したとみて調べている。

 ごみ処理施設「第2清掃工場」は04年6月、まずプラント(焼却炉施設)の入札があり、大手重機メーカーが55億円(予定価格約59億円)で落札した。しかし、続く05年8月、工場本体のうち工場棟について約39億円の予定価格で実施された建設工事の入札は、「採算が見込めない」とゼネコン側が参加を見送り、不調に終わった。

 関係者によると、このため市にとっては、焼却炉が完成しても建物が完成せず、保管費用がかさむ恐れが生じた。当時稼働中の工場の老朽化や、国から補助金を受けられる期限もあり、08年完成の工期を遅らせることはできなかった。

 当時、市幹部らは「『どうしよう』と困惑していた」という。ある市議は「ゼネコンが入札してくれなければ工場は造れない。市側は何としても工期を守らねばならなかった」と振り返る。

 特捜部の調べでは、再入札にあたり、森井顧問らと付き合いのあった平原警部補が、工場建設の市側実務者トップの小堀副市長らと交渉し、工事規模拡大の必要性を説明した。これを受けて、副市長らは同じゼネコンに一括発注すれば工期も短縮できると考え、発注価格などを調整。平原警部補がその情報をいち早く入手し、森井顧問側に伝えていた疑いが持たれている。

 05年11月の再入札で、市は工場棟のほかに管理棟や洗車棟も加え、最初の入札時より17億円以上高い56億5000万円で工場本体の入札を実施。大林組と浅沼組(大阪市)の共同企業体(JV)が予定価格の98%を超す55億6000万円で落札した。

 大林組の社内では、増額後の再入札時でさえ、「利益が出ない」と受注に反対する意見が出ていた。しかし、実績を上げようとした森井顧問の強い意向で落札が実現したとみられる。

大林組提供4千万の一部、警部補への受注謝礼か…枚方談合 05/31/07(毎日新聞)

 大阪府枚方市発注の「第2清掃工場」(仮称)の建設工事を巡る談合事件で、競売入札妨害容疑で逮捕された大手ゼネコン「大林組」顧問・森井繁夫容疑者(63)ら3人が大阪地検特捜部の調べに対し、「受注謝礼として4000万円を支出した」と供述していることがわかった。

 大阪地検特捜部は一部が、共犯として逮捕した府警捜査2課警部補・平原幸史郎容疑者(47)や市側に流れた疑いが強いとみており、贈収賄容疑の立件を視野に捜査している。

 調べによると、森井容疑者らは、建設工事の受注が決まった後、1000万円を「国土建設」社長・山田睦司(ちかし)容疑者(46)(逮捕)に、3000万円を別の業者に渡したと説明。さらに、この金の一部が平原容疑者や市側への謝礼だったという趣旨の供述をしているという。

 一方、調べや中司(なかつか)宏市長の説明によると、森井容疑者は数年前、中司市長との面会を希望し、大林組とJV(共同企業体)を組んだ中堅ゼネコンの浅沼組関係者に相談。浅沼組の取引先だった山田容疑者が中司市長と知り合いだった平原容疑者を紹介し、大阪市内の飲食店で引き合わせたことがわかっている。この工事では、プラント工事と土木建設工事を分離発注。さらに、2005年8月に入札を予定していたものの、応札業者がなかったことから工事を追加して予定価格を引き上げ、再び入札を実施していた。

 特捜部は、大林・浅沼JVが受注できるよう平原容疑者や市幹部が便宜を図った可能性もあるとみて関係者から事情を聞いている。

枚方談合:「受注目的で動いた」逮捕の警部補、謝礼受領か 05/31/07(毎日新聞)

 大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事を巡る談合事件で逮捕された府警捜査2課警部補の平原幸史郎容疑者(47)が大阪地検特捜部の調べに、浅沼組との共同企業体(JV)で工事を落札した大林組と市側の仲介をしたことについて「当初から受注させる目的で動いていた」と供述していることが分かった。平原容疑者が市役所に小堀隆恒副市長らを訪ね、同工事の情報収集をしていたことも判明。こうしたブローカーまがいの動きなどから、特捜部は、平原容疑者がゼネコン側から謝礼を受け取っていた疑いが強いとみて金品の授受についても追及する方針。

 調べでは、平原容疑者は大林組顧問の森井繁夫容疑者(63)らと共謀し、05年11月10日に枚方市が実施した第2清掃工場建設工事の制限付き一般競争入札(電子入札)で、両社のJVが受注できるよう談合した疑い。JVは最低制限価格を約10億円も上回る55億6000万円で落札。予定価格に対する落札率は98.42%と極めて高かった。

 これに先立つ04年、平原容疑者は大阪市内の飲食店に目的を告げず中司宏・枚方市長を呼び出し、森井容疑者に引き合わせていた。このほか、年に1、2回程度、市役所で小堀副市長に事業の進ちょく状況などを問い合わせていたという。

 小堀副市長は平原容疑者との面識について「03年か04年ごろ、市長室で市長から『クリーンな事業をするため助けてくれる方だ』と紹介され、初めて会った。その後は副市長室で会っていた」と説明。ところが、平原容疑者は03年3月から3年間は、談合事件などを担当する捜査2課ではなく、豊中署や機動捜査隊に勤務。本来の業務を離れゼネコン側のために工事の情報収集に当たっていた疑いが強まっている。

 特捜部は31日午前、容疑を裏付けるため、入札に参加した鹿島関西支店(大阪市中央区)、佐藤工業大阪支店の家宅捜索に着手した。【田中龍士、藤田剛、中村一成】

枚方談合:受・発注の「星取表」押収 逮捕警部補も活用か 05/31/07(毎日新聞)

 大阪府枚方市が発注した清掃工場建設工事の入札を巡る談合事件で、顧問など3人の逮捕者を出した受注元の大林組が02年7月、府警捜査2課の家宅捜索を受け、関西の大規模工事の受注状況や将来の発注予定などを示した「星取表」を押収されていたことが分かった。談合容疑で逮捕された府警警部補の平原幸史郎容疑者(47)はこの捜査の中心メンバーだった。星取表には今回の談合容疑となった建設工事の予定も記載されていたとみられる。大阪地検特捜部は、平原容疑者がこの星取表などを基に業界事情を熟知した上でゼネコンと枚方市の仲介をしていた可能性が高いとみて調べている。

 大林組が捜索を受けたのは、同府四條畷市の学校給食センター新築工事を巡る競売入札妨害事件の捜査の一環。府警は、落札した準大手ゼネコンに次ぐ低い価格で応札した大林組の本店を関連先として捜索した。星取表は談合のための受注調整を容易にするため過去の実績などを書き込んでいく一覧表で、この捜索の際に見つかったという。

 関係者によると、星取表には関西一円の自治体などが発注した大規模公共工事を中心に、どのゼネコンや共同企業体が受注したかが書き込まれていたほか、枚方市が05年11月に入札を実施した清掃工場建設工事を含め、06年までに発注される見通しの工事予定も記載。平原容疑者は捜索の直後、周辺に「すごい資料が見つかった」「ゼネコン(の事件)はやめられん」などと吹聴していたという。

 この事件は、捜索から間もなく、当時の市長が競売入札妨害や加重収賄の疑いで逮捕される事態に発展。捜査2課の「エース格」の平原容疑者は容疑者の取り調べにもあたっていたが、03年3月に署に移り、さらに05年4月には機動捜査隊に異動した。

 平原容疑者が、中司宏・枚方市長と大林組顧問の森井繁夫容疑者(63)を大阪市内の飲食店で引き合わせたのは、この捜索から約2年後の04年ごろ。入札があったのはさらに約1年後の05年11月で、平原容疑者はいずれも捜査2課を離れていた。しかし、星取表やゼネコン関係者との人脈などを基に、着々と建設業界の状況を把握。中司市長に対しても談合情報をちらつかせながら酒席に誘い出すなど、2課時代に得た情報と人脈を活用して、談合に加担するようになったとみられる。

枚方談合:枚方市幹部が関与か 警官がゼネコンに紹介 05/30/07(毎日新聞)

 大阪府枚方市発注の清掃工場建設工事入札を巡る談合事件で、この談合に同市幹部が深く関与した疑いのあることが分かった。談合容疑で逮捕された大阪府警警部補の平原幸史郎容疑者(47)が捜査を通じて、問題の工事を受注した大林組と接点があったほか、ゼネコン関係者に市幹部らを紹介したことも判明。中司宏市長も30日、平原容疑者や逮捕された大林組顧問と宴席を共にするなど面識のあったことを認めた。特捜部は市側が加担した官製談合の疑いもあるとみて捜査を進めている模様だ。また、特捜部は同日、大阪市中央区の府警本部や大林組本店を家宅捜索した。検察庁による警察本部に対する家宅捜索は極めて異例。

 これまでの調べでは、平原容疑者らは大林組顧問の森井繁夫容疑者(63)や建設会社「国土建設」社長の山田睦司容疑者(46)らと共謀し、05年11月10日に枚方市が実施した第2清掃工場建設工事の制限付き一般競争入札(電子入札)で、大林組と浅沼組の共同企業体(JV)が受注できるよう談合した疑い。

 この入札を巡っては、工場棟のみについて実施する予定だった1度目の入札が「応札業者なし」で流れたり、2度目の入札も大林組と浅沼組のJVなど3者しか参加しないなど不自然な経緯が指摘されている。こうした状況の中で市幹部が関与した可能性があるとみられ、特捜部も29日に市長室や市議会を捜索、今後、市の関係者からも事情を聴いて経緯を解明する方針とみられる。

 また関係者によると、平原容疑者は府警捜査2課在籍当時の02年、同府四條畷市の市長(当時)が逮捕された学校給食センター新築工事を巡る入札妨害・汚職事件の捜査に参加。大林組はこの工事の入札で、準大手ゼネコンに次ぐ低い金額で応札しており、平原容疑者らが中心になって同社本店の家宅捜索や関係者の事情聴取をしていた。

 さらに、過去に枚方署に8年近く在籍していた関係などから、枚方市や四條畷市、大東市など北河内地域を担当し、市幹部らとも太いパイプがあったという。山田容疑者とも以前からの知り合いで、平原、山田両容疑者がゼネコン側と枚方市側の顔つなぎをしたとみられる。

 大阪府警の捜索は午前10時前から行われ、特捜部の係官ら数人が捜査2課の分室が入居する民間ビル(大阪市中央区)を捜索した。【田中龍士、藤田剛】

市長と大林組顧問、逮捕の警部補が面会仲介…清掃工場談合 05/30/07(読売新聞)

 大阪府枚方市発注の「第2清掃工場」(仮称)の建設工事を巡る談合事件で、中司宏市長(51)が、競売入札妨害容疑で逮捕された府警捜査2課警部補・平原幸史郎容疑者(47)の仲介で、大手ゼネコン大林組顧問・森井繁夫容疑者(63)(逮捕)と面会していたことが大阪地検特捜部の調べでわかった。

 中司市長は30日、記者会見して事実を認めたが、関与は否定した。面会は森井容疑者が希望したといい、特捜部は面会の趣旨などについて調べている。

 特捜部は30日朝から、平原容疑者の府警の執務机や大林組本店などの捜索に乗り出した。

 調べや関係者によると、森井容疑者は数年前、「中司市長にあいさつがしたい」と浅沼組関係者に相談。浅沼組の取引先で、浅沼組常務執行役員・田島洋容疑者(64)(逮捕)とも親しかった「国土建設」社長・山田睦司(ちかし)容疑者(46)(同)が中司市長と知り合いだった平原容疑者を紹介。平原容疑者が中司市長と森井容疑者を引き合わせたという。

 この日枚方市役所で会見した中司市長は「(枚方市選出の)府議だったころ、当時、枚方署勤務だった平原容疑者と知り合った。3年くらい前、平原容疑者から呼ばれ、大阪市内の料理屋に行くと森井容疑者がいた。非常に驚いた。すぐに退席するわけにもいかず、約1時間会食したが、建設業者なのでほとんど口をきかず、内容も覚えていない。談合への関与や金銭の授受は一切ない」と話した。

市発注工事で談合容疑、警部補ら6人逮捕…大阪地検特捜部 05/30/07(読売新聞)

 大阪府枚方市発注の「第2清掃工場」(仮称)の建設工事を巡る談合事件で、大阪地検特捜部は29日、府警捜査2課警部補の平原幸史郎(47)、受注した大手ゼネコン大林組(大阪市)顧問・森井繁夫(63)両容疑者ら計6人を競売入札妨害(談合)容疑で逮捕し、枚方市役所の市長室など6か所を捜索した。

 平原容疑者はゼネコンの担当者を市側に紹介したとされ、特捜部は平原容疑者の関与についてさらに追及するとともに、近く府警本部を捜索する。事件は、現職警察官が談合の共犯として逮捕される異例の事態となった。

 他に逮捕された4人は、中堅ゼネコン浅沼組の常務執行役員・田島洋(64)、建設会社「国土建設」(大阪府泉佐野市)社長・山田睦司(ちかし)(46)、大林組社員・清見敏郎(51)、同・衣笠亨(41)の各容疑者。6人は全員、容疑を認めている。

 調べでは、6人は2005年11月の入札に参加した佐藤工業や鹿島の担当者と共謀し、大林組と浅沼組の共同企業体(JV)が落札できるよう談合した疑い。このJVは予定価格の98・4%に当たる55億6000万円で落札した。

 大阪府警の竹中誠一・監察室長は「検察庁の捜査結果を踏まえ、厳正に対処する」とのコメントを発表した。

緑資源談合:配分不満の業者排除 強い指名権裏付け 05/28/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、機構側が、工事の配分に不満を持つ業者を指名から外し、入札に参加させないようにしていたことが分かった。入札から排除した業者名とその理由を書いた文書が機構の出先機関から押収され、発覚したとみられる。東京地検特捜部は、機構が強大な指名権限を背景に業者側を従わせ、談合を主導したとみて調べている。

 機構が発注する林道の調査・設計業務は、全国8カ所にある地方建設部の林道課長が1年間の工事予定と落札予定社を記載した配分案を作成し、機構本部で集約。前森林業務担当理事、高木宗男容疑者(59)=独占禁止法違反容疑で逮捕=が最終的に配分表を決定し、業者側はそれに従って応札していたとされる。

 関係者によると、各林道課長は、機構側の決めた配分に不満を持つ業者が出た場合、以後その業者を指名から外していたという。排除した業者名とその理由を書いた文書を作成し、後任の課長に引き継いでいた課長もおり、昨年10月の公正取引委員会による立ち入り検査でこの文書が見つかっていた。

 談合事件では、各業者がお互いに「ルール」を守って活動し、談合から離脱しないという「相互拘束」の存在が独禁法違反(不当な取引制限)成立の要件の一つとなる。過去の事件では業者間で会合などでルールを合意するのが通例だったが、緑資源機構の場合は、こうした会合がほとんどなかったのが特徴となっている。

 ある受注業者の幹部は毎日新聞の取材に「指名されなくなったら困るので機構の指示に従った」と話し、業者選定の強い権限を持つ機構の意向には逆らえないことを強調した。特捜部も、業者間に「機構の決めたことに従う」という暗黙の了解があり、独禁法が禁じる「相互拘束」が実質的にあったと判断しているとみられる。

緑資源疑惑、熊本の36社で談合組織…「公取委に注意を」 05/28/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」が熊本県で実施している「特定中山間保全整備事業」を巡る談合疑惑で、同県阿蘇地域の一部の地元業者が事実上の談合組織を設立し、同事業の工事を独占的に受注していたことが、関係者の話で分かった。

 組織の設立時には、公正取引委員会による調査に注意することなどが確認されたという。東京地検特捜部は、機構側が、この組織の受注希望を踏まえ、落札予定業者を決定していたとみて調べている。

 この組織は「阿蘇北部地域中山間事業安全推進協議会」。同協議会の複数の会員業者によると、2003年度に行われた同事業の工事の入札で、地元業者間で受注を巡るトラブルがあったことから、阿蘇市の大手建設会社が、再びトラブルが起きないようにと設立を発案した。04年4月、同県北部の阿蘇地域の地元業者36社を会員に任意団体として発足。会長には大手建設会社が選ばれた。

 同協議会の設立総会では、〈1〉年会費は1万円とする〈2〉受注した工事の落札額の0・3%を「賦課金」として同協議会に納付する〈3〉共同企業体(JV)を組んで受注する場合は、会員同士でJVを構成する――ことなどを申し合わせたという。

 また、設立総会では、受注に当たっては、阿蘇地域内の北部、中部、南部の3区域で公平に受注することが確認され、役員側から「公取の調査が入るかもしれないので、気を付けるように」との指示も出されたという。

 受注希望については、会長が中心となって調整し、その結果が機構側に伝えられていたという。

 同事業で機構が06年度に発注した農林道や農用地などの整備工事計18件(総額約17億6000万円)では、同協議会の会員や会員同士が組んだJVが8割近い計14件(同約12億9000万円)を落札。平均落札率は、大手ゼネコンが入札に参加して談合ができなかったとされる1件を除き、約93・6%だった。一方、残る4件は大手ゼネコン2社や熊本市内の業者2社が落札。大手ゼネコンが落札した2件の工事の平均落札率は約69%と低率だった。

 特捜部では、同機構は、この談合組織の希望を踏まえた上で、各工事の落札予定業者を決定し、阿蘇小国郷建設事業所や宮崎地方建設部を通じて、落札予定業者に「本命」に決まったことを伝達するという官製談合システムが出来上がっていたとみている。

緑資源談合:業界団体「特森協」、年数千万円の使途不明 05/27/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、機構から林道関連業務を受注する業者でつくる「特定森林地域協議会」(特森協=昨秋解散)が、年間数千万円の会費を集めながら、使途を会員業者にも明らかにしていないことが分かった。東京地検特捜部は26日、機構OBで元特森協副会長の自宅を関連先として家宅捜索し、不透明な資金の流れの解明を進めている。

 関係者によると、特森協は、業界の陳情団体として1950年代に発足。全国の約300業者が会員になっていたが、昨年10月の公正取引委員会による立ち入り検査直後、突然解散した。

 各業者の分担金は、前年度の機構からの受注額2000万円当たり7万5000円と決められており、特森協の06年度の会費収入は5000万円程度と推計される。しかし、任意団体のため、収支状況は明らかにされていない。

 また、特森協があった東京都内のビルの一室には、政治団体「特森懇話会」(今年1月解散)が同居し、両団体は表裏一体と指摘されている。同会の政治資金収支報告書によると、特森協からの入金はないものの、03〜05年に21人の国会議員に対し、計822万円を献金していた。

 特森協のある会員業者は「毎年、請求された額を振り込んだらそれっきり。会報の一つも送ってこず、会費が何に使われていたのか分からないが、機構の仕事が受注できなくなるかもしれないと思い、断れなかった」と話している。

 捜索を受けた元特森協副会長は90年ごろ、天下り先に業務を優先的に発注する手法を確立。前機構理事の高木宗男容疑者(59)=独占禁止法違反容疑で逮捕=に談合システムを引き継いだとされ、周囲からは「陰のドン」とも呼ばれる。

 元副会長は毎日新聞の取材に対し、特森協と特森懇話会の関係は明言せず「特森協に入ってないと機構の仕事が取れないことはない。政治献金はすべて収支報告書に記載してある」と話した。突然の解散については「談合のための組織との誤解を生むという意見が以前からあったため」と説明した。

緑資源談合:天下りOBが頻繁に陳情 逮捕の理事に 05/26/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、同機構から受注側の業者に再就職した複数のOBが、前森林業務担当理事の高木宗男容疑者(59)=独占禁止法違反容疑で逮捕=を頻繁に訪問し、業務の発注や入札での指名を働き掛けていたことが分かった。高木前理事も「OBの天下り先を優遇して発注した」と供述しており、東京地検特捜部は、機構OBの陳情が天下り先への多額発注の背景にあるとみて、談合システムの解明を進める。

 受注側の公益法人に再就職したある元機構幹部によると「新しい仕事はないか」「うちの技術でできる仕事があれば、指名してほしい」と高木前理事にたびたび陳情していたという。この元幹部は、高木前理事への依頼について「どの業者でもやっていること」と話す。

 別の公益法人に天下りした元機構役員も「役員だったので、機構に行けば、職員が案内してくれる」と話し「『公益法人の事業計画を作りたいので、何か新しい仕事があれば教えてくれ』と高木前理事に聞いていた」と証言する。

 公正取引委員会や特捜部の調べに対し、高木前理事は「業者の希望や過去の実績、OBの天下り状況を基に配分を決めた」と供述。機構関係者は「OBがせっかく(機構に)来たのに、何の仕事も回さなかったら『お前はなんだ』と思われる。天下りした人のメンツを考えれば、高木前理事は働き掛けに応じて、業者に有利に発注せざるを得なかった」と語る。

 毎日新聞が入手した入札調書によると、03年4月から公取委が立ち入り検査に着手した06年10月までの発注総額約28億3432万円のうち、六つの公益法人が約半分の約13億1777万円を落札。この6法人には、同省や機構のOBが200人以上再就職していることが判明している。

緑資源談合:農用地整備業務関係 数カ所捜索 05/25/07(毎日新聞)

 緑資源機構の官製談合事件で、東京地検特捜部は25日、同機構が発注する農用地整備業務でも談合があったとみて、機構の地方機関数カ所を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で一斉捜索した。

 捜索が入ったのは、九州整備局(福岡市)、宮崎地方建設部(宮崎市)、阿蘇小国郷建設事業所(熊本県小国町)、松江地方建設部(松江市)、京都事務所(京都市)など。特捜部は今後、前森林業務担当理事、高木宗男容疑者(59)らの逮捕容疑となった林道整備業務だけでなく、農用地など別分野の業務の談合についても解明を進める。

 特捜部は、農用地業務の中でも、山地と平地が混在する中山間地域を対象としたプロジェクト「特定中山間保全整備事業」の「阿蘇小国郷区域」(熊本県)や「邑智(おおち)西部区域」(島根県)で機構側が主導的に業者選定をしていたとみて、関連先の捜索に踏み切ったとみられる。

経験のないキャリアは使えない。高給取りだけで必要ないと言うことか? 最終学歴だけでは使えないことを証明したケースと思う。
だったら、なおさら天下りは必要ない。 学歴だけで使えないキャリアは給料を上げる必要なし。実績による給料の差が あっても良いだろう。

緑資源談合:課長と談合差配 違法性認識か 05/25/07(毎日新聞)

 緑資源機構の官製談合事件で、独占禁止法違反容疑で逮捕された林道企画課長、下沖常男容疑者(56)=総務部付=が、直属の上司の森林業務部長を通さず、前森林業務担当理事の高木宗男容疑者(59)=解任=と2人だけで話し合って落札業者を決めていたことが分かった。2人は「自分たちの将来のためにも、林野庁出身のキャリア部長に傷をつけたくなかった」と語っているという。東京地検特捜部は、違法性の認識を裏付ける事実として重視し、追及している模様だ。

 関係者によると、下沖前課長は04年3月から、全国の各地方建設部で作成された受注予定業者の配分案を集約する立場になった。過去の実績との整合性など配分案のチェック方法は、森林業務部長だった高木前理事から引き継いだという。

 その後、2人はそれぞれ林道企画課長、理事に昇進。高木前理事の後任の森林業務部長には林野庁出身のキャリア職員が就いたが、2人は間に入った部長を通さず、受注調整を繰り返していたという。この部長は特捜部の調べに対し、談合への関与を否定しているとみられる。

 機構生え抜きの職員(プロパー)で談合を仕切った理由について、高木前理事らは周辺に「良くないことだと分かっていたから、キャリアに関与させないようにした。彼らに非が及ぶと、自分たちの将来の出世も危うくなると考えた」と説明しているという。

 機構関係者は「プロパーには『現場を知らないキャリア職員はよいしょしておいて、自分たちが仕切る』という自負もあったようだ」と指摘。特捜部は高木前理事、下沖前課長が、機構主導の談合システムで中心的な役割を果たしていたとみて、官製談合の全容解明を進めている。

緑資源機構、別の2事業でも大型談合…一両日中に捜索 05/25/07(毎日新聞)

 独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、東京地検特捜部は24日、談合を主導した機構の理事・高木宗男容疑者(59)(24日解任)ら6人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕した。

 一方、熊本、島根両県で実施している別の事業でも機構主導で官製談合を繰り返していた疑惑が、新たに浮上。いずれも総事業費100億円超の大規模プロジェクトで、特捜部もこの事実を把握しており、一両日中に、事業を管轄する出先機関の九州整備局(福岡市)や宮崎、松江両地方建設部の一斉捜索に乗り出す。

 この事業は、森林や田畑が混在する地域(中山間地域)の農林業振興などを目的とした「特定中山間保全整備事業」で、主に森林整備と農用地整備に分かれる。事業計画は農林水産省が採択し、各工事費の55〜100%が国の補助金として支給される助成事業。個別の工事費は数千万〜約2億円で、大半の工事は地元業者が受注している。

 同事業は1999年度に始まり、熊本県小国町などを事業区域とする「阿蘇小国郷区域」(5700ヘクタール)と、島根県江津市を中心とする「邑智(おおち)西部区域」(3080ヘクタール)の2か所で進められている。総事業費は熊本が2003〜09年度で154億円、島根は07〜13年度で120億円に上る。

 特捜部では、同事業の受注調整の実態についても、両地方建設部の部長や林道課長らから任意で事情聴取を進めてきた。

 関係者によると、両地方建設部の幹部らは調べに対し、「工事の発注の際に地元業者と受注を調整していた」などと供述。高木容疑者も周囲に、この事業でも談合が行われていたことを認めていたという。また、この事業の一部工事を受注した熊本県内の建設業者も取材に対し、「受注できる場合には、事前に機構の担当者から連絡があった。入札には競争原理は全くなかった」と談合が行われていたことを認めている。

 事業決定には、農水省が強い影響力を持っており、特捜部では、大規模プロジェクトの実施経緯や受注業者の選定過程などの解明も進めるとみられる。

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 逮捕されたのは、高木容疑者のほか、機構の林道企画課長・下沖常男容疑者(56)(24日総務部付)と、受注業者側の財団法人「林業土木コンサルタンツ」元環境部長・橋岡伸守(63)、同「森公弘済会」業務第2部長・金子賢治(64)、「フォレステック」元技術本部長・谷本功雄(64)、「片平エンジニアリング」企画営業部技師長・杉本こう佑(こうすけ)(62)の各容疑者。

 調べでは、高木、下沖両容疑者は2005〜06年度分の業務発注にあたり、機構OBの在籍数や受注実績などを踏まえて落札予定業者を決定。橋岡容疑者ら4人はこの決定に従い、落札予定業者が落札できるよう協力した疑い。両年度の受注業者は22社だったが、4法人の受注額は受注総額の約7割に上っていた。

 (杉本こう佑の「こう」は「日」の下に「高」)

緑資源談合:理事や公益法人担当者ら6人逮捕 05/24/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、東京地検特捜部は24日、同機構理事の高木宗男容疑者(59)や、機構発注の林道調査・設計業務の7割を独占的に受注していた公益法人など4法人の営業担当者ら計6人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕した。併せて、川崎市の機構本部などを家宅捜索した。これに先立ち、公正取引委員会は、4法人を同容疑で刑事告発した。

 逮捕されたのはこのほか、同機構林道企画課長、下沖常男容疑者(56)や、受注側の▽財団法人「林業土木コンサルタンツ」(東京都文京区)▽同「森公弘済会」(千代田区)▽民間企業の「フォレステック」(東京都三鷹市)▽同「片平エンジニアリング」(文京区)の元取締役や幹部ら。

 調べでは、高木理事は4法人の担当者らと共謀し05〜06年度、事前に受注業者を決定するなど競争を実質的に制限した疑い。機構は05年4月〜06年10月、計約14億4664万円の調査・設計業務を発注したが、▽林業土木コンサルタンツが2億9834万円▽フォレステックが2億8611万円▽森公弘済会が2億6524万円▽片平エンジニアリングが1億3882万円を受注した。

 関係者によると、機構の全国8カ所の地方建設部の林道課長が、業界への配分表の原案を作成し、本部の林道企画課の課長補佐が集約して、高木理事が承認。下沖課長らが4法人をはじめとした受注各社に、配分表を渡したり口頭で落札予定業者を指定していた。

 林道関係の調査・設計業務の入札では、約40の企業・公益法人が指名され入札に参加していたが、ほとんどの入札で談合が行われていたとみられる。また、受注の大半を占める4法人が、機構本部の幹部から1年分の配分表を渡されるなど、機構主導の官製談合に深く関与していた。さらに業者側には、同機構や林野庁のOBが多数再就職しており、受注業者決定と天下りに密接な関係があった。公取委と特捜部は、こうした悪質性を重視し、刑事責任を問う必要があると判断した。

緑資源談合:「影のドンから引き継いだ」理事明かす 05/24/07(毎日新聞)

 「影のドンから引き継いだ」。受注調整を主導した緑資源機構の高木宗男理事(59)は、周辺にそう明かした。24日、東京地検特捜部が一斉逮捕に乗り出す官製談合事件。林野庁や機構から多数の天下りを受け入れた法人を優遇する不正な発注は、高木理事の数代前の理事が、17年前に始めたという。年間約7億円の事業費のうち、95%前後を公金で賄う林道整備の調査・設計業務。そこに巣食ってきた癒着の構造に捜査のメスが入る。

 透明性を高めるため、随意契約から指名競争入札にシフトした97年4月。機構側は直後から入札前に落札業者を指定する官製談合を主導し、高木理事は当時からその仕切り役を務めた。「システムの発案者」。機構や業界の関係者は、公取委や東京地検特捜部の調べにそう口をそろえた。

 ところが実態は違った。関係者によると、高木理事の数代前の元理事が90年ごろ、天下り受け入れ数の多い業者に優先して業務を回す手法を確立した。入札手続きを経ない随意契約だったため、独占禁止法上違法な「談合」ではないが、天下りと受注を連動させるシステムが「不正」であることには変わりない。高木理事は周辺に「直接引き継ぎを受けた。元理事は今も落札業者を差し替えるよう介入してくる」と明かし、周辺は元理事を「陰のドン」と呼ぶ。

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 高木理事は宇都宮大農学部卒。70年に同機構の前身、森林開発公団に入った。受注調整の舞台になった林道企画課の課長を経て森林業務部長を務めるなど、林道・森林造成部門の要職を歴任し、05年4月に理事に就いた。

 機構の理事は森林業務のほかに総務、経理など担当別に5人いるが、農林水産省や林野庁出身者が占め「プロパー(機構出身の職員)の理事はまれ」(機構OB)。別の機構OBは「予算などで林野庁と交渉する能力が高く、業者の使い方にもたけていた」と語る。

 異例の出世ぶりから「プロパーの星」とまで呼ばれた高木理事。4月2日、「なぜ談合に関与したのか」との毎日新聞記者の質問に「分かりません」と繰り返したが、公取委の調べには「天下りを維持するためだった。申し訳ない」と供述しているという。一方、元理事は4〜5月、2回にわたって取材に応じ「高木理事は孫のようなもの。でも何かを引き継いだことはない」と関与を否定した。

緑資源談合:価格決定にも関与 24日にも理事ら逮捕 05/24/07(毎日新聞)

 独立行政法人・緑資源機構が発注する林道の調査・設計業務を巡る官製談合事件で、機構幹部が入札前、業界側に応札する価格を指示していたことが分かった。機構側が受注予定社(チャンピオン)だけでなく、落札価格まで決定していたことになる。森林業務担当理事(59)は、一連の不正入札システムの存在を認めており、東京地検特捜部は24日にも、公正取引委員会の告発を受け、理事ら6人前後を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕する方針を固めた模様だ。

 関係者によると、入札が近づくと機構本部や全国8カ所の地方建設部の幹部が、チャンピオンの営業担当者に連絡を取り、応札価格を具体的に指示。営業担当者から「特殊な地形だから、もう少し高くしてほしい」などと要望を受けると「それでは、もう少し上で」などと了承していた。こうして決められた落札価格は、チャンピオンを介し「サクラ」と呼ばれる他の指名業者の営業担当者に伝えられ、これを上回る価格で応札して、談合を成立させるシステムだったという。

 理事は公取委の調べに「不正入札が長年行われてきたことは知っていた」と供述。さらに、チャンピオンを指定するために作成する配分表についても「部下の原案を承認した」などと関与を認めているとみられる。

 特捜部も、発注者が落札予定業者を指定する水門設備工事を巡る国土交通省の官製談合事件(3月)などとは異なり、応札価格まで指定する悪質性を重視。受注上位の▽林業土木コンサルタンツ▽フォレステック▽森公弘済会▽片平エンジニアリングの営業担当者に加え、理事ら機構側の複数の幹部について、刑事責任追及は不可避と判断したとみられる。

 理事は70年、前身の森林開発公団に採用され、森林業務部長などを経て05年4月から現職。昨年10月の公取委による立ち入り検査直後から関与が指摘されていたが現職にとどまり、適正な入札を実現するため機構が1月に設置した改革委員会のメンバーにも就任した。このため、前田直登理事長や所管する農林水産省の監督責任を追及する声が高まりそうだ。

緑資源談合 天下りOBも立件へ 24日本格捜査 05/24/07(朝日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)が発注した林道整備の調査業務の入札談合事件で、受注上位の4法人のうち3法人で、同機構OBと林野庁OBが談合担当を務めていたことが関係者の話でわかった。談合を主導した同機構理事(59)らと天下りOBの身内同士で、不正行為を繰り返していた。理事や法人担当者は公正取引委員会の調べに談合への関与を大筋で認めている。

 公取委は24日午前に検察当局と告発問題協議会を開き、受注4法人を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で検事総長に告発する見通し。東京地検特捜部は告発後、4法人の担当者とともに、同機構理事らに対する本格捜査に乗り出す。

 公取委が告発を予定しているのは、(1)財団法人「林業土木コンサルタンツ」(東京都文京区)(2)民間のコンサルタント会社「フォレステック」(三鷹市)(3)財団法人「森公弘済会」(千代田区)(4)民間のコンサル会社「片平エンジニアリング」(文京区)。

 談合は、05、06年度に機構本部と8地方建設部が発注した林道整備事業に伴う測量や、環境調査で行われた疑いが持たれている。

 関係者によると、森公弘済会と片平エンジニアリングでは機構OB、林業土木コンサルタンツでは林野庁OBが談合に関与していたという。

 機構本部の林道企画課長が担当理事のアドバイスを受け、年度ごとの落札予定業者を決定。各法人の談合担当者は、課長と連絡を取った後、割り振られた事業の入札が地方建設部で行われる際、林道課長と電話で入札価格などを打ち合わせていたという。

 機構や林野庁OBが受注法人の談合担当になっていたのは、機構側との連絡調整を円滑にするのが狙いだったとみられている。

 片平エンジニアリングの機構OBは、機構に在職時は林道分野を担当。機構で談合を主導していた担当理事の元上司という立場で、割り振りで厚遇してもらう意図があった疑いもある。

 4法人はこれまでも、林野庁や機構OBを多数受け入れていた。機構関係者は公取委の調べに、「OBがいるところは発注を確保した」などと説明しているという。

年間落札予定表を毎年作成…緑資源談合、公取あすにも告発 05/23/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(川崎市)発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、機構が毎年度末、理事(59)を中心に翌年度のすべての発注予定業務の落札予定業者を事前に決め、入札に参加するだけの業者も含めた一覧表を作成していたことが分かった。

 公正取引委員会は一覧表を押収、官製談合を裏付ける証拠とみている。公取委は24日にも、2005〜06年度の受注上位4法人を、独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で検察当局に刑事告発する見通しだ。

 機構発注の林道測量コンサルタント業務は、05年度108件(落札総額約7億6074万円)、06年度98件(同約7億282万円)に上る。財団法人「林業土木コンサルタンツ」など、告発対象となる2公益法人と2社には、4月1日現在、農水省や機構のOB計58人が天下りしている。

 関係者によると、機構で林道事業の計画・発注を統括する森林業務部の担当理事は毎年3月、機構本部の林道企画課長に、翌年度発注予定の林道測量コンサルタント業務の落札予定業者をあらかじめ決めておくよう指示。林道企画課長は全国8か所の地方建設部の林道課長に、発注予定業務と入札参加業者の一覧表を作成させ、機構OBの在籍数や過去の受注実績などを踏まえて各林道課長と協議、落札予定業者を決定していた。この結果は理事に報告され、了承を得ていた。

 機構は毎年4月、地方建設部の林道課長らを集めた会議を開き、落札予定業者を最終確認。各林道課長は落札予定業者に、落札できることが決まった業務や具体的な入札額を指示していた。

 機構本部は、本命業者を記した一覧表を作成後に廃棄していたが、地方建設部の中には、担当地域内の発注予定業務の落札予定業者の部分に「○」などの印をつけたまま、保管していた所もあったという。

 公取委は地方建設部から一覧表を押収。機構幹部や林道課長らの事情聴取で、一覧表は入札前に機構本部の指示で作成されたものと判明した。理事は公取委の調べに、落札予定業者を事前に決めるよう指示し、最終的に了承していたことを認めているという。

緑資源談合のOB法人、受注業務を民間に格安で「丸投げ」 05/23/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(本部・川崎市)発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、公正取引委員会から独占禁止法違反で刑事告発されるとみられている財団法人「森公弘済会」(東京都千代田区)が、受注した業務のうち、少なくとも十数件を民間企業に下請けに出していたことがわかった。

 下請け側は「丸投げ同然だった」と話しており、受注額の4割で発注し、利ざやを稼いだケースもある。受注法人が、談合と、実質的な丸投げによって、法外な利益を得ていた疑いが浮かんだ。

 森公弘済会は2002〜06年度、機構から計83件(総額6億7750万円)の業務を受注。このうち、04〜06年度に受注した、少なくとも十数件を民間企業に下請けに出していた。

 読売新聞が入手した下請け企業の内部資料によると、600万円台で落札した機構本部発注の設計業務では、民間企業に2百数十万円で再発注し、落札価格の6割に当たる3百数十万円の差額を得ていた。300万円台で受注したほか数件の本部発注業務も同様で、落札価格の5〜7割の価格で再発注していた。

 残り約10件は、いずれも地方建設部が発注した調査測量設計業務で、計約6000万円で落札。落札価格の6〜10%の利ざやを稼いでいた。

 通常、機構が発注するコンサルタント業務を請け負うには、測量士や技術士などの国家資格が必要だが、国土交通省への登録文書によると、森公弘済会は役職員計22人のうち、機構OBの役員1人が測量士の資格を持つだけだった。複数の業界関係者は「森公弘済会に業務を遂行する能力はなく、受注業務はほとんど丸投げだった」と話している。

 また、機構業務を請け負う場合、業務を全般的にチェックする管理技術者を置くことが機構の内規で義務づけられているが、関係者によると、森公弘済会が下請けに出した業務では、管理技術者は、別の民間企業からの派遣で、森公弘済会と雇用関係はなかったという。機構は内規で受注業者が業務の企画や管理、技術判断など「主たる部分」を下請けに出すことを禁じている。森公弘済会は「しかるべき手続きで機構の仕事を受けている。それ以上については、答える義務があるとは思えない」としている。

緑資源談合:理事ら6人立件へ 24日にも強制捜査 05/23/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構による官製談合事件で、東京地検特捜部は、既に独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で逮捕する方針を固めている同機構の森林業務担当理事(59)のほか、機構からの受注額が上位の4法人の担当者を加えた6人前後を立件対象として絞り込んだ模様だ。公正取引委員会から24日にも告発を受けたうえで、強制捜査に乗り出すとみられる。

 機構が発注する林道整備などの測量・調査業務の落札業者は、林野庁や機構OBの天下り先となっている公益法人など4法人に集中している。理事らは、過去の受注実績だけでなく、機構や林野庁OBの天下り先を優遇する形で、独断で落札予定業者を決定していたとみられる。特捜部は、受注業者の決定と天下りに密接な関係があるとみており、6人前後を追及して談合システムの全容解明を進める方針。

 関係者によると、全国8カ所の地方建設部が毎年、業者側の技術力や過去の受注実績などを基にして配分案を作成。これを理事らが本部で集約して、1年分の発注予定工事と落札予定社(公益法人を含む)を記載した配分表を作成していた。これを業者らに配るなどして、談合を繰り返していたとされる。

 理事は公取委の調べに対し「OBが天下っている法人に配慮して配分した」などと供述。業者側も、機構側主導で談合が行われていたことを認めているとみられる。

朝日新聞(2007年5月22日)より

緑資源機構談合

下請け含め利益配分 幹部が細かく指示

緑資源談合、東京地検が本格捜査へ…来週にも公取委が告発 05/18/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、東京地検特捜部は、来週にも公正取引委員会の刑事告発を受けた上で、談合を主導した同機構理事(59)や、公益法人「林業土木コンサルタンツ」(東京)など受注4業者の担当者らについて、独占禁止法違反(不当な取引制限)の容疑で本格捜査に乗り出す方針を固めた。

 検察当局と公取委は来週、告発問題協議会を開き、告発対象などについて最終的な検討を行う。

 関係者によると、同機構本部の森林業務部林道企画課が年度当初に、林道測量コンサルタント業務の計画を取りまとめる際、機構OBの在籍人数や過去の受注実績などを踏まえ、あらかじめ落札予定業者を決めていたという。

 同機構の森林業務部の担当理事が、同部次長だった2003年4月の会議で、全国8か所の地方建設部の林道課長を集め、「落札率は93%程度が適切だ」と指示していたことなどから、公取委は、この理事らが談合を主導したとみている。

 公取委は、05〜06年度の発注分について、受注件数が多い「林業土木コンサルタンツ」、「フォレステック」、公益法人「森公弘済会」、「片平エンジニアリング」(いずれも東京)の上位4業者に絞って告発するとみられる。

 これまでの公取委の事情聴取に対し、同機構理事や林道企画課長、公益法人の担当者らは、いずれも談合への関与を認めている。

朝日新聞(2007年6月2日)より

福井談合 暴力団関係者を逮捕・起訴

「調整、カネになる」

朝日新聞(2007年5月15日)より

福井談合 「調整役」に1400万円

付帯工事や指導料名目

農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」と財団法人・森公弘済会は、 社会保険庁 と同じように解体や廃止が必要。天下りのために必要な団体は必要なし。 財団法人・森公弘済会は天下りの給料と退職金を支払う理由のためと、必要も無い組織の 維持のために、税金が無駄に注ぎ込まれたケース。財団法人・森公弘済会がなければ、 安くなる。そして、国民の負担も軽くなる。独立行政法人「緑資源機構」も含めて、廃止しろ!!

緑資源官製談合:天下り法人が丸投げ 業者にマージン要求 05/08/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構の官製談合事件で、機構OBが多数天下りしている財団法人・森公弘済会(東京都千代田区)が、機構から受注した測量・設計業務の大半を民間業者に丸投げし、中間マージンを得ていたことが分かった。機構は発注業務の丸投げを禁止しているが、事実上黙認していたという。税金を投入した事業を巡り、同じ農水省所管の法人が、天下りを背景に癒着していた構図が鮮明になった。

 同弘済会は、主に林道分野の研究・普及活動を行い、機構職員への住宅資金貸し付けなどの福利厚生事業もしている。現在、常勤の役職員17人のうち少なくとも16人が機構と林野庁OBで、理事長は機構の元理事長が務めている。

 関係者によると、同弘済会には、現場に出ることのない理事1人が測量業務に必要な「測量士」の資格を持っているが、設計業務に必要な「技術士」はいないため、機構が発注する林道の測量・設計業務を請け負うことはできない。それにもかかわらず、03年4月〜06年10月に機構から受注した業務は計約5億150万円に達し、全国で3番目に多い。

 請け負った業務は、民間の測量設計会社などに当初の請け負い金額より1〜2割安い価格で丸投げし、その差額を得ていたという。

 業務を丸投げされた会社の幹部は「弘済会は事実上のトンネル法人で、技術者がいないので独自に業務を請け負う能力はない。いつも1〜2割の中間マージンを要求された」と話す。さらに「機構で行う仕事の打ち合わせには弘済会からは誰も来ていなかった。機構も事実上黙認状態だった」と明かす。

 一方、同弘済会の幹部は「技術者がいないので、民間業者の技術者の名前を借りて機構に届け出ていた。書面で契約していれば手続き上の問題はなかったが、口約束だけで名前を使わせてもらっていたケースがあったようで、丸投げと言われても仕方がない」と話している。

 これに対し機構は「業務を発注する際の契約書に業務全体を再委託することを禁止すると明記している」としながらも、弘済会の丸投げについては「公正取引委員会の調査中なのでコメントできない」と明確な回答を避けている。

緑機構理事、「落札率は93%で」と指示…林道官製談合 05/06/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」発注の林道測量コンサルタント業務を巡る官製談合事件で、同機構の理事(59)が、官製談合防止法施行直後の2003年4月、出先機関の担当課長が集まった会議で、受注予定業者に予定価格の約93%の金額で入札させるよう指示していたことが分かった。

 予定価格に対する落札価格の割合「落札率」が、95%以上だと一般的に談合が疑われるため、こうした指示をしたとみられる。公正取引委員会と共に捜査している東京地検特捜部は、週明けに応援検事を招集して捜査態勢を拡充、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で本格解明に乗り出す。

 関係者によると、指示したとされるのは、林道事業の計画・発注を統括する森林業務部の担当理事。森林業務部長などを経て、05年4月に理事に就任した。

 同機構では年度当初、全国8か所の地方建設部の林道課長を集めて「林道事業業務打ち合わせ会議」を開き、各林道課長が新年度の工事計画を報告。同機構本部の林道企画課が全体計画を取りまとめ、受注予定業者を決めていたとされる。

 03年当時の林道課長らは公取委の調べなどに、同年4月の会議の席上、当時森林業務部次長だった担当理事から「落札率は93%程度が適切だ」との発言があったことを認め、「落札率が100%に近いと談合が発覚しやすいため、『受注予定業者に93%の金額で入札させるように』という指示だと受け止めた」と供述。この指示に基づき、受注予定業者に入札額を漏えいしたことも認めているという。

 林道測量コンサルタント業務に関する入札の平均落札率は、02年度は96・22%だったが、03年4月から公取委が立ち入り検査に入る06年10月末までは93・43%だった。官製談合防止法は03年1月に施行され、発注者側が談合に関与した場合、公取委が改善措置を求めることができるようになった。公取委と特捜部は、機構側が談合発覚を免れるため、受注予定業者に落札率まで指示したとみている。

緑資源機構、公益法人の受注「丸投げ」を黙認 林道談合 05/01/07(産経新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合疑惑で、談合で林道整備・調査事業を受注した独占禁止法違反の容疑で公正取引委員会の強制調査(家宅捜索)を受けた公益法人が、受注事業をそのまま別の業者に下請けに出す「丸投げ」を慣例的に行っていた実態が関係者の証言で明らかになった。公益法人は実際の業務はせずに、機構からの受注額と下請けへの委託料の差額をマージンとして得ていた。機構は制度上丸投げを禁じているが、「業務の企画、分析などは公益法人自体が行っている」として、事実上黙認していた。

 こうした公益法人には機構や林野庁OBが多く天下っており、「林野一家」が天下りを軸に林道事業を“独占”する実態が浮かび上がった。刑事告発を前提に調査中の公取委も、こうした構図の解明を図っていく方針とみられる。

 機構は受注した公益法人や民間業者に丸投げを禁止。しかし関係者によると、「天下りが多く、現場経験の豊富な技術者はほとんどいない」という公益法人があるのが現状で、地形の複雑な山地での現地調査など、業務本体は民間業者にそのまま丸投げするケースが目立つという。

 平成18年度までの6年間で機構から91件の業務を受注している財団法人「森公弘済会」から、「事実上の丸投げを受けた」と産経新聞に認めた民間業者は、「過去に10件ほど丸投げを受けた」と証言。別の業者は「(森公弘済会は)丸投げで10〜20%のマージンを取っていた。マージンをとられた残りの額では、丸投げされてもほとんど赤字だった。やってられない」と語った。

 また関係者によると、機構の発注業務をめぐっては「同じ入札に参加した業者は、落札業者の下請けには入らない」という業界の慣習があるが、森公弘済会はこれを無視して丸投げを求めたこともあった。

 同弘済会から丸投げを受けるよう執拗(しつよう)に求められたという民間業者は、「『うちはこの件で入札に参加したから下請けはダメです』と何度も断ったが、弘済会の担当者は『何とかなるから請けてくれ』と押し切られた」と証言。この業者は「公益法人の下請けをしたという実績は機構が把握しているから、『汗をかいている』と思われれば談合で仕事を回してもらえると思い、断り切れなかった」と話した。

 機構発注事業を下請けに出す場合は原則として機構の承認が必要だが、この業者は「機構から止められることはなかった」と証言している。

 産経新聞がこうした受注形態について取材したところ、緑資源機構は「調査の企画・監督や分析は公益法人側が行っている」との認識を示し、「丸投げとはみなしていない」と説明した。また森公弘済会は、「丸投げがあったかどうかは答えられない。ただ、所定の手続きを踏んでやっている」と答えた。

農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」は、 社会保険庁 と同じように解体や廃止が必要。天下りのために必要なだけで、独立行政法人は 理由付けのためだろう。

緑資源談合「OB再就職先に配慮」 関係者が供述 04/28/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(本部・川崎市、前田直登理事長)発注の林道測量コンサルタント業務をめぐる官製談合疑惑で、同機構関係者が公正取引委員会の調べに対し、「OBの再就職先に配慮した割り振りが行われていた」などと供述していることがわかった。

 2002〜06年度に受注実績があった公益法人や民間法人の半数(12法人)に、約230人の同省や機構のOBが在籍していることも、読売新聞の調査で判明。所管官庁と機構、発注先を結ぶ天下りが官製談合の温床になった疑いがさらに強まった。

 関係者によると、発注担当の機構職員や幹部らは、公取委に対し、「発注先の割り振りでは、林野庁や機構のOBが在籍する公益法人や民間法人にも配慮していた」などと供述しているという。東京地検特捜部も天下りと受注調整の関連性に関心を寄せているとみられ、受注法人に再就職した元地方建設部長など機構OBに対する事情聴取を進めている。

 一方、読売新聞が02〜06年度の5年間に業務を受注した24法人について、天下りの受け入れ状況を調べた結果、4月1日現在、少なくとも12法人に、農水省と機構のOB計約230人が在籍していることがわかった。その9割強は、七つの公益法人に在籍。うち6法人は林野庁の所管で、森林の測量や調査、関連技術の開発など近い分野をそれぞれ事業目的としていた。

 6法人の中でOBの在籍数が最も多いのは「林野弘済会」(東京都文京区)で、元林野庁長官を含む役員9人と、全職員のほぼ半数に当たる約100人が、同省OBだった。次いで「日本森林技術協会」(同)に全役職員の約4分の1に当たる38人のOBが在籍しているほか、24法人の中で最多の101件を受注した「林業土木コンサルタンツ」(同)には33人のOBがいた。

 これに対し、民間への天下りは計16人にとどまったが、受け入れ法人は「機構や役所とのつながりが役に立つ」「発注に関する情報の収集能力が上がる」などと営業面での効果を認めている。

水門談合:疑惑の内部調査実施を要請せず 国交省 04/20/07(毎日新聞)

 国土交通省発注の水門設備工事を巡る官製談合事件で、05年に「OBが談合に関与している」との情報を得ながら事実上放置していた同省が、疑惑の中核とされた社団法人「日本建設機械化協会」(東京都港区)に対し、内部調査の実施を一度も要請していなかったことが分かった。同省の安富正文事務次官は先月の会見で「(疑惑の有無について)法人を通じて事実関係を確認した」と、同省が主体的に調査したかのような発言をしたが、実際には調査に全く関与していなかったことになる。【国交省官製談合取材班】

 同協会は、官製談合を主導した近藤治久・元課長補佐(58)の天下り先で、04年4月に同省を退職した後も、協会の電話を使うなどして業界側に談合を指示していたとされる。

 複数の協会幹部によると、同省側は05年、協会幹部に対し「元課長補佐ら4人の名前が出ている」と言いながら、談合疑惑を指摘する投書を示した。ところが、内部調査の実施やその結果の報告など、一切の指導を行わなかった。

 その後、協会の小野和日児(かずひこ)会長は、自主的に元課長補佐から事情聴取。「何か(身に)覚えがあるか」と質問すると、当時協会の調査部長だった元課長補佐は「覚えがありません」と否定した。協会幹部はその後、別件で同省に出向いた際、元課長補佐が関与を否定した事実を伝えたという。

 一連の経緯について、同省の安富正文事務次官は3月19日の会見で「公益法人を監督する立場という観点から、法人を通じて本人(元課長補佐)に事実関係を確認した」と述べた。しかし、協会幹部は毎日新聞の取材に対し「報告を求められたわけではない。(元課長補佐が関与を否定したことを同省に伝えたのも)報告ではないと思っている。用事があった時に、ぶらっと寄っただけ」と証言。安富次官の発言は、実際は協会が自主的に行った調査を、同省が主体的に実施したかのように誇張したことになる。

 談合情報の放置問題は毎日新聞が3月18日、元課長補佐らが談合に関与しているとの投書が寄せられ、系統だった調査はしなかったとする内容の局長経験者の証言を報じて発覚したが、同省は否定している。

林道談合、林野庁発注分も調査 公取委、天下りに関心 04/25/07(朝日新聞)

 独立行政法人「緑資源機構」が発注した林道整備調査業務の入札をめぐる談合事件で、独占禁止法違反の疑いで同機構や受注側の公益法人などを調査している公正取引委員会が、林野庁発注事業の受注実績や、同庁OBの天下りの実態について資料の提出を求めていることがわかった。林野庁からの天下りの慣習が談合の土壌になっているとみて、同庁発注の事業についても関心を寄せているとみられる。

 複数の関係者によると、公取委の調査では、緑資源機構が発注した事業だけではなく、林野庁発注の業務や、OBの天下りの実態についても報告を求められたという。

 ある関係者は天下りについて「特殊な業界で、経験のある人は人材として重要だ」といい、天下りが受注に関連したかについては「若干あるとは思う」と話している。

 衆議院調査局の資料によると、独禁法違反の疑いで強制調査を受けた農林水産省所管の五つの公益法人には、05年4月時点で国家公務員OBは277人在籍。うち理事職には44人が就いていた。大半は林野庁出身者とみられる。

 内訳は、多い順に林野弘済会が159人(うち役員14人)、林業土木コンサルタンツ45人(同9人)、日本森林技術協会40人(同12人)、林業土木施設研究所24人(同7人)、森公弘済会9人(同2人)。特に理事では、林野庁以外の出身者はわずか3人で、大半を本庁や営林局の元幹部職員が占めていた。

 また、林野庁との間で職員を相互に出向させている同機構にも、同じ時期に理事長以下、17人の林野庁OBがいたほか、受注上位の民間コンサルタント会社も、林野庁OBや同機構OBを役員などに受け入れていた。

 実際、天下りを受け入れてきた法人や会社の受注実績は高い。同機構が03〜06年度の4年間に発注した林道調査事業393件(総額約29億9592万円)のうち、5公益法人が170件を落札。全体の約43.3%にあたり、事業総額は約13億5112万円にのぼる。

 また、受注件数順でみると、上位4位までが林野庁OBの受け入れ実績があり、落札総額は全体の7割を超える約21億3420万円だった。

 この上位4法人・会社の予定価格に対する落札額の割合を示す平均落札率は93.4%。同機構の担当者が談合の疑いをもたれないように設定していたとされる「予定価格の93%」に非常に近い額だった。

緑資源官製談合…業者の継続案件、希望通りに受注 04/20/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(本部・川崎市、前田直登理事長)発注の林道測量コンサルタント業務をめぐる官製談合疑惑で、「実績のある業者が継続案件の受注を希望すると、ほぼその通りになるような発注が常態化していた」と関係者が証言していたことがわかった。

 業者側に希望する新年度予算額をヒアリングすることもあったという。公正取引委員会は、談合の背景に、機構側の発注姿勢の問題があったとみて実態解明を進めている。

 関係者によると、各地方建設部では、受注業者が請け負った業務を終えた後、担当者を訪ねて「来年度も継続案件を受注したい」と希望を伝える光景が当たり前になっていたという。あるコンサルタント会社幹部は「希望を伝えれば、ほぼ100%通った」と証言している。

 公取委に対し「『来年も継続してやってほしい』と、機構から頼まれることも多かった」と供述している業者もある。また、複数の受注業者は「計画路線ごとに担当業者を固定するような発注方法が一般化していた」と指摘する。

 一方、地方建設部の担当者が、業者に対し「新年度の予算をどのくらい確保すればいいか」と聞くようなケースもあったという。

 この業者は「機構には、地元と調整しながら計画を立てたり、積算したりする能力に欠けていて、すべてを我々に任せているような担当者も少なくない」という。

 発注先の公益法人の役員を務めたことのある機構OBは、「林野測量技術の開発を、業者の持ち出しで協力してもらうこともあり、『仕事を回すので、そっちで元を取ってほしい』と発注で借りを返すこともあった」と話している。

緑資源機構:公式会議で談合指示 招集文書「読後廃棄」 04/20/07(毎日新聞)

 独立行政法人「緑資源機構」(川崎市幸区)を舞台にした官製談合事件で、同機構本部幹部が全国8カ所にある出先機関(地方建設部)の林道課長を集めた会議の席で、談合を指示していたことが分かった。会議の案内文書は、シュレッダーで廃棄する決まりだったとされる。同機構理事(59)は公正取引委員会の調べに対し、こうした事実を認めているという。公式会議を利用し、証拠隠滅まで図っていた悪質な実態が明らかになった。

 この会議は、毎年春に開催される「各地方建設部林道課長会議」。談合が隠語で「業務」と呼ばれることから業務会議とも呼ばれていた。席上、本部の幹部が各林道課長に、将来発注予定の林道整備の調査・設計業務などの入札で、例年通り談合するよう指示していた。

 それぞれの入札の割当先については、各林道課長が過去の受注実績などを参考に原案を作成していたことが既に判明している。原案は、理事の承認を得て最終決定され、会議ではこうした決定に従い、談合を繰り返すことなどが確認されたとみられる。

 受注調整だけでなく、証拠隠滅も組織化されており、機構本部側は会議開催を呼び掛ける案内文書を「読後廃棄」と定めていた。関係者はこうした経緯を認めたうえで「情報公開請求を受けて開示される恐れがあるため、案内文書だけでなく談合を類推させる多くの文書をすぐシュレッダーにかけることになっていた」と話している。

 公取委は19日、独占禁止法違反の疑いで機構本部などを家宅捜索。官製談合の実態が悪質なことに加え、事業費の約95%が税金で賄われていることなども考慮し「刑事告発相当事案」との見方を強め、東京地検特捜部と連携して実態解明を進めているとみられる。

緑資源機構談合:身内で税金食い物 10年間隠ぺい 04/20/07(毎日新聞)

 公正取引委員会は19日、農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構を独占禁止法違反容疑で家宅捜索した。機構や農水省、林野庁から天下りを多く受け入れた公益法人に、手厚く業務を発注する構図は「身内だけで税金を食い物にする閉じられた世界」(公取委関係者)だ。機構側の強い主導の下、公式会議で談合するなど高度に制度化されていた実態も判明。林道調査という公益事業の陰で、10年間隠ぺいされてきた官製談合が暴かれようとしている。【斎藤良太、銭場裕司、伊藤一郎】

 ◇6公益法人が受注独占

 「身内だけで税金をぐるぐる回すとんでもないシステム」。公取委関係者はそう解説する。

 談合の舞台は林道整備の調査・設計業務など。指名競争入札の有資格業者は約1000社だが、機構が指名するのはわずか4%に当たる約40社(05年度、公益法人を含む)に限定された。いずれも天下りOBを受け入れてきた法人だ。

 中には営利企業もあるが、森公弘済会、林業土木コンサルタンツ、林野弘済会といった農水省所管の6公益法人が独占的に受注している。03年4月〜06年10月の入札調書によると、6法人だけで全体(約28億円)のほぼ半分に当たる13億円余を受注した。

 資本金(約6670億円)の全額を政府が出資して設立した農水省所管の機構が、同じ農水省所管で、言わば身内の6法人を優遇する。しかも、それぞれの事業(緑資源幹線林道事業)費の約95%は税金で賄われている。他の談合とは異なるこの事件特有の構図だ。

 その理由を機構OBの公益法人幹部は「地質や環境などへの配慮など、林道は普通の道路と異なり、専門性が必要」と説明する。しかし、捜索を受けたある民間企業幹部は「林道と普通の道路の規格は、ほぼ同じ。『公益法人でなければ設計できない』ということはない」と明かす。

 捜索を知った機構の別のOBは「森林事業は縮小しているのに、複数の公益法人が同種の仕事をしているのはおかしい。再編の必要がある」と業界の問題点を指摘している。

 ◇公式会議で方針確認も

 官製談合は2種類に大別される。官僚(国や自治体が資本金の2分の1以上を出資する「特定法人」職員を含む)によるものと、政治家によるものだ。

 05年末〜07年3月に摘発された▽成田国際空港(旧・新東京国際空港公団)▽防衛施設庁▽福島県▽和歌山県▽宮崎県▽国土交通省の各官製談合事件を分析すると、官僚の場合は天下り先の維持、政治家は選挙に協力的な企業に優先的に発注するため談合に関与していることが分かる。

 今回も天下りを目的とした事件という意味では、過去の官僚関与事件と構図が重なる。だが特異な点もある。発注者側の力が非常に強い点だ。

 防衛施設庁の事件では、元技術審議官=実刑確定=ら施設庁側の関与者の他に、大林組元顧問=略式命令で罰金50万円=ら業界側の調整役がいた。国交省の事件でも、談合を主導した元課長補佐は「世話役」と呼ばれる石川島播磨重工業など3社とともに受注調整した。

 今回は、業界側を仕切る人物がおらず、受注希望事業は個々の業者から受け付けるが、最終的な決定権をすべて機構側が握っていた。ある企業幹部は「機構の決定に従って落札するだけだった」と証言する。

 過去の同種事件と比べ、際立ってシステム化された手口も特徴だ。

 (1)全国8カ所の地方建設部の林道課長が、過去の受注実績などを基に各業者に業務を割り振る「配分案」を作成(2)機構本部の課長補佐が全国分を集約(3)課長が集約したものを受領して内容をチェックし、森林業務担当理事(59)に見せて了承を得る−−。本部と出先機関が一体となって各幹部らの役割も明確だった。年1回の公式会議で談合の方針を確認するという念の入れようだ。

 「公式業務」として繰り返された官製談合。公取委関係者は「非常に制度化されているという点で、特異かつ悪質な談合だ」と指摘する。また、問題の6公益法人中4法人は、01年12月にも林野庁東北森林管理局青森分局(青森市)の発注業務などを巡り、排除勧告を受けている。こうした事情から、公取委は「行政処分では不十分」との判断を固めたとみられる。

緑資源機構、天下り4法人で林道測量の7割落札 04/19/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(本部・川崎市、前田直登理事長)発注の林道測量コンサルタント業務をめぐる官製談合疑惑で、2002〜06年度に機構が実施した入札計約500件のうち7割以上を、林野庁や機構のOBが在籍している公益法人と民間会社の計4法人が落札していたことがわかった。

 公正取引委員会に対し、機構職員は「技術力のある業者に発注する必要があった」などと説明しているが、天下りしたOBの中には、機構で発注を担当したことのある機構元役員もいた。公取委は、天下りが受注調整に影響を与えた疑いがあるとみて調べる。

 入札調書によると、02〜06年度に発注された林道測量コンサルタント業務は計496件(発注総額約36億6600万円)で計24業者が落札した。

 この5年間で、落札件数が最も多かったのは「林業土木コンサルタンツ」(東京都文京区)で101件(受注総額約8億2500万円)、次いで「フォレステック」(三鷹市)が100件(同約8億1500万円)、さらに「森公(しんこう)弘済会」(千代田区)が83件(同約6億7700万円)、「片平エンジニアリング」(文京区)が67件(同約4億100万円)と続いた。

 5位の民間会社は20件(同約1億500万円)で大きく引き離されており、上位4法人が全体に占める割合は、件数にして70・76%、金額で74・17%にも達していた。

 林業土木コンサルタンツと森公弘済会は、いずれも林野庁所管の公益法人。

 読売新聞の調べによると、発注部門を担当する機構役員が森公弘済会の役員に天下りしたり、林業土木コンサルタンツの役員が、機構の役員に就いたりする密接な関係にあった。

 これら役員の中には、同庁OBも複数含まれ、機構と両法人を渡り歩き、天下り後に1億数千万円の報酬を得た元国有林野部長もいた。

 一方、受注上位の民間2法人は、同庁や機構のOBの受け入れについて「山の仕事は地元との折衝力や信頼関係が必要なため、人脈がある林野庁OBを雇用している」(フォレステック)、「政府開発援助(ODA)関連業務の専門家として十数年前に機構OBを受け入れるようになり、現在は元広島地方建設部長を技術顧問として迎え入れている」(片平エンジニアリング)などと説明している。

緑資源機構談合:20億円分不正入札…告発視野に 公取委 04/19/07(毎日新聞)

 独立行政法人・緑資源機構が発注する林道整備などの調査・設計業務を巡り、森林業務担当理事(59)らが官製談合を繰り返していた疑いが強まり、公正取引委員会は19日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で川崎市幸区の機構本部などを一斉に家宅捜索した。立ち入り検査(06年10月)直前まで談合を続けていた事実が新たに判明。公取委は04年4月〜06年10月の計約300件、約20億円分を不正入札とみて、東京地検特捜部への告発を視野に押収資料の分析を進める模様だ。

 捜索(強制調査)対象は発注者の機構本部のほか、受注した「森公弘済会」(東京都千代田区)、「林業土木コンサルタンツ」(文京区)などの農林水産省所管の公益法人、「片平エンジニアリング」(同)など民間のコンサルタント会社など約10カ所に及んだ。

 関係者によると、機構の出先機関である八つの地方建設部の林道課長は、受注実績などを基に業務を割り当てる「配分案」を作成。機構本部の課長補佐や課長がこれらを集約し、理事の承認を経て最終決定していた。

 官製談合は予定価格100万円以上の指名競争入札を対象に10年前に始まり、立ち入り検査直前の昨年10月まで繰り返された。公取委はこのうち04年度以降の約300件(約20億円)の立件を視野に調査を進めている。

 毎日新聞が情報公開請求で入手した入札調書によると、配分対象となったのは、林道建設予定地の地質調査や測量・設計、林道に架設する橋の調査、ワシやタカなど猛きん類の生息調査など。

 公取委の強制調査は、改正独禁法(06年1月施行)で導入された手続きで今回が3例目。組織ぐるみの悪質性に加え、大手ゼネコンが談合決別を申し合わせた05年末以降も談合を続け、過去に同法違反で排除勧告を受けた業者が含まれていることなどから、排除措置など行政処分では不十分な「刑事告発相当事案」との見方を強めている。

 ▽緑資源機構 旧森林開発公団と旧農用地整備公団を統合した緑資源公団が03年10月、独立行政法人化して発足した。約6670億円の資本金の全額を国が出資しているため、官製談合防止法の適用対象法人。林道や農業用道路の開設・改良、水源林の造成などを行う。職員数は728人(07年3月末)。うち11人は林野庁OBで、64人は農林水産省など省庁からの出向者。

林道談合 松岡農水省に献金428万円 公益法人や企業 04/19/07(読売新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合疑惑で、19日に公正取引委員会の強制調査を受けた公益法人や民間企業から、松岡利勝農水相の資金管理団体が献金を受けていたことが分かった。パーティー券購入も含めた献金額は平成17年までの10年間で計約428万円に上る。機構と公益法人は農水省が所管しており、林野庁OBが天下っている。機構の調査業務の発注額は年間十数億円で、近年の受注件数は献金した法人と企業が上位だった。

 資金管理団体「松岡利勝新世紀政経懇話会」に献金していたのは、農水省が所管する公益法人では▽財団法人「林野弘済会」(東京都文京区、10年間の献金額は184万円)▽同「林業土木コンサルタンツ」(同区、同96万円)▽社団法人「日本森林技術協会」(同区、同36万円)。

 民間企業では、測量会社「フォレステック」(東京都三鷹市)が同じ10年間で112万円を献金した。このほか、公益法人の出資先企業も献金していた。これらの法人、民間企業から直接、資金管理団体に献金があったのは11年まで。12年以降は公益法人の理事長や会長らが個人名で献金している。公益法人からの献金について松岡農水相は記者会見で、「11年に返金した」としている。



 川崎市のJR川崎駅前にある緑資源機構には19日午前9時半ごろ、カメラのフラッシュを浴びながら、公取委の係官約10人が硬い表情のまま姿を見せた。報道陣からの「公取の立ち入り調査か」との問いにも口を真一文字に結んで答えず、足早に機構内へ。

 機構職員の一人は「役員室にも調査が入っている。昨年の立ち入り検査と同じように夜中まで調べが続くのだろうか」と不安げに話した。

緑資源機構談合:ひた隠しのシステム明らかに 天下り絡む 04/19/07(毎日新聞)

 詳細なメモが、税金を食い物にしてきた独立行政法人を追い詰めた。公正取引委員会が19日、独占禁止法違反容疑で家宅捜索に乗り出した「緑資源機構」の官製談合事件。機構側がひた隠しにしてきた談合システムを白日の下にさらしたのは、昨秋の立ち入り検査で業界側から見つかった資料だった。「OBの天下り先に優先的に発注した」。機構幹部はこう供述し、国土交通省官製談合事件(3月)と同じ構図が浮かび上がっている。

 昨年10〜11月、公取委は、機構と約30社(公益法人を含む)を立ち入り検査した。機構本部からは談合をうかがわせる物証がほとんど見つからない。ところが、業界側から見つかった多数の資料は「宝の山そのもの」(公取委関係者)だった。

 「×月×日、A林道課長から電話。『次の入札はお宅がチャンピオン(受注予定社)』」。機構や農林水産省から業界に天下りしたOBたちは、会社のデスクに克明なメモを残していた。「林道課長」は、機構の出先機関・地方建設部の発注担当者。メモは各社から見つかり、突き合わせていくうちに、一部の地方建設部だけではなく、全国に談合が広がっている実態が浮き彫りになったという。

 森公弘済会(東京都千代田区)の関係先からは、後任の営業担当者に談合の手口を伝える「引き継ぎ書」も見つかった。落札を希望する入札を、どうやって機構側に伝えるか。書面には「地方建設部の担当者に依頼し、落札後にはお礼を言う」などのノウハウが書き込まれていた。

 動かぬ証拠を突きつけられた機構職員は次々と談合を認め「天下りを多く受け入れた業者への発注を手厚くした」などと供述した。約6670億円に上る資本金(3月末現在)の全額を政府が出資し、事業(緑資源幹線林道事業)費の約95%を国の補助金や都道府県の負担金で賄う。税金で運営される独立行政法人から透けて見えるのは、天下りを介して業界ともたれ合う、過去の事件とまったく同じ「官・業癒着」の構図だった。

   ◇   ◇

 川崎市幸区の機構本部が入るビルには19日午前9時28分、公取委の係官十数人が入った。談合を主導した森林業務担当理事(59)宅=同市多摩区=にも、ほぼ同時刻に3人が訪れたが、家人が不在のため外で待機した。

天下りを温存したい、又は、天下り禁止を骨付きにしたい省庁の 目的は、結局は、ここ。将来の待遇の安定の約束との引き換えための発注。 だから、無駄な公共事業や割高な発注が減らない。

水門談合:地方でも不正まん延 小規模工事で 04/06/07(毎日新聞)

 水門設備工事を巡る官製談合事件で、国土交通省の複数の地方整備局が、天下りを受け入れないメーカーや管轄外の業者を指名から意図的に外していたことが分かった。予定価格1億円以上の大規模工事は近藤治久・元課長補佐(58)らが受注調整していたことが判明しているが、今回明らかになったのは、同1億円未満の工事で行われた指名競争入札(05年10月まで)。地域単位の工事でも、国交省職員主導の不正入札がまん延していた実態が鮮明になった。

 関係者によると、福岡など8県を管轄する九州地整は、天下りを受け入れないメーカーを指名から外していた。ある九州の業者は「指名外しは最近まで続いていた」と証言。広島など5県担当の中国地整でも、天下り受け入れと指名業者選定が連動していた疑いがあり、中国地方の業者は「OBが事前に役所に名刺を置きに行くと効果があった(指名に入れてもらえた)」と明かした。

 愛知など5県を管轄する中部地整では、工事の地域に本社、支店、営業所のいずれかがあれば指名を受けられるのに、発注担当幹部は、資格があるはずの業者を指名から外していた。

 愛知県に営業所を新設して指名要件を満たした西日本の業者は、営業担当者が00年ごろ、同地整にあいさつに行くと、幹部が「(他地域のメーカーが)出てこないでほしい」と言い、進出を阻んだという。同地整契約課は「本当ならルール違反」としている。

 一方、水門メーカーは、全国組織だけでなく地域ごとにも談合組織を作り、小規模工事での受注調整の舞台となった。地整側が受注予定社を指定する官製談合が行われたケースもあったことは既に判明していたが、今回明らかになったのは、地域組織に属さない「新参者」を指名から外すもので、談合を手助けする「ほう助」行為に当たる。3月14日施行の改正官製談合防止法で、新たに禁止対象に加えられた。【国交省官製談合取材班】

水門談合:新たに現職職員の名前 国交省が調書入手 04/06/07(毎日新聞)

 水門設備工事を巡る官製談合事件で、国土交通省が公正取引委員会から、関係者の供述調書を提供されていたことが分かった。同省の要望に基づくもので、官製談合防止法の適用時(3月8日)に渡された2種類の文書に記載されていた7人に加え、新たに現職職員ら数人の実名が記されているとみられる。同省の内部調査機関は、この調書を基に実態解明を進める方針。

 現職職員は、毎日新聞が先月10日に報じた出先機関の課長。02年まで、関東地方整備局で水門設備工事の発注関連業務を担当していた。

 関係者によると、国交省が調書を提供されたのは3月27日。業者側が現職職員の実名を挙げ「受注予定社を指定された」などと説明する調書が含まれている。さらに、これまで関与が判明していなかった近畿地方整備局の元発注担当課長ら数人の名前も記載されているという。

 国交省は冬柴鉄三国交相が給与を自主返納(3カ月)するなどの処分を実施しているが、新たな関与が判明すれば再処分を迫られる。現職職員は1月、毎日新聞の取材に関与を否定。冬柴国交相は3月13日の会見で「(現職の関与が)事実であれば、懲戒手続きや損害賠償請求なども視野に入れる」との意向を示している。【国交省官製談合取材班】

水門談合:23社、大型工事の98%落札 04/03/07(毎日新聞)

 国土交通省発注の水門設備工事を巡る官製談合事件で、談合組織に加盟する23社が、大型工事の98%超(金額ベース)を独占していたことが公正取引委員会の調べで分かった。予定価格に占める落札額の割合(平均落札率)が92〜96%と極めて高率だったことも判明。業界が談合をやめた05年6月以降、最大で約25ポイント急落していることから、官製談合により落札価格がつり上げられていた実態が裏付けられた。【国土交通省官製談合取材班】

 公取委は国交省、農林水産省、独立行政法人「水資源機構」の各発注工事で談合を認定。2月8日、国交省に官製談合防止法を適用した。

 調べでは、23社は国交省発注分では予定価格1億円以上(一部例外を除く)の大型工事を対象に談合。その結果、ダム用の水門工事33件約133億円のうち32件約132億円、河川用61件約153億円のうち58件約148億円を独占受注した。農水省と水資源機構が発注した大型工事を加えると、23社の落札は137件中132件、落札額は発注総額約493億円の98%超に当たる約486億円に達した。

 公取委によると、全国の水門設備業者数は約200社。わずか約1割に相当する23社だけでほぼ全工事を独占できたのは、石川島播磨重工業、日立造船、三菱重工業など主要メーカーのすべてが談合組織に加盟していたからだった。

 談合による落札金額の上昇もデータで裏付けられた。

 公取委が談合を認定した期間の平均落札率で、最も高かったのは国交省発注のダム用設備で96.5%、最低は水資源機構の92.4%だった。ところが、鋼鉄製橋梁(きょうりょう)建設工事を巡る談合事件の刑事告発を機に談合をやめた05年6月1日〜昨年9月末では、71.4〜80.9%に下落。下落幅は14.4〜25.1ポイントだった。

 談合による価格の上昇は明白で、現職時代の関与が認定された国交省の近藤治久・元課長補佐(58)らに対する損害賠償請求額の算定根拠になるとみられる。

業務上横領:容疑の元参事、愛知県森林組合連合会が告訴 04/03/07(毎日新聞)

 林業を営む会社や個人の業界団体「愛知県森林組合連合会」(名古屋市中区)は2日、同組合の口座から現金を着服したとして、元参事兼総務課長(59)=懲戒解雇=を業務上横領容疑で愛知県警に告訴したと発表した。着服総額は約1億数千万円に上る見込み。同組合は損害賠償請求訴訟も検討している。

 同組合によると、元参事は会計責任者だった01年7月から06年末の間、組合の口座から「立て替え金」「仮払金」などの名目で現金を引き出し、活動実態のない関連団体名義の口座に入金するなどの手口で着服を繰り返した。通帳や印鑑を管理し、帳簿作成や決済を1人で行っていたという。

 99年に参事に就任して01年6月末に退職。その後も契約職員として参事職を続けていたが、「退職後は年収が大幅に減少し、生活費が不足した。現金はトウモロコシなどの商品先物取引につぎ込んだ」などと組合に説明しているという。

 農林水産省が先月行った定例検査で、仮払金などの項目が多いことが発覚。組合がこの元参事に事情を聴いたところ、着服を認めたという。【加藤潔】

緑資源機構:理事、談合認める 配分案を了承 04/02/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人・緑資源機構(川崎市、前田直登理事長)を舞台にした官製談合疑惑で、森林業務を担当する理事(59)が公正取引委員会の調べに、談合への関与を認めていることが分かった。出先機関が配分案を作成し理事が了承するもので、機構首脳を頂点とする受注調整システムのほぼ全容が判明した。公取委は独占禁止法違反容疑が強まったとして、東京地検特捜部への刑事告発を視野に、近く関係者の一斉聴取に踏み切る模様だ。

 昨年10月の立ち入り検査は、通常の行政処分を行う審査局が担当した。しかし、悪質な実態を重く見た公取委は2日、改正独禁法(06年1月施行)により新設した「犯則審査部」に移管することを決定、一斉聴取は同部が担当するものとみられる。同部は家宅捜索する権限(強制調査権)を付与された特別な部署で、汚水処理談合(06年5月)、名古屋市営地下鉄談合(今年2月)に続き、3例目の刑事事件となる可能性が強まった。

 関係者によると、理事らが関与したのは林道整備などの調査・設計業務の入札。

 官製談合には理事が所属する機構本部だけでなく、全国8カ所にある出先機関「地方建設部」も絡んでおり、まず地方建設部の担当課長らが、過去の受注実績などに応じて各社に入札予定業務を割り振る配分案を作成、機構本部の課長補佐に渡していた。こうして全国からの配分案を集約した課長補佐は、上司の機構本部課長に報告。課長が理事に一覧表を見せて、最終的な了承を得ていた。

 決定内容の伝達は逆ルートをたどり、機構本部の課長補佐が各地方建設部の課長を介して業界に伝達。これに従う形で談合が繰り返されたという。

 林道事業に加え国有林や民有林の治山事業の事前調査、測量、設計などの委託業務も受注調整の対象で、年間の発注規模は約30億円だという。

 理事は70年、機構の前身である旧森林開発公団に採用された。同じく前身の旧緑資源公団部次長や機構部長などを歴任。05年から理事を務めている。

 公取委は昨年10月31日、機構本部のほか▽林業土木コンサルタンツ▽林野弘済会▽森公弘済会▽日本森林技術協会など同省所管の公益法人や、森林テクニクスなど民間の計十数法人を立ち入り検査していた。

 ◇ことば 【緑資源機構】

 農林業の振興や資源の保全などを目的とした法人で、03年10月に独立行政法人化した。水源となる森林を育成・整備したり、林道の開設・改良などを行っている。前田理事長は元林野庁長官で、理事も5人中3人は農林水産省OB。職員数は735人(06年度末現在)。

「緑資源機構」談合関与の疑い、告発視野に公取調査へ 04/02/07(毎日新聞)

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」(本部・川崎市、前田直登理事長)発注の林道測量・コンサルタント業務をめぐる談合疑惑で、機構側が年度ごとの林道整備計画に基づき、測量業務の発注先を割り付けるなど組織的に談合に関与していた疑いが強いことが、関係者の話でわかった。

 公正取引委員会は、悪質な官製談合との見方を強めており、独占禁止法違反(不当な取引制限)での刑事告発を視野に入れ、本格調査に乗り出す。

 機構では年度当初、全国8か所の地方建設部から新年度の林道工事計画が本部に報告されるが、関係者によると、本部の林道企画課で報告を集約し、全体計画をとりまとめたうえで、過去の実績などを踏まえて測量業務の発注先を割り振っていたという。調整後は、林道企画課と各地方建設部の林道課が分担して、受注予定業者に予定価格などを伝達。業者側は、天の声を受けた本命業者が落札できるよう連絡を取り合っていた。

 公取委の調べに対し、一部の機構職員は談合への関与を認めたうえで、「山間地で行う測量業務は専門性が高いうえに条件が悪く、受注してくれる業者が少ないために調整する必要があった」などと供述しているという。

 読売新聞が2002〜06年度の測量・コンサルタント業務の入札計496件(発注額計約36億6600万円)を調べたところ、林道事業担当の機構理事が天下りするなどしていた公益法人「森公弘済会」(東京都千代田区)、「林業土木コンサルタンツ」(文京区)、「林業土木施設研究所」(同)、「日本森林技術協会」(同)が全体の4割超を落札したことがわかっている。公取委は昨年10月、機構や4法人、民間業者など二十数社への立ち入り検査に着手、機構の歴代担当者などから事情聴取を続けてきた。

朝日新聞(2007年3月25日)より

水門談合の関与認定19社

国交省OB、67人が在職

水門談合:企業19社に67人天下り 国交省が公表 03/23/07(毎日新聞)

 国土交通省発注の水門設備工事を巡る官製談合事件で、同省は23日、談合にかかわった企業23社のうち19社にOB計67人が再就職(天下り)していることを公表した。談合の調整役(世話役)だった石川島播磨重工業と三菱重工業、日立造船鉄構(旧日立造船)の3社に計17人が天下りするなど、公共工事受注との深い関係が裏付けられた。

 国交省が今月8日現在の人数を23社に聞き取った。67人は、本省課長相当職以上の幹部が23人、地方支分部局などの一般職員が44人。役員に就いていたのは2社の2人だった。最多は豊国工業の8人で、三井造船7人、日立造船鉄構6人、石川島播磨重工業6人。

 一方、酒井鉄工所と高田機工、田原製作所(解散)、丸誠重工業(破産)の4社にはいなかった。【長谷川豊】

国交省官製談合:情報把握しながら、半年間放置 03/18/07(毎日新聞)

 国土交通省発注の水門設備工事を巡る官製談合事件で、同省が05年夏、建設施工企画課の近藤治久・元課長補佐(58)らOBの関与を指摘する情報を把握しながら、半年間にわたって事実上放置していたことが、元幹部の証言で分かった。本格的な調査を実施したのは、公正取引委員会の立ち入り検査や官製談合を指摘する新聞報道があった後で、しかも、関与を疑われたOBを聴取対象から外していた。同省のずさんな調査態勢が浮かび上がった。

 元幹部は技官(技術系職員)出身の局長経験者で、当時は、近藤元課長補佐のような技官の不祥事について報告を受ける立場だった。

 元幹部によると05年夏、近藤元課長補佐や地方建設局(現・地方整備局)元課長の実名を挙げ、談合への関与を指摘する投書が寄せられた。近藤元課長補佐は04年4月に既に退職し、当時は国交省などが所管する社団法人「日本建設機械化協会」に天下りしていたが、投書は「協会の会議室で業者が談合している」と具体的に記載。公取委が当初描いた談合の構図とほぼ同じような内容だったとされる。

 投書の内容は05年9月までに、文書で同省幹部に伝えられた。だが、談合情報などを調査する同省地方課の公共工事契約指導室などが、協会に報告を求めた程度で、それ以上の実質的な調査はしなかったという。

 同省は、毎日新聞が官製談合疑惑を報じた後の昨年4月になって、調査を行ったが、近藤元課長補佐や元課長ら疑惑のOBは対象から外し、現職職員に絞って聴取。結局、疑惑は解明できず、今年1月になって設置した内部調査機関「入札談合防止対策検討委員会」が、初めてOBから聴取している。

 毎日新聞は同省地方課に対し、文書や口頭で再三取材を申し入れたが、「個別案件には答えられない」としている。

 公取委の調べで、近藤元課長補佐は01年5月7日〜05年5月末、主に近畿以外の7地方整備局が発注する河川用設備の談合を主導したことが判明している。【国交省官製談合取材班】

国交省官製談合:隠ぺいと指摘されかねない姿勢に批判も 03/18/07(毎日新聞)

 国土交通省の暗部がまた一つ明らかになった。水門設備を巡る官製談合事件で、同省は05年夏、建設施工企画課の近藤治久・元課長補佐(58)らの関与を指摘する情報を得ながら、半年後の内部調査では聴取さえしなかった。上層部まで情報を把握していたのに、なぜ半年も疑惑を放置したのか。ようやく始めた調査の対象から、なぜ疑惑の中心人物を外したのか。隠ぺいと指摘されかねない同省の姿勢に、新たな批判が集まりそうだ。

 「05年8月か9月に(談合疑惑を指摘する)投書の内容をまとめたペーパーを見た」。現在、東日本に住む元局長級の幹部は2月19日、毎日新聞の取材に重い口を開いた。

 元幹部は「ペーパーには近藤(元課長補佐)さんの名前が書かれていた」としたうえで、近藤元課長補佐が在籍する「日本建設機械化協会」(東京・芝公園)の会議室に、業者が出入りして談合している事実が記載されていたことを認めた。さらに「(旧地方建設局の)元課長の名前もあった」とし、元課長が会長を務める会社も深く関与していることを指摘していたことも明かした。

 「協会に報告を求めた程度。系統だった調査はしなかった」と調査のずさんさにも言及。事実上、疑惑を放置したことを認めた。

 その半年後の06年3月、公正取引委員会は業界各社に一斉に立ち入り検査。国交省は、さらに毎日新聞が報道で官製談合を指摘した後の翌月になって、ようやく内部調査を実施した。しかし、疑惑のあったOBらからは聴取せず、現職職員167人だけが対象。同6月23日の会見で国交省は「(談合が)あったと発言した職員はいなかった」と疑惑を否定した。「なぜ退職者を調べないのか」との記者の質問を「退職者は民間人。権限は現職にしか及ばない」とかわした。

 投書の情報は、公取委が当初にらんだ構図とほぼ同じだった。公取委は元課長について「裏付けできなかった」などとして関与を認定しなかったが、近藤元課長補佐は、在職時に受注予定社を指定する官製談合を繰り返していたと判断し、同省に官製談合防止法を適用する重要な根拠となった。【国交省官製談合取材班】

水門談合70億ムダ使い…公取委調査 03/17/07(読売新聞)

 水門設備工事をめぐる官製談合で国土交通省が公正取引委員会から改善措置要求を受けた問題で、談合の対象とされた工事の落札率(予定価格に対する落札価格の割合)の平均は95%以上で、談合をやめたとされる時期以降は20ポイント以上も下落していたことが公取委の調べでわかった。

 同省は談合の対象になった工事を計約280億円で発注しており、単純計算で計約70億円が無駄に使われたことになる。また、談合防止策の一環として導入された「総合評価落札方式」を、同省職員、OB、業界が示し合わせて骨抜きにしていた実態も判明した。

 この問題で、公正取引委員会に談合が認定された同省工事は2001年〜05年5月に発注された計94件(発注額計約280億円)。05年5月末には橋梁(きょうりょう)メーカーによる談合事件が刑事告発されたことをきっかけに談合はやめたことから、公取委は、談合していた時期と、同年6月〜06年9月に同省が発注した同工事について、それぞれの平均落札率を算出。ダム用工事で96・50%から71・40%、河川用工事で96・10%から74・00%にそれぞれ下落していたことがわかった。

 談合終了後の落札率で、各工事を発注できたと仮定すると、ダム用工事は約96億円、河川用工事は約115億円となり、両工事の発注総額は約280億円から約211億円に圧縮されることになる。

 一方、談合に加わった水門メーカー各社は、国交省が談合対策として1999年に導入した「総合評価落札方式」を骨抜きにしていた。この方式は、優秀な技術提案に高い点を与え、入札価格で割った数値が最高点だった企業に発注するもので、談合対象になった入札計94件のうち、24件で採用されたが、メーカー各社は、価格調整に加え、技術提案の内容に関しても情報交換していたという。

 公取委によると、メーカー側は、近藤治久・元建設施工企画課長補佐や山口甚郎・旧建設省元国土地理院長(71)、豊田高司・同元技監(70)らの意向を確認した上で、営業担当者に技術担当者を加えた会合を開き、本命の企業が自社の提案内容を他社に説明し、サポート役の企業がそれよりも劣る技術を提案していた。また、技術提案の調整が難しい場合は、サポート役の企業が高めの応札価格にして、本命の企業が高値落札できるよう工作していたという。あるメーカー関係者は「技術面まで調整するのは難しい面もあるが、官側の意向を踏まえて業界がまとまって調整したので、ほぼ予定通りの落札結果になった」と話している。

水門談合:技術評価入札でも防げず 有力OBが骨抜きに 03/05/07(毎日新聞)

 国土交通省発注の水門設備工事を巡る官製談合事件で、業者間の競争促進策として99年に導入された「総合評価落札方式」の入札でも談合が繰り返されていたことが分かった。価格だけでなく技術力も加味して落札業者を決める方式だが、事前に提案内容をすり合わせて受注調整していた。受注予定社(チャンピオン)の決定には旧建設省の豊田高司・元技監(70)らが関与しており、有力OBが談合防止策を骨抜きにしていた実態が明らかになった。

 総合評価方式は、環境への配慮など技術に関する提案書を提出させ、有識者らで組織する第三者委員会が点数化。応札額を加味した「評価値」が最高となった企業が落札する。金額だけで競争する通常の入札よりも談合しにくいとされる。

 ところが、関係者によると、ダム用の水門設備工事で談合を繰り返していた石川島播磨重工業、日立造船、三菱重工業など14社は提案書を提出する前に会合を開き、チャンピオンの提案内容を決定。入札に参加する他の企業は、それより劣った内容にするなどして国交省側に提出していた。

 会合後にファクスをやり取りして内容をすり合わせることもあった。また、通常の談合では各社の営業担当幹部だけで打ち合わせを行うが、総合評価方式の場合は会合に技術系職員も同席していた。チャンピオン選定の原案は、石川島播磨重工など「世話役」と呼ばれる業界の幹事社が作成。01年ごろまでは山口甚郎・元国土地理院長(71)、それ以降は豊田元技監が原案を了承して決定されていたことが、既に判明している。

 毎日新聞が入手した入札調書によると、01年4月から業界が談合をやめた05年6月1日まで、総合評価方式の入札は9件あり、平均落札率(予定価格に占める落札額の割合の平均値)は96.66%だった。談合をやめた後の5件の平均落札率は87.25%に急落しており、総合評価方式でも談合によって落札額が上昇していた。【国交省官製談合取材班】

 総合評〓〓価落札方式 強度などの性能、騒音対策や汚染、景観などの環境への対応などに関する提案を点数化して評価。金額を加味して落札業者を決める。談合だけでなく価格競争による品質の低下も防止できるとされる。国交省の場合、05年度は2022件で実施され全体の約4割(金額ベース)を占めた。06年度は8割を目標にしている。

国交省水門談合:元課長補佐、連絡役に省OB…隠ぺい工作 03/02/07(毎日新聞)

 国土交通省発注の水門設備工事を巡る官製談合事件で、建設施工企画課の元課長補佐(58)が03年4月、自らが直接受注調整するシステムを改め、同省OBを連絡役として介在させる方式に変更していたことが分かった。同年1月に官製談合防止法が施行されたことを受けたもので、公正取引委員会は、元課長補佐による隠ぺい工作とみている。元課長補佐は退職した翌年の05年4月、再び直接指示する方式に戻しており、複雑な経緯の詳細が初めて判明した。【国交省官製談合取材班】

 公取委はこの2人に、既に関与が判明していた▽旧建設省の豊田高司・元技監(70)▽山口甚郎(じんろう)・元国土地理院長(71)▽旧関東地方建設局の元機械課長(71)▽近畿地方整備局の元機械施工管理官=死去=を加えた国交省側の6人が、業界と一体化して受注調整していたと断定。月内に官製談合防止法を適用する際、国交省側に渡す改善措置要求書などで6人の関与に言及する方針とみられる。

 関係者によると、元課長補佐は01年5月7日以降、近畿以外の7地整が発注する河川用設備の談合に関与。石川島播磨重工業、日立造船、三菱重工業のうち1社が2年交代で務めていた業界側の「世話役」に直接、受注予定社を指定していた。

 しかし03年1月、関与した職員に損害賠償を請求することなどを盛り込んだ官製談合防止法が施行され、同月、北海道岩見沢市に初適用された。危機感を抱いた元課長補佐は、世話役に「今後はOBを連絡役にする」と伝え、03年4月9日以降、直接の指示を避けたという。連絡役は、旧東北地方建設局(現・東北地整)機械課長で、99年4月に退職したOB。

 元課長補佐が決めた受注予定社名を、OBが聞き取って世話役に伝える手法は約2年続き、元課長補佐が退職した翌年の05年4月1日になって、直接指示するシステムに戻された。関与は鋼鉄製橋梁(きょうりょう)建設工事を巡る談合事件を受け、業界が談合中止を決めた05年6月1日まで続いた。

 元課長補佐は全国のダム用設備の一部(既設水門の更新、改造など)の受注調整にも関与しており、ほぼ同様の談合システムだったという。

水門談合:「10年前まで官製談合」仕切り役が全容証言 02/26/07(毎日新聞)

 「農林水産省も10年前まで官製談合だった」−−。水門設備工事の調整役を務めたコンサルタント会社社長(64)は、毎日新聞の取材にそう明言した。省幹部から「やめたい」と相談を受け、業界の混乱を避けるため「僕がやります」と提案。その後の入札を石川島播磨重工業の営業担当幹部とともに仕切ってきた。省幹部のお墨付きを得て始まった“準官製談合”とも言える異常な実態が明らかになった。【国交省官製談合取材班】

 社長が経営するコンサルタント会社は、東京都港区西新橋のビルの一室にある。民間の信用調査機関によると、社長は栗本鉄工所の水門営業部長などを経て、99年にこの会社の代表取締役に就任。社長は今年に入り、4回にわたって取材に応じた。

 社長によると、農水省幹部が96年ごろ、省内の自室に社長を呼び出し「官がすべての工事を決めるのは役人本来の仕事じゃない。我々キャリア官僚は全員そう思っている。やめたい」と切り出した。社長が「当然です。前々からあなたたちがやるのはおかしいと思っていた」と返答すると、農水省幹部は「業界は混乱しないか」と心配。社長は「僕がやりますから心配ありません」と応じたという。

 長年続いた官製談合はこうして終了。形を変えながら談合が続き、02年ごろに石川島播磨の営業担当幹部が天下り受け入れ状況などを考慮して、発注予定物件と各工事の受注予定社を記載した「配分表」の原案を作成し、社長に提示するシステムが完成した。

 社長は「2、3日かけて『小さい会社には多く』という理念でそれ(配分表)をいじった。IHI(石川島播磨)が増長しないように見張っていた」と言う。

 公取委は当初「社長のバックには農水省幹部の存在があるはず」とみて追及した。しかし社長はこの構図を否定。「農水省に顔が利き『強い人』というイメージがあったために(自分が関与するシステムを)石川島播磨が受け入れただけ」と説明した。

 社長は談合の正当性を主張する独自の理論も展開した。「水門は水害から身を守るためのもの。競争が激しくなると粗悪品が増え、最終的には国民が被害を受ける。僕は業界からビタ一文もらっておらず(談合は)国民のためだった」

 しかし、毎日新聞のまとめでは、02〜04年度の9000万円以上の工事を談合組織に加盟する8社がほぼ独占。平均落札率(予定価格に占める落札額の割合の平均値)も96.36%と極めて高率だった。

水門談合:農水省も 発注、天下りと連動 02/26/07(毎日新聞)

 国などが発注する水門設備工事を巡る談合事件で、農林水産省発注分の仕切り役だった石川島播磨重工業の営業担当幹部が、公正取引委員会の調べに対し「農水省OBの受け入れ数を考慮して工事を割り振った」と供述していることが分かった。同社幹部とともに調整に関与したコンサルタント会社社長(64)も、毎日新聞の取材にこうした経緯を認めており、天下りを介して官・業が癒着する国土交通省の官製談合と同様の構図が浮かび上がった。

 関係者によると、農水省発注工事では、9000万円以上の大型工事を対象に、05年5月ごろまで談合が繰り返された。石川島播磨に、栗本鉄工所▽西田鉄工▽豊国工業▽丸島アクアシステム▽川崎重工業▽日東河川工業▽佐藤鉄工−−を加えた計8社で談合組織を形成していた。

 仕切り役は「世話役」と呼ばれる石川島播磨幹部が務め、発注予定工事名の横にそれぞれの受注予定社が記載された一覧表形式の「配分表」をパソコンで作成。栗本鉄工所の元営業担当幹部で、東京都港区のコンサルタント会社社長の承諾を得てこれを完成させ、各社に指示するシステムだったという。

 石川島播磨幹部は公取委の調べに対し、配分表作成のルールについて「過去の同省発注工事の受注実績だけでなく、各社の天下り受け入れ数を考慮した」と供述。コンサルタント会社社長も取材に対し「談合組織の加盟社のほとんどはOBを受け入れていた。(国家公務員試験1種に合格した)キャリア組だけでなく、ノンキャリアの技術系職員も受け入れていた」と証言した。

 毎日新聞が入手した入札調書によると、農水省発注の9000万円以上の水門設備工事は02〜04年度で計34件133億8986万円余あり、談合組織に加盟する8社がこのうち32件124億2800万円を落札した。

 水門設備工事を巡っては、国交省発注工事を差配した建設施工企画課の元課長補佐も「天下り受け入れ企業に優先的に工事を割り振った」と供述。公取委は国交省に官製談合防止法を適用する方針を決めている。【国交省官製談合取材班】

 ▽農水省施工企画調整室の話 そのような事実は現時点で把握しておらず、コメントする立場にない。

緑資源機構談合:改革委に疑惑理事 「公取委の処分まだ」 01/19/07(毎日新聞)

 農水省所管の独立行政法人「緑資源機構」(川崎市、前田直登理事長)発注の調査、設計などコンサルタント業務を巡る官製談合疑惑で、同機構が設置した入札制度等改革委員会に、受注調整への関与が疑われている理事が参加していることが分かった。同機構は「疑惑は承知しているが、公取委の処分がまだ下っておらず、委員から外す理由にならない」と説明している。

 公取委は昨年10月31日以降、同機構発注の林道関連のコンサルタント業務の入札で談合していた独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで、「林業土木コンサルタンツ」など同省所管の公益法人を含む約30法人に立ち入り検査した。同時に、同機構本部にも立ち入り検査した際、関与が疑われている森林業務担当理事の個室も調べ、この理事から事情聴取した。

 委員会は、官製談合の指摘を受け今月設置され、22日に第1回委員会を開く。委員長の前田理事長のほか機構の理事5人、弁護士、公認会計士など外部有識者3人の計9人で構成。指名競争入札などが官製談合疑惑を招いているとして、入札制度改革や不正防止策について協議し、今年3月をめどに中間報告を出す。

 同機構企画調整室は「役員会の判断で人選した。公取委の処分が出て(理事の)責任が問われれば、委員会で協議し委員の退任を求めることもある」と話している。【斎藤良太】

公取、国交省の官製談合認定 防止法を省庁に初適用 01/18/07(朝日新聞)

 国など発注の水門工事の入札を巡り大手メーカーなどが談合を繰り返したとされる問題で、公正取引委員会は17日、国土交通省の元課長補佐ら2人が現職当時に談合に関与したと判断し、官製談合防止法を適用することを決めた。この2人の関与について国交省側に伝え、改善措置を求める。同省発注の水門工事ではまた、ダム用の新設工事で、旧建設省(現国交省)の技術系トップの技監などを歴任した幹部らが退官後、談合に関与したと認定する方針を固めた。業者に対する排除措置命令などに元技監らが談合で果たした役割などを盛り込むとみられる。

 官製談合防止法が中央省庁に適用されるのは初めて。国発注の公共工事予算の8割を握り、談合防止を他省庁や自治体に要請する権限を持つ国交省自らの談合への関与が濃厚になっただけに、批判は免れず、同省が進めている入札制度改革への信頼も揺らぎかねない。

 関係者によると談合への関与の疑いが持たれているのは、同省建設施工企画課の元課長補佐と同省近畿地方整備局の元機械施工管理官(故人)。

 元課長補佐は01年に中部地方整備局機械課長から本省課長補佐に異動したが、04年4月に退職するまで、近畿局発注分を除く全国の河川の水門工事全般やダム用水門の更新工事について談合に関与。石川島播磨重工業、三菱重工業、日立造船務める「世話役」から、落札予定社の報告を受けて了承したほか、落札業者を直接指示したり、天下った同省OBを介して伝えたりしていたとみられる。

 近畿局発注分については元管理官が業者との窓口になっていた疑いがある。

 公取委は昨年3月、三十数社を独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立ち入り検査し、元課長補佐からも聴取。元課長補佐は、大筋で談合への関与を認めたという。

 公取委は、落札業者の指定が全国的、組織的に行われた可能性がある点を重視した模様だ。

 これとは別にダム用の水門新設工事の談合に関与したとされるのは、豊田高司・元技監(70)と山口甚郎・元国土地理院長(71)。2人の関与は退官後とされ、現職の関与を対象とする官製談合防止法は適用されない。

 山口元院長は01年ごろまで受注業者決定にかかわり、その後、豊田元技監が引き継いだとされる。業界の世話役が過去の受注実績などをもとに落札予定社を決め、2人の承認を得ていた疑いがある。

 豊田元技監は河川局長などを経て、95年に技監就任。96年の退官後は国交省所管の財団法人理事長などを務めている。山口元院長は官房技術審議官や関東地方建設局長などを経て90年に国土地理院長。91年の退官後は財団法人理事長などを務めた。

 〈国交省の安富正文事務次官の話〉 事実関係を公取委から聞いているわけではないが、徹底的に調べたい。

官製談合防止法:国交省初適用 病巣脈々と半世紀 01/18/07(毎日新聞)

 巨大官庁の暗部がくっきりと浮かび上がった。公正取引委員会が17日、官製談合防止法の適用を決めた国土交通省の官製談合事件。元課長補佐(57)だけでなく近畿地方整備局の元機械施工管理官=故人=も、水門設備工事の受注業者指定に手を染めていた。メーカー幹部は「受注は努力と無関係。OBの受け入れ人数で決まる」と談合社会を認める。過去の官製談合事件と同様の病巣は形を変えながら、国の公共工事の約8割を占める官庁に半世紀近くも宿っていた。【国交省官製談合取材班】

 ■努力と無関係

 「営業努力とは無関係。いくら頑張っても、受け入れたOB数で落札業者が決まってしまう」。あるメーカーの営業担当幹部はため息をつく。

 毎日新聞の調べでは、72人もの国交省OBが業界に再就職。元課長補佐らは受け入れ人数に応じて工事を割り振った。西日本のメーカー担当者は取材に「技術力があるのに受注できない企業もあった」と明かした。

 防衛施設庁の官製談合事件(06年)でも、元技術審議官、生沢(いけざわ)守被告(58)=1、2審で実刑=が同じシステムで工事を配分していた。

 ■大物関与

 談合には、旧建設省の豊田高司(たかし)・元技監(70)も、業界側の受注調整を了承するなど深くかかわっていた。「ダムの大御所で雲の上の人」。ある地方整備局の元機械課長は、こう評した。

 技監は技術系職員のトップ。省庁再編(01年1月)で約6万3000人に膨れあがった国交省の中でも、引き続き事務次官に次ぐナンバー2の地位を占め、常に旧建設省出身者が独占してきた。防衛施設庁の事件でも、現職だけでなく歴代の技術審議官OBが配分表を作成。橋梁(きょうりょう)談合事件(05年)でも旧日本道路公団の元理事が退職後に談合を主導した。

 今回も元課長補佐や元管理官に加え、大物OBの存在が不可欠だった。あるゼネコン幹部は「大物が仕切らないと収まらないのは、どの業界も同じ」とみる。

 ■60年代から調整

 水門設備業界は談合組織「睦水会」を設立。60年代から受注調整を始めた。79年、公取委が排除勧告し、睦水会は解散したとされてきたが、名前を変えて温存。これも90年代に解散し、官側が関与する現行システムに移行したとされる。

 「当該部門にも昔を知る人物が残っておらず、社内調査をしても実態がつかめない。歴史が長すぎる」。メーカー幹部は頭を抱える。

 ◇関与暴いた{自首」制度=解説

 国交省に対し、公取委が官製談合防止法の適用に踏み切ることを決めた背景には、談合を自主申告した企業に独占禁止法に基づく課徴金を減免する「リーニエンシー」制度の導入があった。昨年“自首”した企業から詳細な情報を得た公取委は、談合を主導した同省元課長補佐(57)らを追及。関与を裏付ける決定的な供述を引き出し、同省の関与をあぶり出した。

 3番目までに自主申告した企業の課徴金を100〜30%減額する同制度は、昨年1月施行の独禁法改正で導入された。水門設備メーカーに対する立ち入り検査(昨年3月)は、その適用第1号事件だった。

 公取委はこの段階で、業界の談合システムにとどまらず、省側の関与についても、メーカー側から情報を得ていた。ところが、翌月始まった聴取は難航。談合そのものを否認したり、自身の関与は認めても「官製」を全面的に否定する同省OBが相次いだ。

 内部で「防止法の適用は難しい」と悲観的な見方さえ出始めた中、状況を一変させたのは元課長補佐の供述だった。「私が業界側に受注予定社を指定して工事を割り振りました」。官製談合を認めたという情報は業界を駆けめぐり、それまで全面否認のOBたちも供述を変えていったという。

 立ち入り検査から約10カ月。公取委関係者は今「何とか(官製談合に)たどり着いた」と安堵(あんど)の表情を見せる一方で「これがすべてとは思えない」とも語る。元課長補佐ら2人だけでは、一連の巨額工事を差配できないとみているからだ。任意聴取の限界ともいえ、背後関係の解明には検察や警察など、逮捕権を持つ捜査当局の動きが待たれる。【小林直、斎藤良太】

官製談合防止法:国交省適用 威信失墜、事務系嘆き 01/18/07(毎日新聞)

 「談合への関与は認められない」とした自信満々の否定会見から約7カ月。官製談合防止法の適用を受けることが17日決まった国土交通省の威信は地に落ちた。背景にあるのは、技術系職員(技官)だけが天下りという果実を得る見返りに、業界に工事を配分する談合システムだ。今後は現職職員の処分だけでなく、「脱談合」後の工事の質の低下を防ぐために省内で検討中の低価格入札対策にも影響が出かねない情勢だ。【長谷川豊、種市房子、川辺康広、斎藤良太】

 「『何をやっているんだよ』というのが偽らざる気持ち」。談合の実態が次々と暴かれる中、事務系幹部が吐き捨てるように言った。怒りの矛先は、関与が明らかになった元課長補佐(57)や豊田高司・元技監(70)ら技官に向かう。技官が天下りの見返りに業界に工事を配分する構図で、事務系職員の関与はほとんどないからだ。

 その技官は、約6万3000人の職員の6割を占める。発覚したシステムは、技官の間では「公然の秘密」(関係者)だったが、事務系職員は幹部でさえ知らなかったという。

 この日、毎日新聞の報道(6、7日)を受けて設置した内部調査機関「入札談合防止対策検討委員会」の第1回会合が開かれた。弁護士や大学教授らを前にあいさつした安富正文事務次官は「公取の調査を待つのではなく、出来る限りのことを行いたい」と決意を語った。

 しかし、昨年6月に公表した内部調査では、聴取を受けた167人の現職が関与を否定しており、どこまで解明できるかは未知数だ。省内からは「公取委から(早く文書をもらって)事実を確定してほしい」との本音さえ漏れる。

 公取委は、主導役と認定した元課長補佐と近畿地方整備局の元機械施工管理官=死去=のほかにも、現職職員が談合の連絡役を務めたとみる。処分者が多数に上れば、上層部の責任問題に発展する可能性もある。25日の通常国会開会を控えての官製談合防止法の適用決定に、担当者は「追及されても調査中としか答えられない」と苦渋の表情をみせる。

 05年末の大手ゼネコンによる談合決別申し合わせを受け、公共工事での低価格での入札が相次いでいる。このため、低金額での落札工事で、質の低下による安全面への影響が懸念されるとして、基準以下で落札された「低価格入札」について、国交省は今月から業者への聞き取りだけでなく、落札金額の根拠を示す書面提出を求めるなどの対策を取っている。

 その矢先の省庁へは初めてとなる官製談合防止法の適用決定。幹部の一人は「民間が談合はやらないと宣言している時代に、何をやっているんだ」と憤り、別の幹部は「(低価格入札対策への)影響を危惧(きぐ)する」と頭を抱える。

 ◇後手後手制度改革

 自治体に入札の透明性確保を求めるなど、制度改革の先頭を走ってきた国交省(01年1月までは建設省)。しかし、これまでの取り組みからは、事件や外圧なしには腰を上げない後手後手の姿勢が浮かび上がる。

 最初に改革を突き付けられたのは、80年代に始まった日米建設協議。市場開放を求める米国から、発注者が選定した業者だけが参加する「指名競争入札」を改め、自由に入札に参加できる「一般競争入札」を導入するよう求められた。この時は「価格競争で工事の質が低下する」と拒否した。

 しかし93年9月、実績など一定の条件を満たせば参加可能な「条件付き一般競争入札」を一部で導入せざるを得なくなった。同年に事件化した金丸信・元自民党副総裁(故人)の巨額脱税やゼネコン汚職で、政治家の介入を受けやすく、裏献金の温床となる指名競争入札の問題点が露呈し、批判が強まったためだ。94年4月、大規模工事だけの限定付きながらの一般競争入札の導入も、米側に譲歩した結果だった。

 一方で、自治体には制度改善を呼び掛け続けた。00年2月には多様な入札制度の導入、05年6月にも、価格だけでなく技術力も加味した「総合評価方式」の導入推進を求めた。

 こうした動きから「制度改革の旗振り役」とも評されてきたが、明治以来続いてきた指名制度を全廃したのは05年10月。所管する旧日本道路公団を舞台した鋼鉄製橋梁(きょうりょう)建設工事を巡る談合事件がきっかけだった。

 ◇国交省に対し改善措置要求

 05年1月施行の改正独占禁止法により、違反企業に対する手続きが変更された。従来は違反行為の中止を求める排除勧告を行い、勧告受け入れや不服申し立て後の審決などで勧告内容が確定してから、課徴金納付を命じていた。しかし、改正法では効率化を目指し、排除措置と課徴金納付を同時に命令する。

 今回も改正法が適用され、公取委はまず、事前に排除措置と課徴金納付の命令案を二十数社に通知(事前通知)する。反論や証拠提出などを受け、公取委が事実認定に問題があると考えた場合のみ、案を改めたうえで、命令を出す。事前通知から命令までは通常、1〜3カ月を要するとされる。

 国交省に対しては独禁法ではなく、官製談合防止法に基づく手続きが取られる。関与職員の実名を表記するなどした改善措置要求書を手渡すもので、国交省は内部調査の実施、再発防止策の策定・公表、関与職員への賠償請求や懲戒処分などを義務付けられる。

水門官製談合、国交省2技官が指示…防止法適用へ 01/18/07(読売新聞)

 国土交通省発注の水門設備工事をめぐる談合疑惑で、公正取引委員会は17日、当時現職だった同省技官2人の関与が明らかになったとして、官製談合防止法に基づき、同省に対し改善措置を求める方針を固めた。

 同法の適用は、旧日本道路公団に対する2005年の措置以来4例目で、国の省庁では初めて。公取委はまた、旧建設省の元国土地理院長(71)(1991年退職)と元技監(70)(96年同)の幹部OB2人については、水門メーカー側に「天の声」を出したと認定。メーカー各社への排除措置命令書などで2人の関与に言及する方針。

 関係者によると、公取委は、河川用工事やダムの改修用工事で、元建設施工企画課課長補佐(04年退職)と元近畿地方整備局機械施工管理官(05年同)が現職当時、メーカー側の幹事社に落札予定企業について指示したと認定。これらの行為は、同法が禁じている三つの関与行為のうち「受注者に関する意向の表明」に当たると判断した。

 また、ダム新設用工事では、元国土地理院長と元技監が、幹事社から示された受注予定企業を承認する形で天の声を出していたと認定。OBの関与は同法の対象外で、2人の関与行為については、独占禁止法違反(不当な取引制限)に基づくメーカー各社への排除措置命令書で言及した上で、同省にも何らかの形で通知する見通しだ。

 国交省によると、02〜04年度の水門工事の契約総額は計約608億円で、石川島播磨重工業(東京都江東区)、三菱重工業(港区)、日立造船(大阪市)などが受注。平均落札率は約95%だった。

 一方、公取委は、農林水産省と独立行政法人「水資源機構」(さいたま市)発注の工事でもメーカー各社による談合があったと認定。今後、各社に対し、排除措置命令や課徴金納付命令の事前通知を行い、各社の弁明を聞いた上で処分を決定する。官製談合防止法に基づく改善措置の要求は、各社に対する処分と同時に、国土交通大臣に対して行われる。

水門談合「元技官が退職後に関与」 メーカー側説明 01/17/07(朝日新聞)

 国などが発注した水門工事で大手プラントメーカーなどが談合を繰り返したとされる問題で、メーカー側が公正取引委員会の調べに対し、旧建設省(現国土交通省)ナンバー2で技術系トップの技監などを歴任した幹部らが同省を退職後、談合に関与していた、などと説明していることがわかった。公取委は既に元幹部らから事情を聴いている模様で、談合の詳しい仕組みなどについて詰めの審査を進めている。

 国交省も事務次官をトップに第三者の専門家が助言する調査委員会を設置し、OBの関与の有無を調査する。

 関係者によると、談合に関与した疑いが指摘されているのは、技監経験者と地方建設局長(現・地方整備局長)などを経て退職したOB。いずれも河川局を中心に勤めたキャリア技官だった。

 業者間の談合は国交省、農林水産省、独立行政法人の水資源機構がそれぞれ発注した水門工事で繰り返されていたという。国交省発注分は大規模なダム用の水門ゲートと河川用の水門に大別されるが、このうち2人はダム用の新設工事で談合にかかわったと指摘されている。

 局長経験者は01年ごろまで、受注業者の決定に関与したとみられる。その後、技監経験者が引き継いだとされる。

 業者側は石川島播磨重工業、三菱重工業(いずれも東京)、日立造船(大阪市)が交代で業界の「世話役」を務めていた。世話役は業者側が談合で決めた受注予定社を報告し、了承を得ていた疑いがあるという。

 2人の側から修正を求めたり、特定の業者を指定したりしたケースもあったとみられる。

 朝日新聞の取材に対し、技監経験者は談合への関与を否定したが、業者のあいさつを受けたことはあり、「そういう時には得意な分野があれば頑張ったらいいんじゃないですか、と言った」などと説明。業者名の指定は否定した。

 局長経験者は「お話しできる時期が来れば、話す」などとしている。

 国交省発注の水門工事を巡っては、河川分野で元課長補佐らが談合に関与したとされ、公取委が官製談合防止法を適用するかどうか、近く方針を打ち出すとみられる。

 同法は現職職員の関与を対象としており、技監経験者らは退職後に談合に関与したとされることから、同法の適用対象にならない。

 審査を通じ、業者間に2人が関与した談合の取り決めがあったと認定されれば、公取委は業者に対する排除措置命令などに2人の役割や関与の仕方を盛り込む可能性がある。

元職員、談合関与認める 国交省発注の水門工事 01/17/07(産経新聞)

 国土交通省などが発注した水門工事をめぐる談合疑惑で、関与が指摘されている同省元課長補佐が公正取引委員会の聴取に対し、大筋で談合への関与を認めていることが17日、分かった。旧建設省(現国交省)技術系トップの技監が、退職後に談合に深くかかわっていたとの関係者の証言もあり、公取委は裏付けを進めている。

 水門工事をめぐっては、農林水産省や水資源機構(さいたま市)が発注した工事でも不正な受注調整が幅広く行われていた疑いが強く、公取委は談合を繰り返していたメーカー約20社に対し、近く独禁法に基づく排除措置命令と総額数十億円の課徴金納付命令を出すことを検討、国交省に官製談合防止法を適用する方向で最終調整する。

 関係者によると、元課長補佐は国交省地方整備局などで水門の建設、補修工事を担当し、すでに同省を退職。

 公取委の事情聴取に対し、平成16年ごろ、工事の入札をめぐって企業側の担当者と連絡を取るなど談合に関与していたことを大筋で認めているという。

 国交省は談合疑惑の発覚を受け、外部の有識者を含む調査委員会を設置。過去の発注業務について、現役職員と退職者を対象に談合への関与の有無などについて調査を進めている。

国交省、水門工事で官製談合の疑い…防止法適用を検討 01/08/07(読売新聞)

 国などが発注する水門設置工事を巡る談合疑惑で、公正取引委員会の立ち入り検査を受けた水門メーカーの担当者が、「国土交通省の複数の職員が受注調整に関与していた」と証言していることがわかった。

 公取委は、同省に官製談合防止法を適用する方向で検討を始めた。

 2003年施行の同法はこれまで、北海道岩見沢市、新潟市、旧日本道路公団に適用されているが、国交省に適用されれば、国の省庁では初めて。

 この疑惑では、公取委が昨年3月、石川島播磨重工業(東京都江東区)、三菱重工業(港区)など水門メーカー三十数社や同省所管の「日本建設機械化協会」など3社団法人に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査していた。

 これまでの公取委の調べに対し、あるメーカーの担当者は、01年ごろから05年ごろまでの談合について、「国交省発注の工事で受注予定企業を国交省の職員から指定された」などと供述。こうした「天の声」は、国交省建設施工企画課の課長補佐ら当時の複数の職員や、メーカー各社が会員になっている社団法人に天下りした同省OBから、メーカー側の幹事社へ伝えられていたという。

 幹事社は、石川島播磨重工業、三菱重工業、日立造船(大阪市)の3社が2年交代で務め、受注予定企業や入札参加企業の間で、応札価格を調整していたとされる。受注企業を指定したとされる課長補佐は04年に退職している。

 官製談合防止法では、公取委が発注者の関与を認定した場合、発注者に改善措置を求めることができる。また、発注者は、内部調査で談合への関与がはっきりした職員への損害賠償請求を義務付けられている。

 同省によると、直轄する水門工事の01〜05年度の発注総額は、計約956億円だった。

 職員が談合に関与していたのではないかとされる点について、国交省は、「問題が発覚して以降、入札結果を分析し、現役職員からの聞き取りも進めたが、談合を示す結果は得られなかった。OBからの聞き取りを含め今後の調査については検討中だ」と話している。

国交省官製談合:天下り後の旧建設省首脳が仕切る 01/07/07(毎日新聞)

 国土交通省の官製談合事件で、技術系職員トップで省内ナンバー2だった旧建設省の豊田高司・元技監(70)や、山口甚郎(じんろう)・元国土地理院長(70)らOB3人が、業界に天下りした後に水門設備工事の受注調整に深く関与していたことが分かった。公正取引委員会も同様の事実を把握しており、歴代首脳による悪質な談合システムとみている模様だ。既に国交省の元課長補佐(57)の関与が判明しており、談合が省内で脈々と受け継がれてきた実態が浮かび上がった。

 関与したOBは、豊田元技監、山口元院長のほか、元関東地方建設局機械課長(71)。元課長補佐を含む4人は、いずれも技術系職員として入省し、水門設備工事の発注関連業務に携わった経験を持つ。

 関係者によると、水門設備工事は河川用、ダム用の2種類に大別され、豊田元技監、山口元院長はダム分野に関与。石川島播磨重工業、日立造船、三菱重工業が持ち回りで務めていた業界側の「世話役」と相談し、受注予定社を決めていた。一方、元機械課長は当時現職だった元課長補佐とともに、主に河川分野の談合に関与していた。

 公取委は、元技監らが業界団体などに天下りした後、各企業の営業担当幹部を取りまとめる談合の「仕切り役」だったとの見方を強めているとみられる。

 豊田元技監は62年に入省後、河川局長などを経て95〜96年技監。退職後の01〜05年ごろ談合に関与し、国交省所管の財団法人「日本建設情報総合センター」理事長や、国交省・経済産業省所管の社団法人「日本大ダム会議」会長などを歴任している(いずれも現職)。

 山口元院長は59年入省。技術審議官を経て88〜90年、旧関東地方建設局長(現・関東地方整備局長)を務め、91年国土地理院長を最後に退官した。01年ごろまで談合に関与し、現在は川崎重工業で技術面の助言をする「ストラテジックアドバイザー」を務める。

 公取委が適用方針を固めている官製談合防止法は現職時の関与を対象としており、天下り後に関与した3人のOBは、損害賠償請求などを受けないものとみられる。ただ極めて重要な役割を果たしていることから、公取委は業界側に手渡す排除措置命令書にOBらの役割を言及する方向で検討を進めている。【国交省官製談合取材班】

 ■「受注予定社を書いた紙見て元技監うなずく」

 「チャンピオン(受注予定社)を書いた紙を見せると元技監はうなずいた」。国土交通省の官製談合事件で、メーカー幹部は毎日新聞の取材に元建設省ナンバー2、豊田高司・元技監(70)の関与を証言した。豊田元技監は、山口甚郎(じんろう)・元国土地理院長(70)から、談合の仕切り役を引き継いでいたという。

 「これでいかがですか」。1枚の紙に工事名、入札時期、チャンピオン名などが並ぶ。近く発注される水門設備工事について、業者間で調整した結果をまとめた文書だ。談合の動かぬ証拠とも言える文書を、石川島播磨重工業、日立造船、三菱重工業の3社から選ばれた業界側の「世話役」が山口元地理院長に示す。元地理院長の了解なしには落札業者が決められないシステムだったからだ。01年ごろには、この役目が、豊田元技監に引き継がれたという。

 「文書を見せた時の反応が大事。山口さんや豊田さんがうなずけば、ほっとする。でも『考え直した方がいいんじゃないのか』と言われると大変。一からやり直しだから」。メーカー幹部は明かした。

 ■元技監、毎日新聞の取材に談合関与否定

 豊田高司・元技監は、昨年11月と12月の2回、毎日新聞の取材に対し、業者側から受注に関して相談を受けていた事実を認める一方、談合への関与を「ありえない」と否定した。一方、山口甚郎・元国土地理院長は「一切知らない」とだけ言い、取材を拒否した。豊田元技監との主な一問一答は次の通り。

 −−水門設備工事の談合にかかわったのか。

 「水門は二十数年前にも一度、公取(公正取引委員会)にやられているから、談合はないと信じている」

 −−業界は談合があったことを認めている。

 「それならやっていたのかもしれないが」

 −−あなたがOBとして談合を差配していたと証言する業者もいる。

 「あり得ない。それは誰が言っているんですか? ただ『ダンピングはいけないよ』と何度も言ってきたから、それが『談合をしろ』と(いう意味だと)誤解されたのかもしれない」

 −−落札予定社を指名したことはないか。

 「ない」

 −−特定の業者から「この工事が取りたい」などと頼まれたことは。

 「各社が(業界団体の)賀詞交換会の時に『あのダム、頑張りたいんですよね』と言って来るから『そうか、頑張れ。いい提案すれば取れるんじゃないか』と答えるだけ。他に言いようがないから」

 2人の了承を得ると、世話役が各社に連絡する。「A社に決まりましたので、よろしくお願いします」。入札でチャンピオンが最も低い金額を書き込み談合が完成する。

 技監は事務次官に次ぐポジションで、地理院長も本省局長級の高位だ。それが天下り後、業界ににらみを利かせる。「各社とも受注できるよう、2人に直接会って、希望を言いたかったが、会合で偶然会う以外、面会できるのは世話役だけだった」(メーカー幹部)

 「雲の上の存在」とも言える2人のOBが、談合の窓口役を務めるシステムは、発注業務に携わった歴代の技術系幹部だけが知る秘密だったという。山口元地理院長と同様に、旧地方建設局長を経験したOBは重い口を開いた。

 「自分には(仕切り役が)回ってこなかったということ。窓口役は1人でいいから」。事件の裏には、談合が脈々と受け継がれてきた国交省の深い闇が広がっている。【国交省官製談合取材班】

中国新聞(2007年1月7日)より

水門工事 国交省 官製談合の疑い

公取委 防止法適用判断へ

水門談合 国交省に改善要求へ 公取委、防止法適用4例目 01/06/07(産経新聞)

 国などが発注する治水用水門工事をめぐる談合事件で、公正取引委員会は、国土交通省の当時の課長補佐(57)が業界メーカー側に落札予定会社を指示するなど受注調整を主導していたとして、近く国交省に官製談合防止法を適用、談合の再発防止策などの改善措置を要求する方針を決めた。談合に関与したメーカー二十数社に対しても独禁法違反(不当な取引制限)で排除勧告し、課徴金の納付を命じるとみられる。

 官製談合防止法に基づく改善要請は、北海道岩見沢市、新潟市、旧日本道路公団に行ったのに続き4例目。

 関係者によると、元課長補佐は、水門工事を所管する建設施工企画課課長補佐を務めていた平成13年4月から約3年間、各地方整備局が発注する水門工事の入札前に、メーカー側の調整役を務める幹事社の営業担当幹部に対し、落札業者を指示していた疑いが持たれている。

 幹事社は石川島播磨重工業(東京都江東区)、三菱重工業(同港区)、日立造船(大阪市)の3社が2年ごとの交代制で努めていた。指示を受けた幹事社が、本命業者や入札に参加する他の指名業者の営業担当幹部に伝え、談合を成立させていたという。

 公取委は昨年3月に独禁法違反の疑いで、メーカー三十数社に立ち入り検査を実施。各社の営業担当幹部からも事情を聴き、「談合は発注者側の意向だった」との証言を得ていた。

官製談合:深川前市長らを送検 北海道 01/06/07(毎日新聞)

 北海道深川市発注の官製談合事件で、道警旭川方面本部捜査課は6日午前、深川前市長の河野順吉容疑者(68)を加重収賄容疑で、旭川市の東洋設備社長、赤坂政良容疑者(58)を贈賄容疑で、旭川地検にそれぞれ送検した。

 調べでは、深川市立納内(おさむない)小の改築設備工事をめぐり、河野容疑者は06年4月、赤坂容疑者から、東洋設備が入る共同企業体(JV)が落札するよう依頼を受け、現金100万円を受け取ったうえ、前建設水道部長(59)らに指示して落札させる不正をした疑い。

【渡部宏人】

文科省職員は、 タウンミーティングのやらせ必修逃れ で、「みざる、きかざる、いわざる」になった。 今度は、国交省か!

これじゃ、業者も悪いことをしたくなる!

官製談合:崩れた国交省の弁明…業界側「課長補佐の意向」 01/06/07(毎日新聞)

 談合防止をリードするはずの国土交通省が、談合を主導していた。水門設備工事を巡る官製談合事件。国交省側が固く口を閉ざす中、公正取引委員会は元課長補佐(57)の関与をあぶり出し、同省に官製談合防止法を適用する方針が固まった。疑惑を全面否定した国交省の会見から半年。弁明はもろくも崩れ、国の公共工事発注の8割を占める巨大官庁の汚れた体質が露呈した。【国交省官製談合取材班】

 「発注にかかわった167人から聞き取り調査した。しかし現時点で『(関与が)あった』と発言した職員はいない」。06年6月23日の会見で、国交省幹部は官製談合を全面否定した。しかし、聴取対象は現職に限られ、既に退職していた元課長補佐は対象から外れていた。「なぜOBを調べないのか」と追及されても「退職者は民間人。公取委が調べる範囲」と繰り返すだけ。同種事件でOB約110人を聴取した防衛施設庁とは明らかに異なる対応だった。

 その前月ごろから本格化した公取委の調べにも、国交省関係者のほとんどが関与を否定。しかし、業者側からは「出先(全国の各地方整備局)の職員から落札予定社を伝えられたので従った」などの証言が相次いだ。あるメーカー幹部も昨春、毎日新聞の取材に、各地方整備局の関与した官製談合システムの存在を認めたうえで「出先で決められることじゃない。当然、本省が関与していたはず」と語っていた。

 その後、公取委はさらに重要な供述を得る。営業担当幹部らは元課長補佐の実名を挙げ「落札予定社を指定された。業界での最終的な受注調整結果も、元課長補佐に報告するシステムだった」などと説明したという。

 国交省OBは今、取材に「談合は在職時からうすうす分かっていた。東京(本省とメーカーの間)でやっていたはずだ」と答える。OBは、水門設備工事の元発注担当幹部。談合を知りうる立場だったにもかかわらず、国交省は一度も聞き取り調査をしていない。

 ◇40年近く在職、談合気付かず…

 談合を主導した国土交通省の元課長補佐(57)は06年11月29日、毎日新聞の取材に談合への関与を否定した。主なやり取りは次の通り。

 −−複数の業者があなたを「調整の窓口だった」と証言している。

 そのようなことはない。

 −−では、なぜ業者はそう言うのか。

 こっちが聞きたいくらいだ。

 −−入札情報を業者側に流したことは。

 ない。課長補佐時代、建設機械の規格作りが主な担当だったので、入札情報は扱っていない。

 −−業者から談合の結果連絡を受けたことは。

 いいえ。

 −−そんなに否定して公正取引委員会の調査で信じてもらえるのか。

 それは分からない。

 −−40年近く在職し、談合に気付いたことは。

 ない。

 −−取材を受けること自体が心外だと?

 (うなずく)

 ▽水門設備 河口に設置して海水の流入を防いだり、ダムからの放水量を調節するために建設する。主に鋼鉄製のゲート、ゲートを開閉する巻き上げ機、操作盤で構成される。ダム用は高水圧に耐える特殊技術が必要なため大手が、河川用は中小が受注するケースが多い。国土交通省、農林水産省、独立行政法人水資源機構、地方自治体などが発注する。

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