船舶油濁損害賠償保障法

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UNDER-PERFORMING SHIPS (1年間に3回以上出港停止を受けた船舶) TOKYO MOUのHP

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船主の海事クレームに対する保険に関わる 2009年4月23日付欧州議会および理事会指令 2009/20/EC (UK P&I)
2004年4月付EU環境責任指令 - 環境損害の防止及び修復に関する環境責任についての2004年4月21日付欧州議会および理事会指令 (UK P&I)
第2回パリMOU・東京MOU合同閣僚級会議の結果について (国土交通省のHPより)
(岩崎忠夫大臣政務官が代表として参加し、サブスタンダード船の排除に向けた我が国の決意を表明)

北海道運輸局ホームページ− 放置座礁船対策
海上災害の予防対策(総務省のHPより) PSCの検査について批判的な事実を書いている。

平成22年度 東アジア地域における海上安全と事故調査のためのセミナー 報告書

船舶事故調査をめぐっては、2008 年5 月、国際海事機関(IMO)第84 回 海上安全委員会(MSC84)において、「海上事故又はインシデントの安全調 査のための国際基準及び勧告される方式に関するコード」(事故調査コード) が採択されるとともに、SOLAS 条約第XI−1章第6 規則が追加され、昨年の 2010 年1 月1 日に発効したことによって、事故要因やその他の安全上のリス クを明らかにし、海事業界における安全上の問題への取り組みに資するなど の原因究明機能が国際的に求められるようになった。 事故調査コードの主な義務規定は、@すべての「非常に重大な海上事故」 は、このコードによって調査されなければならない(第6 章)。A海上事故 が領海内で発生した場合は、旗国及び沿岸国はいずれの国が調査を行うか、 あるいは両国がそれぞれの調査を行うかを合意するために協議をしなければ ならない(第7 章)。Bすべての実質的な利害関係国は、海上安全調査国に 実行可能な範囲で協力をしなければならない。海上安全調査国は、実質的な 利害関係国に実行可能な範囲で参加の機会を提供しなければならない(第10 章)。C海上安全調査国は、非常に重大な海上事故に対して行った海上安全 調査について、海上安全調査報告書の最終版をIMO に提出しなければならな い(第14 章)などとしている。 また、IMO義務要件実施のためのコードでは、旗国の行う海上事故調査は、 適した資格を有し、船舶事故に関連する事項に堪能な調査官により行うべき である、旗国は海上事故又は海上インシデントの場所に関わらず、この目的 のために資格ある調査官を準備すべきであるとしている。開けない人はここをクリック


Diet targets North Korean ships via oil-spill (Apr/15/04) The Japan Times

船舶油濁損害賠償保障法の落とし穴? From (関門海峡における船骸撤去 関門支部長 山本 徳行)

海難事故処理上の問題点について  (中国船籍コンテナ船「チュ−ハイ」号沈没事故) (国土交通省九州地方整備局のHPより)

船舶の海難事故  (国土交通省九州地方整備局のHPより)

日本は金額による被害は多いのに、約13億の被害を受けたオーストラリアが船主責任限度額改正を提案し採択された。日本はなぜ対策を採らないのか???

タンカー以外の事故については、近年では、平成20(2008)年3月5日に明石海峡で衝突事故が起こり、ベリーズ船籍の貨物船Gold Leader(1,466GT)が沈没しました。沈没した船舶から燃料油が流出して、 漁業被害額は約40億円、周辺自治体の油除染経費が約15億5,000万円といわれていますが、船舶の責任限度額は1億7,000万円でしかありません。翌平成21(2009)年3月11日には豪でPacific Adventurer(1万8,391GT)の事故が発生し、 被害額は約24億円、船主責任限度額は約11億円でした。これらの事故を踏まえ、豪等の提案を受けてIMO が責任限度額改正案を採択しましたので、今回、船主責任制限法を改正する必要が生じたものです
05/07/15 (盛山正仁ブログ)

船舶の所有者等の責任の制限に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第7号) 04/01/15 (衆議院のサイト)
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2015 年6 月8 日より海事債権についての責任限度額が大幅に引き上げられます 04/01/15 (三井住友海上)
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Insurance refunded Pasha Bulker salvage costs: Govt (07/01/08) (ABC News)を見れば日本の役立たずぶりが良く分かる。

「外航船舶は2005年3月1日より、船主責任保険(PI保険)等への加入が義務付けられます。 無保険の船舶は入港が禁止されます。」は良い結果を出す事が出来ないので、再び改正するべきであろう。 そして、PSCによる検査を厳しくするべきである。現状は甘いと評価する。

カンボジア船籍の貨物船「ANFENG8」が保険に加入している証明として国土交通大臣から交付される保障契約証明書は意味がない。単なる紙切れ!

「外航船舶は2005年3月1日より、船主責任保険(PI保険)等への加入が義務付けられます。」

結局、座礁船が放置された国又は場所の地方自治体が自己負担で撤去する結果となった。

事故から2年5カ月/カンボジア船籍の座礁船 撤去完了/青森・深浦 08/21/15(Web東奥)

 2013年3月に深浦町岩崎地区で座礁してから、放置されてきたカンボジア船籍の貨物船「ANFENG8」(アンファン号、1996トン)を海上から撤去する作業が20日、完了した。座礁から約2年5カ月を経て海上の船体は姿を消したが、撤去に当たった県担当者によると、海底には幅約1.5メートル、長さ約40メートルある船首側の船底部分が砂に埋まったまま残る。地元関係者には安堵(あんど)感が広がる一方、船体を放置したまま行方がつかめない船主の責任を問う声が上がった。

 20日午前7時半ごろ、県から撤去工事を受注した建設業者が現場海域で作業を開始した。潜水士が海底に残されていた船首側の鉄板などを海中で切断してクレーンで台船に引き揚げ、作業は午後2時20分ごろに終了した。

 県西北地域県民局河川砂防施設課によると、21日午前に残骸を現場近くの仮置き場に運び、9月上旬をめどに海岸から約800メートル北側にある保管場所へ移す見通し。現場の海底に残された船底部分は、周辺環境や漁業への影響がないとみられることから、そのままの状態で残すという。

 県は、9月上旬にも所有者に船の残骸を返還する公示を行う。6カ月を経過しても所有者に返還できない場合は、県による処分が可能になるという。

 放置されてきた船体が、ようやく撤去されたことに、吉田満・深浦町長は「海が荒れる前に作業が終わり喜んでいる。支援をいただいた県、国に感謝申し上げたい」としつつ「船主に対するわだかまりの気持ちはある」とも述べ、本来、撤去に当たるべき船主の責任を指摘した。現場海域に漁業権を持つ新深浦町漁協の西崎義三組合長も「よかった」と話しながら「地元漁協としては(船骸を)一片も残さず片付けてほしかった」と複雑な心境をのぞかせた。

 県県土整備部の清水晃部長は「事故なく作業が終わり、ほっとしている。作業に掛かった費用を中国人船主側へ請求していくためにも、今後も相手方の特定に努めたい」と述べた。

 県は座礁船の処理費用として、15年度一般会計予算に3億円を計上。うち1億円は国の交付金を活用した。

東奥日報社

深浦の貨物船座礁:海上撤去、完了へ /青森 08/20/15(毎日新聞 地方版)

 深浦町の海岸で2013年3月に座礁後、約2年半も放置されているカンボジア船籍の貨物船「アンファン号」について、県は19日、海上撤去作業が20日にも完了すると発表した。

 県は今年3月を撤去期限としたが所有者の中国人3人と連絡が取れず、海岸法(昨年6月改正)に基づき5月に簡易代執行して撤去作業に着手。海面に見える船体部分が撤去されていた。現在は船底部(高さ1・5メートル)が海底に埋まっている状態だが、環境や漁業に影響がないと判断して現状のままにする。20日の作業で細かい船骸を取り除き、海上作業は完了する。これまでに、流出した油の除去や船体撤去で約3億円が費やされたという。

 今後は9月上旬をめどに陸揚げした船骸を町内の保管場所に搬入させる。【宮城裕也】

座礁船 海上撤去作業が完了 08/20/15(NHK)

おととし深浦町の海岸で座礁したカンボジア船籍の貨物船「アンファン号」の海上での撤去作業が、20日終了しました。
おととし3月、深浦町の海岸で座礁したカンボジア船籍の貨物船「アンファン号」は、船主や保険会社が県の撤去要請に回答せず、2年余りの間、現場で放置された後、ことし6月から、県が撤去作業を進めていました。
船が座礁した現場では、20日も午前8時ごろから作業が始まり、作業員たちが、台船にのせたクレーン車を使って海中にある貨物船の残骸を引き上げていました。
作業は、午後2時半ごろに終了し、これで海上での撤去作業は終了となりました。
県や漁協によりますと、貨物船が座礁したことによる漁業被害は出ていないということです。
また、海底には、船の一部分が埋まったままになっていますが、漁業などへの影響はないと見られています。
地元の漁師の男性(74)は、「漁に影響が出ないか不安に思っていましたが、無事、撤去されてよかったです」と話していました。
県によりますと、撤去作業には、県の予算、2億8000万円が組まれ、その3分の1は、国から補助を受けることが決まっています。
県の担当者は、「引き続き、船主と連絡をとるよう務めるが、名乗り出ない場合は陸揚げされた船の残骸は県で処分する」としています。

大漁なくなった… 座礁外国船の放置、各地に影
撤去要請、船主応じず 11/03/14 (日本経済新聞)

 日本沿岸で座礁した外国船籍の船が撤去されず、そのまま放置される例が後を絶たない。撤去すべき責任のある外国人船主が自治体などの要請に応じないためだ。船体の腐食などによる漁業への影響も懸念される。国は2005年から事故時の撤去費用が支払われる保険の加入を船主に義務づけているが、保険金が支払われないケースもあり、放置座礁船の数は減っていない。

 「あの事故の日から大漁は無い」。宮崎市青島の伊勢エビ漁師の…

「外航船舶は2005年3月1日より、船主責任保険(PI保険)等への加入が義務付けられます。」
改正(船舶)油濁損害賠償保障法は思ったよりも機能していない事が明らかになっている。国土交通省や国会議員は真剣に対応策に取り組んでほしい。 座礁を含め海難を起こした船舶の撤去に問題があることは明確だ。

2004年4月に改正された「油濁損害賠償保障法」は実効性に問題がある。つまりが改正されて外航船がP&I保険に加入していても座礁した船が撤去されるとは限らない。

参考資料: UK P&I の担保する保険 UK P&I
2010年度 定款 及び 保険約款 UK P&I

P&I保険に加入する場合、 諸々の担保条件があり船体保険の加入も条件の一つである。 従って、 船体保険に未加入の船舶はP&I保険に加入していても事故発生時、 P&I保険から費用担保・填補の契約は無効となるので、 「保障契約情報」 は単なる情報であって実効性がない。 私の調査によると、 許可されて日本に入港したP&I保険加入船舶で、 事故発生時、 船体保険未加入若しくは契約期限切れの外国船舶があることを発見して驚いた。 船舶油濁損害賠償保障法を実効性ある法律に改定し、 早急に保障契約情報を見直す必要があると思う。

関門海峡における船骸撤去 関門支部長 山本 徳行 全日本船舶職員協会


関門海峡における船骸撤去 関門支部長 山本 徳行 全日本船舶職員協会

・・・船主責任保険とは、船舶の運航に伴なって生ずる賠償責任をカバ−するものであ る。
 例えば、港湾施設に加えた損害、船骸撤去費用、油濁清掃費用等の第三者に対する責任 や船員の死傷等に対する賠償責任あるいは積荷に対する責任等非常に多岐にわたる保険を いう。
 船主がこのような保険に入っていなかったり、保険金支払いの限度額を低く抑えている 場合は沈没船撤去費用が払えず、沈没船が長期にわたり放置される事態となる。
 今回の事故の場合でも、保険に加入していたにも関わらず事故発生から引き上げ開始ま で約6ヶ月経過したが、通常引き上げに長時間要した外国船の沈没船に関しては、自主撤 去が困難となり、管理者自らが引き上げる例が多々みられている。
 更に行政代執行をする場合も、各国の通貨レ−トの相違等により求償額の全額回収が困 難となる可能性がある。
 このように船主による撤去が困難になる場合を常に念頭において対応する必要があると 思われる。

海難事故処理上の問題点について 関門航路事務所航路管理課 稲田茂  野村浩三 (国土交通省 九州地方整備局) (開けない場合はここをクリック)


”座礁船”放置問題を追う 2015 02 11(Youtube)

ワールドビジネスサテライト,2/11,WBS経済事件簿,"座礁船"誰が撤去する?

再び泣き寝入りなのは決定だろう!

「海事問題に詳しい 平塚眞 弁護士『事故が起きてすぐ専門家に相談して手続きをとれば』 『逃げられる可能性は低くなる』」
たぶん無理だろう。船の国籍船主や船舶管理会社 の情報を見ればわかるであろう。海運会社が大きければ裁判に勝てば保障は取れる。アメリカ(USCG)みたいに 海上保安庁が機能すれば船主からお金を取れるかもしれない。しかし、海上保安庁 はUSCGとは全く違う。

日本のPSC (外国船舶監督官)問題を見つけ、指摘しない、または、指摘できない。 悲しいし、恥ずかしいけどこれが日本の現実。外国の政府や外国人に対して強気で対応できない国なのである。15年以上もこのような問題とお役人の対応を見てきて 思うことだ。

改正船舶油濁損害賠償保障法が改正されず、宮崎市日南海岸沖の浅瀬で座礁した浚渫船に続いて青森県・深浦町で座礁し、放置されている カンボジア船籍「アン・ファン号」(AN FENG8, IMO:9365726)。 国の不適切な対応はいつまで続くのか?

ワールドビジネスサテライト,2/11,WBS経済事件簿,"座礁船"誰が撤去する? 02/11/15 (ワールドビジネスサテライト.Log)

青森県・深浦町
およそ9000人が暮らす漁業の町を2013年
座礁事故が襲いました
2013年3月
カンボジア船籍”アンファン号”が座礁
燃料のオイルが流れ出る事態となりました
あれから間もなく2年

1月24日
現場には船が残されています
船体は真っ二つに割れたまま放置されています
座礁船は撤去されることなく傾いたまま放置されていました
住民は
住民1
「大変不便を感じている」
住民2
「海も汚れる魚への影響もある」
なぜ座礁船は撤去されないのか
深浦町 総務課 西崎公慶 課長補佐
「(オーナーの)所在がつかめない」
「船の撤去要請もしているがオーナーに届いているか分からない」
船のオーナーである中国人と連絡が取れないため
撤去が進んでいなかったのです
しかも
深浦町
座礁船を固定する費用 約250万円を負担
「捨てられた船を撤去するのに2年がたとうとしているが」
「こういう状況が続いていることに憤りを感じる」
テレビ東京は連絡がつかないと言う
中国人の貨物船オーナーA氏の住所を突き止めました
中国・浙江省
船山市
A氏の住所に向かいます
そこにあったのは立派な門構えの一軒家

ブザーに応答はありません
A氏はこの家にはいないようです
近所で話を聞いてみると
近所の住民1
「彼にはたくさん家があるんだ」
さらに驚くべき話を聞きました
近所の住民2
「彼は税務局に勤めているよ」
Q.税務局?公務員ですか?
「そうだよ」
A氏が勤務すると言う
船山市地方税務局を訪ねてみると
税務局員
「彼は定年退職したよ」
Q.いつですか?
「つい最近だよ」
A氏を捕まえることはできませんでした
ところがその日の夕方A氏からスタッフに連絡が入りました
A氏
「私はあの船とは関係ない」
「名義を貸しただけ」
「船がどこにあるのかも知らない」
A氏によると座礁船の実質オーナーは
地元漁師だったB氏だといいます
B氏
撤去費用を賄う保険に加入
→すでに破産 措置を取らず
「保険の代理御者は日本政府が」
「我々を追求することは不可能だと言っている」
「オーナーのB氏は破産しているので大丈夫だと言われた」
日本は2005年以降
国内の港や係留施設を利用する100t以上の外国船に PI保険(船主責任保険)座礁船の撤去費用を賄う保険を義務付けています
ところが今回は座礁現場の管理者である青森県が数億円にも上る撤去費を 負担せざるを得ない状況だと言います
青森県 川河砂防課 今孝治 課長
「オーナーが責任を果たしていないことを理由に」
「保険会社からは(保険料を)支払わないと言われている」
PI保険(船主責任保険)オーナーが自費で撤去した後に 保険金が支払われる
今回のようなケースについて専門家に聞くと
海事問題に詳しい 平塚眞 弁護士
「外国船の場合は日本で保険金が支払われることが少ない」
「外国で差し押さえることも難しい」
「事故が起きてすぐ専門家に相談して手続きをとれば」
「逃げられる可能性は低くなる」
周辺を海に囲まれた島国ニッポン
今後も起こるかもしれない座礁船の放置問題に対して
抜本的な解決策が求められています
*まーた中国人か・・・

改正船舶油濁損害賠償保障法の問題はこれだけではない。 保障契約証明書は船舶に対するP&I保険が有効になっていなくとも発行される欠陥があり、改善もされていない事が宮崎市日南海岸沖の浅瀬で座礁した浚渫船のケースで明らかになった。

一般船舶保障契約証明書は北海道運輸局から交付された


しかし、座礁し放置されたベリーズ船籍しゅんせつ船「豊栄」

○吉田(お)副大臣 川村先生の御質問にお答えを申し上げます。
 青島と聞きますと、私の亡くなった兄が新婚旅行で行ったのをふと思い出しまして、亡くなった兄のことを思い出しました。
 このしゅんせつ船の座礁でございますが、平成二十二年十月二十三日、中国に売却をされましたしゅんせつ船が引き船によって曳航されている途中、荒天のために曳航ロープが切断をいたしました。二十四日八時四十五分ごろに、今お話ございました宮崎市日南海岸沖の浅瀬に座礁したということであります。
 国土交通省におきましては、事故直後から海上保安庁が巡視船艇、航空機を投入いたしまして、地元漁協等とも協力しながら油防除作業を行うとともに、同船の所有者は中国の方になっておりますので、在中国の所有者に対し粘り強く指導を実施しました結果、同船の船内に残存していた油については所有者側によって抜き取り作業が行われたところであります。また、地元自治体等による対策会議にも参画をして、油防除方法等についての専門的な知見も活用しながら、全面的に協力をしてまいったところでございます。
 座礁した船体の撤去につきましては、これは船舶所有者が責任を負うべきものであるということでございます。しかしながら、船舶所有者が手配いたしました民間サルベージ会社によって行われました離礁作業がうまくいかず、また台風の影響等で船体が海面下に沈んだこと、それに輪をかけまして、船主責任保険について、当事者である船舶所有者と保険会社の間で保険料を入れた入れないという、日にちがいつだということで争いが生じておりまして、それらの理由で撤去されないまま現在に至っているということを承知している次第でございます。
○川村委員 今御説明いただきまして、国土交通省、海上保安庁を初め一生懸命取り組んでいただいてはいるわけでございますけれども、一つの原因、今申されたように、こういう事案に対して救済に当たるべき保険が、ロシアの保険会社が引き受けているんですけれども、事故の前に保険金の入金がなかったということで不成立、契約が成り立っていないということで、保険金の支払いを拒んでいるという問題がまず一つあります。  こういうことは、これまでの日本近海でのタンカー沈没とか、そういう油濁事故の発生を受けまして船舶油濁損害賠償保障法の法改正も行われて、これは平成十六年ですね、外航船の船主責任保険の加入を義務づけることによって解決されるんじゃないかということでの法改正、手当てがなされたんですが、現実は、今答えられたように、保険がうまく機能しなかったという非常に不幸な事態であります。
 ですから、これも保険加入がしっかりなされていたかということを国交省において、きちんとそういう商慣習も踏まえた上で確認していただければこういうことにならなかったんじゃないかという気がしていまして、この点、やはり国土交通省としての確認が不十分だったのではないかということを思うんですが、この点についてどう思われるでしょうか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 先生からお尋ねのございましたしゅんせつ船の船主責任保険でございますけれども、一般船舶保障契約証明書の交付申請を受けました北海道運輸局が、保険により填補されます保険金額、それから契約期間等を保険の契約書で直接確認するとともに、船舶所有者の日本代理人から提出されました、保険会社への保険料の振り込みが二〇一〇年十月二十一日に完了した旨の報告書類を確認した上で、翌十月二十二日付で一般船舶保障契約証明書を交付したものでございます。  しかしながら、保険料の支払いに関しまして、契約当事者である中国の船舶所有者とロシアの保険会社との間で契約の解釈、具体的には、保険会社に保険金の支払いの義務が生じる時期についての契約条項の解釈についての争いが生じたため、現時点においてもなお船主による撤去作業が進んでいないということでございまして、まことに遺憾でございます。
 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、船舶油濁損害賠償保障法に基づく保険の加入のチェック等について、今後とも適切な運用を図ってまいりたいと思っております。
○川村委員 せっかくこういう法改正までして、財源的な手当てを保険という形でしようということが、結果として今回の場合は働かなかった。保険が成立するかしないかは全く雲泥の差があるわけですね。今回も、中国の会社は倒産してしまってもはや責任を追及できないような、これは偽装なのかどうかよくわかりませんけれども、そういう実態もあるわけでありまして、こういうことが起こらないように、しっかり今後の対応をしていただかないと困ると思うんですね。それはぜひ要望しておきたいと思います。

衆議院会議録情報 第180回国会 国土交通委員会 第11号 平成24年7月25日(国会会議録検索システム)

「山口海事振興部長:
はい。ただ今、ご報告のありました堺泉北港での船舶の沈没の件でございま すが、若干当方でつかんでおります情報をご報告させていただきます。船籍はカンボジア船籍でございまして、総トン数1479 トンの貨物船でございます。こ の事故は本年4 月28 日に発生いたしまして、堺泉北港から出港後、傾斜角度約25 度と聞いておりますが、大傾斜を起こしまして、直ちに救助を要請。そして、 タグボートに支えられながら堺泉北港の汐見埠頭第4 岸壁に緊急着岸した次第でございます。
4 月29 日に堺海上保安署から当方のPSC 官に連絡が入りまして、直ちに現地のほうに出向きまして、本船の現状と欠陥状況を確認した次第でございます。当然、ディテンションということで出港を指し止めして、諸検査を行い現状と欠陥状況を確認。そして、翌4 月30 日に堺海上保安署のほうから、本船が横倒しとなり沈没してしまったという連絡を受けた次第でございます。その連絡を受けまして、直ちにPSC 官が現場に出向いて沈没の状況を確認しています。原因としましては、これはまだ推測の域で分かりませんが、復元性がまったく良くなかったということで、それも大きな原因になろうと。それと、本船バラストタンクのトップに破口が生じていまして、そこから海水が漏れ出して貨物層に流入したのではないだろうかというところでございます。今後のPSC の関わり方でございますが、本船が引き上げられまして、スクラップ処理場まで曳(えい)航されるとなりましたら、これはPSC の対象にもなろうかと思いますので、それにつきましては今後の動静を見て、PSC 官が判断をしていくということを聞いています。
なお、現在も船体、貨物ともに沈没したままの状況でございまして、支部長が申されましたようにPI 保険、つまり、船主責任保険で引き上げ作業をすると いうことになりましたら、船主側が本船の所有権を放棄しなければできない状況になっております。そのこととか船体保険でのカバー等の問題もありまして、 事故発生から約3 カ月強が経過しているところでございますが、今般、船主側のほうから所有権を放棄するという話が堺海上保安署に入りまして、その連絡 を受けました。
これから船体の引き上げ作業、海中に沈んでいます貨物の引き上げ作業が行われていくのですが、今時点での私どもがつかんでいる情報としましては、ま ず海中に沈んでいる貨物をこの7 月の24 日ごろから8 月8 日ぐらいまでにかけて引き上げていきたいと。その後、船体の引き上げ作業につきましては、8 月下 旬から9 月初旬頃となっています。船体を引き上げ次第、曳航の準備をしまして、聞いていますところでは9 月5 日ごろに香川県の多度津にありますスクラ ップ処理場に持っていく予定というところまでです。現時点では以上でございます。...

山口海事振興部長:
はい。もともと、これは本件は外国船ですので、PSC の関係で堺海上保安署からPSC 官に情報が入ってまいりました。
なお、ご参考までに、当局の平成25 年度におけます海上交通監査計画におきまして、スクラップ船による火災等の発生事故が昨年9 月に起こっていますことから重点的にスクラップ船を検査していくということで、PSC 官が動いています。
申しましたように、昨年9 月に、パナマ船が貝塚沖でスクラップからの火災事故を起こしていまして、この処理につきましても約7 カ月間の時間がかかっております。そして、今回の4 月に発生しました汐見埠頭でのスクラップ船の事故ということで、どうしても船齢が古いということもございますし、いろいろと、サブ・スタンダード船ということでPSC 上も注意船舶ということになっております。
以上でございます。」

(第58回 近畿地方交通審議会 近畿船員部会議事録)

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海難事故 貨物船沈没横転事故 |Cargo boat sinking sideslip accident
(M/V "FAVOR SAILING", IMO:8622878, Flag: Cambodia) (YouTube)堺泉北港の汐見埠頭第4 岸壁

「船の所有者の中国人3人のうち1人が所在不明」何かがおかしい。関係ない話だけど、船の運航に関する支払い又は収益の分配はどうなっていたのか? ペーパーカンパニーの所有になっていると思うから逃げようと思えば逃げれるだろう。サブスタンダード船の関係者たちはモラルのない人達が多いから普通に対応していたら話は進まない。 違反するため、国際条約を守らずに運航するために、特定の問題を抱える国籍を選んでサブ・スタンダード船で金儲けをするのである。 違反と国際条約を無視する事でビジネスが成り立っている旗国と検査会社に何を期待するのか。嘘やインチキは当たり前。やくざや詐欺師相手に一般人と同じように話し合いで解決できるのか?保険会社が撤去費用の全額を出さないとなれば、ペーパーカンパニーを破産させて終わりにするだろう。新たなペーパーカンパニーを設立して新しい会社名と住所で仕事をするだけのことだ。法律的に何も出来ない。法律的に何か出来るかもしれないが、日本にそのようなケースに精通している人はほとんどいないであろう。責任から逃れるために特定の旗国が選ばれるのである。これが現実。どの旗国も同じように扱わないととか甘い事言っていると泣きを見る。
外務省や国土交通省に助けを求めてもダークな世界に近い人達の対応方法など知らないであろう。また本気で問題解決をする気がなければ必要以上に努力もしないだろうと思う。宮崎の浚渫船のように長期戦になるのだろう。

座礁貨物船撤去されず 青森・深浦の海岸放置9ヵ月 12/16/13 (産経新聞)


船体が割れた座礁船。撤去の見通しは立っていない=青森県深浦町(青森県河川砂防課提供)

 青森県深浦町岩崎の海岸でことし3月、カンボジア船籍の貨物船が座礁し、9カ月たった今も撤去されていない。中国の船主が県や町からの要請に応じず、法律でも撤去を命じることができないためだ。事態が進展しなければ、億単位の撤去費用を公費で賄うことになり、県と町は対応に頭を悩ませている。

◎県・町要請に船主そっぽ 法適用外で命令不可能/進展なければ公費負担 費用膨大「とても迷惑」

 座礁したのは「AN FENG(アン・ファン)」(約2000トン)。3月1日夜、秋田港から室蘭港へ向かう途中、浅瀬に乗り上げた。乗組員はベトナム人と中国人計12人で、青森海上保安部が全員を救助した。

 県河川砂防課によると、船は事故に備えた船主責任保険に加入しているが、船の所有者の中国人3人のうち1人が所在不明で、保険会社が連絡を取れていない。保険会社は「所有者3人の同意がなければ撤去できない」と県に説明しているという。

 法的にも、県が船主に撤去を命じるのは難しいケースだ。座礁現場近くの海岸は海岸法で保全区域の公共海岸に指定され、船などの放置が禁止されているが、座礁した場所は海上で公共海岸に該当せず、撤去を命令できない。船主の代わりに撤去する行政代執行も、海岸法での撤去命令が前提条件のため、適用のハードルが高い。

 県と町はこれまで所有者3人に対し計10回、国際郵便などで撤去を求めたが、県河川砂防課の今孝治課長によると「一切返事がない」という。9月には外務省や国土交通省に協力を要請したが、解決のめどは立っていない。

 3月以降、県と町はワイヤで貨物船を固定するなどの措置を講じてきた。11月末には金属疲労により船体が二つに割れ、再固定作業も実施。掛かった費用は計約4500万円に上る。今課長は「撤去費用は数億円になる。大変な迷惑で、船主側に何としても撤去してもらう」と話している。

恵みの雨と迷惑な船 (07/01/08) (舞茸な日々)

今日はまた津梅川にミズを採りに行ってきた。 本当は、ミズは「海の駅」にお客さんがたくさん来る日曜日とか祝日に出したほうがよく売れるので、明後日ころ採りに行くのがベストなのだが、降水確率を見ると明日からずっと高くて今日は20%というので行くことにしたのだ。 それにインターネットのほうでミズの瓶詰めを待っているお客さんがいて、瓶詰めとなると皮をむかなきゃいけないのだが、これがけっこう時間がかかる仕事なのだ。 土曜日採ってきてすぐその日には加工場に持っていけないから、今日採ってきて明日皮をむくほうが落ちついて仕事ができる。 私がいつも瓶詰めと缶詰を頼んでいる鯵ヶ沢の加工場は、このごろヒマになったので日曜祝日は休むようになった。 土曜日採ってきても加工場に持っていくのが月曜日になるから、それじゃ遅すぎる。

というわけで今朝は5時半に起きて山に行き、津梅川で雨に濡れながら4時間ほど頑張って、またいいミズをたくさん採ってきた。 降水確率が低いから雨が降らないわけではないんだな。 雨が降ったせいか、ミズはこの前より瑞々しい感じがする。 晴天続きだとミズは筋っぽくなりポキポキ折れやすくなるが、今日のは採って家まで持ってくる間に折れたのは3本ぐらいで済んだ。

下の画像は深浦町岩崎の笹内川の河口近くに、今年の3月座礁した船である。 カンボジア船籍で船主は中国人らしいが、町や県から撤去要請を出してもまったく返答がないのだそうだ。 深浦町は今年本マグロが豊漁で、この船が座礁している沖合いには定置網があるので、町ではこの船が漂流しないように固定する作業を、費用こっち持ちでやっていたとニュースになっていた。 日本の船がこういうトラブルを起こしたのをあまり聞かないが、外国船籍の船は保険に入ってないのが多いのか、人の迷惑を省みずしらばっくれてしまうケースが多いように思う。 せっかくのマグロの豊漁にケチがつかないように祈りたい。

日本の船舶管理会社が罰金をアメリカで受けたそうだ。日本は外国籍船舶に対して厳しい 対応を取ってこなかったと思える。放置船が存在するし、 多くの放置船は日本国籍から 変わり日本の港から出港して座礁し、放置されてきた。 これまで適切な対応が取られていなかった。 国土交通省は何を考えていたのだろう。

海上保安庁及び外務省 はセントビンセント・グレナディーン船籍貨物船「JANE号」のケースで ニューサウスウェールズのように適切な対応をするべきだろうね。泣き寝入りや 安易な妥協(問題の先送り)はだめだよね。能力の違いなのか?? 日本はいつも国民や市民に負担を負わせる! ロシアの運送業者が所有する貨物船 「デルベント号」(602トン)は利尻島の海岸(宗谷管内利尻富士町沼浦)で座礁し、放置さている。 七管内における放置座礁外国船 は海上保安庁のHPからである。問題を認識しているが、対応は出来ていない。 サブスタンダード船や問題船 の問題を指摘しているのか?個人的な意見だが、多くのケースで問題を指摘していないと思う。 国は増税とか言っているけど、国民や市民への負担がなくなるように動かなければならない。 セントビンセント籍のタグボート「SALVAGE DUKE」 が曳航していた台船が宮崎の内海で座礁した件に付いて、県職員やその他の経費をニューサウスウェールズ のように払わせるのか? もし問題がある船舶に対して不備を指摘していれば、宮崎で座礁した台船の海難は防げたかもしれない。 ほんと、 日本は甘ちゃん!違法天国だ! 一つ一つ、無駄を無くさないとだめなんだよ。増税とか言う前に確実に無駄を無くせ!

Insurance refunded Pasha Bulker salvage costs: Govt (07/01/08) (ABC News)

The New South Wales Government says it has recovered all of the costs incurred by taxpayers during the operation to refloat the grounded bulk-carrier Pasha Bulker.

The ship became stranded on Nobbys Beach at Newcastle during a fierce storm last year.

Ports and Waterways Minister Joe Tripodi says the ship's insurance company has re-imbursed the Government $1.8 million.

He says the insurance claim was lodged in October and the payout covers the Government's spending on labour and equipment, as well as boat and helicopter hire.

"We got a commitment very early in the whole salvage operation that there was a commitment from the operator of the ship and also the insurance company, that New South Wales taxpayers would be reimbursed for the costs," he said.

"The taxpayer is not footing the bill for the Pasha Bulker accident and we got back all the money that we spent in the Pasha Bulker salvage operation.

State reimbursed $1.8m for Pasha Bulker salvage (07/01/08) (ABC News)

Ports and Waterways Minister Joe Tripodi said the amount was negotiated by Newcastle Port Corporation after a claim was lodged with Britannia Steam Ship Insurance Association in October last year.

The $1.8 million covers all the costs incurred by the State Government during the month-long rescue of the 225-metre bulk carrier, which ran aground off Nobbys Beach in wild weather in June last year.

"The rescue effort combined the skills and expertise of a wide range of agencies and personnel," Mr Tripodi said in a statement.

"The insurance claim was lodged in October and Newcastle Port Corporation worked on behalf of all the NSW agencies involved to reach an agreement."

The claim covered costs for labour, equipment hire, security, vessel and helicopter hire and services for response personnel. The settlement includes resources used as a precaution against an oil spill under the Marine Pollution Act.

The Government initially sought $1.95 million, which covered an administration surcharge and the Newcastle Port Corporation equipment.

However, the port corporation accepted the additional surcharge would not be paid as it was not an expense incurred by the State Government.

"This settlement covers the costs incurred by NSW taxpayers attributable to the Pasha Bulker incident. The settlement is a good outcome," Mr Tripodi said.

Official Report on the M/V Pasha Bulker (12/05/07) (gCaptain.com) Shipping company pleads guilty to dumping oil waste in Willamette (07/13/04) The Columbian

Another shipping company has pleaded guilty to dumping oil waste and will pay for conservation projects in the Columbia River estuary.

First Marine Service Co. Ltd., based in Japan, pleaded guilty to a felony charge for violating the Act to Prevent Pollution from Ships, federal officials announced Tuesday. U.S. District Judge Ancer L. Haggerty in Portland ordered the company to pay $350,000 as a criminal fine and to pay an additional $150,000 to be given to the National Fish and Wildlife Foundation for the benefit of the Columbia River Estuarine Coastal Fund.

The fund so far has collected $1.45 million in fines since 2003.

The prosecution of First Marine began May 13, 2002, after a vessel inspector for the Washington Department of Ecology observed signs that crew members with the Bright Nextage had been illegally discharging oily waste overboard, rather than burning it in the ship's incinerator. The ship was docked in the Willamette River in Portland.

"Prosecutions such as these hit environmental criminals where it gets their attention -- their pocketbooks," U.S. Attorney for Oregon Karin Immergut said in a statement.

国土交通省のHPによると、 「外航船舶は2005年3月1日より、船主責任保険(PI保険)等への加入が義務付けられます。 無保険の船舶は入港が禁止されます。」 と書いてあるが、下記の記事を読むと実際は見つからなければ入港できることが可能なようである。

「入港を事前に通知していなかったため、同保安部職員が事情を聴いたところ、不所持が分かった。 同船は活うに11トンを積載し、ユジノクリリスク港(国後島)を出港していた。」 もちろん、無保険の船舶は入港が禁止されているのだから、荷物は降ろされなかったのであろう。

日本籍の船が外国籍になる場合、「国籍が変更される日の前日(行政機関の休日 (日曜日、土曜日及び国民の祝日、12月29日から翌年の1月3日)を除く)の正午まで」 に通報する義務があるのだろうか。税関の輸出手続が許可された時点で、無保険の船舶で あれば港外退去のように思えるが、どのように扱うのだろうか。

海上保安庁のHPによると、 「日本船/外国船の別、船舶の大小、船種等にかかわらず、外国から日本に 入港しようとするすべての船舶の船長に義務付けられます。」 と書いてあります。下記の七管内における放置座礁外国船(保安庁:国土交通省)では 日本で日本籍船が外国籍に変わり、出港した無保険の船が座礁し放置されたケースを 取り上げていますが、実際はこのようなケースの対策を無視した国土交通省の対応の ように見えます。

内航船舶を海外で運航させる際の法令の遵守について が国土交通省のHPに2006年11月1日付けで掲載されています。 やっと対応に動いたようです。

船主保険、無許可で募集 稚内の男逮捕 (06/28/06) 朝日新聞

 日本の港に入る100トン以上の外国船舶に昨年3月から加入が義務づけられた船主責任保険(PI保険)を無許可でロシア人船主を対象に募集したなどとして、北海道警は27日、北海道稚内市の水産会社経営の、韓国籍の男(42)を保険業法違反の疑いで逮捕した。道警によると、昨年3月の規制強化以降、PI保険がらみでの摘発は全国初。違法状態で、入港している外国船は依然多いとみられ、対策を強化する狙いがある。

 道警によると男は、昨年4月、損保業の免許を持たないまま、保険契約を募集した疑い。ロシア人船主の船舶数十隻の保険を仲介し、総額で600万〜1000万円の手数料などを受け取っていたという。

 老朽化や整備不良などで日本の保険会社が敬遠しがちな船舶を対象にしていたらしい。応募してきた船舶については、日本の基準には満たない、海外の保険会社の商品と契約を結ばせて形式的に保険に加入させ、稚内港に入港させていた可能性が高い。道警は、同容疑者とロシアマフィアとの関係についても捜査を進める。

 PI保険は、船の運航や管理上の損害に対して支払う保険。05年3月施行の改正(船舶)油濁損害賠償保障法で、保険未加入の100トン以上の外国船舶は、日本に入港できなくなった。座礁や油による海洋汚染などに対して賠償しない外国人船主が多いことを受けての措置。

2006年8月31日に北海道札文町で座礁したカンボジア籍のM/V "PACIFIC NO.3"について、 北海道漁業環境保全対策本部 研究室長の石川清氏が現状を報告している

★上手くアクセスできない方はこちらをクリック

P&Iの保険会社は、 MARITIME MUTUAL INSURANCE ASSOCIATION (NZ) LTD. のようだ。今後、このHPにアクセスしていただいた人の参考のために、 連絡先はここをクリック。

国土交通省は事故を起した時の保険会社の対応により、金額だけでなく、特定の保険会社を認めるのか 検討するべきであろう。 北海道漁業環境保全対策本部 研究室長の石川清氏のようにHPで公開すれば、多くの人達が 日本に入港する船舶が船主責任保険(PI保険)に加入していても、問題があることを認識するだろう。 そして、国土交通省の対応を評価するだろう。

 北海道・留萌海上保安部は11日、ロシア貨物船「ストレルカ」(172トン、乗組員14人)のマーエフ・アレクサンダー船長(36)を油濁損害賠償保障法違反(保障契約書不所持など)容疑で旭川地検留萌支部に書類送検した。3月1日施行された同法での摘発は、北海道内では初めて。

 調べでは、アレクサンダー船長は1日午前6時半ごろ、油が漏れた場合などの保障契約を同法で定められた保険会社と結んでいなかったうえ、保証契約証明書の原本を所持しないまま留萌港に同船を入港させた疑い。入港を事前に通知していなかったため、同保安部職員が事情を聴いたところ、不所持が分かった。同船は活うに11トンを積載し、ユジノクリリスク港(国後島)を出港していた。【渡部宏人】

日本に入港する船舶には船主責任保険(PI保険)等への加入が義務付けられましたが、問題は 以前よりも良くなっただけで、問題がなくなったようではありません。

ロシア貨物船:油賠法違反容疑で送検 北海道・留萌海保 (07/11/04) 毎日新聞 日本でも、日立の北朝鮮貨物船の座礁事故をきっかけに、船舶の保険について注目を 集め始めた。

2005年3月1日から船舶汚濁損害賠償保障法が適用されます。実際に、適用されて からどのように対応、及び取締りをしていくまでは何とも言えませんが、何もないより 良いでしょう。国土交通省が船舶が入港前にどのようにして保険加入しているのか確認 するのでしょうか。

アメリカでは、船舶が保険に入っているかチェックします。船舶が保険に入っている 事を確認した後に、Certificate of Financial Responsibilityと呼ばれる書類を発行します。 これにより、船舶が船舶保険に加入しているか即座に確認できる。また、この書類を 申請する時に、船舶、船主、船舶オペレーターの情報等も記入するようになっているので 事故後の対応が迅速に出来ます。事故を起した後に船舶の処理に困る海上保安庁は、 しっかりと勉強して意見を出せばよいと思う。何もしなければ、やはり海上保安庁も 怠慢の結果、自分達に負担が来ることになることを理解するべきであろう。

下記は、アメリカのカリフォルニア州とアラスカ州が船舶に要求している Certificate of Financial Responsibilityの申請書である。

★カリフォルニア州の申請書 ★アラスカ州の申請書

申請書が受理され、規則を満たしている保険に加入していることが確認されると保障契約証明書(EVIDENCE OF FINANCIAL RESPONSIBILITY) が発行されます。参考としてサンプルを添付します。

★EVIDENCE OF FINANCIAL RESPONSIBILITY

2005年3月1日から船舶汚濁損害賠償保障法が適用されるので、日本も似たような システムを取ると思われます。同じようなシステムであれば、船舶の所有者や運航者の 情報を正確に把握でき、船舶が座礁してから騒ぐ必要もない。セキュリティーの立場から 見ても、SOLASが適用されない船舶の情報も把握できる。全て日本の対応次第である。 もしかすると、日本だから大した事はしないかもしれない。 まあ、興味がある人がいれば参考にしてください。もう遅いかもしれないけれど?? 注目して行きたいと思います。

国土交通省のHPによると、 2005年3月1日以降、「油濁損害賠償保障法」により総トン数100トン以上の 国際航海に従事する日本籍船舶及び日本に入出港する外国籍船舶にPI保険加入が義務付けられます。

「我が国の港に入出港する船舶」と書いてありますが、入港する場合の通報の説明しか、不親切な ため書いてありません。保安庁のHP 七管内における放置座礁外国船 を見れば、売船され日本の港から出航し、座礁し、放置された船舶が存在することを指摘してあります。 同じ省内であるので簡単なチェックや調査を行えば出港する場合の通報の説明をHPに書くべきである と思うのですが、ここら辺が不備だと思います。出港する船舶の通報も出来るだけ早く追加すべきだと 思います。出港する船舶の通報を書いていないのですが、あえて「我が国の港に入出港する船舶」 と書いている以上、売船された中古船を想定していない不備はないでしょう。税関にて輸出証明が発行される 時には、港を管轄する地方運輸局にもあらかじめ通報があることでしょう。税関には輸出申請が 行われているが、港を管轄する地方運輸局には通報がなかった言うことがないように既に協力する 体制が準備されていることでしょう。もし、相互の協力が依頼していないとすれば、それは 課海事保安・事故保障対策室及び国土交通省の検討不足でしょう。

上記のHPにアクセスできない方のために、参考までに七管内における放置座礁外国船 (保安庁:国土交通省)のHP(ページ)をアップしておきます。

このように売船された中古船の座礁及び放置される可能性が高いことを 第七管区海上保安部はHPを通して公開しているのです。 課海事保安・事故保障対策室及び国土交通省が売船された中古船の日本からの出港を 軽視しているとは思えません。

「国際船舶・港湾保安法で義務付けられている 入港情報の通告を怠ったとして、岩国海上保安署は21日、同法違反容疑で、 山口県岩国沖に停泊していたパナマ船籍のケミカルタンカー「スプリング ゼファー」 (742トン、9人乗り組み)の船長で韓国籍の任聖鳩容疑者(47)を逮捕した。」 このケースのように厳格に厳しく対応すれば、問題は解決されるだろう。

関連記事を参考資料として紹介します。下記の記事を読むと北朝鮮船に対する制裁のように 感じます。日本政府が間違った解釈をしているのか、メディアが好きなように解釈している ように思えます。基本的に、日本国内で起きた海難事故の責任(保障)を取らない船舶(船主)が いるから「船舶汚濁損害賠償保障法」のような法が必要なのです。

<北朝鮮船入港>改正油濁法施行後、昨年の月別実績上回る (10/26/05) 毎日新聞

 日本国内の港に先月入った北朝鮮籍の船が、保険未加入の外航船の入港を禁じた改正油濁損害賠償保障法の3月施行以降、初めて昨年の月別実績を上回ったことが海上保安庁の調べで分かった。日朝間を往復する北朝鮮の船は約100隻あるが、9割が保険に加入したことも判明。比較的安い保険料の保険に加入できたことが背景にあるとみられるが、港から締め出すことで期待された実質的な経済制裁効果は薄れたと言えそうだ。【西脇真一】

 ◇海上保安庁の調査で判明

 同法は座礁による油濁損害や船体の撤去費用を補てんするため、100トン以上の外航船に船主責任保険の加入を義務付けた。海上保安庁によると、全国の主要86港に入った北朝鮮籍の船は3月が29隻で昨年の115隻と比べ大幅減。その後も8月までは昨年比減の状態が続いたが、9月になって143隻と初めて昨年を20隻上回った。

 また、保険契約を済ませて国土交通省から契約証明書を交付された船は9月末までに87隻。日朝間を航行するほとんどの船が保険契約を果たした計算だ。大半は英国領バミューダの保険会社による契約で、一部はニュージーランドの会社。関係者によると、両社の保険は通常と異なり、多くの北朝鮮籍の船のようにかなり老朽化が進んでいても契約が可能だという。

 国交省によると、同法施行前は北朝鮮籍の船の保険加入率は2.5%で各国中最低。このため、拉致被害者家族会などによる経済制裁発動を求める声が強まる中、保険加入には金もかかるため法律を厳格運用すれば経済制裁と同様の効果が得られるとされていた。

 9月の入港数が急増した原因として、北朝鮮で豊作だったマツタケを輸出する必要があったことや、多くの船が保険に加入できたことが挙げられる。ある海事関係者は「日本と貿易を続けるため、保険に入るのも仕方がないと北朝鮮側が判断したのだと思う。料金を抑えたバミューダなどの会社の保険が見つかったのも大きい」と分析している。

 同省海事保安・事故保障対策室は「元々、北朝鮮への経済制裁を狙った法律ではないのでコメントしようがない」と話している。

北船舶の入港急増 油濁規制 9割保険加入 (10/27/05) 産経新聞

 無保険船の入港を規制する改正船舶油濁損害賠償保障法が今年三月に施行され、減少傾向だった北朝鮮籍船舶の入港実績が九月に急増したことが二十六日、海上保安庁の調べでわかった。同法改正で北朝鮮船の入港は厳しくなったが、すでに日朝間を航行する北朝鮮籍船舶の九割が保険に加入するなど、北朝鮮側も法改正に対応した動きをみせている。

 海上保安庁によると、北朝鮮籍船の入港実績は、同法施行前の駆け込みで今年二月に九十五隻だったが、三月には二十九隻に激減し、その後は四十隻台で推移していた。ところが九月には百四十三隻が入港し、昨年九月の百二十三隻を上回る回復ぶりをみせた。日朝関係筋は「九月は北朝鮮のマツタケが豊作で、外貨獲得のために貿易を活性化させたのでは」と指摘する。

 九月に入港した北朝鮮籍船は、大半が改正油濁法の対象外となる百トン未満の船とみられる。対象となる百トン以上の船舶については改正後に減少傾向となったが、北朝鮮側も対応。改正油濁法は、座礁事故や燃料油による油濁損害事故が相次いだため、船主に船体撤去費用などをカバーする保険加入を義務付けた。当初は、外貨に乏しく、老朽化の進む北朝鮮籍船が保険契約を結ぶのは困難とみられたが、ほとんどの北朝鮮籍船はニュージーランドか英国領バミューダ諸島の保険会社二社と契約した。

心配するような事態にはならなかった。北朝鮮船籍船が入港しなくなっただけで何も変わっていない。 保険加入の船舶でも放置される結果だ。改正油濁損賠法が無いよりはましだけ。

改正油濁損賠法が成立 北朝鮮船の入港困難に (04/14/04) 京都新聞

 2002年に茨城県沖で座礁した北朝鮮の貨物船が油汚染を引き起こしたまま放置されたことを受け、船の燃料による油濁損害や船体の撤去費を船主が支払うことができるように保険加入を義務付ける改正油濁損害賠償保障法と改正海洋汚染防止法が14日、参院本会議で可決、成立した。

 改正油濁損賠法は名称を船舶油濁損害賠償保障法と変更、05年3月1日から施行。保険未加入の船舶は国土交通省が入港を禁止できる。北朝鮮の船は保険加入率が極めて低く、このままではほとんどの船が入港できなくなる。

 改正法は、これまでタンカーに限定していた保険加入の義務付けを、日本の港に入る100トン以上の一般船舶に広げ、燃料による油濁損害や座礁船の撤去費用の支払いを可能にするもの。国交省の02年調査では、入港した延べ隻数のうち73%が保険に加入していたが、北朝鮮船の加入は2・8%と最も低かった。

中国新聞(2004年6月4日)より

保険未加入船の入港禁止検討 境港、対策に苦慮
国土交通省が法制化に着手した船主責任保険未加入船の入港禁止措置が、国際貿易港・境港に難問を突き付けている。(日本海新聞提供)11/26/03

 国土交通省が法制化に着手した船主責任保険未加入船の入港禁止措置が、国際貿易港・境港に難問を突き付けている。世界の代表的な保険会社二十五社のデータによると、境港に入港する外国船のうち保険加入船は36%しかない。地域経済の輸入依存度が高まる中、多くの船が入港禁止となれば打撃は大きいだけに、地元は苦慮しながら対応策を模索している。

 入港禁止の検討が始まった背景には、保険未加入の船舶所有者が座礁による被害賠償や船舶撤去に応じないケースが相次いだことがある。手を焼いた地方自治体が国へ支援を要請し、国も法制化に乗り出した。

 国交省は次期通常国会への法案提出に向け、撤去団体への支援策も含めた制度創設を進めているが、鳥取、島根両県が共同でつくる境港管理組合は「未加入船を画一的に入港禁止措置にすれば、原材料を輸入に依存する水産加工、木材加工業などに大きな影響を与える」として八月、国に要望書を提出した。

 要望書では▽損害賠償能力の確保は必要だが、過度に求めることのないよう船の等級などで細分化した保険基準を設定する▽外国船が加入可能な保険制度を充実し、実施には猶予期間を設定する−などを求めている。

 二十一日に開かれた検討会には同組合のほか、自治体、船舶代理店、水産、木材業界の関係者が出席。同組合は「大半の自治体は規制に賛同しているが、北海道では地域が保証人になることも検討している。法制化の準備は最終段階で、国に働き掛けるには今が最後の機会だ」と説明し、業界の意見を求めた。

 これに対し、出席者からは「ユーザーや荷受も国への陳情が必要」「保険加入料や北海道の取り組みなど情報収集して対応を検討すべき」といった提言が出された。

 一方で「北朝鮮船は老朽化しており、保険に加入できるのか」「制度は座礁船を処理する地方を救済するもの。地方が適用除外を主張すれば矛盾する」との戸惑いもあり、具体策は見えていない。

 県によると、境港の昨年のベニズワイガニ水揚げ量は前年比千五百トン減の九千トンで、北朝鮮やロシアからの輸入品は同六百トン増の九千五百トンに達するなど輸入への依存が高まっている。半面、保険加入率はロシアが11・1%、北朝鮮は3・3%と低率にとどまっている。

整備不良船入港ダメ 境港管理組合
鳥取、島根両県でつくる境港管理組合(管理者・片山善博知事)は十一日、整備不良船などに対して港の使用を不許可にできるよう港湾施設条例を改正した。(日本海新聞提供)7/14/03

 鳥取、島根両県でつくる境港管理組合(管理者・片山善博知事)は十一日、整備不良船などに対して港の使用を不許可にできるよう港湾施設条例を改正した。施行日は八月一日。富山港への入港を拒否された朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の貨物船が沖合に長期間停泊した問題が背景にあるという。

 この日の臨時議会で可決した。同組合によると、整備不良などで海を汚染したり、長期接岸するなど港湾機能を妨げる恐れがある船舶は入港を不許可にできることを明文化した。今後、具体的な運用を設定していく。

 神戸税関境税関支署のまとめなどによると、昨年、境港に入港した北朝鮮船は三百三十二隻。舞鶴港の三百三十四隻とほとんど変わらず、全国二番目だった。

座礁、放置外国船対策 保険加入義務付け法案 揺れる地元、実効性疑問  東京新聞より


座礁、放置外国船対策 保険加入義務付け法案
揺れる地元、実効性疑問

 座礁、放置される外国船対策として、保険加入を義務付ける新法案について、国土交通省が全国の主要な港湾管理者に意見を聞いた中間集計の結果、地元経済に影響があるとの回答が約8割に上ることが分かった。  同省は次期通常国会に新法案を提出する予定。保険加入率が低く、薬物密輸など犯罪への関与が指摘される北朝鮮船舶への入港規制と結びつける議論も出ているが、北朝鮮船舶への実効性は不透明だ。   (社会部・西岡聖雄)

■国交省調査『経済に悪影響』8割

 自治体ら全国約六十カ所の港湾管理者を対象に調査。影響について、回答した三十五カ所のうち「なし」は七カ所。「あり」の二十八カ所のうち十三カ所は「影響大」と答えた。  具体的には、無保険船の入港規制は入港料減少のほか▽水産物の物価上昇(北海道)▽ロシアとカンボジアの原木や石炭輸入に影響(秋田)▽廃タイヤ業界に影響(茨城)  ▽北朝鮮へのスクラップ輸出に影響し廃棄物処理問題発生(愛知)▽中国の鮮魚運搬船に多大な影響(福岡)▽代理店手数料が失われ多大な損失(沖縄・石垣)−など、地元への影響を心配する声が多かった。  大半の管理者は保険義務化に賛成だが、「規制は千トン以上に」「中小船は除外すべきだ」「放置歴のある国から規制を」−など、中小船への配慮を求める声が目立った。

■北海道で大

 国内船舶は保険加入率が高いため、法案は事実上、外国の無保険船の入港規制となる。加入率が低い北朝鮮船舶のほか、北海道を中心に年間七千隻以上が入港するロシア船寄港地で影響が大きいとみられている。  法案は、外国船の代理店などに保証契約証明書を事前に発行し、証明書不備の外国船の入港を禁止する内容。入港時に掛け捨ての保険料を徴収する案も、検討している。  対象の保険は、世界の二十数社が扱う損害賠償船主責任補償保険。港の岸壁損傷など物損を対象にした保険の加入には、数百−数千トンの貨物船で年間数百万円の保険料が必要という。  昨年入港した外国船約十一万四千隻のうち、無保険船は約三万一千隻。  海外では、米国が三百トン、カナダとオーストラリアが四百トン以上の船舶に保険加入を義務付けており、同省は意見結果を参考に、数百トン以上の船舶を対象にする方針。

■『北朝鮮船対策にならぬ』

 昨年、入港した北朝鮮船舶のうち約八割は日本海側に寄港した。入港回数が多い京都・舞鶴(三百二十八回)や鳥取・境港(三百三十一回)の港湾関係者によると、北朝鮮船舶の大半は三百−二百トンクラスの漁船を改造した貨物船という。  新法が仮に米国並みの三百トン以上の船舶を対象にしても、上部構造物を変更して二百九十九トンにするなど、三百トン級の船舶の規制逃れが横行するとみられ、ある港湾関係者は「北朝鮮貨物船の大半は新法の対象外になる」と予測する。  また、来年施行される入港前の立ち入り検査で入港拒否が可能になる「海上テロ対策法」(仮称)も五百トン以上の貨物船が対象。両新法とも多くの北朝鮮貨物船に適用されない公算が大きい。  接岸前にすべての船舶に立ち入る方法として、国交省の船舶安全検査「ポートステートコントロール」(PSC)と海上保安庁法の検査がある。両新法が及ばない不審な小型船舶には、両検査の連動が最も有効だが、国交省と海保の“省庁統一チーム”による接岸前立ち入り検査の議論はほとんどされていない。

(メモ)放置外国船

 放置された座礁外国船の船籍は7月1日現在、ロシアとパナマが各3、ベリーズ2、シンガポールと韓国が各1の計10隻で、いずれも無保険。昨年12月、茨城県の日立港で座礁した北朝鮮貨物船「チルソン」の放置で、保険義務化論議が本格化した。チルソンの撤去費など約6億5000万円は、国や自治体が負担した。

保険会社や現状について説明したいと思います。

一般的に、多くの船はP&I(Protection & Indemnity)保険に入っています。これは 船主責任保険と日本では呼ばれています。リンクしているサイトを参考に見てください。 通常の船舶保険でカバーされない賠償責任をカバーします。カバーする範囲は、保険会社に よって違いますが、船主責任保険が重要であるがわかります。

宮崎市の一ツ葉海岸沖でホンジュラス船籍のタグボートが 座礁した事故が座礁した事故で、県、市などが困っている。船主が責任を取らないからである。 船主責任保険に入っていないので、補償が払えないのであろう。日本にはたくさんの外国の放置船 がある。これらの船舶は、船主責任保険に加入していないので、放置されたのであろう。 また、保険にかからない状態の (問題のある)船舶(問題のある)船舶であるから、加入できなかったのであろう。 (他で、検査は通るが、保険に掛からない事情については、後で説明する。) なぜ、このようなことが起きるのか?それは、日本に規制をするような制度が存在しないからである。 ある国の制度を紹介したい。オーストラリアの制度である。

UK P&I CLUBによると、オーストラリアでは、2001年4月6日以降、保険証明書を所持する タンカーを除く総トン数400トン以上の船舶は、保険証明書を所持しなければならないと 書いています。この保険証明書の必要条件は:

  • 1.船舶名
  • 2.船主名
  • 3.保険者名及び住所
  • 4.保険開始日
  • 5.保険てん補額(1976年責任制限条約の責任限度額以下でないこと)

この保険証明書は、ポート・ステート・コントロールの立入り検査やオーストラリア各港の 入出港の際に税関に提示しなければならないそうです。 AMSAのHPからの資料
オーストラリアの国内法により総トン数400トン以上の船舶に適用すると書いています。 AMSAとは、「Australian Maritime Safety Authority」のことです。

この制度が日本で始められていれば、日立港の被害も最小限となり、日本から輸出される中古船の 座礁事故の損害も最小限になったでしょう。問題は、日本でオーストラリアのような制度が 制定されるかでしょう。多くの自治体が、国にこの制度の制定を働きかけるかでしょう。 経済協力開発機構では、A HREF="http://www.oecdtokyo.org/theme/enterpriseindustry/2002/20021125shipwreck.html" title="次のようなことを表明" target="_blank">次のようなことを表明しました。 日本も加盟国です。

Protocol of 1984 to amend the International Convention on Civil Liability for Oil Pollution Damage, 1969 (CLC PROT 1984)にサインしている国は少ないです。 日本はサインしていないようです。

AMSAのサイトからのコピーです。

International Convention for Bunkers Liability

The International Convention on Civil Liability for Bunker Oil Pollution Damage 2001 (Bunkers Convention) was adopted by an IMO Diplomatic Conference in March 2001. The Convention provides for shipowners to be strictly liable for fuel oil spills and requires them to carry compulsory insurance to cover any pollution damage following a fuel oil spill. In accordance with a commitment in the Government’s Oceans Policy, Australia was closely involved in the development of this Convention. The Convention will enter into force one year after the date on which it is accepted by 18 States, including five States each with ships whose combined gross tonnage is not less that 1 million gt. Australia signed the Convention, subject to ratification, on 23 September 2002.

Consultation with interested Commonwealth agencies and industry groups and the States/NT was completed during 2002, and in November 2002 the Australian Transport Council endorsed Australian adoption of the Convention.

Legislation to give effect to the Bunkers Convention in Australia is currently being prepared as part of the "Protection of the Sea" legislation package giving effect to IMO Conventions.

As an interim measure, AMSA has enacted legislation requiring ships entering Australian ports from 6 April 2001 to have documentation on board demonstrating that the ship has insurance coverage, at least to the limit of applicable international treaties.

日本は、いろいろな問題があってできないようであるが、できないのか、しないのか、 よくわからない。他の国ができるのだから、日本にできないことはないと思うのだか。

船舶汚濁損害賠償保障法が早く適用されていれば、このような裁判は避けられたかもしれない。

隠岐島沖重油流出事故:原告側、和解へ協議方針−−鳥取地裁 /島根 04/27/05(毎日新聞、朝刊)

 島根県沖で沈没した中米ベリーズ船籍の貨物船「アイガー」による重油流出事故で、油除去費などを負担した鳥取、島根、京都、兵庫などの4府県1町が、船の所有者や保険会社を相手取り、約9600万円の支払いを求めた訴訟の第1回口頭弁論が26日、鳥取地裁であった。原告側は和解に向け協議する方針を明らかにした。

 訴状などによると、「アイガー」(2847トン)は02年3月31日未明、島根県隠岐島沖の日本海で、鳥取県岩美町の田後(たじり)漁協所属の底引き網船と衝突・沈没し、多量の重油を流出。沿岸の4府県と兵庫県竹野町(現・豊岡市)が重油除去にあたったが、03年8月に除去費などの支払いを求めて鳥取地裁に提訴していた。

 この日は、原告側代理人が出席しただけで、被告側は姿を見せなかった。被告は、貨物船の実質的な船主である中国の会社と中国の保険会社など3社だが、訴状が届いているのが確認できたのは保険会社だけという。

 県は「他の油流出事故の例などを参考に、他の府県などと話し合って、和解に向けた協議を進めていきたい」と話している。【田辺佑介】

保険加入の有無通報せず、ツバル船籍船長を初摘発 04/20/05(読売新聞)

 ツバル船籍の貨物船の中国人船長(62)が船主責任保険に入っていることを事前通報しなかったとして、今治海上保安部が改正船舶油濁損害賠償保障法違反などの容疑で事情聴取したことが20日、わかった。  容疑が固まり次第、送検する。同法違反での摘発は全国初めてという。

 調べによると、船長は日本領海内に入る際、3月の同法改正で義務づけられた運輸局長への保険加入契約の有無などの通報をしなかった疑い。貨物船は保険には入っていたという。

 貨物船には中国人7人が乗り組み、18日夕方、韓国・蔚山を出港。今治港から北朝鮮にゴムチップを運ぶ予定だった。

改正油濁法違反を初適用/貨物船の中国人船長聴取 04/20/05(四国新聞)

 今治海上保安部は20日までに、改正船舶油濁損害賠償保障法(改正油濁法)違反(通報義務違反)と国際航海船舶・国際港湾施設保安確保法違反(通報義務違反)の疑いで、ツバル船籍の貨物船「SU YANG LING」(978トン)の中国人船長(62)から任意で事情聴取した。容疑が固まれば書類送検する。

 同保安部によると、改正油濁法による摘発は全国で初めて。

 調べでは、貨物船は18日午後、韓国の蔚山を出港し、19日早朝、瀬戸内海に入ったが、船主責任保険(PI保険)証書の所持を事前に四国運輸局長に通報しなかった疑い。また瀬戸内海に入る前に、保安情報を今治海上保安部長に通報せず入った疑い。

更新まで続く。 追記:運輸省から国土交通省になる前のものだと思うが、船主責任保険の加入の現状と 保険の加入のメリットが 今後の問題の中で触れられている。 船主責任保険の加入は、以前から認知されていたのだろう。船主責任保険の義務化の 適用が必要だ。

関連記事のリンク集

オーストラリアにおける新しい保険証書所持義務 UK P&I CLUBのHPより

船主責任保険  三井住友海上のHPより

航海保険  三井住友海上のHPより

ロシア極東の石油・船舶事情

経済協力開発機構

北の貨物船 安易な“食料援助”は慎め

外国座礁船 県が撤去 数千万円かけ行政代執行へ 宮崎

<入港禁止>繰り返しPSC指摘受けた船舶 国交省検討

船主保険未加入は入港拒否 放置船対策で法案提出へ

北朝鮮船の加入は2・8% 船主保険で国交省が調査

稚内港に入港するロシア船の8割が船主責任保険未加入

国交省、船舶保険義務化提案へ

外国船4隻に備え付け命令 改正油濁法施行で国交省 03/02/03(産経新聞)

 国土交通省は1日、油濁事故の処理費を賄う船主責任保険(PI保険)に入っていない船舶の入港を禁止できる改正船舶油濁損害賠償保障法の施行を受け、全国の港で外国船の立ち入り検査。同日午後11時現在、4隻が、保険に入っていたが保険証書の写しなどを所持しておらず、国交省は備え付けの命令を出した。

 4隻は、富山県伏木港に入ったロシア船とセントビンセント船、横浜港に入った米国船、兵庫県姫路港に入ったベリーズ船。国交省は116隻の外国船を立ち入り検査した。

 改正法では北朝鮮船籍の油流出事故などを受け、タンカーに限定していたPI保険加入義務の対象を100トン以上の一般船舶に拡大。船舶は日本の港に入るには指定保険者との契約証明書の写しを備え付けるか、保険に加入している証明書を事前に国交省から交付を受ける必要がある。

 証明書については2月28日現在、982件の申請があり、819件に交付している。(共同)

外国船放置防止 「無保険船」の入港拒否 06/20/03(読売新聞)

来年国会新法上程 座礁に備え基金も

 日本近海で座礁し、放置されたままの外国船舶の対策を検討していた国土交通省は、入港に際しては原則、保険加入を義務化し、無保険船は荷受業者などが賠償責任を保証しない限り入港を拒否する方針を固めた。今年中に「無保険船規制法」(仮称)の法案をまとめ、来年の通常国会に提出する。現行法では出来ない「入港拒否」の要件を初めて法制化する新法で、保険加入率が2・8%に過ぎない北朝鮮船舶に対し、新たな規制強化策ともなりそうだ。

北朝鮮船の加入率は2.8%

 法制化の契機になったのは昨年12月、茨城県日立港で起きた北朝鮮籍の貨物船の座礁事故。現在全国に12隻の外国船が放置されているが、いずれも船主責任保険(PI保険)には加入していない。これまで撤去された船の多くも保険に未加入だったため、撤去費用を国と自治体が負担するケースが多かった。

 国交省がまとめた対策の柱は、一定規模以上の外国船舶について、PI保険に加入していない場合は日本への入港を禁止するというもの。同省では数百トン以上の船舶を想定している。

 国交省が、昨年1年間に日本に入港した外国船の保険加入状況を初めて調査したところ、入港回数が多い上位30の船籍中、加入率が最低だったのは北朝鮮。1344隻中38隻と、わずか2・8%に過ぎないことが判明した。これに、ロシア(14・9%)、カンボジア(31・7%)などが続いている。平均加入率は72・5%だった。

 ただ、年間延べ3万1000隻以上に及ぶ無保険船をすべて締め出した場合、地域経済に与える影響が大きいため、船舶代理店などが賠償責任を保証する場合に限って入港を認めたり、1回の入港ごとに掛け捨ての保険料を徴収するなどの方法も検討し、代替措置として法案に盛り込む。一方、どの国の船であっても領海内を通過するだけの権利(無害通航権)が国際法で認められており、これらの“通過船”が座礁する可能性もある。このため同省は賠償責任能力のない“通過船”が日本近海で座礁した場合に備え、船体撤去などを行う地方自治体を支援するため、数億円規模の基金も創設する方針だ。

 外国船舶の安全面での規制には、「ポート・ステート・コントロール(PSC)」と呼ばれる安全検査があるが、PSCは入港後の検査により出港の差し止めは出来るが、入港自体を拒否することは出来なかった。

 同省は、この法案と並行し、米同時テロを契機に改正された国際条約に基づき、保安面からの入港規制法案の制定作業も進めており、この2法により、「入港拒否」の要件が初めて制度化されることになる。

船主責任保険(PI保険) 通常の船舶保険が、海難事故などにより生じた船舶の修繕費や、衝突で相手の船に与えた損害を補償するのに対し、事故や衝突以外の原因で第三者に与えた損害を補償する保険の一つ。例えば、〈1〉岸壁や桟橋の損壊など港湾施設に与えた損害〈2〉座礁したり沈没したりした船舶の撤去費用〈3〉流出した油などの除去費用――などをカバーする。

 国際的にはPI保険と呼ばれる。PIは、Protection&Indemnity(「保護と補償」の意)の略。日本船舶の多くのPI保険は、各船会社が出資してつくる「日本船主責任相互保険組合」が、世界的には「国際P&Iグループ」に加盟する同種組合が扱っている。保険料は船の種類や大きさなどによって異なるが、数千トンの貨物船の場合は年間で数百万円になるケースが多いという。(原)

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無保険船、入港拒否へ


「国土交通省は、これまで省内で検討してきた放置座礁船問題に関する基本方針をまとめた。」 そうである。

詳しくは、下記の記事をご覧下さい。

無保険船、入港拒否へ

ここで、「一方、 国交省はこれと同時並行でサブスタンダード船の入港拒否についても検討している。 今回の法案と一本化されるかは不透明だが、 無保険船もサブスタンダード船も、 安全コストを軽視していること、 サブスタンダード船が船主責任保険 (P&I保険) に加入する場合、 保険料率が高くなることから、 同省幹部は 「無保険船の入港拒否で、 実効的にサブスタンダード船が排除されることになるのではないか」 とみている。」と 書かれているが、考えが甘いとも思える。

船級に入っていても、全ての要求される証書が船級証書を発給している船級から発行される わけではない。 逃げ道はあるのである。 そのうえ、IACSのメンバーである船級の検査官の検査 だから、適切な検査が行われているわけでもない。それについては、現場のポートステート コントロールがよく知っているだろう。また、船級に入っていなくとも船主責任保険(P&I保険) に加入できる。常識では、保険料が高くなるのではなく、加入自体できないのである。 しかしながら、加入している船舶が存在すると言うことは、逃げ道があると言うことであろう。 結局、ポートステートコントロール(PSC)がしっかり検査し、厳しく対応していけば、 サブスタンダード船は減るのである。MOUや地域によって、サブスタンダード船が多いのは、 ポートステートコントロールの検査の質と対応の違いと言ってもよいだろう。 厳しい検査と厳しい対応をおこなうポートステートコントロールが存在する地域では、 サブスタンダード船は少ない。少ない地域でサブスタンダード船が入港すると一目で 判断でき、厳しい検査を受け厳しい処分を受ける。よって、サブスタンダード船は 少なくなる結果となる。

日本はどうだろうか。以前よりは厳しいとしか言えないのが残念である。オーストラリアで 不備を指摘されていないのだからこの船は大丈夫だとよく聞くが、日本で不備を指摘され ていないから、この船は大丈夫だと言われるようになるのはいつ日だろうか。

関門海峡における船骸撤去 関門支部長 山本 徳行 全日本船舶職員協会

 関門で海事関係の仕事に携わって40年が経過した。 近年関門海峡は航路の拡幅、 導灯、 同期点滅の灯浮標などの援助施設の充実、 AIS の活用、 情報の提供など、 過去に比べると見違えるように整備された。 しかし、 最近15年間で関門海峡において衝突・沈没し推定全損となり船骸撤去になった外国船舶は8隻を数え、 私は殆どの事件に関ったが、 船骸撤去ほど厄介な事案はない。 船主相互保険 (P&I保険) 未加入船、 加入はしているが担保保険金が撤去費用に満たないもの、 積荷の撤去・廃棄に莫大な費用を要し船骸撤去の契約が遅延した事例等、 容易に解決した事件は皆無である。 私の経験から、 船骸撤去のうち最も難問だった事件の顛末を披露し、 施行された港湾保安法の私見を述べ、 関係者への参考に供する。

 平成16年7月1日から 「国際船舶・港湾保安法」 の施行により、 船主相互 (P&I) 保険未加入の外国船舶は日本への入港を許可しないことになった。 この法律の施行で日本への入港24時間前までに 「船舶保安情報」 を関係官庁に提出し、 許可された船舶しか入港できないが、 油濁損害賠償の保障や沈没・座礁船の放置問題が解決したと思うのは早計である。

 ご存知のように、 「船舶保安情報」 は多くの通報項目があり、 「保障契約情報 (Financial Security Information)」 俗に言うP&I保険に関する項目はあるが、 船体保険に関する項目はない。 P&I保険に加入する場合、 諸々の担保条件があり船体保険の加入も条件の一つである。 従って、 船体保険に未加入の船舶はP&I保険に加入していても事故発生時、 P&I保険から費用担保・填補の契約は無効となるので、 「保障契約情報」 は単なる情報であって実効性がない。 私の調査によると、 許可されて日本に入港したP&I保険加入船舶で、 事故発生時、 船体保険未加入若しくは契約期限切れの外国船舶があることを発見して驚いた。 船舶油濁損害賠償保障法を実効性ある法律に改定し、 早急に保障契約情報を見直す必要があると思う。

 特殊な事例として、 コンテナー船の沈没事故では、 流出したコンテナーの回収に莫大な費用を要する。 北九州並びに下関への入出港船舶及び関門海峡通航船舶の安全を確保するため航路内の捜索を最重点に実施するが、 航路を閉鎖するため、 時間と費用を最小限にする方法の模索、 関門港長との折衝等、 難問の解決に頭を痛める。 狭隘で屈曲し強潮流の関門海峡は、 東は部埼から西の六連島まで15マイルに亘る航路の安全を確保するのは至難の業だ。 民間のサイド・スキャナーを装備した捜索船は約200万円/日の傭船料が必要で、 準備期間を加算すると相当な費用となる。 特殊な事例として、 捜索時間と費用を節減するため、 湾岸戦争で活躍した海上自衛隊の掃海艇の派遣を要請して実施したこともあった。  海峡東口の部埼沖及び西口の六連島周辺を除く関門航路は強潮流、 最大10ノットを超えるため、 水中作業は流速2ノット以下の緩流時に限定されるため、 特に積載貨物がある場合は撤去に相当の日数を要する。 作業時間は一日約2時間しかないので、 撤去作業を開始してから完了するまでの期間は1ヶ月半から2ヶ月を要する。

 原則として撤去は入札によって業者と契約するが、 撤去費用は航路内及びその付近の場合、 積荷の有無、 種類によって大きく変わり、 過去の例からすると2億数千万から4億円と相当の差がある。 最近は大型起重機船 (3千トン型) を使用しての吊り上げ撤去が主流となり、 その傭船料が経費の大半を占める。 起重機船の作業は最も潮流の緩やかな時期を選んで行うため、 作業日が限定されるし、 一旦機会を逃すと次の潮時まで待機せざるを得ないので日数と膨大な費用を要する。

 平成9年11月関門橋の西、 航路の中央付近で衝突・沈没した中国船 「CH号」 はP&I保険未加入のため、 船主は莫大な撤去費用の負担能力がなく関係官庁は途方に暮れていた。 私は困惑していた関門港長の要請に応じて、 来日した船主の副社長の身元引受人となり、 船骸撤去費用の捻出のためコンサルタントをボランティアで務めることになった。

 副社長の言によると、 当該船社は俗に言う一杯船主で資産も無く不幸にして死亡した船員の保証金の支払い能力も無い、 貧乏会社であることが解った。 海上保安部との約束で、 彼は連日弊社を訪れるが、 当初は撤去費用の金策よりも事件を放置して帰国する方策の相談が主であった。 幸いにも該船は中国の船体保険会社に、 約2億9千万円の全損保険に加入していることが判明した。 私は、 不本意ではあったが、 船体保険金を撤去費用に充てるよう彼を説得し本社に連絡させると共に、 連日、 中国本社の社長に直接電話とファックスを送信して、 保険金を撤去費用に充当するよう粘り強く要請を続けた。

 撤去費用の最低入札額は3億4千万円であった。 船体保険金を全額充当しても足りないため、 私は不足分の金策に頭を痛めた。 又、 最善策を模索するため中国人副社長と我が家で食事をしながら、 連日夜遅くまで協議を重ねた。

 約1ヶ月後、 彼は心労のあまりノイローゼになった。 週末には彼を温泉に誘い露天風呂に浸かりながら、 金銭的なことは一切口にせず、 心労を癒すため中国の家族やお互いの人生論を語りながらストレス解消に努めた。 彼はホテルに滞在していたが、 昼・夜は中華料理や我が家の家庭料理に招き、 家族同様に過ごした。  裸の付き合いが功を奏したのか、 彼は2週間後には快復し、 私の意を汲んで船体保険金の送金を約束したが、 本社の社長は納得しなかった。  私は交渉の経過を海上保安部、 第四港湾建設局 (現在の国交省九州整備局) 等、 関係者に毎日ファックスで報告した。 新会社設立間もない時期で通信費や交通費等わが社の経費負担は相当な額になった。 私事で恐縮だが、 家内は経済状況と成功の当てのないこの事件から早く手を引くようにと連日愚痴っていたが、 私は意に介すことなく、 例え成功しなくても最後までやり遂げる決意をしていた。

 事故から3ヶ月が経過する頃になると、 国は代執行を考え始めたし、 マスコミも私の行為を興味をもって観察し、 成功と失敗の記事の両方を準備し始めた。 親しい記者は情報の収集に連日訪社し、 先行き不安な情勢をオフレコで話し合いながらも、 私の信念を理解していた。 代執行の報道をすれば、 中国船社は撤去を放棄し、 費用の送金をしない事態を懸念して、 私は代執行の報道を控えるようマスコミに要請した。  当時の海事担当記者たちは、 私の意図を理解し協力的であったため、 代執行に関する報道は一切なかった。  船体保険金全額を送金させると会社が倒産する恐れがあるので、 私は最善索として保険金の内、 5千万円は死亡した乗組員の保証金と会社の当座の経費に充当し、 残額の2億4千万円を撤去費用として日本に送金するよう提案し、 不足分の約一億円は私が責任を持って工面すると約束した。 しかし、 副社長は一億円の金額は中国では一家族の100年分の生活費に相当すると説明し、 私の約束を信用しなかった。 私の提案が最善策と確信し彼に理解を得る為説得を続けた。

 私は精力的に関係者と協議を重ね、 不足分の金策に奔走した。 撤去業者には費用の大幅な減額を依頼し詳細な作業方法の見直しを協議した。 関係官庁に対しては、 警戒業務や航路標識等可能な限りの支援協力をお願いした。 私の強引とも言える提案を聞き入れていただき、 関係者の同意を得て契約書 (案) には撤去費用2億4千万円と明記し、 不足分については、 私の責任で処理すると誓約書を準備し、 関係者の連署を取り付けた。 誓約書を準備したことによって、 副社長は私の提案に賛成し契約書 (案) と誓約書を携えて社長を説得するため春節前に一時帰国した。 関係者の一部には、 人質同然な彼の帰国に反対したが、 私は彼の真摯な態度と人柄を信頼し、 終始彼の意見と行為を尊重した。  紆余曲折はあったが、 積極的な交渉が実を結び中国船社の社長から、 保険金を受け取ったら2億4千万円の撤去費用を送金すると連絡があったのは3月中旬過ぎであった。 しかし、 予期せぬ難問が判明した。 中国船体保険会社は原則として多額の保険金支払いは分割で行うため、 全額の支払いは6ヶ月以上掛かると連絡があった。

 撤去契約は事前の現金振込みが条件だったので、 作業の開始が大幅に遅れたため、 警戒船の費用など、 莫大な経費増になって、 同意した契約内容では撤去が不可能な事態となる。 このような最悪の事態を収拾するため、 私は保険会社に直接電話したり、 再三、 中国総領事館を訪問して、 事情を説明し船体保険会社へ保険金の一括全額の支払いを実施するよう指導・協力要請を依頼した。 知人の駐福岡中国総領事は好意的で、 積極的に保険会社への要請を繰り返してくれた。 加えて、 船社の副社長には日本の状況を縷々説明して、 保険会社へ保険金一括、 早期支払いを実施するよう日参させた。

 事故発生から3ヶ月が経過した頃から、 周囲の野次馬達は私の行為を侮蔑し、 中国からの莫大な撤去費用送金の可能性は皆無だと公言してはばからない輩もいた。 私は全ての風評を聞き流し、 中国側関係者には精力的に連絡を継続して副社長からの吉報を待った。

 全ての行為が効を奏し、 4月末船体保険金の全額を保険会社から受け取り、 2億4千万円を送金したと副社長から連絡があった。 連休の最中、 5月8日指定した銀行への振込みを確認して私の苦労が報われ感無量だった。 早速、 5月11日船主代行で準備していた正式船骸撤去契約を締結、 作業船団が艤装を終え作業を開始したのは5月18日、 交渉・締結・作業開始まで私にとっては長い道程だった。

 積荷の Steel Coil 約2千700トンを船倉から取り除き、 船体は大破した部分で2分割して、 大型起重機船で吊り上げ撤去した。 作業開始から完了まで45日間、 沈没事故 (平成9年11月11日) から関門航路が平常な状態に復帰するまで約8ヶ月を要した。

 平成10年7月2日赤茶けた無残な船骸が起重機船で吊り上げられ、 排水後岸壁に無事繋留された。 私は直ちに自主撤去に対する真摯な取り組みをした船主に、 国際電話で撤去完了の報告をした。 8ヶ月の長期に亘り費用に絡む 「不安」 を 「信頼」 で必死に振り払い、 目的を達して満足感を味わった。 私にとっては生涯忘れられない、 畢生 (ひっせい) の大事業であった。

 終始、 ご支援・ご協力いただいた関係者、 特に法律問題では貴重な助言者であった親友の海事弁護士、 海上保安本部や国交省九州整備局の担当者、 並びに撤去業者の皆さんに心から感謝した。  撤去完了の翌日、 平成10年7月3日、 私の支持者で理解者の一人、 読売新聞のベテラン記者が地域ニュースとして掲載された記事を紹介する。

平成22年度 海事局関係 予算概算要求概要 (国土交通省)
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参議院会議録情報 第174回国会 国土交通委員会 第11号

第174回国会 国土交通委員会 第11号
平成二十二年五月十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     川崎  稔君     尾立 源幸君
     平山 幸司君     下田 敦子君
 四月二十八日
    辞任         補欠選任
     尾立 源幸君     川崎  稔君
     大島九州男君     金子 洋一君
     下田 敦子君     平山 幸司君
     松野 信夫君     米長 晴信君
 五月十日
    辞任         補欠選任
     金子 洋一君     平山  誠君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         椎名 一保君
    理 事
                広田  一君
                室井 邦彦君
                佐藤 信秋君
                吉田 博美君
                草川 昭三君
    委 員
                植松恵美子君
                川崎  稔君
                輿石  東君
                田名部匡省君
                羽田雄一郎君
                平山 幸司君
                平山  誠君
                藤本 祐司君
                山下八洲夫君
                米長 晴信君
                大江 康弘君
                岡田  広君
                荻原 健司君
                西田 実仁君
                山内 俊夫君
                渕上 貞雄君
                藤井 孝男君
                長谷川大紋君
   国務大臣
       国土交通大臣   前原 誠司君
   副大臣
       国土交通副大臣  辻元 清美君
   大臣政務官
       国土交通大臣政
       務官       三日月大造君
       国土交通大臣政
       務官       藤本 祐司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        畠山  肇君
   政府参考人
       法務大臣官房審
       議官       團藤 丈士君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律等
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ─────────────
○委員長(椎名一保君) ただいまから国土交通委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、松野信夫君及び大島九州男君が委員を辞任され、補欠として米長晴信君及び平山誠君が選任されました。
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○委員長(椎名一保君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に法務大臣官房審議官團藤丈士君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(椎名一保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(椎名一保君) 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○室井邦彦君 おはようございます。民主党の室井邦彦でございます。
 早速、この海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案に質問をさせていただきます。
 その前に、質問理由として申し上げたいことがございます。
 もう御承知のとおり、この日本の国は、国連で認知をされている国が百九十二か国、その中で面積が六十一番目という順位であります、御承知のとおりでありますが、領海の排他的経済水域、これは非常に順位が高くて、世界で第六位ということでありまして、無論、モンゴルとかスイス、こういう国は除外しても、百十八か国の中での六位というのは広大な水域を有するということでありまして、いろいろと日本の島々、日本の六千八百四十七ですか、島々から成り立っている日本の国のすべてが海域で四方八方を囲まれている。そういう環境の中で、輸出入貨物のトン数ベース、これが何と九九・七%を海上輸送に頼っているといいますか、このような数値が出ております。さらに、これはもちろん日本の国の海洋国としての環境でありますが、また、それ以外に国民のライフラインを支えている、また、さらには漁業、海運、こういう経済活動にも非常に貢献をしているというか、そういう状況であります。
 まさにレジャーもその一つでありまして、あらゆるそういう環境から考えますと、この海は将来とも永遠に美しい海でなくてはいけない、このようなことを私は思っておりますが、ここで、残念ながら、平成二十一年の油、また廃棄物、さらに有害液体物質、またさらには赤潮、青潮等の海洋汚染の発生状況は五百十四件あったと言われて、確認されているだけで五百十四件ということであります。
 そこで、最初の質問をさせていただきますが、この平成二十一年の海洋汚染の現状についての説明を是非、まあその事故の件数とか内容とか種類、いろいろとございますが、是非御説明をお願いをしたいと、現状をお願いしたいと思います。
○副大臣(辻元清美君) 今御指摘の日本は海洋立国であるということをかんがみまして、周り海に囲まれておりますので、海洋汚染が一たび起こると大きな影響が出ると。
 そして、今委員御指摘の五百十四件、これは平成二十一年に確認されたものです。その内訳を申し上げますと、油の排出によるものが三百六十九件、廃棄物によるものが百四件、有害液体物質の排出によるものが三件、赤潮、青潮によるものが十四件、その他が二十四件となっております。
 そして、この油の排出による汚染三百六十九件の中で排出源が判明したものが二百八十二件、そのうち船舶によるものは二百四十二件で八六%を占めております。また、その原因は、取扱不注意によるものが百二十件、全体の四二%、次いで海難によるものが四十七件、故意によるものが四十一件となっております。
 外国船舶による海洋汚染の発生確認件数は三十七件ございます。そして、油の排出によるものは三十四件ということになっております。
○室井邦彦君 私がこの法案の質問をするときに、いろいろと今現在、排他的経済水域の問題でありますが、これは調べますと、まあでたらめとは言わないんですが、これは質問じゃないんですけれども、私の所見なんですが、いいかげんな数字が非常に多いということ。
 それは、一言申し上げたいことは、調べれば調べるほどおかしな具合になっておりまして、この排他的経済水域の面積、また順位、これは各、いろんなデータ、調査機関があります。一つは米国の国務省の資料で、アメリカが一位で、面積は百六十二万平方キロメートルというふうに言われておりますが、もう一つのホームページの百科事典、これで調べますと、これもアメリカが一位なんですが、その面積は、排他的経済水域の面積が千百三十五万平方キロメートルと、全く数字が違っていると。
 こういう点からしましても、この排他的経済水域の問題、特に私が興味のあるのは中国との尖閣諸島の問題、今中国は万博でそっちに集中していますけれども、いずれこの万博が終わりますと、恐らく積極的、能動的にこの問題について押し切られるんじゃないのかな、押し切ってくるんじゃないのかなという私も非常に心配をしておりまして、こういう世界的に数字データが本当にいいかげんであるということに非常に海洋国日本として、これからどういう国策としてこの対応をしていかれるのかなと。
 もう一つのデータは、これも面白いデータでありまして、アメリカの国務省の数値ではインドネシアが世界で三番目になっておりまして、面積が五百四十一万平方キロメートルと、もう一つの調査データのホームページの百科事典ではインドネシアは三位に入っていないと、こんな状況でありまして、この排他的経済水域、これは全くいいかげんな数字がそれぞれ国々で主張しているということで私は感じました。
 まさに、もう一つの数字では、日本の国と中国との排他的経済水域が全く重なっている部分、もう日本の二百海里の計算でいきますと中国の沿岸まで重なっていくと、中国からしてみれば全く日本の沖縄近くまで領海として入っていると。結局、この間を分けていこうじゃないかという案があるようでありますけれども、これも今後、今申し上げましたように、万博が終わると恐らく中国は積極的にこういう問題に対して対応していくと思います。
 どうか、前原大臣、これは国交省だけの問題じゃないと思いますので、ひとつこの問題については真剣に、後で後手後手にならないようにこちらから積極的に攻め込んでいくという、こういう戦略も必要ではないかなというふうに思いますので、是非その点は私の方から要望しておきますのでお願いをしたいと思います。日本の資源の将来にかかわってくると思いますので。
 何か御所見があれば、おっしゃっていただければ結構ですけれども。
○国務大臣(前原誠司君) 室井委員にお答えをいたします。
 今、中国では上海で万博が行われておられますけれども、そういった時期においても中国の海洋調査、またデモンストレーションというのは非常に活発でございまして、外務省を通じて抗議をしているところでございます。
 我々の主権というのは脅かされてはいけませんし、尖閣諸島というのは我が国固有の領土でございます。我々としては、まだ中国とのいわゆる境界線が画定をいたしません、海の。そういう意味におきましては暫定的に中間線という立場を取っているわけでございますけれども、中国がその中間線という立場を取らない以上は我々も中間線という立場を取らずに、二百海里を引いて、そこから交渉をするという立場で今臨んでいるところでございますし、また沖ノ鳥島にいたしましても日本の領土とは中国は認めておりませんので、これは後日この委員会でも御審議をいただくことになろうかと思いますけれども、低潮線等の法案を御審議いただきましてしっかりと実効支配を高めていくということを行う中で、今室井委員のおっしゃった問題意識、全く共有をしておりますので、日本の主権をしっかり守っていくための努力を政府全体として行ってまいりたいと、このように考えております。
○室井邦彦君 ありがとうございます。よろしくお願いを申し上げます。
 続いての質問でございますが、よくMARPOL条約という言葉が出てきます。私も勉強不足でよく理解をしていないんですけれども、MARPOL条約についての御説明、その中には、条約制定の背景とか条約を提携している国々がどのような国々があるかということ、また条約の内容などお聞かせをください、お願いいたします。
○副大臣(辻元清美君) MARPOL条約は、まず昭和四十八年、一九七三年に、現在は国際海事機関、IMOになっておりますが、その前身のIMCO、政府間海事協議機関で採択されたもので、約三十七年前からこの条約がございます。
 背景には、大量の油などを船舶が海の上で流出した場合、非常に大きな被害になります。外国船が例えば日本近海でそういう事故を起こしたとき、日本にも影響が広がる。日本船籍も世界中走っています。ですから、自分とこの領海だけではなくていろんなところにいろんな国の船が出入りする中で、やっぱり国際機関としてそういう油流出などについてきちんと制約、規制を掛けていかないと、放置してはいけないということで、きっかけは一九六七年に大量の油を流出したトリー・キャニオン号事故というのがございました。これはたしかイギリスの船だったと思うんですが。その後、タンカーが大型化する、そしてさらにはケミカルタンカー、要するに化学物質などを運ぶタンカー等も出てきまして、油以外にも有害液体物質の海上輸送の増大がこの三十年間どんどん進んできております。ですから、この海洋汚染防止に関する包括的な規制についての議論が行われ、これを規制していこうということになっております。トリー・キャニオン号はリベリアの船籍でした、失礼いたしました。
 この条約では、船舶からの油、有害液体物質、廃棄物の排出及び排気ガスの放出規制等について包括的に定める国際条約と。そしてさらには、今この附属書というのがYまでございまして、今回、御審議いただいておりますTは百五十か国がこの附属書を締約しております。そして、Yは五十九か国というようになっておりまして、TからYまでそれぞれ国が一つ一つ判断して、そしてそれに入るか入らないかを決めていくという性質の条約でございます。
○室井邦彦君 続いて関連なんですが、この海上輸送における外国船籍の船舶数が年々増加をしていると。無論、増加をするということは外国船籍の船の事故が増加していくということにつながるわけでありまして、その場合、今お聞きしました副大臣からの説明を、MARPOL条約を締結していない国、船舶、これは海防法が適用されるのかされないのか、この点を説明していただけないですか。
○副大臣(辻元清美君) 外国船籍の船に関しましては、日本の排他的経済水域に入ってくれば原則として海防法の適用対象というようになります。また、MARPOL条約では、非締約国の船舶であっても有利な取扱いにならないようにするという規定がございます。我が国は、MARPOL条約の規定を海防法関係法令に取り入れて、非締約国の船舶にも締約国の船舶と同様に適用していくというようにしております。
○室井邦彦君 時間がございませんので、続いてどんどん質問させていただきます。
 次の質問理由は、私はこのように思っているんですが、大型タンカーが入港できないという問題なんですが、その前に油流出事故による被害の大きさを考えたときに、この船舶間の積替えという危険性の高い行為を今行っていると、これについての厳しい規制を導入しようと、このような法改正であるわけでありますが、そこで質問したいところは、海上保安庁長官、どのような命令を出すといいますか、もちろん航行の安全とか海洋の保全、またいろんな状況があると思うんですが、どのような命令を出されるのか、またどのようなケースを想定してどのような命令を出せるのかという、この点についてお聞かせ願えませんか。
○副大臣(辻元清美君) 今御指摘の、船舶間の油の積替えなどのときに流出などが想定される可能性が多いと。現状は、今この積替えは一部の港湾内に小規模なものが年間十数件程度というようになっております。
 しかし、この油の積替え、いつどこで、今はそうだからといっていろんな外洋とか、それから台風が通過した後とか、様々な気象条件やそれから場所、そして、さらには船舶の動揺が非常に予想されるような状況での積替えとか、それからパイプが切断するような可能性がある場合とか、まあ海のことですからいろんなことが想定されます。その中で、海上保安庁長官が措置命令を発出することができる場合というのは、客観的に見てそのような安全性に問題があるという状況で船舶間の貨物油の積替えを行おうとする船舶があるときには、ちょっと待てと、そして是正する。それから、さらに時期とか海域等、ほかの場所でやったらどうか、そしてちょっと時期今は悪いからずらせよとか、そういう船舶の運用面にかかわる措置を講ずることを命じることができるというようになっております。
○室井邦彦君 冒頭申し上げましたように、この質問をするときに、私はもちろん、委員の先生方もこの参考資料というのは、これを参考にしながら、読まれて、どの質問をしよう、どうしようというふうにそれぞれ考えられると思うんですけれども、私は、この参考資料を読ませていただいて、こういうことが書いてあるんですよね。これ十二ページなんですけれども、参考資料の。黒四角というんですか、二番目のところなんですが、大型タンカーが入港できない場合は、そういう港があるというふうに書いてありまして、小型タンカーに積み替えて大きなタンカーに油を注油するというか流し込むというようなことは、ここに書いていなかったんですが。
 ですから、私が申し上げたかったことは、質問の中で、港湾の船舶への貨物油の積込み作業は、通常、港湾施設において行われているが、港湾の水深が浅い等の理由で大型タンカーが入港できない場合、小型タンカーが貨物油を沖合まで運び、そして、今副大臣がおっしゃったとおり、そういう作業を行うというふうにここに書いてありますので、私は、じゃ、日本の国、日本の港に大型タンカーが入れない港はどの港で幾つあるんでしょうかという質問をしようとしたんですよね。そうしたら、これはもう日本の問題じゃないと、ここの部分は。
 そういうふうな、この資料、ここに、これは日本の問題ではないという文章はありませんが、これは日本の国内の問題ではないということで、調査室が、職員の方が一生懸命、国交省の提出された資料を基にこの文章を書かれたと。そして、今度は、じゃ、国交省に尋ねてみると、国交省の職員の方が、これは調査室で用意したものだからちょっと詳しくは分からぬというようなことを言われまして、じゃ、何をどう信頼していいのか、どうしたらいいのか分からないと。
 お互いがそのようなことで、国交省の職員の方と調査室、こういう資料を、参考資料を作るときに、お互いが意見交換というか情報交換がしっかりできた上でこういう資料を作成していただいているのか。その点が、質問の材料を探すのにここの部分で非常に、ちょっとここ不信をというか、感じたことがありまして、このことについてどうこうお答えしてほしいということじゃありません。今後、我々はこれを基礎にして質問をやはりしっかりしていかなくちゃいけませんので、いや、うちは知らぬ、ちょっと説明不足ではないかとか、いや、これは調査室やでとか、いや、それは聞いておりませんわとかやられると、ちょっと質問を突っ込んでいくのにどうしたらいいのか分からなくなると。
 私はここで、日本の国に、くどいようでありますけれども、タンカーが入港できない港は幾つあるんですかということが聞きたかったんですけれども、これはもう日本と関係ないと。日本の場合は大きなパイプを突っ込んで給油タンクに流し込むんだということでありますから、これは別に質問しても仕方ない、そういう油送とか、そういう油の積卸しはしていないということで。
 そういうことがありましたので、ちょっと一言これは申し上げておかないかぬなと思ったもので、申し上げさせていただきました。コメントは結構です。ちょっと急がせていただきます。
 続きまして、質問を十五用意しているんですけれども、まだ五問しか入っておりませんので、これはまずいなという思いが。前原大臣にすばらしい場面をつくっておるんですが、ちょっとその前に、これが言いにくいんですよね、万景峰号について。
 このときにはもう皆さん方も、全国に放映されましたから、いろんなところ、場面を見られたと思います。このポートステートコントロールという、PSC、これについてちょっと私も学習したいと思っておりますので、これはどのような組織で、団体で、どのような内容なのか、簡単にちょっと説明いただけますか。
○副大臣(辻元清美君) 概要を御説明いたします。
 このポートステートコントロールは、海洋汚染防止条約、そして海上人命安全条約等の国際条約に基づいて、寄港国当局、日本に入ってくる船でしたら日本が入港中の外国船舶に立ち入り、国際基準に適合しているかどうかというようなことを確認することをポートステートコントロールと申します。
 具体的には、国際条約で要求されている条約証書やマニュアルをきちんと備えているかとか、それから主要な構造、設備に欠陥がないかとか、さらには船員が十分な資格要件や機器の操作能力を有しているかなどについて確認を行い、そして欠陥が発見された場合には必要な改善や出港停止を命ずるというようなことを行います。
○室井邦彦君 この資料を見ていますと、北海道とか、そうですね、北海道には、これは十三名とか、非常に人員が少ないんですよね。こういうことで本当に完璧なそういう仕事といいますか、対応できるのかどうか。九州でも十九名しかおられないですし、いろんなところを見ますと、こういう方々の人員が素人から見ましても非常に少ないような感じがいたしますし、また、これのMOUですか、パリMOUは一〇〇%を目標に頑張っておられるということも耳にいたしました。日本の国は七五から八〇程度ということを目標値に置いているというようなことを聞いておるんですが、その辺の説明、我が国の体制、今後の体制とか、いろいろとPSCの監査官の人数とか、いろいろと人材養成のプログラムとか、いろいろとあると思うんですが、どのようにお考えで、どういう方針を取られていくのか、その部分を簡単にちょっとお聞かせ願えますか。
○副大臣(辻元清美君) 今御指摘のように、北海道は十三名ということでしたけれども、現在は地方運輸局などに、四十三官署に百三十四名配置をしております。
 ちょっと実績なんですけれども、昨年度は検査隻数が三千五百十一隻で処分の隻数が百九十二隻ということになっております。大体、毎年三千五百とか、それぐらいの船に立入りを行っております。
 ただ、御指摘のように、日本は周りを海に囲まれておりますので、しっかりと取り組んでいかなきゃいけないということで、現在では船上訓練とか、あとアジア諸国、各国との連携もやっておりますので、そのような連携について強化をするとか、実施機関への、他国への派遣など、研修や、それから国際的な取組に従った行動が的確にできるように強化してまいりたいと思います。
○室井邦彦君 時間がございませんので、最後になりますが、せっかく大臣の方に質問を三つほど用意していたんですけれども、最後にさせていただきます。
 日ごろの前原大臣の精力的な行動は、私は非常に高く評価をさせていただいております。そこで、国土交通大臣として、この質問理由のところは幾つかあるんですが、私はこの部分で、大臣がもちろん、この世界の状況で、低炭素の、また環境を非常に重要視した経済政策、またそういう考え方で世界中が回っているわけですが、アメリカではやはり一番飛行機とか車よりも鉄道に非常に注目を浴びていると。そういう観点から前原大臣は、新幹線の売り込みとか、世界を相手にして、昔のエコノミックアニマルと、これは非常にいい表現で当初はされたんですよね、いつの間にか通訳の形が変わって、利己的なそういう日本人の営業方法に批判的な考え方が定着してしまったという。当初このエコノミックアニマルというのは、どこの国でしたかね、ちょっと忘れましたけれども、非常に日本のそういう積極的な、あのころは池田勇人さんがトランジスタを売り込みに行ったとか、そういう時代もあったんですよね。まさに今そういう環境において大臣が行動されている。
 そして、ここに、もう御承知のとおり、李明博、この方はもちろん積極的に取り組んで、世界中が注視していたアラブ首長国連邦、UAEの大型工事、原子力の、これが韓国が受注を成功したと。原発四基で四兆円だと。アメリカ、フランス、日本、ロシアに肩を並べてしまったと。この技術は韓国は日本から学んだと。こういう後手後手に回っておるという、非常に寂しい、そういう思いがあるわけであります。ですから、まさにどんどん積極的に、この韓国の大統領は六十八か九でありまして、年齢は前原さんが二十歳若いという、若さは力なりということがありますから、積極的に海外にどんどんトップセールスとして売り込みに行っていただきたい、そう思っております。
 そこで、ちょっと時間がオーバーして申し訳ありませんが、この海洋の我が国造船業界、また国際競争力、確保するために、特にこの環境技術において、国土省として、また大臣としてこれからどういうふうなかじ取りをしていこうとしておられるのか、是非所見をお聞かせいただいて、質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(前原誠司君) 我が国の造船業は長きにわたって世界のトップシェアを誇っておりましたけれども、しかし残念ながら、先ほど室井先生が言及されたように、今や韓国が一位と、そして中国にまで抜かれて今日本は三位ということでございます。韓国は船の買取りなんかをやっていて、これはOECDでも問題になっていると、こういうことでございますけれども、我々としては、国際競争をフェアにやる中で、しかし、これも室井委員が先ほど御指摘をされた環境面での優れた技術を生かした造船というものを売りに、しっかりとまた再びトップに返るように努力していかなくてはいけないと、このように思っております。
 成長戦略会議の中でも、どのようにこれを、造船業を更に強くしていくかということを議論しておりまして、とにかくやはり技術だろうと。環境技術、そしてコスト面での競争力、こういったものをどのようにやっていくのかということについて、施策についてはまた早急に結論を得て、今委員のおっしゃったような他国に勝てるような我が国の造船あるいは他の製品、こういったものをしっかりと売り込んでいくように努力をしてまいりたいと考えております。
○室井邦彦君 終わります。
○佐藤信秋君 自由民主党の佐藤信秋でございます。
 今日は、この海防法、略して海防法と言わせていただこうと思いますが、長い文章ですから、の質疑、基本的には、最初に立場を一言申し上げておきたいんですが、基本的には賛成です。賛成なんですが、CO2対策と一緒で、日本だけが一生懸命律儀にやり過ぎると、国際的な競争、国益というような面から、必ずしも善意で一生懸命走っていたらそれがプラスになるかどうかという点を注意しながら走っていく必要があるんだろうと思います。今、室井先生のお話にもありましたが、国際競争力、そういうことも考えながらその運用をきちっとしていく必要があるんだろう、こう思います。
 そういう観点からいくと、最初に、これは法律ですよね。一回一回法律改正ということで批准しなければいけないのか。かなり技術的な問題もありますから、そういう意味では、もちろん法律の立て方が前から、最初からそういう形にしていますから、今回の改正そのものは法律改正、こういうことでいいんだと思いますが、日本の場合には法律改正、じゃ、ほかの国は国内法的にどういう整備をしているのか。批准という同じ意味であったとしても、その辺も多分きちっと調べながら、その強制力みたいなものをお互いに一定レベルに一緒ですよねというような確認も要るんだろうなというようなことも思っています。これは調べてくださいよと、こう言ってありますが、時間の掛かる話かもしれませんから、国交省じゃなくて外務省も調べなきゃいけないかもしれませんね。ですから、そこは調べるようにというお願いだけしておきます。
 で、法律にする、この意義はどういうことでしょうというのを最初に、一番目に聞きたいんですが、これは副大臣でしょうかね。
○副大臣(辻元清美君) お答えいたします。
 先ほどから申し上げているんですけれども、このMARPOL条約などを国内法上担保するという位置付けです。
 この条約につきましては、非常に国際的にも海洋関係では重要な条約という位置付けになっておりまして、アジア諸国でも、附属書TからYまでございますけれども、近隣諸国もほとんどこれにサインをしているということになっております。
 その中で、特に技術的なことが多いという御指摘なんですが、どうしてもこの海洋汚染にかかわることは技術的な進歩によって改正がなされるとか、それから事故対策等の社会的要因、いろんな事故の形態がございますので、そういう観点からいろんな点で改正がこれからも必要になってくるのではないかと思っております。
 ただ、やっぱり日本は海運国ですし、それから海に囲まれた海洋立国ですので、特にこの海洋汚染の防止に関するような条約を厳格に守っていくということについては、国際的にも率先してこれをリードしていくということが日本の信用力にもつながるのではないかというようにも考えております。
 ということで、今回この条約改正の内容をしっかりと法律に書き込ませていただいて対応させていただきたいということでございます。
○佐藤信秋君 そこで、この前事務的に伺ったときに、ほかの国は、じゃ、どうやって批准しておるのか、担保しておるのかと。ここのところはまだちょっと十分調べ切っておりませんと言うので、私もすぐに調べろとは言いませんが、外国で各国がどういう形の批准というか国内法をどんな形で整備しておるのか。
 多分いろいろレベルがあるんじゃないかと思います。これ、決めているのは、各数値自体はその条約で決まったとおりにやりますと、こう言っていますから、そうだとすると、法律で各国が後書きしてやっておるということなのかどうか。まあ、百か国もあるわけですからいろんな例があるとは思うんですが、日本だけが律儀にやっていますというので損しないようにと、こういう観点から、そういう意味では他国の、特に、以下ちょっと御質問申し上げたいんですが、NOx規制であるとか、そういうような問題について他国の足並みというのを見ながらこの運用をしていかなきゃいかぬだろう。
 これは調査室が調べてくれた資料を参考までにお出しさせていただいています。これは元々の調査室の参考資料にあるわけですけれども、御覧いただくと、アメリカ、カナダはMARPOL条約Wは批准していないと、こういうことなんですね。それから、一番最近のOPRC―HNS議定書、これも批准していませんと。批准しないときにどういうペナルティーがあるの、これは多分ないんですね。だから、どういうことを言っているかというと、例えばNOx規制、現行のNOx規制でも、大型タンカーが入ってきて、いやNOx規制クリアしていないから、あんた駄目よと、次の国内の港に行っちゃ駄目よと言ったって、行っちゃ駄目よで追い返した例は多分ないですよね。
 つまり、ペナルティーという形では、強烈なものは用意はされていないし、そうかといって本当にやろうとしたら、これ非関税障壁じゃないですけど、海運の円滑化というのも大事な大前提だと思いますよね。そうすると、ペナルティーは掛けないけどちゃんとやってね、いや、あんた、やっていないのが来ちまった、駄目よ、これから次ちゃんとねと、こういうようなやり取りに多分なるだろうと。東京に入った、京浜に入ったタンカー、阪神に行きますと、行っちゃ駄目よと、こういうわけに多分いかない。
 だとすると、足並みをそろえるということが大事だし、という部分を、是非この批准の問題、今までの問題も多分あるんだと思いますが、批准の問題と一緒によくよく目を光らせながらやるということを是非、大臣、一言お願いしたいと思います。
○国務大臣(前原誠司君) 今、佐藤委員がおっしゃったように、我が国だけ批准をして他国が批准をしていないことによって我が国の海運事業者のみが不利になるということはあってはいけないというのは委員御指摘のとおりだと私どもも思っております。
 今回、このMARPOL条約の附属書Tは、これ委員からの資料にもございますように、批准国が百五十か国ということで、それらの国の船腹量合計は世界の約九九%になっております。また、平成九年に新しく追加されました附属書Yにつきましては、委員がお配りいただいた資料には、これ今年の一月三十一日現在でございますので五十八になっておりますが、現在は五十九か国が批准をしておりまして、その船腹量合計は世界の約八四%に上っております。したがいまして、このように世界の大部分の船舶にこの条約の規定が適用されることになっておりまして、締約国はその内容を遵守することが義務付けられているということでございます。
 さらには、先ほど室井委員の御質問に辻元副大臣がお答えをいたしましたけれども、MARPOL条約では、締約国政府が管轄する港に非締約国の船舶を含む外国船舶が入国した場合には、外国船舶監督、PSCを行いまして、非締約国の船舶に対しましても条約に規定をされている内容を要求することができるということになっておりまして、必要な場合には航行停止処分も行うことができる旨規定されております。したがって、我が国といたしましても、MARPOL条約の規定を取り入れた海防法に基づいて、外国船舶にPSCを実施しているところでございます。
 こういったことを考えますと、我が国の海運事業者のみが不利になるような状況は生じないものと考えておりますし、またそのための努力を今後もさせていただきたいと考えております。
○佐藤信秋君 生じないものというのは難しいので、運用の問題ですから、同じ批准するといっても、日本でも、大体十万隻ぐらいですかね、年間出入りする外国船舶、十万ぐらいですかね。それで検査できるのがまあ三千とか四千。こういう議論の中で、それぞれどのぐらい遵守義務を履行しているかを確認するか、あるいはさっき申し上げたように、遵守していないけれどどうするんだと、港に入れないよというようなことをどこまでできるかと。運用の問題がありますから、突出して日本だけがと、劣後してもいかぬでしょうし、出過ぎて厳しくし過ぎても、世界標準みたいな運用の問題からよくよく見ながらやっていかないかぬと、こういうことだと思っています。
 その中で、これに関係するのは海運事業者だけではなくて、日本の場合には造船も、それから船主、荷主、たくさんのステークホルダーが関与はしているんですね。これは、条約そのものを決めようとするときまでにいろいろその議論はしましたと、こういうことなんですが、ステークホルダーとの意思疎通というのはこれまでも必要だし、これからも必要だ。たくさんいるんですね。海運事業者だけではない。
 そうだとすると、その辺を、今まできちっとやってきましたよ、これからもやりますということを一言お願い申し上げたいと思うんですが。
○国務大臣(前原誠司君) これは、今、佐藤先生がおっしゃったこと、大変重要なことでございまして、この条約改正の国際対応や法律改正におきましては、海運事業者等のステークホルダーとの意思疎通を図ってまいりました。数年にわたりましてこの条約改正の検討に当たりましては関係業界団体を含む我が国全体の意見を踏まえて対応しておりまして、規制内容は基本的に関係者の意見を十二分に踏まえたものとなっております。
 したがいまして、船舶所有者の船舶運航者に対して大きな負担を求めて我が国海事産業の国際競争力を低下させるような過度な規制にはなっておりませんけれども、新たな規制内容につきましては、業界団体を通じて事業者の皆様方に事前に十分な周知を行い、対応に万全を期してまいりたいと考えております。
 また今後も、今、次官経験者であられる佐藤先生からのお話もございましたけれども、引き続きしっかりとステークホルダー、利害関係者の皆さんと話をしながら、しっかり運用に万全を期していきたいと考えております。
○佐藤信秋君 そこで、多少項目としてちょっと取り上げてみたいなと思ったのがNOx規制なんですね。二〇一一年からの新造船は今までのNOx規制の二〇%カットだ、二〇一六年から八〇%カットになるんですかね。
 ここは、日本だけができる技術であれば一番いいんですが、一番いいんだけど、多分そうもいかぬだろうと。今、内燃機関でいうと韓国のシェアが五〇%ですかね。で、日本が三五、六%ぐらいですかね。それで、これ二〇%規制来年からやりますと。すると、船主が造船業者さんに頼むときに、元々船主がそういう規制の掛かっていない国から出すならば関係ありませんと、こうなるんでしょうけど、これに参加している国から出すというときに、相手先として一番安くてクリアができるようなところの造船会社に頼むだろうと。さっきの韓国一番という、造船そのものがですね、ということを考えると、日本の場合にはそれは十分対応できるのかという問題が出てくるんですね。
 二〇一一年二〇%カット、二〇一六年八〇%カット、これ二〇一六年はまだ目標だと、こういうことのようでありますが、この辺の日本の国内造船技術の見通し、この辺はどうなっていますでしょうかね、副大臣ですか。
○副大臣(辻元清美君) 今、二段階、二〇%と八〇%という数字が出てまいりましたけれども、この二〇%については既存の技術で対応可能ではないかと考えております。これは、今回の条約改正に基づいて、日本だけではなく世界中のエンジンメーカーがやはりこの二〇という数字は気にせざるを得ないといいますか、この基準に合わせて対応したエンジンを生産していくという方向になるかと思っております。ですから、我が国だけが厳しい基準というよりも、世界中のメーカーも二〇はまずきちんと対応しなければいけない数字ではないかと思います。
 八〇%については、二〇からいきなり八〇ですから、これについては三次規制ということになりますけれども、必ずしも現在これに対応できる技術が確立しているとは言えない状況ではないかと思っております。今後、ただまあ環境問題が非常にこれからの大きなテーマになりますので、技術開発を進めていくということで、平成二十四年から二十五年の間にIMOにおいてもこの規制については検討していくというように承知しております。
 ですから、関係機関や関係企業の皆様の御意見も伺いながら、この三次規制の対応については、日本としてもどうしていくか、IMOとも足並みをそろえつつ、しかし関係業界の皆様の御意見も伺いつつ、これから検討してまいるというような状況かと思います。
○佐藤信秋君 意地悪く考えますと、これの条約に加盟していない国から船主として発注して、それで二〇%でも八〇%でも私ら関係おまへんわとやっておいて、後で船籍を移すと、移さなくてもいいかもしれませんけれどもね。それが来たときに、いや、あんた守っていないじゃないかと言ったって、おれは非加盟国なんだと、船籍が。それで帰れとは言えないと、こういう状態があり得るということを私なんかはちょっと気になるわけですよ。そこのところは是非足並みそろえてという問題が一つ。悪知恵を働かせれば出てきますからね、これ。
 それからもう一つは、八〇%カットの方は物すごく難しいと思います。日本の脱硝技術というのは多分世界で一番だと思うんです。
 これは最近は余り問題にしませんが、自動車のトンネルなんかの脱硝、これ随分と技術開発しました。恐らくそれまでの規制の九〇%、いや規制のというか、九〇%カットとか、脱硝そのものが、脱硝装置そのものが、ぐらいの装置はできて使っています。コンパクトにすることが難しい。船に積み込んでコンパクトにすることが難しいんだと思います。
 それから、これはお願いですが、一言でいいんです。八〇%に向けた技術開発という点について、造船会社任せにしていたらなかなかしんどい。先ほど国として技術を売り込むと、こういう話がありましたが、産と学と官とで一緒になって開発すると。今既存技術をコンパクト化するぐらいのところで本当にできるのかどうか私もよく分かりませんが、そこはやっぱり国交あるいは政府を挙げて技術開発を応援するという姿勢が必要なんじゃないかな。
 大体、韓国と日本で、内燃機関の技術開発といいますか、船舶の機関の技術開発、こういう意味でいえば、どうも一けたぐらい違っている、掛けている費用が。だから、政府としてしっかりと、それぞれの造船会社任せにするんじゃなくて、今の技術開発の段階からしっかりとしたタイアップしながら開発を進める、これもまた一つ必要なことじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(前原誠司君) 委員御承知のとおり、ある程度は今も行っておりますが、平成二十一年度が〇・九億円、今年度の予算が〇・八億円で、船舶からの環境負荷低減のための対応策ということで予算は付けてやっておりますけれども、じゃ果たしてそれで十分かと、そしてまた国際競争力の面でもっとバックアップすべきでないかという御指摘は、私は傾聴に値をする御意見だと思っております。更にこの点については今の御指摘も受けて前向きに検討させていただきたいと、このように考えております。
○佐藤信秋君 これは国交予算と、こういう意味ではなくて、政府全体の中で科学技術開発予算、こういう形で取り組む。しかも、それはまあ民間会社だってちゃんと、それは自分たちの技術開発をちゃんとやってもらわなきゃいけません。ただ、個別にやるという問題なのか、コンソーシアムみたいなものをつくってみんなでやる、多分そっちの方がいいかなと思いますが、その辺の工夫を是非お願いしたいと思っています。
 ここで問題になってくるのは、もう一つ、NOxとCO2のトレードオフの関係ですよね。ディーゼル機関、NOxを少なくしていこうとするとCO2が増えるというトレードオフの関係があるように聞いています。CO2の方はまだこれ規制値、明確に決めていないんですね。これから決めようと、こういうことのようですが。
 二〇%カットのときには恐らくCO2の方が若干増えるような傾向で、しかしながらNOxの方は二〇%カット。世界的にはCO2がこれから、今問題になっているわけですが、これからもっとそうなってくると、八〇%カットなんてときにはCO2をどうするんですか、あるいはCO2そのものをまた一方で規制しようとすると随分ときつい、きちきち条件になっていく。その中で日本だけが、いや私頑張りますって、頑張るってだけ言ってみていてもしようがないので、今みたいな国挙げて一緒になって取り組むという。それから、世の中、国際的な動向を見ながら考えていかないと、二〇一六年だよということでひたすら走ろうとしたら待て待てと、こういう事態になりかねないということをあらかじめ是非お願いしておきたいと思うんです。
 問題は、そうするとCO2はどうなるか、こういう議論なんですね。この辺はどうなっているんでしょう。
○副大臣(辻元清美君) この国際海運のCO2の規制に関する国際的な議論は、これはまたIMOを中心に進んでおります。京都議定書でも、この国際海運とそれから航空機、航空機の方がたくさんCO2を出しますけれども、議定書の第二条二項で、この二つについて抑制、削減を追求していくということが規定されました。それに従いまして、今技術的な手法とそれから経済的な手法、要するに技術的な手法は、燃費の規制や船の省エネ運航、これソーラー型の船なんかも今開発されてきていますけれども、様々な技術面、それから経済的な手法として、これ日本力入れているんですけれども、船舶の一層のCO2排出を削減するための燃料油課金制度、結局頑張ったところが得するような、そういう制度を国際的にできないかというように考えております。
 それから、先ほどのトレードオフの関係は、確かに御指摘のとおりなんですね。これ、大気汚染物質を除去するということは、燃費との関係で悪くなりますので、効率が、CO2が出ると。これを両方解決するために、大気汚染物質などはフィルターなどでの除去ができないかということ、それからCO2の方は、船体の形とか様々な、総合的にCO2を除去するという、このセットで両立する方向を追求していくということになるかと思います。
○佐藤信秋君 ということで、今京都議定書の話も出ましたが、本当に批准そのままでできているかというとできていないですわね。コストとの関係もあるんで、これもう理念だけで、これで何とかこっちの方向でって言っていても、具体的に本当にそれが実行可能かどうかと。実行したときに、いやそんなことよりはこっちの方がええって言ってほかの国が走っていたら、結局のところは日本の方が競争力もたなくなっちまう、こういう事態が十分考えられるんで、是非そこ気を付けてくださいと、こういう趣旨であります。
 そういう意味で、今度は運用の問題として、いろんなその手引書みたいなのを備え付けておいてくださいねと、こういう議論もあって、それやり過ぎると、今度はまた、日本に行ったらうるさくてしようがないと。あるいは内航海運でもそうですよね。随分ときちきちやられて、その都度、あんた、来た船、港に戻れみたいな議論を、これは運用の問題ですよね。
 そこの辺は適切な運用というのを十分いつも気を付けていただきたいなというふうに思うんですが、副大臣、いかがでしょう。
○副大臣(辻元清美君) この運用の問題は、先ほどポートステートコントロールのこともございましたけれども、アジアはアジア、各国協力体制を取っておりますので、その運用面においてもきちんと基準を合わせていくと、近隣諸国、特にアジアとですね、ということはとても大事だと思っております。
 今るる御指摘の点は、環境問題を取り扱うときに、大きな意味では経済成長と環境の両立をどうするか、国際競争力と環境の両立をどうするかということで、これ様々な国際会議で一番大きなテーマになる点だと思います。必ず、いろんな条約を作ったり、この温暖化の問題もそうですけれども、そこに入らない人たちが、抜け駆けというか、やっていくんじゃないかということで進まないというようなところがあちこちで見られています。
 ただ一方、やはり環境技術を開発していくということは、これからの新しい国際競争力にもつながるということで、ヨーロッパ諸国なんかでは、かなりきつい環境基準を設けたことでその環境関係の産業が世界をリードしていくような国際競争力を持つという事例もありますので、やはりその辺をきちんと見極めながら、特に日本は、造船国家でした、戦後造船が引っ張ってきています。ですから、この海事、海洋という分野で新しい環境を加味した国際競争力を持てるように、これは国交省だけではなく経産省や政府、政権を挙げてやはり取り組んでいく一つの大きなテーマだと考えております。
○佐藤信秋君 是非しっかりとお願いしたいと思うんですが、揺れ過ぎずにですね、右行き過ぎたり左行き過ぎたりすると実際の運用はなかなか厳しい、これはたくさんそういう例がありますので、是非中庸をきちっと行っていただくと、こういうことでお願いしたいと思います。
 それをやっていく上では、検査体制あるいは事前の周知徹底、広報活動、こういうのが大事なことになると思いますので、特に検査官、たしか運輸局で、出先でも百四十人ぐらいですかね、ですから、そういう体制の強化というのも図りながらどこまでそうした運用ができるか、やれるか、やるか、こういうことを是非しっかりとお願いしたいと思います。右行き過ぎず左行き過ぎずですね。
 時間がなくなりました。最後に、大臣、高速道路の無料化の話でいろいろ御議論があるようですね、私も新聞でしか見ておりませんが。高速道路を無料化すると、原則無料化するとおっしゃった。これはそのままおやりになるのか、原則無料化をおやりになるのか。それをやる場合にはどんなふうなロードマップというんでしょうかね、をお考えになっておられるのか。今回いろいろ御提案が、閣議の決定まではなさったようですが、そうしたことと無料化という、原則無料化という方向との関係、この辺はまた別途に法案で出てきたときにしっかりした御議論を多分皆さんがしたいと思っているんですが、その基本の部分として原則無料化、この方向できちっとやっていくんだということなのか。そして、今回用意されておられる法律の方が、それとの関係はどんなふうに理解をするということなのか、すればいいのか。あらかじめの話ではありますが、どうせそういうことがきちっと後またここで議論ということになろうかと思いますので、あらかじめ一言だけお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(前原誠司君) 我々は、高速道路の原則無料化、そして段階的に社会実験を行っていくということで、今回は六月から高速道路の約二〇%に当たります一千六百二十六キロメートルで無料化の実験を来年の三月末までやらせていただくと。そして、今国会に提案をさせていただいております利便増進事業、これは前政権でつくられたものでございますけれども、これについて少しスキームを変えて、しかし割引を行うということで上限制というものを設けさせていただいて、国会のお許しがいただければ、法案が通ればそれも来年の三月まで試行、試し行うということでやらせていただきたいと、このように考えております。
 この段階的とか原則とか社会実験とかいうことは、他の交通機関とかあるいは環境影響とかどういう状況になるのかということを、やはり社会実験をやってからでないと、急に決めて、そしてやったらいろんな問題が起きたということではいけないだろうということでございまして、そういう意味では多方面、他の公共交通機関への目配り、環境あるいは渋滞、こういったものがどのように生まれるのか生まれないのかということを着実な社会実験、試行の中で確認をさせていただきながら原則高速道路の無料化というものを、最終形を決めていきたいと、このように考えております。
○佐藤信秋君 時間ですのでこれで終わりますが、その場合に一番大事なことになるのは財源どうするか、こういう議論です。ここはまた別途議論したいと思うんですが、財源問題逃げては駄目だと思いますので、よろしくお願いします。
○草川昭三君 公明党の草川であります。
 まず、海防法の三十九条、四十一条で措置をされている油流出に対する汚染防止措置に不十分な点がありますので、二、三問題点をお伺いしたいと思います。
   〔委員長退席、理事吉田博美君着席〕
 まず第一に、船舶が油流出事故を起こした場合の汚染防止措置は、まず排出をした油を積んでいるところの船舶の所有者が行うことになっています。同時に、海上保安庁長官は、船舶同士の衝突により油漏れが起きた場合、油漏れを起こしていない方の船舶にも汚染防止措置をとるように命令できることになっています。さらに、場合によっては海上保安庁長官が自ら汚染防止措置をとるのではないかと思いますが、この見解は間違っているのかないか、お答え願いたいと思います。
○大臣政務官(三日月大造君) 草川先生にお答え申し上げます。
 今おっしゃったように、海洋汚染防止法では、油の排出があった場合に必要となる防除措置について、原則として原因者の責任により行うということを三十九条で定めております。二隻の船舶が衝突をし、一方の船舶から油が排出した場合は、排出した船舶及び衝突した相手船舶等の排出の原因となった船舶の船長に対して防除のための応急措置の義務を課すとともに、今委員御指摘のように、これらの船舶の所有者にこれに続く防除のための必要な措置を講じることを義務付けております。
 さらに、これらの防除措置義務者が必要な措置を行わない場合には、海上保安庁長官が措置を講じるべきことを命じることができるということにもしておりまして、更に加えて、初動のとき、また大規模流出事故が発生した場合には、海上保安庁においても関係行政機関や海上災害防止センターと連携して必要な防除措置等を実施するという形で定めさせていただいております。
○草川昭三君 そこで、今答弁がございました海上保安庁長官が行った汚染防止措置に掛かった費用の負担についてお伺いをしたいと思うんです。
 この費用は、油を排出をした船舶の所有者が負担をすることに限定されておるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○大臣政務官(三日月大造君) 今おっしゃったとおり、海上保安庁が油を回収した場合の防除費用につきましては、一定の要件の下に原因者である油を排出した船舶の所有者に負担させることができるという形の条文を四十一条に定めております。そういう意味では、委員のとおり相違ございません。
   〔理事吉田博美君退席、委員長着席〕
○草川昭三君 したがって、油漏れを起こしていない方の船舶に事故原因があったとしても、海上保安庁長官からの費用の請求はできないということになります。例えば、停泊中の船舶が一方的に追突をされまして油漏れが起きた場合でも、追突をした船舶に対して海上保安庁長官は自ら負担をした費用の請求を行えないということになりますが、それでいいんですか。
○大臣政務官(三日月大造君) 整理をさせていただければ、まず、海上保安庁が油を回収した場合の防除費用については、一定の要件の下に原因者である油を排出した船舶の所有者に負担させることができるということにしておりまして、そういうふうにした理由は、これらの油を排出してしまった船、原因はどうであれ、排出してしまった船、船舶というものについては、またその所有者というものについては、これらの方々が海洋汚染に対する危険性を与えつつ営利活動を営んでおられるものということでありまして、私法上の費用負担義務のいかんにかかわらず、公法上、公の法律上の費用負担義務者としては、油を排出した船舶及びその所有者に対して費用負担義務者と定めることが最も妥当であるというふうにしております。
 ただし、その上で、この法律の四十一条になるんですけれども、油を排出した船舶の所有者に、衝突の相手船舶の所有者等の油の排出について責任ある者に対する費用負担の求償権、要は、その衝突した船の船舶の所有者等の油の排出について責任ある者に対する求償権を認めておりまして、これにより原因者間の負担の公平を図らせていただいております。
○草川昭三君 今負担の公平を図っておるという答弁ですけれども、ここでちょっと大臣にお伺いしますが、追突をして油漏れの原因をつくった船舶は海上保安庁からのいわゆる費用の請求書が届かないということになっているんですね、今のお話も。そこで、そういうことならば、事故の原因や自分の過失が確定をしない段階で海面のクリーニングなどの作業を行うと、結果的には余分な費用を掛けてしまうおそれがあり、損をするかもしれないという考え方が当然出てくるわけでございまして、汚染防止措置をとらない、まあサボるということが結果として出てきておるんではないだろうか。
 海防法三十九条で規定をした油漏れの原因となった行為をした者、例えば衝突して相手船を破損をさせて油漏れの原因をつくった船舶に対して海上保安庁長官の汚染防止措置命令をしても、命令の履行を担保する措置がないのは私は甚だ問題だと思うんですが、その点いかがでしょうか。油による環境破壊を一日も早く解消するために努力をすべき段階で事故の当事者が何もしないで済んでしまうということでは、本来の海防法の趣旨に反することになると私は考えます。
 これは一つの例ですけれども、衝突をされ油漏れを起こした船舶の代理人が相手船、相手の船側に連絡をしても電話すら取らないというのが今の現状になっているんです。油防除義務のある者の義務が履行されるよう、何らかの措置をとるべきと考えますが、大臣の見解はどうでしょう。
○国務大臣(前原誠司君) 草川委員にお答えいたします。
 海洋汚染防止法では、油を排出した船舶の所有者だけでなく、衝突した相手船舶等の排出の原因となる行為をした者側にも油防除措置の義務を課しておりまして、海上保安庁は当該義務が適切に履行されるよう、これらの者に対して指導を行ってきているところでございます。また、当該指導に従わないなど防除措置義務者が防除措置を講じていないと認める場合におきましては、海上保安庁長官が海洋汚染防止法に基づき必要な措置を講ずるよう命令できることとなっております。
 海洋汚染の防止のためには、衝突した相手船舶をも含む油排出の原因者が法に定められた防除義務を着実に実施していくことが極めて重要であると考えておりますので、今後ともこうした指導や法に基づく命令を適切に運用していきたいと考えております。
○草川昭三君 是非、現場の実情ということをよく把握をしておいていただいて、まあ私はそういう立場に立って質問をしておるんですけれども、海上保安庁の指導をお願いを申し上げたいと思うんです。
 平成九年の七月二日、アラブ首長国連邦から京浜川崎シーバースに向かっていた原油タンカー、ダイヤモンドグレース号が東京湾内の浅瀬に接触をし、船底に亀裂が入り、原油が流出する事故がありました。幸い、この事故では流出をした油の量が当初の予想よりもはるかに少なかったために大きな被害は生じませんでした。しかし、今後、万一、東京湾で大量の油流出事故が起きれば、東京湾全体が封鎖状態となり、多くの船舶がくぎ付けにされ、東京湾横断道路の通行止めや、千葉、東京、神奈川の沿岸部の施設なども汚染の損害を被ることも考えられます。
 東京湾においてタンカー等の大型船が座礁若しくは衝突事故を起こし大量の油が流出した場合に備え、あらかじめの対策を準備しておくことが大切だと思うんですが、どういう対処をしておみえになるのか、お答えを願いたいと思います。
○大臣政務官(三日月大造君) 今委員がおっしゃったように、そうした大規模な油の流出事故がまず起こらないようにするという対策が大切だと思いますので、そういったふくそう海域等々を航行する油を積んだ船舶の安全対策、これは海上交通センターも含めてしっかりと航行管理をするといったことが大切だと思いますし、万が一そうした大規模な油流出事故が発生した場合には、原因者が必要な防除措置を速やかに講じることができるように指導するとともに、海上保安庁としても、国や地方の関係行政機関ですとか海上災害防止センターなどと連携して必要な防除措置が実施できるようにするという体制を取らせていただいております。
 具体的に申し上げれば、まず早く油の回収を実施するということが必要なものですから、油防除資機材を、オイルフェンスですとか油処理剤ですとか、そういったものを全国に配備するとともに、そういったものの使い方も含めて平素から訓練を実施しながら油流出事故への対応能力を高める、また関係機関と連携がいつでも図れるようにするといった体制を構築させていただいております。
○草川昭三君 海防法四十条のことでお伺いをしたいと思うんですが、平成十八年の法改正で、海防法四十条による、海上保安庁長官は、船舶の沈没や乗揚げで環境に著しい障害を及ぼした場合に当該船舶の撤去を命令することになりました。
 四十条に基づく撤去命令はこれまでに何件発生していますか、お答え願いたいと思います。
○大臣政務官(三日月大造君) 今委員が御指摘のとおり、第四十条を平成十八年の海防法の改正時に改正を行いまして、船舶の沈没若しくは乗揚げに起因して海洋が汚染された場合に、海洋汚染防止のための必要な措置を講ずべきことを命ずることができるということを定めさせていただいているんですけれども、これまでに、その改正以降一件の撤去命令を発出しております。平成十九年四月に発生いたしましたジェーン号、これは宮城、福島県境付近の陸岸で起こった事故に対して撤去命令を発出しております。
○草川昭三君 今答弁がありました十九年の四月のジェーン号の事故でございますが、これはその後の経過を見てみますと、保険金を超えたために弁護士への報酬は支払われていませんし、漁業補償も全然行われていません。事故の事実関係についてどのように把握をしているのか、お答え願いたいと思います。
○大臣政務官(三日月大造君) 今ございましたジェーン号の事故は、これは平成十九年四月の十七日に水深五メートルの宮城、福島県境沖にジェーン号が乗揚げをし、立ち往生してしまったということでして、海洋汚染防止法第四十条に基づいて、平成十九年五月の七日、この船主に対して船体の撤去命令を発出いたしました。その後、PI保険、保険会社の方で、これはプロテクション・アンド・インデミニティー、要は保護と補償、賠償を行う船主責任保険の方でこの油及び貨物の抜取り又は船外撤去に関しまして、そういったサルベージ会社等々との契約を締結しながら、五月二十一日、作業の開始を行っております。
 かなりの時間、期間を要しておるんですが、順次撤去が行われ、最新の情報では、平成二十二年、ですから今年の二月の時点でこの船体がほぼ撤去が済み、要はもう水面上のものはすべて撤去できて水面下に残るのみという形まで撤去が進んでおるという状態でして、今年の三月二十五日、関係自治体ですとか漁業協同組合が参加する形で関係者連絡調整会議というものを開催いたしまして、海洋環境の保全に著しい障害を及ぼす状況にないといったことまで一応確認できる状況まで至っております。
○草川昭三君 要するに、船体をスクラップで売却をするところまでようやく来たというわけですけれども、先ほど触れましたように、保険金額が大変オーバーをしたものですから対処できないという現状を私は強く訴えたいと思うんです。
 そこで、法務省に今日はお見えになっておられると思うのでお伺いしたいんですが、船主責任制限法、船舶の所有者等の責任の制限に関する法律があるわけです。我が国は千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約を改正する千九百九十六年の議定書を承認しています。海運業には古くから船主の損害賠償責任を制限する制度が認められており、各国の制限を統一することを目指すのがこの条約であったと思います。
 この議定書の基になった一九七六年の条約の中に、沈没したり乗り上げた場合の船舶の引揚げや除去並びに流出をした油の除去作業などの債権を制限することができるということが定められていますが、日本はこの部分については条約の規定に基づいて留保しております。損害賠償責任を制限しないという立場を取っています。これは私は支持をすることでございますけれども、条約に伴う国内法として船主責任制限法をそのことによって制定をしておりますけれども、ここでも難破船の処理費用、油漏れの清掃費用は制限債権から除外をしています。
 そこで、伺いますが、一般船舶から流出をした燃料油による汚染が生じた場合において、船舶所有者等が支出をした油処理剤の散布や油の抜取り等による費用は、船主責任制限法では責任制限の対象とされないということになると思うんですが、それでいいのか悪いのか、お答えを願いたいと思います。
○政府参考人(團藤丈士君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の点は委員御指摘のとおりでございます。すなわち、船主責任制限法第三条第一項第五号は、船舶所有者等が、損害防止措置に関する債権について、同法の定めるところにより、その責任を制限することができると定めてはおりますが、その一方で、当該船舶所有者等との契約に基づく報酬及び費用に関する債権につきましては、同項第五号の制限債権から除外をいたしております。
 したがいまして、損害防止措置に関する債権のうち、実際に損害防止措置を講じた業者等が契約に基づいて船舶所有者等に対して有する報酬や費用に関する債権につきましては、責任制限の対象とすることはできないということになってございます。
○草川昭三君 今、明確な答弁があったわけですが、それがこれから非常に問題になってくることだと思うんです。
 そこで、これは、私、質問ではありませんけれども、私が申し上げる現状を大臣としてどのように把握をしておみえになるのかということをお伺いしたいと思うんです。
 一つ目は、今法務省から答弁があったように、従来、我が国は、一般船舶が油漏れを起こし、海面に油が広がり、海底に重油が沈殿した場合、責任制限を掛けずに当該船舶側に油の清掃をやらせてきました。時間がたって汚染範囲が広がれば広がるほど費用がかさみますから、船舶側も一生懸命海面や海底のクリーニングをやってきたわけです。オイルフェンスを設置したり、これは費用がかなり掛かるわけですが、ひしゃくですくったり、マットに染み込ませたりをして油を除去する、その後陸上に運んで産業廃棄物として処理をしてきたわけですが、おびただしい数のマットを処分するには莫大な費用が掛かっています。事故の規模にもよりますけれども、十億、二十億という単位になっておるのではないかと聞いておりますが。
 ところが、この平成十六年に油濁法、船舶油濁損害賠償補償法が改正されまして、それまでタンカーだけを対象にしていたこの法律に、油濁法に一般船舶という四文字が加わりまして、一般船舶から流出をした燃料油によって損害を生じた場合にも損害賠償責任の範囲を制限することができるというように変わったわけです。すると、油漏れを起こした船舶側が打って変わって責任限度額の範囲内でやればいいという不誠実な考え方が目立ってきておりまして、従来に比べ海面や海底のクリーニングを一生懸命やらなくなってきておるんではないだろうかと聞くわけです。
 ちなみに、油濁法の改正は平成十六年行いましたが、その翌年の平成十七年に法務省の船主責任制限法の改正がありましたが、一般船舶から流出をした燃料油による汚染は責任制限の対象にしないという従来の立場を変えませんでした。これをどう思うかということですね。
 二つ目は、船舶が油流出事故を起こした場合、いわゆるPI保険でてん補されることになりますが、油濁法第三十九条の五の三項によれば、船骸、船の抜け殻ですね、船骸撤去が生じた場合のPI保険の金額は物損のみの場合の船主責任制限額になっています。また、油濁事故が発生した場合の損害については、人損を含む場合の船主責任制限額になっています。しかし、大量の油が流出した場合には、当然この程度の金額では収まり付かないことになります。
 私は、そもそも海面、海上の油による汚染や海底に沈んだ重油などといった環境損害については責任制限ができないのではないかと私は考えておるんですが、この際、大臣は私の今のこの意見についてどのように思われるのか、お答え願いたいと思います。
○国務大臣(前原誠司君) まず一点目でございますけれども、平成十六年の船舶油濁損害賠償補償法の改正では、一般船舶から油流出について無過失責任を課して保険の加入を義務化したところでありますけれども、船舶所有者等の責任制限については船主責任制限法によることとしておりまして、従前とは変わる内容になっておりません。いずれにしても、油を流出させた船舶所有者等に適切に対応していただきたいと考えております。
 二つ目のことでございますが、これは先生おっしゃるとおりでございまして、例えば平成二十年の三月に明石沖で発生した明石海峡船舶衝突事故、沈没事故におきましては、流出燃料油におきまして船主責任制限額を大きく上回る漁業被害が発生をしたとされております。船主責任制限額が約二億円に対しまして被害額は約五十億円と、こういうことでございます。
 このため、一般船舶の船舶燃料油被害への対応策について検討会を設置をいたしまして、今その対応策について検討しているところでございます。平成二十一年秋以降、これまで二回開催をしているわけでございます。この検討に当たりましては、船舶は世界の海域を対象に活動しておりまして、その活動に伴う補償については国際的な枠組みが基礎となることから、主要国における対応等国際動向にも配慮をしつつ、責任制限を超える事故の発生状況、それから補償費用をだれが負担すべきか、補償の具体的仕組みをどのように構築するかなどの課題について今検討を行っているところでございまして、この検討結果を踏まえ適切に委員が御指摘いただいたような問題点に対処していきたいと、このように考えております。
○草川昭三君 是非、その検討会が深みのある議論として成果のあるように期待をしたいと思います。
 最後になりますけれども、平成十六年の油濁法改正により、外国船舶の我が国への入港条件としてPI保険加入を義務付けたことは、私は大変いいことではなかったかと思います。ところが、脱法行為とも言うべき手法がまかり通っている例がありますので、問題提起をしたいと思います。
 便宜国であるモンゴルやカンボジアなどの船籍の船は実際はロシア船や中国船である場合が多いのですけれども、このような船の中にはPI保険会社として余り実績のない保険組合と契約をし、日本の領海内に船がいるときだけ保険が発動するという誠に奇妙な保険契約を締結し、入港をしている場合があります。さらに、油濁損害等、船骸、船の残った亡きがらですが、船骸撤去費用だけを補てん、てん補している例が見受けられます。このような変則的なPI保険でも我が国への入港が認められるということはいささか問題があると私は思います。
 現に平成十七年に北海道で、このような変則的な保険条件の下で加入をしてきたロシア船が日本の漁船と衝突をし、日本の漁船員が死亡するという事故がありました。日本側はほとんど損害賠償金を回収することができなかったと聞いています。
 このような事態を防止するためにも、PI保険の加入の義務付けをするということがあるならば、死亡事故なども補てん対象とするように、あるべきPI保険に加入をさせることが必要だ、義務付けをすることが筋であると思いますが、いかがですか。この点を質問をして、私の質問を終わりたいと思います。
○大臣政務官(三日月大造君) ありがとうございます。今日、草川委員から非常に重要な点の御指摘をいただいたと思います。
 まず、そういう油濁をもたらすような事故を起こさないための措置を万全に講じること、さらには、それが起こった場合に拡大が、広がらないようにするために、被害を最小限に食い止めるための早急でかつ適切な対応が取れるように海上保安庁を中心にしっかりと整えること、さらには、そうしたことによってもたらされる被害に対して保険も含めてきちんとした制度を構築をすることによって、そういう保険も含めてきちんとした措置が講じられている船舶のみ航行していただけるようなそういう環境を整えていくこと、さらには、先ほど佐藤委員から御指摘のあった、過度にそのことの規制を強化するが余り競争力をそぐことがないようにということも片や一方で見ておくこと、それらのことを是非、先ほど大臣から答弁のありました昨年設置いたしました検討会で、今どういう実態にあり、今後どのような対策を講じていくことが必要なのか、適切なのかといったことも含めてしっかりと検討してまいりたいというふうに思いますので、今後また更に深めてまいりたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
○草川昭三君 終わります。
○渕上貞雄君 社会民主党の渕上貞雄でございます。
 救命艇に積み込む海水脱塩装置についてお尋ねをいたします。
 この問題については、一九九七年、国際運輸労連がIMOに対して手動式救命造水器の救命艇への強制搭載を提案をしております。全日本海員組合も、乗務員の命の問題であるとして強制搭載の運動や労使交渉で搭載拡大のために取り組んでおりまして、一定の成果を得ているところであります。
 社民党も、当時、土井たか子党首が社会主義インターの会合において搭載の積極化を求めております。
 衆議院運輸委員会で秋葉忠利議員の質問に対して藤井運輸大臣、SOLAS条約改正を日本が積極的に推進、努力する旨を答弁をしております。
 九八年には、日本はSOLAS条約の改正提案をIMO事務に提出をしておりますし、これらの問題についても、国際運輸労連も日本の条約改正提案に賛成する趣旨の文書を提案をしております。九九年三月の参議院交通・情報通信委員会における私の質問に対して、当時、海事局長は、条約改正に最大限努力すると答弁をしているところであります。
 そこで、日本政府の条約改正の提案の内容と、IMOにおける審議検討の結果について教えていただきたいと思います。
○大臣政務官(三日月大造君) 渕上先生、ありがとうございます。
 今御質問のとおり、海上人命安全条約という条約に、遭難されたり漂流されたりした場合でも貴重な人命が失われることがないように、一つ、救命艇等には三日分の飲料水を搭載することが必要なんですけれども、そのうち二日分を船主の判断により海水脱塩装置で代替することができること、すなわち海水を真水に変える装置を搭載することによって、三日分ではなくて、二日分はその装置で代替することができますよということを定めていると同時に、救命艇には雨水収集装置、雨を収集する装置を備え付けることが必要なんですけれども、追加でこれも海水脱塩装置の搭載をしてもよいことという形で定められております。
 それを、平成十年十二月に、先生方の御指摘もあり、第七十回海上安全委員会に対して我が国から、救命艇等に海水脱塩装置を搭載することを義務付けるべきではないかという条約改正の提案をいたしました。各国に対して、漂流した場合でも水が飲めるように海水脱塩装置の搭載の必要性を説明をいたしましたが、かつ各国に対して条約改正の支持の要請をいたしたところなんですけれども、実はこういった海水脱塩装置があれば人命が助かったと見込まれる事例が世界的に極めて少なかったこと、さらに遭難したときに自動的に信号を発信することによって、そういった装置を搭載することを義務付けすることによって、これは海上遭難安全システムというものなんですけれども、その稼働によって長期間の漂流に至らないような措置ができるようになり、そういった理由から海水脱塩装置の搭載の義務付けは合意されておりません、現時点において。
 代わりに、いろんな粗悪な装置を排除しなければならないといったことまでは合意することになり、海水脱塩装置の性能基準というものについては、平成十四年五月の第七十五回の海上安全委員会において作成するにまで現時点においては至っております。
○渕上貞雄君 条約の改正が進んでいないということは分かりましたけれども、やはり我が国が条約改正の提案を行ったわけでありますから、その理由は、今答弁いただいたようなことで行ったわけで、今後の条約の改定の見通しについてはどのようになっておるのか、お伺いいたします。
○大臣政務官(三日月大造君) いずれにいたしましても、長期間漂流をされたり遭難したりするような事態が起こらないこと、かつ起こったとしても貴重な人命が失われないという形の措置なり装置が万全であることといったことが必要だと考えておりまして、仮に救命艇等で長期間漂流するという不幸な事態が発生したとしても、海水脱塩装置が飲料水の確保に対して有効であるという、こういうことについては、私たち、その有効性については現時点でも変わっていないと、国としての立場は持たせていただいております。
 しかしながら、それを義務付けるということよりも、海上遭難安全システム、GMDSSといったものの実施に伴って、救命艇等で長期間漂流するような事態が発生する蓋然性が増加しているとは言い難い、言い切れないというのが現状ですので、国際海事機関、IMOでも更に議論をし続けていくということで取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○渕上貞雄君 今も答弁ありましたように、その必要性については変わっていないと思うんでありますので、引き続き条約改正について努力をすべきではないかと思います。今言われたような装置をつくれば万全だというふうに言われましたけれども、必ずしもその装置万全では私はないのではないかと。遭難が起きるような海というのは荒れているわけでありますから、荒れているときにその装置が十分に作動するかどうか、そしてまたキャッチするかどうかというようなことも考えますと、やはり引き続きこの海水脱塩装置の搭載について努力すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○大臣政務官(三日月大造君) 繰り返しになって恐縮なんですけれども、まず第一に、救命艇等であれ救命ボートであれ、長期間漂流するような事態に陥ることを極力少なくすること、そのための対策を国際海事機関で合意に基づきしっかりと行っていくことが重要だというふうに考えておりまして、現在では船舶が遭難した際に自動的に信号を発信する等の装置の搭載を含む、先ほど申し上げました海上遭難安全システム、GMDSS、このシステムがあり、さらにそのシステムを、先生もおっしゃったようにまだ不十分なところも多いものですから、改善するための検討が開始される予定ですので、この検討の中で私たちも長期間漂流をするという不幸な事態が少なくなるような対策ができるような議論にしっかりと参画をしてまいりたいというふうに考えております。
○渕上貞雄君 SOLAS条約では、救命いかだとか救命艇については飲料水を積み込むということが義務化されており、それから雨水を集めるための装置を備えるということについても決められております。一方で、海水から真水をつくる、しかも手動式で簡単に作業ができる、それほど重さもないというものについては任意事項とされているわけでございます。
 漂流の問題については、先ほども答弁がございましたけれども、やはり命をいかにして大事にしていくかということを考えますと、旧運輸省監修の「生き抜くために」、水について特に重要であるとして、くどいようですが、水だけで四十日は生きられます、海水や尿は決して飲んではいけません、雨水は最大限利用しましょう、それから漂流後二十四時間は水を飲む必要はありません、救命用の水がある場合は三分の一は最後まで保管をしましょう、集めた雨水はせいぜい二日ほどしか飲めませんと記述をされておるわけでございまして、手動式救命造水器が求められているわけでございます。
 先ほどいろいろ、船舶の設備にかかわって救命艇に積み込む一人当たりの水の量なども変化をしておるところでございますけれども、国土交通省としては、判断があれば手動式の救命造水器の救命艇、救命いかだへの強制搭載はできると考えるところでありますので、その点では、生命を大事にするという観点から考えても、その必要性から義務付けを真剣にやはり考えていくべきではないかと考えるんですが、その点はいかがでございましょうか。
○大臣政務官(三日月大造君) 私もるる答弁を申し上げたように、技術の進歩で海上遭難安全システムが導入されたことによって、長期間漂流するような事態が発生する可能性というのは以前よりも少なくなってきていると承知をしています。ただ、委員が御指摘のように、貴重な船員を、我が国にとって貴重な船員を不幸な事態によって失うということがないように、万が一長期間漂流するような事態に陥ったとしても、雨水を飲む若しくは海水を真水に変えて飲む装置によってしっかりと人命を守ることができる、そういう取組が必要だということについては認識をしっかりと共有したいというふうに思います。
 したがって、IMOの議論の動向もしっかりと見ながら、かつ、これ義務付けということになりますと費用も発生してくることになるものですから、関係者の意見もしっかりと伺いながら真剣に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○渕上貞雄君 この問題は、先ほども申し上げましたが、命と安全の問題でありますので、万が一の命の綱である手動式救命造水器の義務化についてはやはり考えるべきではないかと思うんですが、要望しておきますよ、十分に御検討いただきたい。その上で、当時、通達を出して取り付けるように指示をしているんですが、その実態については余り十分把握をされておらないようでありますから、そういうことなども含めて、どうかひとつ政務三役の間で十分御検討いただきたいと要望しておきたいと思います。それはもう要望ですから、結構でございます。
 それから、海事にかかわる環境施策についてお伺いをいたしますが、地球温暖化が国際的に問題となる中、船舶から排出されるCO2についてやNOx、SOx等の削減強化が検討されているところですが、船舶からの排出ガス規制実施については多くの技術的課題も残されておりますが、逆に日本の先進技術を改めて注目をされているところであり、またチャンスでもあるわけですから、技術開発の現状と対応の見込みについてお尋ねをいたします。
○大臣政務官(三日月大造君) 渕上先生、ありがとうございます。是非、先ほどの海水脱塩装置についてもどういう対策が取り得るのかということについて、長年この問題に取り組んでいただいている先生の御意見を踏まえてしっかりと対応を検討してまいりたいというふうに思います。
 その上で、船舶からのCO2の抑制、削減対策に対して、やはり世界有数の造船国である我が国の造船業の技術力を生かすべきではないかという御主張はまさにそのとおりでありまして、先ほど前原大臣そして辻元副大臣からも答弁させていただいたとおり、特に喫緊の課題であります国際海運の分野でCO2の排出量の大幅削減を推進するために、我が国の造船業の技術力を原動力として、かつそれを我が国海事産業の国際競争力の一層の向上をそのことによって図ることができるという観点から、海洋環境イニシアチブというものをつくりまして、民間事業者が行う革新的な船舶の省エネルギー技術の開発に対して、これは補助率三分の一なんですけれども、補助をさせていただいております。
 例えば、摩擦抵抗を少なくする船体ですとか、プロペラの開発ですとか、そういった、よりCO2の排出を少なくする、そういった航行ができる船舶の開発に対して国としても支援をさせていただいておりますが、さらに、このイニシアチブの効果がどうなのかということも検証しながら、そして、これまで支援してきたことの成果がこれから得られるという段階に入ってまいりますので、その動向も見ながら、更に我が国の力を高めるべく努力をさせていただきたいというふうに思います。
○渕上貞雄君 今も報告がございましたように、海外を行き来するコンテナ船やタンカー、それから客船の外航航路が排出する二酸化炭素、CO2は世界の排出量の二・七%に当たり、ドイツの一国分に当たるとも言われておるわけでございます。そこで、今後我が国もIMOに対しCO2削減に活用するための仕組みをやはり提案をしていくべきではないかというふうに考えるわけです。
 したがいまして、我が国の提案内容と今後の見通しを明らかにしていただきたいし、同時に、時間もございませんので、大臣に対して、海事にかかわる環境施策について、とりわけIMOに対して日本が積極的に提案をし実現の方向へ向かうことを評価をするわけでございますが、引き続き環境面でのリーダーシップを発揮を求めたいと思いますが、同時に前の質問と、最後は大臣に決意をお伺いをして私の質問を終わります。
○大臣政務官(三日月大造君) 前段の国際海運におけるCO2の抑制、削減対策に対する取組なんですけれども、御案内のとおり、京都議定書において、国際海運から排出される二酸化炭素については国際海事機関、IMOにおいてその排出削減対策を検討することと規定をされておりまして、現在そのIMOにおいては、技術的手法と経済的手法の両面から検討がされております。
 技術的手法は、先ほども申し上げましたように、新造船の、新しい造船の燃費規制ですとか省エネ運航の在り方等を定めることとしておりますし、経済的手法では、努力をした人がより高い効果が得られるという視点も加えた燃料油課金制度、そういうものを議論、今されておりまして、それに向けた条約案ですとか燃料油課金制度の具体案を我が国はIMOに対して提案をさせていただいておりますので、引き続きその主導的立場で検討に参画をしてまいりたいと思いますし、早ければ来年七月に開催されます第六十二回海洋環境保護委員会、これはMEPC62での採択の可能性が新造船の燃費規制に関する条約案に対してある可能性もありますので、こういったスケジュールを視野に入れながら更に加速をさせてまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(前原誠司君) 渕上委員にお答えいたします。
 委員も御承知のとおり、国ごとを縦とすると船の世界でのNOx排出対策あるいはCO2の対策というのは横になるわけでございまして、IMOが中心になってこれをやっていかなくてはいけませんし、この規制については今までも日本は積極的に参画をしておりますし、これからも積極的に議論を主導していきたいと考えております。それが日本のいわゆる海運業界あるいは海事産業の競争力強化につながると、こういった観点で今後もしっかりと委員御指摘のとおり努力をさせていただきたいと考えております。
○渕上貞雄君 終わります。
○委員長(椎名一保君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(椎名一保君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(椎名一保君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十四分散会

海難残骸物除去条約、2015年4月14日に発効日 (2007年に採択された海難残骸物除去条約は、条約締約国の領海外における海難残骸物を迅速かつ効果的に除去するために、統一された国際規則を定めることを目的としています。・・・結論をいえば、2015年4月14日に発効する海難残骸物除去条約は、国際的な海難物の除去に関して法的確定性と透明性を高めるとともに、法の調和を実現するための道しるべとなると考えられます。ただ、同条約の批准国または締約国の多くが領海にも拡大適用すれば、この効果はさらに増すのではないでしょうか。)(GARD)
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その他の参考資料

多発する外国船海難海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約 小塚壮一郎 (公益財団法人日本海法会)
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わが国が未批准の国際条約一覧 (2009年1月現在) (国立国会図書館―National Diet Library)
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海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約の発効について 2014年11月11日 (日本船主責任相互保険組合)

海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約の発効について

2007年の海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約(船骸撤去条約)は、2014年4月14日に10カ国の批准により発効要件が満たされ、2015年4月14日に発効することになりました。

本条約は、海難事故により影響を受ける締約国のための、厳格責任、補償/強制保険制度を定めています。本条約の下で登録船主は、締約国の条約適用水域に危険が生じると考えられる海難残骸物につき、位置決定、標示及び除去する責任を負います。条約上で使用されている重要な用語の定義は、本回報の後半の説明をご覧ください。

条約の適用範囲

第3条第2項で、締約国はその領海を条約の適用範囲に含めることができる旨規定しています。現在、三カ国(ブルガリア、デンマーク、英国)が適用範囲を領海まで拡大しています。これ以外の締約国の適用範囲は、排他的経済水域(EEZ)のみとなります。国際P&Iグループ(IG)は2014年4月に国際海事機関(IMO)の法律委員会に、条約の適用範囲を拡大しなければ領海内で発生した海難残骸物について条約上認められる直接請求権を行使できないことを締約国に再認識するよう文書を提出しました。

強制保険

締約国に登録されている又は締約国の港に入港・出港する300G/T以上の船舶の登録船主は、条約の要件を満たす保険を付保し、締約国からその保険が有効であることを証明する証書を取得し、その証書を常に本船に備え置くことが義務付けられています。

本条約は、船主の厳格責任と保険手配義務という点で原油タンカーを対象とするCLC条約や1,000G/T以上の船舶を対象とするバンカー条約と同様のものです。

条約証書上の責任

IG加盟全クラブ理事会による決定に基づき、組合員が締約国から証書を取得するための条約に基づくブルーカードを各クラブが発行することが同意されました。

IG加盟クラブは通常P&I戦争リスクの基本カバーを船主に提供しませんが、発行された条約証書の下で負う全ての責任は除外リスクを含め証書上の責任限度額までIGプール協定に基づき全クラブで分担することで合意しました。保険契約上の抗弁及びてん補除外規定は、条約証書に基づく責任には適用されませんが、それ以外の責任に対しては通常通り適用されます。条約に基づく責任を担保するための強制保険の限度額は、76 LLMC(1976年の海事債権についての責任の制限に関する条約)を改正する1996年の議定書(96 LLMC)に従って計算される金額となります。また、戦争行為(テロ行為は含まない)により負う責任及び専ら第三者の故意にのみ起因する損害については免責になる旨規定されています。

P&Iクラブは以下の条件によりブルーカードを発行します。
条約証書上クラブによる支払が戦争危険に関するものであった場合、組合員が付保しているP&I戦争危険カバーの下でてん補される金額、あるいは組合員が標準的な戦争危険カバーを付保していればてん補されたであろう金額を限度に、組合員はクラブに対して弁済することとし、組合員が当該P&I戦争危険カバー上有する全ての権利及び第三者に対する求償権をクラブに譲渡することについて同意することとします。そして、ブルーカードの発行依頼を以って、組合員が上記の条件に同意したものと見做します。

したがいまして、組合員は、P&I責任につき別途カバー限度額を設けた戦争危険カバー(標準的な条件)を手配していただくことが必要です。

締約国の発行する証書

証書発行につき、締約国にかなりの負担がかかることが予想されます。
締約国籍船は、その旗国から証書を取得する必要があり、その証書は他の締約国の港やターミナルに寄港する場合も保険の有効な証拠として受け入れられます。
非締約国の登録船舶が締約国を航行する場合は、締約国から証書を取得しなければなりません。IG事務局は、多くの締約国の行政当局に自国籍船以外に対しても証書を発行するかどうか確認中で、その結果は追ってお知らせします。

ブルーカード (P&Iクラブが発行する証明書)

ブルーカードの発行については発行準備が整い次第ご案内します。

IG加盟 クラブでは電子書式(PDF)でブルーカードを発行することが主流となっていることは、多くの締約国に周知されています。電子書式でのブルーカードは、組合員から証書を発行する締約国の関係当局へ電子メールにより提出することが可能になっています。
IMOは締約国に対しサーキュラー(No.3464)を発行して、IG加盟クラブが発行したブルーカードの有効性が各クラブのウェブサイトで確認できればそれを受け入れるよう奨励しています。

 

 

締約国一覧(20141110日現在)

 

国名

寄託日

発効日

ブルガリア *

201228

2015414

コンゴ共和国

2014519

2015414

デンマーク *

2014414

2015414

ドイツ

2013620

2015414

インド

2011323

2015414

イラン

2011419

2015414

マレーシア

20131128

2015414

モロッコ

2013613

2015414

ナイジェリア

2009723

2015414

パラオ

2011929

2015414

英国 *

20121130

2015414

*)適用範囲を領海まで拡大する国

本回報で使用される用語の条約上の定義

「登録船主」とは、船舶の所有者として登録されている者を言い、登録がない場合には海難時において船舶を所有している者をいう。ただし、国が所有する船舶であって、その国においてその船舶の運航者として登録されている会社が運航するものについては、登録船主はその会社をいう。

「船舶」とは、あらゆる種類の海上航行船舶をいい、水中翼船、エアクッション船、潜水船、浮遊舟艇及び浮いているプラットフォーム(海底鉱物資源の調査、開発、または生産のために設置されているものを除く。)を含む。

「海難残骸物」とは、海難から生じた次のものをいう。
(a)沈没又は座礁した船舶
(b)沈没又は座礁した船舶の一部(当該船舶上にあり又はあった物を含む。)
(c)海上で船舶から失われた物及び、座礁し、沈没し又は海上を漂流している物
(d)沈没若しくは座礁しようとしている船舶又は沈没若しくは座礁することが合理的に予想される船舶であって、危険な状態にある船舶又は財産の救助のための効果的な措置がとられなくなっているもの

「危険」とは、次のものをいう。
(a)航行に対する危険又は障害を引き起こす状態又はおそれ 
(b)海洋環境に対する重大かつ有害な結果又は一若しくは複数の国の沿岸域若しくは関係する利益に対する損害を生ずることが合理的に予想される状態又はおそれ

「条約の適用水域」とは、国際法に従って設定された締約国の排他的経済水域(EEZ)をいい、締約国がEEZを設定していない場合には、国際法に従ってその国が決定する領海に接続した水域であって、領海の幅を測定するための基線から200海里を超えないものをいう。

なお、領海は通常沿岸の基線から12海里までとし、EEZは領海の海側の端から始まり領海の基線から200海里まで(領海を含まない)とする。

国際P&Iグループの全てのクラブが同様の内容の回報を発行しています。

海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約の発効について 平成19年5月22日
<問い合わせ先> 海事局総務課  海事保安・事故保障対策室 (内線43263) TEL 03-5253-8111(代表)(国土交通省)

本件会議が、5月14日〜18日、ケニヤ(ナイロビ)において64ヶ国が参加して開催され、会議最終日(18日)に「海難残骸物の除去に関する国際条約」が採択された。

我が国からは、国土交通省海事局総務課海事保安・事故保障対策室織田課長補佐その他5名が会議に出席した。

採択された条約の概要は以下のとおり。 (1)目的  航行又は海洋環境に危険を生じる海難残骸物の迅速かつ効果的な除去及びそれに関連する費用の補償の支払いを確実にすること。 (2)内容

締約国が条約の適用水域(※1)にある海難残骸物(※2)を航行上又は海洋環境上危険と決定したときは、船舶所有者は海難残骸物を除去しなければならない。
 ※1 条約の適用水域とは、締約国の排他的経済水域及び領域(締約国が条約を領域に適用する決定をした場合に限る。)をいう。
 ※2 海難残骸物とは、海難により生じた船骸及び船舶から流出した物をいう。

船舶所有者が海難残骸物を除去しないときは、締約国は海難残骸物を除去することができる。

船舶所有者は、海難残骸物除去費用等を負担する。

締約国は、総トン数300トン以上の自国籍船及び自国に入港する船舶の船舶所有者に対して海難残骸物除去費用等を担保する保険を義務付ける。

海難残骸物除去費用等の請求者は、船舶所有者のみならず、保険会社に直接費用の請求をすることができる。

(3)発効要件
 10カ国が批准した日の12ヶ月後に発効。


海難残骸物除去条約(Wreck Removal Convention)について (日本船主責任相互保険組合)

2007年5月18日、ナイロビ、ケニアで開催された国際海事機関(IMO)主催の外交会議において、2007年の海難残骸物の除去に関するナイロビ国際条約(海難残骸物除去条約−Wreck RemovalConvention)が採択されました。

その背景として、全世界で約1,300隻もの船舶が放置され、その数は増加傾向にあるとの報告もあり、これが沿岸国及び海運業界にとって深刻な問題となっていることがあげられます。

本条約は、こうした船舶の航行または海洋環境に危険を及ぼす海難残骸物を迅速かつ効果的に除去し、それに関連する費用負担を確実なものとするための国際的な法的枠組みを提供することを目的としています。

具体的には、海難残骸物を除去する義務を登録船主に課し、その義務が自発的に履行されない場合の締約国による代執行を認め、その費用負担を担保するための強制保険制度が導入されています。本条約の概要と関連条文は、以下のとおりです。



1.船主の義務−海難残骸物の除去
締約国が、条約の適用水域※1にある海難残骸物※2について、船舶の航行または海洋環境に危険を及ぼすと決定※3したときは、登録船主(船舶所有者)は海難残骸物を除去しなければならない※4。

※1 適用水域(第1条第1項)
締約国の排他的経済水域(EEZ)をいう。EEZを設定していない場合は、領海を超えてそれに接続する沿岸から200海里の区域をいう。即ち、領海は含まない。
ただし、締約国の任意により、領海内まで条約の適用範囲を拡大することが認められている(第3条第2項)。

※2 海難残骸物(第1条第4項)
船舶の衝突、座礁若しくは航行上の事故または船舶やその積荷に対し重大な損害を与え、若しくは与える切迫したおそれがあるものを「海難」といい、その海難による沈船または座礁した船舶またはその一部、並びに船舶から流出した物が「海難残骸物」である。

※3 危険の決定(第6条)
海難残骸物が航行上または海洋環境上危険を及ぼしているか決定する場合に、締約国が考慮すべき要素が定められている。具体的には、海難残骸物の種類、大きさ、構造、水深、潮流、交通量、積荷の性質等である。

※4 海難残骸物の除去を容易にする手段(第9条第2項)
「船舶所有者は、危険を及ぼしていると決定された海難残骸物を除去しなければならない」と規定されている。

2.船主の責任−海難残骸物の除去費用の負担(第10条)
船舶所有者は、海難残骸物の位置決定(第7条)、標示(第8条)、除去(第9条)の費用について厳格責任を負う。ただし、戦争行為、不可抗力的な性質を有する自然現象、損害をもたらすことを意図した第三者の行為、航行援助施設の維持に関する当局の過失によって生じた海難については免責される。また、責任制限に関しては、「船舶所有者は、適用のある国際または国内制度に基づき責任を制限できる権利に影響を与えるものではない」と規定されている。

3.締約国による措置・権限
本条約では、海難残骸物発生の報告の受領、危険の決定(上記※3ご参照)、除去の命令、及び実行(含、位置決定、表示)等の権限は、締約国である「影響を受ける国(沿岸国)※5」に帰属している。 すなわち、船長及び運航者※6は、遅滞なく沿岸国に「危険の決定」に必要な海難残骸物の正確な位置、種類・大きさ・構造、損害の状況・状態等を報告するよう求められる(第5条)。沿岸国が「危険の決定」を下したときは、船舶所有者が海難残骸物を除去しなければならない期限を設定したうえで、その旨船舶所有者へ通知しなければならない。船舶所有者がこの義務を履行しなかった場合は、沿岸国が船舶所有者の費用で除去することが認められている(第9条)。

※5 影響を受ける国(第1条第10項)
海難残骸物が自国の条約の適用水域に存在している国(即ち、沿岸国を意味する)をいう。

※6 船舶の運航者(第1条第9項)
船舶所有者及び船舶所有者から船舶運航の責任を引き受けた船舶管理者及び裸用船者等をいう。

4.強制保険と保険者への直接請求(第12条)
締約国は、300総トン以上の自国籍船及び自国に入港する船舶の船舶所有者に対して、1976年海事債権条約(その改正条約、即ち1996年議定書を含む)の制限額を限度として、上記2.の責任をカバーする保険への加入を義務付けている。締約国は、保険者が発行する金銭保証を裏付けとして、保険が効力を有していることを証する証書を交付し、本船に対して当該証書を備え置くよう求めている。また、本条約に基づく損害賠償請求は、船舶所有者のみならず、上記の保険者に対して直接行うことが認められている。

5.発効要件(第18条)
10カ国が批准した日の12ヵ月後に発効する。

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