ISMコード (ISM Code)

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UNDER-PERFORMING SHIPS (1年間に3回以上出港停止を受けた船舶) TOKYO MOUのHP

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横浜地方海難審判理事所:ケミカルタンカー秀宝丸乗組員死傷事件 07/12/07(海難審判庁のホームページより)
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フィリピンでの船舶による油流出事故 ソーラー1(Solar 1)フィリピンで沈没! パナマ船籍の「マリナ アイリス」が沈没!
カンボジア籍船の海難 カンボジア船籍船 AN FENG 8 カンボジア船籍船 MING GUANG(ミンクァン)
★中国から違法船続々! 問題船は週末や夜に入港する ★無国籍船&幽霊船情報
第2回パリMOU・東京MOU合同閣僚級会議の結果について (国土交通省のHPより)
(岩崎忠夫大臣政務官が代表として参加し、サブスタンダード船の排除に向けた我が国の決意を表明)

ISMコードを簡単に説明すれば、最近、聞かれるようになった ISO の海運版だ。IMO(国際海事機関)がISO9002をベースに船舶の安全運航の確保と海洋環境のの保護 を目的としてISMコードが出来上がりました。英語では、 International Safety Management Code (ISM code)と呼ばれ、日本語では、国際安全管理コードと呼ばれます。

一般的に、安全管理システム(安全管理マニュアル)は、下記の項目を満足するように なっています。

  • 安全及び環境保護の方針の確立
  • 会社の責任及び権限の明確化
  • 船舶の責任及び権限の明確化
  • 船舶及び設備の保守手順の確立
  • 船舶における緊急事態への対応
  • 不具合の報告及び是正措置手順の確立
  • 船舶運航に関する文書管理手順の確立
  • 内部監査を含むシステムの検証、見直し及び評価手順の確立

サブスタンダード船 の撲滅のためにISMコードが適用されている。 サブスタンダード船 は、事故を起こしやすい要素を多く含んでいる。 ISMコードの適用は、安全運航を行っている海運会社にとって負担は少なく、 サブ・スタンダードの海運会社の大きな負担になり、サブ・スタンダード船が 運航できなくなると考えられたと思います。

実際、ISMコードの適用により、適用以前に比べ環境は改善されたと思います。 しかし、思われたほどの効果は上がっていないような気がする。なぜなら、 ISMコードで要求されるDOC及びSMCの審査が甘く、不適切な状態でも証書が 発行されているケースがある。証書さえ所持していれば、 PSC(ポートステートコントロール) に指摘されない限り、不備があっても是正する必要もない。 検査会社によっては、マニュアルをコピーして、少し修正をしてDOCが取得出来て、 適切な審査なしにSMCも取得できる。まともに苦労している会社が、ばかを見る 状態。

海難事故の中にはISMコードの要求 項目を満たしていれば、防げたと思われる事故も少なくない。DOC及びSMCを持っている事は 最低限度の条約要求項目である。しかし、ISMコードの要求項目を満足していなければ ならないが、甘い審査で発給されることも実際にあるので、 PSC(ポートステートコントロール) が指摘しない限り野放し状態なのが現状である。

東京・伊豆大島沖で2013年9月、丸仲海運が所有する貨物船「第18栄福丸」が中国企業所有の貨物船「JIA HUI」と衝突し、栄福丸の乗組員六人が死亡した事故は当直責任者の中国籍の夏紅波被告がSTCW条約に関して問題があり、COLREG条約を無視した行動が原因だ。また、SOLAS条約のISMコードの要求を守っていない事により当直責任者の夏紅波被告のライセンスの問題が見過ごされた。「サブ・スタンダード船」であるが故に起こった事故だ。

総トン数500トン以上の国際航海に従事する船舶には、ISMコードが適用される。 安全マニュアルを守っていれば、多くの不備は PSC(ポートステートコントロール) により指摘されない。多くの不備が指摘される船舶は、ISMの 不備もあることになる。例えば、定期的に救命装具や船体をチェックする ようになっている。本当にチェックしていれば、 PSC(ポートステートコントロール) が指摘する前に問題は見つけられ、重大であればSMCで船舶を管理している会社に 報告される。このような場合、ポートステートコントロールに どのような処置をすることになっているか、交換部品がどこの港で手配されているか 説明できるはずである。一般的に船長は安全管理システム(会社のマニュアル)が船員に適切に理解され、実行されていることを確認し、実行させる責任がある。 重大な不備が船員に認識されずに存在し、外部に指摘される事実は、ISMの不備になる。

多くの問題を放置している船舶に対してDOCやSMCを発行している検査会社の審査は、 審査に問題があるか、適切な審査を行っていないはずだ。実際、問題のある船舶に 対してDOCをSMCを発行している検査会社を調べれば、同じ名前の検査会社に行き着く だろう。サブ・スタンダード船だけでなく、サブ・スタンダード船の問題には、旗国、 運航者、管理者、検査会社が深く関わっている。ISMコードの適用により、ポートステート コントロールが サブ・スタンダード船 の出港停止や改善命令を出すことが容易になったと思う。 このような問題のある船が入港できなくなることにより効果を上げることができる。 しかし、 PSC(ポートステートコントロール) の経験、能力又は意思次第であることに、問題が残されている。

指摘された不備を改善せずに入港してくること自体、 ISMの不備である。船舶の安全運航の 確保と海洋環境のの保護を無視したことになる。しかし、日本に多くの サブ・スタンダード船 が入港している事実、また、日本から出港している事実を考えると、検査が甘いように 感じる。

2023年の3月にフィリピン中部の東ミンドロ州沖でフィリピンの内航タンカー「プリンセス・エンプレス」号(MT Princess Empress)が転覆して沈没してで油流出被害が発生した。フィリピン政府から日本政府への支援要請で国際緊急援助隊・専門家チームが派遣された。 このタンカー船の沈没及び油流出被害の背景には、不適切な検査、書類の偽造、検査を行ったフィリピン沿岸警備隊職員に関する汚職、賄賂や癒着が疑われた。「プリンセス・エンプレス」号(MT Princess Empress)は2022年に建造された新造船となっていたが、実際には、船齢50年のLPG船を改造したリビルト船である事が判明した。検査を行った民間の検査会社Orient Ship Registry はMaritime Industry Authority (MARINA):日本では海運局のような組織から承認を取り消されたそうだ。そしてOrient Ship Registry は英国認定機関(UKAS)からISO9001の認定を受けているようだ。日本でもISOと呼ばれる言葉はある程度浸透していると思うので、知っている人も多いと思うが、基本からでたらめの不正が行われていたと言う事になる。マニュアル、チェックリスト、や記録はISOの認定及び継続のためだけで、全てを無視したような活動が行われたいた可能性までもが発覚した形だ。
Maritime Industry Authority (MARINA)から発行されたとされる書類は偽造で、2年前に退職し、既に死亡している職員の名前が使われていた事が判明している。 本当に底なしのような結果が調査途中でで判明している。
いくら規則やシステムが存在しても、それが適切に運用され、それが定期的に確認されなければ本来の目的は達成されていない可能性が露呈した認識しなければならない重大な事故だと思う。下記の事故には同じ事が言えると思う。ISMコードの外部監査を合格し、内部監査も行われていても、下記のような事故は起きると言う事である。

「橋の高さ確認せず」船長ら書類送検 山口 周防大島 11/02/18(NHK)によると「海上保安庁によりますと、船長は事故の約1週間前の先月16日に交代し、目的地の広島県の呉港に向かうのは初めてで、『前の船長と航海士が橋の高さを確認していたと思い、自分では確認しなかった』と話しているということです。」

マルタ船籍の貨物船、「ERNA OLDENDORFF(エルナ・オルデンドルフ)」(総トン数2万5431㌧)は大きな船である。
総トン数が500トン以上の船舶には当然ISMコードが適用される。船員は会社のマニュアルを理解する事が要求され、新しく船に乗る船員には基本的な教育や指示が直ぐに開かれる。また、会社のマニュアルに従い、引継ぎが行われる。
それぞれの階級の船員が会社のマニュアルに記載されている個々の責任と所掌を理解し実行していることが、内部監査及び「船級」と呼ばれる検査会社による外部監査で確認される事になっている。基本的にはこの2種類の監査によって問題があるのか、 実際に会社のマニュアル通りに各船員が責任と所掌を理解して現場で実行されていることがチェックされる。ここで問題が発見された場合、 原因と改善策を作成し、問題や不備が是正されたことが再度確認される仕組みになっている。
ISMコードの要求を満足し、内部監査及び外部監査で問題や不備が指摘されなければ今回のような 衝突は絶対に起きないのである。しかも船舶代理店の支援や情報もあるので、問題が存在していたが見逃されたのか、意図的に見逃していたのか、見逃してもらっていた以外理解できないほど起こりえない事故である。
インドネシア国籍のヨハニス・ベンジャミン船長(44歳)はこれまでどのような会社で働いていたのであろうか?レベルとしては サブスタンダード船の船長達が言うような言い訳だ。
ドイツでは多くのドイツ人船長が既に引退してドイツ人の船長は少ない。監督もドイツ人よりも他の国籍の人が多くなっている。船員のパフォーマンス や評価が経験者が少なくなり、投げ任せになっていてこのような事故が起きたのだろうか?
既に世界中の多くの海運会社が外国籍船員や外国籍の監督を使っている。ただ、投げ負けにしないでチェックしないと問題を把握しているのかと 疑問に思う事がある。日本も日本人船員が減少し続け、経験又は知識がない人達が増えているケースも見られる。管理会社に船の運航を投げ任したり、 チェックできる人材がいなくなれば、運が悪ければ似たような事故は起こると思う。
「事故を起こした貨物船「エルナ・オルデンドルフ」(マルタ船籍)を所有・運航するオルデンドルフ・キャリアーズは、ドイツ最大のバルク(バラ積み貨物)運搬会社で、約4000万㌧の運搬能力を持つ約500もの船舶を運航しており、特に鉄鋼貨物では世界最大規模の運搬量を誇っている。」 (大島大橋に巨大貨物船が衝突 船舶関係者らを唖然とさせた前代未聞の事故 10/24/18(長周新聞))
大きい海運会社の所有で運航されている船舶でもこのようなとんでもない事故を起こすのである。PSC(外国船舶監督官)はもっとISMコードを勉強して踏み込んだ検査を行うべきであろう。

「事故当時、ジィア・フイを操船していた当直責任者の中国人男性(37)は、中国近海を航行する免許しか持っておらず、中国の運航会社との連絡や物品購入を担当する「実習生」として乗り組んでいたことも明らかにした。」

運輸安全委員会は下記を事実として信じるのか?

外国で操船することはできない船員資格しか所持していない船員が乗っている外国籍船は存在する。 韓国のPSCは2007年1月5日にパナマ籍船舶「RUI YANG」号を船員の免状 「Captain, chief engineer, 2nd officer & 1st engineer's licence not applicable for world wide trade. (valid only chinese greater coastal, coastal & near coastal vayage)」 に問題があるとの理由で出港停止命令を出した 件では士官の船員は全て「見習い」ではなかったと言う事か?

運輸安全委員会が衝突事故前に寄港した港の代理店から船員リストをチェックしたのか?船員リストには 船員のランクが記載されている。Deck Cadetと記載されたいたのか?また、本当に「実習生」で当直に関与しないのであればMinimum safe manning certificate(最少安全人員証書)の要求 を満足するだけの船員が乗船していたのか?
運輸安全委広報室の高橋守室長は上記等を確認した上で調査報告書を公表したのだろうか? 運輸安全委員会が不適切な調査報告書を公表する事はないか?個人的には疑問であるが!

衝突後に船首引き抜き、転覆加速 「時間的余裕あれば脱出も」 伊豆大島沖6人死亡の貨物船事故 運輸安全委(1/2) (2/2) 11/13/15(産経新聞)

 運輸安全委員会は26日、平成25年9月に東京・伊豆大島沖で貨物船「第18栄福丸」の乗組員6人全員が死亡した衝突事故についての調査報告書を公表した。衝突した西アフリカ・シエラレオネ船籍の貨物船「ジィア・フイ」が、中国人船長の指示で第18栄福丸の船体に刺さった船首を引き抜いたために転覆が早まった可能性が高いことを明らかにした上で、「転覆までに時間的余裕があれば、乗組員は脱出できた可能性があった」と指摘した。

 報告書によると、事故は25年9月27日未明、伊豆大島西方沖で発生。南西方向に進んでいたジィア・フイは、栄福丸とほぼ正面で向き合った後、海上衝突予防法の規定とは逆の左に向けてかじを切り衝突。一方、栄福丸は同法の規定通り右にかじを切ってわずかに方向転換して航行していた。

 衝突で船首が栄福丸の左舷中央部に刺さったジィア・フイは、危険を感じた中国人船長の指示で後進し、離脱。船体に開いた穴(幅約3・5メートル、高さ約5・5メートル)から浸水した栄福丸は約3分40秒後に転覆したとみられ、船長の大川信悟さん=当時(62)=ら6人が死亡した。

 安全委は、ジィア・フイが離脱せずに船首を押しつけた状態を保っていれば栄福丸の急激な浸水を防ぎ、約10分経過後でも「姿勢が大きく変化したとは考えられない」と指摘した上で、「転覆するまでに時間的余裕があれば、(栄福丸の)乗組員は船外に脱出できた可能性がある」とした。

 また、事故当時、ジィア・フイを操船していた当直責任者の中国人男性(37)は、中国近海を航行する免許しか持っておらず、中国の運航会社との連絡や物品購入を担当する「実習生」として乗り組んでいたことも明らかにした。

 静岡地裁沼津支部は昨年3月、業務上過失致死罪などで、当直責任者の中国人男性に禁錮3年を言い渡し、その後確定した。

Safety mismanagement tops Australian ship detentions 04/26/19(IHS Markit Safety at Sea)

Zoe Reynolds, correspondent


Once again, for the eighth year running, poor implementation of the International Safety Management (ISM) Code dominates ship detentions in Australia.

Since 2010, most ships detained in Australia have failed to apply the ISM Code, according to the nation’s 2018 recently released Port State Control (PSC) Report.

The Australian Maritime Safety Authority Authority (AMSA) recalled one case, where the vessel involved, the Thorco Luna, was banned from entering Australian ports. “The master and crew were not familiar with essential shipboard procedures relating to the safety of the ship over three separate inspections” AMSA commented.

Lack of knowledge and training in fire safety, emergency systems and life-saving appliances were next on the list, with breaches to the Maritime Labour Convention (MLC) following close behind.

In 2018, AMSA received 177 complaints regarding crew conditions, mostly to do with wages, contracts, hours of work, food and catering, repatriation and bullying. Yet, records show a growing confidence in seafarers seeking help, making 75 complaints in 2018, almost double the 44 of the previous year.

The seafarers trade union, the International Transport Workers’ Federation, however, made up the majority of the complaints, totalling 39 on behalf of the crew, with welfare groups coming a close second on 31.

While the number of alleged MLC breaches confirmed in port has decreased significantly compared to 2017 (from 918 to 674), the number of detainable offenses has risen only slightly from 20 to 23 over the year.

In 2018, AMSA banned three repeat offenders from Australia’s shores. Two of these bans involved significant breaches of the MLC. These were the Liberian flagged MSC Kia Ora, which underpaid its crew; the previously mentioned Philippines flagged Thorco Luna, for significant ISM and Safety of Life at Sea Convention breaches, and the Hong Kong flagged Shandon Hai Wan could not berth in Australia for 12 months after deliberately underpaying their crew by AUD56,000 (USD39,000).

Overall, the Flag states with the highest detention rates were Panama, Liberia, Hong Kong, Marshall Islands, and Singapore.

While AMSA reported a slight increase in the detention rate of vessels to 5.5%, ship deficiencies, on the other hand, remain at record lows having steadily decreased over the last decade.

“It is also a strong indication that AMSA’s PSC regime is exerting a positive influence on the quality of ships arriving in Australia,” the report concluded.

シンガポールでは30海里以内の航海に従事している500GT以上のタンカーには、ISMコードが適用される。 (NKのホームページより)

保安庁職員 及び PSC(外国船舶監督官) のISMに対する知識、理解、そして経験を増やすためにシンガポールのように 30海里以上の航海に従事している500GT以上のタンカーには、ISMコードが適用すればよい。 船の安全航海にもつながるだろう。ケミカルタンカー秀宝丸乗組員死傷事件の記事を 読むと、ISMに対する知識及び理解そして、実行が重要であることがよく分かる。 日本の重大海難として日本籍ケミカル タンカーの事故が国土交通省のHPで掲載されている のを見つけた。やはり原因の中にISMマニュアルに従わずに運航や作業が行われていたと書いてあった。 ISMに問題(不備)があっても大事故が起きなければ放置されているのが現状だと思う。

横浜地方海難審判理事所:ケミカルタンカー秀宝丸乗組員死傷事件 07/12/07(海難審判庁のホームページより)

ケミカルタンカー秀宝丸の情報(SHIPPHOTO船の写真のホームページより)

海難審判:ケミカルタンカー3人中毒死で第1回 横浜 05/25/07(毎日新聞)

 東京都大田区の羽田空港沖で06年5月、ケミカルタンカー「秀宝丸」(263トン)の工藤修一船長(当時53歳)ら乗組員3人が ベンゼン中毒死した事故の第1回海難審判が12日、横浜地方海難審判庁(上田英夫審判長)であった。▽刑事裁判の被告人にあたる受審人で 同船乗組員の工藤宏治1等航海士(47)▽指定海難関係人(船舶免許を持たない事故関係者)で船を借り入れていた秀洋汽船(松井正之代表取締役) ▽同関係人で秀洋汽船から運航を委託されていた 鶴見サンマリン の久保田隆運航管理者(60)--はいずれも申し立て事実を大筋で認めた。

 申立書によると、工藤船長ら3人は06年5月22日午前10時50分ごろ、羽田空港沖を航行中、高濃度のベンゼン蒸気が残る船内のタンク内に入り、 急性ベンゼン中毒で死亡した。横浜地方海難審判理事所は申立書で「工藤1等航海士らはガス検知など十分な安全対策を取らなかった」と指摘していた。【堀智行】

ケミカルタンカー秀宝丸乗組員死傷事件の情報を見てもわかるように、 ISO:国際標準化機構の認定を受けていたリンナイや「不二家」 の不祥事と同様に ISMの認定を受けている鶴見サンマリン も事故を防げなかった。ISMやISOの取得は事故や不祥事を防ぐことに繋がらない。 適切にISMや ISO の要求事項が実行されていれば事故や不祥事が防げるだけであって、 ISMや ISO 取得の事実は事故を防げないことを認識しなければならない。 ISMの認定を行う国土交通省を含め、審査機関はしっかりと審査しなければならない。

県沖・貨物船座礁:撤去に28日以上必要 サルベージ会社見通し /宮城 05/25/07(毎日新聞)

「便宜置籍船等の安全対策の再点検の要請について(お知らせ)」 が国土交通省のHPで掲載されている

主要な外航海運事業者に対して要請しているが、基本的に大手海運会社は中小や零細海運会社と 比べると問題ないと思われる。外航船の運航に要求されるSMCやDOCを取得していても、 どこの組織から国際条約で要求される証書を発給されているかによって安全運航レベルに大きな 違いがある。たとえ、 IACS(国際船級連合) のメンバーである船級から発給されていても、必ずしも最低レベルを満足しているとは限らない。 これは、国土交通省職員であるPSCに報告を求めれば入手できる情報である。もし、 十分な情報が得られないのであれば、PSCの資格や経験が不足している可能性もある。

ISMで要求される項目を満足すれば事故を防げるわけではないが、それさえも満足できない 状態で船が運航されていれば、事故のリスクが高いと判断出来る。飲酒運転しても、無免許運転 しても、必ずしも事故を起すわけでもないし、警察の検問で即座に見つかるわけでない。問題を 指摘されるリスクがあるだけである。 カンボジア籍船 モンゴル籍船 が毎回、海難やその他の問題を引き起こすわけでない。確率が高いだけである。 国土交通省職員であるPSCにISMの要求項目について PSCの検査中 に注意してチェックするように指示を出せば、過去に問題が見過ごされてきたことに気付くだろう。 船の船員、運航会社、荷主もばかではない。どのこのPSCが厳しいのか。 ISMの不備で出港停止命令を出すのか、知った上で対応している。 やはり、アメリカやヨーロッパを中心に運航される船舶よりもアジアを中心に運航されている船舶の方が、 ISMや ISPS の要求項目に問題がある確率が多い。国土交通省職員であるPSCも これについては気付いているだろう。気付いていないのであれば、やはり、ISMに ついて教育が必要だ。形式的に、今回の「便宜置籍船等の安全対策の再点検の要請」を していなのであれば、このような点も理解した上で対応や調査を行ってほしい。

ISMを取得するにはどのようなプロセスが要求されるのか、簡単に説明します。 日本海事協会の資料を参考にしてください。日本海事協会は、日本で唯一の船級です。

ISM 審査の案内

ここで書かれている項目は、多少の違いはあってもISMで要求されるDOC及びSMCを発行するために 他の船級や認めれた検査会社もどうようのプロセスを取るようになっています。

しかし、 旗国の代行としてDOC及びSMCを発行する権限を持っているだけで、適切な審査を 行わない、問題があってもDOC及びSMCを発行する組織が存在するのです。 不適切な審査を行う組織の多くは、 IACS(国際船級連合) に加盟していない場合が多いのです。

RESOLUTION A.789(19) SPECIFICATIONS ON THE SURVEY AND CERTIFICATION FUNCTIONS OF RECOGNIZED ORGANIZATIONS ACTING ON BEHALF OF THE ADMINISTRATION (IMO)に旗国の代わりに国際条約で要求される証書を発給する検査会社(RO)の最低限の要求が記載されている。問題は検査会社が要求を守っていなくても処分されない。

このような問題から発生する船舶の管理問題及び安全運航をPSCが指摘しなければ、問題は 改善されず、不公正な競争を許し、事故の発生の増加の結果となるのです。現在、アメリカ ヨーロッパ、オーストラリアや香港のPSCを除いては、ISMに関して厳しい検査を行っていない ようです。

このように、 サブ・スタンダード船 に対する規則だけでなく、サブスタンダードな船舶管理を行っている会社が問題船を 運航できないような規則が国際航海に従事する船舶に要求されています。 それを武器として、自国の安全だけでなく不公平や競争を防ぐ力をPSCは持っているのです。 日本は、アジアのリーダー的なPSCとして活躍してほしいものです。

ISM(国際安全管理規則)コードにより船舶安全管理認定書(SMC)の取得を要求される国際総トン数1000トン以上 の船であるが日本トン数499トン未満で適用されない船舶A
(現在はISM(国際安全管理規則)コードの改正で2010年1月1日から船舶安全管理認定書(SMC)の取得が要求される。)

ISM(国際安全管理規則)コードによる船舶安全管理認定書(SMC)を取得している船舶D

ISM(国際安全管理規則)コードによる船舶安全管理認定書(SMC)を取得している船舶J

ISMコードが機能していない。検査会社がRESOLUTION A.789(19) SPECIFICATIONS ON THE SURVEY AND CERTIFICATION FUNCTIONS OF RECOGNIZED ORGANIZATIONS ACTING ON BEHALF OF THE ADMINISTRATION (IMO)を守っていない。PSC(外国船舶監督官)が適切に検査して不備を指摘しない。 このような場合、下記のような船舶がSMCを所持してアジアを自由に運航できます。

サンプル 1 2009年の冬に撮影。

サンプル 2 2010年の夏に撮影。

第11回(1月13日)海事技術専門官の業務紹介 中国運輸局島根運輸支局 海事技術専門官 (国立米子工業高等専門学校) で何を言っても現実とは違う。メンテナンスができていない機関室として紹介された写真以上にひどい船はたくさんある。 ISMコードで要求される船舶安全管理認定書(SMC)を取得している船舶であれば、 メンテナンスが出来ていない船はISMコードの不備として指摘できる。 しかし指摘されているケースは知る限り少ない。つまり、現場と講演での説明は違うことがわかる。 講演で素人に「メンテナンスができていない機関室」として紹介している以上、不備である認識はあると言う事。

サブスタンダード船の船員

作業着を着用していない、ヘルメットをかぶっていない、安全靴を履いていない、手袋をしていない等の問題がある。 2006年の海上の労働に関する条約について 平成25年8月23日 海事局船員政策課(国土交通省)(開けない人はここをクリック) に記載されているように2014年8月5日から日本のPSC(外国船舶監督)がMLCに関して検査する。日本のPSC(外国船舶監督)がMLCを知っていれば、MLC及びISMの不備として指摘されるでしょう。 ISMコードで要求される船舶安全管理認定書(SMC)を取得している船舶であれば、 安全マニュアルで作業に関する指示等が記載されている。マニュアルに記載されていなければ、安全に対する対策が取られていない 事が不備になるし、記載されていればマニュアルの指示に従っていないことでISMコード の不備になる。元日本籍内航船の外国船籍船の中国船員にこのようなケースが頻繁に見られる。 しかし、外国船舶監督官がISMコードの不備として指摘したケースを見たことはない。 不備としての認識があるなら指摘すべきだ。

ISMコードの要求をシエラレオネ船籍の貨物船「JIA HUI(ジィア・フイ)」(IMO:8660911)の管理会社及び船長が満足していれば、 シエラレオネ船籍の貨物船「JIA HUI(ジィア・フイ)」号の中国操船者は無免許は絶対に ありえない事。

ISMコードの一部抜粋

6 経営資源及び要員配置

6.1 会社は、船長が次の要件を満たすことを確保しなければならない。

.1 船舶を指揮するための適切な資格を有すること
.2 会社の安全管理システムに十分精通していること
.3 職務を支障なく遂行できるように必要な支援を受けられること

6.2 会社は、各船舶に、旗国及び国際的要件に従った免状、資格を有し、か つ、身体適正な者を配乗することを確実にしなければならない。

6.3 会社は、新たな要員及び安全と環境保護に関する職務に新たに配置転換さ れた者が、その職務に習熟することを確実にする手順を確立しなければなら ない。また航海前に示されるべき重要な指示は、明確にし、文書化されて出 航前に乗組員に供与しなければならない。

6.4 会社は、会社の安全管理システムに関係する者全員が、関連する規定、規 則、コード及び指針について十分な理解を有することを確実にしなければな らない。

6.5 会社は、安全管理システムを擁護するために必要と思われる訓練を識別す る手順を確立し、維持しなければならない。また、関係者全員にそのような 訓練が行われれることを確実にしなければならない。

6.6 会社は、乗組員に、乗組員の使用言語又は理解できる言語で安全管理シス テムに関連する情報を提供する手順を確立しなければならない。

6.7 会社は、乗組員が安全管理システムに関連する職務を実行する場合に、効 果的に意思疎通ができることを確実にしなければならない。

国際安全管理規則解釈通達(CLASS NK)

2015年8月、客船「LEISURE WORLD (IMO 6921828O)」がoverloading(過積載)で出港停止命令をシンガポールで受けた。検査会社は「International Register of Shipping」。

1969年に建造されているから船齢は約45年。第二の韓国客船 Sewolになったとしてもおかしくない。 この客船も写真から判断して改造されていると思う。韓国客船 Sewolとの違いは、この客船 RO-ROフェリーではないので、貨物の荷崩れによる転覆の可能性は低そう。ただ、乗客を乗せているだけで「overloading(過積載)」を指摘される事実は 危険を感じさせる。もし、定員オーバーであれば、救命装備は人数分ない可能性がある。「overloading(過積載)」又は定員オーバーを管理会社又は 船員が知っているとすれば、その他にも問題や不備がある可能性が非常に高い。救命や消防装置がまともに動かない可能性も高い。 検査会社が「International Register of Shipping」である事実が安全でないと個人的に判断します。

運よくこのサイトを見られた人は、安い旅行には気をつけたほうが良いですよ。動く棺おけとは知らず乗ってしまっては後悔しますよ! スリルを体験したい人は運が良ければ、映画のような体験が出来るかもしれません。まあ、座礁、衝突又は鉄の腐食により客船の船底や側面に穴が空く、又は転覆しない限り 簡単に沈没しないとは思うけど、コメントに対する責任は一切負いませんので、自己責任で判断してください。

LEISURE WORLD IMO 6921828 Flag: Palau built: 1969, Gross tonnage: 15,653 tons, Owner&Manage: Universal ShipmanagementSingapore(ShipSpotting.com)


TOKYO MOUのサイト

Safety mismanagement tops Australian ship detentions 04/26/19(IHS Markit Safety at Sea)

Zoe Reynolds, correspondent


Once again, for the eighth year running, poor implementation of the International Safety Management (ISM) Code dominates ship detentions in Australia.

Since 2010, most ships detained in Australia have failed to apply the ISM Code, according to the nation’s 2018 recently released Port State Control (PSC) Report.

The Australian Maritime Safety Authority Authority (AMSA) recalled one case, where the vessel involved, the Thorco Luna, was banned from entering Australian ports. “The master and crew were not familiar with essential shipboard procedures relating to the safety of the ship over three separate inspections” AMSA commented.

Lack of knowledge and training in fire safety, emergency systems and life-saving appliances were next on the list, with breaches to the Maritime Labour Convention (MLC) following close behind.

In 2018, AMSA received 177 complaints regarding crew conditions, mostly to do with wages, contracts, hours of work, food and catering, repatriation and bullying. Yet, records show a growing confidence in seafarers seeking help, making 75 complaints in 2018, almost double the 44 of the previous year.

The seafarers trade union, the International Transport Workers’ Federation, however, made up the majority of the complaints, totalling 39 on behalf of the crew, with welfare groups coming a close second on 31.

While the number of alleged MLC breaches confirmed in port has decreased significantly compared to 2017 (from 918 to 674), the number of detainable offenses has risen only slightly from 20 to 23 over the year.

In 2018, AMSA banned three repeat offenders from Australia’s shores. Two of these bans involved significant breaches of the MLC. These were the Liberian flagged MSC Kia Ora, which underpaid its crew; the previously mentioned Philippines flagged Thorco Luna, for significant ISM and Safety of Life at Sea Convention breaches, and the Hong Kong flagged Shandon Hai Wan could not berth in Australia for 12 months after deliberately underpaying their crew by AUD56,000 (USD39,000).

Overall, the Flag states with the highest detention rates were Panama, Liberia, Hong Kong, Marshall Islands, and Singapore.

While AMSA reported a slight increase in the detention rate of vessels to 5.5%, ship deficiencies, on the other hand, remain at record lows having steadily decreased over the last decade.

“It is also a strong indication that AMSA’s PSC regime is exerting a positive influence on the quality of ships arriving in Australia,” the report concluded.

次の更新まで続く


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日本の企業の不祥事が新聞に載っていますが、下記の記事は、不適切な船舶管理や船舶運航が 事故を引き起こし、人命を失う結果となる例と言えるだろう。
最近の不適切な管理と言えば、関西電力 の美浜原発3号機(福井県美浜町)蒸気噴出事故。 どこの世界も同じなのでしょう。

Korea-flagged cargo M/V sank. According to Syrian Ministry source, ship overloaded & in a poor condition. (Thurs. April 21 2005)

外航海運の安全対策 ~ISMコードの導入~ 任意によるISMコード認証取得について
海上人命安全条約附属コード集 任意ISM審査の案内:日本海事協会
海運秩序の無政府化 船舶の安全確保のための国際的な動き
日本船主協会:オピニオン

日本のポートステートコントロールが適切に機能しているのであれば、なぜ座礁事故を 起こしても不思議でないような船舶が日本から簡単に出港できたのか疑問である。一隻 だけでない。他の座礁した船舶も、日本から出港して座礁した船舶もある。下記のその 一部である。

無法地帯を遊泳する国際海運業者

不正はいろいろな組織で存在する!

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