構造計算書偽造 民間の指定確認検査機関のずさんな検査 

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参考情報 ◆ イーホームズ株式会社大臣指定確認検査機関の指定状況日本ERI株式会社
逃げるのに必死です 株式会社 総合経営研究所財)建築行政情報センターISO9000関係
建設業界の噂/裏情報 フリー掲示板「姉歯建築事務所構造計算書偽造」について話し合おう!

構造計算書偽装問題とその対応について(国土交通省のHPより)


注目を受け始めたサムシングという構造計算会社関連の件「耐震偽装の源流は九州かも・・・?」 余白から指先へのHPより
耐震強度偽装問題 九州・山口関連 (西日本新聞) ISO9000シリーズを勉強してみてください。
よく読んでいませんが、興味がある方は参考にしてください。

★検査機関は信用できるのか ★日本建築構造技術者協会 ★日本建築構造技術者協会会長


指摘されなければ、問題ない!!古い体質は、どの業界も同じか??

船の世界では、 ★検査のごまかし★検査会社の問題 が存在する。

「 自民党の片山虎之助参院幹事長は11日午前のテレビ朝日の番組で、 耐震データの偽造を民間検査機関が見逃していた問題について 『民間検査機関は能力や意欲があるかどうか全部点検する必要がある。 再指定は国民の安心につながる』と述べ、政府などが民間検査機関を総点検した上、 妥当な機関のみを改めて指定するべきだとの考えを示した。」

考え的には間違っていない。しかし、チェックする国土交通省職員の全てが問題点を 見抜くだけの能力を持っているのか疑問である。 ★ビューローベリタス のグループ会社による検査でも下記の写真の通りである。 造船学部や造船課の教授にこの写真を見せて聞いてみるのいいだろう。 写真のような乾舷が現実的に可能であるか。 国土交通省職員であるPSCの多くはこのような問題を見逃している。同じような 体制で民間検査機関を総点検した場合、問題を発見できるのだろうか。

イーホームズや日本ERIの言い訳にも飽きた。公務員に能力がないから、それ以上 のことをしない。「住宅性能評価書」を交付する第三者評価機関であるのだから 問題を見抜く能力があると思うが、他の検査機関や地方自治体でも問題を 見過ごしていたのだから、自分立ちだけ処分されるのは納得行かないと言っているように 感じる。政府は建前だけのチェックで幕引きしたいのであれば、そうすれば良い。 日本人の問題に対する過去の捉え方から判断すれば、国民が納得すれば問題が実際に解決されまいが、 幕引きである。しかし、本当に問題を解決したければ、 大胆で厳しい対応を取るしかないことを理解し、実行するしかない。

自治体へ移譲検討、検査機関の監督権限強化…国交省 12/12/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、姉歯秀次・元1級建築士(48)の強度偽装を見逃していた「イーホームズ」(東京都新宿区)など、民間の指定確認検査機関に対する行政のチェックを強化するため、国土交通省は、国指定機関に対する指導監督権限を、大幅に地方自治体に移譲する方向で検討に入った。

 建築確認取り消しの権限などを持つ自治体に、検査機関への立ち入り検査権や、「営業許可権」を持たせることで、厳格な確認検査を促すのが狙い。国交省では、12日に発足した社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)の専門部会「基本制度部会」の議論を経て、建築基準法の改正を検討する。

 全国に123ある確認検査機関は、活動範囲が複数の都道府県にまたがる場合は、国交相か国交省地方整備局長が指定、単一自治体の場合は都道府県知事が指定している。国指定の50機関については、国交省が都道府県別の「活動範囲」を決めており、建築基準法に基づく立ち入り検査権や報告聴取権も同省にある。

 しかし、実際に建築確認の報告を受け取るのは地方自治体で、建築確認の取り消しも、国ではなく、市などの「特定行政庁」が行っている。さらに、今年6月の最高裁決定では、「検査機関の確認事務は自治体の責任」との司法判断も示された。

 このため、最終的な法的責任を負う可能性が高い各自治体からは、「国指定機関に問題があっても、国は人手不足で迅速な行政指導は期待できない。自治体への権限移譲が必要」との要請が出ていた。

 強度偽装事件を受けて、国交省では今回、検査機関の営業許可を自治体に委ねるほか、不手際があった場合に営業を停止させる権限も自治体に持たせる方向で検討を始めた。実際に建築確認の実務を行っている自治体の権限強化により、検査機関に緊張感を持たせ、審査の厳格性を促すことを目指す。

構造計算書改ざんで強度34%、大阪ホテルも強度不足 12/12/05(読売新聞)

 東京都世田谷区は12日、姉歯秀次・元1級建築士(48)が設計に関与した同区内の分譲マンション「グランドステージ千歳烏山」の構造計算書に改ざんがあり、耐震強度が最弱部分で約34%だったと発表した。建築主はヒューザー(千代田区)、施工は木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)で、建築確認はイーホームズ(新宿区)だった。

 一方、大阪市は同日、すでに構造計算書の改ざんが判明している同市内のビジネスホテル「ヴィアイン新大阪ウエスト」について、「震度5強程度の地震で耐震壁が損傷する」との調査結果を発表した。

ヒューザーから施工図など渡されず 「再建に影響」住民困惑 12/12/05(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で、川崎市の分譲マンション「グランドステージ川崎大師」をめぐり、完成時の写真(完工写真)や工事の手順を記した施工図が、再三の要請にもかかわらず、売り主のヒューザー(東京都千代田区)などからマンションの管理組合に渡されていないことが、12日までに分かった。

 完工写真と施工図は、売り主から管理組合への提出を法的に義務付けられていないが、マンション再建時に再利用できる部分などを特定するのに必要な書類という。

 住民側は「施工図などがなければ建て替えの見通しが立たない」と困惑。「やましいことがないのなら、すぐに提供してほしい」と、ヒューザーや施工した太平工業(東京都中央区)に提供を求めている。

 関係者によると、完工写真は、外壁のタイルや壁紙などの仕様を記録し、定期点検などの際、完成時の様子を確認するのに使われる。施工主の太平工業からヒューザーを経て管理組合に引き継がれることになっていた。

 問題発覚後の11月下旬、住民側は「建て替えの場合に必要だ」として提供を求めたが、ヒューザーは「手元にない」と回答したという。

 施工図をめぐっては、国交省が同マンションの耐震強度を建築基準の約30%と診断した後、川崎市は再確認のため、太平工業に鉄筋部分の施工図の提供を要請。ところが同社は「鉄筋部分の施工図は作っていない」と説明し、市は必要な書類がそろわないため独自の調査を断念していた。

 太平工業の担当者は「住民に協力したいが、書類は完成時にヒューザーにすべて渡したはずだ」と話し、ヒューザーは「担当者が不在で分からない」と釈明している。

 マンションは昨年10月に完成し、23戸が入居した。川崎市は全国初の使用禁止命令を出し、今月中旬をめどに退居を要請中。(共同)

耐震偽造:「全民間検査機関の点検を」 片山参院幹事長 12/11/05(毎日新聞)

 自民党の片山虎之助参院幹事長は11日午前のテレビ朝日の番組で、耐震データの偽造を民間検査機関が見逃していた問題について「民間検査機関は能力や意欲があるかどうか全部点検する必要がある。再指定は国民の安心につながる」と述べ、政府などが民間検査機関を総点検した上、妥当な機関のみを改めて指定するべきだとの考えを示した。

木村建設の子会社・平成設計が自己破産申し立て 12/12/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、偽装が明らかになった建物の多くを施工し、自己破産の手続き開始が決まった木村建設(熊本県八代市)の100%子会社の平成設計(東京都千代田区)は12日、東京地裁に自己破産を申し立て、受理された。代理人の弁護士によると、債権者数は企業や個人計55、負債総額は約6億3800万円という。

 平成設計は89年の設立。耐震強度の偽装が確認され、営業が休止・自粛になったホテルのうち、20軒以上の設計の元請けや下請けをしていた。警視庁などの合同捜査本部による家宅捜索の対象にも挙げられている。

 同社は木村盛好・木村建設社長の妻が代表取締役を務め、東京の本社は木村建設との深いつながりが指摘されているコンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」のビルに入居している。

 平成設計は今月上旬、奈良市から事情を聴かれた際、姉歯秀次元建築士にホテルの構造計算を下請けさせたのは「総研の指示」などと説明した。

 破産申請について、代理人の弁護士は「木村建設の破産に伴う連鎖的なもの」と説明している。

 従業員は11月下旬に解雇されており、今後は木村社長夫妻も自己破産を申し立てる方針。

完了検査、3割受けず 耐震性など違法建築隠蔽の恐れ 12/11/05(産経新聞)

 完成した建築物の耐震性などが適法か調べるため、建築基準法で義務付けられた「完了検査」が、平成十六年度は全国で73%しか実施されていないことが十日、国土交通省の調査で分かった。受検を怠る建築主に、自治体や民間検査機関は対策をとれていない。耐震偽装問題で建築確認審査のずさんさが発覚したが、実際に申請と異なる危険建物が建てられてもチェックされていないことになる。

 中には建築確認と異なる粗悪建築が露呈しないよう完了検査を避ける悪質な建築主もいるという。

 国交省調査によると、建築に関する検査業務が民間に開放される平成十年度までは、完了検査の実施率はわずか30%台で推移。民間による建築検査業務への新規参入が相次ぎ、従来の「検査員不足」が解消されたため、以降の実施率は十一年度45%▽十二年度57%▽十三年度64%と伸びを示し、十六年度になってようやく73%になった。それでも建築確認が出た建築物の三割が、事前の申請通りの適法建築物かどうかのチェックを受けないまま、ユーザーに引き渡されていることになる。

 都道府県別では、十六年度に実施率が最高だったのは岩手県の90%。東京都は69・6%で、最低の茨城県は半数の50・6%しか完了検査を受けていない。

 建設業界関係者によると、建築主が完了検査を怠る理由は▽申請書類を作る手間、検査料を省く▽建築確認、中間検査があり、実質的に不要−などだというが、中には「検査を通りそうにない建物を建築したため受検しない」という悪質なケースもあるという。

 違法建築を防ぐ現行の(1)着工前の建築確認(2)着工後の中間検査(3)竣(しゆん)工(こう)後の完了検査−は自治体か指定確認検査機関が行うが、中間検査は各自治体の判断に任されている。耐震偽装問題で国交省は建築確認審査を中心にチェック機能強化を図っているが、完了検査の甘い実態が判明したことで、検査制度全般の全面見直しを迫られそうだ。

                  ◇

【用語解説】完了検査

 建築確認を受けた全建築物について、適法性を調べる建築基準法規定の検査。建築主は竣工後4日以内に自治体の建築主事か指定確認検査機関に受検を申請する義務がある。検査を受けないと30万円以下の罰金が科される。検査機関は、受検申請の受理から7日以内に現場確認を含めた検査をし、適法なら「検査済証」を交付する。完了検査を受けない建物は法律上「工事中」のままとなる。

耐震偽造:ヒューザーが現場所長も指名 コストダウン徹底 12/11/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、警視庁の捜査対象となった2棟を含む偽造物件の建築主「ヒューザー」(東京都千代田区、小嶋進社長)がコストダウン徹底のため、本来は施工業者が決める「建築現場所長」まで指名できる権限を持っていたことが、関係者の証言で分かった。同社は施工業者も木村建設(熊本県八代市)を中心に4社程度に絞っていたといい、姉歯秀次・元1級建築士(48)に対するコストダウン指示の構造が、より重層的だったことが浮かび上がった。

 関係者によると、ヒ社のマンション建築費は100平方メートル当たり1500万円程度と格安。ヒ社は指名した現場所長に対し、設備関係の下請けなどになるべく安上がりの業者を使うよう指示していた。さらに設計料も安価な定額制で、元請けのデザイン設計事務所にもコストダウン達成時に報奨金を払う仕組みにしていたという。こうした流れの中で、姉歯元1級建築士は構造計算書の偽造を続けたとみられる。

 一方、木村建設東京支店は、ステージ大門などシノケン(福岡市)が建築主のマンションについて全面的に設計・施工を請け負っており、捜査対象3棟にかかわっている。関係者によると、木村建設は総合経営研究所(総研、東京都千代田区)の仲介でビジネスホテル建設の業績が伸び、ホテル事業部門が本店直属として独立。ホテル以外を担当する東京支店は、マンション施工の受注を伸ばそうと必死だったという。【大平誠】

耐震偽造:姉歯氏の証人喚問後、木村建設など一斉捜索へ 12/11/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、警視庁と千葉、神奈川両県警の合同捜査本部は、姉歯(あねは)秀次元1級建築士らを証人喚問する14日の衆院国土交通委員会後の今週後半、関係先を一斉捜索する方向で調整に入った。本人の事務所のほか、告発対象4物件に絡むすべての建築主と施工者の計5社が対象。元建築士との密接な関係が指摘されるコンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」と平成設計、建築確認をしたイーホームズについても検討している。

 捜索先となるのは、千葉県市川市の姉歯元建築士の事務所のほか▽ヒューザー▽木村建設▽京王電鉄▽シノケン▽志多組。捜査本部は、国土交通省から告発を受けた姉歯元建築士の建築基準法違反の容疑固めには、少なくとも4物件の建築主と施工者の捜索が必要と判断した。

 一方総研は、4物件には直接関与していないが、告発対象となった「京王プレッソイン茅場町」の建築主の京王電鉄が、ホテル業への参入に際して同社の指導を受けていた。

 総研は木村建設と平成設計を傘下に置く。平成設計が愛知県の聴聞に「総研の主導のもと、姉歯元建築士に構造設計を請け負わせるのが社内方針だった」と説明するなど、3社が元建築士をコストダウンに利用していた実態が明らかになっている。

 告発対象のマンション1棟を元請けした建築事務所は、「ヒューザーの指示で構造計算を姉歯元建築士に委託した」と説明。木村建設は、元東京支店長が衆院国交委の参考人質疑で、姉歯元建築士に鉄筋を減らすよう指示したことを認めており、この2社が重点的な捜索対象となる見込み。

 捜査本部は一斉捜索の後、押収資料の分析と併せて関係者の事情聴取を本格化し、詐欺や文書偽造などの適用を視野に捜査を進める。【合田月美】

耐震偽装ホテル、総研の指導は22軒 建設どこまで関与 12/11/05(朝日新聞)

 マンションの耐震強度偽装問題で、ビジネスホテル経営者と木村建設との橋渡しをしたとされるコンサルタント会社・総合経営研究所の役割に注目が集まっている。開業指導したホテルのうち約20軒で偽装が判明。施工・設計業者を決める際に主導的な役割を果たしていたが、総研側は偽装への関与は否定している。警視庁などの合同捜査本部は、総研も家宅捜索の対象に含めることで全容解明を目指すとみられる。

 「事実解明のためには、総研の内河健所長にしっかりしゃべってもらわないといけない」

 北側国土交通相は10日、内河所長や姉歯秀次元建築士ら4人を証人喚問する14日の衆院国土交通委員会について語った。

 総研は71年設立。中小建設業者への経営指導と、ビジネスホテルの開業指導が主な業務だ。指導を受けている建設業者は全国に約300社。低コストで短い工期の工法を追求しているという。

 木村建設の木村盛好社長とは20年以上前に知り合い、約2年前まで指導していた。これまでに偽装が確認されたホテル35軒(朝日新聞調べ)の中で、総研が開業指導したのは22軒。うち10軒は木村建設が施工している。

 一連の問題を巡って、総研が木村建設、姉歯元建築士を使うよう頼んでいた疑いが出ている。東京都港区のビル建築の際「平成設計を使ってやって欲しい」と元請け設計会社に頼んだとされる総研幹部は、「工法の提案はしたが、(姉歯元建築士を使って欲しいとは)一度も申し上げていません」と反論している。

 12月2日の記者会見で、内河所長は姉歯元建築士と面識はないとしたうえで「(平成設計に)鉄筋を減らせなんてこれっぽっち、言ったことがありません」と話した。

 一方、内河所長は00年に業界誌「月刊レジャー産業資料」に掲載されたインタビュー記事でこう語っている。「建設に必要なセメント、鉄筋、鉄骨の量を平方メートルあたりで『どのような構造がなぜ安く上がるのか』を計算している」「場合によっては、私が延べ床面積当たり鉄筋量いくら、型枠量いくら、コンクリートがいくらというところまで計算し、設計の指示をします」

実際の強度不足を検証、耐震偽装で捜査本部方針 12/11/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、警視庁などの合同捜査本部は、今週中にも行う建築基準法違反容疑での一斉捜索後に、姉歯秀次・元1級建築士(48)が構造計算書を改ざんしたマンションやホテルの建物自体に対し、裁判所の令状に基づく検証を実施する方針を固めた。

 強度偽装行為の立証には、設計図などから割り出された耐震強度だけではなく、建物の実際の強度不足を確認する必要があると判断した。検証では、柱や梁(はり)の太さ、内部の鉄筋本数などを調べ、構造計算書の改ざんなどが建物の強度に及ぼした影響を確かめる。

 国土交通省は、「グランドステージ稲城」(東京都稲城市)、「グランドステージ東向島」(墨田区)、「STAGE大門」(港区)のマンション3棟と、ホテル「京王プレッソイン茅場町」(中央区)の計4棟について、耐震強度を満たしていない建築基準法違反の容疑で、警視庁に告発している。

 国交省の調査では、これら4棟の耐震強度は基準の26〜33%にとどまっている。ただこの数値は設計図などから割り出した計算値であることから、警視庁と神奈川、千葉両県警の合同捜査本部は、検証によって実際の強度不足を調べることにした。

 完成済みの建築物は、鉄筋の本数や太さなどを目視で確認できないため、エックス線や超音波を使って柱などの内部を調べる「非破壊検査」により検証を行うとみられる。また、コンクリートの強度なども併せて調べる方針だ。

 入居者が退去済みのSTAGE大門と、営業中止となっている京王プレッソイン茅場町は、すでに建物の取り壊しが決まっており、合同捜査本部は、取り壊し作業を待って検証を行うことも検討している。また必要に応じ、告発対象4棟以外の検証も行う。

耐震偽装 建主・施工業者も捜索へ 合同捜査本部 12/11/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装問題で、警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は、近く着手する家宅捜索の大枠を固めた。刑事告発された姉歯秀次元建築士(48)の建築基準法違反容疑の関係先として、建築主「ヒューザー」や施工会社「木村建設」(破産手続き開始)、その子会社「平成設計」などを捜索する。木村建設などと深いつながりが指摘されている経営コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」についても、偽装の全体像を解明するには同社の関与の度合いを特定することが不可欠とみており、捜索対象に含める方向で詰めている。

 建物に設計上の違反行為があった場合、建築基準法には「設計者」の責任を問う規定がある。今回の偽装問題では姉歯元建築士による構造計算書の偽造行為が家宅捜索の直接の容疑になる。

 姉歯元建築士は国土交通省の聴聞会で、構造計算書を偽造した理由について「鉄筋を減らせと(木村建設東京支店長に)言われ、『安全性に問題が生じる』と答えたが、『できなければ他の業者に代える』と言われた」などと発言した。

 ヒューザーからも建設コスト削減の圧力を受けたと説明した。姉歯元建築士は警視庁による任意の事情聴取にも同様の供述をしたとみられる。

 このため捜査本部は、姉歯元建築士が構造計算書を偽造した動機や経緯を明らかにするには、建築主や施工会社なども対象に幅広い捜索を行い、関係資料を押収する必要があると判断した。

 総研は偽装が明らかになった各地のビジネスホテルに関し、建設計画の提案から設計、施工に至る一連の過程で主導的な役割を果たしていた。

 昨年完成した東京都港区のビル建設をめぐっては元請け設計会社、木村建設東京支店長、総研幹部、平成設計の担当者、姉歯元建築士が集まった際、総研幹部は平成設計を下請けとして使うように元請けの設計会社に促したとされる。この時、姉歯元建築士は平成設計の名刺を使っていた。

 また、平成設計は偽装問題で今月6日に奈良市から事情を聴かれた際、ホテルの構造計算を姉歯元建築士に下請けさせたのは総研の指示だったと説明している。

 捜査本部はこれらの点を踏まえ、押収した資料を基に関係企業が姉歯元建築士の不正にどう関与したのか調べを進める。併せて欠陥マンションの購入者を被害者とする詐欺容疑などの適用も検討する。

広島県の広警察署及び 広島公安委員会様 、建築の不適切な検査や甘い検査の問題が結果的にどのような 問題を引き起こしたのか理解できますか。本当に適切な捜査を適切に行ったと思いますか。

検査を甘くすることへのメリットや政治家との関係もいろいろと出てきていますが、 検査を甘くすることへのメリットは船でも似たようなものだと思います。

問題の解決なしに税金が使われるのは反対です。特に 広島県の広警察署及び 広島公安委員会様 の対応など知っているので反対です。問題を放置した公務員及び関係者が お金を出すべきです。監督や立入り検査による監視が適切にできなかった行政の責任です。 公務員の退職金でなんとかしてください。国民の税金を自分のお金のように使わないで 頂きたい。政治家との癒着も含め、しっかりと調べるべきである。

警視庁と神奈川、千葉両県警の合同捜査本部は広島県の広警察署ような捜査はしないで頂きたい。 捜査に疑問を抱きます。

検査告発110番に情報200件…内部情報?も20件 12/10/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、全国の弁護士や建築士らでつくる「欠陥住宅全国ネット」が10日、構造計算や確認検査などの不正にかかわる情報提供を電話、メールで受け付ける「構造計算偽造・ずさん検査告発110番」を全国11か所で行った。

 各地から約200件の情報が寄せられ、建設業関係者からの内部情報とみられるものも約20件あった。内容は、「構造計算書で示された量よりも鉄筋やコンクリートを減らした」(ゼネコン元社員)、「検査会社の中間検査はあいさつ程度だった」(工事監理の1級建築士)など、施工段階の手抜き工事や民間確認検査機関の甘い検査ぶりに関するものが多かった。

 同ネット事務局長の谷合周三弁護士は、「今後も実施し、継続的に不正を監視したい」と話している。

姉歯事務所関与の日野のマンション、耐震強度は60% 12/10/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、東京都日野市は10日、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)が構造設計に関与した日野市の分譲マンション「グランドステージ豊田」(9階建て)について、構造計算書の偽造が確認されたと発表した。

 耐震強度は建築基準法の耐震基準の60%で、市は補強による耐震性確保が必要としている。建築主は開発会社「ヒューザー」(千代田区)。建築確認は指定確認検査機関「日本ERI」(港区)が行った。

イーホームズ、再点検でも見逃す…偽装なしと区に報告 12/10/05(読売新聞)

 東京都練馬区は9日、同区栄町に昨年4月に完成した分譲マンション「ROSSET江古田」(5階建て、23戸)で、姉歯秀次・元1級建築士(48)が担当した構造計算書に改ざんが見つかったと発表した。

 この物件の建築確認をした民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)は、偽装問題発覚後、練馬区の求めで構造計算書を再チェックしたが、この際も見抜けず「偽装はない」と区側に報告していた。

 構造計算書などの不自然さは区の担当者が一目で気づくものだったといい、同社は2度にわたり、やすやすと偽装を見逃していたことになる。

 練馬区によると、このマンションは姉歯元建築士の偽装により、柱や梁(はり)の鉄筋量が少なかったり細かったりする部分が二十数か所あった。震度6強程度の地震でも倒壊する恐れはないが、補強が必要だという。

 イーホームズはこの構造計算書の改ざんを見抜けず、2003年5月に建築確認を出していた。

 ところが11月17日に姉歯元建築士による耐震強度偽装が発覚したため、練馬区は同日、イーホームズに対し強度偽装の有無を再調査するよう指示した。4日後の21日、イーホームズは「偽装はない」と区側に回答した。

 しかし、イーホームズの再調査の信ぴょう性が低いと判断した区が、同社から構造計算書などを取り寄せ、区の担当者が書類を調査したところ、すぐに疑問点が見つかったという。

 まず構造計算書のなかで、平常時に梁にかかる力が、本来の半分の数値を示す「0・5」という数字にすり替えられていた。さらに建物全体の構造図を見ると、梁の太さは不自然に細いと分かるものだった。

 区では、元請け設計者の井上建築企画研究所(渋谷区)に構造計算書の再計算を依頼。姉歯元建築士と同じソフトで、同じ数値を入力して再計算した結果、偽装が判明した。

 区の担当者は「イーホームズは本来、建築確認の際に気付くべき偽装だったのに……。もう少ししっかりやってほしかった」とあきれかえっている。

 イーホームズによると、区から再チェックを指示された際、同社の構造担当者が改めて計算書の内容を点検したが異常に気付かず、再計算はしていなかったという。

 イーホームズ危機管理室は「再計算をしてみないとわからない部分が巧妙に改ざんされていたため、見つけられなかった」と説明している。

姉歯氏関与のマンション強度、ずさん工事でさらに低下 12/10/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、姉歯秀次・元1級建築士(48)が構造計算書を改ざんしていた神奈川県内の分譲マンション2棟の強度が、施工段階でさらに低下していたことが9日、国土交通省などの調べでわかった。

 一部の壁が計算書通りに施工されず、必要な柱の補強も行われなかった疑いがある。

 危険な構造物の建設に、施工業者もかかわっていたことをうかがわせる事実で、2棟を施工した開発会社「ヒューザー」(小島進社長)と建設会社「木村建設」(木村盛好社長)の責任も問われる可能性が強まった。

 問題のマンションは、横浜市鶴見区の「コンアルマーディオ横濱鶴見」と神奈川県藤沢市の「グランドステージ藤沢」。いずれもヒューザーが建築主で、国が建て替えや移転費用などの支援を決めた入居済みの7棟に含まれている。

 国交省は、偽装問題の発覚後、姉歯元建築士が構造設計した偽装マンションについて、建築確認時の構造計算書や構造図をもとに耐震強度を計算。その結果、「横濱鶴見」は耐震基準の56%、「藤沢」も同28%の強度しかなかった。

 ただ、これはあくまで設計図通りに建設されたことを前提にした数値だったため、両市とも、建設段階で施工業者が作成する「施工図」や、完成後の現況確認などをもとに、実態に近い耐震強度を再計算したところ、「横濱鶴見」は設計段階の数値より15ポイント低い41%、「藤沢」も13ポイント低い15%と、強度がさらに低下。この結果、「横濱鶴見」は震度5強の地震で、「藤沢」は震度5弱で、それぞれ倒壊の恐れがあるマンションに変わっていた。

 国交省で、この耐震強度の大きな低下を問題視し、自治体側が詳しく調べたところ、「藤沢」のマンションの場合、姉歯元建築士の構造計算上は、各階の相対する「壁」が地震の際に建物を支える「耐力壁」として設計されていたが、完成した建物は、一方が耐力壁となっていなかった。

 こうした工法を選択した場合は鉄筋の数を増やすなど柱の補強が必要だったが、補強工事は施されておらず、この結果、建物の重心が偏って、大規模地震のねじれの力に非常に弱い建物になったという。

 横浜市のマンションでも同様の状況が確認された。

 同省は12月5日、耐震強度不足の建物を建てさせた建築基準法違反の疑いで、設計者である姉歯元建築士を警視庁に告発したが、同法は設計図に従わない施工で耐震強度を弱めた場合、施工者も50万円以下の罰金に処すると定めている。

 警視庁でもこうした事実に関心を寄せており、今後、施工段階も含めて詳しく調べるものと見られる。

耐震計算偽造:民間金融機関の責任有無を調査−−北側国交相 12/10/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、北側一雄国土交通相は10日大阪市内で、民間金融機関の責任について「ホテルや賃貸マンション建設に深く関与している場合は、責任なしという話にはならない」と述べ、実態を調査する方針を示した。民放テレビに出演した後、記者団に語った。

 政府は、耐震データが偽造されたホテルなどは「建築主の責任で対応すべきだ」として当面の支援対象にはしていない。ホテルなどは、金融機関から融資を受けて建設したのが大半とみられ、国交省などは、金融機関が建設を強く勧めるなどした場合は、当事者の一員となる可能性もあるとみて調査する。

中国新聞(12/10/05)より

中間検査を義務化方針 国交省、建築主に

設計に関わる建築士は多くいるだろう。プライドだけでは生きていけない。 お金も必要である。建築士もピラミッドのように、上から下まで それぞれのポジションがあるだろう。下のほうでは、発注者や依頼者が 間違っているから、指示通りにしない、出来ないと言う等の選択権は あるのだろうか。たぶん、仕事を失うリスクを負えばあるであろう。 現場や現実を理解した上で、対応しなければならない。 たぶん、下記のような理想で生きていけない建築士もいるはずだ。

朝日新聞(2005年12月10日)より

耐震強度偽装 法政大名誉教授 川口衛氏に聞く
「ものづくり」の感覚欠如

耐震偽装 「総研」関与解明へ 京王電鉄捜索を突破口に 12/09/05(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で警視庁など合同捜査本部は八日、偽装ホテルの多くでコンサルタントを務めた「総合経営研究所」(東京)の関与解明に乗り出す方針を固めた。このため私鉄大手「京王電鉄」を建築基準法違反容疑で捜索する方針だ。京王は告発対象四棟で唯一のホテルの建築主。「ヒューザー」(東京)など「マンションルート」に加え、京王の捜索を突破口に「ホテルルート」の解明を進め、姉歯秀次元建築士(48)の偽装を誘発した組織的構図を追及する。京王電鉄はビジネスホテルチェーンを展開。告発対象となった「京王プレッソイン茅場町」(東京)の建築主だ。

 「京王プレッソイン」では茅場町に加え五反田と池袋の三棟で偽装が発覚。京王は神田と東銀座の二棟で総研のコンサルティングを受け、「木村建設」(熊本、破産)とその子会社「平成設計」(東京)を紹介された。木村、平成はその後、茅場町と五反田、池袋で設計、施工にあたった。

 合同捜査本部では総研と平成設計、木村建設は「一体」との見方を強めており、告発物件のうち総研につながる京王の立場を重視。京王の捜索を通じ、総研のコストダウン商法と偽装の関係について解明を図る方針だ。

 また、衆院国土交通委員会で社長が参考人招致されたヒューザーと「シノケン」(福岡)は、告発対象の四物件のうち、残るマンション三棟の建築主。

 合同捜査本部は、関係する一部企業については関与の度合いを考慮し、任意で捜査を進める考えだが、開発の「全責任」を負う建築主については重点的に追及する方針を確認。京王についても、ヒューザーやシノケンと同様に強制捜査の対象とする必要があるとの判断も働いたとみられる。

森派、「ヒューザー」からの献金を全額返還 12/09/05(毎日新聞)

 自民党森派の政治団体「清和政策研究会」は8日、耐震強度の偽装が発覚したマンションの開発会社「ヒューザー」などから受け取った政治献金やパーティー券購入代金計660万円を全額返還した。

 森派事務局が関係企業などの銀行口座に入金した。

耐震偽造:「不当な圧力」経験4割 構造設計者調査 12/09/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題に絡み、姉歯(あねは)秀次・元1級建築士と同じ「構造設計者」の約4割が施工業者などからの「不当な圧力」を感じた経験のあることが、民間会社のアンケートで分かった。「構造設計の多くは下請けで、責任の重さに見合う設計料を受け取っていない」などの不満が強かった。

 一般的に、ある程度の規模の建築物は、デザインを考える「建築設計者」▽地震や重力などの荷重に耐える骨組みを考える「構造設計者」▽ライフラインの配管などを考える「設備設計者」−−の協力でできている。ただ、通常は建築設計者が建築主と契約を結び、構造設計者と設備設計者はその下請けに入るパターンが多い。

 アンケートは、建築関連などのソフト開発会社「シーエス」(東京都中央区)が運営するメーリングリスト「構造家コラム」で実施。参加する構造設計者1500人のうち今月6日までに121人が回答した。

 それによると、回答者は、姉歯元建築士のモラルの欠如を最大の問題に挙げる一方、これまでに「不当な圧力」を感じた経験が「ある」が37%、「ない」が60%だった。また納期までの時間については「あまり十分ではない」と「不満」を合わせると計94%に上った。設計料が「不満」は78%あり、責任の重さと設計料が「見合っていない」も94%と、多くのプレッシャーの中で仕事をする様子がうかがえた。

 東京都内のある構造設計者(70)は「建築主はデザインが出来上がるとすぐに印刷に入るため、『パンフレット通りに柱の位置を替えてほしい』と言われたことがある」と証言。また、別の設計者(64)は「建築主から『現場監理をしなくていいから設計料を安くしろ』と言われた。元請けの建築設計者からは『自分も安く引き受けた。もっと我慢してほしい』と迫られることも頻繁だ」と明かす。

 今回の偽造問題について神田順・東京大大学院教授(建築構造学)は「技術が安売りされ、構造設計の重要性が認知されていないという現実が、一番極端な形で出た。社会はもっと構造安全に関心を向けるべきだ。また、構造設計者と建築主との安全に関する十分な打ち合わせも必要だ」と話している。【西脇真一】

  ◇HPで公開

 アンケート結果はシーエスのホームページ(http://www.csa2z.jp)で公開している。

自民森派、ヒューザーなどの献金計660万円返却へ 12/08/05(朝日新聞)

 自民党森派の政治団体「清和政策研究会」は8日、耐震強度が偽装された建物の建築主や検査機関などから献金を受け取っていたことを明らかにし、01〜04年の献金計660万円を返すことを決めた。清和研は「政治資金は法律に従って適正に処理している。政治資金を寄付者に返還し、被害者救済に役立てていただくようお願いした」という談話を発表した。

 清和研によると、受け取った献金は、構造計算書が偽造されていたマンションの建築主ヒューザーから、政治資金パーティー券購入費として03年と04年に100万円ずつ計200万円▽建築主「東日本住宅」から政治資金パーティー券購入費として04年に60万円▽偽装の見逃しが明らかになった検査機関「日本ERI」の鈴木崇英社長個人から04年4月27日付で100万円▽鈴木氏が02年5月まで社長を務めたユージー都市建築(東京都港区)から、政治資金パーティー券購入費として01、02、03年に100万円ずつ計300万円――の計660万円。

 森派をめぐっては同派の伊藤公介元国土庁長官が11月、ヒューザーの小嶋進社長と一緒に国土交通省幹部と面会したことがわかっている。

中国新聞(2005年12月8日)より

耐震強度偽造 「トンネル検査機関」衆院委参考人質疑 見逃しに批判集中

耐震偽造告発 「110番」を開設

日本ERIに立ち入り検査 12/08/05(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で、国土交通省は八日、姉歯秀次元建築士による構造計算書の偽造を見逃した指定確認検査機関の日本ERI(東京都港区)に立ち入り検査した。

 検査機関への立ち入りは、十一月二十四日と二十五日のイーホームズ(東京都新宿区)に次いで二社目。

 国交省の担当者十二人が同日午前九時半、日本ERI本社ビルに入った。同社の確認検査本部などを中心に資料提出を求めるとともに、社員から事情聴取。帳簿や書類の保管状況、構造計算書の審査体制を詳しく調べる。

 鈴木崇英社長は「(偽造を)発見できなかったことは大変遺憾で、原因究明に全力を挙げている。立ち入り検査に全面的に協力することで信頼を取り戻す出発点としたい」と述べた。

 国交省は、九日もI−PEC(京都市)、ジェイネット(兵庫県尼崎市)、ハウスプラス中国住宅保証(広島市)など六社に立ち入り検査する。年内に国指定の計五十の検査機関の検査を終える予定。

日本ERIに立ち入り検査 耐震偽装見逃しで国交省 12/08/05(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で国土交通省は8日、姉歯秀次一級建築士による構造計算書の偽造を見逃した指定確認検査機関の日本ERI(東京都港区)を立ち入り検査した。

 検査機関への立ち入りは、11月24日と25日のイーホームズ(東京都新宿区)に次いで2社目。

 午前9時半、国交省の担当者12人が日本ERI本社ビルに入った。同社の確認検査本部などを中心に資料提出を求めて社員から事情聴取。鈴木崇英社長は「(偽造を)発見できなかったことは大変遺憾で、原因究明に全力を挙げている。立ち入り検査に全面的に協力することで信頼を取り戻す出発点としたい」と述べた。

 業界最大手の日本ERIは、これまでに偽造が確認されたマンションやホテル62件のうち、7件の建築確認を審査。担当者が、最初に姉歯建築士の偽造に気付いたとされる渡辺朋幸・アトラス設計代表から昨年4月に指摘を受けながら上司に報告せず、適切に対応しなかったことも判明している。

 国交省は、9日も全国の検査機関6社に立ち入り。年内に国指定の計50の検査機関の検査を終える予定。(共同)

震度5弱でも倒壊、藤沢のマンション 強度最小0.15 12/08/05(朝日新聞)

 神奈川県藤沢市は8日、構造計算書が偽造された市内の分譲マンション「グランドステージ藤沢」(30戸)について、耐震強度が0.15だと発表した。国土交通省は当初、0.28で震度5強の地震で倒壊する恐れがあるとしていた。0.15だと震度5弱でも倒壊する恐れがあり、偽装が明らかになった中では最も危険な建物ということになる。

 藤沢市は同マンションの住民に自主退去を要請していた。強度が甚だしく不足していることが明らかになったことから、建築基準法に基づく使用禁止命令を早急に出す方向で検討を始めた。

 グランドステージ藤沢は地上10階、地下1階建てで今年9月に完成したばかり。建築主はヒューザー(東京都千代田区)で、木村建設(熊本県八代市、破産手続き開始)が施工し、姉歯秀次元建築士が構造計算書を偽造していた。建築確認はイーホームズ(東京都新宿区)が行った。

 耐震強度は震度6強に耐える強度が1で、0.5未満だと震度5強で倒壊する恐れがある。国交省は当初、構造計算書に基づいた調査を国の専門機関に依頼し、完成済みの14棟について数値を公表。同マンションは強度が0.28とされた。

 藤沢市は設計を元請けした森田設計事務所(東京都世田谷区)に再計算を指示。同事務所の依頼で専門の設計事務所が施工図などを基に調べた結果、強度は0.15と判明した。

 偽装が確認された建物の中では、ホテル「京王プレッソイン茅場町」(東京都中央区)とマンション「STAGE大門」(東京都港区)がともに強度0.26で、これまでは最も強度が足りないとみられていた。

耐震偽造:「巧妙で見抜けず」と指定評価機関が釈明 12/08/05(毎日新聞)

 姉歯秀次・元1級建築士による構造計算書の偽造が判明した横浜市都筑区のマンション(工事中)に対して設計住宅性能評価書が交付された問題で、指定評価機関の「ビューローベリタスジャパン」(横浜市)が8日記者会見した。野口敏社長は、建築確認と中間検査と合わせて計3回、別々の担当者が点検したが偽造を見抜けなかったことを明らかにしたうえで、「手順に従って審査したが、一部の数字が書き換えられるなど偽造は巧妙だった」と釈明した。

耐震偽造:民間検査機関監督の問題点を検証 国交省 12/08/05(毎日新聞)

 姉歯秀次・元1級建築士(48)による耐震データ偽造問題で、国土交通省は8日、民間確認検査機関に対する監督上の問題点などを検証するため「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」を設置することを決めた。建築、法律の学識経験者や今回の問題の当事者でないマンション管理組合メンバーなど10人程度で構成。北側一雄国交相の私的諮問機関とし、初会合を来週開く。【長谷川豊】

見逃し次々 民間審査の中立性に疑問の声 耐震強度偽装 12/08/05(毎日新聞)

 国土交通省が集中的な立ち入り検査に入った民間の検査機関の中には、住宅メーカー各社から出資を受け、主要な取引先として株主の企業から建築確認を請け負っている検査機関もある。審査の公正・中立性に疑問を投げかける声も出ている。

 最大手の日本ERIでは午前9時半から国交省住宅局の検査員12人が立ち入り検査を始めた。同社によると、業務の流れや検査内容について説明を求められている。

 日本ERIは同社が建築確認したビルについて、姉歯秀次元建築士の構造計算書には重大な誤りがあるという指摘を昨年4月に受けながら、何も対応しなかったとして批判を受けている。耐震偽装問題が発覚した後も偽装の見逃しが次々に明らかになった。

 日本ERIの主要株主には大手住宅メーカー5社が名を連ね、しかもそれらの株主が主な取引先になっている。大株主が手がける建物を審査しているわけだ。

 やはり姉歯元建築士の偽造を見落としていた東日本住宅評価センター(横浜市鶴見区)には筆頭株主の東京ガスから約10人の社員が出向している。都市居住評価センター(東京都港区)には東京ガスやゼネコン7社が出資し、従業員43人のうちゼネコンからの出向者が4人。ハウスプラス住宅保証(同)は東京電力の連結子会社だ。東京ガス、東京電力は住宅設備機器を販売している。

 ある検査機関の建築士は「実際に行われているかどうかは別として、建築主側が簡単な審査を望めば、建築主と検査員のなれ合いで手抜き審査になってしまうこともあり得る」と話す。

 「営利を目的とする株式会社が本当に公正中立な立場を保持できるとは考えられない」。日本弁護士連合会の土地住宅部会長を務める風呂橋誠弁護士は主張する。

 こうした指摘に対して日本ERIは「社外の専門家による監視委員会を設けて業務内容を監視・評価しており、出資会社に融通を利かせたり便宜を図ったりということは間違ってもあり得ない」としている。

 一方で検査員をどう確保するかも各検査機関の課題になっている。ある検査機関の総務担当者は「検査員が足りず、自治体で建築主事だった人に来てもらうしかない」と打ち明ける。

 イーホームズ(東京都新宿区)は偽造を見逃した10人の審査担当者全員が自治体出身者だったことが、11月に国交省が行った立ち入り検査でわかった。

 自治体でも偽造の見逃しは神奈川県平塚市や長野県をはじめ各地で次々に見つかり、風呂橋弁護士は「民間はスピード重視、行政は人不足で人命が最優先される仕組みになっていない。厳しい審査こそが評価されるような制度改革が必要ではないか」と話している。

沖縄は3割引きでも合法 耐震強度 12/09/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装問題で注目される建築基準法の耐震基準。実は、必要な耐震強度は地域によって違っている。もとになる値に「地震地域係数」をかけて求めるためで、東京に比べて札幌市は1割引き、福岡県は2割引き、沖縄県に至っては3割引きで設計しても合法だ。地震の起きやすさなどから決められているが、新潟県中越地震(04年10月)や福岡沖地震(05年3月)は係数が低い地域で起きた。専門家からは見直しや十分な周知を求める声も挙がっている。

 地域係数は新耐震基準=キーワード=で、必要な耐震強度を求める計算式に盛り込まれている。首都圏や関西などはそのまま1・0。これに対して山口、福岡、佐賀、長崎各県の全域と北海道、熊本・大分両県の一部、奄美地方を除く鹿児島県は0・8をかける。さらに低いのが沖縄県の0・7だ。

 新潟県や、芸予地震(01年)で被害が出た広島・愛媛両県、南海地震の想定震源域に重なる高知県も0・9。一方、沖縄に近くても鹿児島県奄美地方は1・0だ。東海地震が懸念される静岡県は独自の指針で原則1・2以上を指導している。

 建築基準法は1950年に施行された。地域係数は当時、歴史的な地震の記録や地震活動の活発さなどから作られた、地震の揺れの規模と起きやすさの想定分布図を参考に設定されたとされる。81年に新耐震基準になる際に若干見直されたが、大雑把さは変わらない。

 琉球大の山川哲雄教授は「沖縄も最低でも0・8、場所によっては1・0に上げるべきだ」と指摘する。沖縄には、1階を駐車場などにするピロティ構造が多い。しかも、全く壁のない弱いピロティが目立つという。「気候や車社会などの事情もあるが、地域係数が低いのも一因」とみる。

 72年の本土復帰前の0・5相当に比べ上がったものの、プレート境界に近く、地震活動は比較的活発だ。最近こそ大地震はないが、地震学的には九州並みとの指摘もある。

 歴史的にも地震学的にも活発でない場所で起きたのが福岡沖地震(最大震度6弱)。専門家らの調査では新しい建物に構造上の目立った被害はなく、0・8でも耐えた形だ。ただ、確率は低くても大地震が起こり得るのは確かだ。

 国土交通省は「0・7でも大地震に耐えられる想定」としながら「福岡の地震もあり、係数を見直す余地があることは認識している」。福岡市は「(福岡沖地震の影響が懸念される)警固断層周囲で上乗せが必要か検討したい」とする。

 政府の地震調査研究推進本部は3月、阪神大震災後の活断層調査などの成果をもとに全国の地震動予測地図を公表。学界では、これらを生かしたきめ細かな係数設定の必要性が議論になるものの、見直しは具体化していない。「0・8が1・0になったところでコスト上昇は小さい」「設計者が必要に応じ上乗せするのが現実的」など様々な見方がある。

 建築基準法は法の目的で最低基準であることをうたう。低い係数のまま建てて大地震に遭った場合、命は守れても建物の損傷は大きくなる可能性がある。偽装や施工不良に対する余裕も少ない。ただ、建物の寿命とリスクとを考え、個人で上乗せすることは可能だ。

 九州大の川瀬博教授(地震工学)は「私権を制限する基準なので、活断層近くは高くして離れた場所は下げるなど、より合理的にすべきだ。一方で、個人が自己責任でどこまで上乗せするか判断できる材料を業者や行政は提供してほしい」と話している。

=キーワード:新耐震基準=81年の建築基準法施行令改正で盛り込まれ、(1)中程度の地震(水平方向に自重の20%の力)では建物の機能を維持(2)震度6強以上の大地震(水平方向に自重の100%の力)では壊れても崩壊せず人命を守る、という二段構えの発想で作られている。地域係数が0・8なら(1)は16%、(2)は80%となる。建物の粘り強さや振動特性も重視するようになった。95年の阪神大震災でも、81年以降の建物に被害は少なかった。

耐震偽造:自治体再調査、一転「偽造あり」次々 12/08/05(毎日新聞)

 耐震データを偽造したとして、建築基準法違反容疑で告発された姉歯秀次・元1級建築士(48)が関与した物件について国土交通省が行った全国調査で、自治体から当初「偽造なし」と報告された物件が、再調査で「偽造あり」と訂正されるケースが相次いでいることが分かった。国交省は、当初の想定とは異なる偽造の手口があるとして、構造計算書を取り寄せて詳細に分析する方針。自治体からは、偽造がなかったと判断した根拠を聴取し始めており、結果によっては被害実態を再検討する事態に発展しそうだ。

 同省によると、22都府県の208件中、6日夜までに偽造が確認されたのは15都府県の62件。このうち、対象物件が2件の京都府は今月2日までに「偽造はなかった」と報告したが、その後「2件とも偽造があった。書類の体裁は整っており気づかなかった」と訂正した。佐賀県も3件のうち1件を「再調査の結果、データの改ざんが見つかった」と再報告。千葉県も4件を訂正した。

 このため、今月2日時点で103件あった「偽造なし」の物件は95件に減った。

 姉歯元建築士による耐震データの偽造を巡っては、当初「イーホームズ」(東京都新宿区)と「日本ERI」(港区)などの民間確認検査機関による見逃しが大きな理由とされた。だが、その後は自治体による建築確認でも審査をすり抜けたケースが相次いで判明し、混乱が拡大している。

 偽造の手口も、国交省が最初に公表した21件は構造計算書の一部の書類を差し替える単純なものだったが、日本ERIの指摘で、「構造計算ソフト上の数値の書き換え」という、形式的な書類審査では見破れない手口も浮上した。

 国交省は、調査の信頼性が問われかねないとして、早急に偽造の手口を詳しく調べ、現在の確認方法に問題がないかどうか検討する。【長谷川豊】

国交省、「日本ERI」に立ち入り検査 12/08/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、国土交通省は8日午前、姉歯秀次・元1級建築士(48)(8日付で資格取り消し)による偽装を見逃した民間の指定確認検査機関「日本ERI」(東京都港区)に建築基準法に基づく立ち入り検査に入った。

 同省は、年内に国指定の全機関に緊急立ち入り検査をすることを決めており、先月の「イーホームズ」に続き2件目となった。

 確認検査機関や地方自治体による偽装見逃しが相次いでいるのを受け、同省が1日に設置した100人体制の緊急建築確認事務点検本部は、国指定の50機関すべての立ち入りを今年中に終える方針で、今回の立ち入りは、約30棟見逃しがあった「イーホームズ」に続くもの。引き続き9日も、開発会社「ヒューザー」のマンション1棟について強度偽装を見逃した「東日本住宅評価センター」など6機関の検査を実施する。

 ERIは民間の指定検査機関では最大手だが、これまでに構造計算書の改ざんが確認された62棟のうち、ヒューザーの「グランドステージ下総中山」(千葉県市川市)と「グランドステージ川口」(埼玉県川口市)のほか、「ホテル新永別館」(愛知県豊田市)「サンホテル大和郡山」(奈良県大和郡山市)「アルクイン黒崎」(北九州市)「苅田プレモントホテル」(福岡県苅田町)「セントラルホテル伊万里」(佐賀県伊万里市)の計7棟の建築確認を出していた。

 ERIはこれとは別に、昨年4月、自社で建築確認を出した東京都港区内のビルについて、都内の設計事務所代表から「異常」を指摘されながら、放置したことも判明している。このため、国交省では今回の立ち入りで、同社の審査体制全般について詳しく調べるとみられる。

 同社への立ち入り検査を行う国交省職員12人は8日午前9時半すぎ、同社がある東京・赤坂のオフィスビルに入った。

耐震偽造:国交省が日本ERIに立ち入り検査 12/08/05(毎日新聞)

 国土交通省は8日、姉歯元建築士が偽造した構造計算書を見逃していた国指定の民間確認検査機関「日本ERI」(東京都港区)への立ち入り検査を始めた。同省と地方自治体は今年中に全国の検査機関に立ち入ることを決めており、従来の検査では確認していなかった具体的な構造計算書の中身を総点検し、審査の問題点を洗い出す方針。

 日本ERIを巡っては、約1年半前にも、姉歯元建築士が構造計算を行った図面に問題があるという指摘を受けたことが分かっている。同社の鈴木崇英社長は7日の衆院国交委員会で「当時の担当者は偽造とは気づかず、社内でも上に伝わらなかった」と釈明した。

 同社は今回、偽造が発覚した62棟中7棟の建築確認を行っていた。この日は同省の担当官ら12人が帳簿の整備状況などに加えて、構造計算書を抽出し、中身の点検作業に入った。

 偽造問題では、確認検査機関に対する国の監督が不十分だったと指摘されており、国交省は9日以降も、既に入ったイーホームズを除く東日本住宅評価センターなど国指定の残る検査機関48社に立ち入ることを決めている。また都道府県もそれぞれが指定した全検査機関に立ち入る方針。

 一方、日本ERIは「立ち入り検査に全面的に協力することで、民間指定確認検査機関としての信頼を取り戻す出発点としたい」とするコメントを出した。

★ビューローベリタス は、建築確認だけでなく、ISOの認定機関、船の検査、多くの国から検査を委任されている大手の検査機関だ。 ISOの9000の認定を取得している。

国土交通省は立ち入り検査をしっかりやってもらいたい。そしてどういう手順で審査、評価をしていたかを 公表してほしい。これで、物分りの悪い広島県の広警察署や広島地方検察も検査の問題点について 理解が出来るであろう。

横浜の検査機関 姉歯物件に「お墨付き」 偽装見逃し性能評価書 12/08/05(産経新聞)

 住宅の安全性や性能を保証し、購入者の物件選びの基準の一つになる「住宅性能評価書」を交付する第三者評価機関が、姉歯(あねは)秀次一級建築士(48)の強度偽装を見逃し、危険マンション(未完成)に評価書を出していたことが七日、国土交通省の調査で分かった。評価機関は建築確認審査と同一の「ビューローベリタスジャパン」(横浜)。偽装を見抜けなかったうえ、“お墨付き”を与えていた格好だ。偽装物件への同評価書の交付が判明したのは初。住宅の安全を担保する制度の信頼を根底から揺るがす事態となり、チェックのあり方について見直しを迫られそうだ。

 国交省は近くビューロー社を立ち入り検査。問題が確認できれば処分を検討する。

 偽装が見逃され、評価書が交付されていたのは横浜市の「都筑佐江戸町マンション」。建築主はエルクリエイト(横浜)、施工は木村建設(熊本、破産)で、現在は工事を中止。国交省集計で六日に偽装が発覚した。

 同マンションはビューロー社が建築確認を審査。さらに建築主の申請で同マンションに設計段階での評価書を交付した。性能表示は、建物の構造が建築基準法をクリアしていることを示す「耐震等級1」(三ランクの三番目)だった。

 平成十二年の住宅品質確保法施行で導入された「住宅性能表示制度」で、マンションなど住宅を対象に、建築主が申請すると、設計段階と施工・完成段階に国交相指定の第三者機関(評価機関)が検査。建築基準法をクリアしていれば耐震性、耐火性など九分野、二十八項目について、細かくランク付けした評価書が交付され、マイホームを購入する人が参考にできる仕組み。

 制度は義務ではないが、通常の建築確認や施工段階での中間検査とは別に、第三者の共通ルールによるチェックが入ることで住宅の相互比較ができ、安全性を担保するシステムとなっている。

 評価機関は全国で百八。うち九十五機関がビューロー社のように確認検査機関を兼務。十六年度の設計段階の評価書交付は約十六万三千戸、施工・完成段階の交付数は約十一万戸に上る。評価、検査両機関を兼務する社は、確認検査員と性能評価員を切り離す場合が一般的とされるが、ビューロー社がどういう手順で審査、評価をしていたかは不明で、国交省は調査する。

 国交省は「今回の事態を重く受け止めており、(制度の見直しについても)真摯(しんし)に対応していきたい」(住宅生産課)としている。

ホテル建設は総研主導、参考人質疑で委員指摘 12/08/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題をめぐり、7日行われた衆院国土交通委員会の参考人質疑。強度を偽装した姉歯秀次・1級建築士(48)と、多くの偽装ホテルの経営指導をしていた「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)の内河健所長(71)という2人の“主役”は欠席したが、ホテル建設は総研が主導し、内河所長が設計段階で鉄筋量などを細かく指示していたことなどが委員により指摘された。

 馬淵澄夫委員(民主)によると、偽装が判明し営業を中止している「サンホテル奈良」(奈良市)の建設に際し、内河所長は2004年夏、ホテルのオーナーに「土地活用を提案したい。ホテルをやりませんか」と提案。同年秋、平成設計が紹介され、施工は木村建設、構造設計は姉歯建築士と決まった。

 また、専門誌「月刊レジャー産業資料」のインタビューに対し、内河所長が「これまでたくさん仕事を手掛けてきましたが(中略)、『どのような構造が安く上がるのか』ということも計算しました」などと述べ、それが同誌の2000年7月号に掲載されていたことも明らかにされた。

 この記事の中で、内河所長は、「私が(中略)延べ床面積平方メートル当たり鉄筋量いくら、型枠量いくら、コンクリートがいくらというところまで計算し、設計の指示をしています」と語り、設計段階から深く関与していた事実を認めていた。

 内河所長は2日の記者会見で、「(私の指導は)技術より経営。構造計算までは考えてもいなかった」と話していた。

 一方、参考人として出席したアトラス設計(渋谷区)の渡辺朋幸(ともゆき)代表によると、2003年11月、姉歯建築士と初めて会った際、渡された名刺には「平成設計」の社名が印刷されていたという。

 04年3月に再び会い、姉歯建築士による構造計算の問題点を指摘した際には、姉歯建築士のほか、総研のチーフコンサルタント(67)と平成設計関係者が同席。「その場をリードしていた人物は誰か」との質問に、渡辺代表は「総研のチーフコンサルタントが中心になって話していた」と答えた。

 ◆総研チーフ、アトラス指摘を「商売敵がケチをつけているのかな…」◆

 総研のチーフコンサルタントは7日、読売新聞の取材に応じ、アトラス設計の渡辺代表が指摘した構造計算の問題点について「その時は不正とまでは思わなかった」と述べ、偽装への関与を否定した。

 チーフコンサルタントは「建築確認を通っているので、重く受け止めなかった。構造設計は人によってかなり違うことが多く、商売敵の仕事だからケチをつけているのかな、くらいに思っていた」と説明した。

 渡辺代表による指摘の後、総研はこの物件の仕事から手を引き、チーフコンサルタントは「姉歯を使うな」と平成設計幹部に指示したという。

 しかし、その後も総研が経営指導したサンホテル奈良でも姉歯建築士が構造計算を手掛け、営業中止に追い込まれたが、「内部で連絡が行き届いていなかった」と弁明した。

「国交省は『非常に重い問題で、早急に調査する』とショックを受けている。」

船の検査でも似たような問題はあります。国土交通省職員でもあるPSC(外国船舶監督官) にも厳しい検査を行うように指示してください。

厳しい検査(知識がある)が出来るPSC(外国船舶監督官)の育成からはじめないと思いますが!

テレビでは日本ERIが適切な対応を取っていれば、少なくとも過去一年に引き渡された マンションの被害者を救うことができたと言っていた。もし、広島県の広警察署が 船の検査会社の問題を真剣に取り上げて、他の業界の検査の体質や状況についても 調べられていればこのようなことは防げたと思う。

耐震偽造:問題マンションを「等級1」 性能評価に疑問も 12/07/05(朝日新聞)

 姉歯秀次1級建築士(48)による構造計算書の偽造が判明した横浜市都筑区の「都筑佐江戸町マンション」(工事中止)に対し、「住宅性能評価制度」による設計評価書が交付されていたことが7日分かった。評価書は、第三者機関が住宅品質確保促進法に基づいて設計図などをチェックして交付される。信頼性が高いとされるだけに、新たにマンションなどを購入する人たちに大きな影響を与えそうだ。

 指定住宅性能評価機関の「ビューローベリタスジャパン」(横浜市)が同日、国土交通省に報告して判明した。ビュ社は指定確認検査機関でもあり、今年6月、このマンションの建築確認をし、7月に評価書を交付した。耐震等級は、建築基準法の基準をクリアしている「等級1」だった。

 マンションは7階建てだが、1階の配筋工事段階で、耐震データの偽造が判明した。建築主は「エルクリエイト」(同市)、元請け設計は「田口設計」(同市)で、「木村建設」(熊本県八代市)の東京支店が施工した。

 住宅性能評価制度は、環境面や高齢者への配慮を含めた住宅の性能を証明するため、00年に創設された。建築主側の申請で「指定住宅性能評価機関」が設計段階と施工・完了段階の2段階で検査する。建築確認とは別に詳しい検査を受けるため、信頼性が高いとされ、昨年度は「設計」約16万3000戸、「建設」約11万戸の評価書が交付されている。

 国交省は「非常に重い問題で、早急に調査する」とショックを受けている。【渡辺暖、長谷川豊】

工事停止のマンション、住宅性能表示で“太鼓判” 12/07/05(読売新聞)

 姉歯建築士が構造計算書を偽造していた横浜市内の分譲マンション「都筑佐江戸町マンション」(50戸、工事停止中)が、「耐震性などに問題がない」とする設計段階の住宅性能表示を、住宅性能評価機関「ビューローベリタスジャパン」(横浜市)から受けていたことが7日、国土交通省の調べでわかった。

 同省では近く、住宅品質確保促進法に基づき、同社を立ち入り検査する。

「性能評価」でも偽装見逃す 民間検査機関 12/07/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で国土交通省は7日、横浜市のマンションの強度偽装を見逃した民間検査機関ビューローベリタスジャパン(横浜市)が、この建物の「住宅性能表示」の評価の際にも偽装に気づかず、「耐震」の評価書を出していたと発表した。住宅性能表示での偽装見逃しは00年に制度ができて初めて。国交省は、全国108の性能評価機関に再点検を指示した。

 国交省によると、ビューロー社は「都筑佐江戸町マンション」(7階建て、未完成)について、姉歯秀次1級建築士が偽造した構造計算書に基づき6月に建築確認を出した。その後、設計書類を基にした評価で「耐震等級1」(建築基準法の規定と同レベル)とする評価書を交付した。マンションは偽装がわかり、工事を中止している。

 住宅性能表示は、住宅品質確保促進法に基づき、耐震性や耐火性を等級や数値で示す。制度発足以来、設計段階で評価を受けたマンションや戸建て住宅は約16万戸。施工中や完成時の評価は約11万戸にのぼる。性能評価機関は、建築確認を出す民間検査機関を兼ねている場合が多い。

姉歯建築士を聴取 警察当局、先月下旬「木村建設が圧力」 12/07/05(産経新聞)夕刊

 姉歯秀次一級建築士(48)がマンションやホテルの耐震強度計算書を偽造し、地震で倒壊の恐れが出ている問題で、警視庁など警察当局が姉歯建築士から任意で事情聴取していたことが七日、関係者の話で分かった。警視庁は今月五日に国土交通省から建築基準法(構造規定)違反の罪で刑事告発を受け、既に単独で捜査本部を設けて捜査を開始しており、七日午後に千葉、神奈川両県警との合同捜査本部を設置するとともに、来週中に関係先の強制捜査に乗り出す方針だ。

 関係者によると、姉歯建築士が事情聴取を受けたのは先月下旬。

 聴取に対して、姉歯建築士は国交省による聴聞での証言と同様に「『木村建設』(熊本、破産)の元東京支店長からリベートを要求されて、実際に払っていた」「鉄骨を減らすように圧力を受けた」などと供述したという。

 姉歯建築士は聴聞後、公の場に姿を見せなくなり、先月二十九日の衆院国土交通委員会に参考人として出席する予定だったが、欠席。同三十日と今月五日に予定されていた千葉県による聴聞も欠席し、「姉歯建築設計事務所」(千葉)の事務所登録を県から取り消されている。

 国交省によると、姉歯建築士による耐震強度の偽装が確認されたマンションやホテルなどの物件数は七日午前までで計六十二件に上っている。うち二十一件について、姉歯建築士は聴聞で偽装の事実を認めている。

 二十一件中、東京都内のマンション三件とホテル一件が刑事告発の対象物件になっており、警察当局は姉歯建築設計事務所や民間検査機関「イーホームズ」(東京)のほか、建築や施工を請け負った木村建設、「ヒューザー」(東京)、「シノケン」(福岡)など関係先を来週中に建築基準法違反容疑で一斉捜索する方針を固めている。

                   ◇

 ≪内河総研所長は欠席≫

 耐震強度偽装問題の審議のため、衆院国土交通委員会は七日午後、関係者を参考人として招致して質疑を行った。

 この日、出席したのは偽造を最初に見つけたとされる設計事務所「アトラス設計」の渡辺朋幸代表と、指定確認検査機関「イーホームズ」の藤田東吾社長、「日本ERI」の鈴木崇英社長の三人。

 姉歯建築士と、その構造計算を担当した多くのホテルで開業を指導した経営コンサルタント会社「総合経営研究所」の内河健所長は欠席した。

私文書偽造の罪は問えるのか?広島県警は私文書偽造は罪にならないと言っていたぞ。 尾道糸崎税関の統括監視官のようにウソを言っていたのか。(神戸税関の本館に問い合わせた。)

責任を追及できない制度を改革/改善しなかった行政、捜査能力に疑問がある警察、 おかしなことを言う公務員。そして対処や対応に問題があったからと言って税金を 無駄に使う国。何を考えているのか。

今回の問題が起きる前に、なぜ、制度の見直し、罰則の見直し、確認検査会社への監査等 の対応が出来なかったのか。日本人として恥ずかしくなる対応しか国が出来ずに、なにが国旗掲揚だ。 問題のある指定確認検査機関の取消し、罰則を重くすること(違反の制裁)、今回のような 問題が起きても保証できるような保険への強制加入、問題のある指定確認検査機関や施工業者の HP等での公表、やることを迅速に行うべきだ。

合同捜査本部で刑事責任追及へ、広いすそ野に難しさも 12/07/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、警視庁、千葉、神奈川両県警は7日、合同捜査本部を設置し、刑事責任追及に向けた動きを本格化させる。

 同本部はまず、建築基準法違反容疑で関係先の捜索に着手する方針だが、あわせて、文書偽造や詐欺罪などの適用についても検討を進めている。しかし、捜査幹部からは「関係者が多く、立件は容易ではない」との声が上がっており、前代未聞の不正行為の責任をどこまで追及できるかは未知数だ。

 ◇建築基準法違反

 国土交通省は姉歯秀次・1級建築士(48)について、同法20条の「建築物は地震などの衝撃に対して安全な構造のものでなければならない」という規定に反し、耐震強度の低いマンションなどを設計したとする疑いで告発した。

 ただし、20条違反で立件するには、設計図上の強度不足ではなく、建設された建物そのものの強度不足を証明しなくてはならない。そのうえで、強度不足になった経緯を明らかにして、誰が刑事責任を負うべきかを立証する必要がある。その場合、設計だけでなく、施工段階での手抜き工事などの可能性も考えなくてはいけない。

 しかも、100人近くの捜査員を動員して容疑を固めても、20条違反の罰則は「50万円以下の罰金」。警察当局も「建築基準法違反は、あくまで捜査の端緒」(幹部)とみている。

 ◇文書偽造・詐欺

 文書偽造の立件対象となるのは、民間の指定確認検査機関が発行した「建築確認済証」だ。しかし、建築確認済証は、姉歯建築士が偽造した「構造計算書」をもとに発行されており、もし、検査機関が偽造を知らなければ、その責任を問うのは難しい。

 また、構造計算書は公文書ではないことから、姉歯建築士を公文書偽造の罪に問うことはできないほか、同計算書の内容が改ざんされただけでは私文書偽造にもあたらないとされる。

 一方、建築主が耐震強度が不足していることを知りながら、「耐震性に問題はない」と偽ってマンションなどを販売していた場合は、詐欺罪を適用できる。しかし、これまで、マンションを販売した開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)などの建築主は、「偽装は全く知らなかった」と主張している。

耐震偽装 「手抜き」「ずさん」の構図 12/07/05(産経新聞)夕刊

≪鋼材高騰→受注争い→低コスト戦略≫

 耐震強度偽装問題が広がりをみせている背景に、一部業者の行き過ぎた低コスト戦略を指摘する見方が強まっている。デフレ経済からの脱却が近づく中で、地価やビル用鋼材価格が上昇しており、受注を争う業界の過剰なコスト削減の動きが手抜き工事やずさんなチェックにつながる構図だ。政府や自治体などによる管理体制の強化が課題といえそうだ。(柿内公輔) 

 不動産経済研究所によると、昨年の首都圏の新築マンション供給は8万5429戸。6年連続の8万戸超えで、今年も年間を通じて業界は建設ラッシュに沸いている。

 このため、販売競争は過熱しており、「用地の取得コストが路線価格の数倍に達するケースもある」(不動産大手幹部)という。

 あるマンション開発会社は「大手業者に対抗するには、外装などのグレードを落としたり、営業経費を切り詰めるなどのコストダウンしかない」と指摘する。問題を起こしたヒューザーもモデルルームをつくらないなどの低コスト手法を駆使して急成長した。

 不動産市況に加え、原材料価格の高騰も中小業者らにとっては頭が痛い問題だ。ビルのコンクリート補強に使われる「棒鋼」の価格は、平成10年度の1トンあたり2万3000円を底に上昇し、16年度にはバブル期並みの同6万円まで高騰。現在も同水準で推移しており、コストアップの大きな要因になっている。

 今回の騒動は、建築事務所サイドが「『鉄筋を減らせ』と建設会社から圧力を受けた」と主張している。建設会社側は「(減らせと)言ったかもしれないが、法令順守の範囲内」と反論するが、コストを削減するために本来は必要な鉄筋や柱を省く悪質な業者も一部にあるとされる。

 もちろん、中小業者や下請けでも良心的な仕事を進める業者は多い。だが、過剰なコスト削減競争が進む中で、中小業者をめぐる経営環境は厳しくなっている。

建設費の1割が「総研」に? 衆院国交委で指摘 12/07/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装問題で、木村建設と各地のビジネスホテルを橋渡しした総合経営研究所が、奈良市内のホテル建設をめぐり事業費の約1割にあたる約7千万円を得た可能性のあることが、7日の衆院国土交通委員会で取り上げられた。コンサルタント料のほか、木村建設やその子会社の平成設計などからも得たとされる。姉歯秀次1級建築士も含めた4者の結びつきがあらためて浮き彫りになった格好だが、総研は仲介料などの受け取りを否定している。

 このホテルは「サンホテル奈良」。11月初旬に開業したばかりだが、姉歯建築士による構造計算書偽造が明らかになり、営業を休止している。

 民主党の馬淵澄夫議員によると、ホテル開業までの事業費は約7億円。総研は工期短縮や、施工から設計までを一括して引き受ける独自の手法「フルターンキー・システム」を説明。木村建設が施工、平成設計が設計、姉歯氏が構造設計を担当した。

 資料によると、建設費は6億3千万円。別にコンサルタント料4600万円が総研に、設計費2700万円が平成設計に支払われたことになっている。さらに、追加工事費の名目でホテル側から木村建設に支払われた1850万円について、総研に渡ったとみられる記載があったという。

 また、ホテルの耐震偽装の検査で平成設計から事情を聴いた奈良市の担当者は、馬淵議員側に「平成設計は総研に設計費の20%を払った、と話していた」と説明したという。

 馬淵議員は、総研に渡った総額は7000万円近くにのぼるとみている。

 平成設計は木村建設の木村盛好社長の妻が社長を務め、姉歯建築士が平成設計の名刺を使っていたことも明らかになっている。

 総研は「開業指導のコンサルタント料は近い額で、すでに3分の2の支払いを受けているが、仲介料やキックバックは一切、受け取っていない。調べても振り込みなどの記録もなかった」と反論している。

 この日の委員会で、日本ERIの鈴木崇英社長は、04年にアトラス設計の渡辺朋幸代表から同社に偽造の可能性を指摘されながら対応を取らなかった理由について、「(伝えられた)担当者は計算ミスの問題と思っていたと言っている。設計士が正しい計算をしてくるのが当然で、まさか偽造があるとは思い至らなかった」などと述べた。

耐震強度偽装 平成設計も追及へ きょう合同捜査本部設置 12/07/05(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で警察当局は六日、建築基準法(構造規定)違反容疑で平成設計(東京)も追及する方針を固めた。国土交通省も同社の追加告発を検討しているとみられる。平成設計は告発対象となった四件の偽装物件に直接関与していないが、姉歯(あねは)秀次一級建築士(48)の複数の偽装物件で設計を担当しており、事件の全容解明には重点捜査が必要と判断した。平成設計が扱った物件はすべて、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京)から持ち込まれていた。

 警察当局は七日、既に捜査本部を設置している警視庁と千葉、神奈川両県警とで合同捜査本部を設置する。

 関係者によると、平成設計は木村建設(熊本、破産)の設計部門が独立して平成元年に設立された100%子会社。木村盛好社長(73)の妻が社長を務め、姉歯建築士が名刺を使用していた。木村建設は、告発対象の四物件のうち、ビジネスホテルで実質的な設計と施工を担当したほか、墨田区と港区のマンションで施工を担当。二件の建築主だったヒューザーとともに警察当局が重点捜査の対象としている。

 国交省は、姉歯建築士が聴聞会で偽装を認めた二十一件の物件で設計を担当した木村建設▽シノケン東京支店▽エスエスエー建築都市設計事務所▽下河辺建築設計事務所▽スペースワン建築研究所▽森田設計事務所−の六社も告発する方針だが、証拠散逸の危険から警察当局が早期捜索の方針をとったため、姉歯建築士の告発を先行させた。今後六社を追加告発するとみられ、あわせて平成設計の告発も検討している。

 総研から平成設計に持ち込まれた物件で、木村建設が施工する場合は、姉歯建築士に構造計算を依頼するのが慣例だったとされる。

 平成設計は、ホテル事業では木村建設と一体だったとされ、告発対象のビジネスホテルの系列ホテルでも設計を担当したケースがあったほか、木村建設がヒューザーに姉歯建築士を紹介していた事実から、姉歯建築士と木村建設、ヒューザー三者の関係や、木村建設が手掛けたホテルの偽装の解明には平成設計も捜査対象に加える必要があると判断したとみられる。

姉歯建築士を刑事告発 都内4物件対象に 国交省 12/07/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で国土交通省は5日、構造計算書を偽造して耐震性の著しく不足する建物を建てさせたとして、千葉県市川市の姉歯秀次1級建築士(48)を建築基準法違反容疑で警視庁に告発した。同日、捜査本部を置いた警視庁は、近く千葉、神奈川両県警との合同捜査本部に移行し、年内にも建築基準法違反の疑いで家宅捜索などに着手する。建築主や施工業者の事情聴取も検討しており、詐欺や文書偽造などの容疑も視野に入れて関係者の刑事責任を追及する。

 姉歯建築士の告発にあたり国交省が対象としたのは、東京都内にある「グランドステージ稲城」(稲城市)、「STAGE大門」(港区)、「グランドステージ東向島」(墨田区)のマンション3棟と、「京王プレッソイン茅場町」(中央区)のホテル1棟の計4棟。いずれも民間検査機関イーホームズ(東京都新宿区)が建築確認を出した。国交省によると、違法建築に対する国の告発はきわめて異例という。

 4棟は震度5強程度の地震で倒壊する恐れがあり、偽装物件を多く手がけた業者が開発、設計、建設に関係していることから対象に選んだ。04年2月から今年8月にかけて完成したが、建築基準法20条に定められた構造上の安全を満たしていないとされる。姉歯建築士は千葉県の事情聴取や国交省の聴聞会で、書類の偽造を認めている。

 国交省の5日現在のまとめによると、姉歯建築士がかかわり、耐震強度が偽装された建物は全国で55件。民間検査機関や自治体の審査で見逃されていたことを重く見た国交省は同日、建築確認事務の緊急点検本部を設置した。

 警視庁の捜査本部は約70人態勢。これまでの情報収集の結果、事件の全容解明には家宅捜索など強制捜査で証拠資料を押収する必要があると判断した。

船の検査を行っている外資系の大手民間検査機関ビューローベリタスジャパンの名前も 上がっている。やはり検査の問題はユニバーサルと言う事なのか。

ちなみにこれらの写真は、指定確認検査機関のグループ会社が検査した船の写真である。 ★写真1 ★写真2

耐震偽装新たに5棟確認 計62棟に 12/07/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、国土交通省は6日夜、姉歯建築設計事務所が関与したマンション3棟とホテル2棟で新たに偽装が確認され、偽装された物件は計62棟になったと発表した。朝日新聞のまとめでは64棟が確認されている。

 新たに加わったのは、横浜市のマンション「アルカンシェル和田町駅前」「都筑佐江戸町マンション」(仮称、工事中止)▽大阪市のホテル「ヴィアイン新大阪ウエスト」▽福岡市のマンション「ダイナコートエスタディオ千代県庁口」▽佐賀県伊万里市の「セントラルホテル伊万里」(同)。

 うち工事中止となった横浜市のマンションは、外資系の大手民間検査機関ビューローベリタスジャパンが建築確認を出していた。木村建設と平成設計がかかわった物件での偽装は、未完成も含めて計34棟になった。

耐震偽造:1級建築士、その実態 分業進み収入格差 12/07/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題の渦中にある姉歯(あねは)秀次1級建築士(48)。市民の信頼を根底から覆す違法行為の発覚で、職業倫理が厳しく問われている1級建築士の資格と業界の実態とは。そして、一線の同業者は今回の問題をどう見るのか。【根本太一】

 ■合格率6%

 1級建築士は国土交通相の免許を受けて建築物の設計、工事監理などを行う技術者。特に、学校や病院などの公共施設や一定以上の大きさの建物は1級建築士でなければ扱えない。毎年の国家試験では、実務経験を経て学科試験にパスした者だけが設計製図の実技試験を受けられる。合格率は6〜8%という難関。医師や弁護士などと同様、「先生」と呼ばれるゆえんだ。

 しかし、一つの建築物を建てる際の実務では、同じ1級建築士でも▽総合デザインの意匠設計▽強度確保の構造設計▽電気、給排水などの設備設計▽建築現場の施工−−の四つに分業化が進んでいるという。姉歯氏が担当していたのが構造設計だった。

 ■厳しい格付け

 「構造と設備の設計は外注している」。意匠専門で東京都江東区に事務所を構える1級建築士、井本雄司さん(59)が言うように、意匠と構造・設備の1級建築士は通常、元請け−下請けの関係にある。10階建て前後のマンション設計を多く手がける井本さんによると、1棟の構造計算書はA4判で厚さ5センチほど。意匠の専門家にはチェックのノウハウがないことが多く、「計算内容までは見ない」という。

 収入にも大きな差がある。一般的には設計費の3分の2を意匠が取り、残りを構造と設備で二分する。設計者として名前が残るのも意匠だけ。同じ資格ながら、分業によって厳然とした格付けができている。

 こうした実態について、さいたま市で構造専門の事務所を営む男性(52)は「マンションの意匠設計には1年必要だが、私たちの仕事は1カ月ほどだから」と割り切る。つまり、1人で年間にこなせる構造設計は10件ほど。短期間に多くの建築物に関与した姉歯氏のケースは「極めて異常」と驚く。

 一方、川崎市内の建設会社勤務の男性(47)は施工専門。分業化で「構造のことはさっぱり分からない。書類の末尾に『OK』とあれば信用する」と話しながら「今回のように極端に建材が少なければ普通は気づく」とも話した。

 ■改革求める声

 最近の1級建築士の数は約30万人と推計される。関係者によると、今は業界の「冬の時代」。公共事業が減った分、建設会社はマンション建設に走ったが、設計事務所は過当競争になっている。1件ごとの収入が少ない構造・設備設計は特に厳しく、事務所を構えていても年収が1000万円に届かないケースもあるという。姉歯氏は今回の問題の発覚直後、構造計算書を偽造した理由を「競争が激しかったから」などと釈明している。

 日本建築士事務所協会連合会の幹部は、業界内の格差是正のため、「医師に内科や外科の専門があるように、設計でも構造・設備の建築士が意匠の建築士と対等に認められる制度を考えるべきだ」と提言する。国や業界内でも建築士法などの改正の議論が浮上している。

シノケンの「解体費」、福岡銀が25億円融資へ 12/07/05(読売新聞)

 福岡銀行が不動産会社「シノケン」(福岡市)に、25億円を融資することが7日わかった。

 シノケンは借入金を、耐震強度偽装が発覚した東京都内のマンション5棟の買い取りや解体の費用に充てる方針。

 姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)による構造計算書偽造が明らかになった5棟の解体などに要する資金は約29億円。福岡銀の融資に加え、定期預金の解約で対応する。

耐震偽造:公的支援、安全優先の迅速策 課題は山積 12/07/05(毎日新聞)

 耐震強度を偽造された分譲マンションの住民に対して政府が6日発表した公的支援策は、法的根拠や責任追及よりも、住民の安全を優先した異例の対応だ。解体費用の全額負担や自治体がマンションを買い取って建て替え、再び分譲する案を示す手厚い内容。政府は「安全確保のため、問題解決までに時間をかけすぎないことが大事だ」と強調するが、スピードを優先させた分、乗り越える課題も多い。

 住宅の欠陥は通常、建築主に補償義務があり、補修費は建築主が負担するのが原則。このため、今でも政府内には「耐震偽造はあくまで民間同士の問題。公的支援にそぐわない」「公的支援の前に建築主に資金をねん出させる努力が必要」との意見がくすぶる。

 だが、今回は、マンション倒壊という最悪の事態も想定される。周辺住民を危険にさらす懸念もある。建築確認という公の事務で重大な見落としがあったことも加わり、大地震の被災者に対する支援策よりも手厚い対策になった。

 解体費用は国、地方自治体が当面、全額負担し、裁判で責任が認定された後に建築主や建築士に費用を請求する。ただ、建築主や建築士にどう分担させるか、枠組みは詰め切れていない。建築主などが倒産すれば税金で賄うことになる。北側一雄国土交通相は「対策は建築主を支援するものではない。建築主には改めて誠実に責任を実行してほしい」と強調する。

 今後、欠陥マンションの発覚や地震が起きた際に、今回と同じ支援策を求める声が強まる可能性もある。「住民の安全性を優先させた」という主張は理解を得やすいが、「国がどこまでかかわるのか」という公的支援の在り方は今後、大きな議論になりそうだ。【瀬尾忠義】

耐震偽造:耐震偽造:建築確認申請で、愛知県のずさんな審査が判明 12/07/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造が確認された愛知県刈谷市のビジネスホテル「名鉄イン刈谷」(11階建て)の建築確認申請を同県が審査した際、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)の構造設計について、県がいったん問題点を指摘しながら、1階部分の柱の鉄筋を元の約2倍に増やした申請で、建築確認をしていたことが分かった。鉄筋が倍になっても、耐震強度は満たしていなかった。修正後の申請を受けた県が、詳細に再計算していればデータ偽造に気づいた可能性があり、県の審査のずさんさが明らかになった。

 ◇いったん問題点指摘しながら、強度不足のまま認可

 同ホテルは、平成設計(東京都千代田区)が設計者となり、同社に構造設計の専門家がいないため、構造設計は姉歯事務所が下請けをした。施工は平成設計の親会社・木村建設(熊本県八代市)。

 構造計算書などを含む建築確認申請は02年7月、平成設計から愛知県に提出。この際、県は問題点や不明個所計5項目を指摘した。特にピロティ構造になっている1階部分の柱12本が、横から加わる力に対してぜい弱だと問題視し、強度を増やすよう求めた。

 これを受け平成設計は、姉歯事務所に構造計算書を修正させ、18日後に改めて書面を県に提出。当初は1本の柱に使用する鉄筋が16本だったのが、修正後30本に増やされていた。県は特に再計算などは行わずに強度を満たしたと判断、翌8月、建築確認した。

 ところが、偽造問題発覚後、県が再審査した結果、横方向から力が加わった際に壁や柱が破壊される「せん断破壊」が起きることを考慮しなければならないのに、姉歯事務所は「考慮しない」との条件で設計を実施していたことが判明した。さらに「せん断破壊が起きることを考慮する」という条件を入力した計算書のページだけを、正しいものと差し替えていた。県が正しい条件で再計算したところ、1階部分が弱いため、2階以上も耐震強度が保たれないことが判明した。

 県は「指摘した問題点は、鉄筋を増やしたことでクリアしたことになっていた。偽造は巧妙で見抜くことはできなかった」と釈明している。

 同ホテルを経営する名鉄不動産(名古屋市)は、ホテル解体を表明している。【荒川基従、吉永磨美】

耐震偽造:耐震偽造:建築確認申請で、愛知県のずさんな審査が判明 12/07/05(毎日新聞)

 経済同友会の北城恪太郎代表幹事は6日の会見で、耐震データ偽造問題に関し、建築基準法違反の罰則の「罰金50万円以下」について、「人々の生命や安全にかかわる違反の制裁が少なすぎる。懲役25年とか30年の刑事罰で厳しくすべきだ。法制度を作っている人の怠慢ではないか」と述べた。さらに「いくら検査体制を厳しくしても不正に対する厳しいペナルティーがないと市場経済はうまく機能しない」と述べた。【須佐美玲子】

★三菱自動車のリコール隠し及び度重なる隠蔽問題 では、虚偽報告罪は最高刑で罰金20万円。誰も「建築基準法違反の罰則の「罰金50万円以下」について、 『人々の生命や安全にかかわる違反の制裁が少なすぎる。懲役25年とか30年の刑事罰で厳しくすべきだ。 法制度を作っている人の怠慢ではないか』」と言わなかった。

やはり法制度を作っている人は罰則及び罰金について、全ての分野で見直すべきであろう。

耐震偽造:現行の検査制度見直す考え示唆 小泉首相 12/07/05(毎日新聞)

 小泉純一郎首相は6日、耐震強度偽造問題に関連し、「検査機関の問題とか建築基準法の問題とか見直さなければいけない点がある」と記者団に述べ、国指定の民間検査機関による現行の検査制度を見直す考えを示唆した。また、建築基準法で設計者の違反に対し50万円以下の罰金と定められていることについて、「ちょっと軽すぎるんじゃないか。国民から考えると何か釈然としないところありますね」と疑問を呈した。

民間検査機関「設計ミスと思い見過す」 12/07/05(ヘッドラインのHPより)

 耐震強度の偽装問題を巡って衆議院では参考人質疑が行われましたが、姉歯建築士は一度目に続いて、今日も欠席しました。一方、1年半も前に偽装について報告を受けながら対処しなかった民間検査機関の社長は、「偽装ではなく、設計ミスと思って見過ごしてしまった」と話しました。

 またもや欠席・・・。理由は「精神的な重圧がひどいから」。渦中の姉歯建築士は、7日も姿を現しませんでした。また、偽装物件の多くに関わっていた経営コンサルタントの総合経営研究所・内河健所長も「体調不良」を理由に欠席しました。

 「一番キーとなる、2人が欠席されたということは、本当に残念でならない。証人として呼んで、『証人喚問』するということを実現していただきたいと思います」民主党・長安豊議員)

 衆議院の国土交通委員会は、今後関係者に「証人喚問」を求めることで一致しました。7日の質疑では、姉歯氏の「偽装」を見つけた設計事務所社長が1年半前に検査機関に報告した経緯をこう語りました。

 「2度目に気が付いた北千住の物件は、すぐみて気がつく内容でした。(検査機関に)『他でやってたら、大変なことになりますよ。調べてみたらいいんじゃないですか』ということを言いました」(「偽装」を発見した設計事務所社長)

 これに対して、報告を受けながら対処しなかった検査機関の日本ERIは・・・  「(報告を受けた)本人は『設計ミス』といいますか『計算ミス』というか、そういうミスの問題だと思ったというように聞いております。まさか『偽造』があるというふうには思い至らなかった」(日本ERI・鈴木崇英社長)

 「これだったらね指定検査機関いらない。『トンネル機関』じゃないか」(公明党・佐藤茂樹議員)

 日本ERIは、「報告を受けた担当者が設計ミスだと思い、上に報告をあげなかった。残念です」と答えました。当事者不在のまま行われた参考人質疑。真実は、まだ闇の中です。

 「とても解明というところまではいかないと思います。姉歯さんが、まさか自分の趣味であんなことやるわけないし、ミスがあんなにたくさん出てくるはずはない」(自民党・松本文明議員)

適正であろうと、間違っていようと、故意に検査を通しても、確認(検査)に通ったことには 変わりがない。それを指摘しようものなら、どのような恐ろしいことが起きるのか想像出来よう。

やはり確認する検査機関の指定取消しは行うべきだ。取消しを行えば、圧力が掛かろうとも 不適切な検査や故意に検査を通したことが発覚すれば取消しを受けることを理解した上で 判断する可能性が高い。

アメリカのように会社や関連する人や会社が不正を行っているのを知った場合、 報告しなければ知った本人も罰せられる制度を導入するべきであろう。 ★成田官製談合 にしても長く続いた理由に不正を知りつつも、報告義務がないこともある。

耐震偽装 鹿島、大林組も見抜けず 建築確認「うのみ」 12/07/05(朝日新聞)

 建物の耐震強度偽装問題で、大手ゼネコンの鹿島(本社・東京)、大林組(同)が施工した物件でも構造計算書の偽造が確認された。両社は「不審には思わなかった」と釈明しているが、耐震強度が不足するような工事内容に、施工の現場ではおかしいと本当に気づかないのか。建設業界には「建築確認が下りていれば、多少疑問があっても異は唱えない」という「常識」があり、そのために問題が表に出ないと指摘する声もある。

 偽造が確認されたのは鹿島が施工したビジネスホテル「プラザホテル舞鶴」(京都府舞鶴市、01年開業)と、大林組が施工した同「ヴィアイン新大阪ウエスト」(大阪市、同)。ともに木村建設(破産手続き開始決定)の子会社・平成設計が設計した。

 姉歯秀次建築士が設計にかかわっていたことが判明し、自治体などが構造計算書を調べ直したところ偽造が確認された。

 耐震強度が不足している疑いが強く、両ホテルともに休業している。

 鹿島関西支店(大阪市)の説明によると、プラザホテル舞鶴は工事を請け負った時点で、平成設計が設計・工事監理者になることがすでに決まっていたという。

 建築確認済みの設計図を同社が精査することは通常なく、現場の施工担当者が不審点を見つければ設計者に当然問い合わせるが、今回は担当者がすぐに不審を抱くような図面ではなかったという。建築確認は京都府がした。

 大林組広報室も「下請けには木村建設を入れるよう建築主に指定されていた。偽装は施工段階では見抜くことができないほど巧妙なものだった」と説明する。

 ヴィアイン新大阪ウエストの建築主はJR西日本の子会社。JR西日本は「当社グループのホテル建設に実績がある木村建設に加わってもらった」としている。

 今回の偽装問題では耐震強度の基準を大幅に下回る建物が各地で判明しているが、現場の工事担当者が偽装を見抜いた例はこれまでのところ伝えられていない。

 千葉県船橋市のマンションを施工した業者は11月29日、視察に訪れた衆院国土交通委員会の委員たちに「検査時に『鉄筋が少ないのでは』と設計者に指摘した」と説明した。

 だが「『それが姉歯さんの売り』と言われたし、建築確認も通っているので、そんなものかと思った」と話した。

 建設業法は、工事が適切に進められているかどうかを管理する主任技術者を現場に置くよう義務づけている。また建築士法は設計図通りに施工されていない点を工事監理者が見つけた場合、施工者に注意するよう求めている。

 しかし、設計図そのものに対する疑問や異議を設計者に伝える規定はない。設計図は建築確認など適切な手続きを経ているという前提があるためだ。

 「この設計だと柱が細いのでは、と現場で疑問を感じたことはある」という千葉県の工務店の幹部社員は「建築確認というお墨付きがある以上、元請けや設計者に下請けからおかしいと言うのは難しい」と明かす。

朝日新聞(2005年12月7日)より

耐震偽装 「安全」・・・やはり「危険」見抜けぬ自治体 困惑

営業中止ホテル…鹿島、大林組も施工 12/06/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で営業中止に追い込まれているホテルのうち、2棟は大手ゼネコンの鹿島と大林組が施工業者となっていたことが6日、国土交通省などの調べで明らかになった。

 いずれも設計は「平成設計」(東京都千代田区)が元請けし、姉歯秀次・1級建築士(48)が構造計算をしていた。

 このうち鹿島が施工したのは「プラザホテル舞鶴」(京都府舞鶴市)。京都府が2日、「構造計算書が偽造され、耐震性に問題のある可能性が高い」と発表し、営業が中止されている。同ホテルは国交省が強度偽装を確認した57棟に含まれている。

 一方、大林組が施工した「ヴィアイン新大阪ウエスト」(大阪市)は、経営する「ジェイアール西日本デイリーサービスネット」が「構造計算書の数値に異常が見つかった」として、5日から営業を中止している。

 このホテルの強度偽装については、自治体が確認中。このほか、姉歯建築士が構造設計をしていた建物で、別の大手ゼネコンが施工していたものが、神奈川県内に2棟見つかっている。

 「プラザホテル舞鶴」を施工した鹿島建設関西支店は「施工図面に不備や疑問点がないか、現在、調査を進めている。現時点では強度が本当に不足しているかは不明だが、補強などの対策を取る必要があれば、施工担当者として誠実に対応したい」としている。

 大林組広報室は、「施工は建築主の指定で木村建設が下請けした。元請けとして現場監理はしたが、偽装があったとしても鉄筋の本数などといった一目でわかる種類のものではなかった」としている。

イーホームズや日本ERIに対して指定確認検査機関を取り消し。 立入り検査の結果によっては、指定検査機関の取消しの追加。 地方自治体に対しては、問題の分析及び改善策を出させ、納得の行くものでなければ 活動の縮小又は必要な人材の補給等の措置。補給される人材に対しては倫理等の 教育を受けさせ、不正を故意に働いたことがわかれば、罪を重くする。 これぐらいしないと、同じ問題はまた起こる。

マンション買い取り検討 耐震偽装で政府が対応策 12/06/05(毎日新聞)

 政府は6日午前、構造計算書偽装に関する関係閣僚会合を首相官邸で開き、分譲マンション居住者への公的支援や賠償費用の保険制度導入の検討などを柱とする当面の対応策を決めた。国と地方自治体が問題の分譲マンションを買い取るなどして補償を求める権利(求償権)を持ち、建築主のヒューザー(本社・東京)などに賠償請求することも検討しており、国が問題解決の前面に立つ姿勢を明確にした。公的支援については80億円規模の補正予算を視野に調整する。

 閣僚会合は安倍官房長官に国交、財務、総務、金融相など8閣僚で構成し、居住者の安全確保と再発防止に力点を置いた。北側国交相は「(建築確認)検査には公共も一定の関与があり、純然たる『民民』の問題と割り切るわけにはいかない」と述べ、公的支援の必要性を訴え、各閣僚から同意を得た。

 対応策ではまず、偽装が発覚した分譲マンション居住者に対し、12月中旬をめどに退去勧告や使用禁止命令を出し、当面の転居先として公営住宅や都市再生機構の公的賃貸住宅を提供。移転費用や家賃を一部あるいは全額補助する。固定資産税も減免する。

 マンション購入者にローン支払いの特例措置を設け、返済期間の延長や金利の減免に応じる。また、マンション居住者と周辺住民の安全確保のため、倒壊する恐れのあるマンションを緊急に解体し、解体費用は国や自治体が補助する。

 建て替えについてもエレベーターなど共用部分の3分の2の補助を、国と自治体がするほか、自治体と住民の話し合いによってはさらに共用部分以外の建築費の一部補助についても検討する。

 国はこうした支援に対し、補助金である地域住宅交付金をあてる。具体的な補助の対象範囲や規模については、自治体と財務省と国交省などが今後詰める。

 国と地方が居住者から求償権を得ることを検討している理由は、本来建築主が負担すべき解体費や建て替え費用を公費で負担するため、建築主から直接、公費負担分を取り戻しやすくするためだ。また、国が前面に立つことで、法的手段や差し押さえなどを通じ建築主に強く賠償責任を迫る狙いもある。

 一方、国指定の検査機関への立ち入り検査を通じて審査体制を厳格化するほか、国交省の社会資本整備審議会に緊急検討機関を設置し、罰則強化を含めた再発防止策や賠償費用の保険制度導入についても検討する。不安解消のために耐震診断についても、住民の申請で自治体が診断士を派遣するなどして耐震性の調査を強化する。

総研所長も国会招致へ 耐震強度偽造で衆院国交委 12/06/05(産経新聞)

 耐震強度偽造問題を審議する7日の衆院国土交通委員会に、経営コンサルタント会社「総合経営研究所」(東京都千代田区)の内河健所長が参考人として出席することが6日、決まった。参考人は、姉歯秀次一級建築士(48)ら計5人となった。

 ほかに出席するのは、昨年2月に姉歯建築士の構造計算書偽造を見抜いた東京都渋谷区のアトラス設計、渡辺朋幸代表(44)、渡辺代表に偽造を指摘された民間検査機関の日本ERI(東京都港区)の鈴木崇英社長(63)と、イーホームズ(東京都新宿区)の藤田東吾社長(44)。

 国交委は7日午後1時半から2時間、耐震強度偽造が行われた状況の説明を求める。(共同)

耐震偽造:設計は総研が主導 平成設計が聴取で証言 12/06/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、構造設計を姉歯建築設計事務所に下請けさせていた平成設計(東京都千代田区)は5日、愛知県の聴取に対し、手がけた県内のビジネスホテルすべてを、関連会社の経営コンサルタント「総合経営研究所(総研)」(同)の指示に基づいて設計していたと証言し、総研が問題物件の設計を主導していたことを認めた。関連会社の責任者が公的な場で初めて総研の関与を認めたことで、一連の偽造問題を巡る総研の責任が問われそうだ。

 同県はこの日、刈谷市のビジネスホテル「名鉄イン刈谷」など偽造が確認された県内の四つのホテルについて、建築基準法に基づいて、平成設計の山口時也代表取締役から事情を聴いた。

 県によると、平成設計には営業部門がなく、ホテルの事業は総研から持ち込まれたという。平成設計は総研の指示に従い、簡単な設計図を作成、総研がこの設計図を基に企画書を作成しホテル事業を売り込んだ。平成設計には構造設計の専門家が一人もいないため、ホテルの建設が決まると、構造設計を姉歯秀次1級建築士(48)らに下請けさせたという。

 山口氏は、平成設計の親会社「木村建設」(熊本県八代市)が施工する場合には、姉歯事務所に構造設計を請け負わせるのが社内方針だったと説明。「姉歯事務所とは契約書を交わさず、口頭依頼が慣例だった」と証言し、木村建設と平成設計、姉歯建築士の3者が事実上、総研の傘下にあったことを裏づけた。

 解体が決まった名鉄イン刈谷の建設では、設計図通りに工事が進められているかをチェックする工事監理は平成設計が行うことになっていた。しかし実際の現場では、総研の1級建築士が木村建設に対し、平成設計がいない場所で指示することがたびたびあったという。

 愛知県は平成設計に構造設計の専門家がいないため偽造を防げず、設計者としての責務を果たさなかったとして、建築基準法や建築士法に違反する疑いが強いとみている。総研や姉歯事務所には聴取権限がないため、国土交通省などに聴取内容を通報する。

【荒川基従】

立ち入り検査と一言で言っても問題点を見つけ出す目的で行う場合と、立入り検査を行えといわれたから 仕方がなく行う場合では結果が違ってくると思う。

個人的な経験であるが、ある検査会社がサブ・スタンダード船(欠陥船)について国土交通省の職員 (PSC)により多くの問題点を指摘された。サブ・スタンダード船(欠陥船)問題を解決する ために会社負担で再検査を行ったと国土交通省へ報告した。しかし、あまり問題点の改善にならなかった。 なぜなら、検査を甘くすることにより集まった顧客の場合、検査が甘くなければ離れてしまう。 問題を指摘したならば、逆に問題点を見逃したことに対する損害賠償を求められる可能性もある。

その会社によるサブ・スタンダード船(欠陥船)問題の改善があったのは、検査委任をある国から 取消しを前提で、猶予期間が与えられた後であった。ある検査会社は猶予期間なく、委任を取り消された。 他の検査会社が検査委任をキャンセルされた事実を知った上で、問題の改善が見られない場合は、 改善努力の報告書に関係なく、検査委任が取り消される事実が問題の改善の動機となった。

「同省は民間確認検査機関に自主点検を求めたが、審査方法の問題点は浮き彫りにならなかった。」 予想されることである。もし、自主点検で見つけられずに、立入り検査で問題点が見つかった場合は、 指定確認検査機関の取消しを伝えるべきであった。

あと、不安な点は同省地方整備局と都道府県の建築技官らが問題点を発見することが出来る能力があるのか、 公平にチェックが出来るのかも問題であろう。資格があっても、能力がなければ、結果はでない。 民間確認検査機関には公務員OBや天下りがいると聞く。彼らとの関係を無視して、公平で厳しい チェックができるのかも疑問である。 成田官製談合 を考えれば、見逃すことにより将来の就職先を確保することも可能である。 性善説を忘れ、問題点を発見するにはどのようにすべきか考えるべきである。 例えば、立入り検査の抜き打ち検査。これは、立入り検査を適切に行っているか、 抜き打ち検査を行うことを伝え、実際に行うこと。これを知る同省地方整備局と都道府県の建築技官ら による形式的な立入り検査を行う確率は減るであろう。自信がない建築技官もいるだろうが、 一生懸命にするしかなくなる。国土交通省はいろいろと考えて、良い結果が出るように対応するべきだ。

耐震偽造:全国立ち入り検査前に担当者が会議 国交省 12/05/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、国土交通省は5日、全国105の民間確認検査機関への立ち入り検査について、同省地方整備局と都道府県の建築技官ら約190人を集めて会議を開いた。サンプリング調査の要点などを話し合い、構造計算書と設計図の照合を重点的に行うことを決めた。

 同省は民間確認検査機関に自主点検を求めたが、審査方法の問題点は浮き彫りにならなかった。このため年内に国指定の48機関と都道府県指定の57機関に立ち入り、書類の抜き取り調査や事情聴取を行うことを決めている。審査資格を持つ検査員だけでなく、実務に携わっている検査補助員からもヒアリングする。

 北側一雄国交相は会議の冒頭、「偽造事件は建築行政の根幹を揺るがしかねない。検査機関への監督を徹底することが極めて大事」と述べた。

【長谷川豊】

耐震偽装 来週にも強制捜査 ヒューザーなど5者 12/06/05(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で警視庁など警察当局は五日、建築基準法違反容疑(構造規定)で来週前半にも、姉歯(あねは)秀次一級建築士(48)の建築設計事務所(千葉)や、偽造が確認されたマンションやホテルを施工したヒューザー(東京)、木村建設(熊本)、シノケン(福岡)の三社に家宅捜索など強制捜査に乗り出す方針を固めた。

 警察当局は指定確認検査機関「イーホームズ」(東京)も強制捜査の対象とする方針。今週半ばにも警視庁と千葉、神奈川両県警が合同捜査本部を設置、全国十数カ所での一斉捜索に着手する。

 国土交通省は同日、建築基準法違反の罪で姉歯建築士を警視庁に告発した。告発対象はマンション「グランドステージ東向島」(東京都墨田区)「ステージ大門」(港区)「グランドステージ稲城」(稲城市)とホテル「京王プレッソイン茅場町」(中央区)。姉歯建築士が構造計画書を偽造し、国交省調査では耐震強度は基準の26−33%だった。

 警察当局はマンション住人の被害感情にも配慮し、これらの物件の建築主や施工者となり、姉歯建築士が「コスト削減を求める圧力」があったと指摘した木村建設のほかヒューザー、シノケンの計三社を強制捜査の対象とすることで確認。同建築士の偽造構造計算書に基づき、建築確認審査などを行った指定確認検査機関「イーホームズ」も捜査対象とした。国交省は姉歯建築士が構造計算した物件を二百八件把握。五日現在、十二都府県で五十五件の偽造を確認した。千葉や神奈川の物件も要請があれば警察に資料を提出するという。

国交省、姉歯建築士を告発…来週にも一斉捜索 12/06/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、国土交通省は5日、構造計算書の偽造により強度不足の建物を建てさせた建築基準法違反の疑いで、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)の姉歯秀次・1級建築士(48)を警視庁に告発した。

 これを受け、警視庁と千葉、神奈川両県警は今週中に合同捜査本部を設置したうえ、来週にも、姉歯建築士の事務所など関係個所の一斉捜索に乗り出す方針。同問題は先月17日の表面化から1か月を待たずに、刑事事件に発展する見通しとなった。

 今回、国交省が告発対象として絞り込んだのはいずれも完成済みの都内の建物で、「グランドステージ稲城」(稲城市)、「グランドステージ東向島」(墨田区)、「STAGE大門」(港区)のマンション3棟と、ホテル「京王プレッソイン茅場町」(中央区)の計4棟。

 告発状によると、姉歯建築士は、2003年2月〜04年6月の間に建築確認が行われた4棟の構造計算の際、地震で建物にかかる外力の数値を小さくするなどして構造計算書を偽造。耐震強度が基準に満たない建物を建てさせた疑い。

 同省では、4棟の建築主や施工業者などが、今回の問題の主要な関係当事者を含んでいるとして、告発対象に選定。稲城市と墨田区の2棟の分譲マンションは開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)が建築主で、港区のマンションと京王プレッソインは実質的な設計、施工をいずれも熊本県八代市の建設会社「木村建設」(破産手続き中)が請け負っていた。

 同省の再計算では、4棟の耐震強度は必要な基準の26〜33%しか満たしておらず、いずれも震度5強の地震で倒壊の恐れがある。

 国交省では5日現在、全国の計55棟で構造計算書の改ざんを確認しており、コンサルタント会社「総合経営研究所」(千代田区)が関与したものを含め、4棟以外の物件についても警視庁などの要請に応じて、資料を追加提出する方針。また、木村建設の関連会社の「平成設計」など元請け7社についても近く同法違反で追加告発する。

 同省建築指導課では「姉歯建築士は、破格の設計料を得るなどの利益は得ておらず、なぜこうした偽装を行ったか、捜査当局には全容を解明してほしい」と話している。

          ◇

 千葉県は5日、姉歯建築士に対する聴聞を開いたが、姉歯建築士は「健康上の理由」で欠席した。同県は「本人に弁明はない」と判断、県建築士審査会の同意を得て、姉歯建築設計事務所の登録を取り消した。

広島県の広警察のように遅い捜査をしないように!! また、和解したいからとの言葉も無視して! わからないことがあれば、恥ずかしがらずに国土交通省又は専門家に聞く! 言い訳ばかりしないこと! 少なくとも上記の点に注意して捜査を!

警視庁が強度偽装で特捜本部設置、70人体制 12/05/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、警視庁生活安全部は5日、捜査員約70人体制の特別捜査本部を築地署に設置した。

 この問題で警察当局が特捜本部を設置したのは初めて。警視庁では、国土交通省側からの告発を受ける前に体制を整えて、関係資料の分析などを早期に進める必要があると判断した。

 警視庁の特捜本部は、国交省から告発を受けた後、神奈川、千葉両県警との合同捜査本部に切り替わる。

 警察当局は、姉歯秀次・1級建築士(48)の聴聞記録などを国交省などから取り寄せ、分析を進めている。特捜本部では、当面、建築基準法違反容疑を念頭に事実解明を進めるが、文書偽造や詐欺罪の適用も検討する。

耐震偽造:姉歯建築士を建築基準法違反で告発 国交省 12/05/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で国土交通省は5日午後、姉歯秀次1級建築士を建築基準法違反容疑で警視庁に告発した。警視庁生活安全部の捜査本部は告発状を受理、本格的な捜査に乗り出す。

 国交省は、最初に公表した完成済みマンションなど14棟のうち、都内数カ所の物件について告発した。警視庁はすでに国交省から姉歯建築士や建築主に関する聴聞記録、設計書類などの提出を受けており、内容を分析したうえで立件対象を絞り込む。

 また今後、建築主や元請けの設計事務所などからも聴取し、文書偽造や詐欺容疑での立件も視野に捜査を進める。

イーホームズ、偽装指摘取り合わず…国も大臣報告遅れ 12/05/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、民間の指定確認検査機関最大手「日本ERI」が1年半前、構造計算書偽造の疑惑を指摘されながら放置していたことが明らかになったが、今年10月に同様の指摘を受けて国土交通省に通報していた検査機関「イーホームズ」も、当初は「問題なし」として取り合っていなかったことが5日、わかった。

 一方、通報を受けた国土交通省側も大臣への報告が約3週間後になるなど、一連の問題では、偽装情報に関する関係者の“感度”の鈍さが目立っている。

 姉歯秀次・1級建築士(48)による強度偽装の疑いをイーホームズに指摘し、一連の問題発覚のきっかけを作った東京都渋谷区の構造設計事務所社長(44)によると、社長が最初に通報したのは今年10月14日。

 「ヒューザー」(東京都千代田区)が開発を進めていた「グランドステージ北千住」(足立区)について、「構造設計がおかしいので見て欲しい」と知人から相談が寄せられたのがきっかけだった。社長は「チェックした方がいい」と、建築確認を出したイーホームズに通報。だが、約1週間後に返ってきた答えは「チェックしたが、おかしくない」というものだった。

 社長がその日のうちにイーホームズを訪れ、構造計算書の異常さを直接説明したことで、イーホームズはようやく内部調査に着手したという。

 一方、イーホームズは内部調査の過程で、別のマンションでも偽造の疑いがあることに気づき、建築確認を出した指定確認検査機関「東日本住宅評価センター」にも10月28日、物件名を挙げて「改ざんの疑いがある」と指摘したが、同センターも当初は「改ざんは見つからなかった」と回答。

 こうした経緯について、国交省は、ERI、イーホームズ、東日本に報告を求めているが、その同省自身も10月26日、イーホームズの藤田東吾社長から「計算書が設計者により意図的に改ざんされた事実が発覚した」と担当者がメールを受けながら、いったんは「個別の案件は報告の必要がない」と返信し、藤田社長から面談で事情を聞いたのは2日後だった。北側国交相にも11月15日まで報告しておらず、偽造情報に対する“初動”の遅れが判明している。

新たに大阪市のホテルでも強度偽装が判明 12/05/05(朝日新聞)

 ホテルやマンションの耐震強度偽装問題で、大阪市は5日、同市淀川区のビジネスホテル「ヴィアイン新大阪ウエスト」(11階建て、435室)の構造計算書が改ざんされていたと発表した。同ホテルは5日から営業を休止した。一連の偽装が発覚する中、市住宅局は構造計算書の体裁などをチェックしただけで「安全宣言」を出していた。

 同ホテルは、設計を担当した平成設計(東京)が姉歯建築設計事務所に構造計算を依頼していた。大手ゼネコンの大林組(本店・大阪市)が施工を元請けし、自己破産した木村建設(熊本県八代市)が下請けした。

 大阪市は先月24日、姉歯建築設計事務所による構造計算書の偽造が発覚したのを受けて調査を行い、いったん「安全性が確保されていることを確認した」と発表した。

 しかし、ホテルを経営するJR西日本の子会社「ジェイアール西日本デイリーサービスネット」が民間検査機関に依頼して調べた結果、構造計算書の数値に疑問点を発見。12月1日、同社から連絡を受けた市が再調査し、一部に改ざんがあることを確認した。建築基準法に適合しているか、改めて調査する。

 市住宅局の菊植潤・建築指導部長は5日午前に記者会見し、「構造計算には費用も時間もかかる。構造計算プログラムそのものを改ざんしているとは想像できなかった。改ざんが見抜けず申し訳ない」と謝罪。1日に同社から連絡を受けたにもかかわらず公表が4日後になったことについて「民間の専門業者と相談していた」と釈明した。

耐震強度、「中間検査」を厳格化へ…国が制度見直し 12/05/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、民間の指定確認検査機関などは建築確認だけでなく、工事期間中に行われる「中間検査」でも鉄筋不足などを見逃していた。このため国土交通省は、中間検査をより厳格に実施するよう制度を見直す方針を固めた。

 “形骸(けいがい)化”も指摘される中間検査が適正に行われているかどうかを事後点検するため、検査内容を写真などで記録保存することを義務付けるほか、現在は自治体により分かれている中間検査の運用を全国で一律化する方針だ。

 建築工事中の中間検査は、阪神大震災などで手抜き工事の横行が発覚したことを受け、1998年の建築基準法改正で導入された。鉄筋不足など、建物完成後の「完了検査」では発見しにくい不正もチェックできるため、欠陥建築防止に効果があるとされている。

 今回の問題では、姉歯秀次・1級建築士(48)による強度偽装が最初に判明した完工済みマンションやホテル14棟のうち、12棟の中間検査は「イーホームズ」(東京都新宿区)が行った。しかし同社は中間検査でも鉄筋不足などを全く見抜けなかった。また同社以外の指定機関も、中間検査で偽装を見逃しており、中間検査が事実上、“形骸化”している実情が浮き彫りとなった。

 このため国交省は今後、確認検査機関などが中間検査を行う際には、鉄筋の配置状況など重要ポイントを写真撮影し、記録として保存を義務付ける。行政による検査時には、こうした記録をもとに、中間検査が適正に行われていたかを厳しくチェックする方針だ。また中間検査の際には、構造設計を担当した建築士を立ち会わせることも検討している。

 一方、中間検査の実施は自治体に任せられており、秋田、新潟、石川、鳥取、熊本、宮崎、鹿児島県などでは中間検査が全く行われていない。今回も神奈川県藤沢市のマンション(10階、30戸)などでは中間検査が行われていなかった。

 このため国交省は、一定以上の規模の共同住宅などでは、全国一律に中間検査を義務付けるよう、制度を改める方針だ。

ヒューザー・木村建設の偽装物件 立件へ重点捜査 「詐欺」も視野 12/05/05(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で警察当局は四日、「ヒューザー」(東京)と「木村建設」(熊本)が建設、販売した偽装物件を建築基準法(構造規定)違反容疑の立件対象に絞り込み、強制捜査する方針を固めた。ヒューザーは設計事務所に姉歯秀次一級建築士(48)を使うよう指示していた疑いがあるほか、姉歯建築士が木村建設から「圧力を受け、リベートを要求された」と証言したことなどから、二社を単なる関係先としてだけではなく、重点的な捜査対象とする必要があると判断した。警察当局は、詐欺容疑なども視野に入れて調べを進めるとみられる。

 国土交通省は姉歯建築士が構造計算した物件を二百八件把握しており、うち十一都県の四十七件で偽造を確認。姉歯建築士は国交省聴聞会で二十一件の偽造を認めた。

 警察当局は警視庁を中心に千葉、神奈川両県警と合同捜査本部を設置する。警視庁生活安全部では、建築基準法違反を担当する保安課に加え、詐欺事件を担当する生活経済課なども投入の予定で、強制捜査に向けた準備を急いでいる。

 国交省は警視庁を窓口に刑事告発することを決めており、警察当局では二十一件中、警視庁管内の完成済みの九件から、より耐震性が低いものなど数件への立件対象の絞り込みを進めていた。

 その結果、東京都のヒアリングに、九件の設計を担当した設計事務所の一部が「姉歯建築設計事務所を使うようヒューザーに指示された」と証言。国交省の聴聞に姉歯建築士が「木村建設から『鉄筋を減らせ』と圧力を受けた。元東京支店長からリベートを要求された」と話したことなどから、それぞれ主要な建築主と施工者の一つである両社の関係物件を、立件対象に含めることが不可欠と判断した。

 補償問題で二転三転するヒューザーの対応や、建築士をヒューザーに紹介したのが木村建設だった事実などから、「被害者連絡会」を結成するなど、不信感を募らせるマンション住民の感情にも配慮したとみられる。

 ヒューザーは「指示はしてない」と一貫して主張。木村建設は衆院国土交通委員会の参考人質疑で、篠塚明元東京支店長が「(鉄筋を減らせと)言ったかもしれないが、法令順守の範囲内。リベートではなく、架空請求書による営業経費の捻出(ねんしゅつ)」と説明している。

                  ◇

【用語解説】構造規定

 建築基準法20条では、建築物は積載荷重や地震などの振動、衝撃に耐える構造でなくてはならないとして一定の基準を設けている。罰則は50万円以下の罰金としている。

耐震偽造:発覚発端のマンション設計 総研が主導的役割 12/05/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、姉歯秀次1級建築士(48)が構造計算書を偽造したビジネスホテルの開業指導にあたった経営コンサルタント「総合経営研究所(総研)」=東京都千代田区、内河健所長(71)=が、疑惑発覚の端緒になった東京都港区のマンション設計に主導的役割を果たしていたことが関係者の証言や内部資料で分かった。総研側は「(総研が)姉歯建築士の窓口ではない」などとしているが、姉歯建築士に直接指示を出していたことなども判明、両者の密接な関係ぶりが浮かび上がった。

 この物件は、東京都港区の10階建て学生マンション。施工を担当することが決まっていた建設業者が、設計を担当する横浜市青葉区の設計事務所に対し、「工期の早さに定評のある木村建設(熊本県八代市)に協力を呼びかけてほしい」と依頼。同設計事務所は03年秋に木村建設に連絡した。

 同11月上旬、この設計事務所で打ち合わせ会議を開いた際、木村建設のほか、総研の担当役員と、総研の関連会社で木村建設の子会社「平成設計」(千代田区)の担当者、姉歯建築士が来訪。構造計算は既に別の事務所で実施することが決まっていたが、総研の担当役員が「木村を使うなら、セットで構造計算も平成設計でやらせてほしい」と要求したという。

 関係者の証言では、この打ち合わせに先立ち、姉歯建築士が「名刺は個人のものを使ったほうがいいか」と相談したところ、総研の担当役員が「平成設計の名刺を使え」と指示したという。実際に姉歯建築士は、平成設計の1級建築士とした名刺を渡していた。

 姉歯建築士が設計した構造計算書はこの後、04年1月に指定確認検査機関「日本ERI」(東京都港区)が建築確認。しかし、横浜の設計事務所が「姉歯建築士の態度がいいかげんだった」として同2月、東京都渋谷区の構造設計事務所「アトラス設計」(渡辺朋幸社長)に相談した。同3月、渡辺社長が同席して姉歯建築士に構造計算書のずさんさを具体的に指摘。総研の担当役員は「そんなはずはない」と突っぱねたが、姉歯建築士は「外注に出していたので間違えました」などと認めたという。

 こうした経緯について総研側は国土交通省で開いた2日の会見で「姉歯建築士は、平成設計が連れてきた」などと説明。一方、平成設計の関係者は毎日新聞の取材に「総研がいつものメンバーを集めた。打ち合わせの連絡調整も、すべて総研の役員がやっていた」と証言している。【吉永磨美、種市房子、大平誠】

耐震偽造:総研が経営指導のホテル、次々と営業休止 12/05/05(毎日新聞)

 耐震データの偽造問題で、姉歯秀次1級建築士(48)が関与したビジネスホテルの経営指導に、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)があたっていた。主な設計者は、総研の関連会社「平成設計」(同)で、姉歯建築士に構造計算を依頼。これまでに全国でホテル約30軒が営業休止に追い込まれている。総研は偽造関与については全面否定しているが、ホテルの建築主らからは「コンサルタントとしてきちんとした業者を紹介すべきだ。責任を持って業務をやっていたとはいえない」と憤りの声が上がっている。

 総研は1956年、内河健所長(71)が創業。最近では「6カ月工法」を提唱し、10階建て程度のホテルを約半年で建設することを売りにしていた。コンクリートを流し込む型枠を外国から輸入し、ベッド、机などもすべて輸入しコストダウン。これまでに約230件のビジネスホテルのコンサルタントをした。平成設計は、木村建設の木村盛好社長の妻が社長を務めている。

 愛知県が4日、偽造を特定した「センターワンホテル半田」(愛知県半田市)を運営する半田電化工業。中川三郎社長は、地元の建設業者から00年末〜01年初めに総研の内河所長を紹介された。当時、製造業からの業態転換を図っており、「素人なので分厚い資料を見せられすっかり信用した」と言う。総研が手がけたホテルを内河所長と一緒に2、3軒回り、「半年という工期の短さに魅力を感じて決断」、コンサルタント料3000万円を支払った。

 「総研の形態はノウハウだけを教えるのではなく、すべて自分の関連する会社を連れてきて仕事をやらせるというものだった。ベッド、机などもすべて関連会社が納入した」と、関連会社との密着ぶりを語る。

 「岡崎サンホテル」(愛知県岡崎市)の渡辺良江社長らによると、旧東海銀行の営業担当者から総研を紹介されたという。「設計業者は地元の業者に依頼しようとしたが、『設計は任せられない』と総研が用意した」と、総研が平成設計を指定したことも明らかにした。

 子会社の「京王プレッソイン」チェーン3棟で耐震強度が不足した京王電鉄。同社がレストランなどを併設しないタイプのホテル事業に乗り出した97年ごろ、総研が東京都内で開いた事業研究セミナーに担当者が出席。その後、99〜00年ごろから、コンサルタントを受け始めたという。木村建設や平成設計も総研から紹介された数社の中に含まれていた。

 この2社の組み合わせで、02年から相次いでホテルを開業。これまでに茅場町店、五反田店、池袋店の計3件で偽造が発覚している。【高塚保、安達一正、長谷川豊】

「木村建設子会社から鉄筋減要求された」広島の設計事務所証言 12/04/05(読売新聞)

 北九州市八幡西区のビジネスホテル「アルクイン黒崎」の構造計算書が無断で差し替えられた問題で、最初に構造計算を請け負った広島県内の設計事務所は28日、「平成設計(東京都千代田区)に計算書を渡したら、『鉄筋や鉄骨の量が多すぎる。高くつくからもっと減らせないか』と持ち掛けられた。断ったら他社のものに替えられた」と証言した。

 設計事務所によると、昨年6月20日、木村建設(熊本県八代市)の子会社の平成設計から、「アルクイン黒崎」の構造計算を受注した。途中で平成設計の担当者から「もっとコストを下げられないか」と注文が付いた。「安全面から考えてこれ以上コストダウンはできない」とやり直しを断ったところ、「別の設計会社にさせる」と言われたという。計算書は平成設計に納めたが、同社から支払われた金額は当初契約より数十万円下げられたという。

 平成設計はその後、建築主らには無断で、構造計算を姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)に発注。再計算させた構造計算書を民間検査機関に提出し、同10月に建築確認が下りた。しかし、当初より1階の柱が細くなっており、耐震強度は70〜80%に下がっていた。

耐震偽造:千葉・市川のマンションで入居者説明会 12/04/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造が確認された千葉県市川市の分譲マンション「グランドステージ下総中山」(9階建て、23戸)の入居者説明会が4日、市川市役所で行われた。事業者側は耐震強度(基準値1)は0.73などと事実関係を説明したが、解体や補強など今後の具体的な対応は一切示さなかった。住民は11日の次回説明会までの回答を求めた。

 事業者側からは建築主「ヒューザー」、民間確認検査機関「日本ERI」、施工した「太平工業」の担当者ら計9人が出席。ヒューザーの意向で、破たんした木村建設(熊本県八代市)が下請けとしてかかわったことなどが明らかにされた。

 同マンションは、社団法人「日本住宅建設産業協会」(神山和郎理事長)の「優秀事業賞」を03年に受賞している物件。先月27日、ヒューザーが「ERIが『問題なし』と報告してきている」と住民に伝えた2日後の29日に偽造が発覚した。【森禎行】

偽装マンション住民の悲哀 のしかかるローン、引越し 12/04/05(朝日新聞)

 分譲マンション「グランドステージ住吉」(東京都江東区)の中層階に住む会社員(38)の一家が4日、まだ真新しい部屋から引っ越す。

 耐震強度が偽装され、強い地震で倒壊する恐れがある。約100平方メートルの3LDK。夫婦で何十件と物件を見て回り、慎重に、吟味して買ったつもりだった。

 専業主婦の妻(34)と小学2年の長女、幼稚園の次女の4人暮らし。転勤族で、千葉、埼玉、大阪などで賃貸暮らしを長く続けてきた。

 そろそろ異動も落ち着きそうだからと、妻が育った江東区で物件を探した。長女はすでに転居を7回経験していた。「最後のお引っ越しだよ」と話し、春に入居した。

 ヒューザーという名は部屋を探し歩く中で初めて聞いた。準工業地域なので土地が安い。キッズルームなど共用施設は造らない。その代わり広くて安い――。営業マンは説明した。

 67戸の新築マンションで、トイレのオプション代などを含めて約4200万円の部屋を選んだ。35年ローンで約4000万円の借金。今の返済額は月約10万円、ボーナス時は30万円だが、いずれ増えていく。

 思えば施工の粗さは目立った。扉に傷がある。壁に接着剤の跡が残り、壁紙はよれていた。水が漏れたという話も他の入居者から聞いた。

 「でも、まさか構造そのものが不良品とは思いませんでした」。気になる点を指摘した際、ヒューザーや施工した木村建設の対応は悪くなかったからだ。

 入居から半年。こだわって買ったガラス製のダイニングテーブルが届いた日の翌日に、偽装問題が明るみに出た。

 妻は怖いのでなるべく家にいないようにしている。夜は家族全員で近くのビジネスホテルへ。2室とって泊まり、マンションに戻るのは朝と夜の食事の時だけだ。

 新たな転居先はインターネットで賃貸物件を探し、すぐ契約した。77平方メートルの3LDKで自己負担は7万円。勤務先が特例として社宅扱いで借り上げてくれた。

 耐震強度偽装問題は連日報道され、自宅のベランダがテレビに映る。娘たちは事情を知らずに「うちだ、うちだ」と喜んだ。だが、やっと住み慣れたマンションから転居しなければならないと聞き、長女は「ママ、また引っ越し?」と悲しそうな顔をした。「親を困らせてはいけないと思うらしく、あまりだだはこねません。それがいじらしくて」と妻は言う。まだ2年生なのに、今度が3度目の転校になる。

 11月23日夜、マンションの住民説明会。次々出る要望にヒューザーの小嶋進社長は「わかりました」と二つ返事で答えた。3日後、「すべての部屋を購入価格の106%の価格で買い取る」という内容の文書が来た。このうち6%分は引っ越し料や諸費用、迷惑料などとなっていた。だが、その2日後には「引っ越し代、(仮住まいの)家賃は負担しない」という内容の紙が郵便受けに入っていた。

 「何言ってんだよお!」。11月29日、国会の参考人招致で小嶋社長が怒声を上げるのを夫は他の住民たちとテレビで見た。「信用できない」。怒りがこみ上げた。

 背負ったローン、倒壊の恐れがあるマンション、家族の生活……。これからどうなるのか。

 ヒューザーが買い戻すか建て替えるのが筋だと初めは思った。今は、同社にもはやそんな力はないだろうと感じている。

耐震偽造:姉歯建築士、頼まれない物件も惰性で偽造 12/04/05(毎日新聞)

 耐震データを偽造した姉歯秀次1級建築士(48)が「偽造を要求されていない物件でも、勝手に構造計算書を改ざんした」と周辺関係者に打ち明けていたことが分かった。計算過程を簡略化する目的だったといい、日常的に偽造を強いられていた姉歯建築士が、一部の物件では惰性で改ざんを繰り返していた実態が、初めて明らかになった。一方で、偽造要求については「すべて木村建設(熊本県八代市)の篠塚明・東京支店長から」と話しているという。

 11月29日の衆院国土交通委員会への出席を拒否するなど、姿を隠している姉歯建築士に接触した関係者が、毎日新聞の取材に明らかにした。

 姉歯建築士が勝手に偽造したと証言したのは、千葉県船橋市の「第15中央ビル」▽「コルギー・S・船橋」▽「第16中央ビル」の3物件で、いずれもサン中央ホーム(同市)が施工・建築し、04年6月〜05年2月に確認検査が行われた。

 関係者によると、姉歯建築士は「偽造を繰り返すうちに、正規の方法よりも早く計算を終えられるようになった」と説明。「多くの仕事をさばきたかった。(サン社から)偽造を頼まれた事実はなく、謝りたい」と話した。動機については「妻が病気で入院費が必要だった」と語り、サン社以外に自分の判断で偽造を行ったかどうかには、言及しなかったという。

 また、姉歯建築士は、ヒューザー(東京都千代田区)とシノケン(福岡市)の物件の偽造について「すべて篠塚支店長を通じて要求された」と話し、「法律違反なのでできない」と断ったが「それでもやれ」と言われ「仕事の9割近くが木村建設絡みで、従わざるを得なかった」と強い圧力を明かしたという。

 篠塚支店長は国交委の参考人質疑で「(鉄筋を減らせと)言ったかもしれないが、あくまで法令を守るという了解があった」と述べている。【篠原成行】

中国新聞(12/04/05)より

「住」が危ない 耐震強度偽造 (中)

中国新聞(12/03/05)より

「住」が危ない 耐震強度偽造 (上)

中国新聞(12/03/05)より

耐震強度偽造マンション 設計図の提供拒否 太平工業、契約者に

国交省、姉歯建築士に週明けにも告発状 捜査本部設置へ 12/03/05(産経新聞)

 耐震強度偽造問題で、国土交通省は2日、週明けにも建築基準法違反容疑で姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)一級建築士(48)の告発状を警視庁に提出する方針を固めた。同日午後、警察庁は警視庁、千葉、神奈川両県警の担当者を都内に集め、問題発覚以来初めての合同会議を開き、警視庁と両県警が約100人態勢で本格的な捜査を進めることを決めた。

 警視庁は来週中に告発状を受理、両県警と合同捜査本部を設置。全国に広がりを見せる問題に対し、捜査当局は発覚から約3週間という異例の早さで態勢を整備、年内にも強制捜査に着手して刑事責任追及に乗り出す。

 捜査の中心を担う警視庁生活安全部は、部内各課から捜査員の選定を開始。東京都内の物件での立件を前提に、国交省が姉歯建築士に行った聴聞の内容についても既に分析を進めているという。

 この日の会議では、警察庁の担当者が問題の経緯を説明。今後の捜査方針や捜査員の人選など態勢についても協議した。今後も必要に応じて連絡を取り合い、警視庁が窓口となって調整している国交省の告発に備える。

 国交省の調査では、姉歯建築士が構造設計に関与した建築物のうち、11都県のマンションやホテルなど47件の建築確認で構造計算書の偽造が判明。同省は問題物件の建築確認申請を受理した東京都の各区や川崎市などからの告発を取りまとめ警視庁に提出する。

 警視庁などは建築基準法違反容疑で関連先を家宅捜索し、耐震強度が著しく低い建築物から立件した上で、詐欺容疑や文書偽造容疑での立件も検討するとみられる。(共同)

解体費など業界補償、欠陥住宅保険を整備…政府方針 12/03/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、政府は2日、マンションなどを建設した後に欠陥が見つかった場合、解体費用や建て替え費用などを業界全体で賄う保険制度を整備する方針を固めた。

 住宅メーカー向けの損害保険は任意加入だが、耐震強度に問題のある物件が各地に広がっているため、一定規模を上回る建築物の売り主への加入義務付けや、建築業界全体で補償する枠組みを作る。12日に初会合を開く社会資本整備審議会(国土交通相の諮問機関)の専門部会で、保険制度の具体的な内容を審議する。

 新築住宅の基本構造部分を住宅メーカー側が10年間保証する住宅品質確保促進法(品確法)は、欠陥が見つかった場合、購入者が売り主との契約を解除し、支払った代金の返還も求められる。しかし、保険に加入していない場合、巨額の賠償負担で売り主の資金繰りが行き詰まり、代金の返還だけでなく、解体費を居住者が負担せざるを得ない恐れもある。

 現行の保険制度に加入しているのは、中小のマンション業者や工務店が中心で、カバー率は新規着工住宅の約1割に過ぎない。耐震強度偽装が判明したマンションの売り主もこうした保険に加入していなかったため、政府は保険制度を拡充する必要があると判断した。ただ、大手業者は現在、保険に入らず、万一の場合は内部留保で対応しており、強制加入で新たに保険料負担を求められることに反発も出そうだ。

木村建設などにも「おかしい」と通告 神奈川の設計会社 12/02/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装問題で、姉歯秀次建築士の構造計算書偽造を見抜いた東京都渋谷区の設計事務所と神奈川県の設計会社が、検査機関への通報に加えて木村建設やコンサルタント会社の総合経営研究所(総研)にも、姉歯建築士の構造計算は内容がおかしいと通告していたことがわかった。だが、両社はその後も姉歯建築士と多くの仕事を続け、欠陥マンションやホテルが各地に建つことになった。

 木村建設の篠塚明東京支店長は11月29日の衆院国土交通委員会で、姉歯建築士の構造計算について「不具合があるとは考えていなかった」と述べた。総研の内河健代表取締役は朝日新聞の取材に「構造計算の偽造とは全く関係がございません」と文書で回答した。

 設計会社は03年秋、東京都港区の10階建てビルの設計を受注。知り合いから「仕事が早い」と紹介されて姉歯建築士に構造計算を依頼し、設計事務所代表が再計算して不正を見抜いた。設計事務所代表は04年4月、建築確認した日本ERIの担当者に姉歯建築士の構造計算について点検するよう指摘していた。

 設計会社側が姉歯建築士と初めて会ったのは03年11月。神奈川県内にある同社で顔合わせをした。姉歯建築士のほか、篠塚支店長、総研と木村建設の子会社・平成設計の担当者も同席したが、設計会社社長によると、この3社は設計会社の受発注先ではなく、姉歯建築士に「ついてきた」のだという。この場で最も多く発言したのは総研の担当者で、姉歯建築士はほとんど話さなかった。

 姉歯建築士は平成設計の建築士であることを示す名刺を使っていた。

 姉歯建築士の偽装を知った設計会社は04年2〜3月、木村建設と総研の担当者を呼び、姉歯建築士の構造計算には誤りがあり、耐震強度が低いという趣旨を通告した。設計会社によると、呼ばれた担当者たちは黙って聞いていたという。

 総研と平成設計について木村建設関係者は「総研は各地の企業経営者にビジネスホテルの建設を勧め、施工・木村建設、設計・平成設計のセットを指定していた」と話している。平成設計は本社が総研のビルに入居している。

耐震偽造:木村建設のコンサル会社、関係を全面的に否定 12/02/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、多くの建物を施工した木村建設(熊本県八代市、自己破産申請中)の経営コンサルタントだった「総合経営研究所」(略称・総研、東京千代田区)の内河健社長(71)が2日、国土交通省で記者会見し、「姉歯秀次建築士とは会ったこともないし、聞いたこともなかった」と、偽造問題との関係を全面的に否定した。総研側は、姉歯建築士による偽造ホテル(疑惑も含む)16棟の開業指導をし、すべて木村建設の子会社「平成設計」を紹介したことを認めたが「こちらから直接、姉歯建築士を指名したことはない」と強調した。

 会見で内河社長は、姉歯建築士が構造計算をしていたことについて「平成設計が使っていたが、こちらは(平成設計の)下請け(姉歯建築士)までは把握してない」と説明。平成設計とのかかわりは「先代社長と付き合いがある。ホテル設計に手なれており、施主に紹介してきた」と話した。木村建設とは方針の違いで約2年前から付き合いがないという。

 一方、総研社員が03年11月と04年3月の2回、姉歯建築士と会っていたことも判明。その場にいた別の建築士は「姉歯氏の計算がおかしいと指摘した」と証言するが、この社員は「覚えていない」という。【長谷川豊、渡辺暖】

「プラザホテル舞鶴」(鉄筋コンクリート造り8階建て)には宿泊したことがある。 個人的意見であるが、最初からホテルとして設計されていたのかと疑問に思う点があった。 ホテルの個室の配置が良くなかった。建築されてから新しいが、他のビジネスホテルと 比べると劣る点が見られた。しかし、ある個所は贅沢な材質を使っていた。このアンバランスな コンビネーションも印象として強く残っている。

なぜ、このホテルに泊まったのか。安かったから、それだけです。耐震偽装のマンションの 被害者はマンションの立て替えが可能としても、同じ値段で同じ広さの部屋は不可能であることは 理解しなければならない。

このホテルが安かった理由は前の発注者が倒産や完成前に 何らかの理由で手放さなければならなかった等の理由だと思っていた。まさか手抜きとは。

船に問題があることがわかり、造船所(施工者)の過失であると判明した場合、 船を引き取らない。引き取った後に判明した場合、1年の保証ドックの間に直す。もし、 保証ドック中に欠陥を見抜けなかった場合、転売できるのであれば、転売する。これも選択の一つ。 マンションは動かせないから難しいね。

耐震偽装ホテル、舞鶴・京丹後にも 京都府、再計算せず 12/02/05(朝日新聞)

 ホテルやマンションの耐震偽装問題で、京都府は2日、再調査の結果、同府舞鶴市の「プラザホテル舞鶴」(鉄筋コンクリート造り8階建て)と京丹後市の「シティーホテル峰山」(鉄筋コンクリート造り8階建て)の構造計算書が偽造されていたと発表した。いずれも姉歯建築設計事務所が構造計算をしていた。府は11月下旬に再計算せずに「改ざんはなく耐震性に問題はない」と発表していた。プラザホテル舞鶴は2日から営業を休止。シティーホテル峰山も同日夜から休止する。

 府土木建築部は「法令やマニュアルに従って確認したが、問題がないとしたのは時期尚早だった」としている。

 府によると、プラザホテル舞鶴は木村建設の子会社「平成設計」(東京都千代田区)が設計し、鹿島建設関西支店(大阪市西区)が施工、シティーホテル峰山は豊國建設一級建築士事務所(大阪市北区)が設計し、豊國建設舞鶴営業所(舞鶴市)が施工した。それぞれ00年10月と01年9月に、いずれも府が建築確認を出していた。

 鹿島本社(東京都)は「現在、社内で調査中」としている。豊國建設の椋本祐司・大阪本店長は「設計は平成設計に下請けに出したが、姉歯建築設計事務所に孫請けに出されていたことは知らなかった。構造計算書はチェックしておらず、偽造を見抜けなかった」と話した。

 府は11月、建築確認申請書に添付された構造計算書を点検した際は、書面上のチェックのみで、国土交通省認定のソフトに数値を入力する再計算はしていなかった。

 しかし、ほかの地域のホテルなどで偽装が発覚したため、再度、府内のコンサルタント会社に委託してコンピューターのプログラムで構造計算をしている部分について調査したところ、府に提出された建築確認申請書と耐震性能にかかわる数値などが違っていることが分かったという。

 府は、耐震強度が十分かどうかなどを調べ、現地調査もしていく。

構造計算書、姉歯関与の4棟分すでに破棄 12/02/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、姉歯建築設計事務所がかかわり、自治体が建築確認をした4棟について、構造計算書や設計図が保存期間をすぎ、破棄されていることがわかった。国土交通省は同様の破棄例は他にもあるとみており、書類偽造の全容解明は困難との見方を強めている。国交省は、設計関連書類の一定期間の保存を自治体に義務づけるよう省令を改正する方針。

 姉歯氏関与の208件のうち、2日現在で国交省が偽造の有無を「不明等」「調査中」としたのは58件で、この中には4棟以外にも書類が残っていない例があるとみられる。

 建物の耐震性の検証は、図面や構造計算書がなくても、現地調査やエックス線探査で可能。だが、耐震性不足の理由が構造計算書の偽造か手抜き工事かは、書類を見ないと判断できない。

 国交省などによると、自治体に設計書類が残っていないのは、東京都葛飾区の事務所ビルと個人住宅、豊島区のビル、大田区のマンションで、いずれも96〜00年に建築確認していた。大田区のマンションは開発会社に書類が残されていたが、豊島、葛飾区の計3件は設計事務所が倒産したり、ビルの所有者も保管していなかったりしていた。

 建築基準法の運用を定めた国交省令は、建築確認の際に提出される文書のうち、計画概要については、自治体と民間検査機関に永久保存を義務づけている。だが、設計図や構造計算書、施工図は民間検査機関に5年間の保存を義務づけているだけで、自治体についての定めがない。

 各自治体は独自の運用で保存期間を決めており、3〜5年が一般的。だが、1年の例もあり、さらに短くすることもできる。豊島区は5年、葛飾区が3年、大田区が1年で、いずれも保存期間をすぎたため書類を破棄していた。

 設計書類は、設計業者に5年の保存義務があるものの、分譲マンションの管理組合は義務づけられていない。事務所ビルも転売などで図面が不明となる例がある。

 このため国交省は、建築確認制度を見直す中で、自治体に一定期間の保存を義務づけるなどのルール作りに乗り出すことにした。

 保存期間は、新築後10年の補償責任(瑕疵(かし)担保責任)とのかねあいを考えながら検討する。国交省は「欠陥建築の解消には、設計関連の書類をだれがいつまで保存するのか明確にすることが必要」としている。

「姉歯という名、知らぬ」 「総研」所長、関与を否定 12/02/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装問題で、偽装のあったホテルの建築主らに設計・施工業者として木村建設(熊本県八代市)を紹介したとされる経営コンサルタント会社、総合経営研究所(総研、東京都千代田区)が2日、国土交通省で記者会見した。内河健所長(71)は構造計算書を偽造した姉歯秀次1級建築士について「姉歯という名は全然知らない」と述べ、自らは偽装にかかわっていないことを強調した。

 内河所長は会見で、偽装があったホテルのうち16軒は同社が開業指導していたことを明らかにし、「営業休止となり心を痛めている」と話した。姉歯建築士については「(木村建設の子会社の)平成設計が連れてきた。下請けに出していたことは全然知らなかった」と述べた。

 同席した総研幹部は03年11月と04年3月に姉歯建築士に会ったことを認めた上で「建築主に工期短縮の提案をする際に会った。構造計算のことはわからない」と偽装の指示を否定した。

 同社は今回の問題は信頼問題にかかわるとして、近く社員らに事情を聞く調査委員会を発足させる考えを明らかにした。

姉歯建築士らの聴取記録、警察当局が分析開始 12/02/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、警察当局が国土交通省や各自治体から、構造計算書を偽造していた姉歯秀次・1級建築士(48)の聴聞記録や開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)ら建築主3社の聴取記録の提出を求め、分析を始めたことが、2日わかった。

 国交省は、当初公表した完成済みのマンションなど14棟のうち、都内の数棟に絞って、建築基準法違反容疑で姉歯建築士らを警視庁に告発する方針。警視庁、神奈川、千葉両県警は、2日午後に開く合同会議で今後の捜査体制を決め、告発を受理した後、年内にも関連個所の一斉捜索に乗り出す。

 警察当局が提出を求めたのは、国交省による姉歯建築士の聴聞記録や建築主3社の聴取記録のほか、元請け設計事務所からの東京都の聴取記録、千葉県が姉歯建築設計事務所を立ち入り検査した際の姉歯建築士からの聴取記録――など。警視庁などは、こうした記録をもとに、耐震強度偽装マンションの建設に関与した人物などを慎重に見極めている模様だ。

 一方、国交省は11月17日、姉歯建築士が元請けや下請けで設計した20棟のマンションと1棟のビジネスホテルを公表したが、告発対象物件としては、このうち完成済みの14棟にまず限定。その上で、ヒューザーや、建設会社「木村建設」(熊本県八代市、破産を申し立て)、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)などが関係した数棟に絞り込んで、刑事告発することを決めた。

 告発容疑は、「建築物は地震などの衝撃に対して安全な構造のものでなければならない」と規定した建築基準法20条に違反し、耐震強度が不足した建築物を設計した疑い。

強度偽装22ホテル、9割に「総研」「木村」が関与 12/01/05(読売新聞)

 耐震強度の偽装問題で、「姉歯建築設計事務所」(千葉県市川市)による構造計算書の偽造や強度不足の疑いが浮上しているホテル22棟の9割以上に、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)か、設計・施工会社「木村建設」(熊本県八代市)がかかわっていたことが1日、読売新聞の調べで明らかになった。

 両社の密接な関係は国会でも指摘されたが、総研は22棟の開発や施工に携わった業者のうち少なくとも10社の経営指導に当たり、木村建設や同社子会社の「平成設計」(千代田区)を紹介していた。

 強度偽装などの疑いが出ている22棟のホテルのうち3棟は、京王電鉄のビジネスホテル「京王プレッソイン」の「茅場町」「五反田」「池袋」店だが、京王電鉄によると、ビジネスホテル経営への参入を決めた同社も総研の指導を受けた。その中で、姉歯事務所を多くの物件で下請けに使っていた平成設計と木村建設を、設計、施工業者として紹介されていた。

 先月30日に相次いで偽装が判明した愛知県刈谷市の「名鉄イン刈谷」、三重県桑名市の「三交イン桑名駅前」、岐阜県高山市の「カントリーホテル高山」のそれぞれの建築主も、総研の経営指導を受けており、平成設計などを使うよう指導されたという。

 また、長野県松本市の「エースイン松本」の建築主は、総研幹部とホテルの施工を請け負った「窪田建設」(長野県駒ヶ根市)の幹部から、ホテル開業を持ちかけられた。この建築主は結局、総研とコンサルタント契約を結び、「『優秀な会社』として平成設計を紹介された」としている。

 同ホテルを含め、偽装ホテル3棟を施工した窪田建設自体も、総研の経営指導を受けていた。窪田建設は先月28日、長野県内で開いた記者会見で、「構造計算を姉歯事務所に外注したのは平成設計で、窪田建設は問題が発覚するまで知らなかった」などとする弁護士の調査報告書を公表した。

 平成設計は木村建設の100%出資の子会社で、木村建設の木村盛好社長の妻が社長を務める。同時に、総研の「関連企業」とされ、本社を神田の総研本店に置いている。

 総研の内河健所長は、読売新聞の取材に対し、「誠心誠意、仕事をしてきたが、これまで知らなかった一人の建築士により、築き上げてきた信頼を失うことは青天の霹靂(へきれき)」と文書で回答している。

耐震偽造:低層階ほど強度低く危険性高い 国交省が再計算 12/01/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)が偽造した完成済みマンションとホテル計14棟の構造計算書を、国土交通省が再計算した結果、耐震強度が低く危険性が高い部分は低層階に集中していたことが分かった。一般的に低層階の方が高層部分の重量がかかるため強度を増す必要がある。このため同省は、同事務所による構造計算書偽造を見抜く大きなポイントだったと重視。見逃していた元請け設計事務所や確認検査機関の責任を追及する。

 同省は震度6強で倒壊しない耐震強度の基準値を「1.0」(数値が小さくなるほど弱い)として再計算し、建築物の各階ごとの耐震強度も算出した。

 その結果、マンションでは神奈川県藤沢市の「グランドステージ藤沢」(地下1階、地上10階建て)の地下1階が0.28と判明。東京都墨田区の「グランドステージ東向島」(地下1階、地上11階建て)の1、2階が0.31、稲城市の「グランドステージ稲城」(9階建て)では2階が0.33と、多くが低層階で強度が弱いことが分かった。

 本来なら低層階に想定される負荷を減らすために、高層階より鉄筋やくいが多くあてられているはずだが、こうしたマンションでは、鉄筋などが不足していたとみられ、危険な状況だったという。

 また、東京都中央区の「グランドステージ茅場町」(地下1階、地上13階建て)の1〜13階すべてが0.41を記録するなど計3棟は低層階だけでなく、高層階まで地震に非常に弱い構造になっていたことも分かった。

 同省は、姉歯秀次1級建築士(48)の責任を追及する一方、「低層階ほど負荷がかかる」という原則を見逃した他の設計事務所や検査機関に問題があったとみている。

【長谷川豊】

◆強度の弱さが低層階に集中した偽造確定物件(国交省発表)

     物件名      所在地     階数 耐震性 最小値の階

                        (最小値)    

京王プレッソイン茅場町  (東京都中央区) 15階 0.26 4〜6階

ステージ大門       (東京都港区)  9階 0.26 1〜9階

グランドステージ藤沢   (神奈川県藤沢市)10階 0.28 地下1階

グランドステージ川崎大師 (川崎市)    9階 0.30 3階

グランドステージ東向島  (東京都墨田区) 11階 0.31 1、2階

第15中央ビル       (千葉県船橋市) 10階 0.31 3〜5階

グランドステージ稲城   (東京都稲城市) 9階 0.33 2階

グランドステージ住吉   (東京都江東区) 11階 0.37 2〜5階

コルギー・S・船橋    (千葉県船橋市) 9階 0.39 2階

グランドステージ茅場町  (東京都中央区) 13階 0.41 1〜13階

スカイコート西早稲田   (東京都新宿区) 10階 0.43 2、3階

ドルチェ芝浦・弐番館   (東京都港区)  10階 0.44 2〜10階

コンアルマーディオ横浜鶴見(横浜市)    10階 0.56 1階

フォルトゥナ代々木初台  (東京都渋谷区) 3階 0.78 1階 伊藤元長官のパーティー、ヒューザー社長らが発起人 12/01/05(読売新聞)

 耐震強度の偽装問題が表面化する直前、伊藤公介・元国土庁長官の紹介で国土交通省の担当課長に会っていた「ヒューザー」(東京都千代田区)の小島進社長ら、強度偽装マンションの開発業者2人が今月12日に予定されていた伊藤元長官の政治資金パーティーの発起人に名を連ねていたことが1日、わかった。

 伊藤元長官と小島社長らとの密接な関係がまた一つ浮かび上がった。

 伊藤元長官の秘書によると、発起人になっていたのは、小島社長のほか、同様に耐震強度に問題のあるマンションを開発していた「東日本住宅」(新宿区)の桃野直樹社長。発起人は45人で、人選は伊藤元長官自身が行った。パーティーは毎年開いているが、今年は、小島社長らを国交省に紹介の事実が明るみに出たことを受け、数日前に開催期日の延期を決めたという。

 小島、桃野両社長は11月15日、伊藤元長官に伴われ、国交省の担当課長に面会し、国に対応を求めたことが分かっている。

木村建設が破産申し立て、偽装問題がらみの企業で初 12/01/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、多くの偽装物件を施工していた木村建設(熊本県八代市)が1日、東京地裁に自己破産を申し立てた。偽装問題に絡む企業の破産申し立ては初めて。

 代理人の弁護士によると、債権者数は約1069社に上り、負債総額は約57億円。一連の問題による信用不安で21日、1回目の不渡りを出し、木村盛好社長(73)が24日、破産申し立ての意向を表明。25日付で全従業員約180人を解雇した。

 同社によると、東京支店が2002年以降、構造計算書を偽造した姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)に発注した建物は、東京、神奈川、静岡、福岡などで35件に上り、うち2件は未着工。

 また、同社を巡っては、篠塚明・元東京支店長(45)が2002年末ごろから、姉歯秀次・1級建築士(48)に架空請求書を発行させ、同社が姉歯建築士に振り込んだ金を元支店長の個人口座に送金させていたことが判明。元支店長は衆院国土交通委員会の参考人質疑で、姉歯建築士に持ちかけた理由について「信用していたから断られないと思った」と述べ、密接な関係が浮き彫りになった。

 民間の信用調査機関などによると、木村建設は1963年に木村鉄骨工業所として個人創業、77年、現在の社名に変更した。建築工事業では熊本県内トップの売上高を誇り、2005年6月期は過去最高の約127億7400万円。資本金は約1億円。

耐震偽造:刑事責任追及へ合同会議 警視庁と2県警 12/01/05(毎日新聞)

 姉歯(あねは)秀次1級建築士(48)による耐震データ偽造問題で、警視庁と千葉、神奈川両県警は週内にも合同会議を開き、刑事責任の追及に向けた捜査態勢をとる方針を固めた。

 耐震データの偽造が首都圏を中心に全国のマンションやホテルで発覚するなか、警察当局として、広域の捜査に対応できる態勢を早期に確立することが必要と判断した模様だ。

 国土交通省は、姉歯建築士を建築基準法違反容疑で刑事告発する準備を進めており、すでに警視庁の担当窓口との協議に入っている。警視庁と千葉、神奈川両県警は捜査態勢を整えた後、データ偽造が指摘された建物について悪質性などを考慮したうえで立件対象を絞り込む。告発の準備ができ次第、合同捜査本部を設置して本格捜査に着手するとみられる。

「不正知りながら放置」不備通報の業者、ERIを批判 12/01/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、2004年4月の段階で姉歯秀次・1級建築士(48)による構造計算の不備に気付き、民間の指定確認検査機関最大手「日本ERI」(東京都港区)に通報していた横浜市内の設計会社社長(47)が読売新聞の取材に応じた。

 社長は「ERIは不正を知りながら放置した」などと、ERIの当時の対応を批判した。

 この社長によると、社長は03年春、港区内のオフィスビル(10階建て)の設計を受注、構造計算書は別の設計業者(44)が作成した。しかし03年秋、施工会社が「これでは高すぎる。コストダウンが必要だ」と主張。

 その後、「木村建設」の東京支店長、コンサルタント会社「総合経営研究所」(東京都千代田区)の幹部が姉歯建築士を連れて来て、「この男なら安くなる」として、姉歯建築士による構造設計のやり直しを提案した。ERIは04年1月、姉歯建築士が作成し直した構造計算書などを審査し、建築確認を出していた。

 しかし、ビルの総工費が約7億円から約3000万円も安くなったことを不審に思った社長が、姉歯建築士の計算書を設計業者に点検させたところ、地震の力を約4分の1に減らして計算していたことが判明。社長らはERIを訪れ、「単なる計算ミスではなく、作為的なものだ。他の物件も調べた方がいい」と強く対策を求めたが、その後、ERI側からは何の連絡も来なかったという。

 姉歯建築士の計算書を点検した設計業者は「目を疑った。この規模の建物なら柱は最低一辺90センチは必要だが5〜10センチも細かった」と読売新聞に証言している。

 この設計業者は今年10月、姉歯建築士が関与した都内のマンションの設計図を見る機会があり、計算書の偽造を確信、建築確認を行った民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)に通報して、問題発覚につながった。

 昨年4月以降に着工された物件で、構造計算書の偽造が判明しているマンションやホテルは少なくとも15棟。社長は「もし1年半前に真相を解明していれば被害の拡大を抑えられたのではないか」と話している。

 ERIは「応対者が、上司に報告する必要がないと判断したようだ。結果として被害を拡大させ申し訳ない」としている。

「ヒューザー面会」行政に影響ない…北側国交相 11/30/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、衆院国土交通委員会は30日、集中審議を行った。

 この中で、自民党の伊藤公介・元国土庁長官が問題公表の2日前、開発会社「ヒューザー」の小島進社長らを国土交通省の担当課長に引き合わせた問題が取り上げられたが、北側国交相は、「(引き合わせたことによって)行政の判断に影響を与えているということは一切ない」と述べた。

 また北側国交相は、国交省で強度偽装を確認している建物が30日現在、8都県で42棟にのぼっていることを明らかにした。

耐震偽造:イー社、告発重視せず 情報提供の社長証言 12/01/05(毎日新聞)

 全国に波及した耐震データ偽造問題で、姉歯(あねは)秀次1級建築士(48)の構造計算書の偽造を見抜いて国指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)に情報提供した東京都渋谷区の構造設計事務所社長(44)が29、30の両日、毎日新聞の取材に答えた。社長は、情報提供後もイー社が「再検査したが問題はなかった」として偽造個所を特定できず、問題を重視していなかったことを証言した。社長が報道機関の取材に応じたのは、初めて。

 この社長は昨年、「姉歯建築士の仕事が信用できない」とデザイン設計事務所に依頼され、姉歯物件の構造設計をやり直したことがある。「ヒューザー」(東京都千代田区)が建築主のマンション「グランドステージ川崎」(川崎市が使用禁止命令を出した「グランドステージ川崎大師」とは別)の構造設計も担当した。

 この川崎のマンションで施工を担当した建設業者から今年10月初旬、着工中の「グランドステージ北千住」(同足立区)について、「構造設計がおかしい」と相談を受けたことが、イー社への情報提供のきっかけだった。

 設計図を社長が取り寄せて見たところ、鉄骨が少なく柱やはりも一見して細かったため、同月14日ごろに建築確認していたイー社に「構造計算を見直したほうがいい」と電話で連絡した。

 社長はその後、構造計算書も入手して点検。その結果、耐震性を測る項目の一つ「保有耐力」が抜け落ちていたり、耐震数値が計算プログラムの入力数値からはありえない数値になっていた。

 ところが、同21日にイー社から「担当者が再度確認したが問題はなかった」と電話連絡があったため、社長はイー社に乗り込んで、構造計算書を基に具体的な偽造個所を指摘。ようやくイー社は問題の重大性に気付いたという。

 イー社の藤田東吾社長は29日の衆院国土交通委員会で、情報提供を受けて調査を進め、偽造を確認したと説明していたが、同社の再確認でも偽造が見つからなかったことは明らかにしなかった。

 イー社危機管理室は「事実関係を再調査中」と話している。

 一方、昨年春、この社長が構造計算をやり直した姉歯物件でも、社長はやり直し前の建築確認をした「日本ERI」(同港区)に対し、偽造の疑いを告発していた。しかし、ERIも偽造は見抜けず、姉歯建築士を巡る疑惑が表面化することはなかった。【種市房子】

耐震偽造:北海道内の建築物 「日本ERI」が7割審査 12/01/05(毎日新聞)

 マンションなどの耐震強度偽造問題に絡み、民間検査機関が04年度に審査し構造計算書が必要だった道内の建築物のうち「日本ERI」(東京都港区)が審査したものが約7割あることが30日、分かった。同社は29日開かれた衆議院国土交通委員会で、別の検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の藤田東吾社長から、偽造を隠ぺいした疑いがあると指摘されている。1日の定例道議会で大橋晃氏(共産党)がこの問題について質問する。

 一定規模以上の建物を建築する際、建築主は、建築基準法などの基準に適合しているかの確認を検査機関から受けなければならない。道内の場合、検査機関は道と10市ほか、国土交通相か知事指定の民間機関となる。民間機関が審査した3504件のうち、高さや述べ床面積の規模などから構造計算書が必要なものは1981件。うち、日本ERIが審査したものは1324件に上った。

 道は11月24日、公的機関のほか、知事指定の道内の民間検査機関が行った構造計算書の審査方法や体制に問題はなかったと発表している。しかしこれには、国交相指定の日本ERIは含まれていない。【丸山博】

民間検査機関の故意や過失、「市に賠償責任」の判決 11/30/05(読売新聞)

 横浜市港北区日吉本町の傾斜地を利用した地下室マンションの建設を巡り、盛り土をして高さ制限を免れていたとして、周辺住民が建築確認の取り消しを求めた訴訟の判決が30日、横浜地裁であった。

 河村吉晃裁判長は「建築基準法に違反しており、確認処分は違法」として、民間の指定確認検査機関「東京建築検査機構」(東京都中央区)が行った建築確認を取り消した。

 原告側によると、地下室マンションを巡り、建築確認を取り消す判決が出たのは初めて。

 住民は、民間が確認したものでも横浜市に責任があるとして、市に損害賠償を求めていたが、河村裁判長は「検査機関に故意や過失があった場合、確認の権限を持つ横浜市が賠償責任を負う」との判断を示した。ただ、今回の確認処分に「故意や過失はなかった」として賠償請求は棄却した。

 民間の検査機関に対する自治体の責任については、最高裁が6月、「検査機関による確認事務は自治体の事務」との判断を下しているが、さらに賠償責任まで認める判断をした。

 判決によると、高さ10メートルまでしか建築できない現場に、開発会社が大規模な盛り土をして地上3階、地下7階のマンションを建設。地上部分は高さ約9・4メートルだが、盛り土する前の地表から見ると10メートルを超えている。

「姉歯」の耐震強度偽装、千葉・船橋市で3戸目の民家 11/30/05(読売新聞)

 千葉県船橋市は30日、姉歯建築設計事務所が設計した同市内の木造3階建て戸建て住宅1戸で構造計算書の偽装が見つかったと発表した。戸建て住宅での偽装判明は3戸目。

 建築確認を行った民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)は再検査でも、「問題ない」としていたが、市で独自に調べたところ、建物重量を実際の半分に設定して計算し、構造図では基礎部分の鉄筋が必要量より少ないことがわかったという。

「総研」が木村建設に経営指導、コスト削減で利益追求 11/30/05(読売新聞)

 耐震強度の偽装問題で、29日に開かれた衆院国土交通委員会の参考人質疑では、多くの強度偽装マンションを設計、施工していた木村建設(熊本県八代市)と、東京の経営コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」の関係についても取り上げられ、木村建設が総研の経営指導を受け、東京支店を総研所有のビルに入居させていることなどが明らかにされた。

 読売新聞の調べでは、総研は東京都千代田区平河町に本社を構え、ビジネスホテルの開業指導を中心に建設業者向けの経営相談を専門的に行ってきた。関係者によると、主に地方の中小業者を指導。10階程度のホテルを半年で建設する工法を提唱し、タイルなどの材料を海外メーカーから安く買ってコストダウンを図る指導が売り物という。

 所長でゼネラル・マネージメント・コンサルタントの内河健氏は、建設業界で「歯にきぬ着せぬ物言いで利益追求を語る業界のカリスマ的存在」(業界関係者)とされ、業者を対象に各地でセミナーを開いている。

 木村建設東京支店が入る新宿区のビルは、総研が所有。木村盛好社長(73)の妻が社長を務め、「京王プレッソイン五反田」「パークイン平塚」など9件の偽装物件の設計を手掛けた「平成設計」の本社は、東京・神田の総研本店に同居しており、総研のホームページや役員の名刺には、平成設計が「関連企業」として明記されている。

 今年8月に刊行された木村社長の評伝的な書籍の中でも「成長のきっかけになったのは内河氏との出会い」などと記されており、二人三脚ぶりがうかがえる。

 また、総研は、ビジネスホテルの設計で偽装がわかった京王電鉄をはじめ、各地で偽装の疑いが持たれている複数のホテルの開発・施工会社の指導も手掛けたとされる。28日に偽装が確認された奈良県大和郡山市のホテルの建築主は、総研の関連企業「総研ビー・エイチ企画」だった。

 29日の参考人質疑で木村社長は、総研と内河所長の名前のほかは、「内河所長とは1年以上会っていない」とだけ発言。総研の総務担当役員は、読売新聞の取材に「平成設計は関連企業だが、下請けの姉歯建築士のことは全く知らなかった。木村建設も3年ほど前まで経営指導していたが、今は直接の関係はない」としている。

耐震偽造参考人招致 「ふざけるんじゃねえ」 怒声、責任なすり合い 11/30/05(産経新聞)

“自分悪くない”大合唱

 「ふざけるな」「バカヤロウ」−。耐震強度偽造問題をめぐる二十九日の衆院国土交通委員会の参考人招致で、危険マンションを売った「ヒューザー」の小嶋進社長(52)は何度も怒声を響かせた。偽造計算を見逃した「イーホームズ」の藤田東吾社長(44)は「(偽造を)発見できた点は評価してほしい」と自己弁護。多数の業者や機関が複雑に絡み合う問題の真相究明の場は、自己弁護や責任のなすり合いの場と化し、不安な日々を送るマンション居住者は怒りを通り越したあきらめの表情を浮かべた。

 午後一時半、小嶋社長は口を真一文字に結び、報道陣からの問いかけに答えることなく背筋を伸ばして国会の第一委員室へ。質疑が始まると、メモを取ったり、質問する議員を凝視する参考人が多い中、議員の一言一言に首を縦に振り、うなずくしぐさを続けた。

 そしてひとたび、発言機会を与えられると、「ハイ!」と大きな声で挙手。委員の前に立ち、最初は左手を、そのうち両手を上下に振り出し、「(今回の問題は)『正常ではない方』が偽造の計算書を作られたことが原因」「適法に販売しただけ」と自己主張を始めた。

 熱弁は次第にヒートアップ。揚げ句の果てには、三日月大造委員(民主)が国交省が設計者、施工者に聴取した中で「ヒューザーが勝手に動くな(と言った)」という報告があったことを指摘すると「国交省もいい加減にしてほしいですね、まったく!」と怒鳴り、委員長から「感情で答弁はしないように」とたしなめられる始末。

 高木陽介委員(公明)がヒューザーの財務体力に疑問を呈し、計画倒産の可能性を問うと、まじめな顔で「ぶっ倒れるにしても、前向きにきっちりとぶっ倒れる覚悟」と答え、失笑をかった。

 小嶋社長の激情が頂点に達したのは、藤田社長の答弁中。小嶋社長の元へ偽造の事情説明に訪れた件について、「(小嶋社長に)呼ばれたのではなく、こちらから乗り込んで、たださなければならないという意識だった」と発言した藤田社長に向かって「何をいっているんだ、ふざけるんじゃねえよ。バカヤロウ」と資料をひざにたたきつけた。委員長からは「不規則発言を慎むように」。

 一方の藤田社長は、専門用語を駆使しながら正当性を主張。「構造計算は多岐にわたり、発見するのは難しい」との発言には、委員から「できないなら(仕事を)受けるな」などとやじが飛んだ。結局、委員会開催中、小嶋社長と藤田社長は、一度も視線を合わせることはなかった。

 委員会終了後、真っ先に委員室から出てきた小嶋社長。報道陣からの問いかけには答えず、入室したとき同様、口を固く結んだまま、用意された車に乗り込んで国会を後にした。

 この日の委員会質疑に、危険マンションの居住者たちの視線は厳しい。ヒューザーが販売、倒壊の危険性が指摘されているマンションの一つ「グランドステージ住吉」(東京都江東区)。居住者らは、責任転嫁に終始する参考人らに半ばあきれながら、テレビ中継を見守った。

 「自分たちからは遠いことを話している印象がある」と、マンション管理組合理事長の八住庸平さん(42)。居住者の不安を置き去りにして進む委員会の様子に、「こっちは明日や一週間後、退去をどうするなどの問題に直面しているのに、彼らは『あいつが悪い』など責任逃れの発言ばかり。自分たちと何ら関係ないことを話しているようにも聞こえる。唖然(あぜん)とした」と、怒りともあきらめともつかない表情を浮かべた。

民間の検査機関「日本ERI」についても国土交通省は立ち入り検査をおこなう必要がある。 指定確認検査機関「イーホームズ」の発言についての確認が必要だ。

民間の検査機関「日本ERI」がISOを取得しているかは未定であるが、 木村建設はISOを取得していたようだ。国土交通省はISOの認定書をどこが発行したか、チェック するべきだ。内部監査および外部監査の資料が得られる可能性が高い。ISO認定を受けていれば、 マニュアルに従って、木村建設がどのように品質を管理していたのか、(誰が外注先を承認したか、 外注先を承認するために誰(担当)の了承が必要か等)がわかるであろう。

国土交通省も頭を使わなければならない。熊本県もISO認定を行った審査機関に連絡を 取ることをアドバイスする。

耐震強度偽装のホテル「名鉄イン刈谷」解体へ 11/30/05(朝日新聞)

 建築物の耐震強度偽装問題で、名鉄不動産(名古屋市)は30日、構造計算書が偽造されていた同社のビジネスホテル「名鉄イン刈谷」(愛知県刈谷市、162室)について、耐震基準を満たしていないことが判明したため解体する方針を明らかにした。この問題でホテル解体の動きは全国で初めて。

 また、三交不動産(津市)は同日、同社が運営するビジネスホテル「三交イン桑名駅前」(三重県桑名市、138室)について、構造計算書の偽造が見つかったと発表した。どちらのホテルも姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)が構造計算を担当しており、すでに営業を休止している。

 名鉄イン刈谷は木村建設(熊本県八代市)が施工し、03年5月に開業した。愛知県知立建設事務所が02年8月に建築確認をしており、県は構造計算書の偽造を見逃していた。

 愛知県が外部の専門家に依頼して行った構造計算書の再計算で、必要な耐震強度が保たれておらず、地震の際に倒壊する恐れがあることが判明。これを受けて名鉄不動産は対応を検討していた。

 同社によると、ホテルの営業は直ちに廃止し、建物は安全のために速やかに解体する。あらためて現地にホテルを建て直し、営業を再開したいとしている。

 記者会見した名鉄不動産の高崎裕樹・企画事業部長は「大変残念な結果になった。補強で対応することも考えたが、ロビーに柱や壁を持ってくることが必要で、ホテルの営業形態を損なうことになる」と話した。

 三交イン桑名駅前は02年9月に民間の検査機関「日本ERI」が建築確認をしていた。

耐震偽造:責任の押し付け合い、専門家が警鐘 参考人質疑 11/30/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で29日行われた衆院国土交通委員会の参考人質疑で、偽造の公表に至る経過が明らかになった。入居者の生命の危険に直結する緊急の問題にもかかわらず、偽造発見から公表までに1カ月近く要した。偽造を見抜けなかった検査機関、公表の先延ばしを図る建築主、危機感の薄い担当官庁。それぞれが責任を押し付け合い、「住民不在」が見え隠れする現状に、専門家は警鐘を鳴らした。【木村健二、桐野耕一】

 ◇「偽造」の情報

 国土交通省が問題を公表したのは今月17日。しかし、指定確認検査機関「イーホームズ」(藤田東吾社長)が偽造を認識したのは10月20日だった。「ヒューザー」(小嶋進社長)が建築主で着工中のマンション「グランドステージ北千住」の構造計算書について、ある構造設計家から「偽造の疑いがある」との情報を受けたのがきっかけだった。

 藤田社長によると、イー社は22日、ヒ社に電話で「偽造物件なので工事を止める必要がある」と連絡。24日には国交省がイー社に立ち入り検査をしたが、同社は「事実確認がまだ」として同省に報告をしなかった。

 翌25日、イー社はヒ社と姉歯秀次1級建築士、元請けの設計事務所「スペースワン」を呼び、事情を説明。委員会で藤田社長は「私は出席していなかったが、姉歯建築士が偽造を認め、設計者が激怒したと聞いている」と証言した。

 偽造を本人から確認した藤田社長は26日、国交省の担当係長に「相談したい」とメールを出したが、返事は「課内で検討したが、そちらで解決されたし」だった。

 ◇3時間の激論

 そして、27日午前11時、藤田社長らイー社から3人、設計事務所の4社長、姉歯建築士、小嶋社長ら3人の計11人がヒ社に集まり、3時間にわたって対応を協議した。「公表して何の意味がある。他の機関や行政でも見抜けなかったものを公表し、正義を貫いて何の意味がある。それでも公表するなら徹底的にたたく。私は120億円の売り上げがあり、20億円の利益がある。どんな弁護士を使ってでも徹底的にたたく」。小嶋社長は公表を主張する藤田社長に声を荒らげたという。

 これに対し、小嶋社長は委員会で「公表するなと申したのではなく、公表までに相当調べる時間が必要だと言った。3年も4年も前からでたらめな確認業務を行っていたとしたら、徹底的に追及させていただくということを申し上げた」とニュアンスの違いを強調した。

 この協議を経て藤田社長は28日に再び国交省に報告。ここから耐震偽造データ問題が公表される態勢が、徐々に整っていった。

 ◇公表の直前に

 委員会では問題公表の2日前の11月15日、衆院議員の伊藤公介元国土庁長官が同省幹部に引き合わせたことにも言及。質問に立った委員は「幹部に『公表をするのは慎重の上にも慎重にやってほしい』と話したのか」と問われた小嶋社長は、「それは当然お願いした。偽造がどの程度ひどいものなのか、危険度も分からなかった。耐震補強や補修は出来ないのか、建て替えなければならないのか何も分からない状況で公表されたらお客さまにも答えようがない。ひと様の財産になってしまっている物件を、『これはダメだ』というふうに公表されても困るということを申し上げた」と話した。

 偽造公表を巡っては、さらに別の委員から小嶋社長が設計業者やイー社らとの協議の中で、「地震で倒壊した時に調査して発覚したことにしたい。役所にとってもそのほうがいいのではないか」と語ったとされる質問も出た。小嶋社長は「全くひどいねつ造でありまして。私が申したのは、阪神大震災で6000人以上が亡くなり、20万戸の家屋が倒壊し、40万世帯がなくなったが、これはすべて非耐震だったのですかと。耐震構造だった(建築)確認のものがなぜこのように倒れてしまうのか」などと返答した。

 ◇専門家の見方

 では、専門家は参考人質疑をどのように見たのか。

 ヒ社の小嶋社長が、イー社が偽造を見逃したことを厳しく追及する発言を繰り返した。マンション問題に詳しい栄枝(さかえだ)明典弁護士は「建築確認は、住民の安全を守るため本来行政が行うべき重大な業務。その監督責任を国は負っており、ヒューザーはイーホームズと国に責任転嫁するだけでなく、イーホームズを追及することで国から金を出させたいと考えているのではないか」と分析した。

 また、木村建設に関しては「どれだけ鉄筋が必要か限界量を知っているはずなのに、姉歯建築士に『鉄筋を減らせ』と述べたことを認めており、偽造を求める未必の故意の疑いが浮上する」と指摘。偽造を見抜けなかったのは1社だけではないと発言したイー社については「例えれば、駐車違反をしていて、自分だけ駐車違反をしているのではないと言うようなもの。現実はそれよりもっとひどい。無責任極まる」と厳しく批判した。

 「欠陥住宅被害全国連絡協議会」幹事で1級建築士の渡辺寿夫さん(47)は「参考人同士の責任のなすり合いで、何ら住民に希望が持てるやりとりがなかった。3時間も使ったのに、有効な対策を提案する議員がいなかったのも残念だった」と国会議員の勉強不足も指摘した。

 また、構造計算書の偽造を見抜く難しさに触れ「同じ建築士でも構造設計ができるのは10人に1人ぐらいで、ましてや10階建て以上の高層ビルの構造設計ができるのは100人に5人ぐらいではないか」と言う。さらに「だからこそ、性善説に立っている現行の建築基準法の制度を改正し、検査態勢を強化することが必要だ。人間は基本的になまけ者であるという性悪説に立った米国の『インスペクター制度』にならった改正を提案したい」と語る。

 米国の制度は、一つの工事をいくつかの工程に分け、工程ごとに建築審査官の厳しいチェックが入る。基準に満たなければ次の工程に進めない制度になっており、工事の欠陥を防ぐことができるという。渡辺さんは「欠陥があれば隠ぺいを図るのは、業界の体質だ。発注者が一番偉いという構造もある」と嘆いた。

朝日新聞(11/30/05)より

耐震偽装 業者、関与認めず 衆院委 木村側、「圧力」を否定

朝日新聞(11/30/05)より

耐震偽装 参考人6人 核心、食い違う証言「発端は情報」「無関係」イーホームズX日本ERI

朝日新聞(11/30/05)より

民間48社を検査へ 耐震偽装 国土省、年内立ち入り

「姉歯」のずさん設計、昨春に発覚…調査せず放置 11/29/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、衆院国土交通委員会は29日、関係者を招致して参考人質疑を行った。

 この中で、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の藤田東吾社長は、姉歯秀次・1級建築士による強度偽装は、別の建築士が2004年4月の段階で指摘していたことを明らかにした。

 この情報を得たのは、民間の指定確認検査機関で最大手の「日本ERI」(港区)だったが、同社は情報の真偽も確認しないまま見逃し、その後も姉歯建築士が構造計算を行った建物の建築確認を出し、結果的に被害を拡大させていた。

 ERIの関係者は招致されず、参考人質疑後に鈴木崇英社長らが国土交通省で記者会見した。それによると、04年1月に同社でいったん建築確認を出した港区内のオフィスビル(10階建て)について、元請け設計事務所が計画変更を申し出て、横浜市内の建築士が構造計算を見直した。この結果、構造計算の不備が分かり、建築士は同年4月、「前任の姉歯事務所の設計はずさん」などとERIの構造審査担当者に伝えた。

 だがERIによると、この担当者は上司に一切、この件を報告していなかった。また上司の確認検査員も、オフィスビルが計画変更された理由などを確認しなかったという。

 この経緯について「イーホームズ」の藤田社長は参考人質疑で、「当社が偽造に気付く1年以上前に日本ERIによる隠ぺいがあった」とERIを批判。これに対し、ERIの鈴木社長は「隠ぺいの事実はまったくない。(藤田社長を)告訴する準備を進めている」と述べた。

姉歯建築士ら、刑事責任追及も検討と法相 11/29/05(読売新聞)

 杉浦法相は29日午前の閣議後会見で、首都圏のマンションなどの耐震強度が偽装されていた問題で、「将来、刑事責任の追及もあり得る。対応をどうするか法務省として検討していきたい」と述べ、偽装を行った姉歯秀次・1級建築士らに対し、刑事責任を問うことを検討する考えを示した。

 また、建築確認で耐震強度の偽装を見抜けなかった自治体などの責任追及についても、「国と地方の法的責任の果たし方があるのかという点もある」と語り、検討する意向を示した。

偽装発見難しい…自治体悲鳴、システム改善求める声も 11/29/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)による構造計算書の偽造を見抜けなかった自治体から、「現在の確認システムでは、今回のような偽装を発見するのは難しい」として、政府に対し、建築確認のシステム自体を見直すよう求める声が相次いで上がっている。

 再発防止の観点から、検査機関のチェック体制などに加え、建築確認システムの改善についても、国は何らかの対応を迫られそうだ。

 今回の問題では、これまでに、東京都台東区、神奈川県平塚市、長野県、群馬県などが強度を偽装した物件の建築確認をしていたことが判明している。各自治体で構造計算書の再点検を行った結果、台東区は目視で偽造を発見できたものの、大半は、設計に使われたものと同じプログラムを使って再計算してみて、ようやく偽装が判明した。

 構造計算書のチェックに関しては、建築確認業務を行う自治体や民間の指定確認検査機関でつくる「日本建築行政会議」が処理マニュアルを作成しており、同会議企画委員会委員長の平野正利・東京都建築企画課長は「マニュアルに沿ってポイントをチェックすれば、(再計算しなくても)偽装はわかる」としている。

 これに対し、自治体関係者からは「今回のような偽装の場合は、再計算しないと発見は難しい」(長野県松本市建築指導課)という指摘が多く出ている。

 姉歯秀次・1級建築士(48)は今回、構造計算書の数値を一部変えたうえで、間違った結果が出た時に表示されるエラーの文字を消したり、別の数値を変えたりして、全体につじつまが合うようにしていたとみられている。このため、改ざんは、入力された数値などマニュアルの各ポイントを調べるだけではわからず、実際に数値を打ち込み、再計算して初めて見つかったという。

 ただ、「認定プログラムの計算結果を疑うという前提に立つと、今後、検査側は、すべての申請物件について再計算しなくてはならなくなる」(平塚市建築指導課)。それは「事実上、不可能」というのが、各自治体に共通した見方だ。

強度偽装、業者支援は行わず…国交相が方針 11/29/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題に絡み、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)などが公的支援を求めている問題で、北側国土交通相は29日、閣議後の記者会見で「開発業者などへの支援策は考えていない」と述べ、民間事業者への直接支援は一切行わない方針を示した。

 北側国交相は行政として取るべき施策について「まずは完成済みの分譲マンション7棟、計236世帯の居住の安定確保に焦点をあてたい」と述べた。必要な予算措置を取ることも視野に、同日、谷垣財務相、竹中総務相、杉浦法相と今後の対応を協議したという。

 一方、ヒューザーが倒産した場合の対応についても「仮定の話には答えられない」とした。

耐震偽造:「公表前にヒューザー圧力」とイー社長 衆院委 11/29/05(毎日新聞)

 姉歯(あねは)秀次1級建築士(48)による耐震データ偽造問題に関する衆議院の国土交通委員会が29日開かれ、指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の藤田東吾社長や、建築主の「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋進社長ら6人が参考人として証言した。イ社の藤田社長は、国土交通省の公表前の10月27日に、ヒ社の小嶋社長から公表しないよう圧力をかけられたことや、イー社が内部調査を始める前に外部から情報提供があったことなどを明かした。

 参考人として証言したのは、このほか、施工者「木村建設」(熊本県八代市)の木村盛好社長と篠塚明・東京支店長▽「シノケン」(福岡市)の篠原英明社長▽ホテルの建築確認で偽造を見抜けなかった神奈川県平塚市の渡辺貞雄・都市政策部長。姉歯建築士は欠席した。

 藤田社長の証言によると、イー社は社内監査から10月20日に偽造に気づき、22日にヒ社に連絡。小嶋社長から説明を求められたため、27日に藤田社長がヒューザー本社を訪問し、小嶋社長に偽造を公表する方針を伝えた。その際、小嶋社長から「(偽造問題を)公表して何の正義があるのか。公表するなら徹底的にたたく」と言われたという。

 一方、イー社の社内監査のきっかけとなったのは、社外の関係者からの「姉歯物件に気を付けるように」との情報提供だったとした。藤田社長は、この同じ人物から「1年前に姉歯建築士がかかわる物件の確認審査をした別の検査機関は、構造計算書の偽造に気づいたが隠ぺいしたと聞いた」と証言し、この検査機関は「日本ERI」(東京都港区)と明かした。

 これに対し、小嶋社長は委員会の中で、「公表まで調べる時間が必要と言っただけ。たたくとは言っていない」と反論した。また、日本ERIは29日記者会見し、「『姉歯建築士の設計はひどい』と社員が外部から聞いたが、上司まで報告されなかっただけで、隠ぺいとは心外」と説明した。

 日本ERIの鈴木崇英社長らによると、姉歯建築士が構造計算を下請けしたケースを巡り、ある建築士から昨年4月、「(姉歯建築士の構造計算は)ミスがあり、ひどい設計だった」との指摘を受けたことがあったという。同社は「問題を深刻に受け止めていれば、と忸怩(じくじ)たる思いだが、藤田社長の発言は事実と違い、法的対応を検討する」と話した。【長谷川豊、渡辺暖】

耐震偽造:ヒューザー社長にゼネコンも紹介 伊藤元長官 11/28/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題に絡み、伊藤公介元国土庁長官(64)が問題公表の1週間前、建築主の不動産会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋進社長(52)を大手ゼネコンに紹介し、自ら同行して問題マンションの補修に関する相談をしていたことが分かった。補修は難しいとの判断を受け、伊藤元長官は公表2日前、国土交通省の担当課長に小嶋社長らを引き合わせた。伊藤元長官が、業者側に立って、耐震データ偽造問題に介入を続けていた実態が鮮明になった。

 伊藤元長官が29日未明、毎日新聞の取材に明らかにした。

 元長官によると、今月10日、偽造物件とされたマンションの補修を模索していた小嶋社長から「高い耐震技術を持つ大手ゼネコンを紹介してほしい」と電話で依頼された。元長官はその日のうちに東京都内の大手ゼネコン1社を紹介。小嶋社長は翌日、ゼネコンの技術担当者らを千葉県内の問題物件に案内した。社長は週明けの14日、元長官に「補修は難しそうだ」と報告してきたという。

 ゼネコンの広報担当者は「10日に伊藤元長官と小嶋社長が来社し、当社の建築技術者数人と面談。翌日、小嶋社長の案内でマンション建築現場に技術者が行った。『免震化は全く不可能ではないが、詳細な検討が必要だ』と答えた」と説明する。

 元長官は15日、小嶋社長と「東日本住宅」(新宿区)の桃野直樹社長(61)を伴って国交省を訪れ、担当課長と面談している。国交省が耐震データ偽造問題を公表したのは、17日だった。

 伊藤元長官は「早い対応をしないと大変だと思ったし、自分でも事実を確認したいと思い、ゼネコンを紹介し、一緒に国交省にも行った」と説明している。【青島顕】

こんな状態では船の不備についてもそれほど指摘できないかもしれない。

抜き打ちで何件か選び、おなじチェックをすればどのような手順でやっているか、 強度に不備があるのか、確認できると思う。それほど難しいことではないと思う。

費用のこともあるので多くは抜き打ちでチェックできないかもしれない、しかし、 実際に国土交通省が定めた検査ガイド通りにチェックすれば何件かは、引っかかっていたかも しれない。監査のやり方にも問題があるのだろう。

「国交省は『先月26日のイー社からの報告で初めて偽造をつかんだ。 その前に匿名情報で立ち入りしたのは事実だが、定期検査では個別案件まで調べることはできず、 限界がある』と話している。」

このようなありさまでは耐震データ偽造問題は防げない。

耐震偽造:発覚直前イー社に指導 匿名情報で国交省 11/28/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、偽造を見逃していた指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)について、国土交通省が問題発覚の直前に立ち入り検査に入り、帳簿の整備を求める行政指導をしていたことが分かった。イー社の文書管理の不備を指摘する匿名情報が同省に寄せられたのがきっかけだった。イー社はこの直後、社内の定期監査で未着工のマンション4棟の強度が不足していることが分かり、同省に報告している。問題の発覚に匿名情報が絡んでいたのが明らかになったのは初めてで、同省は詳しい経緯を調べている。

 国交省によると、10月初旬、「イー社の帳簿管理はずさんだ」とする匿名の情報提供が同省にあった。これを受け、同省はイー社への定期検査に入ることを決め、事前通告したうえで同21日に立ち入り検査を実施した。

 同省の担当者が情報提供に基づき、確認審査業務を記した帳簿を重点的に調べたところ、帳簿の目録を文書で一覧化していない問題が見つかった。イー社は「コンピューターには保存してある」と説明したが、同省は文書で整備するよう行政指導した。しかし、立ち入りは定期検査のため1日で終わり、個別の案件まで調べることはなく、計算書の偽造は見抜けなかったという。

 一方、イー社の説明では、10月6日に内部監査室が月に1度の社内監査を実施すると関係部署に通知。延べ床面積200平方メートル以上の建築物308件の中から5件を無作為抽出したところ、姉歯(あねは)建築設計事務所がかかわった構造計算に不審な点が見つかった。調査の結果、工事中・未着工のマンション4棟の構造計算書が偽造されていたとして26日、国交省に報告。さらに11月8〜10日、完成済みを含む計16棟について同様の報告をしている。

 同省は、11日から5棟分について独立行政法人「建築研究所」で耐震強度の再計算を実施し、強度が不足していることを確認。同17日、入居者への連絡とともに記者発表した。

 問題把握の経緯について、イー社の藤田東吾社長は18日の会見で、「民間機関だからこそ計算書の偽造が判明した。きちんと検査した証しだと思っており、速やかに公表できた」と説明。国交省は「先月26日のイー社からの報告で初めて偽造をつかんだ。その前に匿名情報で立ち入りしたのは事実だが、定期検査では個別案件まで調べることはできず、限界がある」と話している。【武田良敬、長谷川豊】

民間の確認検査会社のずさんな検査や公務員による甘い検査・チェックの問題は存在する。 違いは結果(被害)が大きいか、小さいか、誰が被害者になるかだけだろう。

公明議員も国交省担当者にヒューザー仲介…偽装公表前 11/28/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題を国土交通省が公表する10日前の今月7日、公明党の山口那津男参院議員(53)が同省の担当者に対し、「民間の確認検査機関の建築確認に問題があり、耐震強度が不足したマンションがあると聞いた」と話し、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小島進社長(52)の話を聞くよう求めていたことが、28日わかった。

 この仲介の結果、小島社長は9日、同省建築指導課の課長補佐と面会していた。

 山口議員によると、今月4日、東京都の区議会議員から「民間の確認検査会社がずさんな検査をしたため、強度不足のマンションを建ててしまった開発会社がある。国交省の担当者に話を聞いてもらえないか」などと相談を受けた。このため、山口議員は同日中に、同省側に「担当者を教えてほしい」と連絡。7日、同省建築指導課の課長補佐から電話があったため、ヒューザー側の話を聞くよう話した。

 その2日後の9日、小島社長が同省を訪れ、課長補佐と面談。この際、小島社長は「今回の件は国にも責任がある」などと話したという。

 国交省でも、山口議員側の紹介で、建築指導課の課長補佐が小島社長と会ったことを認めている。それによると、小島社長は9日、役員とともに同課を訪れ、「建築確認は国の仕事であり、建築基準法に合わないマンションができたのは国の責任だ」などの内容のことを話し、国側を激しく批判したという。

 これについて、山口議員は読売新聞の取材に対し、「ヒューザー社長とは面識がないし、献金なども受けていない。地元からあがってきた苦情について橋渡しをしただけ」と話している。

ヒューザー・小嶋社長 「国にも責任」、国交省に資金援助要請 11/28/05(産経新聞)

「玉虫色でも…」

 「ヒューザー」の小嶋進社長が国土交通省の担当課長に対し、「資金を貸し付ける予定で検討する旨のコメントがあれば助かる」などと文書で要求していたことが二十七日、分かった。

 同省などによると、送付された文書は三通。最初の文書は問題発覚前の十日、担当課長あてだった。このなかで小嶋社長は、偽造を見落とした民間の指定確認検査機関「イーホームズ」などが「責任を問われるのは明白」と指摘。さらに、根拠は挙げずに不適切な審査が蔓延(まんえん)していることを示唆したうえで、「当然ながら刑事責任をも問われる国交省の大不祥事であります。弊社の問題ではなく、国をあげての大問題」と迫った。

 担当課長へは二十一日にも文書を送り、「破産申し立てなどを行うしかない」と、資金援助を要請した。「国にも責任の一端があり、資金的にもヒューザーに貸し付ける予定で検討する旨のコメントなりがあれば助かります。表現は玉虫色でも構いません」と、同省に協力を求めた。

 北側一雄国交相への上申書も提出し、「日本国憲法にのっとり、ご英断を仰ぎたい」としていた。

建築士資格の規制強化――関連3団体、耐震強度偽装の再発防止策 11/28/05(日経産業新聞)

 マンションの耐震強度偽装問題で、日本建築士会連合会(宮本忠長会長)など建築設計関連3団体のトップが記者会見し、再発防止策を示した。建築士の資格更新や建築士会への加入義務づけなどが柱。建築士法の改正も視野に入れる。国土交通省も規制強化を検討中。前代未聞の事件に揺さぶられ、民間開放という世の流れと様相を異にする官の権限拡大が始まっている。

 宮本会長は「同じ建築士としてざんきの念に耐えない」と話し、建築士としての法的責任の明確化や職能意識向上が不正防止につながるとの考えを示した。姉歯秀次・一級建築士は非会員という。全国で働く建築士は実働60万人程度だが建築士会の加入率は10―20%と低い。

 日本建築家協会の小倉善明会長は「建築違反への行政処分が事実上なく、更新制度がない。倫理観を持ち合わせない建築士が生まれる状況があった」と指摘した。

偽装見逃す、イーホームズの検査機関指定取り消しへ 11/28/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、国土交通省は、構造計算書の偽造を見落とした民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区、藤田東吾社長)の指定を取り消す方針を固めた。

 先に実施した立ち入り検査の分析を待って処分手続きに入るが、ずさんな審査による26棟もの偽装見落としが判明しており、厳しい処分は避けられないと判断した。確認検査機関の指定取り消しは初めて。

 国交省の調べによると、耐震強度の偽装が判明したり、その疑いが浮上したりしているマンションやホテルのうち、イーホームズは2003年2月以降、1都3県で計26棟の建築確認を実施している。

 いずれも姉歯秀次・1級建築士(48)が、地震の際に建物にかかる外力の数値を小さくして計算するなど、構造計算書を偽造していたが、イーホームズはそれをことごとく見落としていたほか、併せて請け負っていた中間、完了検査でも、鉄筋の不足などには気付かなかった。

 国交省ではさらに、イーホームズに対する立ち入り検査で、同社が建築確認をした年間約2000件の構造計算審査書類の中から、姉歯建築士が関与していない98件を抽出して検査したが、9割に当たる89件で、計算過程をほとんどチェックしていなかったことがわかった。

 同省は、立ち入り検査の分析がまとまり次第、イーホームズに処分を通告し、弁明書の提出を受けて最終的な処分を決定する。

 イーホームズは99年に設立され、01年に国交相の確認検査機関指定を受けた。11月現在、都内や神奈川、大阪、宮城に8支店があり、確認検査員は29人いる。

耐震偽装建物「解体待って」 捜査に必要、国交省が要請 11/28/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度に関する構造計算書が偽造されていた問題で、国土交通省が、偽造のあった建物の取り壊しを急がないよう、関係自治体に要請していたことが、27日わかった。近く警視庁に告発状を出した後、本格的な捜査が始まった時に備えて、証拠として残しておく必要があるという。真相究明と、損害補償や防災面の必要性をどう調整するかが今後の課題となるが、すでに解体や建て替えの動きが出ており、保全期間が長引けば、関係者から不満が出る可能性もある。

 国交省によると、問題の発覚後、構造計算書を偽造した姉歯秀次1級建築士(48)の刑事告発を警視庁に相談した際、「捜査が始まるまで、建物の解体は急がないでほしい」との要請があった。これを踏まえ、同省は25日にあった関係自治体との連絡協議会で、3都県の計15自治体に対し、建物解体命令の慎重な運用を求めたという。

 建物の設計書類の偽造は建築基準法違反の疑いがある。刑事事件として警察が捜査するには、構造設計書や構造計算書などの書類を見て改ざんを調べるだけでなく、実際の建物についても現地を見たり、エックス線撮影したりして、耐震強度を確認する必要があるとみられる。

 姉歯建築設計事務所がかかわった全国各地のホテルやマンションで、書類の偽造が次々に見つかっている。未完成も含めて計30棟を超え、国交省の要請対象となる自治体数はさらに増える可能性がある。

 一方、工事中の建物は放置すると危険なことから、地元自治体は早急な解体を開発業者に求めている。また、震度5強程度で倒壊の恐れのある完成済みの建物は、分譲で買った入居者住民らへの補償のため、売り主の開発会社が建て替えの方針を表明したり、防災のため、自治体が所有者への解体命令を検討したりしている。

 耐震性に問題がある建物の関係者からは早期解体を求める声が強い。

 不動産会社シノケン(福岡市)が建てた東京都港区芝大門2丁目のマンション「STAGE大門」がある町内会の菊嶋宏会長は、「いつ地震が起きて崩壊するかもわからないマンションのそばに住む住民は、時限爆弾を抱えているようなもの。早急に解体し、早く安心して暮らせるようにしてほしい」と話す。

 国交省は12月初めにも、警視庁に告発状を提出する方針でいる。これを受けて、捜査が本格的に始まる見通しだ。

 国交省は「偽造のあった建物を急いで取り壊すと捜査に支障をきたす恐れがある」とする一方、「危険な建物を長く残しておくのは、防災上望ましくない」としている。ただ、所有者などの撮影した建物の写真が、代わりの証拠となれば、早めに解体できる可能性もある。国交省は各自治体に、倒壊の恐れのある建物からの全住民の早期退去など、捜査と解体への備えを急ぐよう求める。

耐震偽造:ヒューザーの買い戻し案、実は住民に連帯債務 11/27/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、震度5強程度で崩壊の恐れがあるマンション7棟の建築主の不動産会社「ヒューザー」(東京都千代田区)が提案した買い戻し案は、同社が倒産すれば、所有権を失った入居者にローン債務だけが残る極めてリスクの高い提案であることが分かった。法律家は「この『買い戻し』案に基づき、安易に契約することは非常に危険」と警告している。

 7棟はすべて分譲型で、東京都と神奈川県に集中。同社は当初「資金がない」などと買い戻しには応じず、建て替えか補修で対応するとしていたが、26日に態度を急変、全戸の入居者に「106%で買い戻す」との提案文書を示した。

 この文書によると、ヒ社は入居者が支払った購入金額の6%を「契約手付金」として支払い、所有権を同社に移すことで、購入費の頭金分を来年3月に支払う▽ローンの支払いは「契約日以降はヒューザーが重畳(ちょうじょう)的に引き受け、すべて責任を負う」などとしている。

 マンション問題に詳しい栄枝(さかえだ)明典弁護士は、この文書などから買い戻し案を分析。その結果、ローン債務は、同社と入居者が連帯して負う仕組みになっていた。栄枝弁護士は「通常の買い戻しなら、入居者に購入金額の全額を支払うか、ローン債務の全額を引き受けるかして、入居者の負担を消すことが原則。ところが、この案では(住民にも債務が残る)『重畳的』とあり、ヒューザーが倒産すれば、入居者が残ったローンを支払わなければならなくなる」と指摘。さらに、「銀行は二重ローンを嫌うため、新たなローンを組めなくなるだろう。20〜30年間も賃貸生活を強いられるうえ、ヒューザーの倒産におびえる生活では、なんのためにマンションを購入したのか分からない。あまりにもむごい」と話している。

 これに対し同社広報部は「『負担付き買い戻し案』と考えており、それ以上はまだ明確な段階ではない」とし、「建て替えは資金調達が難しいと判断した」と説明した。【桐野耕一、遠藤和行】

 ◇「来月にも倒産」…国交省あて文書

 ヒューザーが、12月末ごろの倒産を示唆する文書を国土交通省に提出していたことが分かった。文書は今月24日付で、国交省建築指導課長にあてた。

 文書は、同社の小嶋進社長名で「全(すべ)ての営業及び入金がストップし、解約金及び賠償金などの出金のみとなっております。いよいよこのままでは、来月の末を目処(めど)に倒産を余儀なくされております」とし、金融機関へのあっせんなどを求める内容となっている。

強度偽装の分譲マンション、公庫融資の返済猶予認める 11/28/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、マンション住民の支援策を検討している国土交通省は27日、住宅金融公庫の融資を受けて住宅を購入した住民に、返済期間の延長などの措置を取る方針を決めた。

 国による初の具体的な住民支援策だが、問題の分譲マンション(約230戸)居住者のうち公庫融資利用者は1割未満の14世帯で、同省は民間の住宅ローン利用者らへの支援策も検討する。

 今回の救済策は、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)が販売した7棟の分譲マンションを購入し、数千万円の長期ローンを抱える住民が対象となる。

 同省では「住民救済は建築主が無償で建て替えなどに応じる瑕疵(かし)担保責任を果たすことが先決」としているが、ヒューザーなど一部建築主の今後の対応や資金力は不透明だ。このままでは住民の生活再建に時間がかかり、余分な負担を強いられる恐れもあるため、援助策を検討していた。

 住宅金融公庫法の規定では、公庫融資を受けた者が、災害などで返済困難になった場合、返済条件を変更できる。

 政府は1998年、バブル後の不況で企業倒産が相次いだため、勤務先の倒産などで返済困難になった人を対象に、〈1〉返済期間を最長10年(のちに15年)延長〈2〉元金返済の3年間猶予――を閣議決定。今回はこの適用範囲を広げるもので、欠陥住宅問題での適用は初めてとみられる。

耐震偽造:全従業員を解雇 経営破たんの木村建設 11/27/05(毎日新聞)

 経営破たんした「木村建設」(熊本県八代市=木村盛好社長)は全従業員約180人を解雇した。裏金づくりに協力させるなど姉歯秀次1級建築士との不透明な関係が取りざたされる東京支店長も解雇されたが、役員にはとどまる。同社は早ければ月内にも熊本地裁に破産を申し立てる。

 姉歯建築士に構造計算を依頼していた同社は急速な信用低下で、21日に手形不渡りを出し資金繰りが悪化。同社代理人弁護士によると、従業員の1カ月分の給料を払うのがやっとといい、債権者に配分する資金確保などのためから、破産申し立てを前に25日付で全従業員を解雇した。【山田宏太郎】

耐震強度算定、木村建設資料出さず…自治体確定難航 11/27/05(読売新聞)

 耐震強度の偽装が判明したマンションやホテルのうち、「木村建設」(熊本県八代市、木村盛好社長)が施工した計9棟を巡って、最終的にどの程度の耐震強度があるのか、各自治体の確定作業が難航している。

 破産申請の方針を表明した同社が、強度算定に必要な書類の提出に応じないためだ。

 自治体が建築基準法に基づき、住民らに使用禁止命令を出すには、強度の確定が不可欠。確たる根拠を得られないまま命令を出せば、行政訴訟で敗訴する可能性もあり、国土交通省幹部も「施工会社としての責任を果たすべきだ」と指摘している。

 国交省では、今回の問題が発覚してから、完成済みの14棟と工事中の3棟について、設計段階の図面を基に耐震強度を計算し、必要な基準の26〜78%しか満たしていないことを発表した。

 だが、施工段階になってから設計が変更されるケースも少なくなく、国交省が算出した強度が本来の値と異なる恐れがある。

 このため各自治体では独自に、元請けの設計会社や施工会社に再計算を求めるとともに、最終的にどのような建物になったかを示す「施工図」をもとに、月内にも耐震強度を確定するため作業を急いでいる。

 横浜市が26日に使用禁止命令の発令を決めた横浜市鶴見区のマンションの場合も、施工した開発会社「ヒューザー」から施工図などの提出を受けて再計算した結果、耐震強度は、国交省が算出した56%を大きく下回る41%だったことが判明した。

 国交省が耐震強度を計算した建物のうち、木村建設が実質的に施工したのは「グランドステージ東向島」(東京都墨田区)や、「フォルトゥナ代々木初台」(渋谷区)などマンション8棟と、京王電鉄の子会社が運営するホテル「京王プレッソイン茅場町」(中央区)。

 破産申請の方針を表明した木村建設は現在、業務停止中で、本社や東京支店などは閉ざされ、各自治体では、同社担当者とほとんど連絡が取れない状況が続いている。

 グランドステージ東向島がある墨田区では、国交省から耐震強度に問題のあるマンションがあるという連絡を受けた後の今月11日、木村建設東京支店に、設計資料の提出を求めた。その後も、再三、電話で催促したが、同社の担当者が姿を見せたのは24日。

 しかも、持参してきた資料は、震度3〜4の中程度の地震についての耐震性を計算しただけの内容で、震度5以上の地震に対する耐震性を示す資料は欠けていた。その後は、同社と全く連絡がとれなくなっている。

 神奈川県藤沢市でも、同社が施工した「グランドステージ藤沢」を巡って、今月11日に木村建設東京支店に連絡し、施工図や施工写真などの提出を求めた。正式な要請文も郵送したが、返答がなく、24日になって担当者が電話で「支店に入れない。入れるようになれば関係資料を送る」と伝えてきただけだという。

 木村建設では、「事業停止で事務所を閉めていたため、対応できなかったのかもしれない。週明け以降は国交省に連絡先を伝え、いかなる要望にも応えたいと思っている」としている。

         ◇

 木村建設の代理人の弁護士によると、同社は26日までに従業員全員を解雇したという。同社は21日に1回目の不渡りを出し、近く熊本地裁に破産を申し立てる方針を明らかにしている。

国交省検査は限定的 イーホームズ検査で見抜けず 11/27/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度に関する構造計算書の偽造を見過ごした民間検査機関イーホームズ(東京都新宿区)に、国土交通省がほぼ毎年、定期的に立ち入り検査をしながら、同社の審査態勢の不備を指摘してこなかったことが明らかになった。帳簿の保管状況や検査員数の点検が中心で、建築確認の審査方法の中身は詳しく調べていなかった。こうした事態を受け、国交省は、民間検査機関への検査のあり方を見直す。

 また、現行の建築確認制度では、書類審査ですべての偽造を見抜くのは困難として、欠陥建築物の被害者に対する補償の強化にも乗り出す。

 国交省によると、民間検査機関への立ち入り検査は建築基準法に基づき、年1回程度で、「建築基準適合判定資格者」の資格を持った1級建築士の数や確認書類の保存状況、利害関係のある業者への検査の有無など、事務上の不備に関する点検が中心。構造計算書を個別に再計算することはなかった。

 イーホームズに対しては、ほぼ毎年度末に実施。10月24日には抜き打ちの検査もしたが、書類の保管の不備について改善を指導しただけで、構造計算書の審査状況は調べなかった。今回の偽造問題発覚後に立ち入り検査をするまで、審査手続きの違反には気づかなかったという。

 昨年は立ち入り検査をせず、建築基準法で定められた定期報告で事務概要や財務状況の書類を提出させていた。

 国交省は偽造見過ごしの再発防止策として、立ち入り検査の強化を検討。構造計算書など重要書類の一部を抽出して詳しく点検するなどの案が浮上している。

 ただ民間検査機関は122あり、建築確認の総数は年間約75万件。国交省は審査ミスを完全になくすのは困難とみており、建築確認の審査をすり抜けた欠陥建築物の被害者に対する補償の実効性確保が今後の検討課題だとしている。建物に欠陥があった場合に補償金が支払われる保険の売り主への加入義務などを軸に検討する。国交省幹部は「これまでの建築確認制度は性善説で運用してきた。今後は性悪説で制度全体を考える必要がある」と話している。

偽装防止へ建築確認見直し、構造計算を厳格点検 11/27/05(読売新聞)

 マンションなどの強度偽装問題で、国土交通省は26日、偽装の見逃しを防ぐため、建築確認に構造計算書の点検マニュアルを導入するとともに、民間の指定確認検査機関への立ち入り検査で抽出調査を取り入れるなどの具体的な見直し方針を決めた。

 来月中旬に開く社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)に改革案を提示する。検査体制の見直しは同問題の再発防止に向けた最重要課題の一つで、同省では「これまでは設計者や、建築確認を行う民間機関、自治体などへの信頼が前提だったが、今後は性悪説に基づいた制度に変える」としている。

 今回の問題では、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)に加え、一部の自治体も、姉歯秀次・1級建築士(48)が行った構造計算書の偽造を見逃していたことが明らかになっている。

 このため、国交省はチェック項目を列記した点検マニュアルを新たに導入することにした。具体的な項目内容は、今後、構造計算の専門家などに聞いて決める。

 また、今回、構造計算書に大臣印付きの「認定書」などが添付されていれば、計算過程の審査を省略できる制度が曲解され、偽造見逃しにつながったとの指摘がある。このため、この省略制度の廃止も検討する。

 さらに、民間検査機関の確認検査員の必要数は、現行の建築基準法では、検査対象の建物の規模や数に応じて決まっているが、これに加えて、構造計算やデザインなどの業務内容別にも必要数を定める方針。イーホームズには確認検査員が計22人いるが、構造計算の担当は2人しかおらず、処理能力を超えていた可能性が指摘されていたためだ。

 一方、国や自治体が建築基準法に基づいて行う民間検査機関への立ち入り検査では、これまでは確認検査員数や帳簿の保存状況など外形的な事実しか確認していなかったが、今後は必ず構造計算書などの一部を抽出検査し、偽造などの発見に努めることにする。

 イーホームズに対し、国交省は今回の問題が発覚する直前の今年10月、職員2人が検査に入ったが、そのときは偽造に全く気付いていなかった。問題発覚を受け、24、25日に改めて行った検査で98件の構造計算書を抽出して調べたところ、89件で建築基準法の規定通りに検査が行われていなかったことが確認された。

 建築確認については、北側国交相が25日、制度のあり方を根本的に見直す方針を示していた。

「鉄骨足りない」現場監督が工事中に疑念 11/27/05(読売新聞)

 耐震強度が偽装されていた千葉県船橋市の賃貸マンションの周辺住民に対する市の説明会が26日開かれ、建築主の「サン中央ホーム」の現場監督だった社員が工事中に建材数の少ないことに疑念を感じていたことを明らかにした。

 説明会の対象となったのは、同市湊町の「サン中央ホームNo.15」と「湊町2丁目中央ビル」(建設停止中)。住民から「なぜ、建築中に強度不足がわからなかったのか」と質問があり、「鉄骨が足りないのでは、という話が現場で出ていたのは事実」と認めた。しかし、社員は「建築確認申請は通っていた。図面通りに作るのが仕事。私たちの意見でどうこうなる問題ではない」と述べた。

イーホームズ、法令手続き守らず審査簡略化 11/27/05(産経新聞)

 耐震強度偽造問題で、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)の姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)一級建築士(48)による構造計算書の偽造を見逃した指定確認検査機関イーホームズ(東京都新宿区)が、法令上の手続きを守らず独自の解釈で簡略化した審査を続けていたことが27日までに、国交省の立ち入り検査で判明した。

 同社が見逃したホテルとマンションの建築確認は、計26件に上る。

 国交省は、偽造を見逃した背景には同業者と比べずさんな審査態勢があり、適正な審査をしていれば偽造を早期発見できたとして、指定取り消しを含め厳しい処分を検討している。

 省令では、構造計算の途中過程の審査を省略するには国交相の認定証などが必要。イーホームズへの立ち入り検査で、10階以上の建物約500棟の建築確認審査記録のうち、98件を抽出し調査した結果、大半は構造計算の途中過程を詳細に検査する必要があった。

 しかし国交省の聞き取り調査に対し、ほとんどの同社担当者(確認検査員)が「計算過程は見ていない」と答え、管理責任者も確認するよう指示していなかった。必要な書類がそろっていないケースも2件あった。

 イーホームズ側は法令を独自解釈した理由について「国交相認定のプログラムを使って作成されており、信用できると思った」と説明したという。

 同社は内部調査で偽造問題を知った後の今月5日、計算過程をしっかり確認するようマニュアルを改定している。

 一方、指定確認検査機関に対する国交省の定期検査は原則として年に1回行うが、検査員の数や記録の保管状況の確認などが中心で、個々の審査状況は調べていなかった。国交省は、実効性を高めるよう定期検査の内容も見直す方針。(共同)

耐震偽造:イーホームズが伊藤元国土長官の元秘書に献金 11/27/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、姉歯秀次1級建築士が作成した構造計算書の偽造を見抜けなかった指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の藤田東吾社長が、伊藤公介・元国土庁長官の元秘書の都議(50)に、2年間で365万円の政治献金をしていたことが分かった。伊藤元長官は、建築主の「ヒューザー」(千代田区)の小嶋進社長を、問題公表前に国土交通省幹部に引き合わせたことが分かっており、データ偽造の背景にある業者、検査機関と政治家の関係が浮かび上がった。

 都議は町田市選出。84年から伊藤元長官の秘書を17年間務め、国土庁長官時代は秘書官を務めた。01年から都議に転身し、現在2期目。都選管への政治資金収支報告書によると、都議の後援会と、都議が支部長を務める自民党支部に藤田社長名で03年分で39万円、04年分で326万円の寄付があった。

 これについて、都議は毎日新聞の取材に「藤田社長は町田青年会議所時代の後輩。個人的なつながりで寄付を受けているだけ。秘書時代に小嶋社長と何度か顔を合わせたことはあるが、よく知らない」と話した。

 藤田社長は秘書を通じ「都議は青年会議所時代の友人で、個人的資金で応援した。伊藤元長官は知ってはいるが資金提供したことなどはない。元長官の名前が(今回の問題で)登場したことに驚いている」としている。

【青島顕、篠原成行】

耐震偽造:自民幹部が国交省側から聴取へ 伊藤議員問題 11/27/05(毎日新聞)

 自民党幹部は26日夜、耐震データ偽造問題に絡み、同党の伊藤公介・元国土庁長官が建築主の不動産会社社長を国土交通省幹部に引き合わせた問題で、週明けにも同省関係者らから事情を聴きたいとの意向を明らかにした。

 この幹部は一連の偽造問題について「責任追及をしなければならない」と、再発防止に向けた責任明確化の必要性を強調。伊藤氏の関与については「報道でいろいろ出ている。話を聴かなければいけない」と語った。

 伊藤氏は同党政調会の住宅都市調査会長を務めており、場合によっては本人からも事情を聴き、不当な介入がなかったかなどを確認するものとみられる。

朝日新聞(2005年11月27日)より

耐震偽造 伊藤元長官、社長と陳情 ヒュ−ザー公表直前、国交省へ

朝日新聞(2005年11月27日)より

構造審査 大半怠る イーホームズ 国交省が処分へ

朝日新聞(2005年11月27日)より

耐震偽造 「薮の中」の解明を急げ

朝日新聞(2005年11月27日)より

耐震偽造 国、審査不備見抜けず イーホームズ立入りでも 業者の検査強化へ

耐震偽造:計算書に加え構造図もずさん 検査体制問題に 11/26/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、横浜市鶴見区小野町の分譲マンション「コンアルマーディオ横浜鶴見」(鉄筋コンクリート造10階建て、19戸)の耐震強度が、同市の独自調査で国土交通省が示した数値よりも低くなったのは、構造計算書の偽造だけでなく、構造図もずさんだったことが原因と分かった。

 同市によると、構造図では、鉄筋や柱の数が構造計算書に比べて少ない所、多い所が入り乱れ「めちゃくちゃな内容」(同市建築調整課)だった。計算書と構造図の食い違いは「通常の検査で分かる」(同)としており、国指定の確認機関「イーホームズ」の検査体制も改めて問われそうだ。

 同市の調査は、構造計算書をもとにした国交省の再計算の精度を高めるため、構造図と施工図、竣工(しゅんこう)図の三つの図面で算出。その結果、構造計算書では「0.56」と出た強度が構造図では「0.41」に下がった。構造図は構造計算書をもとに作成されるため、二つの書面の強度は同じにならなければならないが、大きく異なった。

 構造計算書、構造図ともに同事務所が作成したもので、同市は「記載ミスでは済まされない内容。適当に作ったのではないか」と話した。【堀智行】

イーホームズ、検査の9割で手順無視 11/26/05(読売新聞)

 マンションなどの強度偽装問題で、民間の指定確認検査機関イーホームズ(東京都新宿区)が扱った物件の9割以上で、建築基準法に定められた建築確認の手順が守られていなかった疑いのあることが、国土交通省の調べで分かった。

 その結果、イーホームズは、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)による26棟分の強度偽装を見逃していた。

 国交省の聞き取りに対し、検査スタッフの多くは「計算過程はほとんどチェックしていなかった」と明かしているが、そのスタッフを監督する立場の検査責任者は、ほとんどが地方自治体などのOBだった。

 24日から25日にかけて実施された国交省の立ち入り検査では、イーホームズが建築確認をした10階以上のビル約500件のうち、98件の構造計算書を抽出。このうち、90%以上にあたる89件で、建築基準法に違反していた。公認プログラムに関する「認定書」が構造計算書に添付されておらず、本来は計算過程の審査を省略できないのに、これを省いていたという。

 同社の構造計算担当の検査員や補助員など計6人は同省の事情聴取に対し、当初は「すべての計算過程をチェックしている」と説明していた。しかし、その後の個別の聞き取りには、いずれも「実はほとんど見ていない。1級建築士が公認プログラムを使って構造計算しているのだから、問題があるとは思わなかった」と回答。

 イーホームズが偽造を見逃した26棟のうち20棟は、自治体で建築主事を務めた行政OB10人が建築確認を担当していたが、偽造やミスに対するチェック機能がほとんど働いていなかった。

 同社は昨年度、構造計算が必要な建物の建築確認を約2000件行ったが、構造計算に詳しい確認検査員は本社に1人、全社でも2人しかいなかった。デザインなどを担当する検査員を合わせてもわずか22人。同省では、「正確な審査を行うには少なすぎる」としている。

 一方、同社では社内マニュアルで建築確認の手法を定めているが、一連の問題が発覚する12日前の今月5日付で、公認プログラムであることを示す「認定書」の添付の有無や、計算書の左上に印字される英数字8ケタの「認定番号」などを確認するよう定めるマニュアルを追加していたことも判明した。

 同社は今年10月の社内監査で姉歯事務所の構造計算書の偽造に気づいており、問題発覚後、責任追及を免れるために手順を追加した可能性もある。同社は問題発覚後の会見で「検査手順は適正」と主張していた。

106%の価格で買い取り、ヒューザーが住民に表明 11/26/05(読売新聞)

 首都圏のマンションなどの耐震強度偽装問題で、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)は26日、横浜市鶴見区の「コンアルマーディオ横濱鶴見」と神奈川県藤沢市の「グランドステージ藤沢」の住民への説明会を開き、偽装があった全物件について譲渡価格の106%で買い取る方針を明らかにした。

 同社が住民に配った文書によると、6%は、引っ越し料、迷惑料、慰謝料などに相当。契約手付金として買い取り価格の6%分を住民に支払い、来年6月末日の明け渡しと同時に残金決済する。契約日以降の固定資産税などの支払い債務はヒューザーが負担。買い戻し契約は来月15日までに結ぶとしている。

 小島社長はこれまで、問題のマンションについて、「買い取りには応じられない。150億円もの資金が必要になる」と建て替えの方針を明らかにする一方、改修での対応も提示。住民の間に不安と混乱が広がっていた。しかし、国土交通省が住民に退去勧告する方針を決めたことを受け、この日は報道陣に対し、「悠長な議論を続ける時間はない。放置すると、宅建業法に抵触してしまう」などと方針を変更した理由を述べた。

 小島社長は「この程度のことで破産したり、どこかへ逃げたりすることはない。自力で解決する方法を考えた」とも話している。

 藤沢市によると、同社は、買い取り資金は銀行からの借り入れで賄う予定だと話したという。

 一方、国交省がこの問題を公表する前に、伊藤公介・元国土庁長官と国交省を訪れたことについて、小島社長は「国民の生命と財産が守られるように、確認検査業務の機能していない部分を、早急に対処してほしいとお願いするためだ」と説明した。

強度偽装の元請け設計社長遺体を発見、飛び降り自殺か 11/26/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で強度不足が判明した神奈川県藤沢市と横浜市のマンション計2棟の設計を元請けした「森田設計事務所」(東京都世田谷区)の森田信秀社長(55)が26日午前11時半ごろ、同県鎌倉市稲村ガ崎の海岸の岩場で死亡しているのが見つかった。

 遺体は、高さ17メートル以上あるがけの下で、通りがかった人に発見され、家族が身元を確認した。死因は水死で、鎌倉署は、がけの上から飛び降り自殺したと見ている。

 森田社長は、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)を下請けに使っていたことを悩んでいたといい、世田谷区の事務所内に「収拾がつかなくなった」「周囲に迷惑がかかってしまう」などと書いたメモを残していた。24日朝から行方不明になり、25日には神奈川県茅ヶ崎市で車が見つかっていた。

 森田事務所が設計を元請けした藤沢市と横浜市の2棟は、いずれも開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区、小島進社長)が建築主になっている分譲マンションで、国土交通省の計算では、耐震強度はそれぞれ基準の28%と56%(横浜市のその後の調べでは41%)しかなかった。

 森田社長は問題が表面化した直後の18日午後、読売新聞の取材に応じ、姉歯建築設計事務所を下請けに使った経緯について、「建設費が安上がりで経済的な設計をしてくれる事務所があると、ヒューザーから紹介されたのが始まり」と説明した。その上で、今回の問題については、「正当だと思っていたから姉歯を下請けに使ったが、森田の名で建築確認を受けている以上、責任を感じている」と話していた。

伊藤元国土庁長官、ヒューザーを国交省幹部に紹介 11/26/05(産経新聞)

 耐震強度偽造問題を国土交通省が公表する2日前に、元国土庁長官の伊藤公介(いとう・こうすけ)衆院議員(自民党)が、中堅マンション販売「ヒューザー」の小嶋進(おじま・すすむ)社長とともに同省を訪れ、担当の建築指導課長に引き合わせていたことが26日、分かった。席上、小嶋社長は公表中止を求めた上で、偽造に関して国の責任を主張したという。伊藤元長官は小嶋社長を「知人」として紹介したことを認め「問題の経緯と今後の対応を話し合うべきだと思った」と説明している。小嶋社長は「公表を控えるようお願いしたことはない」としている。

 小嶋社長は2002年12月と03年12月に、伊藤元長官の政治資金管理団体「東京公友会」にそれぞれ16万円を政治献金。また昨年9月に開かれた同元長官のパーティーの券をヒューザーが計100万円分購入したことも分かった。

 ヒューザーは震度5強で倒壊する恐れがあるとされる完成済みマンション13棟のうち7棟の建築主。小嶋社長は、イーホームズの藤田東吾(ふじた・とうご)社長にも公表しないよう強く求めていたという。

 関係者によると、伊藤元長官から15日に「マンションの問題で、ちょっと話が聞きたい」と同課長に電話があり、小嶋社長らヒューザー関係者数人とともに国交省を訪れた。

 伊藤元長官は省内の会議室で「友人が困っているので話を聞いてやってほしい」と述べ小嶋社長を紹介。小嶋社長は「公表を控えてくれないか」と求めた上で、「国指定のイーホームズが建築確認の審査を通しており、国にも責任がある」などと主張した。課長は「居住者の安全が第一で、法手続きに従って対応する」と話したという。

 話し合いは約30分間。伊藤元長官は問題の経緯をあまり知らなかった様子で、黙って話を聞いていた。小嶋社長に口添えすることはなく、時折「困ったなあ」などと話したが、最後は国交省側の見解に納得した様子だったという。同省は2日後の17日に問題を公表した。

≪「話し合うべきと思った」 伊藤元長官、偽造は知らず≫

 伊藤公介(いとう・こうすけ)元国土庁長官は26日、東京都町田市の自宅前で取材に応じ、耐震強度偽造問題を国土交通省が公表する2日前に、ヒューザーの小嶋進(おじま・すすむ)社長を同省幹部に「知人」として紹介していたことを認めた。同元長官は「これからの対応をどうすべきか、双方の話し合いを設けるべきだと思った」と釈明した。

 伊藤元長官によると、今月15日、小嶋社長を伴って国交省を訪れ、建築指導課長ら3人の職員と話し合いの場を持ったという。

 伊藤元長官は「ヒューザーが建築したマンションに耐震性の問題があると指摘されたというので話し合いを設けた」とした。その時点では、姉歯(あねは)建築設計事務所の名前や構造計算書が偽造されたことは知らなかったという。

 「マンション住民が一刻も早く安全な生活を確保することが大事だと思い、小嶋社長を紹介した。間違ったことをやったとは思わない」と強調した。(共同)

耐震偽造:伊藤元長官「間違ったことはやっていない」 11/26/05(毎日新聞)

 自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官(64)が、耐震データ偽造問題で建築主として国土交通省から聴取を受けている不動産会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋進社長(52)を、「友人が困っている」として、問題の公表2日前に国土交通省幹部に引き合わせていたことが分かった。「今さら建物を壊さなきゃいけないというのは困る」「建て替えるなら公的支援を」と話す小嶋社長と同席し、伊藤元長官は「何とか考えてもらえないか」と要請したという。多くの居住者の安全を脅かす問題の公表前に、政治家が業者とともに監督官庁に介入していた疑いが出てきた。

 伊藤元長官が小嶋社長とともに同省内に建築指導課長を訪れたのは、同省が問題を公表する2日前の今月15日。「友人が困っている。今から行くから話を聞いてやってくれ」と電話したうえで訪問し、約30分間、3人で面談したという。

 建築指導課長によると、小嶋社長は「イーホームズが審査を通した物件なのに、今さら壊さなきゃいけないというのは困る」と発言。さらに、建て替えには費用がかかるとして「100億円や200億円を国が負担してほしい」と話した。これらの要請に、課長は「入居者の安全が第一だ」と答えたという。

 伊藤元長官は毎日新聞の取材に対し、小嶋社長から「公文書で大丈夫と言われたマンションを建てたが、違反建築で耐震性が厳しいという指摘を受けた。どういう対応をしたらいいか。国交省の話も聞きたい」と相談を受け、「実際に人が住んでいるし、一日も早く安全確保をするのが最優先。一刻の猶予もないと、当日に連れて行った」と説明。「小嶋社長と知り合ったのは5〜6年前。耐震データ偽造のことは知らなかった。お礼などはもらっていない」と話した。

 伊藤元長官は26日朝、東京都町田市の自宅前で毎日新聞などの取材に改めて応じ、「詳しいやり取りは覚えていないが、間違ったことはやっていない。こういう相談なら小嶋社長じゃなくても連れていったと思う」と答えた。小嶋社長は4年前から伊藤元長官の資金管理団体「東京公友会」の年会費16万円を納め、昨年9月にはパーティー券100万円分を購入している。

 伊藤元長官は76年、新自由クラブから衆院議員に初当選。96年から97年まで国土庁長官を務めた。現在9期目で、党住宅土地調査会長。

「伊藤元長官が小嶋社長を国交省幹部に紹介」について徹底的に調べ上げるべきだ。 国土交通省は民の指定や代行検査機関の監査及び不適切な検査や行いに対する重い罰則や 罰金を定めるべきだ。

「建築指導課長によると、小嶋社長は「イーホームズが審査を通した物件なのに、今さら壊さなきゃいけないというのは困る」と発言。伊藤元長官の要請に、 課長は『入居者の安全が第一だ』と答えたという。」

自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官がこのような発言や行動をしたことについて今後の教訓とすべきだ。 伊藤公介・元国土庁長官は国土庁長官にふさわしくなかったが、事実として国土庁長官を務めた例であろう。

政治家の介入による問題の隠蔽についても対策を考えるべきであろう。

耐震偽造:伊藤元長官が小嶋社長を国交省幹部に紹介 11/26/05(毎日新聞)

 自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官が、耐震データ偽造問題で建築主として国土交通省から聴取を受けている不動産会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋進社長を、「友人が困っている」として、問題の公表2日前に国土交通省幹部に引き合わせていたことが分かった。「今さら建物を壊さなきゃいけないというのは困る」と話す小嶋社長と同席し、伊藤元長官は「何とか考えてもらえないか」と要請したという。多くの居住者の安全を脅かす問題の公表前に、政治家が業者とともに監督官庁に介入していた疑いが出てきた。

 伊藤元長官が小嶋社長とともに同省内に建築指導課長を訪ねたのは、同省が問題を公表する2日前の今月15日。「友人が困っている。今から行くから話を聞いてやってくれ」と電話したうえで訪問し、約30分間、3人で面談したという。

 建築指導課長によると、小嶋社長は「イーホームズが審査を通した物件なのに、今さら壊さなきゃいけないというのは困る」と発言。伊藤元長官の要請に、課長は「入居者の安全が第一だ」と答えたという。

 伊藤元長官は毎日新聞の取材に対し、小嶋社長から「耐震基準の設計に公文書でOKが出たものだが、問題があるといわれた。どういう対応をしたらいいか」と相談を受け、「実際に人が住んでいるし、一日も早く安全確保をするのが最優先。一刻の猶予もないと、当日に連れて行った」と説明。「小嶋社長と知り合ったのは6〜7年前。耐震データ偽造のことは知らなかった。お礼などはもらっていない」と話した。

 伊藤元長官は小嶋社長に、昨年9月の政治団体「東京公友会」の2万円のパーティー券50枚を購入してもらっていた。

 伊藤元長官は76年、新自由クラブから衆院議員に初当選。96年から97年まで国土庁長官を務めた。

イーホームズ(指定確認検査機関)の指定取消しをすべき。

世界規模で見ると船の検査機関で委任を取り消された検査機関はある。日本でいまだにでたらめな検査を 行っている検査会社もある。処分されないからだ。処分されなければ不適切な検査を続けられる。 日本の検査会社の問題としては認識されていないが、日本で建造された船の中には ある部分でおかしな船があると言っていた外国人の検査官もいた。

検査される造船所も簡単な検査を望んでいるところもあるので、簡単な検査機関を指定している ところもある。これが現実。調べれば全てわかること。問題は誰が調べるのか、広島の警察署では 無理だった。専門の知識がない。やる気がない。何を根拠に判断するのかわかっていない。 しかし、判断は警察が行うと言い切った。

建設業界だけでない。国土交通省も現実を理解した上で、問題の防止策としてどうすべきなのか 真剣に考える時が来たと思う。

耐震偽造 イーホームズ 9割実質審査せず 手順書の不備認識? 11/26/05(産経新聞)

 耐震強度の計算書偽造問題で、姉歯(あねは)秀次一級建築士(48)=千葉県市川市=による偽造物件の建築確認を担当した指定民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が、大半のケースできわめてずさんな審査を行っていたことが二十五日、国土交通省の立ち入り検査で分かった。同省は指定取り消しを含むイー社の処分を検討している。一連の問題が拡大した原因が同社にあったことが明白になった。

≪国交省「姉歯」以外の98件検査≫

 国交省は二十四、二十五の両日、イー社に立ち入り検査を実施。十階建て以上の建築物九十八件について、建築確認に関する書類の抜き取りや担当者の聞き取り調査を行った結果、少なくとも九割の八十九件で建築基準法が定める所定の審査を実質的に行っていなかったことが判明した。

 検査対象となった九十八件は姉歯建築士がかかわった以外の物件。国交省の聴取に、イー社の複数の担当者は「国交相認定の計算プログラムが使われていたので、大丈夫だと思った」などと釈明したという。

 多くが構造計算の計算過程まで含め、詳細に審査しなければならないものだったが、通常はチェックを経たものに残るエンピツの跡などが認められなかった。

 また、イー社が審査マニュアルとなる「構造審査基準」に法令で定められた手順を記しておらず、今回の問題が表面化する前の今月五日になって手順を追加していたことも立ち入り検査で判明した。国交省は、イー社が審査に不備があったことを認識していたとみている。

 イー社は、建築物の確認検査業務の民間開放が実質的に始まった平成十一年に設立。建築確認や完了検査を行う確認検査機関として、十四年十一月に国交相の認定を受けた。現在、二十二人の確認検査員が所属。ほとんどが自治体の建築検査部署で審査業務を経験した職員OBだ。

 関係者によると、イー社は業界内部で「どこよりも審査スピードが早く、かつ甘い」とささやかれていたという。

 国交省幹部は、「これだけ建築確認がずさんだと、(別のチェック機会となる)中間検査や完了検査も、まともに行われているとは思えない」と厳しい見方を示している。

「偽造見過ごしのイーホームズ、担当者全員が天下り社員」が事実であれば イーホームズ(指定確認検査機関)の指定取消しをすべきであろう。 言い訳の余地はない。

「いずれも市役所や区役所の元職員で、公務員時代に役所の建築主事として建築確認業務を経験していた。」 のが事実であれば、指定取消しすべき。 「国交省の調べに、担当者らは『建築士が書類を作ったので、改ざんとは思えなかった』と話したという。」

こんな言い訳が通るのか。お金を貰って検査しているのだろう。天下りの雇用のために 会社を存続させる必要ない。

指定確認検査機関や公務員によるチェックはこの程度であることが公になったことは良いことだ。 もっと厳しい検査や監査をおこなうべき。

ポートステートコントロール(PSC:外国船舶監督官)の検査レベルも一部の監督官を除けばまだまだ と思うが、指定確認検査機関のレベルはもっと低いと言うことなのかもしれない。

偽造見過ごしのイーホームズ、担当者全員が天下り社員 11/26/05(毎日新聞)

 千葉県市川市の建築設計事務所による構造計算書の偽造を見過ごした民間の検査機関イーホームズ(東京都新宿区)の審査担当者10人全員が、市役所などで建築確認業務に携わった公務員OBだったことが25日、国土交通省の調べでわかった。

 国交省は24、25両日、同社への立ち入り検査をし、審査担当者に聞き取りをした。建築確認の審査で同社が計算書の偽造を見過ごしたマンションなどは、17日発表の20棟から6棟増えて計26棟にのぼり、担当者は10人いた。いずれも市役所や区役所の元職員で、公務員時代に役所の建築主事として建築確認業務を経験していた。99年からの業務の民間開放を受け、同社へ転職してきており、50〜60代が多かったという。

 審査の際、10人は、国交省令で定められた文書が添付されていなかったり、各ページの仕様が通常と異なったりする点を見過ごし、耐震強度が基準を大幅に下回る建物に建築確認を出していた。

 国交省の調べに、担当者らは「建築士が書類を作ったので、改ざんとは思えなかった」と話したという。国交省は「ルール違反の審査が、自治体にも広まっている可能性がある。業務の実態を調べ、制度をよく点検したい」としている。

耐震偽造:木村支店長、姉歯氏の請求金を自分口座に還流 11/26/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、偽造が明らかになった21棟のうち10棟に施工業者などとして関与している木村建設(熊本県八代市)は25日、同社東京支店長が姉歯秀次1級建築士(48)に架空の請求書を発行させて得た金を、自分の個人口座に還流させていたことを明らかにした。木村盛好社長名の文書で発表した。

 文書によると、「個人的な営業経費確保のため」といい、「請求金額を会社(木村建設)から送金し、姉歯建築士から個人口座に返還してもらった。金の出所は会社であり、姉歯建築士に金を出させていたわけではない」と支店長は説明しているという。

 しかし、姉歯建築士が24日の国土交通省の聴聞会で「支店長から鉄筋量を減らすように圧力をかけられた」と述べたことについて、支店長は「経済設計を求めたことはあるが、『1平方メートル当たりの鉄筋をあと20キロ減らせ』などと圧力をかけたことは絶対にない」と反論。偽造問題への関与は否定している。【大平誠】

耐震偽造:行政による検査不備も問題化 11/25/05(毎日新聞)

 各地に広がる耐震データ偽造問題で、地方自治体が構造計算書の偽造を見逃し、建築確認をしたケースが相次いでいる。神奈川県平塚市に続き、25日は長野県がホテル2棟、同県松本市がホテル1棟、東京都台東区がマンション1棟に関して、姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)のデータ偽造を見逃していた疑いが発覚した。これまで、民間確認検査機関の検査の甘さが指摘されてきたが、行政による検査の不備も問題化しそうだ。【川口健史、森有正、桐野耕一、山西禎宏】

 長野県は25日、構造計算で数値の改ざんが確認されたとして、「ホテルセンピア」(伊那市)と「駒ケ根プレモントホテル」(駒ケ根市)が営業を休止したと発表した。いずれも同県が建築確認をしていた。構造計算プログラムを再計算したところ、建築確認時の数値との不一致や、適正計算ルートを使っていないことが確認された。震度6程度の地震への耐震性に疑問があるとしている。

 県住宅部は「今回の偽造は、国土交通相認定プログラムで、データを改ざんして入力する手口。建築基準法ではプログラムの真偽まで確かめる義務は県にはないので通常確かめていない」と釈明している。

 また、構造計算の一部に疑問があるとして24日に休業した「エースイン松本」の建築確認は、松本市が行っていたことも明らかになった。

 一方、東京都台東区は25日、未着工のマンションの計算書に数値の改ざんが見つかったとして、建築確認済み証を取り消したと発表した。計算書後半の出力データが改ざんされ、柱の太さや鉄筋の量が通常より4割少ない設計になっていたという。約300ページの計算書が6月に提出され、区は2週間で検査した。

 区担当者は「偽造データとそれに基づく設計図で最終確認してしまった。コンピューターは数値を自動的にはじき出すため、不正は起こらないと思った」と話している。

 一方、24日にビジネスホテル「パークイン平塚」のデータ偽造を見逃していたことが発覚した平塚市の大蔵律子市長は「構造計算書は約10センチもの分厚い書類で、建築確認申請が提出されてから3週間でチェックするのは厳しい」と、記者会見で釈明した。

国交省が3社から聴取開始、建築確認を根本的見直しへ 11/25/05(読売新聞)

 一連の強度偽装問題で、神奈川県平塚市が同市内のホテルの構造計算書の偽造を見逃していた疑いが強まっていることについて、北側国土交通相は25日、閣議後の会見で、「制度全体の信頼性が揺らいでいる」と述べ、建築確認制度のあり方を根本的に見直す方針を示した。

 会見で北側国交相は、「民間の指定確認検査機関だけでなく、自治体にも見過ごしがあったなら、極めて遺憾なことだ」とした上で、「民間に委ねたからどうこうという話ではない。制度のどこに問題があり、どこを改善すべきなのか、しっかり調べる必要がある」と述べた。

 一方、国交省は25日午前、偽造物件の建築主である開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)、不動産会社「シノケン」(福岡市)、不動産・建設会社「サン中央ホーム」(千葉県船橋市)の社長らからの事情聴取に乗り出した。▽住民退去や取り壊しのスケジュール▽総費用の見積もり▽資金手当てのメド――などについて説明を求める。

 居住者への対応は自治体に任せていたが、「行政の対応が不十分だ」との批判が強まっており、国交省も状況把握を急ぐことにした。

 3社のうち、ヒューザーとシノケンは、姉歯秀次・1級建築士(48)が24日の聴聞で、「『鉄筋量を減らせ』などと指示された」と名指しした業者。国交省はこの点の事実関係も確認する方針だが、北側国交相は「(行政としては)限界もあり、基本的には強制力のある捜査機関に任せるべきだ」としている。

「鉄筋減らせと圧力」 聴聞会で姉歯氏説明 業者は否定 11/25/05(読売新聞)

 首都圏のマンションなどの設計に用いる構造計算書を偽造していた千葉県市川市の姉歯秀次1級建築士(48)に対する聴聞会が24日、国土交通省で開かれた。姉歯建築士は、動機について、マンション開発会社や施工会社の実名を挙げ、コスト削減を求める圧力があったと具体的に説明した。業者側は建築士への指示を否定しているものの、業者が耐震性の不足を知っていた疑いが生じ、問題は新たな局面を迎えた。

 関係者によると、姉歯建築士が、圧力をかけられたとして名前を挙げたのは、施工会社の木村建設(熊本県八代市)と開発・施工会社のヒューザー(東京都千代田区)とシノケン(福岡市)の3社。

 聴聞会は、処分を決める前の弁明を聞くための手続きで、この日は非公開で約1時間開かれた。国交省によると、同省の担当者が書類偽造の有無を尋ねたのに対し、姉歯建築士は、完成と未完成を合わせた21棟の計算書の偽造を認めた。それ以外の建物に関しては「記憶にない」と答えた。

 動機については、大口の依頼主だった3社の名を挙げて、「建設コストを下げる設計をするよう指示された」とした。国交省は「姉歯建築士の了解がない」としてこの業者名を明らかにしていない。

 建築確認の審査を民間の検査機関イーホームズ(東京都新宿区)に頼んだことについて、姉歯建築士は、「厳しいところと甘いところがあるので、イーホームズにした」と述べ同社の審査の甘さを指摘した。

 「仕事優先で、考えが至らなかった。資格を持つ専門家として申し訳ないことをした」と話す一方、賠償責任や刑事責任への言及はなかった。

 免許取り消し処分については、争う意向を示さなかったといい、国交省は、12月7日に開かれる中央建築士審査会の同意を得た上で免許を取り消す。

   ◇

 「鉄筋の量を減らせ。できなければ他に発注すると言われました」。構造計算書を偽造した姉歯秀次1級建築士は国土交通省であった聴聞会で、偽造につながるコスト削減を指示されたとして建築主・施工業者3社の名と「圧力」の中身を具体的に語った。

 聴聞会は非公開で開かれた。国交省の説明によると、建築指導課の課長補佐が「少なくとも21件の建築物について、構造計算プログラムの一部の偽装を行っていた」と書面を読み上げると、姉歯建築士は「相違ないです」と答えた。

 大口取引先から鉄筋の量を減らすように指示を受けたとされる際のやりとりに話が及ぶとこう話したという。「『安全性に問題が生じる』と答えましたが、『できなければ他の業者に代える』と言われました。生活ができなくなるので受け入れました」

 3社のうち1社については指示したという個人の名前まで挙げた。「コストを下げろというプレッシャーを感じていました」とも語った。

 建築確認した民間の検査機関に偽造した構造計算書を初めて提出した時のことも話した。「提出期限が迫り、後で正しい計算書に差し替えるつもりでしたが、審査を通ってしまい、びっくりしました」「今思えば、あのときやめるべきでした」

 そして聴聞の最後、陳述内容を確認する書面に署名捺印(なついん)する際に口にした。「大変申し訳ないことをしました」

   ◇

 この日、熊本市で記者会見した木村建設(熊本県八代市)の木村盛好社長は「鉄筋の量を減らせ」と大口取引先が指示したという疑いについて「全くありません」と否定し、コストダウンに向けた圧力もかけたことはないと話した。姉歯建築士とは会ったこともないという。

 ヒューザー(東京都千代田区)の小嶋進社長は24日夜、「あり得ないこと。自分がお金を払ってインチキマンションを造れなんて言う発注者がどこにいるんですか」と述べ、姉歯建築士への「指示」を全面否定した。

 シノケン(福岡市)は篠原英明社長が22日に福岡市で記者会見し、「構造計算は当社の知らないところで姉歯(事務所)がしていた。当社は木村建設が『できました』と持ってきた図面に判をついただけ」と話し、不正への関与を否定した。

鉄筋業者、溶接強度データ偽造…仙台のマンション5棟 11/25/05(読売新聞)

 仙台市内で5棟のマンション建設にかかわった鉄筋工事業者が、同市が義務づける鉄筋溶接部分の強度検査の報告書を偽造していたことが25日、分かった。

 民間の確認検査機関の中間検査で判明した。同市は建築基準法には触れないとみているが、「厳密な安全確保のために課している検査が守られないのは問題だ」として、5棟の設計・施工を担当した大手ゼネコン「大林組」に未検査個所の検査を行うよう指導した。

 仙台市建築指導課によると、この工事業者は宮城県亘理町の「カップリング圧接」。5棟は青葉区の2棟と宮城野、若林、太白区の各1棟で、7〜12階建て。このうち、青葉区と宮城野区の2棟は分譲を終え、既に住民が入居している。

 同市は、柱や梁(はり)の溶接部分の安全性を確かめるため、地上3階以上で延べ面積500平方メートルを超える建築物について、検査機関による「引張試験」を義務づけている。

 同課によると、カップリング圧接は、5棟とも一部の階で試験を受けたかのように装い、強度を示す数値をねつ造。引張試験用の報告書を偽造していた。検査機関の中間検査で、鉄筋の太さに応じて異なるはずの強度がすべて同一だったため、不正が発覚した。

 同社は大林組に、「作業工程が詰まっていたため検査が間に合わなかった」と説明しているという。

 市の指導を受けて、大林組が可能な範囲で再試験をしたところ、必要な強度は確保されていたという。

行政は全ての関係者から話を聞くべきだ。姉歯建築士の話に似た話はありそうである。 どれだけ言いなりになるか、どれだけ値下げに耐えられるかが仕事を得られる判定基準となることも ある。検査や監査が甘いと、実力や誠実さよりも重要になる場合もある。

耐震偽造 「支店長がリベート要求」姉歯建築士が本紙と会見 11/25/05(産経新聞)

架空受注、7回捻出

 マンションやホテルの耐震強度の計算書を偽造した千葉県市川市の姉歯(あねは)秀次一級建築士(48)は二十四日、東京都内で産経新聞のインタビューに応じ、大口取引先の建設会社支店長から「一平方メートル当たりの鉄筋をあと二十キロ減らせ」などと、圧力を受けた経緯を具体的に証言した。また、この支店長から「今月は四十万円ほしい」などとリベートを要求され、この建設会社から架空業務を受注した形にして現金を捻出(ねんしゆつ)し、支店長に送金したとも証言。姉歯建築士は「力の上下関係があって(偽造やリベート提供に)何度も嫌気がさしていた。今は本当に申し訳ない気持ちだ」と話した。

 証言によると、構造計算書を偽造するきっかけは平成十四年末ごろ。建設会社の支店長から、「建築主さんに『坪単価〇〇円でやるよ』と言われたので鉄筋量を減らしてくれ」と指示され、一平方メートル当たり八十キロから百キロ入れるべきところ、10%ほど減らして構造計算書を作成した。

 その後、支店長の要求はエスカレートし、正規の計算書を作成すると「ちょっと(鉄筋量が)多いな。一平方メートル当たりあと二十キロ減らせ」などと数字をあげて要求。姉歯建築士が「これ以上はダメですよ」と拒否すると、別の建築事務所名を挙げて仕事を他に回すことを示唆した。

 偽造の手口は、正規と改竄(かいざん)した書類を混在させる単純なもので、「プロが見れば一発で分かる」という。

 この支店長は計七回ほど、各四十万−五十万円のリベートを要求。建設会社が、「構造検討料」「構造図作成」名目の架空の仕事を発注したことにして、姉歯建築士が請求書を送付。いったん建設会社が送金し、姉歯建築士が支店長にキックバックしたという。

 姉歯建築士が「(架空業務分の)税金がかかる」と支店長に申し出ると、あらかじめ税金を上乗せした分を請求し、税金分を抜いて送金することになったという。

 姉歯建築士は七、八年前、知人を通じてこの建設会社から初めて仕事を請け負った。偽造を始めて以降は、同社からの仕事が全体の九割以上を占めるようになった。このため支店長の意向に従わないと仕事がなくなると思い、偽造やリベート提供を続けたとしている。

 姉歯建築士は、「建設会社からの圧力が始まったのは、その会社が特定の建築主と組むようになってからだ。坪当たりの単価は建築主などが最初から決めており、こちらはそれに従うしかなかった。建設会社は建築主の意向を受けていたのかもしれない」と証言した。

 偽造件数については、これまで判明している二十一棟は認めたが、「それ以外は記憶がない。データを調べてみないと何ともいえない」とした。

 今後予想される損害賠償請求については、「できる範囲で対応したいが、支払い能力に限度がある」と話し、刑事告発や捜査当局の捜査は「素直に受ける」とした。

                   ◇

 ■木村建設社長圧力「全くない」

 耐震強度の計算書が偽造されたマンションなどを設計、施工した木村建設(熊本県八代市)の木村盛好社長が二十四日、熊本市で記者会見し、月内にも自己破産を熊本地裁に申し立てる方針を表明。姉歯建築士に圧力をかけるなどの行為は「全くない」と否定した。

 同社長によると、姉歯建築設計事務所への設計委託は東京支社に任せ、社長自身は姉歯建築士と面識がなかった。居住者へ謝罪の言葉を繰り返したが、責任の所在については「専門家である姉歯建築士の計算結果と確認審査機関の審査結果をそのまま信じてしまったことが原因」「足をすくわれた思いだ」と被害者の立場を強調した。

木村建設ら3業者「密接」、偽装10棟で工事契約 11/25/05(読売新聞)

 耐震強度の偽装問題で、姉歯秀次・1級建築士(48)に違法な構造設計を「指示した」と名指しされた開発・施工の3業者のうち、24日に破産申請の方針を表明した木村建設(熊本県八代市)は、国土交通省などが耐震強度の偽装を認定したマンションなど22棟の半数近い10棟で、残りの2業者と請負契約を結ぶなど密接な関係があった。

 3業者は違法設計への関与を全面否定しているが、建築コストを抑えるため、違法な設計を引き受ける姉歯建築士に発注を集中させていた可能性が高まっている。

 「私のお師匠という位置付け。経営が苦しくてどこにも発注できない時、社長に助けてもらった」

 3業者のうちの1社、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小島進社長は、23日の会見で木村建設の木村盛好社長とのかかわりをそう説明していた。

 ヒューザーが建築主で、木村建設が施工主となっているマンションは、東京都中央区や墨田区、神奈川県藤沢市などにある「グランドステージ」という名称の計5棟。

 このほか工事中の「ラ・ベルドゥーレ白井駅前」(千葉県白井市)でもヒューザーが総合企画の立場で開発にかかわり、木村建設が施工を担当していた。

 当初、ヒューザー側は、構造計算に姉歯建築士を使った経緯について、「木村建設が指示したから」と説明していた。しかし実際には、「建築コストのかからない『経済設計』ができるから」という理由で、直接、元請けの設計会社に姉歯建築士を紹介していたケースもあった。

 これに対し、木村建設は東京都の事情聴取に対し、姉歯建築士を使った理由を「仕事が早いから」と述べ、建築コストの問題には言及しなかったという。

 一方、投資型マンションの施工を木村建設に発注していた不動産会社「シノケン」(福岡市)は、東京都港区の「STAGE大門」など4棟で、建築確認上、自社で設計・施工すると届け出ていた。

 しかし、東京都の事情聴取には、「実際の設計・施工は木村建設で、構造計算を姉歯建築士に出していたことは知らなかった」と弁明。シノケンからも「指示があった」とする今回の姉歯建築士の弁明内容と食い違いを見せている。

「鉄筋減らせ」指示された…姉歯建築士、3社実名挙げ 11/25/05(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、構造計算書を偽造した姉歯秀次・1級建築士(48)は24日、国土交通省による聴聞に対し、取引先の施工会社など3社の実名を挙げて「『鉄筋量を減らせ』などと指示された」と主張した。

 3社はいずれも読売新聞の取材に事実関係を否定している。一方、姉歯建築士は、同問題の発覚当初に偽造を認めた21棟以外の物件については「(構造計算書を偽造したかどうか)記憶にない」と答えた。

 聴聞は、建築士の資格取り消し処分に向け、本人の弁明を聞くために非公開で開かれた。同省は来月7日に開かれる中央建築士審査会の同意を得て、姉歯建築士の資格を取り消す方針。

 鉄筋減らしに関し、姉歯建築士が名指ししたのは、建設会社「木村建設」(熊本県八代市)、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)、不動産会社「シノケン」(福岡市)の3社。

 同省の説明によると、姉歯建築士は数年前、3社のうちの1社からの依頼で、構造計算書を作成したところ、「鉄筋量を減らせ」と指示され、計算書を作り直した。しかし、再度「もっと減らせ」と迫られ、「これ以上減らすと安全性に問題が生じる」と反論したが、「それなら、ほかの設計事務所に代える」と言われた。

 このため「仕事がないと生活に困るので応じた」といい、これが偽造に手を染めたきっかけだったと主張した。その後、他の2社からもコストを下げるよう指示があったという。

 偽造した構造計算書を検査した指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)については、「(検査が)通ってしまってびっくりした」などと話し、「(検査機関は)甘いところと厳しいところがあって、甘いところを使うようにした」と明かした。

 また、21棟以外に偽造した物件があるかどうかは「覚えていない」などとあいまいな発言に終始。新たに偽造が判明した「京王プレッソイン五反田」などについても「記憶にない」と語ったという。

 姉歯建築士は、偽造について「仕事の確保優先で考えが至らなかった」とし、「資格を持っている専門家として非常に申し訳ないことをした」と述べたという。

 同省は姉歯建築士を建築基準法違反容疑で刑事告発し、証言の信ぴょう性については、捜査機関の判断に委ねる方針。

 ◆会社側否定◆

 姉歯建築士の主張に対し、問題の3社の代表者らは次のように話している。

 小島進・ヒューザー社長(52)「自分の物件に金を払って手を抜けなどと愚かな指示をするわけがない」

 篠原英明・シノケン社長(40)「圧力どころか、事件まで姉歯建築士のことは知らなかったし、面識もない。恐ろしいことを言わないでほしい」

 木村盛好・木村建設社長(73)「(コストダウンの圧力をかけたことは)全くない。コスト削減については世界中を回って勉強したもので、姉歯建築士とは関係ない」

耐震強度偽装、「見逃し」自治体も困惑 11/25/05(朝日新聞)

 耐震性が不足している設計のホテルが、神奈川県平塚市の建築確認をすり抜けていた疑いが強まった。建築確認したのは自治体なのに、安全が確認できないとして営業を休止しているホテルは、愛知県刈谷市や長野県松本市にもある。建築確認制度への信頼を根底から揺さぶる事態に関係者の戸惑いは広がる。

 国土交通省で25日開かれた構造計算書偽造問題対策連絡協議会。本来のメンバーは3都県、12市区の担当職員たちで3回目の会合だが、この日は職員たちの表情に戸惑いが浮かんでいた。

 連絡協には参加していない平塚市の担当者も初めて出席し、「申し訳ない事態ですが、(建築確認で偽装を見逃したことについては)何とも答えようがありません」と話した。連絡協への出席は前日の夜、国交省から突然求められたという。

 東京都渋谷区の職員は「これまできちんと検査してきました。見抜けるはずであり、(このような事態が起きて)残念です」と話した。

 一方、東京都江東区の担当者は「うちならあり得ません」と言い切った。「きちんと検査しているので時間はかかります。民間の検査機関のように早くはできません」

 民間の検査機関が建築確認できるようになった99年以前に自治体が行った審査の信用性にも疑いが生じている。

 川崎市の担当者は「正直言ってこのようなことになって驚いています。99年以前のこととなると今は何とも言えません」と口にした。

◇愛知・長野の2件も疑惑

 愛知県刈谷市のビジネスホテル「名鉄イン刈谷」(162室)は構造計算書の再調査を専門の事務所に依頼した結果、一部に疑問点を指摘されたとして23日から営業を休止している。同ホテルは姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)が構造計算し、愛知県が建築確認した。同県は構造計算書を建築主から取り寄せて内容を調べている。

 構造計算書にはデータの差し替えのような明確な偽造は見あたらないが、名鉄イン刈谷を運営する名鉄不動産(名古屋市)の調査では、一部の数値に強度不足の可能性があった。

 県の担当者たちは「1級建築士による偽造は想定しておらず、巧妙な手法なら見抜けない」「全部再計算するには人も金も時間も、設計事務所並みの態勢が必要になる」と困惑している。

 24日に営業を休止した長野県松本市のビジネスホテル「エースイン松本」(167室)も姉歯事務所が設計を下請けし、01年5月に松本市が建築確認した。経営する東洋観光事業(同県茅野市)が別の設計事務所に調査してもらったところ、「数値につじつまの合わない部分がある」という報告を受けた。

 松本市も同県建築設計事務所協会に依頼して構造計算書を調べている。

 市の担当者は「建築基準法に沿った書類が出されるという前提で建築確認しており、偽造があるという前提には立っていない」とし、平塚市が偽装を見逃したことについては「(同じ構造計算書が松本市に提出されていたら)同じ結果になったと思う」と話した。

「ある参加者は『官民を問わず、制度自体の見直しが必要ではないか』と訴えた。」

基本的に日本はチェックは甘いと思う。何かあれば不正を想定していないとか、 わかりきったことを言う。不正が出来る制度になっているから、不正が発覚しない。 不正が発覚しないから、不正がないと勘違いされる。問題が大きくなるまで 認識されないのが日本の体質だと思う。対応の遅さ、防止策の甘さの問題も日本にはある。

耐震偽装、平塚市「見逃し」 チェック不足、官民とも 11/25/05(朝日新聞)

 自治体の建築確認も偽装を見逃していた。耐震強度の偽装問題で、神奈川県平塚市のホテルでも構造計算書が偽造された疑いが高いことが新たにわかった。利用者や居住者の安全を守るはずの建築確認が、官民を問わずチェック機能を果たしていない実態が明らかになった形だ。

 建築確認は建築基準法の改正に伴い、99年から自治体の建築主事に加えて、民間の指定確認検査機関も確認業務ができるようになった。

 官民いずれも申請書類による建築確認、完成時の完了検査、そして必要に応じて建設途中の中間検査を行う。昨年度の確認件数は約75万件。自治体分が約33万件に対して民間機関が約42万件と、制度開始以来初めて民間が自治体を上回った。民間は122機関と急増している。

 国土交通省などによると、民間機関を導入した背景には、自治体の建築主事が不足して十分な検査態勢がとれないという実態があった。法改正段階で自治体の建築主事は全国で約1800人しかおらず、1人あたり年間約600件の建築確認・検査を担当。確認業務が遅れがちになり、完了検査の実施率も低かった。こうした実態を踏まえて民間機関も審査できるようにし、検査態勢の充実を図った。

 建築主事の審査能力を高めようと、この時の法改正では建築主事の資格検定制度を改め、建築物の審査業務について2年以上の実務経験がある1級建築士しか受検できないようにもした。昨年3月時点で建築主事は1905人いる。

 それでも実際には建築主事以外の職員が受け付けや審査を担当し、建築主事が統括的にチェックしていることが多いとされる。こうした事態を建築や設計の現場で働く人々は比較的冷静に受け止めている。

 北海道に住む30代の1級建築士は、自分が構造設計を担当したマンションの建築確認が申請された自治体の担当者から、建物の細かいデータや強度の計算結果ではなく、構造の基礎的な知識などを聞かれて驚いたことが何度もあるといい、「こちらの都合のいいように説明できてしまう。審査とはいえないと思った」と話す。むしろ、民間の指定確認検査機関の担当者に、専門家が多い印象を受けるという。

 建築技術支援協会(代表理事・和田章東工大教授)が21日に東京で開いた緊急集会でも、参加者から「民間機関だから文書偽造が見抜けなかったという問題ではない」といった意見が相次いだ。ある参加者は「官民を問わず、制度自体の見直しが必要ではないか」と訴えた。

耐震偽装、自治体検査も通過 平塚の「姉歯」担当ホテル 11/25/05(朝日新聞)

 神奈川県平塚市のビジネスホテルの耐震強度が不足していることが24日わかった。建築時に構造計算を担当したのは姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)で、耐震強度が偽装された疑いが高い。建築確認は平塚市が担当していた。自治体が建築確認で偽装を見逃した疑いが発覚したのは初めてで、建築確認制度への信頼性はさらに大きく揺らぐことになる。

 耐震性の不足が確認されたのは平塚市明石町の「パークイン平塚」(155室)。24日から営業を休止した。

 11階建てで01年8月に平塚市が建築確認した。施工を請け負ったのは長野県の業者で、02年6月に完成した。

 平塚市によると、1階の柱14本の強度が必要な強度の60〜70%しかなかった。倒壊の危険の有無について同市は早急に調査する。

 姉歯建築設計事務所が構造計算にかかわった建築物194件の一つで、市都市政策部が建築確認書類の構造計算書類を再点検してわかった。

 市の説明では、建築確認時は国土交通相認定のコンピューターソフトは使用しておらず、「構造計算に使用するプログラムとして適切」とする日本建築センターの評定書をもとに別のソフトを使って建築確認を行った。

 大蔵律子市長は「構造計算書は約10センチもの分厚い書類で、3週間でチェックするのは厳しい。当時としては評定書を信じて確認した」と釈明している。

 建築確認は建物が建築基準に適合しているかどうかを着工前に確認する制度。自治体が担当していたが、建築基準法の改正で99年から民間検査機関の参入が認められた。

 姉歯事務所が構造計算書を偽造したことが判明している21棟は、民間検査機関2社が建築確認していた。

「鉄筋減らせと圧力」 聴聞会で姉歯氏説明 業者は否定 11/25/05(朝日新聞)

 首都圏のマンションなどの設計に用いる構造計算書を偽造していた千葉県市川市の姉歯秀次1級建築士(48)に対する聴聞会が24日、国土交通省で開かれた。姉歯建築士は、動機について、マンション開発会社や施工会社の実名を挙げ、コスト削減を求める圧力があったと具体的に説明した。業者側は建築士への指示を否定しているものの、業者が耐震性の不足を知っていた疑いが生じ、問題は新たな局面を迎えた。

 関係者によると、姉歯建築士が、圧力をかけられたとして名前を挙げたのは、施工会社の木村建設(熊本県八代市)と開発・施工会社のヒューザー(東京都千代田区)とシノケン(福岡市)の3社。

 聴聞会は、処分を決める前の弁明を聞くための手続きで、この日は非公開で約1時間開かれた。国交省によると、同省の担当者が書類偽造の有無を尋ねたのに対し、姉歯建築士は、完成と未完成を合わせた21棟の計算書の偽造を認めた。それ以外の建物に関しては「記憶にない」と答えた。

 動機については、大口の依頼主だった3社の名を挙げて、「建設コストを下げる設計をするよう指示された」とした。国交省は「姉歯建築士の了解がない」としてこの業者名を明らかにしていない。

 建築確認の審査を民間の検査機関イーホームズ(東京都新宿区)に頼んだことについて、姉歯建築士は、「厳しいところと甘いところがあるので、イーホームズにした」と述べ同社の審査の甘さを指摘した。

 「仕事優先で、考えが至らなかった。資格を持つ専門家として申し訳ないことをした」と話す一方、賠償責任や刑事責任への言及はなかった。

 免許取り消し処分については、争う意向を示さなかったといい、国交省は、12月7日に開かれる中央建築士審査会の同意を得た上で免許を取り消す。

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 「鉄筋の量を減らせ。できなければ他に発注すると言われました」。構造計算書を偽造した姉歯秀次1級建築士は国土交通省であった聴聞会で、偽造につながるコスト削減を指示されたとして建築主・施工業者3社の名と「圧力」の中身を具体的に語った。

 聴聞会は非公開で開かれた。国交省の説明によると、建築指導課の課長補佐が「少なくとも21件の建築物について、構造計算プログラムの一部の偽装を行っていた」と書面を読み上げると、姉歯建築士は「相違ないです」と答えた。

 大口取引先から鉄筋の量を減らすように指示を受けたとされる際のやりとりに話が及ぶとこう話したという。「『安全性に問題が生じる』と答えましたが、『できなければ他の業者に代える』と言われました。生活ができなくなるので受け入れました」

 3社のうち1社については指示したという個人の名前まで挙げた。「コストを下げろというプレッシャーを感じていました」とも語った。

 建築確認した民間の検査機関に偽造した構造計算書を初めて提出した時のことも話した。「提出期限が迫り、後で正しい計算書に差し替えるつもりでしたが、審査を通ってしまい、びっくりしました」「今思えば、あのときやめるべきでした」

 そして聴聞の最後、陳述内容を確認する書面に署名捺印(なついん)する際に口にした。「大変申し訳ないことをしました」

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 この日、熊本市で記者会見した木村建設(熊本県八代市)の木村盛好社長は「鉄筋の量を減らせ」と大口取引先が指示したという疑いについて「全くありません」と否定し、コストダウンに向けた圧力もかけたことはないと話した。姉歯建築士とは会ったこともないという。

 ヒューザー(東京都千代田区)の小嶋進社長は24日夜、「あり得ないこと。自分がお金を払ってインチキマンションを造れなんて言う発注者がどこにいるんですか」と述べ、姉歯建築士への「指示」を全面否定した。

 シノケン(福岡市)は篠原英明社長が22日に福岡市で記者会見し、「構造計算は当社の知らないところで姉歯(事務所)がしていた。当社は木村建設が『できました』と持ってきた図面に判をついただけ」と話し、不正への関与を否定した。

強度偽装、木村建設破産申し立てへ…社長表明 11/24/05(読売新聞)

 千葉県市川市の姉歯建築設計事務所が耐震強度を偽装した問題で、倒壊の恐れがあるマンションなどの設計・施工を請け負った建築・不動産会社「木村建設」(熊本県八代市)の木村盛好社長は24日、熊本市で会見し、近く熊本地裁に破産を申し立てる方針を明らかにした。

 同社は今後、仕事の激減が予想されることなどから、経営継続は無理と判断し、当初検討していた民事再生法の適用申請による経営再建を断念したとみられる。今回の偽装問題に関与した業者では、初の経営破たんとなる。

 木村社長は会見で、原因などについて、「構造計算という特殊な分野を処理する能力がなく、姉歯事務所の計算結果と確認申請書、審査機関の審査結果をそのまま信じてしまった。会社再生を模索したが、信用低下はいかんともしがたく、やむなく自己破産の申し立てをすることになった」などというコメントを読み上げた。

 木村建設は、構造計算書が偽造されていた首都圏のマンションなど22棟のうち、8棟の設計者や施工者として届け出ている。

 同社は21日、「取引銀行が債権保全目的で、当座預金と債務を相殺したことが原因」として、1回目の不渡りを出し、22日から事業を停止している。

 民間の信用調査機関などによると、木村建設は1963年に木村鉄骨工業所として個人創業、77年、現在の社名に変更した。コストが低く、工期が短い工法によるマンションやホテルの建設を手がけ、建築工事業で熊本県内トップの売上高を誇っていた。

耐震偽造:平塚のホテルは市が検査、確認済み証交付 11/24/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、神奈川県平塚市は24日、姉歯建築設計事務所による構造計算で数値が改ざんされた可能性が高いとして、ビジネスホテル「パークイン平塚」(アサヒプランナーズ経営、11階建て、155室)が同日から営業休止したと発表した。

 同ホテルは、民間検査機関ではなく同市が計算書を検査し確認済み証を交付していた。計算書偽造疑惑が浮かんだ物件で、行政が検査機関だったケースは初めて。同市建築指導課は「注意が足りなかった」と話している。

 この問題で休業したホテルは8カ所目となった。【山西禎宏】

「検査機関の甘さに驚いている。」これが現実。 公務員による検査もさほどかわりないであろう。大きな違いは知識や経験不足なのか、 お金や利益のために故意に検査を甘くしているかの違いであろう。。技術や資格を持った人達を 公務員にするわけでないので、知識や経験では民に比べれば一般的に検査のレベルは低いと思われる。

今回の問題と似たような問題を広島県の広警察署に説明したが、理解してもらえなかったようだ。 公務員の理解力(警察だけかもしれないが)などこんなものであろう。

偽造耐震計算書 重要数値、都合よく粉飾 重量7割、外力は半分 11/23/05(産経新聞)

 マンションなどの耐震構造を示す計算書が偽造されていた問題で、姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)が偽造した構造計算書の内容が明らかになった。建物の「重量」を七割程度に減じたり、横揺れに耐え得る力を算出する際、地震時にかかる力を通常の半分程度にするなど、耐震性を高めるため都合のいい“粉飾”がなされていた。専門家によると、一目では偽造が発覚しにくいものの、重要な数値をチェックすれば異常と判断できる内容だという。

 産経新聞は、東京都墨田区の十一階建てマンション「グランドステージ東向島」の計算書を入手、専門家に分析を依頼した。書類は三百二ページで、「概要書」と「計算書」に分かれている。

 計算書では、国土交通相の認定計算ソフトを使い、震度6程度までの地震を想定した一次設計と、震度7の地震でも倒壊しないための二次設計を、別々に計算していた。

 一次設計に必要な入力データは常識的な数値だったが、導き出された建物全体の重量はなぜか、本来の七割程度にしかなっていない。さらに、地震の横揺れへの耐力を算出する際、半分程度の外力で計算していた。

 “粉飾”がなされているため、計算の途中ではほころびも出てくる。建物各階の重さは、一平方メートル当たり通常十四キロニュートン(一キロニュートンは百二キロの物体にかかる重力)程度のはずが、このマンションでは八キロニュートン以下にしかなっていない。計算書では、各階ごとに記載するのが一般的だが、姉歯事務所は記入していなかった。

 構造計算を専門とする一級建築士(59)は「記載してあれば、まっさきに怪しまれる個所」と指摘し、「記載しない代わりに別の似たような表を張り付けている。体裁を整えたのだろう」とみる。

 また計算書は、通常の計算と構成順序が異なっていた。この建築士は「わかりにくくしようという意図も感じられる。計算順序が異なり、建物の構造計算の実態を把握しやすい数値が抜けていれば、検査機関も丁寧に審査し、問いただすべきなのに」と、検査機関の甘さに驚いている。

 偽造計算をもとにマンションを建設すると、鉄筋コンクリート部分の躯体(くたい)費(外装、内装などを除いた本体工事費)は、本来より二−三割安くなるとみられる。この建築士は「『グランドステージ東向島』のように四千三百平方メートル規模のマンションであれば、八千万円から一億円程度安く建設できたのでは」と指摘している。

船の世界では、 ★検査のごまかし★検査会社の問題 が存在する。

下記の新聞の記事から判断すると「偽造は巧妙で見抜けるものではなかった」 とは言えない。

この程度を巧妙と言うのであれば、船の不備(問題や欠陥)は巧妙で見つけないし、指摘できないと 言うことになる。外航船で信頼性がない検査会社の一部は、文書偽造、国籍証書偽造、 許可されていない証書(書類)の発行など、いろいろなことをする。 結果としてサブ・スタンダード船と呼ばれる船が存在し、日本にも入港している。

イーホームズのように国から委任されて検査している検査機関も船の業界には多い。しかし、 金儲け優先で、検査など適切に行わず、検査に合格した証明となる証書を出す検査機関もある。 これは検査機関の意思で行うこともあるが、顧客からの依頼の場合もある。 検査を簡単にする、不備でも検査を通すことが評判で仕事が来る検査会社や 特定の旗国(国)も存在する。

これらの問題の解決策として、PSC(ポート・ステート・コントロール:外国船舶監督官)の活動がある。 国土交通省の職員が総理大臣から任命されたPSC(ポート・ステート・コントロール:外国船舶監督官)と して活動している。他の国の職員による検査だけでなく、旗国(船が登録されている国)によっては FSC(フラッグ・ステート・コントロール)と呼ばれる人間が国から委任された検査組織とは独立して 検査する場合もある。

世界中を自由に行き来する船の問題は、世界中で認識されている。耐震強度偽装問題は、国内の 問題であるので、誰も指摘しなかったのであろう。コスト削減のためには、検査をごまかすとの 常識が他の業界でも存在する可能性を想定出来なかった行政にも問題があるだろう。日本は 曖昧にする傾向があるが、今回はその一例であろう。

耐震偽造:イーホームズを週内にも立ち入り検査 国交省 11/23/05(毎日新聞)

 国土交通省は22日、姉歯(あねは)秀次・1級設計士(48)が偽造したマンションやホテルの構造計算書20棟分を審査していた指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)について、週内にも建築基準法に基づく立ち入り検査に入る方針を固めた。イー社は「偽造は巧妙で見抜けるものではなかった」としているが、国交省は「通常の検査で偽造は発見されたはず」とみており、立ち入り検査で偽造計算書を見抜けなかった経緯を詳しく調べる。

 国交省はイー社に対して、偽造が発覚した経緯や耐震強度が不足していた物件の構造計算書の審査方法などについて、確認書を送付。同日までの回答を求めていた。

 イー社のこれまでの説明によると、10月20日の定期監査で姉歯建築士による構造計算書が偽造されていたことが発覚。社内調査の結果、20棟についてのみ偽造が判明したとしていた。

 しかし21日には国交省が発表した以外の品川区のビジネスホテルについても、第三者検査機関によって、姉歯建築士の偽造計算書が発見されたことが明らかになってる。

「姉歯」に委託した設計事務所に都が立ち入り検査 11/22/05(毎日新聞)

 マンションやホテルの耐震強度が偽りだった問題で東京都は22日、姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)に構造計算を委託していた設計事務所2社に対し、建築士法に基づいて立ち入り検査した。耐震強度の偽装が明らかになった建物は21棟あり、都内の設計事務所6社が設計を元請けしていた。都は残る4社についても順次検査に入る。

 この日、立ち入り検査に入ったのはエスエスエー建築都市設計事務所(新宿区)と森田設計事務所(世田谷区)。エスエスエーの事務所には午後4時50分ごろ、都職員4人が入り、約2時間にわたって契約書類などを確認した。

 都によると、エスエスエー側は「構造計算書の偽造は知らなかった。姉歯事務所に委託したのは建築主の指示だった」などと説明したという。

 本田良夫都建設業課長は「関連書類をさらに調べて、再度の立ち入り検査をするかどうかなど今後の対応を決めたい」と話している。

「建築業協会の野村哲也会長(清水建設社長)は22日記者会見し、耐震強度を偽造した設計者がコスト削減の圧力を感じたなどと発言していることについて 『そんな風潮は断じてない』と否定した。」

コスト削減の風潮はどこの業界でもあるだろう。違いはどの程度までのコスト削減をするのかであろう。 見つからなければ良いじゃないかとの考えはどこにでもある。自動車のリコール隠しも同じ問題である。 リコールすればコストが上がる。銀行の検査妨害も同じ次元であろう。

行政が問題の徹底的に調査し、今後、どのようなチェック体制を作るのか、どのような監査体制 にするのかを決めればよい。

「建築基準法20条違反の罰則は、50万円以下の罰金。」については罰金の額を上げる必要がある。 多くの法の罰金は低すぎる。改正が必要だ。

建築業協会会長、耐震強度偽造「元請け段階で気付くはず」 11/22/05(日経新聞)

 建築業協会の野村哲也会長(清水建設社長)は22日記者会見し、耐震強度を偽造した設計者がコスト削減の圧力を感じたなどと発言していることについて「そんな風潮は断じてない」と否定した。偽造については「(下請けが偽造しても)ある程度経験を積んだ技術者なら元請けの段階で気づくはず」と述べた。そのうえで野村会長は「民間会社による検査制度自体に問題があるとは考えていない」と話し、今回の事件は運用の問題との認識を示した。

耐震強度偽装で国交相、公的支援を検討の方針 11/22/05(読売新聞)

 千葉県市川市の姉歯建築設計事務所がマンションなどの耐震強度を偽装していた問題をめぐり、北側国土交通相は22日の閣議後の記者会見で、行政側にも責任があるとしたうえ、マンション居住者などへの公的支援を検討する方針を明らかにした。

 一方、問題のマンションなどの設計や施工を請け負っていた熊本県八代市の建築・不動産会社「木村建設」(木村盛好社長)が、21日に1回目の不渡りを出していたことが判明。信用調査機関の帝国データバンクによると、同社は22日、事業を停止した。全国的な広がりを見せ始めている耐震強度偽装問題は、関連した会社などの経営問題にも発展することになった。

 北側国交相は「私は、今回の問題は純然たる民・民の問題とは言えないと思う」と述べ、国や自治体の責任に言及。その中で、「国鉄の民営化で発足したJRが事故を起こしたのと、今回の問題は本質が違う。民間の検査機関が行ったとはいえ、建築確認は法律上は公の事務だ」と説明し、「行政としてしっかり対応し、居住者の安全確保にむけて取るべき対策はしっかりと取りたい」と述べた。

 マンション居住者らへの補償責任については、「まずは建築主に契約上の責任がある」として、具体的な支援策については明らかにしなかったが、「(公的支援も)今後しっかり検討したい」などと述べた。

 偽装問題について、国交省はこれまで「民・民の関係で発生したことで、財政支援は考えていない」と説明していた。しかし、今年6月、最高裁が「民間の指定確認検査機関が行った建築確認は、それを受理した自治体に責任がある」との判断を示しており、今回、指定確認検査機関がずさんな検査によって建築士の構造計算書の偽造を見抜けなかったことについての自治体の責任を問う声も出ていた。

耐震偽造:専門家「取り壊すしかない」 11/22/05(毎日新聞)

 「これじゃ補強の入れようがないし、建て替えも容易じゃない」−−。姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)の耐震データ偽造問題で、基準の3割にも満たない数値が並ぶ国土交通省の再検査結果を見た構造設計の専門家(49)は、絶句した。同省調査分で判明したマンション・ホテル13棟に加え、姉歯秀次・1級建築士(48)が偽造を認めていなかったホテル1棟も、震度5強程度の地震で倒壊の危険性があることが明らかになり、さらなる被害拡大の不安は底知れない。【大平誠】

 同省が21日に公表した再計算値では、1.0以上なければならない耐力という強度の数値が、12棟の完成済み建物で0.26から0.44までに集中。もう1棟は0.56と基準の5割を超えているが、専門家は「基準値の9割を切ったら構造計算を一からやり直さなければ対応出来ない」と言い、「7〜8割なら空間を犠牲にすれば補強のしようもあるが、それ以下なら取り壊すしかない」と続けた。

 構造設計は、「部材」と呼ばれる鉄筋や鉄骨などに加え、碁盤の目のように打ち込まれた深さ40〜50メートルにも達するくいなどの基礎部分も含めた「建物の骨格」と「根」を計算する大規模建物の生命線だ。

 全体の構造計算を半分にしていれば、くいも細く基礎の強度も半分になる。もし補強しても、上部が重くなるため、今度は基礎が支えきれなくなる。専門家は「学校の校庭のように建物の周りの敷地に余裕があれば、脇にくいを打つことも可能だが、住宅地では無理な相談」と指摘する。

 また、建物を取り壊しても、周辺の地盤沈下を招くため、くいは抜くことが出来ず、5〜6メートル間隔のくいの間に、さらに太いくいを打ち込まなければならない。「残土処理も含めて基礎の改修だけでも大変な金額になる」という。

 構造設計者は、建築主やデザイン設計者から「部材がもう少し下がらないか」と言われることが頻繁にあるという。「鉄骨の重量が下がれば相乗効果でみんな喜ぶ。くいの値段も基礎のコンクリートの値段も下がる。重機も小さくて済むし、高層での建材の取り回しも楽になるから工期も短くなる。空間が広く取れるからデザイナーも喜ぶ」。最後に専門家は、偽造を容認しかねない業界の背景をこう語った。

 「構造設計家なら誰でも、荷重を減らして偽造できればいいのに、と考える。それだけに、まさか実際にやる人がいるとは思わなかった……」

 偽造を認めた姉歯秀次・1級建築士(48)と同世代の専門家は肩を落とした。

耐震偽造:大半関与の木村建設が民事再生法申請を検討 11/22/05(読売新聞)

 姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)によるマンションなどの耐震データ偽造問題で、工事の大半に関与したとされる熊本県八代市の「木村建設」(木村盛好社長)が資金繰りの悪化から、民事再生法の適用申請を検討していることが分かった。同社役員が21日、毎日新聞の取材に答えた。

 役員によると、同社は同日、1回目の不渡りを出した。「(偽造問題に絡む)一連の騒ぎで工事代金などの入金が不透明となった」としており、同法の適用申請について弁護士と協議を始めたという。

 木村建設は、姉歯事務所が計算書を偽造した完成済みマンション14棟のうち11棟で、設計や施工を担当し、姉歯事務所に構造計算を依頼していたことが分かっている。役員は「姉歯が偽造しているとは思っていなかった」と偽造への関与は否定している。

 木村建設は全国でマンションやホテル建設を手がけている。05年6月期の建築工事施工額は前期比約24億円増の約123億8000万円で、熊本県の地場建築会社でトップクラスの規模。

行政にも賠償責任?耐震強度偽装、最高裁決定が波紋 11/22/05(読売新聞)

 新たな耐震偽装ホテルの存在が21日に判明し、強度偽装問題が拡大の様相を見せる中、「国や自治体は損害賠償の責任を負わないのか」という疑問がクローズアップされてきた。

 最高裁は今年6月、民間の指定確認検査機関が行った建築確認は、自治体が行ったものとみなすとの決定を出している。「あくまで民民問題」とする政府幹部の見解に対し、一部の建築主は「責任は全面的に行政にある」と主張。自治体関係者からも「賠償を求められたら、責任を負わされる可能性がある」との声が出始めている。

 注目の最高裁の判断は6月24日、最高裁第2小法廷によって示された。横浜市中区のマンションの周辺住民が2002年12月、「景観が乱される」などとして、建築確認を代行した民間の指定確認検査機関を相手取り、確認の取り消しを求めた訴訟。検査機関の確認を横浜市が行ったものとみなせるかが争われ、市は「確認をしたのは検査機関であり、市ではない」と主張したが、最高裁は建築基準法を根拠に「検査機関による確認事務は自治体の事務である」とする初の判断を示した。

 建築確認の民間代行は、1998年の建築基準法改正で認められた。国交相などが認定した検査機関が構造計算書の検査などを代行し、確認済み証を発行。自治体は検査機関から建築主名などを記載した建築計画概要書を受け取る。

 6月の最高裁決定に対し、横浜市は「納得できない」として、翌7月、国交省に建築基準法の改正を求める要望書を送った。また、他の全国の自治体からも国交省に対し、「検査機関が手数料を得て業務をしているのに、そのツケだけを負わされるのはおかしい」といった声が相次いだという。

 耐震強度の偽装が次々と明らかになっている今回の問題では、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が、構造計算書の偽造を簡単に見逃していたことがわかっている。このため、マンションの販売業者らは、構造計算書を偽造した姉歯秀次1級建築士(48)や、イーホームズに損害賠償を求めていくとみられるが、最高裁決定を受け、自治体の責任を追及するケースも予想される。すでに、建築主の1社の「サン中央ホーム」(千葉県船橋市)は、「最高裁判例では、建築確認申請の許可権者はあくまで市であり、市に責任がある」とするチラシを住民に配布している。

 これに対し、横浜市は、「今回の件では、設計事務所や指定確認検査機関に責任があるほか、指定をした国にもその責任の一端があるのではないか」と主張し、江東区も「判例は今回とは次元が違う。金銭的支援は行えない」との姿勢。

 川崎市の担当者も「あくまで民と民の話。敗訴する可能性もあるが、全面的に争う」とするが、東京都港区の担当者は「最高裁決定を考えれば、区が後始末しなければいけない可能性がある」と戦々恐々としており、「自然災害とは違い、区民の税金を出す財政支援には批判があるだろうが……」と頭を悩ませている。

京王プレ五反田の偽造、検査機関が発覚後も気付かず 11/22/05(読売新聞)

 京王電鉄の調査で、新たに構造計算書の偽造が判明した「京王プレッソイン五反田」について、すでに営業中止している茅場町店と同様に建築確認を代行した民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が、同社の内部監査で同問題が発覚した後も、五反田店の構造計算書の偽造に気付いていなかったことがわかった。

 同社はこれまで、姉歯事務所が構造計算にかかわった建物のうち、同社が建築確認を実施したのは25棟と説明していたが、五反田店はこの中に含まれておらず、調査対象から外していた。同社では「設計の元請け業者しか名前が公表されないため、姉歯が下請けしているとはわからなかった。

 内部調査では、姉歯の元請け物件と、姉歯への下請けについて元請けから通知を受けた物件だけ調べた」と釈明している。

 これについて国交省幹部は、「確認検査の信頼をさらに揺るがしかねない。業務実態について引き続き報告を求め、厳しい監督処分を検討する」としている。

3棟は無資格設計、姉歯建築士が名義貸し…耐震性偽装 11/21/05(読売新聞)

 マンションなど21棟の耐震強度偽装問題で、構造計算書を偽造していた「姉歯(あねは)建築設計事務所」(千葉県市川市)が、3棟のマンションについて、実際には設計の元請け業務をしていないのに、「建築基準法上の設計者(元請け設計者)」として届け出ていたことが21日、読売新聞の調べでわかった。

 同事務所の姉歯秀次・1級建築士(48)は、名義を貸した建築デザイナーに対し「いっしょに仕事がしやすい」という理由で、今回問題になっている民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)を紹介していたという。国土交通省では、名義貸しは通達違反で、建築士法により処分対象になるとしている。

 姉歯建築士が名義を貸していたのは、建築のデザインを手掛ける「秋葉設計」の秋葉三喜雄代表(45)。秋葉代表は、千葉県船橋市の不動産・建設会社「サン中央ホーム」が開発、施工した同市内の強度偽装マンション3棟について、同社との間で契約を結び、全体の設計を取り仕切ったが、この3棟の建築基準法上の設計者として届けられていたのは姉歯建築設計事務所だった。

 秋葉代表によると、姉歯建築士とは10年来の付き合いで、以前から取引のあったサン中央ホームの仕事について、6年ほど前から姉歯建築士と「チームのような形」で仕事をするようになった。問題の3棟の設計を請け負うことは、サン中央との話で決まったが、秋葉代表は1級建築士の資格を持っておらず、建築基準法上、設計の元請けにはなれないため、姉歯建築士に名義貸しを頼んだという。

 秋葉代表が、ほとんどの偽装マンションの建築確認などの検査を行った指定確認検査機関のイーホームズを紹介されたのは2年前。姉歯建築士から、それまでの検査機関を替えた方がいいと言われたという。

 姉歯事務所から名義を借りていたことについて、秋葉代表は「まったく関係のない第三者の名義を使ったわけではないので、それほど問題はないのではないか」と釈明した。

 同事務所については、「法律をクリアできるぎりぎりの設計ができる、優秀な、建築士だと思っていた。現場からも『施工しやすい』という声を聞いたので信頼していた。偽造には全く気付かなかったが、サン中央に姉歯事務所を紹介したウチの責任も重大だ」と話している。一方、サン中央ホームは「問題が表面化するまで、姉歯建築士とは全く面識もなかった。偽造されたものが検査に通るなどとは全く思わなかった。(建築主、設計者、施工者が)三位一体の責任などと言われるのは心外だ」としている。

国交省、姉歯建築士の告発へ 11/21/05(朝日新聞)

 国土交通省は21日、千葉県市川市の姉歯建築設計事務所と、経営する姉歯秀次1級建築士(48)について、建築基準法違反の疑いで警視庁に告発に向けた準備書面を提出した。警視庁は正式な受理手続きの後、本格的な捜査に乗り出す方針。

 国交省によると、姉歯建築士が構造計算書を偽造したマンションなど17棟は、耐震強度が建築基準法などで定める基準を下回っていた。

 同法20条違反の罰則は、50万円以下の罰金。巨額の被害が予想されるのに対し、刑罰が軽過ぎるとの批判もあるが、国交省は「経済的な損害は民事訴訟での解決を優先すべきだ。今回は、捜査による事実解明を急ぐべきだとの考えから告発することにした」としている。

「瑕疵担保責任をめぐる賠償義務に関しては、住宅保証機構や民間の保険会社がマンション開発業者らを 対象に任意の保険や共済を設けている。業者側の支払い能力の不足を補うためだ。」

行政は、任意の保険や共済を強制にするべきであろう。

今回のように倒産したり、倒産するから売買代金の返還に応じられないのであれば、 瑕疵担保責任の意味がない。

耐震強度偽造、被害補償どうなる 業者の保険、対象外? 11/21/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度が偽りだった問題で、その大半の建物が震度5強程度の地震で倒壊する可能性があることがわかった。入居者に退去を要請し始めた建築主もいる。こうした重大な欠陥があるマンションを、何も知らずに買ってしまった入居者はどうなるのだろうか。

 ■瑕疵担保責任

 「建築主に賠償してもらうにしても、倒産したら元も子もない」「建築確認を民間に委託する制度をつくった国の責任が最も重い。行政もきちんとした対応を」

 欠陥が明らかになったマンションの居住者たちの大半は補修ではなく、建て替えや売買契約の解除と支払った代金の返還、転居費用の負担を求めている。

 今回の問題では売り主の「瑕疵(かし)担保責任」を根拠に売買契約を解除し、売買代金の返還を請求できる。

 住宅品質確保促進法に基づく制度で、今回のような新築マンションの売り主は物件を引き渡してから10年間、主要な構造部分に欠陥があったら修理したり、賠償金を支払ったりしなければならない。購入者は契約の解除や売買代金の返還を求めることもできる。

 ■保険と共済

 問題は売り主らに資金があるかどうかだ。設計事務所や建築主にも状況により、費用を分担する責任が生じてくる。

 耐震強度が偽りだったマンション4棟の建築主だったシノケン(福岡市)は20日、代金の全額返還を発表したうえで4棟すべてを建て替えた場合は最大約33億円かかるとし、新たに建設するマンションの売却代金などを差し引いても10億円程度の資金が必要となるという試算を明かした。

 12棟の建築主のヒューザー(東京都千代田区)も社長名のコメントで「すべて当社の責任で対応する」とし、補償の費用については「間違っても当社が倒産しないよう、国や自治体に公的資金を含め支援を要請している」としている。

 瑕疵担保責任をめぐる賠償義務に関しては、住宅保証機構や民間の保険会社がマンション開発業者らを対象に任意の保険や共済を設けている。業者側の支払い能力の不足を補うためだ。

 しかし、この保険は施工段階での手抜き工事による欠陥を想定したもので、設計段階では建築基準法に沿った建物であることが条件。今回のような場合は支払いの対象外となる事態もあり得る。そもそも資金力がある大手をはじめ、保険に加入していない業者も少なくないという。

 ■地震保険

 では、入居者が個別に加入している住宅保険は救済してくれるのか。

 日本損害保険協会広報室は「住宅の欠陥に伴って退去を余儀なくされた場合、通常の保険では購入資金や退去費用が補償されることは考えにくい」と説明する。

 仮に大地震が起きてこれらのマンションが倒壊すれば、地震保険加入者には被害が一定程度補償される可能性があるという。同協会は「一般論としては、震度3や4で倒壊した場合でも支払われます」と説明している。

耐震偽造:「危険」完成済み建物13棟 国交省、再計算 11/20/05(毎日新聞)

 姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)によるマンションなどの耐震構造計算書偽造問題で、国土交通省が偽造データを基にして建設されたマンションなどの耐震性を再計算した結果、完成済みの建物14棟のうち渋谷区内のマンションを除く13棟(計427戸)が「震度5強」程度の強い地震に耐えられない構造だったことが21日、分かった。13棟については建て替えも含めた対策を取る必要があるという。これまで国交省発表分と業者発表分を合わせ計4棟が倒壊する恐れが分かっていたが、新たに9棟が加わることで住民の混乱はさらに広がりそうだ。

 また同省は工事中の3棟が同様の恐れがあると公表しており、倒壊の恐れのある姉歯物件は計16棟となる。

 新たに分かった完成済みの9棟は中央区2棟(うち1棟はホテル)▽港、墨田、江東各区の各1棟▽東京都稲城市、横浜市、神奈川県藤沢市、千葉県船橋市各1棟。このうち横浜市1棟は他の物件と比べ、データ上は若干良かったが、同省は「誤差の範囲内」として倒壊の恐れを指摘した。また渋谷区の1棟については、震度6強で柱のひびの入り方が大きくなる可能性があるとした。

 工事中の3棟はいずれも千葉県船橋市内のマンションで、このうち、ほぼ完成している「グランドステージ船橋海神」は、住民が入居し始めると重量の影響で建物にひびが入ったり、一部にゆがみが発生する恐れがあるという。

 国交省は21日午前、再計算した結果について、マンションやホテルが建設されている関係自治体に報告した。【長谷川豊、桐野耕一】

耐震偽造:確認機関への立ち入り検査強化 国交省方針 11/20/05(毎日新聞)

 千葉県市川市の姉歯(あねは)建築設計事務所によるマンション耐震データ偽造問題で、国土交通省は、国指定の民間確認検査機関に対する立ち入り検査で、新たに問題となった「構造計算書」などの重要書類を個別に確認する方針を固めた。従来の立ち入り検査は年1回程度で、資格を持っている検査員の数などをチェックするだけだった。

 今回偽造を見逃した検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)に対しては昨年、立ち入り検査をしていなかった。建築基準法は年1度の立ち入り検査を定めているわけではないが、「被害」を受けた住民からは国の責任を問う声があがっている。

 従来の立ち入り検査は、国家資格の「建築基準適合判定資格者」を持った1級建築士の数▽確認書類の保存状況▽利害関係のある業者を検査していないか−−などのチェックが主で、構造計算書を調査したり、再計算することはなかった。

 検査の頻度についても、建築基準法は「国は民間検査機関に対し立ち入ることが出来る」とだけ定めており、立ち入り検査が年に1度も行われないこともあった。イーホームズについては昨年、同省の通達で定められている定期報告のみを実施。事務概要や財務状況などの書類が提出されたが、問題は発見されなかった。

 このため、同省は建物の耐震性を認定する構造計算書などの重要書類についてのサンプリング調査などを検討している。

 同省によると、検査業務への民間業者参入が始まった99年以降、想定以上に業者が増加し、業者間での競争が激しくなったという。このため、立ち入り検査の見直しについて論議を始めていた矢先に今回の問題が発覚したという。

 一方、偽造が発覚した完成済みのマンションでは、自治体からの説明会などが連日のように開かれており、ある参加者は「姉歯も、イーホームズも、国も、互いに責任のなすりつけ合いをしているだけだ。全く責任のない我々住民を考えているとは思えない」と批判。別の参加者も「国の責任が最も重い」と憤っている。【長谷川豊】

耐震偽装問題、元請け6社を刑事告発へ…国交省 11/20/05(読売新聞)

 千葉県市川市の姉歯建築設計事務所がマンションなど21棟の構造計算書を偽造していた問題で、国土交通省は19日、構造計算書の作成を依頼した元請け設計業者6社についても、建築基準法違反の疑いで警視庁に告発する方針を固めた。

 対象は、スペースワン、シノケン、エスエスエー建築都市設計事務所、木村建設、森田設計事務所、下河辺建築設計事務所。6社は、姉歯建築設計事務所が偽造した書類に基づいて建築確認が出た首都圏のマンション、ホテル計21棟のうち18棟の設計者になっている。残り3棟は姉歯が設計しており、国交省はすでに姉歯の告発方針を固めている。

 偽造の構造計算書は、建築基準法上、元請け設計業者の名義で作成されたことになっている。国交省は、適正な設計をすべき6社が書類の偽造を見過ごした点についても責任を問う必要があると判断した。

耐震偽装問題、元請け6社を刑事告発へ…国交省 11/20/05(読売新聞)

 国土交通省は、「姉歯建築設計事務所」に構造計算業務を下請けに出していた元請けの設計会社6社を、建築基準法違反で刑事告発する方針を固めた。

 6社は、21棟のうち18棟の元請け設計者だった「木村建設」「エスエスエー建築都市設計事務所」「シノケン」「下河辺建築設計事務所」「スペースワン一級建築士事務所」「森田設計事務所」。

耐震強度偽造 施工業者、関与否定 各社に「姉歯」仲介 11/20/05(朝日新聞)

 耐震強度が偽りだった建物21棟の大半に、東京と熊本の業者2社が建築主や設計・施工業者として関与していた。これらの物件で姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)に構造計算を任せた各設計会社は、2社側から姉歯を使うよう頼まれたと東京都の調査に説明している。2社は姉歯の不正について知らなかったとし、偽造への関与を否定している。

 21棟のうちマンション12棟は不動産会社のヒューザー(東京都千代田区)が建築主で、その多くを含む少なくとも13棟は木村建設(熊本県八代市)が施工を請け負っていた。

 21棟のうち姉歯が設計を直接請け負ったのは3棟。それ以外は設計業務を受注した別の設計会社から構造計算を再発注されていた。その大半で姉歯と各設計会社の接点になったのが木村建設だった。

 各設計会社は「木村建設と構造計算の契約を結び、木村建設が姉歯に下請けさせた」「設計・施工のすべてを木村建設が事実上行った」などと都に説明。「建築主が姉歯と直接契約した」「構造計算は建築主の指示で姉歯に委託した」と答えた社もあった。

 ヒューザーは取材に対し、98年末ごろ、マンション建設を依頼した木村建設から「構造計算に使ってほしい」と姉歯を紹介されたとしている。幹部社員は「問題があると知っていれば姉歯を使わないように手を尽くしただろう」と話す。

 木村建設は熊本県内有数の建設会社。都には姉歯を使った理由を「仕事が速いから」と説明した。木村盛好社長は19日に出したコメントで「見抜くことができなかった意味で道義的責任を痛切に感じている」「ただちに対応策を講じたいが、規模の大きさから、弊社のみで対応できるレベルをはるかに超えている」などとする見解を明らかにした。東京支店の社員も19日、「不正は一切知らなかった。そんなことをしても会社に何のメリットも無い」と話した。

 21棟の中には木村建設とは無関係の物件もあった。3棟の建築主だったサン中央ホーム(千葉県船橋市)に姉歯を紹介したという地元の建設仲介業者は取材に対し、「6年ほど前にサン中央に姉歯を紹介した。姉歯に裏切られた思いだ」と説明している。

耐震偽造:12棟に「ヒューザー」「木村建設」が関与 11/20/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、完成済みのマンションなど14棟のうち12棟の建設過程に、不動産会社「ヒューザー」(東京都千代田区)と建設会社「木村建設」(熊本県八代市)のいずれかが関与していることが20日、国土交通省の調べで分かった。同省は、姉歯(あねは)建築設計事務所(千葉県市川市)の姉歯秀次1級建築士(48)の構造計算書偽造の経緯などについて両社が事情を知っている可能性もあるとみて調べている。【大平誠、渋谷卓司】

 同省などによると、14棟のうち、ヒューザーは7棟の建築主になっている。このケースでは木村建設の関与が特に目立つ。7棟のうち、建築確認申請では4棟が木村建設の施工。うち1棟は、「スペースワン建築研究所」が設計しているが、同申請に木村建設が出てこないス社設計の2棟について、ス社は東京都に「構造計算は木村建設と契約。木村が姉歯に下請けに出した」などと話している。つまり、計6棟について木村建設の関与が疑われる計算だ。

 また、シノケン東京支店が建築主となった4棟は、同申請ではシノケンが設計・施工となっているが、同社も都に「事実上、設計・施工は木村建設が行った」と話している。また、京王電鉄が建築主のホテル1棟は、同申請で木村建設が設計・施工となっている。

 また、「サン中央ホーム」が建築主と施工者を兼ねた2棟については、サ社が毎日新聞の取材に「姉歯は別の業者に紹介してもらった」などと話しており、この2棟だけは木村建設やヒューザーとの関連が浮かんでこない。

 ヒューザーの小嶋進社長は「施工を頼んだ木村建設に各設計事務所が姉歯を紹介された。私自身としては構造計算をどこが担当しているかはほとんど意識したことがなかった」などとコメントしている。木村建設は、東京都の聴取に「仕事が速いから姉歯に依頼した」などと回答。毎日新聞の取材には「検査機関も含めて告訴を検討したい」などと話している。

 ◇姉歯建築士が民間検査機関を変更か

 姉歯秀次・1級建築士(48)が02〜03年ごろ、「チェックが厳しい」との理由で、構造計算書の民間検査機関を変更していたことが20日、姉歯建築士からデザイン設計を請け負っていた男性(45)の話で分かった。変更先は、偽造計算書を承認してきた「イーホームズ」(東京都新宿区)で、国土交通省は、既に同社から事情を聴く方針を固めている。

 会見した男性によると、姉歯建築士とは約10年前から仕事を紹介しあう仲。検査機関変更について「(姉歯建築士は)優秀な建築士だと思っていたので、特に反対もしなかった。裏切られた気持ちだ」と話した。【倉田陶子】

耐震強度偽造 施工業者、関与否定 各社に「姉歯」仲介 11/20/05(朝日新聞)

 耐震強度が偽りだった建物21棟の大半に、東京と熊本の業者2社が建築主や設計・施工業者として関与していた。これらの物件で姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)に構造計算を任せた各設計会社は、2社側から姉歯を使うよう頼まれたと東京都の調査に説明している。2社は姉歯の不正について知らなかったとし、偽造への関与を否定している。

 21棟のうちマンション12棟は不動産会社のヒューザー(東京都千代田区)が建築主で、その多くを含む少なくとも13棟は木村建設(熊本県八代市)が施工を請け負っていた。

 21棟のうち姉歯が設計を直接請け負ったのは3棟。それ以外は設計業務を受注した別の設計会社から構造計算を再発注されていた。その大半で姉歯と各設計会社の接点になったのが木村建設だった。

 各設計会社は「木村建設と構造計算の契約を結び、木村建設が姉歯に下請けさせた」「設計・施工のすべてを木村建設が事実上行った」などと都に説明。「建築主が姉歯と直接契約した」「構造計算は建築主の指示で姉歯に委託した」と答えた社もあった。

 ヒューザーは取材に対し、98年末ごろ、マンション建設を依頼した木村建設から「構造計算に使ってほしい」と姉歯を紹介されたとしている。幹部社員は「問題があると知っていれば姉歯を使わないように手を尽くしただろう」と話す。

 木村建設は熊本県内有数の建設会社。都には姉歯を使った理由を「仕事が速いから」と説明した。木村盛好社長は19日に出したコメントで「見抜くことができなかった意味で道義的責任を痛切に感じている」「ただちに対応策を講じたいが、規模の大きさから、弊社のみで対応できるレベルをはるかに超えている」などとする見解を明らかにした。東京支店の社員も19日、「不正は一切知らなかった。そんなことをしても会社に何のメリットも無い」と話した。

 21棟の中には木村建設とは無関係の物件もあった。3棟の建築主だったサン中央ホーム(千葉県船橋市)に姉歯を紹介したという地元の建設仲介業者は取材に対し、「6年ほど前にサン中央に姉歯を紹介した。姉歯に裏切られた思いだ」と説明している。

耐震偽造:構造部分のコスト削減、「建築主、気にしない」 11/20/05(毎日新聞)

 「お客さん(建築主)は目に見えない『骨の部分』は気にしない」−−。千葉県市川市の姉歯(あねは)設計事務所によるマンション耐震データ偽造問題に絡み、同業者は「業界の常識」を打ち明けた。大規模建築物の背骨ともいうべき根幹の構造計算がゆがめられた背景には、コスト削減とスピード至上主義という建設業界の暗黙の“要請”が見え隠れする。

 ◇業界、暗黙の要請?

 国土交通省や千葉県によると、姉歯秀次・1級建築士(48)は過去5年間で、偽造が明らかになった21棟を含む約110棟の構造計算を手がけている。建物の規模によっては500ページにも及ぶ構造計算書をほぼ2週間に1度のペースで仕上げていたことに、特定非営利法人「建築Gメンの会」の田岡照良常任理事は「個人事務所であれば、マンションの構造設計なら通常年間3〜4棟、よくやっても年間10棟が限界だろう」と驚く。

 姉歯建築士は当初、千葉県の聴取に「コスト削減のプレッシャーを感じた」と証言。これについて、東京都渋谷区の構造設計事務所の経営者は「マンションの場合は大きなデベロッパーが建築主になるから、構造や内装など部門ごとの予算計画を立て、『構造計算にはこれしか払えない』と決めつけてくる。そして『出来なければ他に頼む』だ」と話す。

 さらに、この経営者は「お客(建築主)は内装や空調、風呂など目立つところは変えたがらない。でも構造部分は、工事代金の6〜8割を占めるのに目に見えない部分だから、必然的にコストカットの対象になる。ただし、今回のような耐震データの偽造は背骨を抜くようなもので、あり得ないこと」と話し、「姉歯建築士が半ば人ごとのように取材に答えている様子を見ると、関係者らが黙認していたのかもしれない」と指摘した。

 今回、偽造が発覚したマンション・ホテルの設計依頼を受けた建築士事務所6社のうち3社は、都の事情聴取に対し、姉歯事務所に構造計算を依頼したことを「建築主の指示」と回答。残り3社の構造計算をまとめて同事務所に発注していた業者は「仕事が早いから」と回答している。【大平誠、長谷川豊】

耐震強度偽装、国交省が検査機関の「審査」を緊急点検 11/19/05(読売新聞)

 首都圏のマンションなど21棟の耐震強度が偽装されていた問題で、国土交通省は、耐震強度などを示す「構造計算書」の審査が適正に行われているかどうかの緊急点検を21日から始めることを決めた。

 対象は、建築確認を担当する建築主事がいる自治体と、全国に122ある民間の指定確認検査機関。

 専門のプロジェクトチームを編成、大都市を中心に現地に出向いて聞き取り調査を行い、審査状況を把握する。回答内容によっては立ち入り調査も行う方針だ。

検査会社、着工後も2度見逃す 耐震強度偽造 11/19/05(朝日新聞)

 偽造された構造計算書に基づいて耐震性能の不足するマンションなどが建てられていた問題で、着工前の建築確認をした民間検査機関イーホームズ(藤田東吾社長、東京都)が、完成した14棟のうち12棟で、着工後の中間検査と完了検査も手がけていたことがわかった。偽造書類が複数のチェックの機会をすり抜けたことを受け、国土交通省は検査制度のあり方を再点検する。

 イーホームズは「工事が設計図通りに進んでいれば、着工後の検査で欠陥を見抜くのは困難」としている。

 中間検査は、2階の床の鉄筋を組み立てる工事が終わった時などに、建物が建築基準法通りに建てられているかや、工事が適正かどうかを、現場調査や書類審査で確認する。建築基準法の改正で99年から導入され、全国の自治体の7割が条例で義務づけている。完成時の完了検査は建築基準法で義務づけられている。

 検査業務は、建築確認の場合と同じく、国交相の指定を受けた民間機関か、自治体が担当する。

 国交省によると、千葉県市川市の姉歯建築設計事務所が偽造した構造計算書に基づいて建てられ、すでに完成している14棟のうち、東京、千葉、神奈川の1都2県のマンション11棟とホテル1棟は、中間検査も完了検査も、建築確認と同じくイーホームズが担当。残りの2棟は中間検査は対象外だったが、完了検査は同社がしていた。

 いずれも検査で合格したが、川崎市と千葉県船橋市のマンション計2棟は、国交省の調べで、建築基準法が義務づける震度6強〜7程度の地震に耐えられず、震度5強程度で倒壊する恐れのあることがわかった。

 着工後の2度の検査機会でも不正を見抜けなかった理由について、同社は「設計図は建築確認で審査済みなので、検査では工事が設計図通りかどうかを確認した。現場の鉄筋の数などを見ただけで、欠陥と見抜くのは相当な専門家でないと無理」としている。

 中間検査と完了検査は、建築確認を担当したのと同じ検査機関がすることがほとんどとされる。複数のチェックの機会がありながら不正が見過ごされた背景には、検査時の書類審査が形式化していた可能性もあり、同省は、近く発足させる国交相諮問機関の専門部会で検証する。

強度偽装マンション、半数以上が同じ建築主 11/19/05(読売新聞)

 首都圏のマンションなどの耐震強度が偽装されていた問題で、「構造計算書」の偽造が判明した20棟のマンションの半分以上を、東京都内の同じ開発会社が建築主として手掛けていたことが18日、読売新聞の調べでわかった。

 複数の建築設計事務所が都の調べに対し、計算書を偽造した設計事務所を下請けとして使うよう、この開発会社から紹介されたと説明していることも判明。開発会社側は「建設費が安上がりになる」と話していたという。

 この開発会社は、近年、関東近郊などを中心に業績を伸ばしている新興のマンション開発・分譲会社(千代田区)。自治体関係者の話によると、今回、構造計算書が偽造されていた東京都内の10棟中の6棟と、神奈川県内の4棟すべて、千葉県内の6棟のうち2棟の計12棟を同社が開発し、そのうちの8棟はすでに販売されていた。

 一方、国土交通省の調べで、書類を偽造した「姉歯(あねは)建築設計事務所」(千葉県市川市)は、ホテル1棟を含めた全21棟のうち、3棟は元請けとして、残る18棟については他の六つの建築設計事務所の下請けとして、構造計算をしていたことがわかっている。6設計事務所はいずれも都に登録していることから、都建設業課が今月14、15日に、担当者を都庁に呼んで事情を聴取した。

 それに対し、各担当者はいずれも「まったく気づかなかった」などと話し、偽造への関与を否定。姉歯事務所を下請けに使った理由については、複数が「開発会社から使えと言われた」などと説明し、問題物件の半分以上を手掛けていた開発会社名を挙げたという。

 この開発会社は17日、報道機関に送った文書の中で、強度が偽装されたマンションの中に自らの物件が含まれていたことについて「正に驚天動地、青天の霹靂(へきれき)」と主張。姉歯事務所に関しては「各設計事務所が外注した」としている。

 姉歯事務所を元請けに紹介したとされることについて、読売新聞の取材に対しては18日、「その件では一切コメントできません」とだけ回答した。

耐震構造 書類不備でも審査 千葉の建築士 5年で90棟関与 11/19/05(産経新聞)

 千葉県市川市の姉歯(あねは)秀次一級建築士(48)が二十一棟のマンションやホテルの耐震性にかかわる構造計算書を偽造していた問題で、建築確認を行った民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が、姉歯建築士から必要書類の提出を求めないまま審査を実施していたことが十八日、国土交通省の調査で分かった。書類不備の際には、計算過程を精査するよう決められており、国交省は適切な審査が行われれば不正を防げたとしている。

 国交省は同日、建築基準法に違反したとして姉歯建築士の資格を取り消す方針を固めた。イー社についても審査の実態を調べた上で処分を検討する。姉歯建築士が構造計算にかかわった物件は、二十一棟以外に最近五年間で約九十棟に上っており、国交省はこれらについても偽造の有無を慎重に調べる。

 この書類は構造計算の際に使用した計算プログラムが国土交通相の認定を受けていることを示す証明書で、国交省が各業者に添付を指導している。この日、国交省で会見したイー社側は、認定証が添付されていないことを認識していたとしながらも、「確認審査業務は適正に行っており、過失はなかった」とした。

 姉歯建築士が必要書類を添付しなかった理由について、国交省幹部は「添付すると不正が発覚しやすくなるのを知っており、あえて検査機関の検査能力を試そうとしたのではないか」と推測している。

 偽造対象となったビジネスホテル「京王プレッソイン茅場町」(東京都中央区)では同日、安全性が確認されるまで営業中止を決めた。

 国交省は、二十一の物件のうち既に完成している十四棟がある東京都、千葉県、神奈川県の担当者らと対策連絡協議会を開催。震度5強の地震で倒壊する恐れが確認されたマンションとして、千葉県船橋市の「湊町中央ビル」と川崎市川崎区の「グランドステージ川崎大師」の二棟を、さらに完成済みの十四棟の建築主四社、設計業者六社、施工業者六社をそれぞれ公表した。

 協議会で東京都は、姉歯建築士に構造計算を発注した設計事務所六社に対する聴取内容を報告。報告によると、六社は発注の理由について「建築主に指示された」「仕事が早いから」と説明したという。

                  ◇

 ■業界全体に漂う コスト削減圧力

 「必ずしも特殊なケースとはいえない」。姉歯秀次一級建築士が、建物の安全性の基本となる構造計算書を偽造していた問題について、業界関係者はそう指摘する。姉歯建築士は偽造の動機について「(建築)コスト削減のプレッシャーがあった」などと話しているが、同様のプレッシャーは業界全体に通じるものでもあるからだ。検査機関もやすやすと不正を見逃していた。国土交通省は検査方法などの抜本的見直しに着手しているが、課題はあまりに多い。

 姉歯建築士は平成十五年二月から今年十月にかけ、首都圏のマンションやホテル二十一棟について、設計事務所六社から構造計算書の作成を請け負った。

 計算には、国交相が認定した構造計算用のコンピューターソフトを使用。姉歯建築士は柱や梁(はり)の本数、建物に対する外力などを低い数値で入力していた。この結果、柱などの本数が大幅に減少することになり、すでに完成している物件の耐震性能は、建築基準法で定める基準の三−七割しか満たさない状態となった。

 建設業関係者の一人は「例えば鉄筋の量が減れば鉄筋工の人件費も浮く。姉歯建築士は、こうした業界の仕組みをよく知ったうえで『あうんの呼吸』で工費を減らす工作をし、内々の評判を高めようとしたのかもしれない。今回が氷山の一角でなければいいが…」と話す。

                 ◆◇◆

 設計事務所は設計の過程で構造計算を行うが、別の事務所に請け負わせるケースもある。

 今回、問題の物件にかかわった設計事務所は、大半が施主から姉歯建築士を紹介してもらっていた。少しでも建設コストを抑えたい施主の意向が、偽造につながったとの見方も出ている。

 一方、自治体の専売特許だった建築確認は、平成十年の建築基準法改正で民間に開放されたが、こうした“緩和”が裏目に出たとの指摘もある。

 関係者は「行政と比べて民間の審査はスピードと効率が命。構造計算書は素人が見ても全く分からないような数字と表の羅列で、検査機関も部分部分の確認だけで済ませることもある」と話す。

 今回の問題は、姉歯建築士が構造計算をした二十棟の建築確認を担当した「イーホームズ」の内部監査で発覚した。しかし同社は当初、不正を見逃していた。

 構造計算に使われたソフトは、条件設定を入力すると一挙に構造計算を行い、建築基準に適合か不適合かの判断まで行う。印字された計算書には、全ページに認定番号や性能評価番号が記される。さらに申請時に、ソフトの国交相認定書と省略範囲を示した指定書が添付されることで、審査を省略できる仕組みだ。

 ところが、姉歯建築士が検査機関に提出した構造計算書には各種の番号が記されていなかった。姉歯建築士が作成した計算書は、誤った条件を入力した書類と、正しい計算書類を混在させて偽装する「ごく単純な方法」(国交省)だった。

 偽造を見抜けなかったイー社について、国交省幹部は「何のための審査か分からない」と指摘するが、そうした民間機関をチェック、指導する国交省の責任を問う声もある。

「同社は『不添付を指摘しなかったのはミスでまずかったが、形式的なことで審査の本質は問題ない』と主張している。」

「同省によると、イー社は、姉歯建築士が省令で定められた認定書や指定書と呼ばれる書類を添付せず、認定番号も付けていなかったのに、構造計算書を承認していたという。」 これが事実であるなら民間検査機関の検査がすさんであることは間違いない。添付された書類が偽造だったことは 船の検査である。サインした筆跡が違うことで指摘したこともある。同じ事を繰り返していれば、書類に疑問な点が あることに気付くはずである。権限を持たない人間が勝手に書類を書き換えたことあった。資格を持たない 検査官が検査したことに気付いたことあった。広島の広警察署がどれだけ問題を理解したのかわからない。

民間検査機関が常識の範囲であるなら、広島の広警察署の穏便にしようとした行為も理解できる。 個人的にはこのようなずさんな検査が許されるとは思わないが!! 国土交通省はポートステートコントロール(PSC)からの検査会社の対応の状況を聞き、 国指定の民間検査機関のずさんな検査を防止するための監査及び処分を検討するべきであろう。

船の検査の経験から言えば、厳しい処分がなければかわらない。ある国は船の検査に関して 検査機関の指定や認定を取り消している。この国は日本のポートステートコントロール(PSC)から 頻繁に船の問題点に関して指摘された経緯がある。結果として問題は以前よりも改善された。

耐震偽造:姉歯・1級建築士の資格取り消し 国交省方針 11/19/05(毎日新聞)

 千葉県市川市の姉歯(あねは)建築設計事務所によるマンションなどの耐震構造計算書偽造問題で、国土交通省は18日、計算書の偽造を認めている姉歯秀次・1級建築士(48)について、建築士の資格を取り消す方針を固めた。建築士法に基づく処分で、24日に同省で聴聞会を開いて姉歯建築士の反論を聞いたうえで、12月にある中央建築士審査会を経て処分される見通し。

 また国指定の民間検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が偽造された計算書をチェックする際、国交省の法令で義務付けられた必要書類が添付されていないにもかかわらず、そのまま通していたことも判明。同省は検査がずさんだった可能性もあるとみて、建築基準法違反を視野に同社から詳しく事情を聴く。

 同省によると、イー社は、姉歯建築士が省令で定められた認定書や指定書と呼ばれる書類を添付せず、認定番号も付けていなかったのに、構造計算書を承認していたという。しかし、本来なら添付書類がない場合は、検査過程の省略はできず、計算書の詳細を改めてチェックする必要があるとされる。

 同社は「不添付を指摘しなかったのはミスでまずかったが、形式的なことで審査の本質は問題ない」と主張している。

 国交省は18日、関係の1都2県の15自治体との連絡協議会を開催。姉歯建築士が、これまで明らかになった21棟以外に、過去5年間で90棟の構造計算を行ったとみられることから、同省は姉歯建築士の登録先の千葉県に対し、今月21日までに全物件を特定させ、リストを関係自治体に情報提供するよう要請した。【長谷川豊】

     ◇

 こうした問題の発覚で、国交省は、居住するマンションの耐震構造などについて不安のある人に対し、住んでいる区、市などの行政機関の建築指導部局に相談するよう呼びかけている。

耐震偽造:書類不備も素通り 民間検査「速い」と受注増 11/19/05(毎日新聞)

 千葉県市川市の姉歯(あねは)建築設計事務所によるマンション耐震データ偽造問題では、国が認定したプログラムの信頼性を盾に、少なくとも2年半にわたりチェック機能が働かないまま偽造物件を増やしてきた。マンションの建て替えも検討される事態を招いた姉歯秀次・1級建築士(48)の構造計算書偽造は、なぜ気づかれなかったのか。【長谷川豊、大平誠】

 建物の建設前に建築士が作る構造計算書は、地震や台風などが来ても建築物の安全に問題がないことを示す重要書類だ。建築物のデザイン図をもとにして、柱やくいの太さや数、鉄筋の太さや質など、建物の強度に関係する数値をさまざまに変えてコンピューターに入力して結果をはじく。入力した数値が問題ないと判断されれば、書類は完成する。

 国が指定する民間の検査機関や自治体がこの書類を審査し、耐震などの基準をクリアすれば着工にゴーサインを出す。建設業者はデザイン図に、構造計算書に基づき柱やくいの数、鉄筋の太さなどを記した図面により建設工事を進める。

 構造計算に使うプログラム(ソフト)は、信頼性が高い国土交通大臣の認定品である場合が大半だ。姉歯建築士はこの信頼性を逆手に取ったとみられ、元請け設計事務所や国が指定する検査機関に提出した書類に、プログラムの利用証明書を添えていた。

 しかし姉歯建築士は、地震などに伴う外力の設定を、国などが定める耐震強度に応じた数値を入力したものと、半分程度の外力の数値を入力してはじいた二つのデータを用意。そのうえで、全体で数百ページになる書類の後半部分を、外力が半分程度で出した偽造データにすり替えていた。

 例えば、本来震度6に耐えるよう打ち出した構造計算のデータを検査機関に提出しなければならないのに、震度3に耐える程度の構造計算のデータも用意。震度6に基づく計算書の後半部分を震度3の計算書に替えて検査機関に提出し、承認されれば、本来より柱が細いなど強度の弱い建物の設計図となるわけだ。

 計算書の上部には、入力データに基づく固有の番号が打ち込まれる仕組みになっている。姉歯建築士が提出した書類は、前半部と後半部でデータが違うため番号が異なっているはずだが、書類には番号部分の記載そのものがなかった。

 こうした偽造について国交省や多くの設計関係者は「書類の番号部分がない場合、より詳細に検査しなければならない。見逃した検査機関の責任も重い」と指摘する。しかし、不正のあった完成済みの14棟のマンションやホテルに関する偽造書類を承認した検査機関の「イーホームズ」(東京都新宿区)は「書類に番号がない場合は他にもある。今回の偽造は巧妙だった」と主張する。

 イー社に出された構造計算書には、省令で定められた認定書や指定書など計算の正しさ、手順を示す公文書が添付されていなかった。中間検査、完了検査というチェックの機会もありイー社が担当していたが、不正は最近まで暴かれなかった。

 姉歯建築士は当初、千葉県の聴取に「コスト削減のプレッシャーがあった」と建設業者側の関与をうかがわせる話をしていた。だが、その後の毎日新聞などの取材には「書類を偽造することで計算書作成の作業時間を短縮できた。建設のコストを下げてと(建設業者側から)言われたことはない」と話している。

朝日新聞(11/19/05)より

「仕事増やしたかった」耐震強度偽造 建築士、違法性も認識

朝日新聞(11/19/05)社説より

耐震力偽造 命を脅かす犯罪だ

テレビを見ていたが不正をしないのが前提とある専門家が言っていたが、そのような奇麗事が 存在するのなら、建設業界は危ない。船の世界では、サブ・スタンダード船と呼ばれる違反船問題 がある。これは船員免状の偽造、不適切な検査、不適切な検査で検査合格の証である証書と呼ばれる 書類を発給(発行)する等の問題も含まれている。

「これについて藤田社長らは「適正なプログラム使用の証拠となる『利用者証明書』という別の書類が添付されていたので省略していいと思った。認定番号の印字がないからといって不正ではない」と説明。 「手口は巧妙であり、通常なら気づかない」と強調し、自社の責任を否定した。 」 このような手口など多く使われている。

国土交通省は職員がポートステートコントロール(PSC)として活動しているので、 不正をしないことが前提で検査をおこなっていないと思う。 もし、同じような考えであるなら、一部のポートステートコントロール(PSC)による 検査が甘いと感じるのは、当然の結果かもしれない。

建築確認審査に不備、検査機関の処分検討 耐震強度偽造 11/18/05(朝日新聞)

 首都圏のマンションなどの建築確認に偽造した構造計算書が使われた問題で、建築確認をした民間の検査機関イーホームズ(東京都新宿区)が、国土交通省の省令通りの手続きをしていなかったことが18日、わかった。審査を省略する場合に必要な書類が添付されていないのに、計算過程の審査を省いており、同省は同社の審査が不適切だったとして建築基準法に基づいて処分する方針。また、国交省は同日、関係自治体と対応策を協議した。

 構造計算書は、地震などに対する建物の強度を調べるもの。国交省の省令では、国交相認定のコンピュータープログラムを使ったことを証明する「大臣認定書」などが添付されていれば、計算が合っているかどうかの点検を省略できる。

 しかし、同日、記者会見したイーホームズの藤田東吾社長らによると、同社は姉歯建築設計事務所から出された書類に大臣認定書などがなかったにもかかわらず、点検を省いていた。姉歯建築設計事務所から提出された書類には、正規のプログラムを使った場合に、計算書の各ページに印字される「認定番号」もついていなかった。

 これについて藤田社長らは「適正なプログラム使用の証拠となる『利用者証明書』という別の書類が添付されていたので省略していいと思った。認定番号の印字がないからといって不正ではない」と説明。「手口は巧妙であり、通常なら気づかない」と強調し、自社の責任を否定した。

 だが、国交省は「認証番号の印字や認定書の添付がない場合は、不適正なプログラム使用が疑われ、審査の省略はできない」とし、同社の審査に不備があったとみている。

 一方、国交省は、偽造されたマンションのある東京都、千葉県、神奈川県など関係自治体を集めて18日開いた「構造計算書偽造問題対策連絡協議会」で、退去希望者の相談窓口を3都県に設置することを決めた。

 すでに完成したマンション13棟では、各自治体が居住者を直接訪問して事情を説明している。だが、単身者用で不在だったり、所有者と居住者が違ったりして連絡がつかないケースも多いという。

 東京都は、マンションの構造計算を姉歯建築設計事務所に発注していた建築設計事務所6社が都の調査に、「仕事が速い」「建築主の指示」などと回答したことを協議会で明らかにした。

検査機関の社長「当社に過失ない」…耐震強度偽装 11/18/05(朝日新聞)

 千葉県の建築設計事務所が首都圏のマンションなど21棟の耐震強度を偽装していた問題で、このうち20棟の建築確認を行った民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の藤田東吾社長ら幹部が18日、東京・霞が関の国土交通省で記者会見し、構造計算書のずさんな偽造を見逃したことについて「(検査で)ミスはあったが、本質的な問題ではない。検査は適正に行われており、当社に過失はない」と責任を否定した。

 問題の偽造書類には、耐震基準を満たしていれば、印字されるはずの「認定番号」がなく、大臣印付きの「認定書」なども添付されていなかった。

 偽造発覚につながったかもしれない、こうした不備を見逃したことについて、同社の担当者は「計算方法によっては認定番号が印字されないこともある」と釈明。認定書などの不備についても「認定書の代わりに(コンピューターソフト会社が利用者に発行する)証明書が付いていたので実質的に事足りると判断した」と独自の解釈を展開した。

 しかし、「正規の手続きではなく、まずいことはまずかった。さらに検査の適正化を図っていきたい」とミスがあったことを認めた。

 この問題は、今年10月、同社が定期的に行っている社内監査で、抜き取りにより監査対象となった書類に「認定番号」が印字されていないことに監査担当者が疑問を抱き、詳しく調べたところ、偽造がわかったという。

建築確認を代行した民間の指定確認検査機関による検査はこんなに簡単であることに驚いた。 こんな簡単な検査を行っている検査機関に対し国はどのような基準で指定するのだろうか。

こんな簡単なごまかしさえも見つけない検査をこれまで信頼してきた行政も責任がある。

行政は確認検査機関の指定の基準及び確認検査機関に対する監査方法を公表すべきである。 これは行政の責任において公表すべきである。今回のようなずさんな検査を行っていた 事実を把握していなかったことは行政の責任でもある。

検査機関、ずさん計算書を見落とし…耐震強度偽装 11/18/05(読売新聞)

 1都2県のマンションやホテルの耐震性を示す「構造計算書」が偽造されていた問題で、千葉県市川市の建築設計事務所が提出した計算書は、強度が基準を満たしている場合に印字される「認定番号」がないなど、極めてずさんなものだったことが18日、国土交通省などの調べでわかった。

 建築確認を代行した民間の指定確認検査機関は、こうした単純で重大な不備を見落としており、同省では検査機関に対し、建築基準法に基づく行政処分を検討している。検査機関は同省に対し「審査の方法に誤りがあった」などと説明している。

 同省や千葉県の調べによると、偽造を認めた「姉歯建築設計事務所」(千葉県市川市)は、国交相が認可した構造計算用のコンピューターソフトを使って構造計算をしていた。このソフトでは、建物の柱や梁(はり)の本数、建物にかかる外力の数値などを入力し、計算の結果、必要な強度を満たしていると判定されると、計算書の各ページの左上部分に、8ケタの英数字の「認定番号」が印字されることになっている。

 同設計事務所では、少ない鉄筋、薄い壁で建てるため、外力の数値を約半分に設定するなど工作したが、コンピューターは「強度不足」と判定。認定番号の印字のない「不合格」の書類しか出なかった。このため、同事務所では、認定番号のない書類を、正規の数値を入力して計算した別の書類の間に紛れ込ませて、そのまま検査機関に提出していた。

 また、計算書提出の際には、使ったプログラムが国交相の認可を受けたものであることを示す大臣印入りの「認定書」を添付しなければならないが、それも添付されていなかった。

 同省建築指導課では「認定番号の印字や認定書の有無は、ごく基本的なチェック項目。そんな偽造を見落とすとは考えにくい」として、検査機関から事情を聞いている。

 偽造物件21棟のうち20棟の建築確認を代行した「イーホームズ」(東京都新宿区)は、読売新聞の取材に対し、「偽造は巧妙で、簡単には見破れないものだった。当社としては適切な業務を行っていたと思っている」と説明。

 一方、国交省に対しては「構造計算書に添付すべき認定書などは確認しなくてもいいと誤解していた。審査の方法に誤りがあった」などと説明していた。

 また、千葉県船橋市のマンションの建築確認を代行した「東日本住宅評価センター」(本社・横浜市)では、今月11日、国交省の指摘を受け内部調査をするまで、計算書の偽造に気付かなかったという。担当者は「認定番号がついていなければならないという認識がなかった」と説明しているという。

         ◇

 国交省は18日、問題となっている21棟のうちの1棟が、川崎市川崎区中瀬3の「グランドステージ川崎大師」であることを公表した。

「国交省は『資格を持ったベテラン建築士が偽造するとは思わなかった』とチェック体制に 問題があったことを認め」について考え方が間違っている。だから構造計算書の偽造がおこったとも言える。

ベテラン建築士だからその気になればどこを偽造すれば発覚する確率が低いか判断出来ると思う。 また、年齢が高い人ほどモラルや専門性に対する認識が低いと思う。職人気質の中には自分の プライドにおいて妥協しない人は存在するであろう。しかし、大手や規模の大きな組織を相手の 仕事の場合、難しいであろう。談合を見ればわかる。利益が優先される場合、公平性や プライドなど二の次になるから、談合が起きる。

「検査員を複数にした新たな検査の仕組み」を構築しても検査員が同じ会社または組織であれば、 カネボウ粉飾の中央青山監査法人のような問題 が起きないとは言い切れない。この点についてよく考え、新たな検査の仕組みを構築すべきである。

構造計算書偽造:国交省が民間検査の監視機能強化へ 11/18/05(毎日新聞)

 国土交通省は18日、国指定の民間確認検査機関が偽造を見抜けなかったことを受け、検査方法の抜本的見直しについて検討を始めた。従来は、国家資格を持った検査員が一人で確認作業を行えたが、複数の検査員による多重チェック制の導入で再発防止を目指したい考えだ。また同省は、偽造した姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)の姉歯秀次・1級建築士(48)の国家資格について、事実関係を確認した後、建築士法に基づき、取り消しを含めた厳しい処分を行う方針。

 国交省によると、民間検査機関の検査員は、建築基準適合判定資格を持っている。1級建築士の資格を持ち、年に一度の国家試験に合格しなければならない。昨年の試験の合格率は約25%で、ベテラン建築士でないと合格するのは難しいという。

 姉歯建築士による偽造手口は「正規の体裁と異なる書類で、簡単に見破られたはず」(国交省)だったが、民間検査機関の確認作業では見抜けなかった。この結果、首都圏のマンションやホテル計21棟の構造計算書が承認されてしまった。

 98年の建築基準法改正により、翌年から導入された民間検査機関による確認は「民間の方が早い」などから自治体による検査を上回っている。背景に地価下落などに伴う中高層マンションの建設ラッシュもあり、民間検査機関を活用する業者が増えているという。

 また、周辺住民が日照権などを巡り反対する建物でも、行政機関が間に入る前に、建築確認を済ませてしまう例も報告されている。

 国交省は「資格を持ったベテラン建築士が偽造するとは思わなかった」とチェック体制に問題があったことを認め、検査員を複数にした新たな検査の仕組み構築に向け、作業を進めている。

【長谷川豊】

「姉歯建築士は『業界の全体的な風潮の中で、コストを安くしなければならないとの意識があった。 悪いことをやっているとの認識はなく、忙しすぎて感覚がまひしていた』と述べた。」

「悪いことをやっているとの認識はなく、忙しすぎて感覚がまひしていた」との理由には腹が立つ。 悪いことをやってことに対する処分を実感するほどの処分が必要である。

ある造船所と検査会社から口裏を合わされた経験のあるものとしてはこんな理由は許せない。

「また偽造についてはマンション開発会社などは何も知らないとし『独断で行っていた』と認めた。」 こんなことを信じる人は少ないであろう。強度計算をごまかすメリットは、コスト削減、 要求される強度を持つために使われる材料を減らすこと、強度を犠牲することによる 工程の簡素化などが考えられる。建築に関する知識はないが、これぐらいことは推測できる。

これらのメリットは、設計会社のメリットではないであろう。仕事を依頼した会社からの圧力が あったに違いない。「業界の全体的な風潮の中で、コストを安くしなければならないとの意識」 との発言の中で、この強度計算書の偽造は氷山の一角である可能性を残している。

承認された偽造の強度計算書で着工準備が進んでいる建築物もあるはずである。 迅速な対応を行政が取らないと、取り返しのつかないことになる。行政の責任として 迅速で適切な対応を取るべきである。迅速な対応をせず、税金を当てるようなことはやめてほしい。 公務員の退職金を一部を当てるべきである。人の金だと思い無駄に使かうべきでない。

建築士、1カ月前まで偽造 「悪いという認識なし」 11/18/05(産経新聞)

 マンション、ホテルの建築確認に使う構造計算書を偽造したとされる千葉県市川市の姉歯建築設計事務所の姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)一級建築士(48)は18日、自宅兼事務所前でインタビューに応じ「仕事の量が増えて、スピードアップしていかなければならない状態だった。2003年から1カ月ぐらい前まで(偽造を)やっていた」などと答えた。

 姉歯建築士は「業界の全体的な風潮の中で、コストを安くしなければならないとの意識があった。悪いことをやっているとの認識はなく、忙しすぎて感覚がまひしていた」と述べた。

 また偽造についてはマンション開発会社などは何も知らないとし「独断で行っていた」と認めた。(共同)

「また、違法性について『ないといったらうそになる。建築確認の検査会社はノーチェック状態だった』 とした。」

船(海運&造船)の業界でも似たような問題は存在する。 結果として サブ・スタンダード船が存在する。

このサブ・スタンダード船撲滅を目標として世界中で活動が行われている(PSCの活動も含まれる)。

お金の問題、違法行為が見逃されている事実、検査会社や旗国に対する制裁の甘さなどがあり、 サブ・スタンダード船撲滅にはいたっていない。

「建築確認の検査会社はノーチェック状態だった」も嘘ではないであろう。 まともに検査すれば儲けにならないのか、それとも、検査を厳しくすれば、甘い検査やノーチェックの 会社へ仕事の依頼が行くような状態であったのか、調査をおこない、事実を公表すべきであろう。

船の場合、現実的に依頼者(船舶所有者や造船所)が検査が厳しいとか、検査を通したいと思えば、 検査の依頼をキャンセルして、検査が甘い検査会社へ依頼が行くこともある。検査をパスした証拠と して証書が発給(発行)されればどこの検査会社の証書であるかは関係ない。船は運航できる。 だから、証書(車検証のようなもの)を所持していてもサブ・スタンダード船(違反船)と呼ばれる のである。

建築確認がノーチェックの検査会社(資格、認定、政府組織の許可等が必要であるのかしらないが)は 悪質であれば、検査が出来ないようにするしかないであろう。そうでなければ、サブ・スタンダード船問題の ように違法を知りつつもでたらめな止めない検査会社が存在し続けるであろう。

地震がなければ倒壊する危険性がないので大丈夫と言うスタンスであれば、厳しい処分は必要ないであろう。 船も同じ。サブ・スタンダード船(違反船)がすぐに沈没するとか、事故を起すわけではない。 事故や問題を起す確率が高いだけなのである。何かの要素が加わり、事故が起きたり、事故を最小限に 出来ないだけのことである。ただ、不公平な競争は存在する!

耐震計算、偽造認める 建築士「仕事増やしたくて」 11/18/05(朝日新聞)

 首都圏のマンションなど21棟の建築確認に偽造した構造計算書が使われたとされる問題で、千葉県市川市の姉歯建築設計事務所の姉歯秀次1級建築士(48)は18日、取材に対し偽造を認めた上で、「仕事を増やしたかった」などと語った。一方、国土交通省はこの日、国交相の諮問機関、社会資本整備審議会の中に専門部会を新たに設けて早急に検討することを決めた。

 構造計算書を偽造していたとされる姉歯建築設計事務所の姉歯建築士は18日朝、自宅前で取材に応じ、「仕事を増やしたくて始めた。増え出してからは逆にこなしていくために続けてしまった。仕事をこなすことを優先してしまった」などと語り、偽造をしていたことを認めた。

 姉歯建築士は建築主からの要請については否定する一方、「コスト削減は業界の流れ」と語った。

 また、違法性について「ないといったらうそになる。建築確認の検査会社はノーチェック状態だった」とした。

 国交省などによると、書類の偽造があったマンションは震度5強程度で倒壊する恐れがあるとされるが、姉歯建築士は「地震にもいろいろあり、何ともいえない」と言葉を濁した。

 一方、マンションの住民らに対しては「退職金で買った人もいると聞いた。大変申し訳ない。国や県と話し、できるだけの責任は取りたい」と語った。

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 北側国交相のラオス・中国出張に伴い臨時代理を務める沓掛国家公安委員長は18日の閣議後会見で「誠に遺憾。違法行為を行った1級建築士らには厳然とした態度で臨む」と述べた。

 建て替えや補強工事が必要なマンションの住民への補償については、「民間と民間の話であり、公的資金を出すことにはならない。居住者が転居を希望すれば公営住宅へのあっせんなどの措置をしたい」と話した。

 安倍官房長官も閣議後会見で「誠に遺憾。今後、国交省で遺漏なき対応を図る」と述べた。

 マンション住民の不安の高まりを受けて、国交省は18日、書類が偽造されたマンションなどがある東京都、千葉県、神奈川県など関係自治体の建築指導担当者を集め、対策連絡協議会をつくる。すでに完成したマンション13棟の居住者への連絡の状況や、建て替え工事などの際に居住者を受け入れ可能な公営住宅の戸数などを確認する。今回のような欠陥住宅の再発防止策についても検討する。

 姉歯建築士には千葉県が事情を聴いており、連絡協議会では聞き取り調査の概要も報告される。

マンション耐震強度偽造 揺れる関係住民・自治体 11/18/05(朝日新聞)

 強度が基準を満たさず、地震で大きな揺れがあったら不測のことが起きるかもしれない。そんな恐れがあるマンションやホテルが、首都圏で計21棟あることが明らかになった。原因は、請け負った建築士による「構造計算書の偽造」。前代未聞の事態に関係者は揺れた。

 構造計算書が偽造されて建てられたとされる一つは、千葉県船橋市の賃貸マンションだ。同市役所に隣接する住宅地の一角にある。10階建てでオートロック式。外観はタイル張りだ。

 同マンションの9階に住む男性会社員(27)は、「最近ベランダに長さ30センチくらいのひびが入っているのに気づいた。怖くて仕方ない」と話した。家主からはまだ説明を受けていないという。

 「何を基準にしてこのマンションを建てたのか。怒りがこみ上げる。おそらく基準は命ではなくて、施工期限やお金なのではないか。住宅のことはよくわからないが不安で仕方がない」

 男性によると、間取りはワンルームで家賃は7万円台。入居者の大半は単身世帯という。

 都内の会社に勤める男性(23)は今年4月、秋田県から上京した際に入居した。「管理している人から直接話を聞きたい。(偽造が)本当だとしたら、ここには住めない。引っ越すことを考えたい」

 マンション1階に住む会社員女性(23)は今春、神戸市内から上京して3月下旬にこのマンションに入居した。中学1年の時に阪神大震災を経験。家族3人にけがはなかったが、自宅の窓が割れ、屋根がつぶれた。この女性は「今初めて話を聞いた。住民のことを何も考えていない。地震は私たちの力では予防できないこと。地震の悲惨さを知っているからこそ、今回のことは絶対許せない」と憤った。

    ◇

 千葉県建築指導課によると、構造計算書を偽造した姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)は1級建築士の代表(48)が1人で経営。90年5月に同県に登録して以降、主に民間マンションの構造設計を手掛けていたという。

 偽造疑惑の通報を受け、同課は今月10日から計4回、事務所への立ち入り調査を実施。代表は10日には偽造を否定したものの、11日になって認めた。建築主らからの要請ではない、と説明したという。

 今回の事態を受け、地元の自治体は相次いで記者会見した。

 千葉県船橋市は、問題の工事が市内に5棟あると発表した。うち2件はワンルームタイプの賃貸マンションで既に工事が完成し、入居しているという。市は家主には報告したが、賃借人である住民には直接説明をしていないという。同市もマンション名や所在地を明かさなかった。

 また、川崎市によると、同市内では川崎区のマンション1棟に問題が確認された。「比較的新しい、数年以内に新築されたマンション」。市側はこう説明した。分譲型で、すでに全戸の入居が完了しているというが、マンション名などについては「個人の財産であり、公開できない」として明らかにしなかった。

 マンションの完成までには多くの場合、開発会社と設計事務所、検査機関、建設会社の4者がかかわる。

 建設を企画した開発会社から依頼を受けた設計事務所は、基本設計から実施設計へ進む間に、構造計算を基に建物の骨組みを決める。設計事務所の中には、今回の姉歯建築設計事務所のように、構造計算を請け負う事務所もある。

 検査機関は、設計図や構造計算書を基に建築確認を審査し、確認済証が出れば建設会社が着工。開発会社は顧客への販売を進める。

 欠陥住宅の相談などに応じてきたNPO法人「建築Gメンの会」(事務局・東京)の理事長で1級建築士の大川照夫さんは「建築士が構造計算書を偽造するなんて聞いたことがない」と驚く。

 偽造をした建築士は「コスト削減のプレッシャーを感じていた」と説明したとされるが、構造計算書にかかる経費は計算ソフトの使用料と人件費ぐらいだという。大川さんは「コストを抑えたい建築主の希望にこたえる構造計算をすることで、より多く仕事を得たいと思ったのだろうか。しかし、安全性低下のリスクを冒してまで、そんなことをするのは理解できない」と話した。

 一方、別のベテランの建築家は、構造計算書を点検する側の責任を指摘する。「自治体か民間の検査機関がチェックをしたはずだが、偽造を見逃した責任は重大だ」。さらに、「マンションやホテルの名前をすぐに公表しないのは、生命の安全や財産保持の観点から疑問だ。まずは危険性を知らせることが先決ではないか」と話した。

構造計算書偽造:姉歯建築士「仕事こなすため改ざん」 11/17/05(毎日新聞)

 千葉県市川市の姉歯(あねは)建築設計事務所による構造計算書偽造問題で、姉歯秀次・1級建築士(48)は18日午後、千葉県市川市の自宅前で報道陣の取材に応じ「仕事がたくさんあって複雑な工程を踏むので、簡略化したかった。仕事をこなすことだけしか考えていなかった。最初に偽造したのは、02年。(民間検査機関の)イーホームズの審査の段階ではねられると思っていたが通ってしまい、驚いた。その後も仕事をこなすために改ざんを続けるしかなかった。後悔している」と語った。

ニセ耐震:建築士の書類偽造に怒り マンションの住民ら 11/17/05(毎日新聞)

 「地震が多いので心配だ」「偽造行為には怒りを覚える」。自宅の耐震性に突然疑問符を付けられた住民からは、不安や怒りの声が上がった。千葉県市川市の姉歯(あねは)建築設計事務所による構造計算書偽造。震度5強程度の地震で倒壊する恐れがあるマンションすらある。背景には、コスト削減のプレッシャーがあったという。偽造は民間確認検査機関の審査をいとも簡単にすり抜けていた。

 偽造が指摘された千葉県船橋市湊町2、賃貸ワンルームマンション「湊町中央ビル」(鉄筋コンクリート10階建て、59戸)。住民の男性会社員(26)は、新潟県長岡市で震度6弱(中越地震)を経験している。「地震の怖さは身に染みている。建物の大切さが分かるだけに、許せない」と憤りを隠さない。同じマンションの会社員、井上昭人さん(24)は新築だと知って今年3月に入居。「安全は十分だと思っていたのに理不尽だ。最近、地震が多いのに」と不安を募らせる。

 神奈川県藤沢市の分譲マンションは、この秋に完成したばかり。10階建てで、価格は4000万〜5000万円台。市からの通知書で偽造を知った男性住人(73)は「怒りを覚える。売り主にはしかるべく対処してもらいたい」。別の女性住人は「今は怒り以前に信じられない気持ち、驚きでいっぱい。入居して1週間しかたっていないのに、こんなことがあるなんて」と話した。

 やはり偽造が発覚した東京都中央区のホテル。17日夜は約200人が宿泊しているが、宿泊客に偽造を知らせていない。ホテルの親会社は「18日以降の対応は、ホテル側と協議して決めたい。耐震性はこれから確認する」と説明した。

 一方、建設中のマンションの構造計算を、姉歯建築設計事務所に発注していた下河辺建築設計事務所(東京都大田区)。工事は残り1フロア分のみの完成直前で、契約をした人もいるという。所長は「今月初めにマンションの建て主からの連絡で偽造の疑いがあることを知った。チェックしようがない」と話し、告訴も検討している。

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