構造計算書偽造 民間の指定確認検査機関のずさんな検査 Part2 

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参考情報 ◆ イーホームズ株式会社大臣指定確認検査機関の指定状況日本ERI株式会社
逃げるのに必死です 株式会社 総合経営研究所財)建築行政情報センターISO9000関係
建設業界の噂/裏情報 フリー掲示板「姉歯建築事務所構造計算書偽造」について話し合おう!

構造計算書偽装問題とその対応について(国土交通省のHPより)


注目を受け始めたサムシングという構造計算会社関連の件「耐震偽装の源流は九州かも・・・?」 余白から指先へのHPより
耐震強度偽装問題 九州・山口関連 (西日本新聞) ISO9000シリーズを勉強してみてください。
よく読んでいませんが、興味がある方は参考にしてください。

★検査機関は信用できるのか ★日本建築構造技術者協会 ★日本建築構造技術者協会会長


こんな機関・役所・組織は「要らない!」

日本の不祥事を起こしている企業を見ればわかると思います。 行政が厳しく対応しなければならないでしょう。行政自体にも 問題が存在するのが問題の解決を困難にしているようにも思えます。

今回、自民党の証人喚問に対する対応が悪いと思ったが、やはりいろいろとあると下記の HPを見て思った。やはり!!

http://www3.diary.ne.jp/user/338790/

http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20051211

姉歯やイーホームズの問題で、国や自治体のチェックの甘さや制度の不備があることが 多くの国民が感じたことだろう。強度の計算方法も他の方法で計算すれば合格するなど 明確な確認/チェック方法についても改善や見直しもされなかった。強度不足のマンションが あってもおかしくないことである。時間が経てば、姉歯氏のような極端な偽装はないにしても 強度に問題がある建築物が増えるのは予想されることである。

この問題、氷山の一角のような気がする。

違法マンション【マテリアル菅原】の建築会社や建築主って誰? 11/12/16 (ブローダル.com)

<ビビットトピックス>追及・違法建築マンション・他にも続々…実態は? 02/01 08:30 TBSテレビ 【白熱ライブ ビビット】 (JCCテレビすべて)

違法建築マンションの業者が問われる罪は、みずほ中央法律事務所・三平聡史代表弁護士によると、建築基準法違反で懲役刑又は罰金刑、行政処分で建築士の免許取り消しや業務停止、損害賠償請求や詐欺罪の可能性もある。
住んでいる人は、敷金・礼金・仲介手数料の全額返金と引っ越し代を請求できる。

追及・違法建築マンション・他にも続々…実態は? 02/01 08:28 TBSテレビ 【白熱ライブ ビビット】 (JCCテレビすべて)

大阪・池田市にある7階建てを9階建てにした“違法建築マンション”について解説する。
調べていくと、大阪・池田市の違法建築マンションを建設した業者Aは、合計5棟の違法マンションが兵庫県と大阪府にまたがって建てられていた。
業者Aの違法建築は2パターン。
兵庫・西宮市のマンションは、申請時は6階建てだったが、工事の完了検査後に6階を2つに分割し7階部分を建設していた。
大阪・箕面市と兵庫・宝塚市のマンションは、申請時には1階部分を駐車場などとしていたが、完成後は駐車場を部屋に変えてしまっていた。
建物の耐震について言及。

追及・違法建築マンション・渦中の社長を直撃 02/01 08:24 TBSテレビ 【白熱ライブ ビビット】 (JCCテレビすべて)

大阪・池田市に、7階建てを9階建てにした“違法建築マンション”がある。
建設会社A社とは?社長を直撃し、翌日の取材を約束した。
しかし、体調不良を理由に取材をキャンセルしたいと言ってきたが、質問を続けていると問題の“核心”について口を開き、より多くの利益を得るために違法建築をしたと認めた。
安全性に問題はないというが、今後はどうするのか?A社社長は、是正に向けて行政と協議中だというが、いつまでにやるかについては断言しなかった。
A社社長が手掛けたマンションを調べてみると、他にも“違法建築物件”が!?この問題はどこまで拡大していくのか?A社社長のコメント。

追及・7階建てのはずが…9階!?違法建築マンションのナゾ 追及・7階建てのはずが…9階!?違法建築マンションのナゾ (JCCテレビすべて)

大阪・池田市に、7階建てを9階建てにした“違法建築マンション”がある。
マンションの入り口には、池田市からの是正命令の紙が貼られていた。
住民によると、このマンションは賃貸物件として4年前に完成し、8階9階以外はほぼ全て1ルームタイプで、家賃は6万~7万円。
住民曰く、入居時に違法建築物だという説明はなかったという。
当初の計画では、床面積の制限ギリギリの7階建てで申請されていたが、完成してみると床面積オーバーの9階建てで完成しており、建築基準法第52条「容積率違反」となる。
去年11月、池田市が“違法建築を伝える文書”を掲示した。
大阪・池田市の映像。
近隣住民、違法建築マンションの住民、池田市審査指導課・浜洲一弘課長のコメント。

「 県などによると、事務所が2013年までの13年間に設計を手掛けた建物は、北上市に130件、花巻市に7件の計137件あり、北上市が12件を抽出して調べたところ、11件で設計が誤っていた。ほとんどは民間の住宅や車庫だった。 ・・・ 読売新聞の取材に対し、設計を担当した2級建築士の男性(58)は『この程度(の構造)で大丈夫だろうと経験則で判断し、構造計算をしなかった。意識が欠けていた』と説明した。」

2005から2006年ごろに姉歯やイーホームズの問題で、国や自治体のチェックの甘さや制度の不備が注目を浴びた。 あれから約10年がたった。
「構造設計をしなかった。」としても経験則が正しければ、問題なし。しかし言い訳だけでコスト削減のためであれば「小松組建築設計事務所」及び設計を担当した2級建築士の男性(58)に対して戒めとして厳しい処分が必要。 「小松組建築設計事務所」が担当した民間の住宅や車庫は建築確認は行われていたのか?もし建築確認が行われていたのであれば、部分的に行政にも責任があるのでは??

小さな建築物でも構造計算書を提出させるべきなのでは?専門ではないので下記のサイトの情報を参考にすると「一般住宅として広く普及している木造2階建ての専用住宅では、建築士の設計に限り構造関係法規が、確認申請時にチェックされません。・・・そのため、2階建て木造住宅では、構造的な検討をしないまま建築されてしまうケースが少なからずあります。」 と書かれている。つまり、建築基準法又は制度を変えない限り、このような問題はなくならないという事がはっきりしています。確認申請をスムーズにすることを優先にするために問題のある建築物が見逃されやすい法律になっていると言う事です。 建築基準法が改正されるまでリスクを覚悟すればごまかしが可能である環境が存在すると言う事です。姉歯やイーホームズの問題は何だったのでしょうか?行政は業者よりの立ち位置にいると 言う事なのでしょうか?

構造計算の必要な建築物 「建築基準法第20条に構造計算の必要な建築物が記載されています。・・・一般住宅として広く普及している木造2階建ての専用住宅では、建築士の設計に限り構造関係法規が、確認申請時にチェックされません。(建築基準法第6条第3項に規定する確認の特例のため)そのため、2階建て木造住宅では、構造的な検討をしないまま建築されてしまうケースが少なからずあります。 しかし、建築基準法には住宅を問わず、構造関係規定が定められており、全てクリアしなければ建築できません。 前記の特例は、あくまで建築士の設計であるならば構造関係規定は遵守されているはずであるという前提により、確認申請をスムーズに行うための特例です。」(シンケン建築設計工房)

この程度で大丈夫だろう…計算せず住宅設計ミス 08/29/15(読売新聞)

 岩手県北上市は28日、同市和賀町藤根の「小松組建築設計事務所」が設計した市内の木造住宅で設計の誤りが11件見つかったと発表した。

 地震や風圧に耐えるための筋交いや壁の強度が不足していた。

 県などによると、事務所が2013年までの13年間に設計を手掛けた建物は、北上市に130件、花巻市に7件の計137件あり、北上市が12件を抽出して調べたところ、11件で設計が誤っていた。ほとんどは民間の住宅や車庫だった。

 両市は残りの建物についても図面などの提出を求め、設計に誤りが見つかれば、事務所や施工業者に改修工事を指導する。14、15年に手掛けた建物も調査する。県は、建築士法に基づく建築士の処分を検討している。

 昨年7月、車庫兼倉庫の設計を事務所に依頼していた北上市民から「筋交いが足りないのでは」と、市に相談が寄せられた。市が調べたところ、設計に誤りが見つかった。

 読売新聞の取材に対し、設計を担当した2級建築士の男性(58)は「この程度(の構造)で大丈夫だろうと経験則で判断し、構造計算をしなかった。意識が欠けていた」と説明した。

1級建築士と偽り、小学校校舎や工場の設計図 09/20/13(読売新聞)

 1級建築士などと偽り、校舎や工場などを設計したとして、有印公文書偽造・同行使罪や建築士法違反に問われた滋賀県守山市、2級建築士・池田吉彦被告(49)に対し、地裁は19日、懲役2年、執行猶予3年(求刑・懲役2年)の判決を言い渡した。

 市川太志裁判長は「建築物の安全性確保が目的の建築士法の趣旨を踏みにじる犯行だが、反省している」と指摘した。

 判決では、池田被告は2008年5月、他人の1級建築士免許証の写しを自分のものと偽造。11~12年、1級建築士しか設計できない小学校校舎や工場などの新築工事で、設計図を作るなどした。

「第3小法廷は『建築確認制度の目的には、建築主の利益の保護も含まれる』と述べ、行政に一定の賠償責任があることを認めたが、 『建築物の安全性は一次的には建築士が確保すべきだ。自治体は、建築士が義務に従っている前提で審査する』と述べた。 その上で、2棟とも行政側が漫然と見過ごしたとはいえないと結論付けた。裁判官5人全員一致の意見だった。」

建築確認を行う権限がある以上、少なくとも部分的に賠償責任はあると思う。実際問題として、行政が建築確認を行える権限を持っているが、 建築確認を行う公務員が十分な知識や経験を持っている地方自治体が少ない現状で行政の責任を認めると混乱が起こり、建築確認作業にかなり 影響すると判断したのではないのか?もしそうでないなら次の選挙(最高裁裁判官国民審査)でこの5人の裁判官をやめさせるために(X)をするべきだ。 行政に甘すぎ!

耐震強度偽装:行政責任を認めず 最高裁判決 03/26/13(毎日新聞)

 耐震強度偽装事件でホテルの建て替えや補修を迫られた経営会社が、建築確認審査を実施した自治体に「偽装を見過ごした」として損害賠償を求めた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(寺田逸郎裁判長)は26日、「通常払うべき注意を怠って漫然と偽装を見過ごした場合に賠償責任を負う」と述べ、行政責任の範囲を極めて限定的にとらえる初判断を示した。その上でホテル経営会社側の上告をいずれも棄却した。行政側の勝訴が確定した。

 建物を解体した「センターワンホテル半田」(愛知県半田市)の経営会社が愛知県を訴えた訴訟は、1審・名古屋地裁が県の注意義務違反を認めたが、2審・名古屋高裁が逆転敗訴とした。補修工事をした「シティーホテル峰山」(京都府京丹後市)が京都府を相手取った訴訟は、1、2審とも請求を退けた。

 第3小法廷は「建築確認制度の目的には、建築主の利益の保護も含まれる」と述べ、行政に一定の賠償責任があることを認めたが、「建築物の安全性は一次的には建築士が確保すべきだ。自治体は、建築士が義務に従っている前提で審査する」と述べた。その上で、2棟とも行政側が漫然と見過ごしたとはいえないと結論付けた。裁判官5人全員一致の意見だった。

 国土交通省によると、事件に絡んで行政責任を追及する訴訟は全国で十数件起こされているが、行政の責任を認めたのは半田市のホテルを巡る名古屋地裁判決だけ。事件後の06年に建築基準法が改正され、大型建築物については第三者機関のチェックを取り入れるなど審査態勢が強化された。【石川淳一】

確認済証を交付した静岡市と設計会社の両方に責任があると思う。

「建築確認制度は、申請する建築士に対する信頼を前提としている」が常識であればなぜ偽1級建築士の問題が放置されていたのか?? 行政は都合の良いように逃げている。行政によるチェックが甘いのであればチェックする職員に十分な給料など払う必要などない。

耐震強度不足、9億6千万円の賠償命令判決 12/07/12(読売新聞)

 静岡市駿河区の分譲マンションの建築主「ザ・トーカイ」(静岡市葵区)が、耐震強度不足で解体を余儀なくされたのは、構造計算が不完全だったり、建築確認内容の不備に気づかなかったりしたためとして、設計会社や静岡市などに約10億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が7日、静岡地裁であった。

 足立哲裁判長は、静岡市などを除く5被告に計約9億6000万円の支払いを命じた。静岡市に対しては「建築確認制度は、申請する建築士に対する信頼を前提としている」として、このうち約6億7000万円について、5被告と連帯して支払うよう命じた。

 判決によると、設計会社は下請け業者が作成した、耐震基準の計算が完了しないままの構造計算書を静岡市に提出、市は計算書の計算過程と結論に食い違いがあることに気づかず、確認済証を交付した。

平成4年からいままで偽1級建築士を続けることができた。行政のチェックがいかに甘かったかを証明している。最近、チェックが厳しくなって 見つかったという事だろう。

厳正な対処必要と羽田国交相 建築士免許の偽造問題 07/13/12(産経新聞)

 羽田雄一郎国土交通相は13日の記者会見で、1級建築士免許証の偽造に関して「極めて遺憾な行為で、刑事告発など厳正な対処が必要だ」と厳しい姿勢を示した上で、「免許登録の確認を徹底する」と再発防止に取り組む考えを強調した。

偽1級建築士の男逮捕「2級では仕事取りにくかった」 神奈川県警 10/09/12(産経新聞)

 1級建築士の資格を持っていると偽り、建築物の設計や監理に関わったとして、神奈川県警生活経済課などは9日、建築士法違反と偽造公文書行使の疑いで、相模原市中央区田名の無職、石岡秀逸容疑者(64)を逮捕した。同課によると容疑を認め、「2級建築士では仕事が取りにくかった」などと供述しているという。

 逮捕容疑は昨年2月15日から同年9月26日の間、住宅や会社事務所の建築確認申請の際に「1級建築士」などと記入した書類や、偽造された1級建築士の免許証のコピーを、4回にわたり検査機関に提出したとしている。

 同課によると、石岡容疑者は昭和46年に2級建築士の免許を受け、平成2年に1級建築士の男性を管理建築士として事務所を設立。4年に男性は死亡したが、その男性の免許証を修正テープで消して書き換えるなどして偽造された免許証を使い、5年から1級建築士と偽って仕事をしていた。

 石岡容疑者は5年以降、神奈川県内の91件の物件に関与。1級建築士の資格が必要な物件は、そのうち6件あった。ただ、ほとんどの物件で建築士法の時効を迎えているという。石岡容疑者は「新たに1級建築士を雇用するのが面倒で、その報酬ももったいないと思った」とも供述している。

ニセ1級建築士問題は耐震偽装問題が注目を浴びた時に発覚するべきだろう。国交省の監督及びチェックの甘さには驚く!

公務員達による監督及びチェックの甘さには驚くものがある。税金泥棒と呼ぶしかない。
以前、金融庁に監査法人や公認会計士が不正を行った場合、さらに厳しい処分を行うように電話したことがある。しかし、対応した職員は 「そのような事は検討していないし、検討もしない。」と言い切った。オリンパス問題及びAIJ問題で 金融庁はかなり遅く金融庁の責任は重いのであるが、違法行為の厳罰化を決めた。 金融庁の電話に対応した職員、お前達は税金の無駄使いだ。注意してやっても 検討もしないと言い切るんだ。そして大きな被害が出ると避難や批判を避けるために厳罰化や安易なチェック強化。

話は戻るが公務員のパフォーマンスの低さには腹が立つ。橋下大阪市長はだめだと言っているメディアがある。民主党には騙された。 橋下大阪市長は少なくともある程度の結果は出した。民主党の口先だけの言い訳ではない。どうせ騙されるなら既に騙した政党よりは ましだろ。結局、選択肢はあまりない。騙されるかもしれないが橋下大阪市長の衝突しても実行しようとする維新の会に期待するしかないと 思っている。公務員の問題に立ち向かえる政党などどこにあるのか。公務員のパフォーマンスの低さにはうんざりしている。

ニセ1級建築士、「積水」にも…新たに9人発覚 09/05/12(読売新聞)

 1級建築士の詐称が相次いでいる問題で、国土交通省は4日、新たに9人が免許を偽造して1級建築士を詐称していたと発表した。

 うち2人は大手住宅メーカー「積水ハウス」(大阪市北区)などに勤務し、計約910件の住宅の設計を担当していた。同省は各自治体に対し、関連物件の安全性の確認を指示。一方、同社などは今後、2人を建築士法違反の疑いなどで刑事告発する方針。

 9人は北海道、栃木、群馬、埼玉、東京、神奈川、愛知、長崎の各都道県の建設会社や設計事務所などに勤めていた44~70歳。これまで発覚した6人と合わせ詐称は計15人になった。

 発表などによると、神奈川県厚木市の「積水ハウス神奈川シャーメゾン支店」勤務の男性(52)は1989年に、偽造した免許のコピーを提示し、1級建築士として入社。96年8月から2002年7月まで、設計責任者である「管理建築士」として県内を中心に、低層アパートや一戸建て住宅762件の設計を担当した。

 昨年11月、男性が建築士法で義務付けられている定期講習を受講した際、免許の登録機関で登録番号が確認できないことから発覚。8月9日付で懲戒解雇となった。

大臣の名前が入っているのだから、公文書偽造だろ!誰が作成したのか調べるべきだ!

「安倍建設相」が免許証発行者?積水ニセ建築士 09/05/12(読売新聞)

 1級建築士を詐称していたことが発覚した大手住宅メーカー「積水ハウス」(本社・大阪市北区)の元社員の男性(52)は、神奈川県内で758件のアパートや住宅などの建築確認申請を行っていたことが4日、県の調査でわかった。

 県は建物の安全確認を急いでおり、同社は男性を刑事告発する方針だ。

 県と同社の発表によると、男性が詐称して建築確認申請した物件は、東京都と静岡県を含めると計762件となる。男性は1989年に同社に入社後、厚木市の支店事務所に勤務。96~2002年の間、県や秦野、厚木市などに対し、アパートなどの建築確認申請を行い、11年11月には法定の定期講習を受講する際、偽造した1級建築士免許証の写しを提出していた。

 偽造免許証は1級建築士の登録番号が別人のもので、発行者の建設大臣として、実際には就任したことのない安倍晋太郎・元外相の名前が記されていた。

 今年2月、民間の登録業者が、1級建築士のデータベースに男性が受講した定期講習の修了情報を入力した際、登録番号の偽造が発覚。県や積水ハウスの調査に男性が詐称を認めたため、同社は8月に懲戒解雇した。県内で1級建築士の詐称が発覚したのは3人目。県は再発防止のため、建築士免許証の見本をホームページに公開し、契約時に免許証の原本を提示させたり、建築士名簿や事務所登録簿を閲覧したりして確認を徹底するよう呼びかけている。

平塚の偽建築士、無資格認める 「なめられないよう」 07/24/12(朝日新聞)

 神奈川県茅ケ崎市の障害者向け施設の改修工事で、設計図面に記載された1級建築士の名前が国に登録されていなかった問題で、同県平塚市の男性(60)が朝日新聞の取材に、無資格なのに1級と詐称して作業所を設計したと認めた。「施工業者になめられないよう1級と名乗った」という。

 男性は「改修前と耐震強度は変わっていない」と主張した。だが、この施設は民間検査機関から耐震不足を指摘されている。現在も障害者が働いており、茅ケ崎市は耐震強度の調査を始めた。

 県によると、施設を運営するNPO法人は国の補助金約1500万円を使い、木造2階建て住宅のうち作業所として賃借している1階を、2008年12月~09年3月に改修。補助金申請の際、県に提出された図面には、男性の名前や別の1級建築士の登録番号、所在地を平塚市とする架空の建築士事務所の登録番号が記載されていた。

相模原の偽1級建築士、マンション設計も関与 07/21/12(朝日新聞)

 1級建築士の免許を偽造していた神奈川県相模原市の2級建築士(64)が、同県秦野市に提出された4階建て賃貸マンションの建築確認申請の書類にも、設計者や監理者として記載されていたことが、同市への取材で分かった。

 この建築士は、1級建築士でなければ扱えない工場や産業廃棄物処理施設を設計していたことが判明しているが、居住用マンションの設計が発覚するのは初めて。この物件も1級しか扱えず、県は建築士法違反の疑いで調べている。

 秦野市によると、1999年11月に建築確認申請が出された市内の鉄骨4階建てマンション(延べ床面積約431平方メートル)で、申請手続きの代理者や設計者、監理者として、この建築士の名前が記載されていた。1級建築士であることや、虚偽の登録番号なども記されていた。

NZ首相、ビル倒壊は「刑事事件で訴追すべき」 02/22/12(読売新聞)

 【クライストチャーチ(ニュージーランド南島)=梁田真樹子】日本人28人を含む185人が犠牲となったクライストチャーチ地震から1年となる22日、ニュージーランドのキー首相が読売新聞と単独会見し、日本人が巻き込まれたCTVビルの倒壊について、司法当局が「刑事事件として訴追するべきだ」と述べた。同ビルの設計者や所有者が対象になるとみられるが、市の管理責任については首相は「コメントできない」とした。

 日本人遺族らが同ビルの倒壊原因を調べている独立機関・王立委員会の報告書を待って民事訴訟を検討している点については、首相は「民事訴訟を起こすのは大変厳しいだろう」と発言。ニュージーランドでは「事故補償公社」が災害や事故の被害者への補償を一元的に支払い、そのかわり原則的に民事訴訟は起こせない制度になっている点を根拠として挙げた。

マンション耐震強度不足で14億賠償 検査機関などに地裁命令 01/31/12(産経新聞)

 耐震強度不足が判明した横浜市鶴見区のマンションの住民53人が、建築確認をした指定確認検査機関「日本ERI」(東京)と設計事務所、横浜市に建て替え費用など計約14億3千万円の損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁(森義之裁判長)は31日、日本ERIと設計事務所側に計約14億円の支払いを命じる判決を言い渡した。横浜市への請求は棄却した。

 マンションは販売会社ヒューザー(破産)が分譲した「セントレジアス鶴見」。下河辺建築設計事務所(東京)が設計して2003年に完成したが、06年に耐震強度が建築基準法の基準の約64%しかないと判明した。建物の構造計算書は下河辺事務所の下請け会社(解散)が作成しており、住民側は「日本ERIは申請時に壁の強度不足に気付き、修正を指示しながら、下請けが手書きで修正しただけの計算書を十分審査しなかった」と強度不足を見過ごした過失を主張した。

朝日新聞(2008年2月7日)より

建物の安全

建築士が責任持てる制度を

生コンに違法原料、横浜のマンションなど工事停止に 07/08/08(読売新聞)

 神奈川県藤沢市のコンクリート製造会社「六会(むつあい)コンクリート」が、生コンクリートに日本工業規格(JIS)で認められていない一般ごみの焼却灰から作った材料を混ぜていたことが、国土交通省などの調査でわかった。

 建設中の横浜市のマンション3棟と藤沢市の工場事務棟1棟でコンクリート表面がはがれるなどし、工事停止となっている。同社は8日付でJIS認証を取り消された。

 発表によると、同社は2007年7月~08年6月、一般ごみの焼却灰を加熱した後、冷却して出来たガラス状の粒「溶融スラグ」を混ぜて生コンクリートを製造していた。

 工事前に建設業者が立ち会うサンプル試験で、混入していないものを使用。納入先は神奈川県内で300件を超え、国交省は耐久性に問題ないか自治体に調査を指示した。

 溶融スラグを混ぜると内部が膨張し、表面が2~3ミリはがれる「ポップアウト」という現象が起きることがある。建築基準法は、梁(はり)や柱に使用するコンクリートはJISに基づき砂利やセメントなどを原料とするよう規定しており、柱などに使うと同法違反となる。

 横浜市内のマンション建設を請け負ったゼネコンから同省に通報があり、発覚。いずれも分譲会社が、購入者と解約手続きを進める。

 また、神奈川県によると、工事中の県道藤沢鎌倉線の「大仏隧道(ずいどう)(大仏トンネル)歩道」で大量に使われ、強度が確保できない恐れがあるとして強度試験を行う。

 同社は「入手した砂の品質がよくなかったため、溶融スラグを代替品として使った」と釈明しているという。

新たに外壁など建材3製品、防耐火の認定基準満たさず 06/27/08(読売新聞)

 国土交通省は27日、大臣認定を受けた防耐火建材で、新たにチューオー(栃木県鹿沼市)、チヨダウーテ(三重県四日市市)、ウベボード(山口県宇部市)の3製品が認定基準を満たしていなかったと発表した。

 基準不足の建材はこれで計22製品になった。

 発表によると、チューオーの外壁は工場や倉庫など246棟、チヨダウーテの間仕切り壁は工場など218棟で使用されており、同省は改修が必要か調査を指示した。

 チューオーの製品は耐火性30分、チヨダウーテの製品は同60分の認定を受けていたが、いずれもサンプル調査で時間内に規定温度を超えた。ウベボードの外壁は使用実績が確認されていない。

UR賃貸、耐震強度不足の24棟解体へ…4千人に転居要請 05/01/08(読売新聞)

 独立行政法人・都市再生機構(本社・横浜市、UR)は、耐震強度不足で補修も難しい8都道県の17団地にある賃貸集合住宅24棟(1950戸)を解体することを決めた。

 多額の費用をかけて建て替えても新たな需要が見込めず、取り壊して土地の売却などを検討している。URが耐震強度不足を理由に集合住宅を取り壊すのは初めてで、約4000人の住民には、2年以内に退去して別のUR関連の賃貸団地に住み替えるよう求めている。

 対象は、東京都日野市の高幡台団地など千葉、埼玉、熊本の4都県にURが所有する4団地11棟(972戸)と、北海道と関東、中部、九州各地方に民間と共同所有する13団地13棟。いずれも築40年前後という。

 URは、単独で所有する団地名は明らかにしているが、共同所有の団地については、民間所有者側の了解を得ていないという理由で都県名も明らかにしていない。

 2005年にマンションの耐震強度偽装事件が発覚したことなどを受けて、URは、1981年の建築基準法改正前に建てられた約1万2700棟を対象に耐震性を調査。約2100棟が、改正後の耐震基準を満たしていなかった。いずれも震度7級で倒壊の恐れがあるという。

 URは現在までに約300棟の補修工事を終え、残りも補修などする方針だが、24棟だけは、基準を満たすようにするにはバルコニー側を壁にする必要があるなど、住居として使えないことがわかった。

 URは、住民にUR関係の別の賃貸団地に移ってもらう考えで、3月末、通知した。ただ、住民側は「事前の交渉もなく、通知された」と困惑。近くに団地がない、住み慣れた場所を離れたくないなどの理由で建て替えを求める声が多い。

 URは「気持ちはわかるが、安全には代えられない。新たな需要も望めず、建て替えは無理」とする。

防火建材、性能不足の780棟改修へ…不正判明45社に 01/25/08(読売新聞)

 防耐火用建材のメーカーが製品の大臣認定を受けた後に勝手に仕様を変更するなどしていた問題で、国土交通省は25日、不正な建材の使用が住宅や工場など約3200棟で確認されたと発表した。

 「日本軽金属」(東京)など3社の5件は認定基準を満たしておらず、約780棟で改修工事が行われる見通しだ。新たにメーカー5社の計21件で申請と異なるサンプルで試験を受けたり、仕様の違う製品を販売したりしていたこともわかり、問題が判明した建材は計45社98件になった。

 国交省によると、防耐火性能が基準に満たなかったため、改修されることになったのは日本軽金属2件、「YKK AP」(東京都)1件、「日本防災化学研究所」(同)2件の計5件の製品。日本軽金属の2件は工場や倉庫の壁に使われる断熱パネルで計180棟に使用していた。同社によると、金属板に挟まれた部材に不燃材ではないウレタン材を注入しており、耐火性20分の認定で実際は3~4分で燃え始めるという。

 「YKK AP」の1件は、住宅594棟のベランダの折りたたみ戸に使われた。戸のすき間をふさぐ気密材に認定とは別の合成ゴムや樹脂を使用するなどしたため、耐火性が十分でなかった。日本防災化学研究所は表面に認定基準にはない有機塗料を塗り、燃えやすくなった不燃板を住宅など12棟に使っていた。

 また、新たに見つかった21件は屋根や壁に使用する目的で1969~2007年に認定を取得した。現時点では住宅など6棟しか使用は確認されていないが、再試験で性能を確認する。

 国交省では、仕様の変更届などを怠っていたメーカーに対し、「認定通りに製品を作る意識が薄く、極めて問題」と批判。耐火性能試験の際、メーカーが持ち込んだサンプルを目の前で組み立てさせたり、市場に出回っている製品の一部を抽出して認定通りの性能があるかどうか調べることも検討している。

エレベーター問題 についても同様のことが言えるが、日本は横並び。問題があれば、 同業者も同じ事をしている可能性が高い。行政はもっとしっかりしなければ ならない。

耐火建材、大臣認定と異なる製品が77件…国交省調査 01/08/08(読売新聞)

 国土交通省は8日、大臣認定を受けた防耐火用建材のうち、建材メーカー40社の計77件が申請とは異なるサンプルで試験を受けたり、認定と異なる仕様の製品を販売したりしていたと発表した。

 建材は住宅やホテル、専門学校など約300棟で使われていた。同省では4社7件の認定を取り消すとともに、残り70件も再試験し、性能を確認する。

 国交省によると、77件の建材は壁や天井などに使う目的で、1973年~2007年に大臣認定を取得。認定取り消しは、「ウッドワン」(広島県)など4社の建材だが、他の3社は認定を取得したが、実際には使用されていなかった。

 ウッドワンの建材は、住宅50棟の壁などに使用。同社によると、燃えにくくする薬剤の注入量が不十分だった可能性があり、すべて改修工事を行うという。

 このほか、銀行の金庫室や倉庫など239棟で建材が使用されていた「イトーキ」(大阪府)では、間仕切り壁などで認定を受けたものと塗料や接着剤が異なったり、パネルの材質を変更したりしていた。

 同社の金子清孝社長は、国交省内で記者会見し、「不適切な対応で多大なる迷惑をおかけすることをおわびする」と謝罪し、認定を取り直す考えを示した。

 建材メーカー「ニチアス」(東京都)と「東洋ゴム工業」(大阪府)による耐火性能の偽装問題を受け、国交省は全国の1788社に対し、大臣認定を取得したすべての防耐火用建材(計1万3965件)の調査を指示。これまでに1422社が回答した。

朝日新聞(2008年1月5日)より

建物点検、4割未報告

国交省、悪質ケース、告発も

遠藤建築士改ざんのマンション、耐震強度不足が判明 12/14/07(読売新聞)

 藤建事務所(埼玉県八潮市)の遠藤孝・1級建築士が構造計算書を改ざんしたことが判明している横浜市西区の分譲マンション(9階建て)について、国土交通省は14日、1階の一部の耐震強度が基準の85%だったと発表した。

 遠藤建築士が関与した物件で、強度不足が判明したのは鳥取市の児童施設「鳥取砂丘こどもの国」に続き2件目。

 このマンションは、民間機関による住宅性能評価を受けた際、構造計算で実際とは異なるデータが入力される改ざんが発覚。基礎工事段階ですでに工事が中止されている。

今まで建築審査が甘すぎた。その結果が耐震強度不足のマンションが建築審査をパスした。 ヒュ-ザー、姉歯やイーホームズの問題でやって国交省は対応に動いた。大きな問題を放置してきた つけは大きかった。制度が対応できる環境でなかった。

耐火偽装や型枠鉄板の偽装も国交省の対応の不備である。偽装や構造計算の偽装が出来る 環境を放置してきた。建築審査厳格の影響を理由に規制を緩和すれば、時間が経てば 耐震強度不足のマンションが増えるだろう。

問題が大きくなり発覚する前に、国交省は問題を把握することに努力し、対応するべきだ!

竹中工務店またミス、世田谷のマンション基礎で鉄筋誤配置 12/26/07(読売新聞)

 大手ゼネコン・竹中工務店(大阪市)が東京都世田谷区内に建設中の高級マンションで、地下工事の際に鉄筋の配置を間違い、コンクリートを削って鉄筋を入れ直していたことがわかった。

 同社施工のマンションを巡っては、鉄筋やコンクリートの強度不足が相次いで明らかになっているが、同社は「工期は変わらず、購入予定者に説明する必要はない」としている。

 このマンションは、世田谷区代田に建設中の「世田谷代田レジデンス」。地下1階、地上3階建ての全6戸で、1戸あたりの広さは150平方メートル前後、値段は2億2700万~2億5300万円の高級マンション。2008年6月に完成する予定だ。

 同社によると、マンションの地下1階の工事では、柱の基礎部分の1か所あたり12~20本の鉄筋(長さ約3メートル、直径25ミリ)を使用する設計になっている。本数そのものは正しかったが、設計上は、柱の東西方向に多く鉄筋を配置するはずだったのに、誤って南北方向の面に多く配置していることを先月8日、作業員が見つけた。さらに調べたところ、地下1階に作る柱15本のうち6本の基礎部分で、鉄筋の位置が違っていた。事業主などと相談した結果、柱の一部を削って設計通りに計22本の鉄筋を埋め直す補修工事を行い、今月5日に完了した。

 竹中工務店は、「施工ミスで、事業主にご心配をかけたことを心からおわびする」としながらも、「設計変更を伴う工事ではなく、官庁や検査機関、購入予定者への説明は必要ない」としている。

中国新聞(2007年12月7日)より

建築審査厳格化 影響続く

建築士不足 遠い正常化

中国新聞(2007年12月1日)より

厳格審査 企業に影 住宅着工 10月も35%減

店舗・工場も工事に遅れ

耐火偽装、実物大の建材の成分検査せず 11/10/07(読売新聞)

 建材メーカー「ニチアス」(東京都)と「東洋ゴム工業」(大阪市)による耐火性能の偽装問題で、6か所ある性能評価機関が、耐火性試験を行う際、メーカーから提出された庇(ひさし)や壁など実物大の建材(試験体)と建材の一部(サンプル)のうち、試験体の成分検査をしていないことがわかった。

 各機関はサンプルだけで簡易な成分検査を行うのが通例で、両社はこれを悪用し、偽装した試験体と申請通りのサンプルを使い分けるなどして検査をすり抜けていたとみられる。国土交通省は試験方法の見直しを検討している。

 国交省建築指導課によると、耐火などの性能評価は、建築基準法に基づき6か所の性能評価機関で実施することになっている。各機関は加熱試験や成分検査を行い、パスしたメーカーに性能評価書を発行し、国が認定する仕組み。

 各機関によると、性能評価を行う際には、メーカーから試験体、サンプルの提供を受ける。サンプルは解体するなどして、含水率や比重などを調べ、目視で申請書通りの材料が使われているかを確認するが、試験体はサンプルと同一との前提があるため、加熱試験のみで、成分検査は行わないという。

 ニチアスは、試験体に水を多く含ませるなどして耐火性を高め、サンプルは申請書通りのものを提出していた。東洋ゴム工業では、試験体の断熱パネルに水酸化アルミニウムの粉末を混入して偽装していた。

 国交省建築指導課は「試験方法にも問題があると認識しており、何らかの対応を考えたい」としている。

清水建設の超高層マンション、鉄筋不足…30階で工事停止 11/07/07(読売新聞)

 千葉県市川市のJR市川駅前に建設中の45階建ての超高層マンションで、計128本の鉄筋が不足していることが6日、明らかになった。

 工事は現在、30階で止まっている。超高層マンション建設に絡み、一度にこれだけ多くの鉄筋不足が発覚するのは異例。大手ゼネコンの清水建設(東京)は、全面的に施工ミスを認め、補修工事により強度不足を解消したいとしている。国土交通省も事態を重視し、事業を行う市川市を通じて報告を求める方針だ。

 問題のマンションは、市川駅南口駅前の再開発地域に建てられている2棟のうち、西側の「ザ・タワーズ・ウエスト プレミアレジデンス」(高さ約160メートル)。1~3階は図書館や託児所、商業施設など、最上階の45階は展望ラウンジで、4~44階が計573戸の分譲マンションと地権者住宅になる。着工は2005年8月。09年1月に完成し、同3月に入居開始する予定で、事前予約では既に全戸に申し込みがあるという。

 このマンションは、住宅の品質確保を目指す住宅性能表示制度による任意の中間検査の対象になっており、先月11日、評価機関の財団法人「日本建築センター」の職員が、工事中の30階部分を検査した際、鉄筋の本数不足を見つけた。詳しく調べたところ、25~29階にある計310本の柱のうち、各階外周部の柱計60本と、30階の柱4本の計64本の柱で主要な鉄筋(直径約5センチ、長さ約4メートル)が不足していた。問題の柱には、本来、鉄筋22本が必要だが、それぞれ20本しかなかった。

 清水建設によると、〈1〉鉄筋業者が柱の骨組みを作る際、鉄筋の数を間違えた〈2〉施工担当者が設計図面との十分なチェックを怠った――と説明、「ミスが重なり、起こりえないことが起きた。大変申し訳ない」としている。

 建物の強度について、和田章・東京工業大教授(建築構造学)は「一般論として設計通りに建てなければ安全とは言えない。ただ、詳細は建物ごとに調べないと詳しく分からない」としている。

 清水建設では今後、日本建築センターの確認を受けてから、柱を削って不足する鉄筋を埋め込むなどして補修工事を行う予定だ。

 国交省住宅局では、「事実とすれば、そんなずさんな工事は聞いたことがない。監理体制などの見直しが不可欠」とし、市川市に対し、施工ミスが起きた経緯などについて報告を求めることにしている。

鉄筋不足マンション、住宅性能表示制度の任意検査でわかる 11/07/07(読売新聞)

 地上100メートル以上の建設現場で鉄筋が不足していた。大手ゼネコン・清水建設が施工する、千葉県市川市の超高層マンション(45階建て)で発覚した施工ミスは、施工者側のチェックではなく、住宅性能表示制度の任意検査で見つかった。

 業界関係者からは「見逃してはいけないミス」との声が上がり、識者からは「現状では起こりうる」との指摘も出ている。

 このマンションでは、高い品質の住宅であることを保証するため、同制度に基づく検査を第三者機関「日本建築センター」(東京)に依頼している。同センター職員が今年8月1日に23階を検査した時には問題はなかったが、10月11日に30階部分を検査し、鉄筋不足を発見した。

 建設現場では、清水建設の担当者らが常駐し、各階ごとに写真を撮るなどしてチェックしていたが、全員がミスに気付かなかった。鉄筋の管理については、「大手自動車会社のような厳格な在庫管理をしているわけではなく、気づかないこともある」と説明した。

 別のゼネコン関係者によると、一つの柱を設置するにも複数の業者がかかわり、大規模な建設現場には設計会社の現場監理者も常駐する。「大きな施工ミスを複数階にわたって見逃すことはありえないし、あってはならない」と指摘する。

 ただ、構造設計が専門の今川憲英・東京電機大教授は、「日本は米国に比べ検査機関の人数が少なく、施工段階のチェック態勢が不十分な現状では起こりうること」と警告する。

 今回の場合、住宅性能表示制度を利用していなければ、さらに発見が遅れたとみられる。

 清水建設広報部の話「補修工事を行い、設計通りの鉄筋の本数に戻すため、完成時のマンションの強度にはまったく問題はない。工期も守り、お客様に迷惑をかけることは決してない」

          ◇

 超高層マンションが都市部でブームとなっている。不動産経済研究所(東京)によると、超高層マンションは高さ60メートル超(20階以上)の共同住宅を指し、1970年代後半から首都圏で出始めた。

 東京、神奈川、千葉、埼玉で、86年に約10棟(約2200戸)だったが、96年には約85棟(約1万9500戸)、2006年には約430棟(約11万400戸)となった。10年には約760棟(約22万9600戸)に達する見通しという。

 ◆住宅性能表示制度◆

 耐震強度や耐久性など住宅の性能を比較できるように、国が定めた基準に基づき第三者機関が設計段階や、施工の各段階でチェックし、評価書を交付する制度。利用は任意だが、手数料もかかるため、利用は2006年度で新築着工件数の20%未満にとどまっている。

中国新聞(2007年11月4日)より

建築許可なく昇降機設置

中国新聞(2007年11月4日)より

ニチアス、耐火試験で不正

10万棟以上で使用

「耐火性試験は、メーカーが提出したサンプルについて、指定性能評価機関が断熱性能などを 測定しているが、『外観上、見えない部分のチェックは難しく、偽装は想定していない』(ある評価機関)という。」

結局、耐震偽装と同じ。性善説で行なっているのであれば、偽装を行なおうと思っていれば、 可能である。そして、偽装は見つからない。

多くの性能試験が性善説で行なっているのであれば、耐火性試験だけでなく、問題のある製品が 検査をパスした可能性もある。国交省は今回の問題を重大に受け止め、今後の対策及び指導を考えるべきだ。 エレベーター強度不足鋼材問題 も横並び的な問題であった。一社だけでなく、他社も同じ問題を程度の違いはあるが、抱えていた。

ニチアス問題、国交省が耐火試験データ20社分の検証指示 11/04/07(読売新聞)

 大手建材メーカー「ニチアス」(東京・港区)による耐火性能の偽装問題で、国土交通省は、ニチアス以外の建材メーカー約20社が国交相認定を取得した防火建材についても、耐火性試験に不正がなかったかどうか評価機関に調査を指示した。類似の建材をリストアップし、必要な場合は再試験を求める方針。

 耐火性試験は、メーカーが提出したサンプルについて、指定性能評価機関が断熱性能などを測定しているが、「外観上、見えない部分のチェックは難しく、偽装は想定していない」(ある評価機関)という。

 このため、国交省では、サンプルに水を含ませていたニチアスの偽装を見抜けなかった財団法人「ベターリビング」(東京)をはじめ、全国六つの評価機関に対し、大臣認定を受けている約230種類の防火建材について、過去の試験データの検証を指示した。

「ベターリビングでは、『想定外の事態で、落ち度はなかったと考えている。 巧妙な手口で見抜けなかった』としている。」「この試験を担当した評価機関は、目視のチェックしか行っていなかったことも判明。」

耐火性試験で水分量をチェックするのは当たり前。実際に使われる防火建材よりも 多くの水分を含んでいれば、温度上昇に影響する。温度上昇するまで発火することはない。 チェックする担当者が経験も無い素人だったのか、 ずさんな試験(検査)が日常的に行われてきたのいずれかしか考えられない。 国交省は耐火性試験以外の試験方法についても調査すべきだ!

耐震強度偽装事件 と同様にチェック(試験)体制に問題があると言える。国土交通省は問題が大きくなるまで 問題を把握出来ていない。しっかりしてほしい。 PSCによる検査の現状 からも国交省の対応が推測できるが、素直に問題を指摘されたら対応することを心がけてほしい。 防衛省よりもマシかもしれないが、ダメ組織と 比べて安心しないでほしい。PSCならわかると思うが、航海日誌を間違って破棄する 船に訪船したことはありますか?不正を隠すために故意に破棄したり、書き換える船は存在する。 うっかりして破棄するのは海上自衛隊の艦艇だけだろう。こんなダメ自衛官と 比べる事自体、ありえない。

ニチアス、不正合格めざし何度も実験…水分量など設定 11/01/07(毎日新聞)

 大手建材メーカー「ニチアス」(東京・港区)による耐火性能の偽装問題で、同社は、2000年に耐火性試験が始まった直後から、不正に合格するため、社内の研究所で実験を繰り返し、サンプルに含ませる水分量など詳細な条件を設定していたことが、同社の内部調査でわかった。

 この試験を担当した評価機関は、目視のチェックしか行っていなかったことも判明。国土交通省では、試験の不備もあるとみて、試験方法の見直しの検討を始めた。

 防火建材の耐火性試験は、00年6月の改正建築基準法施行を受け、始まった。

 内部調査によると、ニチアスの技術開発チームは、耐火性の高い商品開発が思うように進まず、不正を考案した。試験開始直後から、浜松市内にある同社研究所の実験炉で、サンプルとして提出する不燃板の材質や含ませる水分量、さらに燃えにくい塗料の種類など、何度も変えて実験を繰り返し、試験で合格しやすい条件を設定した。

 特に、水分量については、認定基準は5%未満だが、水がしたたったりにじんだりして外観から分からないようにするため、「基準の6倍以内」が最も効果的だと特定していた。

 耐火用の間仕切り壁は01年2月、軒裏に使用する防火用天井板(不燃板)は同年10月に、それぞれ最初の国交相認定を取得。いずれの試験でも、サンプルに基準を超える水を含ませる不正な手法だったことがすでに判明している。

 同社関係者は「試験の合格を急ぐ余り、誤った方向に進んでしまった」と打ち明けた。

 一方、同社の防火建材の耐火性試験を担当したのは、指定性能評価機関の財団法人「ベターリビング」(東京都千代田区)。

 同機関では加熱試験に先立ち、同社が提出したサンプルを目視でチェックしただけだった。外観上、見えない部分や、材質や含まれる水分量などは、基準に適合しているかどうか詳細に確認していなかった。

 ベターリビングでは、「想定外の事態で、落ち度はなかったと考えている。巧妙な手口で見抜けなかった」としている。

 このため、国交省では今後、サンプルの作成過程に評価機関の検査員が立ち会ったり、複数のサンプルの提出を求め、材質をチェックしたりするなどの対策を検討することにしている。

「ニチアスによると、民間性能評価機関で1日に再試験した結果、一定の耐火性が認められ、 改修の可能性が低いと判断した。ニチアスは4~6年前、この評価機関の試験を不正な 手口でくぐり抜けたが『今回は不正はしていない』(佐藤照夫技術本部長)という。」

疑問な点は不正なしで一定の耐火性が認められる可能性がある耐火材も不正に検査に通す 必要があったのか??本来の説明以下の性能であるが、ある一定の耐火性があるのか、 再試験に使われたサンプルが改良型なのかと疑ってしまう!「『今回は不正はしていない』 (佐藤照夫技術本部長)という。」とのコメントだが、今回以外は不正を繰り返してきた ようにも聞こえる。国交省は民間性能評価機関の試験方法や他のケースでも不正な試験が なかったのか調査するべきだ。

一定の耐火性の定義及び説明されていた性能と試験性能の比較を具体的に住宅購入者に伝える 必要があると思う!国交省もホームページで詳細を公表するべきだ!

耐火材偽装:ニチアス、改修・交換費用300億円 11/01/07(毎日新聞)

 耐火材の性能を偽装していた大手建材メーカー「ニチアス」(東京都港区)は1日、問題となった建材の取り換えや改修にかかる費用を、約300億円と見込んでいることを明らかにした。07年9月中間決算に特別損失として計上する。

 改修対象は、耐火性45分と同60分の軒裏天井が約4万棟、耐火構造の間仕切り壁2種類が計約750件。自社の改修方法で試算した。4万棟のうち大半は、無償改修を打ち出した住宅メーカー「旭化成ホームズ」分が占める。旭化成ホームズなど納入先からの費用請求に備え、300億円を引き当てることにした。

 他に性能を偽装していた6万棟分の耐火性については改修対象に含めず、費用として計上しない。ニチアスによると、民間性能評価機関で1日に再試験した結果、一定の耐火性が認められ、改修の可能性が低いと判断した。ニチアスは4~6年前、この評価機関の試験を不正な手口でくぐり抜けたが「今回は不正はしていない」(佐藤照夫技術本部長)という。

 ただ、納入先の住宅メーカーが改修を求めた場合は応じる方針で、費用はさらに増える可能性もある。【辻本貴洋】

ある会社が検査したケースで国土交通省職員に問題を指摘したら、「私が判断します。」 と言って問題を指摘しなかった。国土交通省職員が時間をかけて判断する必要は無かった。 規則を基準にして、満足しているかどうかの簡単な判断であった。探せばこれからも 問題は出てくるのだろう!厳しくすれば、業者や業界からの反発や嫌がらせはあるだろう。 問題が発覚しなければ、 守屋元次官のように業者に身を任せる のが最善だろう。接待を受けて悪い気持ちにはならないだろう。特にモラルの低いキャリアや 職員達は何も感じないであろう。だからこそ、 問題のある公務員には厳しい処分が必要! そして、 不正を行った企業に対しても厳しい処分が必要!

日本は技術大国を目指す割には、技術者のモラルが低く、技術者が大切にされていない。 黙認した社長や役員でもあった建材事業本部長(同)の罪は重い!国土交通省は技術者のモラルそして 社長を含む役員の責任や処分についても再度、考えるべきだ。 中国電力の山下隆社長のような考えを 持つ責任者を処分する法整備が必要だ! 「覚えていない」とか「聞いていない」を口にする経営者達を逃がしてはだめだ!責任を取らせるべきだ!

ニチアス役員が偽装黙認、耐火認定を他社に先行され焦り 10/31/07(読売新聞)

 大手建材メーカー「ニチアス」(東京都港区)が防火建材の国土交通相認定を不正に取得していた問題で、同社は、2000年から始まった耐火性の性能試験で、他社に先行されたことがきっかけで不正を始めていたことが、同社の内部調査でわかった。

 また、同社では当初から担当役員が黙認しており、組織ぐるみで行われていた。同社関係者は「焦りがあった」としている。

 防火建材の耐火性試験は、00年6月の改正建築基準法施行を受け、1000度前後の高熱を遮断するといった性能を客観的に評価する目的で始まった。

 同社によると、耐火性試験での不正は、開発部長(当時)をトップにした技術開発チームの5人前後が関与し、役員でもあった建材事業本部長(同)にも報告、了承を得ていたという。

 最初の不正は01年2月、技術開発チームの発案でオフィスビルなどの耐火用間仕切り壁で行われ、指定性能評価機関が行う試験に持ち込むサンプルの不燃板に基準を超える水を含ませるなどの手法が取られた。

 その後、一戸建て住宅の軒裏などに使われる防火用天井板(不燃板)にも拡大、05年8月までに計20回の試験で不正を繰り返していた。国交相はこのうち16件の認定を取り消した。

 同社関係者によると、間仕切り壁については他社が01年2月ごろに、不燃板についても複数の同業者が同年5月から9月にかけて、それぞれ国交相認定を取得していたが、同社では開発が進んでいなかった。この関係者は、「事業を拡大し、商品を売る対抗上、どうしても大臣認定を取得したいという焦りがあった」としている。

長年思っていたが、思っていたとおりだ!偽装、隠ぺい、そしてウソ! 国は適切なチェックを行なってきたのか?多分、「ノー」だろう。 そして、偽装、隠ぺい、そしてウソを想定した処分を考えていないだろう。 防衛省もあのような不祥事に対応できていない。 守屋前次官の退職金返納も彼の判断次第で、国民の手前、「返して」と国は泣きつくしかない状態である。 公務員の退職金、返納制強化を検討 を検討しているようだが、どこまでやるのか、いつ決まるのか、未だにわからない。

国はしっかりとしなければならない。裸の王様から脱皮とずる賢い狐との離別が必要!

「宅用の防火建材を製造する際、虚偽のサンプルで耐火性試験を受け、国交相の認定を不正に取得していたと発表した。」 国交省はまた騙された!どう対応するのか?たぶん、他の会社も似たような事をしていることも 考えられる。ただ言える事は、虚偽のサンプルで耐火性試験をパスする行為は、非常に重大なことだ。 「何を信用するのか」と言う点に行き着く。大手建材メーカー「ニチアス」の社長も問題の隠蔽に 関わっている。秩序を守る点からも厳しい対応と処分が必要だ!それとも、国交省は業界から 泣きつかれたら簡単に許すのか??今後の対応を見守りたい。

住宅4万棟で耐火性劣る天井板?「ニチアス」が認定で不正 10/31/07(読売新聞)

 国土交通省は30日、大手建材メーカー「ニチアス」(東京都港区)が、住宅用の防火建材を製造する際、虚偽のサンプルで耐火性試験を受け、国交相の認定を不正に取得していたと発表した。

 この建材は全国で計約10万棟の住宅に使用され、同社の調査では、うち約4万棟は認定基準より耐火性が劣っていたという。同社の社長らは昨年10月に問題を把握しながら公表せず、今月29日まで出荷を続けていた。国交省は同社に対し、すべての住宅について改めて耐火性があるかどうか調査を指示した。

 国交省などによると、問題の建材は、軒裏に使用する防火用天井板(不燃板)。同社は2001年10月~05年8月、指定性能評価機関の耐火性試験を受け、3タイプの不燃板について、30~60分の耐火性を認められ、国交相認定を取得した。

 ところが、同社は試験を受ける際、耐火性が高まるように、屋根の垂木の上に敷く不燃板に基準の2~6倍の水を含ませていたほか、軒下側の不燃板の材質を断熱性の高いものに取り換えていた。

 実際の商品は、耐火性60分タイプは45分、45分タイプは30分しか耐火性がなかった。オフィスビルなどの耐火用間仕切り壁も、不燃板に水を含ませる方法で認定を不正に取得し、約750棟に使用していた。

 同社は昨年10月の社内調査で、川島吉一社長ら役員3人が問題を把握した。しかし、納入先の旭化成ホームズ(東京都新宿区)やミサワホーム(同)などの住宅メーカーには知らせず、その後も約1万7000棟分を出荷していた。国交省への報告は、今月17日だった。

 川島社長は国交省内で記者会見し、「顧客より住宅メーカーとの関係を優先させ、代わりの資材開発を急いでいるうちに時間がかかってしまった」と釈明した。

 一方、ニチアス最大の取引先だった旭化成ホームズは30日、問題の建材を使用している住宅は、首都圏を中心に約3万8000棟に上ることを明らかにした。大半は1時間の準耐火構造をセールスポイントにした「ヘーベルハウス」ブランドの一戸建て住宅で、01年7月以降の契約者が対象。同社は、すべての住宅を無償で改修することにしている。

 親会社の旭化成の蛭田史郎社長も記者会見し、「不正は非常に残念。改修にかかった費用の請求も含め法的手段を検討する」と話した。

 国交省は、住宅リフォーム・紛争処理支援センターに電話相談窓口(03・3556・5147、土日を除く午前10時~正午、午後1~5時)を設置した。

構造計算書改ざん 遠藤建築士関与69件 10/23/07(読売新聞)

 横浜市西区に建設中のマンションの構造計算書を「藤建事務所」(埼玉県八潮市)の遠藤孝・1級建築士(60)が改ざんした問題で、国土交通省は22日、遠藤建築士が構造計算を担当した建物は、問題のマンションを含め17都県計69件に上ると発表した。

 所在地は東京16件、埼玉15件、神奈川13件、千葉、岐阜各5件の順で、用途はマンション(42件)、公共施設(21件)が約9割を占めた。

 各自治体では、構造計算書の偽装の有無や、強度基準を満たしているかどうか確認を急いでいる。

 このほか、所在地などが特定できていない関与物件が3件あるという。

耐震偽装の悪夢ふたたび 埼玉の建築士が構造計算書偽造 10/15/07(産経新聞)

 国土交通省は15日、横浜市西区に建設が計画されていたマンションで、埼玉県八潮市の「藤建事務所」の遠藤孝・一級建築士(60)が、構造計算書を偽造していたと発表した。

 遠藤建築士は横浜市の調査に偽装を認め、「ほかにも数件やった」と説明。これまで少なくとも全国49物件の構造計算に関与しており、国交省は自治体に調査を要請し偽装物件の洗い出しを急ぐ。

今までがザル(ノーチェック)状態だったのだろう。構造計算書の「二重チェック」 で不備が指摘されたらコスト高になるから、時間が経って甘くなるのを待っているのだろう。

建築確認の審査を厳しくした改正建築基準法の施行の影響で、仕事がなくなったからといって 国土交通省に泣きつくのはおかしい。 「安全性に影響しない設計変更や修正は認めるようにするなど、柔軟な対応を求める」と しているが安全性に影響しない判断基準を明確にしないと抜け穴を作ることになる。

着工戸数減で建築士団体、建築確認への柔軟対応を要望 10/02/07(読売新聞)

 建築確認の審査を厳しくした改正建築基準法の施行後、住宅の着工戸数が大幅に減少している問題で、社団法人「日本建築士事務所協会連合会」(東京都中央区)は2日、安全性に影響しない設計変更や修正は認めるようにするなど、柔軟な対応を求める要望書を国土交通省に提出した。

 要望書は、軽微な計算ミスの修正やドアの位置の変更も一切認めないような審査の厳格化により、「大きな混乱が見られ、審査手続きが停滞している」と指摘。〈1〉自治体や確認検査機関の審査について、厳しさのバラツキをなくす〈2〉申請前に自治体などの審査側に相談や質問をできるようにする〈3〉審査で不当な対応をされた場合、国に訴えられる窓口を設ける――ことなどを求めている。

ヒューザー元社長の小嶋被告に懲役5年求刑…耐震強度偽装 09/25/07(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、マンションが強度不足と知りながら販売し、代金をだまし取ったとして、詐欺罪に問われた開発会社「ヒューザー」(東京都、破産)の元社長・小嶋進被告(54)の論告求刑公判が25日、東京地裁であった。

 検察側は「被告は(マンションが)危険な商品と知りながら、購入者から虎の子の資金を奪った。開発業者として最低限のモラルすら欠いた卑劣な犯行」と述べ、懲役5年を求刑した。

 論告で検察側は、「被告は部下から構造計算書が改ざんされていることを報告され、危険な物件と認識した上で引き渡しを指示した」と指摘。「地震時における人命や他人の財産に対する危険を無視し、ヒューザーの資金繰りや存続といった自分の利益を優先させた」と厳しく批判した。

 一方、小嶋被告は公判で、「部下に引き渡しを指示したことはない」などと、無罪を主張している。

 論告によると、小嶋被告は2005年10月、元1級建築士・姉歯秀次被告(50)(控訴中)が神奈川県藤沢市のマンション「グランドステージ藤沢」の構造計算書を改ざんし、建物が安全でないと知りながら、売買契約を結んだ11人から計約4億1000万円をだまし取った。

戸建て住宅の強度不足、1級建築士2人を国が資格取り消し 09/10/07(読売新聞)

 東京都練馬区の建て売り会社「一(はじめ)建設」が分譲した一戸建て住宅に強度不足が見つかった問題で、国土交通省は10日、同社から外注を受けて住宅を設計した1級建築士2人について、今月4日付で資格取り消しと、3か月の業務停止処分にしたと発表した。

 この問題で資格取り消しは11人目。今回から、改正建築士法に基づき、処分された建築士の名前なども公表された。

 同省によると、資格取り消しの1人は壁の耐震強度が不足した一戸建て住宅計12件の設計を担当しており、同省住宅局では「違反建築の設計を繰り返し、特に責任は重い」と判断した。

建築確認した群馬県を提訴 耐震偽装でホテル運営会社 09/13/07(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で、構造計算書が改ざんされていた群馬県渋川市のビジネスホテル「エクセルイン渋川」を運営するさいたま市の「川村建設」は13日までに、建築確認をした群馬県に対して補強工事代や休業補償費など約2億4000万円の損害賠償を求める訴訟を前橋地裁に起こした。

 訴状によると、川村建設は平成15年2月に「平成設計」に基本設計図の作製などを依頼し、群馬県は同年4月、建築確認を出した。ホテルは16年1月にオープンしたが、県は17年11月、構造計算書が改ざんされていたと発表。川村建設は18年4月に補強工事に着手し、同年6月に再オープンした。

 川村郁夫社長は「群馬県の確認業務が社会通念上適切かどうか判断していただきたい」、県は「訴状が届いたばかりなので、今後対応を検討する」としている。

今までがザル(ノーチェック)状態だったのだろう。構造計算書の「二重チェック」 で不備が指摘されたらコスト高になるから、時間が経って甘くなるのを待っているのだろう。

構造計算書の「二重チェック」で建築確認申請が激減 08/28/07(読売新聞)

 耐震強度偽装事件の反省から導入された構造計算書の「二重チェック」がスタートして2か月余。ところが、対象となる建築確認の申請そのものが激減し、中には7月末までゼロの自治体もある。

 審査の厳格化で、計算にミスがあると再申請が必要となり、建築主らが申請に慎重になっているためとみられる。検査機関の収入も大幅に予想を下回るなど、各方面に影響が広がっている。

 二重チェックは、6月20日の改正建築基準法の施行に伴い導入された。高さ20メートル超の鉄筋コンクリート造などが対象で、自治体や民間の検査機関が建築確認を行う際、1級建築士らから選んだ判定員が構造計算書を再計算して偽装の有無を確認するものだ。

 民間の確認検査機関大手の日本ERI(東京都港区)では改正法施行後、チェックの対象となる該当物件の確認申請はわずか20件(今月1日現在)。施行前は、毎月1000件前後だったため、一気に50分の1ほどに減ったことになる。このため同社は7月末、7~8月の手数料収入などの予想を約4億5000万円下方修正した。同社は「建築需要は減少していない。そろそろ売り上げも回復できると思うが、新制度の影響は予想以上だ」(広報担当者)と驚きを隠さない。

 建築確認窓口の自治体も事情は同じで、神奈川、埼玉県では対象物件の申請件数は、いずれも7月末までゼロとなっている。

 一方、構造計算書の再計算を行う判定機関の一つ、財団法人日本建築センター(千代田区)。常勤14人、非常勤240人の判定員を抱える同センターでは、毎月500件程度(全国の約1割)の判定を見込んでいたが、受け付けは今月10日現在、新潟4件、栃木2件、東京、埼玉、岩手各1件の計9件だけ。同センター構造判定部では「出足の鈍さに戸惑っている」と打ち明ける。

 構造計算を行う建築士が加盟する社団法人日本建築構造技術者協会(同)などでは、「設計図面や計算にミスが見つかれば、手数料をまた払って申請し直す必要があり、チェックの厳しさを見極めている状態ではないか」と分析する。

 「建築主が早期着工や完成を求めても、制度が定着してスムーズに動くまでに1、2年は必要だろう。安全・安心を実現するには時間もコストもかかる」。都内のベテラン建築士はそう指摘する。

コストカットの影響かもしれないが、こんな状態では問題が起きても不思議でない。

積水ハウス:建設現場に監理技術者置かず…営業停止処分 08/27/07(毎日新聞)

 国土交通省近畿地方整備局は27日、積水ハウス(本社・大阪市)が名古屋市内のマンション建設現場2件に建設業法で義務付けられた監理技術者を置いていなかったとして、同法に基づき9月11~25日の15日間、愛知、岐阜、静岡、三重の4県で戸建てを含めた民間工事の営業を停止する処分をした。同社が営業停止処分を受けるのは初めて。和田勇社長は記者会見して謝罪し、役員報酬の減額など社内処分を検討していることを明らかにした。

 同社で4県を担当する名古屋特建事業部は、8月に完成した名古屋市北区のマンション新築工事で監理技術者を任命したが、この社員は着工から半年間、一度も現場に行かなかった。さらに、2月に完成した同市名東区のマンション工事では、法律では認められていない取引先からの出向社員を監理技術者にしていた。【上田宏明】

耐震偽装:木村元社長に有罪 「資質欠き悪質」 東京地裁 08/10/07(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、構造計算書の改ざんを知りながらホテル建設代金をだまし取ったなどとして詐欺と建設業法違反の罪に問われた木村建設(熊本県八代市、破産)元社長、木村盛好被告(75)に対し、東京地裁は10日、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)を言い渡した。角田正紀裁判長は「安全を顧みず、建築業に携わる者として最低限備えるべき資質を欠いた悪質な行為」と指摘する一方、「詐欺行為は必ずしも積極的でないる」と述べた。

 判決は、木村被告が篠塚明・元東京支店長(46)=有罪確定=から、元1級建築士の姉歯秀次被告(50)=1審実刑、控訴中=による改ざんの報告を受け、遅くとも05年10月28日にはホテルの安全性が確認されていないことを認識したと認定。担当役員にホテル側への工事代金請求をやめさせる義務があったのに、止めなかったことが詐欺行為にあたると判断し、無罪主張を退けた。

 その上で「木村建設と姉歯被告の間で損失を処理すべきなのに、第三者に不利益を転嫁した身勝手な犯行」と断罪。一方で「最も非難されるべきは姉歯被告」とも述べた。

 判決によると、木村被告は姉歯被告による構造計算書の偽造を認識し、安全性が確認されていないことを知りながら、05年11月、木村建設が建設したサンホテル奈良(奈良市)の建設代金を請求し、代金の一部2億2500万円をホテル側から詐取した(詐欺)。また同社の04年6月期決算が債務超過だったのに、黒字と粉飾した書類を国土交通省に提出し、特定建設業の許可更新を受けた(建設業法違反)。【北村和巳】

「渋谷区によると、施設所有者のユニマット不動産(港区)と施工業者の大手ゼネコンの大成建設(新宿区)は 建築基準法に基づき民間検査機関に建築確認を申請した。工事終了後の05年12月に完了検査を 受けているが、配管やポンプの部屋の天井は同法のチェック項目ではないという。」

また、制度や法の不備が明らかになった。行政は、法のチェック項目以外はチェックしない事を 全体として対応するべきだ。

シエスパ事故:配管、設計図と異なる 天井も完成時になく 07/18/07(毎日新聞)

 東京都渋谷区の女性専用温泉施設「シエスパ」の爆発事故で、爆発が起きた温泉くみ上げ施設内の配管が設計図通りに設置されていなかったことが関係者の話で分かった。設計と異なる配管に問題があった可能性もある。19日で事故から1カ月。警視庁捜査1課と渋谷署は現場検証を継続中で、今後、原因究明のために再現実験を行うことも検討している。

 爆発はくみ上げ施設の地下1階にある部屋に何らかの原因で天然ガスが充満し、引火して起きたとみられる。室内には、地下からポンプでくみ上げた温泉と天然ガスを分離させる「ガスセパレーター」や貯水タンクなどが設置されていた。関係者によると、温泉をくみ上げている部屋から爆発が起きた部屋に、設計図にはなかったガス抜き用配管が通るなど、配管の状態が事故時と設計図とで異なっていたという。

 当初の設計では、ポンプの部屋にコンクリート製天井を設けることになっていた。だが、施設完成時に天井はなく、昨年1月の開業後に騒音対策で施工された。この際に配管が変更された可能性もあるという。

 渋谷区によると、施設所有者のユニマット不動産(港区)と施工業者の大手ゼネコンの大成建設(新宿区)は建築基準法に基づき民間検査機関に建築確認を申請した。工事終了後の05年12月に完了検査を受けているが、配管やポンプの部屋の天井は同法のチェック項目ではないという。

 温泉の天然ガス対策は施設任せになっている。総務省消防庁の全国調査では、シエスパ同様、くみ上げ施設が屋内にある479施設のうち、ガス検知器を設置していたのは22施設(5%)しかなく、108施設(23%)は換気設備も設置していなかった。【鈴木泰広、川上晃弘、佐々木洋】

JFE側は岩瀬光治社長らが12日会見で「フジテックから『市中の鋼材でいいから』と要請されたといい、 検査証明書も偽造したという。」ことが事実であるならたいへんなことだ。

食肉製造加工会社「ミートホープ」のミンチ偽装問題 と同様にひどい。 鋼材の納入元:JFE商事建材販売 は、顧客の要望があれば、検査証明書を偽造することを意味している。そして、フジテック(滋賀県彦根市) のために検査証明書を偽造したのがはじめてなのか、それても、過去にも同様に検査証明書を偽造を依頼が あれば行っていたのか、行政は調査する必要がある。また、他の企業も検査証明書を偽造を行ったことが あるのか調べる必要もある。

経産省、JFE側を厳重注意 エレベーター強度偽装 07/14/07(毎日新聞)

 フジテック(滋賀県彦根市)製のエレベーターに設計よりも強度の低い鋼材が使われていた問題で、経済産業省が、鋼材を納入していた商社、JFE商事建材販売(大阪市)から事情聴取し、厳重注意していたことがわかった。建築物の安全を所管する国土交通省は、偽装は1万2000基のエレベーターだけにとどまらない可能性があるとして、経産省と連携して原因究明と再発防止策を進める考えだ。

 関係者によると、経産省は、親会社のJFE商事(東京都)と、グループ中核の大手鉄鋼メーカー、JFEスチール(同)からもすでに事情聴取。フジテックからも報告を受けたという。

 経産省が問題視しているのは、JFE商事建材販売が強度の低い鋼材をフジテックに納めた際、高強度の鋼材だと保証する虚偽の検査証明書を提出していた点。JFE側は「フジテック社員も(虚偽を)了解していた」と主張しているが、同省は「明らかに不適切だ」として厳重注意し、あわせて再発防止策の報告も求めた。

 鋼材取引をめぐっては、JFE側が検査証明書の偽造を認め、「フジテック社員と合意のうえだった」としているのに対し、フジテックは「すり替えは知らなかった」と反論するなど真っ向から対立。国交省は今月末にフジテックから報告を受けた後、JFE側にも再聴取する意向だ。

 エレベーターの安全は建築基準法で規定されているが、強度不足の機械を設置したメーカーは、故意でなければ処罰されない。鋼材の強度を偽る行為に、どの法律を適用すべきかも、国交省の見解は定まっていない。

 ただ、鋼材は、さまざまな工業製品や建築物に用いられていることから、大手鉄鋼メーカー系商社による今回の偽装について、両省は「日本の工業や建築の信頼を損ないかねない。社会の安全にもかかわる深刻な事態」と受け止める。国交省が事実の究明を進めるとともに、経産省と連携して再発防止策を検討する方針だ。

強度不足エレベーター:鋼材の納入元と主張に食い違い 07/13/07(毎日新聞)

 フジテック(滋賀県彦根市)が製造したエレベーター560台が鋼材の強度不足で建築基準法に違反していた問題で、フジテック側は「強度不足の鋼材使用の認識はなかった」としているのに対し、鋼材の納入元は「フジテックも承知していたはず」と主張している。強度が弱い鋼材が使用された理由の真相を解明するため、フジテックは弁護士や元検事らによる第三者委員会を設置し、調査することを決めた。

 フジテックによると、かご枠などには「SS400」と呼ばれる鋼材を使うはずだったが、実際には強度が3分の2程度で値段も5~6%安い「SPHC」が、JFE商事建材販売(大阪市)から納入されていた。検査証明書はSS400と偽装されていた。このためフジテックは、SPHCをSS400と思い込んで使ったという。

 この取引が始まった02年9月から今年6月までに、納入量は毎月40トンに上り、エレベーター1万2727台、エスカレーター634台に弱い鋼材が使われた。このうちエレベーター560台が強度不足に陥った。

 JFE側は岩瀬光治社長らが12日会見したが、その説明はまったく異なる。同社はSPHCの納入を意図的と認めたが、その理由は「フジテックの資材部の要望」。SS400は市場流通量が少ないため、納期を急いだフジテックから「市中の鋼材でいいから」と要請されたといい、検査証明書も偽造したという。

 一方、業界関係者によると、鋼材の納入は、市場に左右されずに安定供給を図るため年間取引量を事前に決める例が多い。この関係者は「高品質が必要なエレベーターの部材確保には、年間取引が必須だ」と言い、両社の取引のずさんさが問題の背景にあると指摘した。【長谷川豊、高橋昌紀】

 ◇緊急点検などで対応に追われ

 フジテック社のエレベーターが設置されている鉄道や病院、観光施設などは13日、緊急点検するなど対応に追われた。

 JR大崎駅(品川区)では、改札口と山手線ホームをつなぐエレベーター2台が利用できなくなり、電動車椅子の乗客を駅員数人が階段を使って運んだ。JR東日本によると、首都圏の7駅で14台の運行を停止。14日朝からは、うち13台について減速して運転を再開する。

 東京・六本木ヒルズにある「けやき坂コンプレックス」(地上7階、地下3階)では1台が強度不足と判明。管理する森ビル広報室は「メーカーは早急に改修工事をして」と困惑気味だ。格安家賃で批判を浴びた港区の衆議院赤坂議員宿舎では、7台のうちの1台を停止させた。メーカーの安全確認後に運転再開する。

 和歌山県は、県庁南別館の1台を止めた。南別館は大規模災害時、防災センターとなるだけに、県は「一日も早く対応して」と話す。滋賀県彦根市の彦根城で開催中の「国宝・彦根城築城400年祭」では、会場に仮設のフジテック寄贈のエレベーターがあり、午後から運転をやめた。奈良県立医大病院(橿原市)では、病棟の一般用3台に職員が乗り込んで、運転を続けた。

牛肉偽装の告発情報、農水省と道庁の検証は“灰色決着” で幕引きをしたから、強度不足エレベーターにも伝染したか??????

フジテック株式会社は ISO9001を取得している。 JQAが発行した証書の写真まで公開している。 また、「フジテックは品質保証の国際規格「ISO9000」シリーズの認証を日本、フジテックホンコン、フジテックシンガポール、 フジテックUK、フジテックコリア、フジテックタイワン、華昇フジテック(中国)、上海華昇フジテック(中国)、 フジテックエジプトが取得し、グローバルな品質体制の下、世界の人々に信頼される商品づくりを目指しています。」 とホームページで書かれています。

「会見したJFE商事建材販売の岩瀬光治社長は、両社の担当者レベルで口頭の合意があったと 明かした上で、『強度の強い鋼材は市場では手に入りにくく、納入まで時間がかかることを 説明していたが、短期の納入を依頼された』などと説明した。」

「フジテックは、注文通りの割高な金額を支払ったと主張しているが、JFE商事建材販売では、 『納入する際には、強度が弱い鋼材の価格(割安の価格)の金額を受け取った』としている。」

たぶん、JFE商事建材販売の岩瀬光治社長の発言の方が信頼できるだろう。 フジテックは ISO9001を取得している のだから、全てのプロセスにおいて、検証出来るように記録が残っているはずである。 JFE商事建材販売への発注も記録又は書類による発注になっていると思う。 また、エレベーターの製造工程で書類の間違いがあっても、現場の人間は納入された鋼材が 違うことに気付いていたに違いない。もし、気付かなかったのであれば、鋼材の違いも分からない 人間しか現場にいないことになる。いずれにしても、ISOの不備である。

両社の担当者レベルで口頭の合意があったことはISOでは記録する必要がある。 もし、問題があれば「強度の強い鋼材は市場では手に入りにくく、納入まで時間がかかることを 説明していたが、短期の納入を依頼された」等のメモなり理由が記載される。 今回のように、問題が発覚すれば担当者の責任もしくは、担当者の上司が知っていれば、 担当者及び上司の責任であるとことが明確に、簡単に分かる。

牛肉偽装の告発情報に関する農水省と道庁の検証 のような説明だけの幕引きはありえない。社会保険庁の問題の理由の1つに「日の丸親方」と あったが、懲戒免職にならない、適当な理由(屁理屈)をつけてうやむやに出来るメリットが「日の丸親方」 と解釈している。

農林水産省北海道庁 が悪い模範になるから、おかしなことが起こる。役人よ、見逃してやるのか? 農林水産省 職員が簡単な処分で終わるから??

強度不足エレベーター、36都道府県で…第三者委を設置へ 07/13/07(読売新聞)

 エレベーターの安全上の問題がまた発覚した。強度不足が判明した「フジテック」(滋賀県彦根市)製の560基は、36都道府県の集合住宅や商業ビル、JRの駅などに設置されていた。

 「注文とは異なる弱い鋼材を納入された」。フジテック側は12日の記者会見で、納入元の「JFE商事建材販売」(大阪市)の責任を強調したが、同社は「フジテックと合意の上だった」と反論。両者の見解が食い違っているため、フジテックは、元検事らで作る第三者委員会を近く設置し、7月末までに調査結果を公表するとしている。

 同日夜、東京・霞が関の国土交通省で、まず、フジテックの内山高一社長らが記者会見。JFE商事建材販売が、注文していた鋼材よりも強度が弱く、1キロあたり3~4円値段の安いものを納入していたことを明らかにした。「問い合わせたところ、どういう形で鋼材を納入したのか、記録がないとの回答で、すべてが注文とは別の鋼材だったと考えざるをえない」と指摘。「わが社の関係する担当者のヒアリングもしたが、合意した事実は確認できなかった」と話した。

 これに対し、続いて会見したJFE商事建材販売の岩瀬光治社長は、両社の担当者レベルで口頭の合意があったと明かした上で、「強度の強い鋼材は市場では手に入りにくく、納入まで時間がかかることを説明していたが、短期の納入を依頼された」などと説明した。

 また、強度が弱く割安の鋼材を、実際にいくらで納入していたかについても、見解が異なっている。フジテックは、注文通りの割高な金額を支払ったと主張しているが、JFE商事建材販売では、「納入する際には、強度が弱い鋼材の価格(割安の価格)の金額を受け取った」としている。

 フジテックは、「まだ所有者に知らせていない」との理由から、強度不足のエレベーターが設置されている具体的な施設名を公表していない。しかし、JR東日本は12日、560基のうち、14基がJR大崎、荻窪、横浜など7駅にあり、安全が確認されるまで使用中止にすると発表した。

エレベーター:フジテック製の強度不足判明、改修を指示 07/12/07(毎日新聞)

 国土交通省は12日、フジテック(滋賀県彦根市)が製造したエレベーター560台のかご枠などに使っている鋼材の強度が基準の3分の2しかなく、建築基準法に違反していたと発表した。大地震などの際にかごがゆがみ、通常の走行ができなくなる可能性がある。同省は、自治体を通じてエレベーターの所有者に補強工事の実施を求めるとともに、工事完了までは利用人数を制限するよう指導する。

 同省やフジテックなどによると、弱い鋼材が使用されたとみられるのは、02年9月~今年6月にフジテックが製造したエレベーター560台。設計上の強度よりも3分の1程度弱い別の鋼材を使っていた。

 使用されているのは、36都道府県のマンションや事務所、病院など多岐にわたり、JR西日本の各駅では約150台に達する。建築基準法は、エレベーターの強度を通常運行時の3倍の安全率を見込んでいるため、同省は「今回の強度不足で直ちにかご枠が破壊されたり、ゆがんだりすることはない」とみている。

 この日記者会見したフジテックの内山高一社長によると、鋼材の購入先のJFE商事建材販売(大阪市)との取引では、書類上は設計通りの鋼材が納入されていることになっていた。しかし、J社が6月28日、「別の商品を納入していた」と報告してきたという。【長谷川豊、高橋昌紀】

天井に多数の亀裂、三重・桑名市のマンションで20戸転居 06/24/07(読売新聞)

 三重県桑名市の分譲マンションで、天井に多数の亀裂が生じ、住人の依頼で調査した検査機関も構造上の欠陥を指摘したため、全59戸のうち約20戸の住人が転居したことが24日、わかった。

 分譲した三交不動産(津市)は住人に文書で謝罪し、退去する場合、部屋を販売価格の90%で買い取ることを提示するとともに、原因を調査している。

 欠陥が見つかったのは、桑名市明正町の鉄筋鉄骨造り15階建て「サンマンションアトレ益生(ますお)駅西」。準大手ゼネコンの鴻池組(大阪市)が施工し、2004年1月に完成した。3LDK~4LDKで、1戸約1750万~3360万円で分譲された。

 天井の亀裂は05年3月ごろに見つかった後、多数の部屋で発生していることがわかり、住人らは昨年9月、第三者機関「日本建築検査研究所」(東京)に調査を依頼した。

 同研究所の1級建築士らがまとめた報告書では、亀裂が生じている状況が「ほぼすべての住戸で確認された」としている。原因については「天井内部の補強用鋼材の配置に不備がある」と分析した。

 三交不動産経営管理本部の坂井義行総務部長は、「設計に問題はなかったが、建築に何らかのミスがあった」としたうえで、「原因や耐震強度については、第三者機関の日本建築構造技術者協会に依頼して調査中で、7月中旬には結果を報告したい」と話した。

朝日新聞(2007年6月24日)より

三重の15階建てマンション 欠陥で退去相次ぐ

三交不動産分譲

1級建築士7人の資格取り消し、一戸建ての強度不足設計で 06/19/07(読売新聞)

 建て売り会社「一(はじめ)建設」(東京都練馬区)と同「アーネストワン」(西東京市)が分譲した一戸建て住宅に強度不足が見つかった問題で、国土交通省は19日、設計業務の外注先で強度不足の住宅を設計した1級建築士7人を資格取り消し、同15人を10~3か月の業務停止処分とした。

 この問題で資格取り消しは計15人となった。

 同省では、資格取り消しの7人については、「強度不足の物件が1人あたり最大20戸に上り、悪質」と判断した。

姉歯物件・グランドベイ横浜、市の確認ミスで強度低下判明 06/16/07(読売新聞)

 元1級建築士・姉歯秀次被告による耐震強度偽装物件の「グランドベイ横浜」(横浜市鶴見区、10階建て)について、横浜市は16日、これまで63%としていた耐震強度がさらに下回る可能性が高いと発表した。

 偽装発覚後、市から再計算を指示された施工業者が、正確な計算に必要な完成後の「竣工(しゅんこう)図」でなく、工事中の図面を基にしたため、建物の荷重を実際より約485トン少なく見積もって計算したという。

 市は2005年12月、この業者の報告を基に再計算結果を発表したが、住民側が依頼した設計事務所の調査で、耐震強度が過大に見積もられているとの指摘があり、市が今月から強度の再検証を進めていた。

 市は「竣工図での計算と思い込んでいた。業者側に確認しなかったのはミスだった」としているが、耐震壁などの強度を最低に見積もった場合でも、強度は53%以上で、建て替え対象となる50%を下回る恐れはないと説明している。

耐震強度不足:ハザマ施工の福島市のマンション 入力ミス 05/12/07(毎日新聞)

 福島市は12日、ゼネコン「ハザマ」(本社・東京都港区)の東北支店が設計・施工した同市曽根田町の賃貸マンション「リエス曽根田」(地上7階建て、44戸)の耐震強度が不足していると発表した。下請けの福島市内の設計会社が構造計算した際、入力する値を誤ったという。1階部分の耐震強度は基準の65%で、建て替えの必要はなく、ハザマは補強工事する方針。

 同市によると、マンションは05年2月に完成し、現在42世帯が入居している。携帯電話用のアンテナを屋上に設置するため、同社が耐震強度を再計算したところ、強度不足が判明、同市に報告した。04年7月の建築確認の際に耐震強度を調べた確認検査機関の財団法人「ふくしま建築住宅センター」はミスに気付かず、耐震偽装問題が発覚した05年12月に再検査した際も見過ごしていた。

 ハザマ経営企画本部の武藤文昭広報室長は「住民には大変申し訳ない。了解を得られ次第、早急に補強工事に取りかかりたい」と話している。【今村茜】

田村水落設計事務所、富山県が登録を取り消し 05/15/07(読売新聞)

 富山市の設計事務所「田村水落設計」所属の水落光男・元1級建築士が構造計算した全国のホテルやマンションに耐震強度の偽装などが見つかった問題で、富山県は14日、同日開かれた県建築士審査会の同意を得て、建築士法に基づき同事務所の登録を取り消した。

国交省:建築確認検査15機関で問題点、文書で指導 05/10/07(毎日新聞)

 国土交通省は10日、自治体に代わって建築確認を行うことができる国交相指定の16民間確認検査機関への立ち入り検査結果を発表した。まったく問題がなかったのは1機関だけで、15機関で国の規定に合わないなど問題点が見つかったが、書類の記載漏れなど形式的な不適合が多かった。同省は「重大な過失はなく、法律に基づいた監督命令の必要はない」として、文書での行政指導にとどめた。

耐震偽装:神戸の分譲マンションでも アパグループ 05/09/07(毎日新聞)

 田村水落設計(富山市)による耐震強度偽装問題で、国土交通省と神戸市は9日、「アパグループ」の同市中央区の分譲マンション「アパタワーズ神戸三宮」(249戸)の設計図面に偽装があり、強度が不足していたと発表した。最弱部分の耐震強度は基準の96%。倒壊の恐れはなく、同グループが改修する方針。

 同設計が関与した入居済みマンションで強度不足が判明したのは、新潟県三条市、名古屋市に続き3例目。

 神戸市の調べでは、マンションは15階建てと20階建ての2棟構成。いずれも建物にかかる力を低く見積もったうえで、構造計算書の一部を差し替えた疑いがある。このため、鉄筋不足などにより数百カ所の柱や梁などの強度が不足していた。しかし、構造設計を担当した水落光男・元1級建築士=免許取り消し=は、偽装の意図を否定しているという。【長谷川豊】

「アパ」耐震強度不足、名古屋のマンションでも 04/26/07(読売新聞)

 富山市の設計事務所「田村水落設計」が構造計算した「アパ」グループのホテルなどで耐震強度不足が発覚した問題で、名古屋市は26日、同市中区の分譲マンション「アップルパレス丸の内」(15階建て、102戸)でも耐震強度が60%しかないと発表した。

 同マンションは「アパ建設」(本社・金沢市)が設計と施工を担当し、2004年7月に民間の指定確認検査機関「日本ERI」が建築確認を行っていた。

アパ」2棟で意図的な偽装、不適切計算…三条市調査 04/12/07(読売新聞)

 新潟県三条市にある「アパ」グループの分譲マンション2棟で耐震強度不足が見つかった問題で、同市は12日、2棟の構造計算で意図的な偽装や不適切な計算など悪質な改ざんがあったことを明らかにした。

 市によると、偽装が発覚したのは一部の耐震壁の計算。斜めにひび割れが入り、建物にとって深刻な損傷となる「せん断破壊」が確実に生じる場合は、その部分に、コンピューターのプログラムで自動的に記号が出るが、出てきた記号を手入力して改ざん、安全なように装っていた。

 また耐震壁の保有耐力の算定では、国土交通省の強度式を入力すべきところを日本建築学会の式を故意に直接入力。耐力が2~3割上回るような不適切な計算方法をとっていた。

 2棟の物件は、各地のホテルなどで耐震強度不足が相次いで発覚した富山市の設計事務所「田村水落設計」が構造計算した。三条市は「国交省認定のプログラムを使用する場合の条件から大きく逸脱した行為」として、アパ側を口頭で指導し自主的な是正を求めた。

「アパ」マンション、新潟でも耐震強度不足 04/12/07(読売新聞)

 富山市の設計事務所「田村水落設計」が構造計算した「アパ」グループのホテルなどで耐震強度不足が見つかった問題で、新潟県三条市の分譲マンション2棟も、耐震強度が85%にとどまっていることが11日、同市の調査でわかった。

 強度不足が見つかったのは、2004年10月に完成した「アパガーデンズ東三条ウエストコート」(9階建て49戸)と、隣接して建設中の「同イーストコート」(同)。耐震強度85%は、震度6強以上の地震が発生した場合、倒壊の危険がある。このため、同市は、補強工事を要請する方針。ただ、アパ側が強度不足を認めず、応じない場合は、建築基準法に基づき、是正勧告する。アパ側は「現時点でコメントは差し控えたい」としている。

 ウエストコートについては、大半が入居しているため、同市は11日夜、住民説明会を開き、今後の対応を協議。同グループのマンションを巡っては今年3月、埼玉県鶴ヶ島市に建設中の物件で耐震強度不足が判明したが、入居済みの物件で発覚したのは初めて。

 イーストコートも現在、6戸が契約済みだが、市が調査に入ったことを受け、今年2月から工事を中断している。

 国土交通省は昨年6月、田村水落設計が関与した全国42物件について各自治体に調査を要請。三条市が対象2棟の構造を再計算した。

アパ耐震偽装:新潟県三条市の分譲マンションでも 04/12/07(毎日新聞)

 「アパグループ」を舞台にした「田村水落設計」(富山市)による耐震強度偽装問題で、新潟県三条市にある同グループの分譲マンションで偽装があり、耐震強度が不足していることが同市の調査で分かった。同設計による強度不足物件は、ホテル・マンション合わせて計7件となる。

 問題のマンションは、「アパガーデンズ東三条イーストコート」(9階建て、49戸」。耐震強度は補修が必要な基準の80%程度で、国土交通省が建て替えの目安としている50%を上回っていた。構造設計は、水落光男・元1級建築士(免許取り消し)が担当していた。

 同マンションは建設中の2月に、一連の問題が発覚したことを受けて工事を中止している。【種市房子】

八王子の都市機構マンション、欠陥10棟改修手付かず 04/07/07(読売新聞)

 都市再生機構(旧・都市基盤整備公団)が東京都八王子市で分譲したマンション群で、大規模な手抜き工事が最初に見つかってから今年で10年となる。

 全46棟のうち、20棟は全面的な建て替えとなり、16棟は補修工事が終わっている。しかし、残る10棟248戸は機構側と住民側との交渉が平行線をたどり、改修方法も決まっていない。機構は既に300億円以上を補償につぎ込んでいるが、全面解決への道筋は見えない。

 5棟では約10年前から雨漏りやひび割れが発生。機構は2004年、「セメントの接合などに不具合があった」との調査結果を示した上で、補修を行うことで住民側と協定書を交わした。ところが、その後、建て替えが決まったマンションで鉄筋不足などの深刻な欠陥が判明。住民は態度を硬化させ、協定の白紙撤回や壁を壊して鉄筋数などを確認する抜本調査を求めた。

 7回目の会合で、機構は「協定書で合意した以上の調査はできない」と従来の主張を展開。3時間半の押し問答の末、物別れに終わった。住民の一人は「調査に応じないのは、新たな欠陥が明るみに出て、建て直しを余儀なくされるのを恐れているためではないか」と不信感を募らせる。

 一方、残りの5棟でも、住民側の反発は強い。このうち2棟は機構が構造計算書を紛失した上、作り直した計算書にも誤りがあることが判明。機構は昨年、ようやく当初設計に問題があることを認めたが、住民側は協議の場につくことを拒んだままだ。

 マンション群の当初の建設費は約200億円。機構は2005年度末までに、建て直しや補修費などに265億円、住民の仮移転など引っ越し費用約40億円、現地事務所の維持費31億円と、計335億円を投じている。

 このほか、住民との交渉や建て替え工事の監督のため職員約50人を常駐させており、人件費もかさむ。また、機構管理の賃貸住宅などに仮移転中の住民は約330世帯に上り、機構はその分の家賃収入も失っている。交渉が長引くほど財務負担は膨らむばかりだ。

 国土交通省住宅局の幹部は「解決が長引き、協議のテーブルにもついていない住民がいるのは機構側の責任だ。住民に改めて謝罪して協議の土壌をつくるべきだ」と話している。

 同機構は「解決に向けて努力しているが、交渉の内容については言えない」としている。(地方部 畑武尊)

戸建て分譲の「一建設」、強度不足新たに588棟 03/30/07(読売新聞)

 東京都練馬区の戸建て分譲会社「一(はじめ)建設」が販売した住宅に耐震強度不足が見つかった問題で、すでに判明している681棟に加え、新たに588棟で強度不足が確認されていたことがわかった。

 同社は昨年6月の公表時、過去に分譲した2万7000棟の「全棟を調査した」と説明していたが、実際は3割程度の抽出調査しか行っておらず、問い合わせてきた購入者にも虚偽の説明をしていた。

 同社は昨年6月、耐震強度偽装事件を受けて実施した自主調査の結果、2000年6月以降に分譲した2階建て木造住宅のうち、外部の建築士に設計を委託した681棟の設計にミスがあったと公表した。

 同社は、この際、報道機関の取材に「全棟を調査した」と説明。電話などで問い合わせてきた681棟以外の購入者にも、「今までに当社から連絡がないのなら問題がないと考えてほしい」と話していた。

 ところが、実際は、問題が見つかった特定の建築士の設計物件を中心に限定的な調査を行っただけで、その時点で7割は未調査だったのに、「残りは安全」としていた。その後、内部から問題を指摘する声が上がり、昨年7月以降、未調査物件についても調査を実施。新たに588棟に同様の問題点があることが判明し、今年2月に国土交通省に追加報告していた。

 読売新聞の取材に、同社は「誤解を招く説明があった。結果として申し訳ない」と話している。国交省では、「不誠実な対応だ」としている。

耐震偽装:水落建築士ら免許取り消し処分 国土交通省 03/14/07(毎日新聞)

 国土交通省は14日、ホテル・マンション経営のアパグループを舞台に、耐震強度偽装問題を起こした田村水落設計(富山市)の水落光男・1級建築士の免許を取り消すなど1級建築士10人の処分を発表した。これで今年度処分された1級建築士は計60人に上り、過去最高を記録した。

 水落元建築士は「アパヴィラホテル京都駅前」(京都市)の構造計算書を改ざんするなど計9物件で計算書偽造などをしたとして免許を取り消された。国交省の聴取に「意図的に不適切な構造計算をしたのではない」としながらも、ソフト上で「NG」のエラーメッセージを「OK」と上書きするなど、構造計算書の一部を書き換えたことは認めた。国交省は現在も12都府県の関連77物件を調査している。

 このほか住宅販売の「アーネストワン」(西東京市)と「一(はじめ)建設」(東京都練馬区)が分譲し、強度不足が判明した木造戸建て住宅を設計した1級建築士3人も免許取り消し処分とした。

 一方、札幌市を中心としたマンションの耐震偽装問題では、浅沼良一・元2級建築士=免許取り消し済み=に構造計算を依頼した元請け建築士1人を、業務停止6カ月とした。【種市房子】

水落・1級建築士の資格取り消しへ…国交省 03/13/07(読売新聞)

 国土交通省は、京都市内のホテルなどで構造計算書の偽造が確認された富山市の水落光男・1級建築士を資格取り消し処分とすることを決めた。

 14日に中央建築士審査会の同意を得て正式決定する。

 水落建築士を巡っては、全国でホテルチェーンなどを運営する「アパ」グループが建築主である京都市下京区の2ホテル(営業停止)や、千葉県成田市のマンション1棟の構造計算書に数字の差し替えなどが見つかり、耐震強度はいずれも70%台で補強工事が必要とされた。このほか、大阪市内のホテルは設計ミスで一部の部材が強度不足に陥っていた。水落建築士は国交省の聴聞などに対し、偽装を認めていないという。

耐震偽造:大阪「アパホテル天王寺駅前」も強度不足 02/14/07(毎日新聞)

 大阪市は14日、田村水落設計(富山市)が構造計算を担当した「アパホテル天王寺駅前」(同市阿倍野区、地上14階地下1階)の耐震強度が一部で基準の70%程度しかなかったとの調査結果を発表した。「田村水落-アパグループ物件」での強度不足発覚は、京都市のホテル2棟、千葉県成田市のマンション1棟に次いで4件目。発表を受けて、同ホテルは14日で営業を停止し、補強工事を行うという。

 同市によると、調査は国土交通省の指示で、市内の別のマンション1棟とともに実施。マンションには強度不足はなかったが、同ホテルの2階の梁(はり)2カ所で地震の際の水平耐力が、必要とされる強度の約70%しかなかった。

 市によると、直ちに取り壊しなどの必要はないが、耐震補強が必要な水準で「地震が起こった場合、構造上重要な下層の階が大きな損傷を受ける可能性がある」という。【野原靖、犬飼直幸】

下記の記事が正しいとすると、一級建築士を取得しても構造計算を問題なく計算することは 無理だと証明しているようなものだ。故意であろうが、なかろうが、問題を解決することはできない。 構造計算を行うことが出来る建築士の資格について検討が必要だ。

朝日新聞(2007年2月4日)より

水落建築士の耐震偽装問題 専門家「姉歯事件と異質」

「市は両物件の建築確認をした指定確認検査機関「日本ERI」に再検査を指示したが回答のめどが立たず、 マンション住民から不安の声が出ているため、独自のチェックを行うことにした。」 と書かれているが、建築確認機関である 日本ERI株式会社 はなぜ、再検査の回答ができないのか。 国土交通省は、指定確認検査機関「日本ERI」の指定を取り消す検討をしたほうが良い。 何のための建築確認検査機関なのか、よく検討したほうが良い!!

耐震偽装:独自で設計書チェックの方針 名古屋 02/02/07(毎日新聞)

 水落光男1級建築士による耐震強度偽装問題で、水落氏が設計に関与したホテル、マンションがある名古屋市は7日までに、市独自で設計書をチェックし、耐震性の有無を判断する方針を決めた。既に設計書を取り寄せ、作業を始めている。

 市によると、市内には「田村水落設計」が構造計算した「アパヴィラホテル名古屋丸の内駅前」(同市中区丸の内、05年9月完成)とマンション「アップルパレス」(同、06年3月完成)がある。市は両物件の建築確認をした指定確認検査機関「日本ERI」に再検査を指示したが回答のめどが立たず、マンション住民から不安の声が出ているため、独自のチェックを行うことにした。

 市建築審査課はチェック後に水落氏から事情を聴く方針で「2カ月後をめどに建物の耐震性を判断したい」と話している。同ホテルは3月1日から、安全性が確認されるまでの営業休止を決めている。【式守克史】

「アパ」マンションの強度不足、千葉県が補強計画要請 02/02/07(読売新聞)

 富山市の水落光男・1級建築士による京都市内のホテルの耐震強度偽装問題で、千葉県は2日、水落建築士が構造計算し、アパグループが千葉県成田市で建築中のマンション「アパガーデンパレス成田」1棟(11階建て、44戸)を強度不足と認定し、アパ側に補強計画書の提出を求める方針を決めた。

 国の基準の74%しか強度がなかった。

 水落建築士による強度偽装問題で、マンションの強度不足が確認されたのは初めて。

 同マンションは5棟(1棟は駐輪場)あり、うち2棟について、指定確認検査機関イーホームズ(廃業)が昨年3月、「疑問点がある」と県に報告。県は工事の停止を指示し、構造計算をやり直した。その結果、1棟について、梁(はり)の鉄筋量などを巡り強度不足の可能性があるとした。

 これに対し、水落建築士は「問題ない」と主張。県は11月、日本建築防災協会に助言を依頼、同協会は、県側の主張を大筋で妥当との意見書を提出した。

 疑問があるとされたもう1棟について、県は強度に問題はない、と判断した。

アパグループ:マンション強度不足で千葉県が是正要求 02/02/07(毎日新聞)

 京都市のホテルの耐震強度の偽装が明らかになった「アパグループ」が建設中の千葉県成田市のマンション「アパガーデンパレス成田」について、同県は2日、5棟のうち1棟の強度が基準の74%しかないことを明らかにした。県はアパ側に補修工事などによる是正計画の提出を求める。同マンションは京都市のホテルと同様、富山市の「田村水落設計」の水落光男・1級建築士が構造計算をした。

 同マンションは12階建て約130戸。民間検査機関「イーホームズ」の検証で昨年3月に構造計算書に疑問点がみつかり、建設工事を中断している。入居予定者は既に全員が契約を解除している。

 同県が同5月に改めて検証したところ、梁の鉄筋量の算定に標準的ではない手法が用いられていた。しかし、水落建築士が正当性を主張したため、県は同11月、国交省の外郭団体「日本建築防災協会」に助言を求めていた。1日に県が受けた回答は県側の主張に沿った内容だったため、強度不足と断定した。【山本太一】

イーホームズの指摘がなければわからなかったこと。甘いね、チェックが!! 日本は、検査や記録、提出書類の改ざんやごまかし天国だ!!

耐震偽装:アパホテル2棟の筋交い 震度5で損傷可能性 02/01/07(毎日新聞)

 京都市のアパホテル2棟の耐震強度偽装問題で、両ホテルの柱や梁(はり)を補強する筋交いのほぼすべてが、震度5程度の中規模地震で損傷する可能性のあることが市の調査で分かった。

 市によると、水落光男・1級建築士は実際の筋交いの断面積を半分程度にして構造計算を行い、筋交いにかかる力は柱などに分散されて小さくなると導き出した。しかし、市が本来の断面積で再計算すると筋交いにはより大きな力がかかることになり、耐えうる力の許容範囲を超えたという。市は「計算ミスなどではなく明らかな建築基準法違反」としている。

 29日にアパグループが提出した是正計画案では、両ホテルとも筋交いはすべて撤去する予定。筋交いを使わずに、柱と梁で建物を支える構造に改修するという。【山田奈緒、高橋隆輔】

耐震偽装:アパホテル「市が宿泊許可」予約客に虚偽説明 01/29/07(毎日新聞)

 京都市の「アパホテル京都駅堀川通」「アパヴィラホテル京都駅前」の耐震強度偽装問題で、ホテル側が宿泊予約客に「代替施設が確保できない場合は、客が了解すれば当ホテルに無償で泊まれる。市から許可を得ている」と説明していることが分かった。市は今月25日に「速やかな使用禁止」を勧告しており、「許可などありえない」として、28日に使用禁止を改めて指導した。

 「堀川通」のホテルで2月中旬の宿泊予約をしていた関東地方の男性は28日、ホテルから電話で「宿泊予約の翌日まで市から使用許可を得ている」と説明され、「部屋を無償提供するが、どうされますか」と聞かれた。代替施設の有無を聞くと「これから探す」という回答だった。いったん切ったが、不審に感じて「本当に市が許可して泊まれるのか」と電話で確認すると、「許可を得ており構わない」と言われたという。男性は結局、予約をキャンセル。「もし地震が起きた場合はと聞くと、責任は負えないとの返答だった」と呆れている。

 ホテルを運営するアパグループは26日付でホームページ(HP)に「やむをえない場合には両ホテルに宿泊いただくこともある。行政と相談の上、行っている」と告知し、市は同日夜、グループ責任者に使用禁止を再度、指導。28日午後にも改めて「誤った説明をせず、速やかに使用を禁止するように」と指導し、HPの「行政と相談の上」の削除も求めた。

 同グループは「市の指導は真摯に受け止め、可能な限り早く使用を止めたい。誤解のない説明を徹底したい」としている。【太田裕之】

朝日新聞(2007年1月28日)より

耐震偽装調査 自治体は悲鳴

耐震偽造:田村水落設計、積載荷重を基準の半分に設定 01/27/07(毎日新聞)

 京都市の「アパホテル京都駅堀川通」と「アパヴィラホテル京都駅前」の耐震強度偽装問題で、「田村水落設計」(富山市)が構造計算の際、床などにかかる力を示す「積載荷重」を、建築基準法施行令が目安とする数値のほぼ半分の値で算出していたことが、京都市の調べで分かった。

 同施行令は、建築物の実態に応じた積載荷重を設定することを求めており、半分の数値でも違反ではない。しかし、市は「床や柱の材料を削減できて、安全性よりコスト優先の設計につながる」としている。

 市によると、積載荷重の目安は一般的なホテルの床は「1平方メートルにつき180キロ」だが、2棟は100キロで算出。柱は130キロの目安に対して60キロだった。建築確認を受ける際、目安を下回る積載荷重を用いた場合は、室内の家具の状況などを勘案した検討計算書を添付すべきだが、提出されていない。市は建築確認を行った「京都確認検査機構」(同市)に対し、「書類不備を見逃したのは問題だ」と指摘する。

 一方、「京都駅堀川通」を施工した「熊谷組北陸支店」(金沢市)が再計算した同ホテルの構造計算の結果も、強度不足と分かった。昨年6月、国土交通省から田村水落設計が担当した構造計算書を調査するよう指示された市が熊谷組に再計算を依頼。「1・0」に達すれば安全とされる数値は1未満だった。

 田村水落設計の水落光男・1級建築士(58)は、積載荷重計算について、「日本建築学会の建物荷重基準案で示されている数値を採用した。建築基準法上も問題ない。建設コスト全体から見れば構造の部分はわずか」と反論。また、熊谷組の再計算でも耐震強度が基準に満たなかったことについては、「地震について、我々は分かっているようで分かっていない。前提の考え方が人によって違い、10人が計算すれば10通りの値が出ると思う」として、自らの計算結果の妥当性を強調した。

朝日新聞(2007年1月27日)より

再計算書出さず施行 京都のホテル「改ざんと言われればそう」水落建築士

中国新聞(2007年1月27日)より

新たな耐震偽装 徹底した洗い直し急げ

「年約4000件の構造計算の確認をスタッフ6人で担当しているとして、 『一級建築士が提出した書類を端から疑ってかかったら際限がない。膨大な量の構造計算書を 一字一句チェックするのは、時間と労力がかかりすぎて不可能だ』と釈明した。」

民間の指定確認検査機関「京都確認検査機構」が言っていることは本当のことだろう。 つまり、耐震偽装を現状の制度では見つけない。そして、姉歯氏の耐震偽装で再チェックされた 物件でも耐震強度に問題がある可能があることを意味している。

民間の指定確認検査機関と地方自治体の検査部門がもっと専門家を集めないと 耐震偽装の問題の改善はないと言うことだ。また、耐震偽装が見つかった時の建築士及び会社の責任を 明確にし、処分を厳しくするほかは無い。見つからなければ見つからなかったやり方が 問題の発覚まで続けられることになる。

姉歯氏の耐震偽装で問題が解決されていないと思っていたが、今回で制度を改正しなければ 問題の改善につながらないことがわかったと思う。国土交通省の対応を見守りたい。

アパホテルの耐震偽装、検査機関が見落とし認める 01/26/07(読売新聞)

 耐震強度が偽装されていた京都市内の二つのホテルの建築確認を行った民間の指定確認検査機関「京都確認検査機構」(京都市中京区)の樫田攻社長(62)は26日、読売新聞の取材に応じ、「結果として(偽装を)見落としてしまったと認めざるをえない」と語った。

 また、年約4000件の構造計算の確認をスタッフ6人で担当しているとして、「一級建築士が提出した書類を端から疑ってかかったら際限がない。膨大な量の構造計算書を一字一句チェックするのは、時間と労力がかかりすぎて不可能だ」と釈明した。

 一方、ホテルの大浴場など設計変更を巡る構造計算書の再提出漏れを市が建築基準法違反としていることについては「報告だけで済む軽微な変更と区別する明確な基準はない。法律違反だと決めつける京都市の判断は納得できない」と反発した。

京都のアパホテル、再計算書提出せず大浴場の設計変更 01/26/07(読売新聞)

 耐震強度が偽装されていた「アパホテル京都駅堀川通」(京都市下京区)で、最上階の11階の大浴場の配置などを大幅変更し、再度、建築確認申請をした際、構造計算の再計算書が提出されていなかったことがわかった。

 建築確認を行った民間の指定確認検査機関「京都確認検査機構」も手続きの不備を見落としていた。京都市は「大幅な設計変更の場合には、再計算が必要になるのは明らか」として経緯を調べている。

 同ホテルは、2003年8月の建築確認後、着工。その後に11階の大浴場の配置や間取りを変えたり、1~2階の吹き抜けをなくす計画に修正し、翌年12月に再び建築確認申請した。

 大浴場や吹き抜けの変更は床にかかる負担が大幅に変わるため、再申請時には構造計算書を再提出する必要がある。しかし、田村水落設計(富山市)に構造計算を発注した「タスク研究所」(東京都港区)は構造計算書を再提出しておらず、同検査機構も書類の不備に気づかなかったという。

耐震偽装:浴場を設計変更、計算書提出せず アパホテル 01/26/07(毎日新聞)

 京都市のビジネスホテル「アパホテル」の耐震強度の偽装問題で、問題となった2棟のうちの一つ「アパホテル京都駅堀川通」(地上11階地下1階、京都市下京区)で、最上階の大浴場の設計を変更する際、必要な構造計算書が提出されていなかったことが、同市の調べで分かった。

 構造計算は「田村水落設計」(富山市)が工事監理者である「タスク研究所」(東京都)から請け負っていた。同研究所と書類不備のまま変更の建築確認をした「京都確認検査機構」(京都市)は建築基準法に違反する。

 市によると、当初、同ホテルの最上階には南側と北側に二つの浴場を設ける予定で、03年8月に建築確認を受け9月に着工。しかし、浴場を北側1カ所にまとめ、南側を客室に変更し再び建築確認を申請。04年12月に確認が下りた。

 大量の水を使う浴場の位置を変更するなど、床や建物全体への負荷が変わる場合、構造計算をやり直すことが同法で義務付けられている。市は「書類不備の手続き上の問題とはいえ、建物の耐震構造全体に影響を与える大幅な変更をしたのに、構造計算をやり直さないのは悪質」としている。

 ホテルを運営する「アパグループ」(本社・東京都)は「設計管理や手続きはその道のプロにまかせ、確認検査機関も信頼していたのに残念」と困惑している。【山田奈緒】

朝日新聞(2007年1月26日)より

「建築士を過信した」耐震偽装アパ代表ら謝罪

アパ、千葉のマンションも強度不足か 京都発覚の契機 01/26/07(朝日新聞)

 富山市の建築士がアパグループのホテルの耐震強度を偽装していた問題に絡み、千葉県は近く、同じ建築士が構造設計したアパグループのマンション「アパガーデンパレス成田」(同県成田市)の5棟のうち1棟の強度が不足しているとして、アパ側に是正計画の提出を求める方針を固めた。この物件は構造計算書に疑問点が見つかったため昨年3月から未完成のまま工事が中断していた。

 アパグループの京都市の2ホテルで偽装が発覚したのは、このマンションで疑義が生じたことを受け、国土交通省がサンプル調査を始めたのがきっかけ。同じ建築士が手がけた同グループの埼玉県鶴ケ島市の複合マンションも計算書の不備で工事が中断。県が強度不足かどうか検証している。

 「成田」は5棟を組み合わせた12階建て、130戸の複合構造で、田村水落設計(富山市)の水落光男・1級建築士が構造設計を担当。建築確認を出した民間検査機関イーホームズが改めて検証した際に不整合を見つけた。購入契約をした64戸は全戸解約した。

 千葉県の検証では、4棟は強度が十分と判断されたが、残る1棟をめぐり、コンクリートの重さや梁(はり)の鉄筋量の算定に標準と異なる手法が多用されているとする県側と「学術的にも認められた手法」とする水落建築士の見解が対立した。

 このため、県側は日本建築防災協会の委員会に助言を依頼。関係者によると、委員会は県の考え方がより妥当とする意見でまとまったという。

 委員会の意見書は週明けにも正式に県に提出される見通し。県の考え方で再計算すると強度は基準の1を下回るため、県は強度不足と確定し、改修工事による是正を求める方針だ。

 水落建築士は26日の朝日新聞の取材に対して「最初から駄目なものをつくったとは言われたくない。お客さんに迷惑をかけるわけにはいかないので、自分なりの主張をしたうえで県の要望に応える」と話した。アパグループは「県の指導に従って改修を進めたい」としている。

アパホテル強度不足 京都市の2軒、予約中止 01/25/06(産経新聞)

 国土交通省は25日、京都市下京区の「アパヴィラホテル京都駅前」と「アパホテル京都駅堀川通」の2つのホテルで、構造計算書の偽造と耐震強度不足が見つかったと発表した。

 京都市は同日、耐震性が十分であるとする数値1に対して、アパヴィラホテル京都駅前が0・71、アパホテル京都駅堀川通が0・79といずれも強度が不足していることが分かったとして、建築主の「アパマンション」(東京都港区)に対し、2つのホテルの使用禁止を勧告し耐震改修するよう求めた。2つのホテルは新規の予約受け付けを中止した。

 同省によると、京都市のヒアリングに対し、構造設計をした「田村水落設計」(富山市)の水落光男1級建築士が柱の強度不足を偽装した構造計算書を提出していたという。またアパヴィラホテル京都駅前は2階から10階まで一部、鉄筋が抜けているという。

 同省は水落建築士が手がけた168物件のうち42物件のサンプル調査を進めていたが、今回偽装が発覚したことで同日、残る126物件について耐震性の調査を進めるよう新たに各自治体に要請した。

 京都市は昨年10月に2回、水落建築士から聞き取り調査を行ったが、「長年の経験で慢心した」と耐震強度不足を認めたという。ただ偽装は認めていない。

 同省によると、柱の強度を耐震性があるように数値を改竄(かいざん)して上書きするなどの方法で、偽装した痕跡があったという。

 昨年10月、民間確認検査機関「イーホームズ」(廃業)の藤田東吾元社長(45)が東京地裁の有罪判決後、アパグループと田村水落設計を「耐震偽装が行われていた」と名指しで告発し、国交省が調査していた。

 アパグループ東京本社総務部は「意図的なものではなく、耐震偽装と言われるのは心外だが、京都市の指導を受け入れて対処する」としている。

 元谷外志雄代表は同社のホームページで「お騒がせしていることを深くおわび申し上げる。今後ともコンプライアンス重視の経営に努める」などとするコメントを出した。

 取材に対して田村水落設計の田村直久社長は「偽装は考えたこともない。偽装はないと信じている」と否定した。

朝日新聞(2007年1月8日)より

消費者の時代へ 耐震偽装氷山の一角

国は情報収集と海事を

新築マンション調査、7パーセントで強度不足か 国交省 12/27/06(朝日新聞)

 国土交通省は27日、過去5年間に建築確認された10階建て程度のマンションを全国で無作為抽出して調べたところ、221棟のうち約7%にあたる15棟で強度不足のおそれがある、と発表した。基準を1とした場合、15棟はすべて0.9未満で、うち1棟は0.5前後とみられ、建て替えが必要とされる0.5を下回っている可能性もある。書類差し替えなどの明らかな偽装は確認されていないという。強度の確定にはさらに確認作業が必要だが、全国の新築中層マンションの数%が強度不足である可能性が浮上した。

 国交省は、0.5未満は震度5強程度で倒壊の可能性があるため使用中止など緊急対応の必要があるとし、0.5以上1未満は改修で対応可能との見方を示している。

 調査は、耐震強度偽装事件を受けて今年2月から開始。全国で01~05年ごろに建築確認を受けた10階建て程度のマンション(推計約7000棟)から無作為抽出した389棟が対象。同省外郭団体の日本建築防災協会で構造計算を再計算したうえ、非破壊検査で鉄筋の配置を調べたりコンクリートの強さを測ったりした。168棟はなお調査中。

 調査済みの221棟のうち、強度不足のおそれが指摘された15棟については、構造計算書と設計図との不整合や、計算過程に不自然な点があったという。

 同省は15棟が所在する自治体に報告内容を伝え、強度が満たされているかどうかの再確認を求めた。強度の確定には、設計した1級建築士らから設計の意図や計算の考え方を聴いたうえで、専門家で精査する作業が必要で、さらに3カ月程度かかるという。

 同省は15棟の建物名や所在地を明らかにしておらず、住民にも強度不足の可能性を知らせていない。「正式確定後、通知する」としている。また、強度不足が確定した場合、設計した建築士らを処分する方針。

 新たな強度不足の疑いが浮上したことについて、国交省は「疑問のある設計がなされ、建築確認されたことは遺憾。確定後、厳正に対処したい」としている。

抽出15件で耐震強度不足か…国交省マンション調査 12/27/06(読売新聞)

 国土交通省は27日、全国の分譲マンション389件を対象に行った耐震強度に関する調査の中間結果を公表した。

 これまで報告のあった221件中15件が耐震強度不足の疑いがあり、うち1件は耐震基準の50%前後の恐れがある。国交省は15件の建物を所管する地方自治体に連絡、設計者から聞き取り調査を行うよう指示した。

 マンションの物件名などは非公表だが、50%前後の疑いのある物件は行政が建築確認を下ろしたもので、構造計算書のデータを図面に移し替える際の転記ミスなどがあった。強度50%を切ると震度5強程度の地震で倒壊の恐れがあり、建て替えの目安となる。他の14件にも同様のミスや不自然な計算方法が見つかった。

 この調査は、耐震偽装事件を受けて実施され、過去5年間に建築確認を受けたマンション約6000件から調査対象を無作為抽出。専門機関で構造計算書を再チェックしてきた。

チェックが甘ければ、違反者が出るのは想定内。性善説など言い訳。 これは推測であるが、日本の多くの業界や分野で行われているだろう。 検査会社の問題 で言えば、不正な検査が常識になっている場合もある。いくら国土交通省の PSC海上保安庁 が外国船にやってきて調べているが、まだ、甘い、チェックする項目が 少なすぎると思うことがある。結局、問題が放置されているから、そう思うので ある。指摘されてないと、これで大丈夫、このままでも良いと思わせる シグナルを送っているのと同じ。「国交省、建設・住宅関連業者の粉飾決算への検査を強化」 もこのような点を理解して上で対応しないと、結果は出せないはずである。

国交省、建設・住宅関連業者の粉飾決算への検査を強化 12/22/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件の「木村建設」(破産)や「ミサワホーム九州」などの粉飾決算が明るみに出る中、国土交通省は粉飾決算に対する検査を強化する。

 全国約18万の建設・住宅関連業者が国交大臣許可、都道府県知事許可を得るため「経営事項審査」(経審)を受けているが、従来は形式的なチェックにとどまっていた。

 このため同省は、独自の基準で不自然な経理処理を抽出、積極的に不正を摘発する。同省はすでに約10社に建設業法に基づく立ち入り検査を実施しており、年度内にうち数社を営業停止などの処分にする方針だ。

 ミサワホーム九州は、完成前の住宅を売り上げに前倒し計上、実際は赤字だったのに黒字に見せかけていた。元社長らが建設業法違反で起訴された木村建設も、未完成の工事の売り上げを完成工事高(完工高)に計上するなどして粉飾。両社は国による経審の審査を受けていたが、不正を見抜けなかった。

 建設業者の経営体力や技術力を点数化して審査する経審で良い格付けが得られると、規模の大きい工事の入札参加資格が得られたり、銀行融資で有利になったりする。このため工事実績や技術者数の水増しなどの虚偽申請が横行していると言われる。しかし従来は形式的な書類審査にとどまり、粉飾発覚の端緒は警察などの捜査や税務調査、内部告発などがほとんどで、国交省が自力で摘発したのはわずか。大臣許可業者への処分も年間10件程度だ。

 新たな検査は、重点項目に基づいて疑わしい業者を絞り込む抽出検査の導入と、積極的な立ち入り検査が柱。決算後に回収が見込まれるとして業者側が計上した「完成工事未収入金」「未成(未完成)工事支出金」の額などをチェック、完工高に対して一定の割合を超えた場合は、書類分析の上、立ち入りに踏み切る。

イーホームズ藤田社長は厳しい処分を受けた。やはり、どうように厳しい処分をくだすべきだろう。

ミサワ九州、宅建も不正更新か 虚偽決算書提出の疑い 12/20/06(朝日新聞)

 大手住宅メーカー、ミサワホームホールディングスの子会社、ミサワホーム九州(福岡市)の粉飾決算問題で、同社が今年10月に宅地建物取引業の免許を更新する際、虚偽の決算書を国土交通省に提出した疑いのあることが、19日わかった。国交省九州地方整備局は宅建業法違反(虚偽記載)の恐れがあるとして近く同社から事情を聴く。同省によると、免許手続き時に粉飾した決算書を提出した例は過去になく、業務停止や免許取り消しも含めた行政処分を検討することになるという。

 宅建業免許は、住宅売買などの業務に必要な資格で、5年ごとの更新が義務づけられている。エリア限定の知事免許業者と、県域を越えて活動できる大臣免許業者があり、ミサワ九州は後者。

 国交省によると、同社は10月23日付で免許を更新する際、申請書などとともに06年3月期の決算書を提出。同社が今月18日の記者会見で00~06年の売上高水増しを認めたことから、提出された決算書も粉飾の疑いがあるとみている。

朝日新聞(2006年12月19日)より

ミサワ粉飾 偽装リストで指示

関係者証言 部下に手口・棟数

福井の財団法人(福井県建築住宅センター)住宅評価で虚偽 

強度不足の戸建て設計、建築士大量処分 12/11/06(朝日新聞)

 国土交通省は11日、耐震強度不足の設計にかかわるなどした1級建築士20人の懲戒処分を決めた。免許を取り消されたのは7人で、うち5人は計681棟の強度不足が判明した一(はじめ)建設(東京都練馬区)の戸建て分譲住宅を設計した責任を問われた。そのほか13人が1~6カ月の業務停止となり、今回で姉歯秀次・元1級建築士が設計にかかわった物件の処分が終わった。

 一建設の問題は、姉歯元建築士による偽装が発覚した後、社内調査をして判明。同社が販売した2階建ての木造住宅681棟が、強度を保つための筋交いの不足で耐震強度が基準以下だった。同社によると、関東の物件がほとんどで、すでに大半の補強工事が終わっている。

 免許を取り消された5人は、同社から外注で設計を請け負った埼玉県や群馬県、東京都の建築士で、それぞれ19~88件の構造基準違反が判明。既存物件のデータをコピーし、強度のチェックを怠るなど、不適切な作業をしていたという。ほかにも4人の1級建築士の関与が分かっており、同省は、調査が終わり次第、処分する方針だ。

 業務停止となった13人には、北海道でマンションなどの構造計算を偽装していた浅沼良一・元2級建築士に構造設計を外注した建築士や、姉歯元建築士に誤った指示を出して強度不足を招いた建築士、ヒューザーのマンションの構造計算を誤った設計事務所の管理建築士らが含まれている。

「一建設」強度不足、1級建築士5人の資格取り消し 12/11/06(読売新聞)

 東京都練馬区の建て売り会社「一(はじめ)建設」が分譲した一戸建て住宅681棟に強度不足が見つかった問題で、国土交通省は11日、設計業務の外注先で少なくとも97棟の強度不足の建物を設計した、都内や埼玉県などの1級建築士5人を資格取り消し処分とした。

 5人は国交省の聴聞に対し、「過去に設計した、似たような住宅の設計データを使い回し、コピーしてはり付けただけの設計図を提出していた」と説明。国交省では、実質的に耐震性の検証を省略していた悪質な事案と判断した。

 また併せて、耐震強度不足が判明した、静岡県小山町のごみ固形燃料化施設を設計したゼネコン「フジタ」の1級建築士を業務停止6か月の処分とした。

「国土交通省が29日、小野邦久・理事長を冬柴国交相による文書厳重注意処分としたほか、機構も小野理事長と 村山邦彦理事を給与10%の辞退2か月とするなど幹部計10人を処分した。」

こんな処分は甘すぎる!もっと重くしろ!示しが付かないだろ!

中国新聞(2006年11月18日)より

安心な家を 上 耐震強度偽装1年

法改正で再チェック制 時効性は体制次第

都市機構、構造計算の誤り隠ぺい…理事長ら10人処分 10/30/06(読売新聞)

 独立行政法人・都市再生機構(旧都市基盤整備公団)が分譲した東京都八王子市のマンションの耐震強度が不足していた問題で、機構は29日、内部調査結果を発表し、同マンションの構造計算書に誤りがあることを一昨年から認識し、問題部分を修正した別の計算書を昨年6月に作成していたことを明らかにした。

 しかし、住民らに対しては「問題はない」と虚偽の説明をしていた。

 調査結果を受け、国土交通省が29日、小野邦久・理事長を冬柴国交相による文書厳重注意処分としたほか、機構も小野理事長と村山邦彦理事を給与10%の辞退2か月とするなど幹部計10人を処分した。

 この問題では、2002年にマンション(6階、19戸)の住民から構造計算書の提示を求められた機構が、「紛失した」としたうえで、03年に再計算書と再々計算書を相次いで作成。住民の依頼で専門機関が再々計算書などを分析した結果、鉄筋量を過大評価するなど不審点が見つかった。

 内部調査結果によると、マンションは1988年の当初設計段階から強度が不足しており、再計算書、再々計算書にも壁の強度を過大評価するなど5種類の誤りがあった。

 機構から再計算を委託されたのは、機構OBが社長を務め、当初設計も手掛けた日匠設計(東京都新宿区)だが、同社は再計算の際、機構の担当者と相談するなどして、通常の設計では全く採用していない不適切な方法で計算していた。

 住民の指摘で機構側は04年6月以降、誤りを認識。再計算書、再々計算書とは別に、強度を上げるためにスリット(切れ目)を入れるなどして問題部分を修正した新たな計算書を05年6月に作成した。しかし、住民や報道機関に対しては、そうした事実を隠したまま、「見解の相違や単純ミスはあるが問題はない」などと説明していた。

 小野理事長が国交相による文書厳重注意処分を受けたのは今回で3回目。問題のマンションの高林賢治・管理組合理事長は「機構が基準を満たすために恣意(しい)的に数値を操作したのは明らか。問題部分を修正した計算書まで作っていたとは驚きだ」と話している。

でも、建築確認は通った??どこが検査したの??

朝日新聞(2006年11月18日)より

20階マンション強度不足 

彦根で建設中 図面見誤り、解約

イーホームズだけが貧乏くじを引いた。

耐震偽造:発覚から1年 民間検査機関の受注増 11/17/06(毎日新聞)

 国指定の民間建築確認検査機関が、耐震データ偽造事件発覚後も受注件数を増やしていることが毎日新聞の調査で分かった。事件では一部で業務のずさんさが指摘されていた。偽造発覚から17日で1年。国土交通省は「民間は信用力が低下し、受注件数が減る」とみていたが、予想に反した結果となった。民間機関が検査担当者を増やすなど「見逃し防止策」を取っていることも判明したが、今後も国の徹底した監視が求められる。

 建築確認は、危険な建物を建てさせないため、鉄筋コンクリート2階建て以上のビルなどを対象に設計図面などを審査する制度。地方自治体の建築主事が行ってきたが、98年の建築基準法改正で民間開放された。民間機関は現在、業務エリアが広い国交相指定の16機関と、各地方整備局・都道府県指定の109機関。アンケートは国交相指定を対象に行った。

 この結果、11機関が「事件前に比べ建築確認の件数が増えた」と回答。増加数は月に数十~数百件で、3機関が「変化なし」だった。偽造を見過ごす過失があったとして国から3カ月間の一部業務停止処分を受けた「日本ERI」が月700件減らしたが「9月の再開以降は回復傾向」としている。

 増加理由は▽民間のシェアが事件前から例年10%程度ずつ増加し、その流れに変わりがないため(日本建築センター)▽民間の方が期限を守るので、発注側がスケジュールを立てやすいから(日本ERI)--など。

 また、11機関が検査員の資格者を増やし、10機関が審査日数を50~3日延ばした。審査方法も、設計図面のチェックポイントを増やしたり、ダブルチェックを導入するなど、信頼回復に取り組む姿勢をうかがわせた。【長谷川豊、種市房子

「小嶋被告が隠ぺいを要求」イーホームズ元幹部が証言 10/30/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、詐欺罪に問われた、開発会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産)の元社長・小嶋進被告(53)の公判が30日、東京地裁で開かれ、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(指定取り消し)の元幹部(54)などの証人尋問が行われた。

 元幹部は、小嶋被告がマンションの構造計算書が改ざんされていたことを知りながら、偽装に目をつぶるよう要求していたことを明らかにした。

 証言によると、元幹部は、2005年10月の会議で、元1級建築士の姉歯秀次被告(49)(公判中)による12件の構造計算書の偽造を報告した。しかし、小嶋被告は、このうち千葉県船橋市で建設中のマンションについて、「曲げてでも検査済み証を下ろしてくれ」と発言。元幹部は、「偽装を隠せという要望だと思った」と述べた。

 また、会議の席上、イーホームズ側は偽装物件の公表を求めたが、小嶋被告は、「天変地異で倒れれば偽装は分からなくなる。その後で調べて分かったことにすれば良い」などと消極的な発言を繰り返していた。

耐震偽装:「姉歯がヒューザーから口止め」篠塚被告が証言 10/30/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で詐欺罪に問われたマンション販売会社「ヒューザー」元社長、小嶋進被告(53)の30日の東京地裁(毛利晴光裁判長)公判に「木村建設」元東京支店長、篠塚明被告(46)=建設業法違反で公判中=が検察側証人として出廷した。篠塚被告は偽装について、元1級建築士の姉歯秀次被告(49)=建築基準法違反などで公判中=が「ヒューザーから口止めされた」と話したことを証言した。

 篠塚被告によると、昨年10月、小嶋被告から電話で姉歯被告の偽装を知らされ、姉歯被告に経緯をただしても何も答えなかった。その後11月11日ごろになって姉歯被告は「ヒューザーの部長から口止めされていた」と篠塚被告に伝えたと証言した。【篠田航一】

耐震偽造:「本当に悪いのは国だ」藤田被告まくしたてる 10/18/06(毎日新聞)

 「罰は受けるが、本当に悪いのは国だ」。耐震データ偽造事件を巡る初の判決で、18日に東京地裁で有罪を宣告された民間の指定確認検査機関「イーホームズ」社長、藤田東吾被告(45)は判決後の会見でまくしたてた。一方、耐震偽装マンションの購入者からは改めて、やり場のない怒りの声が上がった。【高倉友彰、篠田航一】

 午前10時、東京地裁506号法廷。グレーのスーツ姿で出廷した藤田被告は時折、天井を仰いだほかは表情を変えず、裁判長の判決文朗読にじっと聞き入った。有罪と認定された見せ金増資と耐震偽装との因果関係を判決が否定すると、判決後、弁護人と硬く握手し、笑みを漏らした。

 元1級建築士の姉歯秀次被告(49)=建築基準法違反などで公判中=による多数のデータ改ざんを見逃しながら、昨年10月に国土交通省へ事件を通報したと「功績」を強調。公判でも確認制度の不備を訴え、自らは責任がないとする主張を続けてきた。

 会見では「検察官が主張した耐震偽装との因果関係を判決は否定した。それで十分。非常にうれしい」と控訴しない考えを表明。さらに「国が(データを偽装しやすい)認定プログラムを作ったのが問題だ。国もマスコミも間違いに気付くだろう」と声を荒げ、一連の経緯を記した「暴露本」を出版することも明らかにした。

 一方、イーホームズの建築確認を受けたマンション「グランドステージ東向島」(東京都墨田区)の元住民男性(33)は「怒りのぶつけようがない。偽装を見逃した検査機関の責任をきちんと裁けなかったのは法の落ち度ではないのか。残念だ」と沈痛な面持ちで話した。

イーホームズ藤田社長に懲役1年6月・猶予3年の判決 10/18/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件に絡み、会社の資本金を不正に多く見せかけたとして、電磁的公正証書原本不実記録などの罪に問われた民間指定確認検査機関「イーホームズ」(指定取り消し)の社長・藤田東吾被告(45)の判決公判が18日、東京地裁で開かれた。

 青柳勤裁判長は「事業を早く立ち上げ、業績を上げるために、法令を逸脱することもいとわないという安易かつ身勝手な犯行で、酌量の余地はない」として懲役1年6月、執行猶予3年(求刑・懲役2年)を言い渡した。

 一連の耐震強度偽装事件では元1級建築士・姉歯秀次被告(49)ら6人が起訴されたが、判決が言い渡されたのは初めて。

 判決によると、藤田被告は2001年に、国土交通省から確認検査機関の指定を受けたいと考え、知り合いの司法書士などから借りた2700万円を見せ金として増資して、同社の資本金を約5000万円超に見せかけた。

 判決は「増資の後、借り入れを直接返済するのではなく、別の会社を介在させるなどしており、犯行は計画的で悪質」と指摘。さらに、経理上のつじつま合わせを図る証拠隠滅工作を行っていたことも認定した。

 同社は、姉歯被告が構造計算書のデータを改ざんした強度偽装物件99件中、37件の偽装を見逃した。検察側は、「今回の事件が、データ改ざんを見逃すことにつながった」と主張したが、判決は「見せ金による増資がなければ一連の問題が発生しなかったかどうかは証拠上明らかではない」と述べた。

 ◆「控訴するつもりはない」と藤田被告◆

 判決後に会見した藤田被告は、「見せ金については罰を受ける。控訴をするつもりはない」と判決を受け入れる意向を示し、「耐震偽装と見せ金に因果関係はないと言ってくれたのがうれしい」と述べた。

 また、藤田被告は、「この問題は確認検査制度の問題ではない。構造計算書が改ざんできるようになっていた制度の問題だ」と、国土交通省などを批判。「(姉歯被告らが)簡単に罪を犯せないような制度にしておけば良かったんじゃないですか」とまくし立てた。

耐震偽装再発防止、建築士に新資格…改正3法案提出 10/11/06(読売新聞)

 国土交通省は11日、耐震強度偽装事件を受けた建築士、建設業、建築基準の3法の改正案の骨格を与党に示した。

 高さ20メートル超のマンションなどの構造(設備)設計は、新設する分野別新資格「構造(設備)設計1級建築士」の取得者以外に許さないほか、分譲マンションの施工の「丸投げ」を禁止するなどの内容。臨時国会に提出し、1~2年後の施行を目指す。

 また現行の建築基準法では、2階建て以下や延べ床面積500平方メートル以下の木造住宅を建築士が設計した場合、建築確認時に耐震強度計算の審査を省略できた。しかし、いずれも東京の建て売り会社の「アーネストワン」「一(はじめ)建設」が分譲した戸建て住宅900戸以上で、計算ミスによる強度不足が発覚したことを受け、新築戸数が年間45万戸とされる木造住宅を新たにチェック対象とする。

 このほか、建築士のレベルの底上げのため、設計事務所に所属する建築士に対し、3年に1回程度の専門講習を義務付ける。講習を受けなかった建築士には業務停止などの処分もある。

イー社・藤田被告に懲役2年求刑は思いね。利益優先で安全を軽視する経営姿勢の会社は 他にも多くある。そして処罰も受けていない。 公務員も国民のためより組織の利益優先。 厳しい処分はまれ。

偽造の見逃しとは全く関係ない。検査機関の偽造の見逃しに対して処分やチェック項目を きちんと決めるべきだったが、適切な対応は行われていないと思う。ただ、見せしめのために 懲役2年求刑になったと思う。

今後は、不公平な扱いをしないためにも増資を装ったとして電磁的公正証書原本不実記録・同供用 (虚偽登記)罪に対して同等の処分を期待する。

耐震偽造:イー社・藤田被告に懲役2年求刑 東京地裁公判 08/18/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、増資を装ったとして電磁的公正証書原本不実記録・同供用(虚偽登記)罪に問われた民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区、指定取り消し、廃業)社長、藤田東吾被告(45)に対し、検察側は15日の東京地裁(青柳勤裁判長)公判で懲役2年を求刑した。判決は10月18日。

 検察側は論告で、元1級建築士、姉歯秀次被告(49)=公判中=が構造計算書を偽造した物件のうち同社が最も多い37件を見逃していたことを指摘。「背景に利益優先で安全を軽視する経営姿勢がある」と非難。弁護側は最終弁論で「見せ金増資は事実だが、偽造の見逃しとは全く関係ない」と主張。藤田被告も同様の趣旨の最終意見を陳述し、結審した。

 起訴状によると、藤田被告は01年10月に同社の資本金を約2300万円から約5000万円に増資したとする法人登記の変更を申請した際、知人の司法書士(67)=起訴猶予=から一時的に借り入れた資金などで増資を装った。この虚偽登記で01年12月、確認検査機関の指定を受けた。【佐藤敬一】

高さ規制逃れの「脱法分筆」、建築確認を異例取り消し 09/08/06(読売新聞)

 東京都千代田区内で着工された14階建てマンションについて、民間の確認検査機関がおろしていた建築確認に対し、同区の建築審査会が「4階建てが妥当」として、これを取り消す異例の裁決をしていたことが8日、わかった。

 建築確認申請に先立ち、建設予定地の一部が不自然な形で分筆・売却されたことについて、同審査会は「建築基準法の高さ規制を逃れるための脱法行為」と認定した。耐震強度偽装事件でも指摘された建築確認の民間開放の問題点が、改めてクローズアップされそうだ。

 問題の14階建てマンションは、東京都品川区の不動産会社が施主となり、千代田区神田神保町の約490平方メートルの土地に計画。昨年12月、不動産会社が民間確認検査機関「都市居住評価センター」(港区)に建築確認を申請し、今年1月、同センターが建築確認をおろしていた。

 これを受け、基礎工事などが始まったが、周辺住民が3月中旬、「建築確認は違法」として区の建築審査会に審査を請求していた。

 裁決などによると、建設予定地は西側が公道に、南側が私道に接している。道路に接した土地は建築基準法の「道路斜線規制」で高さ制限を受けるが、特に狭い私道に接している南側は4階相当の高さまでしか建てられない状態だった。

 土地所有者は不動産会社に売却するにあたり、私道を廃止しようとしたが、周辺の住民の同意が得られず断念。その後、土地所有者と不動産会社は、建設予定地のうち14平方メートルを分筆して売却することで合意し、昨年6月に分筆された。この分筆により、南側の私道とマンション建設予定地が分断され、私道との接触による高さ制限を免れる形になった。

 売却された14平方メートルの土地は、購入者が「物置」を建てるとして別の民間確認検査機関から建築確認を受けたが、基礎工事だけが行われたまま放置されている。

 同審査会は、分筆と売却について、「不動産会社と土地所有者が共謀のうえ、道路斜線制限を免れるために行った」と認定。「建築計画は違法・不当」と結論付け、今月1日付で建築確認を取り消すことを決めた。また裁決は、都市居住評価センターの審査についても、「(分筆が)規制を逃れる目的で行われたと判断できる可能性があった」と批判した。

 問題のマンションの施主となっている不動産会社は「14平方メートルの分筆には、私どもは一切関知していない。裁決内容を検討している段階で、コメントは差し控えたい」としている。

 また建築確認をした都市居住評価センターは「我々は建築基準法で定められた書面上の審査をするだけ。現地をみたり、土地の登記簿謄本を取得したりすれば気付いたかもしれないが、そこまでは義務付けられていない」としている。

朝日新聞(2006年9月1日)より

木造住宅 耐震性審査義務化へ 国交省 省略特例を廃止

耐震偽造:1級建築士18人を処分 国交省 09/02/06(読売新聞)

 国土交通省は1日、耐震データ偽造に関連したり、その他の事件や不祥事を起こした1級建築士18人の処分を決めた。この中には、札幌市を中心としたマンションの耐震データ偽造問題に関連した浅沼良一・元2級建築士に下請けを依頼していた大手ゼネコン鹿島札幌支店の建築士ら6人が含まれている。18人中、2人が免許取り消しとなった。

 札幌市などの耐震データ偽造問題では、北海道が7月、29件の建築物で構造計算書の数値を改ざんしたとして浅沼元建築士の免許を取り消した。今回処分された6人は、これらの物件の構造計算を浅沼元建築士に依頼した元請け建築士。少なくとも12件にかかわった建築士1人の免許を取り消した。

 また、最も強度が低かった小樽市の賃貸マンション(基準の54%)を設計施工した鹿島札幌支店の建築士を業務停止6カ月とするなど5人を業務停止とした。【長谷川豊】

建築確認申請:千葉県議の自宅、事務所、25年間怠る 08/18/06(毎日新聞)

 千葉県成田市選出の男性県議(56)=自民党、3期目=が、市内の住宅について約25年間にわたり建築基準法で義務付けられた建築確認申請をしていないことが分かった。市内の事務所も確認申請を怠って仮設事務所の許可しか取っておらず、期限(1年以内)を超えて8年以上も継続使用していた。いずれも建築基準法違反の疑いがあり、市は調査に乗り出した。

 関係者によると、県議は1980年に経営する有限会社名義で木造2階建て店舗兼住宅を建設したが、建築確認申請を怠り、市も全く把握していなかった。また、98年に同市押畑にプレハブ平屋建て事務所を建築した際も確認申請を行わず、仮設事務所の許可しか得ていなかった。過去2回の選挙では、選挙事務所としていた。

 市建築指導課は「書類の調査で確認申請のないことが分かった。現地で建物を確認し対応を考えたい」と話している。

 県議は「自宅の確認申請は業者がしたと思っていた。事務所も仮設許可だとは知らなかった。早急に対応したい」と釈明している。

国交省、全建築士に講習義務付けへ…再試験は断念 07/31/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件を教訓に、建築士のレベルアップ策を検討していた国土交通省は31日、1級建築士全員に再試験を受けさせ新資格を与える構想を断念した。

 その代わり、実務に携わっている2級を含む全建築士に専門講習の受講を義務付け、講習を受けなかったり、修了考査の成績が極端に悪かったりした建築士は、資格取り消しも含めた処分の対象とする方針だ。

 さらに、「構造」と「設備」の分野で新たに専門資格を認定、高さ20メートル超の建物は新資格者しか設計できないようにする。

 これらの制度改革案は31日、社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)の専門部会で大筋で了承された。同省は今秋の臨時国会に建築士法改正案を提出する。

 同省は当初、全1級建築士に再試験を実施、合格者にだけ一定規模以上の建物の設計を認める案を打ち出したが、建築士団体から猛反発を受け撤回。結局、設計や法令などの知識を確認する講習を数年に1度実施し、修了考査を行うことで、建築士の知識や技量の向上を図ることにした。

 また強度偽装や重大ミスを防ぐため、高さ20メートル超の建物は「特定構造建築士」や「特定設備建築士」と認定された1級建築士だけが設計できるようにする。認定に当たっては、過去の業務実績やトラブルの有無なども考慮する方針だ。

 このほか、4年制大学卒を1級建築士の受験資格とする案を検討していたが、必要科目の履修を条件に専門学校卒などでも認めることにした。

もし、猛反対で断念するなら、国土交通省及び再試験を検討した人間達は情けない。 まあ、国土交通省は断念するなら故意に図面を計算書を作成した者、及び、故意でなくとも 図面や計算で規定回数の間違いをしたことが明らかになった場合、厳しい処分を下すことを 決めるべきである。

確かに、再試験をした方が良い。しかし、今まで問題を放置してきた国土交通省の対応も悪い。 必要以上の知識は要らないと言えば、それも正しい。ただ、全ては国土交通省が決めること。 必要な知識や経験が不十分であるにもかかわらず、問題が発見されていないから処分されていない 建築士もいるはずだ。自主的にやめないのであれば、今後、問題が指摘されれば、重い処分が あることを自覚させることが必要。何もしないのであれば、国土交通省の責任。

建築確認のチェックも、驚くほど改善されたとは思えない。そこで、建築士の質の改善により 問題の解決や改善を考えた上での建築士再試験だったと思う。

「今さら受けたくない」建築士再試験、猛反発で断念? 07/24/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件の再発防止のため、国土交通省が1級建築士全員を対象に「再試験」を実施する方針を6月末に打ち出したが、早くも軌道修正される可能性が出てきた。

 「今さら試験を受けたくない」「1人の建築士の犯罪なのに過剰反応だ」と建築士らが猛反発しているからだ。1級建築士のレベルアップを改革の目玉に据えていた国交省だが、反対圧力に屈する形で、再試験の断念も含めて再検討に入った。

 国交省が再試験実施案を公表したのは6月26日。元1級建築士・姉歯秀次被告(49)のような建築士が再び現れないよう、1級建築士全員に講習を受けさせ、構造や意匠、設備など幅広い知識を試験で問うという内容だった。

 パスした1級建築士には、「特級」「新1級」など新たな資格を付与。鉄筋コンクリート造りで20メートル超の建物の設計を独占させる。不合格の場合は「準1級」や、2級への降格もあり得るとする、痛みを伴う改革になるはずだった。

 だが公表直後から国交省に抗議の電話が殺到。10万6000人の建築士が加入する日本建築士会連合会は11日、試験導入などに反対する意見書を北側国交相に提出。1万5000の設計事務所が加盟する日本建築士事務所協会連合会も反対を表明した。

 同じ国家資格である医師や弁護士は再試験がないのに、なぜ自分たちだけ既得権を脅かされるのか、というのが本音のようだ。ある1級建築士(53)は「もう1度大学受験しろと言われるようなもの」と語る。都内自治体の50代の建築主事も「この年で今さら、勉強するのは大変。再試験はたぶん受けない」と話す。構造設計専門の都内の1級建築士(38)は、「設計は分野ごとに高度に専門化している。試験のために専門外の知識を丸暗記するのは無意味」と批判する。

浅沼2級建築士、北海道が免許取り消し 07/20/06(読売新聞)

 札幌市などでのマンション構造計算書偽装問題で、北海道は20日、29物件での偽装が確認された浅沼良一・2級建築士(47)に対し、建築士免許を取り消す行政処分を行った。処分は同日付で、浅沼氏にも通告した。

 道住宅局によると、処分は建築士法の「不誠実な行為」を適用。浅沼氏が関与した道内143物件のうち29件で、自らの判断で構造計算書の数値を改ざんし、適正な数値を得たように見せかける行為を繰り返したと認定した。

 浅沼氏の刑事告発について、道の中岡正憲住宅局長は「(元請け事務所の)下請けという補助的立場で、罰する規定がない」とし、見送る考えを示した。

 構造計算書偽装は、浅沼氏が今年2月、札幌市に対して「33物件で偽装した」と報告し、発覚。道と市などの再計算で29件の偽装が確認されたほか、偽装物件以外でも不適切な処理が見つかり、23件が耐震強度基準を下回っていた。

欠陥住宅保険金、業界が補償…国交省が義務化へ 07/18/06(読売新聞)

 新築住宅の欠陥保険義務化に向け、国土交通省は、大規模な欠陥が見つかり保険金支払いが巨額に達する場合でも、損保会社の破たんで保険金が支払われなくなる事態を防ぐため、損保各社が保険料を共同で管理・運用する「再保険プール」を設けることを決めた。

 プールでも支払いきれないような損害が発生した場合には政府支援も検討する。国交省は欠陥保険の早期義務化を目指し、来年の通常国会に住宅品質確保促進法などの改正案を提出する方針だ。

 国交省が18日、国交相の私的諮問機関である瑕疵(かし)担保責任の研究会に新制度の素案を示す。それによると、新築住宅の建築主・売り主に加入を義務づける欠陥保険では、複数の損保会社が共同で保険を引き受け、保険料を再保険プールに集約。リスクを分散することで、保険金が巨額に達する場合などでも、住宅購入者に保険金が支払われなくなるような事態を防ぐ。

 再保険プールでも賄いきれない損害が出た場合には、国が支払いの一部を肩代わりすることも検討する。

 保険加入の際には、財団法人「住宅保証機構」などが厳格に現場検査を実施。現行では新築住宅全体の1割程度しか受けていない施工中の検査を行うことで、欠陥住宅の防止を図る。

 欠陥保険の義務化に対しては、年間120万戸に達する全新築住宅を補償するのはリスクが大きすぎると損保業界が反発したため、国交省がリスク軽減の方策を検討していた。

 国交省は、偽装など故意の欠陥もカバーする任意保険の商品開発を損保業界に促していく方針だ

耐震偽装で初公判、藤田被告「見せ金」認める 07/07/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件に絡み、会社の資本金を不正に多く見せかけたとして、電磁的公正証書原本不実記録などの罪に問われた民間指定確認検査機関「イーホームズ」(指定取り消し)の社長・藤田東吾被告(44)の初公判が7日、東京地裁であった。

 藤田被告は、起訴事実を全面的に認めたが、「見せ金事件と耐震偽装事件とは全く関係ない」と主張した。一連の事件での裁判は初めて。

 罪状認否後の意見陳述で、藤田被告は、「制度上の不備が原因で、悪意を持った建築士らの不法行為で生み出された事件だ。当社が見過ごした物件は氷山の一角で、当社だけに過重な処分を与えて事件を総括する姿勢は、許されない公権力の乱用だ」などと主張。また、「耐震偽装を世に公表したことで、関係法規が抜本的に見直され、制度上の不備が正された」と、偽装公表の意義を強調した。

 これに対し、検察側は冒頭陳述で、藤田被告が2001年10月、2700万円の架空増資をして会社の規模を実態より大きく見せかけて、能力以上の仕事を請け負い、業績を急激に伸ばすという強引な経営手法を明らかにした。

 同社は架空増資をもとに資本金を5000万円超とする虚偽の登記を行い、同年12月に確認検査機関の指定を受けたことで大規模建物の検査もできるようになり、取扱件数は01年度の26件から、04年度は2万件超まで急増。一方で、確認検査員が不足し、検査の実施に支障が生じていた。

 藤田被告は、耐震偽装を発見した東京都内の設計業者から、偽装の事実を公表するよう迫られたが、自社の内部監査で発見して国土交通省に通報したように見せかけるため、内部監査書類の日付を偽造していた。

 同社が偽装を見逃したマンションの一つ「グランドステージ住吉」(東京都江東区)から転居を余儀なくされた会社員(43)は、「他の被告より、不正を暴いた正義の味方のように振る舞った藤田被告こそ許せない」と話す。

 国交省によると、同社は、元1級建築士・姉歯秀次被告(49)(建築士法違反などで起訴)による偽装物件99件中、37件の偽装を見逃していた。

イーホームズ、検査書類を誤配送 16都府県1千件以上 07/05/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件にからみ、国土交通省から確認検査機関の指定を取り消されて5月末に廃業したイーホームズが、検査関連の書類を自治体に引き継いだ際、1000件以上の配送先を間違え、別の自治体に届けていたことが5日分かった。誤配送は首都圏を中心に16都府県にまたがり、各自治体の担当者が再配送などの対応に追われている。

 イーホームズは指定を取り消され、確認申請書など約4万件を自治体が引き継いだ。

 国交省によると、イーホームズの分類や発送作業は、廃業決定後だったため社員の手が足りず、アルバイトを雇ってこなしたという。このため、住所の確認ミスが多発したらしい。関係自治体は5日、まず都府県を窓口に同一都府県内の市や区同士の書類交換を進め、県境を越えるものは国交省が調整することを申し合わせた。

耐震偽装、見逃した自治体の処分者ゼロ 07/01/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、建築確認の際に構造計算書の偽造を見逃した29自治体のうち、担当した建築主事を処分した自治体が一つもないことが朝日新聞社の調べで分かった。自治体側は「巧妙な偽装で通常検査では見抜けなかった」と過失がないことを強調するが、民間の確認検査機関の検査員は資格を奪われるなど極めて重い処分を受けており、官民で公平を欠いた形になっている。

 国土交通省によると、姉歯秀次元建築士が強度を偽装したマンションやホテルなど99件のうち民間検査機関が建築確認をしたのは57件。残りの42件は、29の自治体(9都府県11市9区)が審査し、偽装に気づかないまま確認を下ろしていた。

 担当した建築主事を地方公務員法に基づいて処分したかを29自治体に問い合わせたところ、すべてが「処分していない」と回答。理由として大半の自治体が「再計算して初めて分かった巧妙な偽装で、通常の検査では見抜けなかった」「過失がないので処分対象にならない」と説明した。

 また、ヒューザーから訴えられた訴訟で過失の有無が争点になっていることを挙げ、「いずれ訴訟で明らかになるので、結論を出す必要はない」とする自治体もあった。

 国交省は民間検査機関に対して厳しい姿勢で臨んでいる。5月下旬、37件の偽装を見逃したイーホームズに対し、26件は重大な過失だったと認定。建築基準法に基づき、検査員2人の資格登録を取り消し、9人を業務停止としたうえ、同社の指定を取り消した。15件を見逃した日本ERIについても、4件は過失だったとして検査員5人を業務停止とし、同社も3カ月間の一部業務停止とした。

 自治体の建築主事を処分するかどうかは自治体自身の判断により、国に権限はない。国交省は「官民や地域の違いで差が出るのは好ましくない」と、国の基準を参考に処分を行うことを自治体に要望。基準を5月9日に通知したほか、同26日には自治体担当者を集めて内容を詳しく説明するなど、自主的な対応を促してきた。

朝日新聞(2006年7月1日)より

耐震偽装 見逃した自治体の処分者ゼロ
民間には国が処分 官民で公平欠く

耐震偽装:1級建築士に新たな試験実施 国交省見直し案 06/26/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件を受け、国土交通省は26日、現在の1級建築士に新たな試験を受けさせて合格した人だけを「新1級建築士」と認定するなど大幅な制度見直し案を明らかにした。高専、短大卒は受験資格がなくなり、大卒でも実務修習(インターン)を経なければ免許を取得できない。同省は、見直し案に沿い建築士法を改正する方針。

 この案は、事件の再発防止などを検討している国交相の諮問機関の部会で示された。1級建築士の資格要件を厳しくするため、約30万人いるとされる1級建築士は構造設計などの知識を問う試験に合格すれば、「新1級建築士」として認定する。

 合格しなければ、現在の1級建築士を別名称の資格にするか、2級に降格するかを検討する。

 新卒の受験資格も変更。これまで認められていた高専卒・短大卒の1級建築士受験資格を廃止し、4年制大学での履修を必要とする。資格試験に合格してもインターンを経験しなければ、免許は与えない。さらに、一定期間ごとの講習を義務付ける方向だ。

 また、消費者が建築士を選べるように、処分歴などを記した建築士名簿を開示し、仕事をする際は顔写真入りの免許証を提示する。構造や設備などの専門分野では、専門資格者などの制度を創設。1級建築士が業務の丸投げをすることを禁止する一方で、自らの責任で資格者に必要な業務を発注できるとしている。

 国交省は「多くの建築士が偽造された構造計算書を見逃しており、再発防止には抜本的な対策が必要」と話している。【長谷川豊】

姉歯被告を偽証で再逮捕、捜査終結へ…偽装は単独犯行 06/22/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は22日、国会の証人喚問でウソの証言をしたとして、元1級建築士・姉歯秀次被告(49)(建築士法違反罪などで起訴)を議院証言法違反(偽証)の疑いで再逮捕した。

 姉歯被告は、偽装の動機を「木村建設側から圧力を受けたからではなく、仕事を数多く欲しかったため」と供述しており、捜査本部は、偽装自体は同被告の個人的動機に基づく単独犯罪で、施工業者や販売主との共犯関係はなかったと断定した。これにより昨年11月に表面化した事件の一連の捜査は事実上、終結する。

 調べによると、姉歯被告は昨年12月14日の衆院国土交通委員会の証人喚問で、偽装の動機について、木村建設の元東京支店長・篠塚明被告(45)(建設業法違反罪で起訴)の名前を挙げ、「鉄筋を減らすようプレッシャーをかけられた」と説明。最初の偽装物件は、1998年7月に建築確認がおりた木村建設施工の「グランドステージ池上」(東京・大田区)だと虚偽の証言をした疑い。

 しかし姉歯被告は逮捕後の取り調べで、最初の偽装物件は、96年12月に建築確認申請した中央区の8階建て分譲マンション「ゼファー月島」と供述。偽装した理由について「その高さの物件を設計するのは初めてで、何回やってもうまく行かなかった。失敗したら仕事が来なくなると思って偽装した」と語った。

 また、篠塚被告からプレッシャーを受けたとした国会証言についても「問題が大きくなったので、心の重荷をだれかに預けたいと思った」と、ウソを認めた。

 「ゼファー月島」を施工したのは木村建設ではなく、捜査本部の調べで、耐震強度は基準の約6割しかないことも判明した。

 捜査本部は22日、他人に建築士の名義を貸した建築士法違反容疑でも姉歯被告を追送検した。今後、偽装マンションなど4物件の建築基準法違反容疑で同被告を追送検する。

 一連の捜査では計9人が逮捕され、木村建設元社長・木村盛好被告(74)、ヒューザー社長・小嶋進被告(53)、イーホームズ社長・藤田東吾被告(44)ら6人が起訴された。

強度不足の住宅681棟を販売 東京・練馬の一建設 06/18/06(朝日新聞)

 東京都練馬区の住宅販売会社「一(はじめ)建設」は18日、同社の建売住宅で、建物の強度を保つ「筋交い」が十分に入っていないため強度不足となった住宅が681棟あったと明らかにした。

 同社によると、681棟はすべて木造の2階建て住宅。耐震強度偽装問題を受け、00年6月以降に販売した約2万7000棟を調べたところ、設計を外部委託した物件で問題が見つかった。

 同社は関東地方と宮城、愛知、静岡、福岡の各県で建売住宅を販売しているという。7月末までに部屋の内側から壁を外して筋交いを追加する補修工事を進める。建築確認で構造計算が必要となる木造3階建て以上の物件では問題なかったとしている。

耐震強度不足の罰則を大幅強化、改正建築基準法が成立 06/14/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件の再発防止策を盛り込んだ建築基準法など4法の改正案が14日午前、参院本会議で可決、成立した。

 1年以内に施行される。

 建築基準法では、著しく耐震強度が不足した建物を建てさせた建築士らに最高3年の懲役刑を創設するなど、罰則を大幅に強化。偽装見逃しの防止のため、一定以上の規模の建物の構造について専門機関が二重に審査する新制度も盛り込まれた。

 また、宅建業法では、住宅販売業者などに対し、住宅の欠陥に備える保険に加入しているかを販売時に顧客に告知することを義務付けた。

朝日新聞(2006年6月10日)より

「検察主導」で難局打開 耐震偽装捜査7ヶ月
供述一変崩れた構図

総研の詐欺容疑、立件を断念…捜査終結の方向 06/08/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は7日、耐震強度が不足していたビジネスホテルの開業に携わった「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区、内河健所長)の関係者について、詐欺容疑での立件を断念する方針を固めた。

 捜査本部は今後、元1級建築士の姉歯秀次被告(48)(建築士法違反の罪で起訴)を、昨年12月の国会証人喚問を巡る議院証言法違反(偽証)容疑で立件したうえで、一連の捜査をほぼ終結させる見通しだ。

 総研は、全国で約240件のホテルの開業を指導し、このうち姉歯被告が構造計算書を改ざんした物件は24件に上った。

 また、姉歯被告に構造計算を発注していた「木村建設」(熊本県八代市)と密接な関係にあったことなどから、捜査本部では、総研側が姉歯被告の強度偽装を認識したうえで、コンサルタント料などを受け取っていた疑いもあるとみて捜査を進めてきた。

 特に木村建設が施工した奈良市の「サンホテル奈良」については、耐震偽装公表直前に、建設費が木村建設に振り込まれていたことから、捜査本部は、オーナー側に引き渡されるまでの経緯を重点的に捜査した。しかし、総研側が事前に強度不足を把握していたことを裏付ける供述や物証は得られなかった。

 また木村建設以外の建設会社が施工した他のビジネスホテルについても、総研側による偽装の認識を示す証拠はなく、同容疑での立件は困難と判断した。

 ただ、捜査本部では、一連の偽装物件の開業に携わる過程で、総研による違法な行為がなかったか捜査は継続するとしている。

耐震偽造:浅沼建築士、耐震基準1.0未満14棟に 札幌 06/07/06(毎日新聞)

 浅沼良一2級建築士による札幌市のマンションの耐震データ偽造問題で、同市は新たに11棟の検証を終え、このうち国の耐震基準1.0に満たないマンションが5棟、0.7未満が1棟あることが分かった。これで浅沼建築士が偽造を認めた市内33棟のうち28棟の検証が終わった。これまでの判明分を合わせると、0.7未満は2棟、1.0未満は14棟となった。

 同市は11棟の検証結果を、9日に公表予定。

 これまでに耐震強度が判明したマンションのうち最悪は0.68で、この場合、震度6弱の揺れまでしか強度が保証されない。基準未満のマンションは今後、別の計算方法でさらに耐震強度を再計算し、それでも基準が満たない場合は、建築基準法に基づいて補強工事が必要になる。【去石信一】

耐震偽造:姉歯被告を追送検 建築基準法違反容疑で 06/06/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で警視庁などの合同捜査本部は6日、構造計算書を改ざんして強度不足の建物を造らせたとして元1級建築士、姉歯秀次被告(48)=建築士法違反ほう助で起訴=を建築基準法違反容疑で追送検した。一連のデータ偽造事件で同法違反容疑での立件は初めて。

 調べでは、姉歯容疑者は分譲マンション「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)とビジネスホテル「サンホテル奈良」(奈良市)の構造計算書を改ざんし、それぞれ耐震強度が不足した建物を造らせた疑い。「病気がちの妻がいて入院費などがかかった。仕事をこなして収入を確保しようと思った」と供述している。姉歯容疑者は問題が発覚した当初、「木村建設から、法令に違反してでもコスト削減するよう圧力を受けた」と話していたが、こうした圧力は確認されなかった。姉歯容疑者はこの2物件の構造計算を相場より安い百数十万円で受注していた。

 また捜査本部は、マンション販売会社「ヒューザー」元社長、小嶋進容疑者(53)=詐欺容疑で逮捕=を同容疑で追送検した。調べでは、小嶋容疑者は昨年10月28日、GS藤沢の購入者計10人に部屋を引き渡し、代金計3億6000万円をだまし取った疑い。容疑を否認している。【佐々木洋】

構造計算データに不備、埼玉のマンションなど工事中断 06/02/06(読売新聞)

 全国にマンションやホテルを展開する「アパ」グループ(金沢市)が、埼玉県鶴ヶ島市と千葉県成田市で建設中の分譲マンションについて、構造計算書の内容に不備があるとして3月から工事を中断していることが1日、わかった。

 いずれも富山市の1級建築士が構造計算を担当し、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(指定取り消し済み)が建築確認をしていた。

 鶴ヶ島市のマンションは15階建て(369戸)で、6階部分まで完成している。埼玉県建築指導課によると、イーホームズが今年2月、構造計算書で複数のデータに食い違いがあったと、県に通報した。建築士は取材に対し、「途中で設計変更があり、計算を終えないまま提出したが、数値の偽装などはしていない」と説明。その後、新たな計算書を提出し、「不備はないはず」としている。

 一方、成田市のマンションは12階建て(130戸)で、8月に完成予定だった。千葉県建築指導課によると、3月にイーホームズから構造計算書のデータに不整合があると連絡があり、県はアパに対し、安全性が確認されるまで工事を中止するよう要請した。

 アパグループの元谷外志雄代表は「イーホームズが担当した2件ともこうした事態になり、たまらない気持ちだ。安全性が確認されれば、建築を再開する」と話している。

朝日新聞(2006年6月2日)より

富士の建築士 データ偽装 埼玉県内のマンション 工事中断し調査

都市再生機構マンション、耐震強度は基準の58% 06/02/06(読売新聞)

 構造計算書を多数紛失していた独立行政法人・都市再生機構(旧都市基盤整備公団)が、東京都八王子市で1989年に分譲したマンション1棟の耐震強度が、最弱部分で基準の58%しかないことが、社団法人・日本建築構造技術者協会(JSCA)の調査で分かった。

 建築確認が免除されている公的機関が建設した建物の設計で強度不足が確認されたのは初めて。また機構はこのマンションの計算書も紛失したとして、「再々計算書」を作成したが、JSCAの分析では、同計算書には柱の強度の水増しなど十数件の不審点があった。事態を重く見た国土交通省は、機構の担当者から事情を聞くなど調査に乗り出す方針。このマンションでは悪質な手抜き工事も判明しており、機構による住宅の信頼性は大きく揺らぐことになりそうだ。

 このマンション(6階、19戸)は機構が88~92年に建設したマンション群46棟のうちの1棟。構造設計は都内の設計会社に下請けに出されていた。元1級建築士・姉歯秀次被告(48)による強度偽装事件をきっかけに管理組合が、機構から提供された構造図の分析をJSCAに依頼。その結果、耐震強度は6階が基準の58%、1~5階が65%しかなく、補強の必要がある。

 一方、機構は同マンションの構造計算書を「紛失した」として、「再計算書」、「再々計算書」を作成。この再々計算書についても住民側はJSCAに分析を依頼した結果、〈1〉柱の強度を割り増し〈2〉大梁(はり)にかかる力を低減〈3〉床の鉄筋量を過大評価――など十数か所に不審点が判明した。

 これらについて機構は「JSCAの調査結果の中身をよく検討し、対応を判断したい」としている。

 同マンション群では、鉄筋不足など手抜き工事が次々と発覚し、46棟中20棟を建て直す異常事態となっている。問題のマンションは建て替え対象とはなっていないが、手抜き工事も加わって実際の強度は58%を下回る恐れもある。

 国などに準ずる機関とされる都市再生機構は、建築確認を免除されており、計画を自治体に通知するだけで建設に着手できる。今回、強度不足が判明したことで、構造計算書を点検する動きが他の機構マンションにも広がる可能性もある。

構造計算偽造:アパグループ、マンションの工事中断 06/01/06(毎日新聞)

 全国でマンション・ホテル事業を展開する「アパグループ」(東京都港区)が、埼玉県鶴ケ島市に建築中の分譲マンションの構造計算書の内容に疑問があるため工事を中断していることが分かった。構造計算した富山市の1級建築士は県の事情聴取に対し、「作業が間に合わず未完成の計算書を出した」と説明したという。

 同マンションは15階建ての複数棟で総戸数は369戸。現在は4~5階までで工事が中断している。2月末、建築確認を出した民間確認検査機関・イーホームズ(5月に指定取り消し)の関係者が県に「疑義がある」と連絡。その後の調べで構造図と意匠図の食い違いなどが明らかになった。アパグループの元谷外志雄代表は「契約者には誠意を持って対応する」と話している。

 この問題では千葉県も1日、同県成田市で建設中のアパグループ分譲マンション(130戸)について工事を停止させたと発表した。同じ建築士が構造計算を手がけたが、イーホームズ側から「計算書の値で不整合がある」と報告を受けた。県によると、偽造は確認されていないが、必要鉄筋量が不足している恐れがあるという。

 富山市の建築士は毎日新聞の取材に対し、埼玉県の物件について「工期が迫っていたので、別の業者が書いた意匠図と食い違う構造図を出した。後から変更申請も済ませている」と強度偽装を否定。千葉県の物件については「計算上の誤差で問題はないと思う」と話している。【秋本裕子、森禎行】

朝日新聞(2006年5月30日)より

耐震偽装 検査4社を処分 国交省 イーホームズ指定抹消

イーホームズ、確認検査機関の指定取り消し 05/29/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、国土交通省は29日、元1級建築士・姉歯秀次被告(48)による多数の偽装を見逃した民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)を、建築基準法に基づく指定取り消し処分とした。 

 1999年に建築確認を民間開放後、指定の取り消しは初めて。また業界最大手の「日本ERI」(港区)は、500平方メートル以上の建築確認について、3か月間の業務停止処分とした。

 国交省によると、姉歯偽装物件の見逃しは6機関で計98件あったが、イーホームズは最も多い37件を見逃していた。このうち、複数の構造計算書をつなぎ合わせる単純な偽装の見逃し26件について、国交省は「重大な過失があった」と認定、処分対象とした。また同社が見逃したうち完成済みの約20件は、震度5強の地震で倒壊の恐れがあり、結果責任を重視した。

 このほか、「東日本住宅評価センター」(横浜市)と「ビューローベリタスジャパン」(同)は、建築中の偽装物件各1件を見逃したとして、業務改善計画の提出を求める監督命令処分とした。ビューロー社は、見逃し物件に住宅性能表示も出しており、登録住宅性能評価機関としても改善命令処分を受けた。

 国交省は29日、処分通知書を手渡すため4機関の社長を呼んだが、イーホームズの藤田東吾被告(44)(電磁的公正証書原本不実記録罪で起訴)は、「体調不良」を理由に欠席した。

耐震偽造:イーホームズなど4民間機関を処分 国交省 05/29/06(読売新聞)

 耐震データ偽造事件で、国土交通省は29日、元1級建築士の姉歯秀次被告(48)が改ざんした構造計算書を見逃した民間確認検査機関4社に対する処分を行い、「イーホームズ」の国指定を取り消し、「日本ERI」を3カ月の業務停止にした。また、件数が少なかった「東日本住宅評価センター」と「ビューローベリタスジャパン」には業務改善計画の提出を命じた。このほか2機関も姉歯被告の改ざんを各1件ずつ見逃したが、「偽造の手口が巧妙だった」として処分はせず、改善措置の報告を求めた。

 イーホームズは、姉歯被告が改ざんした構造計算書98件のうち最多の37件を見逃した。国交省はこのうち26件を「設計の構造部分を見ていないなど重大な過失があった。最初に偽造を通報したことを考慮しても、取り消しは免れない」と判断した。警視庁などの捜査本部の調べで明らかになった資本金の水増しなどは処分に反映していない。

 日本ERIは、姉歯被告の15件の偽造構造計算書を見逃し、うち4件を「過失があった」とされた。国交省は6月13日から、500平方メートル以上の建物の確認検査業務停止を命じた。同社は02年にも、資格を持っていない社員が建築確認を行っていたとして業務停止1カ月の処分を受けている。【長谷川豊】

姉歯被告、調べに「国会証人喚問でウソ」と供述 05/29/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、元1級建築士の姉歯秀次被告(48)(建築士法違反の罪で起訴)が、昨年12月の国会の証人喚問での証言について、警視庁などの合同捜査本部の調べに、「ウソをついてしまった」と供述していることが29日わかった。

 姉歯被告は、最初に構造計算書を改ざんした物件について、「木村建設」(熊本県八代市)が実質的に施工した東京・大田区のマンション「グランドステージ(GS)池上」だったと証言したが、それより前に改ざんしたことを認めており、議院証言法の偽証罪にあたる疑いがある。捜査本部は姉歯被告が改ざんを始めた動機をさらに追及する。

 姉歯被告は昨年12月14日の衆院国土交通委員会の証人喚問に出席。構造計算書を改ざんしたきっかけを質問されると、木村建設の元東京支店長・篠塚明被告(45)(建設業法違反で起訴)の名を挙げ、「鉄筋を減らすようにプレッシャーをかけられた」と証言した。

 さらに最初の偽装物件については「(98年7月に建築確認がおりた)『グランドステージ池上』だったと思う」などと説明した。GS池上は、中堅ゼネコンが受注し、施工を木村建設に丸投げしていた。

 しかし姉歯被告による構造計算書の改ざんが発覚した98物件のうち、別の業者が施工した川崎市高津区のマンションは、98年6月ごろまでに建築確認がおりていた。これについて姉歯被告は、証言が虚偽だったことを認め、「ウソを言って申し訳なかった」などと供述したという。

         ◇

 警視庁などの合同捜査本部は29日午前、姉歯被告が構造計算書を改ざんし、開発会社「ヒューザー」(大田区)が販売した東京都稲城市の分譲マンション「グランドステージ稲城」(9階建て、24戸)について、建築基準法違反容疑で検証を始めた。

 同マンションの耐震強度は基準の33%で、国土交通省が同容疑で刑事告発した4物件中3件目の検証となる。

耐震偽造:姉歯被告の国会証言、偽証の疑い 05/29/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、元1級建築士の姉歯秀次被告(48)=建築士法違反ほう助で起訴=が警視庁など合同捜査本部の調べに、昨年末の国会証人喚問で最初にデータを偽造したと証言したマンション「グランドステージ(GS)池上」(東京都大田区)=98年7月に建築確認=以前に、「別の物件で構造計算書を偽造した」と供述していたことが分かった。捜査本部は、姉歯被告の国会証言は議院証言法違反(偽証)にあたる疑いがあるとみて立件を視野に入れ捜査を進めている。

 姉歯被告は昨年12月14日、衆院国土交通委員会の証人喚問を受けた。構造計算書の改ざんを始めた経緯について「98年ごろからやった。最初はグランドステージ池上だった」と証言。動機について「当時、木村建設の仕事が90%ぐらいを占めていた。『(鉄筋量を)減らさないと仕事を一切出さない』と言われ、生活ができなくなるのでやった」と述べた。

 しかし姉歯被告は捜査本部の調べに対し「木村建設とは関係ないGS池上以前の物件でもデータを偽造した」などと供述したという。98年2~6月にかけて川崎市が建築確認を行い、木村建設やヒューザーが関与していない同市高津区のマンションも姉歯被告によるデータ偽造が指摘されており、捜査本部はこれらがGS池上以前の偽装物件にあたるとみている。【佐々木洋】

        ◇

 議院証言法は「宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、3カ月以上10年以下の懲役に処する」と定め、衆参両院や委員会などが証人の偽証を認めた場合は議決を経て告発しなければならないと規定している。議決には出席議員の3分の2以上の賛成が必要。鈴木宗男衆院議員が同法違反に問われた際は、国会が法務当局から提示を受けた資料をもとに告発した。

耐震偽造:自治体争う姿勢 ヒューザーの賠償訴訟 05/26/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、元1級建築士の姉歯秀次被告(48)が構造計算を行ったマンション20棟に建築確認を出すなどした14の自治体に対し、マンション開発会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産手続き中)が「偽造を見逃した責任がある」として約96億円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が26日、東京地裁(松井英隆裁判長)であった。自治体側は請求棄却や訴え却下を求めた。

 ヒューザーは1月、18自治体を相手に提訴した。訴訟を引き継いだ破産管財人は、解体費用を負担する神奈川県藤沢市など4自治体への訴えは取り下げた。【高倉友彰】

耐震偽装見逃した検査員、イーホームズなど18人処分 05/24/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、国土交通省は24日、偽装物件を見逃した民間の指定確認検査機関4機関の確認検査員(建築基準適合判定資格者)18人を登録取り消しや業務禁止の処分とした。

 2000年の建築確認の民間開放後、資格者に対する処分は初めて。

 処分を受けるのは、元1級建築士・姉歯秀次被告(48)による偽装98物件中最多の37件で見逃しがあった「イーホームズ」(東京都新宿区)が11人、業界最大手の「日本ERI」(港区)が5人、「東日本住宅評価センター」(横浜市)と「ビューローベリタスジャパン」(同)が各1人。このうち複数の物件で見落としがあったイーホームズの2人を登録取り消しとし、他の16人は業務禁止11~1か月とする。

 国交省では、今回の処分に当たり、偽装98件について、手口や結果の重大性によって処分の軽重を判断。別々のデータで計算した複数の書類を組み合わせただけの単純な手口や、震度5強程度の地震で倒壊の恐れのある分譲マンションの偽装を見逃した資格者については厳しい処分となった。

 国交省では、法人としての指定機関についても月内に取り消しなどの処分を公表する方針。イーホームズについては、電磁的公正証書原本不実記録罪で起訴された社長の藤田東吾被告(44)が保釈されたため、改めて聴聞手続きを実施、日本ERIなどと合わせて処分する。

耐震偽造:民間機関の確認検査員18人を処分 国交省 05/24/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、国土交通省は24日、元1級建築士の姉歯秀次被告(48)が改ざんした構造計算書を見逃した「イーホームズ」など民間確認検査機関の確認検査員計18人を、登録取り消しや業務停止にする処分を行った。建築確認が99年に民間開放されて以来、国家資格となった確認検査員が処分されるのは初めて。

 処分を受けた検査員は▽「イーホームズ」11人▽「日本ERI」5人▽「ビューローベリタスジャパン」1人▽「東日本住宅評価センター」1人。イーホームズの2人は、明らかにチェックがずさんだったなどとして、国家資格の登録を取り消した。他の16人は、見逃しの程度によって業務停止1~11カ月とした。登録を取り消された検査員は、取り消し後2年間は再登録できない。

 姉歯被告は98件の構造計算書を偽造し、民間確認検査機関計6社が建築確認をしていた。国交省は他の2社の検査員については「単純な差し替えがなく、再計算しないと偽造と分からなかった」として処分を見送った。

 国交省は、見逃しが37件と最多だったイーホームズについては確認検査機関の指定を取り消す方針で、同社社長の藤田東吾被告(44)の聴聞を25日に行う。また、日本ERIなど検査員が処分対象となった3社についても、業務停止の処分を行う方針。【長谷川豊】

イーホームズ、検査員「名義借り」の疑い 国交省調査 05/23/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、民間検査会社イーホームズ(本社・東京都)が、01年12月に国土交通省から確認検査機関の指定を受けた際、建築確認の審査をする「確認検査員」として届け出た3人のうち1人が、国交省の調べに「入社した認識がない」と答えていることが22日わかった。指定の申請書類は公文書にあたり、本人の承諾のない「名義借り」であれば公文書偽造の恐れもある。国交省は事実関係を調査する方針だ。

 架空増資をしたとして社長の藤田東吾被告(44)が逮捕、起訴されたことを受けて、国交省がイーホームズが開業した当時の確認検査員3人にそのころの勤務実態を聴取したところ、このうち1人が「入社したという認識はない。当時は病気で療養中だった」と答えたという。書類上、この検査員は04年5月末まで在籍したことになっているが、記載内容が事実でない疑いがあると国交省はみている。

 残る2人は「勤務実態はあった」と答えており、確認検査機関としての指定要件は満たしている。一方、イーホームズ側は国交省に対して「検査員は3人とも勤務実態があった」と答えているという。

 今回の事件を受けて国交省は、確認検査機関を指定する際の審査を厳格化する。確認検査員については勤務実態を把握するため、給与支払証明書などの書類提出も義務づける方針だ。

耐震偽造:イーホームズの藤田社長が保釈 一連の事件で初 05/22/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、東京地裁は22日、民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)社長、藤田東吾被告(44)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪で起訴=の保釈を認める決定を出した。藤田被告は、保釈保証金500万円を納付し保釈された。一連の事件で17日に起訴された5人のうち、保釈が認められたのは初めて。

 藤田被告は22日夜、イー社の本社前で記者会見し、「耐震偽装は当社に一切過失はない。直接の原因は制度(の欠陥)と、それを知ったうえで犯罪を行った姉歯さん(秀次被告)に帰結する」と改めて責任を否定した。国から検査体制の不備が指摘されたことには「そんなことは絶対にない」と語気を強めた。

耐震偽造:総研関与が捜査の焦点 サンホテル奈良の設計で 05/22/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造に絡む詐欺事件の舞台となった「サンホテル奈良」を巡り、開業指導をした「総合経営研究所」(総研、東京都千代田区)の関与が捜査の焦点になっている。警視庁などの合同捜査本部が関心を寄せるのは、チーフコンサルタント、四ケ所猛氏(67)の言動。「鉄筋量の切り詰め」を表明した計画段階での発言が、関係者の証言で明るみに出た。発言ににじむコスト削減への執着と、姉歯秀次被告(48)の起用は結びつくのか。捜査本部は経緯の洗い出しを慎重に進めている。

 サンホテル奈良の着工から4カ月ほど前の04年12月中旬、建設計画を検討する打ち合わせが木村建設の子会社「平成設計」(千代田区)で行われた。平成設計社長や四ケ所氏、オーナー側関係者らが出席。関係者によると四ケ所氏はこう言った。「『このところ造るホテルは鉄筋量とコンクリート量が計画を上回り、指示通りになっていない。この物件(サンホテル奈良)についてはそのあたりをきちんとみるように』と所長から言われている。私が責任を持って構造をみる。目標値を持ってやる」。内河健・総研社長(72)の意向を伝えるような発言だった。

 その場で四ケ所氏が出席者に配った資料には、「不本意な物件」としてあげた鉄筋量などのデータが列記されていた。いずれも姉歯被告以外の建築士が構造計算した物件だった。

 サンホテル奈良を巡っては、強度不足を知りながらオーナーから建設費の未払い代金2億2500万円を受け取ったとして、木村建設元社長、木村盛好容疑者(74)らが詐欺容疑で逮捕された。設計を受注したのは平成設計で、構造計算は姉歯被告が請け負った。ほかにも見積もりを依頼された構造設計の建築士はいた。その一人は「見積もりは出したが仕事の発注はなかった。金額面でだめになったのだと思った」と振り返る。

 四ケ所氏は04年3月、横浜市の設計事務所でアトラス設計の渡辺朋幸代表が姉歯被告の構造計算の欠陥を指摘した席にいた。四ケ所氏は、その直後に姉歯被告を使わないよう平成設計に指示したことを国会の参考人質疑で認めている。

 四ケ所氏自身も問題視していた姉歯被告がサンホテル奈良にかかわっていたことについて、同氏はどう認識していたのか。毎日新聞の取材に弁護士を通じ「(サンホテル奈良の構造に)責任を持つと言ったかどうか覚えていない。資料を渡したことも記憶にない。(姉歯被告を使うなと)指示した後は、姉歯氏はどの物件にもかかわっていないと思っていた」と回答した。

 内河氏は弁護士を通じ「(他の物件が)指示通りに行われていないという発言は、していない」と答えた。【合田月美】

ヒューザー、強度詳細データ記録 偽造通報2日後 05/20/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、ヒューザーが昨年10月27日夜、元建築士姉歯秀次被告=建築士法違反幇助(ほうじょ)の罪で起訴=の事務所で、千葉県内で建築中のマンション2棟の構造計算にかかわるデータをCD―R(書き込み可能CD)に記録して持ち帰っていたことが、関係者の話で分かった。ヒューザー側はデータの検証を姉歯被告以外の構造設計事務所に依頼し、翌月に強度不足との回答を得ていた。詐欺容疑で逮捕された同社社長小嶋進容疑者(52)は「検証結果が出て初めて重大性に気づいた」としており、強度不足を認識した時期が今後の争点になりそうだ。

 関係者によると、CD―Rの入手に出向いたのはヒューザーの設計担当常務。同常務は昨年10月25日に、民間検査機関イーホームズから姉歯被告による偽造を知らされ、同日夜に姉歯事務所に出向き、各マンションの耐震強度を示す数値などパソコン内のデータをメモしてきた。

 2日後の27日午前11時から午後2時にかけて、ヒューザーとイーホームズが姉歯被告の偽造をめぐって会議をした。千葉県船橋市で完成間近の2物件のうち、イーホームズが建築確認をしたセントレジアス船橋の確認検査済み証を出すよう求める小嶋容疑者に対し、イーホームズ側は強度不足の可能性を理由に拒否したという。

 このため同常務はこの日の夜に再び姉歯事務所を訪れ、これら2物件の構造計算データをCD―Rに記録。姉歯被告以外の構造設計事務所に検証を依頼した、とされる。

 強度不足を示す検証結果が判明したのは11月2日ごろ。逮捕容疑のGS藤沢など入居済みマンションの強度の検証が始まったのは、さらに後の11月7日前後だという。

 小嶋容疑者側は、こうした経緯から、当初の姉歯被告の説明では強度不足を認識できず、問題物件の存在を明確に認識したのはCD―Rの分析を終えた11月に入ってからだ、と主張しているとみられる。

 一方、合同捜査本部は、設計担当常務が10月25日にGS藤沢の耐震強度が基準値の40%であることを示すとみられるメモを姉歯事務所で書き写してきた事実を重視。さらに2日後にデータをCD―Rに記録したのは、事の重大性を認識していたことを裏づけるもの、とみている模様だ。

耐震偽造:ヒューザーの小嶋元社長、強度不足に危機感 05/20/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、マンション販売会社「ヒューザー」元社長の小嶋進容疑者(52)が、分譲マンション「グランドステージ(GS)藤沢」を顧客に引き渡す前日、元1級建築士、姉歯秀次被告(48)から構造計算が記録されたCD-ROMを取り寄せるなどしていたことが警視庁などの合同捜査本部の調べで分かった。捜査本部は、強度に問題があることを十分認識しマンションを引き渡したことを示す重要な動きとみて注目している。

 調べでは、小嶋容疑者は昨年10月27日、ヒューザーの設計担当常務(当時)に指示し、姉歯被告の自宅事務所から約10件分の構造計算を記録したCD-ROMや書類を持ち帰らせていた。また、同じ日に、「木村建設」に耐震補強の工法に関する資料を送るよう要請していたという。

 ◇「GS藤沢」引き渡し前日、姉歯被告からCD-ROM取り寄せ

 同じ10月27日には、小嶋容疑者は、民間確認検査機関「イーホームズ」社長、藤田東吾被告(44)らと問題への対応を協議。事態の公表などを巡って藤田被告と激しい議論を交わした。この後、CD-ROMを取り寄せるなどしていた。

 小嶋容疑者の弁護団は「当時は(データ偽造された)数値の意味も全く理解できない状態で、GS藤沢に強度不足があるとの認識を持つことは不可能だった」と主張している。【佐々木洋】

設計事務所、静岡のホテルの「鉄筋不足」を文書で指摘 05/20/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、元1級建築士・姉歯秀次被告(48)が構造計算書を改ざんした静岡県湖西市のホテル「くれたけイン浜名湖」について、国土交通省が問題を公表する1年以上前の2004年10月、東京の設計事務所が「木村建設」子会社の「平成設計」に対し、「鉄筋が少ない」と指摘する文書をファクス送信していたことがわかった。

 警視庁など合同捜査本部は、設計事務所からこの文書の任意提出を受けており、木村建設や「総合経営研究所(総研)」などに対し、鉄筋が少ないという情報がどのように伝わったかに注目、捜査を進めている。

 このホテルの設計施工は名義上、地元の建設会社だが、実際には木村建設が施工を担当。設計のうち構造計算は平成設計に下請けに出され、姉歯被告が担当した。耐震強度は基準の5割程度とされる。04年7月に完工・開業したが、耐震強度偽装問題が表面化したことから昨年11月25日、休業に追い込まれている。

 関係者によると、平成設計はこのホテルの設計図を、取引のあった都内の設計事務所に持ち込み、「見てほしい」と依頼。同事務所は一昨年10月、「鉄筋が通常より少ない」という回答を文書にまとめてファクスで送ったという。

耐震偽造:木村建設、ホテルも「姉歯」指定 05/20/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、元社長ら2人が詐欺容疑で再逮捕された木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が、ホテル建設の構造設計でも元1級建築士の姉歯秀次被告(48)=建築士法違反ほう助で起訴=を指定していたことが内部文書で分かった。同社はマンション建設で姉歯被告を「専属」にして鉄筋減量を指示していたことが判明しており、警視庁など合同捜査本部は、ホテル、マンション両ルートで同社が姉歯被告をコントロールしていた疑いが強いとみて調べている。

 内部文書は昨年5月26日付で、木村建設東京支店から子会社の平成設計(東京都千代田区、破産手続き中)にファクス送信された。

 それによると、木村建設は、静岡県沼津市に計画していたビジネスホテル建設に関して「構造(計算)は姉歯設計に手配してあります」と記し、平成設計にデザインの実施設計と工事監理の担当を依頼。構造計算書は姉歯被告が改ざんしていた。

 関係者によると、このほか木村建設が手がけたホテル2件で姉歯被告が構造計算書を改ざんしており、いずれも木村建設が姉歯被告を指定した可能性が強い。

 また、偽造ホテルの実施設計の元になった設計図などは、3件とも木村建設の関連会社のKSM1級建築士事務所(東京都新宿区)が担当し、昨年6月以降に建築確認申請をした。木村建設が、ホテルの開業指導を手がける総合経営研究所(総研、東京都千代田区)と疎遠になった時期でもあり、木村建設が子会社や関連会社を巻き込んで偽造ホテルの建設を進めたとみられる。

 平成設計の元社員は毎日新聞の取材に「総研の仕事で姉歯被告を使うことは暗黙の了解になっていたが、総研の絡まないホテルでも、木村建設から姉歯被告を使うように指示されていた」と話している。

「藤田社長は国交省に対し、『偽装を看過したことは反省している。偽装問題を告発し、 最も積極的に問題解明に取り組んできたイーホームズを取り消しという重罰に処す以上、 国交省は二度と制度上の誤りや指導不足を行わないことを切に願う』と文書で伝えるという。」

残念ながら、制度上の誤りや指導不足について指摘しても現状ではあまり変わらないと思う。 いくら規則や罰則を厳しくしても指摘する人材(職員)がいなければ、結果としては良くならない。

外国船の検査を行うPSC(外国船舶監督官)は国土交通省職員。しかし、問題を指摘しきれていない のが現状。

国民は思うであろう。耐震偽装が解決すれば、問題のある建築物は建てられないだろう。 同じような耐震偽装は減るだろう。いろいろな計算方法を選択することによる結果の違い。 明確な定義の欠落や対応できる人材不足の問題など、課題は多くある。

イーホームズの「検査機関」指定取り消しへ 国交省方針 05/19/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次元1級建築士による構造計算書の偽造を見逃した民間検査会社イーホームズ(本社・東京)に対し、国土交通省は、建築確認をする「確認検査機関」としての国の指定を取り消す方針を固めた。同社が建築確認を出した偽装のマンションやホテルは未完成も含めて計37件にのぼり、完成物件のうち20件は震度5強程度で倒壊する恐れがあることから、審査に重大な過失があったと判断した。

 指定取り消しは、99年に建築確認業務を民間開放して以来初めて。国交省は19日午後、建築基準法に基づく取り消し処分に向けた同社への聴聞を予定。藤田東吾社長(44)は、架空増資をしたとして電磁的公正証書原本不実記録などの罪で起訴、勾留(こうりゅう)されていることから、書面で意向を伝える。

 同社は01年に確認検査機関として国交省の指定を受けた独立系の検査会社。偽装事件で経営難に陥り、4月25日に5月末での廃業を表明した。

 同社によると、藤田社長は国交省に対し、「偽装を看過したことは反省している。偽装問題を告発し、最も積極的に問題解明に取り組んできたイーホームズを取り消しという重罰に処す以上、国交省は二度と制度上の誤りや指導不足を行わないことを切に願う」と文書で伝えるという。

小嶋社長、社内で口裏合わせ 「偽装知らなかった」 05/19/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、ヒューザーが販売したマンション「グランドステージ(GS)藤沢」の強度不足に関し、「小嶋社長が『(昨年)11月に分かったことにしよう』と社内で口裏合わせをしていた」と、同社関係者が警視庁などの合同捜査本部の任意聴取に話していることが分かった。捜査本部は、詐欺容疑で逮捕した同社社長の小嶋進容疑者(52)が、昨年10月28日に購入代金を振り込ませた時点では、偽装を知らなかったように工作した疑いがあるとみている。

 調べでは、小嶋社長が社内で口裏合わせをしたとされるのは昨年12月初旬。小嶋社長が「GS藤沢の件は、11月5日か6日に分かったことにしよう」などと同社役員たちに話したという。

 小嶋社長は10月27日午前、ヒューザー幹部から「藤沢0.4」などとGS藤沢の強度不足について書かれたメモを示された。その後、イーホームズ社長の藤田東吾被告(44)=電磁的公正証書原本不実記録などの罪で起訴=らと、耐震強度偽装問題の対応について話し合った。

 捜査本部は、遅くてもこの10月27日の時点で、小嶋社長はGS藤沢の強度不足を認識していたとみている。翌28日には、GS藤沢の購入者の一部から、代金約4億円がヒューザーの銀行口座に振り込まれている。

 国土交通省による昨年11月の問題公表後、自らが刑事訴追されることを恐れた小嶋社長が、偽装の認識を遅らせる工作をして立件を免れようとしたとみて調べている。

小嶋容疑者、姉歯物件の販売中止指示…改ざん知った後 05/19/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、開発会社「ヒューザー」社長の小嶋進容疑者(52)が、元1級建築士・姉歯秀次被告(48)の構造計算書改ざんを伝えられた直後の昨年10月27日、全姉歯物件の販売を中止するよう同社幹部に指示していたことがわかった。

 その一方で小嶋容疑者は翌28日、神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ(GS)藤沢」を顧客に引き渡し、代金を振り込ませていた。

 警視庁などの合同捜査本部は、販売中止の指示は、小嶋容疑者がGS藤沢引き渡しの段階で、建物の危険性を十分に認識していたことを裏付ける事実とみて、捜査を進めている。

 関係者によると、小嶋容疑者は昨年10月27日、強度偽装について確認検査機関「イーホームズ」社長の藤田東吾被告(44)らと協議した後、営業担当の責任者だったヒューザー役員に、千葉県船橋市内の分譲マンション2件など全姉歯物件の販売を中止するよう指示した。

 さらに小嶋容疑者は、社員らから販売中止の理由を問われた場合には、姉歯被告による構造計算書改ざんの事実は伏せ、「分譲マンションを社有物件や、賃貸マンションに切り替えるかもしれないから」と、虚偽の説明をするよう役員に指示したという。

 その一方で、指示翌日にGS藤沢の引き渡しを進めた理由について、小嶋容疑者は逮捕前、「(確認検査機関の)検査済み証も下りており、問題ない」「引き渡しを中止するには時間的に無理があった」などと、読売新聞の取材などに説明していた。

小嶋社長、完成前物件の販売にも意欲 05/19/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、昨年10月、イーホームズ側から強度不足の疑いがあると指摘された完成目前の物件について、ヒューザー社長小嶋進容疑者(52)=詐欺容疑で逮捕=が、検査が完了したことを示す書面を出すよう再三求めていたことが分かった。警視庁などの捜査本部は、完成したマンションだけでなく、完成前の物件についても小嶋社長が問題があることを認識しながら販売を継続する意思を持っていた可能性もあるとみて、発言の意図などを調べる。

 両社の話し合いが持たれたのは昨年10月27日。元建築士姉歯秀次被告(48)=建築士法違反幇助(ほうじょ)の罪で起訴=による偽装への対応を協議するのが目的で、席上、イーホームズは「セントレジアス船橋」(千葉県船橋市)も強度不足の可能性があると指摘。建築確認を取り消さざるを得ないとの考えを示したのに対し、小嶋社長は「検済(建築確認の検査済み証)を曲げてでもおろしてもらう」「天災地震で倒壊した時に調査し発覚したことにすればいい」などと発言したという。

 このマンションは、姉歯元建築士が構造計算し、イーホームズが建築確認した。完成間近だった。

 27日の会合終了後、小嶋社長はすべての物件の販売を一時中止するよう指示する一方、「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)については検済が出ていることを根拠に翌日の引き渡しを指示。強度不足を知りながらそれを告げずに購入者から販売代金を受け取ったのは、「不作為の詐欺」にあたるとして、逮捕された。

 小嶋社長は取材に対し、一連の発言自体は認めつつ、その趣旨はイーホームズが指摘するような「強要」や「威迫」ではないと主張。「『曲げてでも』は、違法なことをやってでも検済を出せという意味ではない。何とか検済を出す方向で知恵を出してもらいたい、の意味だ」と話した。

 セントレジアス船橋は当時、ヒューザー社内で「今年1番の高収益物件」と評価されていた。建設用地を安く取得できたうえに、全36戸のうち34戸が売れて販売も好調だったという。

耐震偽装:木村社長「姉歯使うな」指示文書 事前に認識 05/19/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、国土交通省による問題公表前の昨年11月、「木村建設」(熊本県八代市、破産手続き中)が出先事務所など複数の関係先に姉歯秀次被告(48)=建築士法違反ほう助で起訴=を構造計算に使わないよう指示する文書をファクスで送っていたことが分かった。警視庁などの合同捜査本部は、既にこの文書を押収している。

 元社長の木村盛好容疑者(74)か、元専務の森下三男容疑者(51)=いずれも詐欺容疑で逮捕=が作成したとみられ、捜査本部は経営トップがデータ偽造を事前に認識していたことを裏付ける証拠として重視している。

 調べでは、昨年10月27日、マンション販売会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産手続き中)元社長の小嶋進容疑者(52)=同=が、木村建設元東京支店長、篠塚明被告(45)=建設業法違反で起訴=に、姉歯被告による構造計算書の改ざんを電話で通知。篠塚被告は同日中に木村容疑者に電話で報告した。

 11日後の11月7日、木村建設は、ビジネスホテル「サンホテル奈良」(奈良市)の建設費の未払い残金2億2500万円をオーナーに振り込ませていたが、問題の指示文書はその前後、同社の関係先に送られたという。

 木村建設を巡っては、昨年8月、同社が施工した佐賀県伊万里市の「セントラルホテル伊万里(仮称)」の構造計算について、福岡市の建築士が姉歯被告によるデータ偽造を指摘していたことが判明している。建築士が指摘したのは木村建設の子会社「平成設計」に対してだったが、同社は実質的に木村建設と一体の関係にあった。捜査本部は、この情報がまもなく木村建設側にも伝わっていた可能性があるとみており、木村容疑者らが強度不足を認識した時期の特定を急いでいる。

 捜査本部は19日午前、小嶋、木村、森下の3容疑者を詐欺容疑で送検した。【佐々木洋】

耐震偽造:木村建設 公表3カ月前に認識、ホテル建設続行 05/19/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、元社長ら幹部2人が詐欺容疑で再逮捕された木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が昨年8月下旬の段階で「データ偽造の可能性」を指摘されながら、ホテル建設を進めた疑いのあることが分かった。問題公表の約3カ月前にデータ偽造を認識していた可能性が高く、警視庁など合同捜査本部は建築中止に追い込まれたホテルオーナーらから事情を聴くなど詳しい経緯を調べている。

 このホテルは佐賀県伊万里市の「セントラルホテル伊万里(仮称)」。

 木村建設が設計、施工を担当し、元1級建築士の姉歯秀次被告(48)=建築士法違反ほう助で起訴=が構造計算。昨年7月6日、日本ERIが建築確認し、翌7日に着工した。最初の偽造公表から4日後の同11月21日、木村建設が1回目の不渡りを出すまで工事は続いた。耐震強度は基準値の85%と分かっている。

 データ偽造を指摘したのは、木村建設が手がけた別のビジネスホテルで構造計算を担当した福岡市内の建築士。この建築士によると、木村建設の子会社の平成設計(東京都千代田区、破産手続き中)から送られてきた「伊万里」の構造計算書を、姉歯被告が使っていたものと同じ大臣認定ソフト「スーパービルドSS2」で再計算した結果、耐震基準を下回る結果が出たという。

 建築士は毎日新聞の取材に「(再計算を)頼まれたのか自分から申し出たのか記憶があいまいだが、平成設計の建築士に昨年8月27日にNGが出たという結果を伝えた」と話している。

 平成設計は100%子会社で、実質的に木村建設と一体化しており、捜査本部は木村建設側がこの情報を得ていた可能性があるとみている。

 伊万里のオーナーによると、建設代金は着工、上棟、完成の3回に分けて計約7億円の契約。7月に着工分として3分の1を払い込んだ。

「偽装、表に出すな」 小嶋容疑者、イー社に強要 05/18/06(産経新聞)

 耐震偽装事件で、ヒューザー社長の小嶋進容疑者(52)=詐欺容疑で逮捕=が確認検査機関「イーホームズ」社長、藤田東吾被告(44)との会議の席上、「偽装の事実は表に出すな。(公表すれば)ここにいる何人かは行方不明になってもおかしくない」と非公表を強要する一方、神奈川県藤沢市のマンション「グランドステージ(GS)藤沢」の引き渡しについては「会議で名前が出ていないので問題ない」と手続き続行を部下に指示していたことが十八日、警視庁など合同捜査本部の調べで分かった。合同捜査本部は、小嶋容疑者が問題が公になる前に代金を確実に回収しようとしたとみて追及している。

 調べでは、ヒューザーは昨年十月二十五日にイーホームズから、元建築士の姉歯秀次被告(48)の担当したマンションについて偽装された疑いを伝えられた。同日夜にはヒューザー役員が姉歯被告宅へ行き、グランドステージ藤沢など偽装物件の強度を通常の計算で出した数値をメモ。国の基準の40%とするGS藤沢の強度は小嶋容疑者にも報告された。

 二十七日にはヒューザー本社で、藤田被告から完成済み物件も含めて、偽装の可能性が指摘された。小嶋容疑者は公表を急ぐよう提案した藤田被告に「正義面して公表することに何の意味があるんだ」と反対。入居済みのマンションについては「大地震が来て倒壊してから公表したければすればいい。寝た子を起こすな。それでも公表するなら、ここにいる者の何人かは行方不明になってもおかしくない」と、非公表を迫った。

 翌二十八日はGS藤沢の住民への引き渡し日だった。別の役員が藤田被告らとの会議後、対応をどうするか、小嶋容疑者に確認したところ、同容疑者は「会議でも(GS藤沢の名前は)出ていない。検査済み証が出ているので問題ない」と販売代金の受領を部下に指示したという。

 こうした経緯や小嶋容疑者の発言から、合同捜査本部は遅くとも二十五日の段階で偽装の認識があったと判断。小嶋容疑者が総額約四億円に上る代金回収のため、藤田被告に非公表を迫ったとの疑いを強めている。関係者の聴取から、小嶋容疑者が十月下旬の指摘以前に偽装を認識していた疑いもあり、合同捜査本部はさらに調べる。

木村建設粉飾決算は元東京支店長・篠塚被告が主導 05/18/06(産経新聞)

 木村建設の粉飾決算事件で、元東京支店長の篠塚明被告(45)が粉飾を主導していたことが17日、警視庁など合同捜査本部の調べで分かった。

 調べでは、木村建設では篠塚被告が中心となり、平成9年に東京都足立区のマンション「ゼファー北千住」の工事を受注したが、約2億円の赤字を出した。

 篠塚被告は自らの失敗が原因となって、赤字決算を理由に建設業の認可を取り消されるのを回避することを計画。

 決算での赤字計上をさけ、本来、翌期に計上すべき工事を前倒しして今期の売上高に記載する手口で粉飾を始め、無理をしてでも安く多くの工事を受注することで、自転車操業的に粉飾を重ねていったという。

 篠塚被告は「支店長では本社の粉飾決算は分からない」と否認しているが、合同捜査本部は、同社の売り上げの7割を占める東京支店を仕切り、社内で次期社長候補として木村盛好容疑者(74)に次ぐ給料を得ていた篠塚被告が、粉飾に利用する工事を経理担当に具体的に指定するなど主導していたとみている。

強度を認識?「藤沢0.4」のメモ、ヒューザーから押収 05/18/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの捜査本部がマンション販売会社「ヒューザー」の家宅捜索で「藤沢0.4」と記載されたメモを同本社内から押収していたことが分かった。メモは、同社幹部が元1級建築士の姉歯秀次被告(48)=建築士法違反幇助(ほうじょ)の罪で起訴=から聞き取った内容の一部で、同社が販売した「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)の耐震強度を指しているとされる。捜査本部は、同マンション販売前に同社社長の小嶋進容疑者(52)=詐欺容疑で逮捕=が強度不足を認識していたことを裏付ける物証とみて調べている。

 関係者の話や捜査本部の調べでは、小嶋社長は05年10月27日、ヒューザー本社で、同社幹部から「藤沢0.4」と書かれたメモを示された。この幹部は2日前、民間検査機関「イーホームズ」から「姉歯被告が構造計算書を偽造し、建築物の耐震性に問題がある」と告げられ、千葉県市川市の姉歯被告の事務所に赴いてパソコンから偽装建築物のリストを出すよう指示し、書き写してきた。「藤沢0.4」はこのリストの一部という。

 捜査本部はこのメモの内容の分析や関係者の任意の事情聴取から「藤沢0.4」が「GS藤沢の耐震強度が基準値の40%」を指すと認定。一連の経緯から、小嶋社長らは27日にはGS藤沢の耐震強度不足を認識し、そのうえで28日にマンション購入者に引き渡しをしたとみている。

 国土交通省によると、GS藤沢の実際の耐震強度は基準値の15%しかなく、姉歯被告が構造計算書を偽造した建築物の中で、最弱だった。

 建築基準法は震度6強の揺れでも倒壊しないのが建物に求められる最低限の強度としており、これが耐震強度1。国交省は強度0.5未満の分譲マンションを「震度5強で倒壊の恐れがある」として、建て替え支援の対象にしている。

 小嶋社長は朝日新聞社の取材に対し、「藤沢0.4」のメモを見たことを認めた上で、「数字が何を意味するのか、分からなかった」などと述べ、GS藤沢の耐震強度が不十分だとは認識していなかったと話していた。

耐震偽造:「常務メモ」押収 小嶋元社長の詐欺物証に 05/18/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、マンション販売会社「ヒューザー」元社長、小嶋進容疑者(52)を詐欺容疑で立件する上での焦点となっていた「常務メモ」を、警視庁など合同捜査本部が押収していたことが分かった。同社元常務が元1級建築士、姉歯秀次被告(48)=建築士法違反ほう助で起訴=からデータ偽造の内容を直接聞き取って記したもので、分譲マンション「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)の販売前、元常務はこのメモを元に小嶋容疑者に報告していた。【佐々木洋】

 調べでは、設計担当の元常務は昨年10月25日夜、姉歯被告の自宅事務所でデータ偽造物件について説明を受けた。姉歯被告はGS藤沢など7物件を挙げ、構造計算の際にどれだけ耐震強度を引き下げたか、数値を示して説明した。

 押収されたメモは、この時に元常務が自分で記録したものだった。元常務は同27日午前、メモを元にして姉歯被告による耐震偽装を小嶋容疑者に報告していた。

 この日午後、ヒューザー本社でイーホームズ社長の藤田東吾被告(44)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用で起訴=らとの対策会議が行われたが、イー社の記録によると小嶋容疑者は「天災地震で倒壊したときに発覚したことにしたい」と発言したという。

 小嶋容疑者は会議後、GS藤沢の販売の是非について販売子会社の役員らから尋ねられた際、「検査済み証が出ているので問題ない」と引き渡しを指示したとされる。GS藤沢の17戸は、この翌日の28日に引き渡され、約4億円の販売代金がヒューザーに支払われた。

 また、GS藤沢の販売前後に別の役員が「姉歯、本人の口、藤沢に問題あり」、耐震基準に満たないことを示す「藤沢0・4」などとメモを残していたことも新たに分かった。小嶋容疑者同様に同社上層部も耐震偽装を認識していたとみられる。

 捜査本部は、これらのメモや元役員らの供述から、小嶋容疑者がGS藤沢の安全性に欠陥があることを知りながら、マンション代金を振り込ませた詐欺行為にあたると判断した。

耐震偽装公表3か月前、建築士が木村建設に指摘 05/18/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、元1級建築士・姉歯秀次被告(48)による構造計算書改ざんを国土交通省が公表する約3か月前の昨年8月、「木村建設」子会社の「平成設計」が、佐賀県にある姉歯物件のビジネスホテルについて、福岡市の1級建築士から強度不足の恐れを指摘されていたことが18日わかった。

 また木村建設元社長・木村盛好被告(74)が、昨年10月に同社元東京支店長・篠塚明被告(45)から強度偽装について連絡を受けた直後、社内に「姉歯を使うな」と命じた文書を配布していたことも判明。文書を押収した捜査本部では、木村被告が、姉歯物件の危険性に早い段階で気付いていた結果、この文書の配布につながった可能性があるとみて調べている。

 木村被告の指示文書が配られたのは、「サンホテル奈良」(奈良市)の工事代金の残金約2億2500万円が振り込まれる前だった。このホテルは「総合経営研究所(総研)」が開業指導していた。捜査本部は、木村被告の指示や1級建築士の指摘が総研に伝わっていたかどうかが、総研関係者の詐欺容疑での立件の可否を決める焦点とみて調べを進めている。

 構造設計専門の福岡市の1級建築士によると、木村建設が設計・施工した姉歯物件、「セントラルホテル伊万里」(佐賀県伊万里市)の構造計算書を昨年夏、平成設計の担当者から示され、データを仮入力して計算したところ耐震強度不足の結果となった。

 このため1級建築士は同8月、平成設計の担当者に電話でこの事実を伝え、「詳細な検討が必要だ」と警告したという。

 一方、木村被告は昨年10月27日、篠塚被告を通じ、姉歯物件の強度偽装を知らされた。この直後、木村被告名で、同社が新たな建物を施工する際には、構造設計には「姉歯を使うな」などとする文書が、関係部署に配られた。

 捜査本部では、この文書が社内に配布された時点で、木村被告や、同建設のホテル施工部門の責任者だった森下三男容疑者(51)が、サンホテル奈良の建物の危険性を十分認識していたと判断。その約2か月前、平成設計が偽装の指摘を受けたこととの関連などについて調べている。

耐震偽装:小嶋元社長、詐欺容疑で逮捕…強弁、冗舌消える 05/18/06(毎日新聞)

 警視庁などの合同捜査本部に17日、新たに逮捕された耐震データ偽造事件の「主役」の一人、マンション販売会社「ヒューザー」元社長の小嶋進容疑者(52)。致命的な欠陥を知りながらマンションを住民に売り渡したとする詐欺容疑だ。これまで一貫して「私は被害者」と公言してきた男は、狭い取調室でどんな弁明をするのだろうか。一方、小嶋容疑者や木村建設から欠陥建物を売りつけられたマンション住民やホテルオーナーらは、詐欺事件への新展開に、容疑者らに対する怒りをかみしめながら、真相解明に期待をかけた。

 「おそらく、殺人を犯してもここまではやられない。破産させられ、(週刊誌などで)女性関係までばらされた。もうボロクソです」。小嶋容疑者は今年3月末、東京都内のホテルで毎日新聞のインタビューにこう訴えた。国会やテレビで、強弁を繰り返した姿とは一変し、その表情は疲れきっていた。

 ◇「もうボロクソです」

   ■   ■

 小嶋容疑者は宮城県色麻町で、農家の二男に生まれた。地元の進学高校から東北大を受験したが失敗。浪人中にアルバイトで消火器のセールスをし、当時の大卒以上の給料を手にしたことが、人生の転機となったという。「大学に行かず、商売で生きていこう」と決意した。

 その後、さまざまなセールスを経験して、28歳で不動産会社を設立。90年代に入って家族向けのマンションの分譲を始めた。98年には工期短縮工法を売り物にしていた木村建設と組むようになり、「庶民にも広いマンションを。業界の常識を変える」をセールストークに業績を伸ばし続けた。自家用機を操り、伊藤公介衆院議員ら国会議員とも交友を深めた。

 疑惑の発覚後は、とにかく“冗舌”だった。

 「何言ってんだよ、ばかやろう」。昨年11月29日の衆院国土交通委の参考人質疑では、答弁中の、藤田東吾・イーホームズ社長=電磁的公正証書原本不実記録・同供用罪で起訴=を怒鳴りつけ、「(鉄筋を減らすように)圧力をかけたことはない」と強調。国交省作成の資料のミスを見つけると、「国交省もいいかげんにしてほしいですね、全く」と吐き捨てた。

 分譲マンション住民に対する説明会にも積極的に姿を見せ、「デベロッパーの賠償責任を果たす」と言い続けたが、経営は悪化した。

 今年1月17日の衆院国交委での証人喚問では、「刑事訴追される恐れがある」とほとんどの質問について証言を拒否。同月末になり、「偽造を見逃したのは建築確認をした自治体の責任だ」として、全国18自治体を相手取り約139億円の損害賠償請求訴訟を提起(その後、14自治体・約96億円に変更)した。

 「戦う姿勢」を見せたが、翌日に分譲マンション住民から破産を申し立てられる。2月16日に破産手続き開始決定がされると、「厳粛に受け止める」とコメントし、その後マスコミにもあまり登場しなくなった。

 「すっかり犯罪者に仕立て上げられ、市中引き回し(のようだ)。サングラスをかけても足りず、帽子かぶって、マスクまで。町は歩けないし……」。インタビューに応じた小嶋容疑者は弱気な発言を繰り返した。それでも、さまざまな疑惑について尋ねると、ことごとく否定したうえで、「名誉なんて特別何もない。正義のために徹底的に戦う」と語気を強めた。

 ◇「逮捕は通過点」

 小嶋容疑者がだまして売りつけたとされるグランドステージ藤沢(神奈川県藤沢市)は既に全15世帯の引っ越しが完了。玄関や駐車場にはベニヤ板が張られ、6月末にも取り壊しが始まる。藤沢市は、1世帯当たり約2000万円の追加負担で現在の80%の広さでマンションを建て替える再建案を提示しており、住民らが検討を続けている。

 管理組合の副理事長(37)は「(逮捕は)ゴールではなく通過点。いろんな人が違うことを話しており、誰かがうそをついている。小嶋社長は正直に話してほしい」としながらも、「ヒューザーや木村建設だけが悪いのか。制度を放置した国にも責任があるのではないか」と、複雑な心境をのぞかせた。

 17日午後、東京地裁では木村建設の破産手続きのため、初めての債権者集会が催されていた。集まった債権者は約160人。代理人が木村容疑者からの「集会で謝罪すべきだったが、逮捕され、出来ない。自分の今後もまだ分からない状態だ」との手紙を読み上げたという。

 破産管財人によると、債権者は1132人、債権総額は377億845万円余。最大の債権者は賃貸マンションの建築主「シノケン」(福岡市博多区)、2番目は「ヒューザー」。ヒ社物件の住民387人の計133億5266万円余の債権も含まれている。

 出席した「サンホテル奈良」の滝沢義一郎支配人は「木村容疑者に新たな憤りをおぼえる。捜査は事件の核心に迫ってほしい」と沈痛な面持ちで話した。また、同ホテルのオーナー会社「増富」専務、増井功さん(45)は奈良市三条本町の同ホテルで、「半年がかりでやっとここまできた。総合経営研究所や木村建設は偽造を知りながら建物を急いで引き渡そうとしたと思う」と訴えた。【池田知広、曽田拓、高瀬浩平】

耐震偽装:捜査ついに「本丸」 詐欺容疑で立件にこぎつけ 05/17/06(毎日新聞)

 耐震偽装の発覚からちょうど半年を経て17日、警視庁などの合同捜査本部は、事件の「本丸」と位置付けられる詐欺容疑での立件にこぎつけた。捜査本部が、高いハードルを乗り越えた経過に焦点をあて、今後の捜査を展望した。【佐々木洋、長谷川豊、大平誠】

 ◇「故意」証拠積み上げ

 建築業法違反など「形式犯」ともいえる法令違反で進めてきた耐震データ偽造事件の捜査。詐欺容疑での逮捕には「故意にだました」という違法性の認識が必要だった。捜査本部は関係者の供述などから、ヒューザー元社長、小嶋進容疑者(52)や木村建設元社長、木村盛好容疑者(74)らに「地震に対して安全」と欺く行為があったことを裏付けた。

 「別件逮捕という指摘は正しくない。木村建設に関しては、粉飾決算の建設業法違反が本件だ」。捜査幹部のこんな言葉に、今回の捜査を解くカギがある。捜査本部は先月26日、木村元社長ら4人を同法違反容疑で逮捕。同法違反を適用したことに、一部では「別件逮捕」との指摘もあった。

 だが、これは事件の本質だった。木村建設は約10年前に東京進出した直後、業者間の競争で安く工事を請け負い、結果的に2億円の赤字に。赤字が続けば金融機関からの融資は受けられなくなり、事業継続が困難になる。このため、木村元社長が部下らに決算の粉飾を指示したとされる。

 工事を安く請け負えば利幅が少ない。このため、構造計算を担当した姉歯元建築士らには徹底したコストダウンを要求した。これがデータ改ざんにつながり、偽装物件の建設・販売へと続く。捜査本部は、粉飾決算を事件の出発点と位置付け、突破口にしたわけだ。

 実際、容疑の対象となった「サンホテル奈良」(奈良市)は昨年11月15日オープン予定だったが、木村元社長らは10月下旬に姉歯元建築士らのデータ改ざんを知っていた。しかしこれを隠して工事完成を急ぎ、オープン時に支払いを受ける予定だった工事残金約2億2500万円を前倒しで受け取っていた。ここに「故意」を見たわけだ。

 ヒューザーの小嶋元社長についても同様だ。昨年10月28日、分譲マンション「グランドステージ藤沢」(神奈川県藤沢市)の17戸を購入者に引き渡し、代金約4億円の振込みを受けた。しかし、その前日には、姉歯元築士のデータ改ざんを認識していた。これまでの取材に「購入者との契約手続きの流れに沿った取り引きだった」と主張したが、捜査本部はデータ偽造の事実をあえて告知せず、代金を受け取った事実を重視した。

 捜査幹部は「捜査はさらに伸びる」と明言している。ホテル建設で経営指導を行ったコンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)についても、関与がなかったかについて捜査を続けている。姉歯元建築士の構造計算書の改ざんについては、建築基準法違反で追起訴となる見通しだ。

 ◇発覚半年…なお調査は道半ば

 今回の事件は、姉歯元建築士による構造計算書改ざんが「氷山の一角」であることを明らかにしつつある。国土交通省は、昨年11月17日に事件を発表して以来「姉歯物件」以外にも問題がないかどうか、自治体を通じて約1000件を対象に調査してきたが、まだ終わっていない。この間、姉歯元建築士が直接関与した205件中、98件が偽造だったことが分かり、強度不足の「非姉歯物件」も次々と判明した。

 「非姉歯」の539件は、姉歯元建築士と関係の深い木村建設、ヒューザー、平成設計、総合経営研究所がかかわった物件。このうち6件が強度不足で、半数の3件が故意にデータを改ざんした偽造物件だった。56件は調査結果が出ていない。

 国指定の民間確認検査機関を通した調査からは、計103棟を抽出。全50機関から、10階建て以上の建物のうち、設計図面上、耐震強度に不安があるものを選んだ。うちマンション15棟に強度不足の疑いがある。また、自治体を通じて全国400棟のマンションのサンプル調査も行っているが、結果は出ていない。

 自治体独自の調査でも「偽装マンション」が発覚。札幌市は、浅沼良一2級建築士が手がけたマンション16棟で耐震データが偽造されていたと発表。福岡県は「サムシング」が関与した7物件で強度不足の可能性があることを明らかにするなど、不信の連鎖が続いた。

 ヒューザーが販売し、建て替えが必要な分譲マンション11棟では、再建策の模索が続く。今月15日現在、309戸中299戸が引っ越し、9棟で全住民が退去した。国は公的支援策を発表しているが、解体工事に着手したのは1棟だけだ。住民の苦悩の日々は終わっていない。【長谷川豊】

 ◇総研の関与は未解明

 捜査本部は4月26日の一斉逮捕の際、建設業法違反(決算の虚偽申告)という「形式犯」の容疑を木村建設の4幹部に適用した。4人はマンション、ホテルの両ルートでそれぞれ「ツートップ」的存在。そして今回、木村元社長と森下元専務という両ルートのトップを「サンホテル奈良」建築工事に絡んだ詐欺容疑で逮捕した。

 マンションルートの詐欺事件では、建築主の小嶋元ヒューザー社長を追い詰めた。しかし、ホテルルートでは、木村建設など多くのゼネコンを指導した総合経営研究所(総研)の関与は未解明だ。

機関申請時、確認検査員の“名義借り”…イーホームズ 05/17/06(朝日新聞)

 民間の指定確認検査機関「イーホームズ」が、国土交通省から検査機関の指定を受ける際、確認検査をするために必要な「確認検査員」について、社外の国家資格保持者の名義を借りていたことが東京地検の調べで分かった。

 また同社社長・藤田東吾容疑者(44)は、自社の内部監査で耐震偽装を発見し国交省に通報したように見せかけるため、内部監査書類の日付を偽造していたことも判明した。

 同地検の調べなどによると、イーホームズは2001年11月、国交省に検査機関の申請をし、12月に指定を受けた。

 この際、「建築基準適合判定資格者」の国家資格を持つ2人以上の確認検査員が必要だったが、社内に資格保持者がいなかったため、社外の保持者3人に頼み、名義を借りて申請していた。

 検査を補助する補助員についても同社従業員5人を登録していたが、登録時に本人の了解を得ていたのは1人だけで、他は勝手に登録していた。

 また同社は昨年10月26日、最初に国交省に偽装の事実を通報したが、実際に偽装を発見したのは、同社が建築確認をした東京都足立区のマンションの構造計算を再チェックした「アトラス設計」(東京都渋谷区)だった。

 だが藤田容疑者はアトラス設計の代表者から指摘を受けた際、アトラス設計が問題を公表しないように要求。アトラス設計から指摘を受けた数日前に、イーホームズが内部監査で偽装を発見したかのように、日付を偽装した藤田容疑者名の内部監査書類を作成していたという。

 さらに、藤田容疑者が1999年にイーホームズを設立した際の資本金1000万円も「見せ金」だったという。01年の見せ金増資の際と同様、司法書士がこの1000万円を貸していた。

耐震偽造:小嶋、木村容疑者ら3人を詐欺容疑で逮捕 05/17/06(朝日新聞)

 耐震データ偽造事件で、警視庁など合同捜査本部は17日、強度不足を知りながらマンション代金をだまし取ったとして、マンション販売会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産手続き中)元社長、小嶋進容疑者(52)を詐欺容疑で逮捕した。また、同様にホテル建設代金をだまし取ったとして「木村建設」(熊本県八代市、同)元社長の木村盛好(74)、元専務の森下三男(51)の両容疑者を詐欺容疑で再逮捕した。3人はいずれも容疑を否認している。

 マンション、ホテルの安全への信頼を揺るがした昨年11月の問題発覚から半年を経て、事件は「本丸」とも言える購入者への詐欺事件に発展した。

 調べでは、小嶋容疑者は昨年10月28日、元1級建築士、姉歯秀次容疑者(48)が構造計算書のデータを偽造し、建物の耐震強度が不足していることを知りながら、分譲マンション「グランドステージ藤沢(GS藤沢)」(神奈川県藤沢市)の部屋が安全だと信じ込ませ購入者の男性に引き渡し、代金五千数百万円をだまし取った疑い。

 小嶋容疑者は、民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の指摘をきっかけに姉歯容疑者のデータ偽造を知り、遅くとも、この引き渡し前日にはGS藤沢でデータが偽造されていたことを認識していた。このため、捜査本部は、小嶋容疑者が購入者にあえて強度不足を伝えず代金を詐取したと判断した。

 一方、木村、森下の両容疑者はビジネスホテル「サンホテル奈良」(奈良市)について、同様のデータ偽造を認識しながら昨年11月7日、ホテルの建設を依頼した不動産会社から建設費の未払い残金2億2500万円をだまし取った疑い。

 木村容疑者らは同10月27日ごろ、木村建設元東京支店長、篠塚明容疑者(45)から、姉歯容疑者によるデータ偽造について報告を受けていた。

 サンホテル奈良は昨年3月に木村建設が約6億3000万円で建設工事を受注。未払い残金は完成予定の11月15日以降に支払われる予定だった。ところが、木村建設側は「予定より早く11月5日にオープンできる」として残金支払いを急がせ、、同7日に支払いを受けた。捜査本部は強度不足が発覚するとトラブルになると考え、支払いを早めたとみている。

 GS藤沢の強度は基準値の15%しかなく震度5弱で倒壊の恐れがあり、サンホテル奈良も同じく44%で震度5強の地震で倒壊する恐れがあるとされる。捜査本部は、昨年12月からヒューザーや木村建設など関係先の捜索を行うとともに多数の関係者から事情聴取を行ってきた。

 ◇姉歯容疑者ら起訴

 東京地検は17日、「イーホームズ」(東京都新宿区)社長、藤田東吾(44)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用▽元1級建築士、姉歯秀次(48)=建築士法違反ほう助▽元建築設計業、秋葉三喜雄(46)=建築士法違反▽木村建設元社長、木村盛好(74)=建設業法違反▽同社元東京支店長、篠塚明(45)=同--の計5容疑者をそれぞれ起訴した。

 藤田被告とともに逮捕された岸本光司・司法書士(66)と、木村建設の決算粉飾容疑で逮捕された森下三男・同社元専務(51)、橋本正博・同社元取締役(48)については処分保留で釈放した。

ヒューザー・小嶋社長を詐欺容疑で逮捕へ 耐震偽装事件 05/17/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は、強度不足を知りながら「サンホテル奈良」(奈良市)の工事代金を受け取ったとして、木村建設(熊本県八代市、破産手続き開始)社長の木村盛好容疑者(74)=建設業法違反の疑いで逮捕=を17日午後にも詐欺の疑いで再逮捕する。

 捜査本部はまた、姉歯秀次容疑者(48)=建築士法違反幇助(ほうじょ)容疑で逮捕=が構造計算書を偽造し、ヒューザー(東京都大田区、同)が販売したマンション「グランドステージ藤沢」(神奈川県藤沢市)にからむ詐欺容疑で、小嶋進社長(52)を逮捕する方針。国土交通省が偽装問題を明らかにしてから半年。捜査本部は、「本件」ともいえる詐欺容疑で、偽装事件の実態解明に乗り出す。

 調べなどによると、木村建設はサンホテル奈良の建設を請け負い、昨年3月に着工。構造計算書は姉歯容疑者が担当した。ホテルは同年11月5日に開業し、ホテル側は2日後、木村建設に工事代金2億2500万円を支払った。総工事費は約6億6000万円だったが、ホテル側は3回に分けて支払い、11月は最後の支払いだった。

 一方、木村建設はヒューザーから昨年10月下旬、姉歯容疑者が構造計算書を偽造していたと伝えられており、捜査本部は、木村建設がサンホテル奈良の耐震強度不足を知りつつ、少なくとも工事代金2億2500万円を受け取ったことが詐欺容疑に当たると判断した。

 これについて、木村建設幹部は朝日新聞社の取材に対し、「10月下旬の段階では、マンションを問題視していた。ホテルの強度不足は知らなかった」と反論していた。

 サンホテル奈良は、耐震強度が基準の44%しかなかったことが明らかになり、開業からおよそ20日で営業を停止。ホテル側は、開業指導した経営コンサルタント「総合経営研究所」(東京都千代田区)などに約7億1000万円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。

 捜査本部は、サンホテル奈良をめぐる総研幹部の刑事責任についても慎重に調べを進めている。

ヒューザー・小嶋社長、耐震偽装詐欺容疑で逮捕へ 05/17/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は、開発会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産手続き中)の小嶋進社長(52)が、神奈川県藤沢市の分譲マンション「グランドステージ(GS)藤沢」の強度不足を告知しないまま、顧客17人から代金をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕する方針を固め、17日、出頭を要請した。

 また「木村建設」(熊本県八代市、破産)元社長・木村盛好容疑者(74)についても、同社施工のビジネスホテル「サンホテル奈良」(奈良市)の強度不足を認識しながら、工事代金を受け取っていたとして同容疑で再逮捕する方針。

 建設業法違反容疑などの捜査から始まった同事件は、発覚から半年を経て、“本丸”の詐欺容疑での立件へと大きく動き出した。

耐震強度計算の新方式、自治体45%が対応不能 05/17/06(読売新聞)

 元1級建築士・姉歯秀次容疑者(48)による耐震強度偽装が表面化して17日で半年となるが、建築確認審査事務を行う全国276の自治体のうち、約6割の165自治体が審査担当職員の増員など何らかの対応策を講じる一方で、2000年から認められている新しい構造計算方法「限界耐力計算」に対応できない自治体が全体の45%に上ることが読売新聞の全国調査でわかった。

 一連の問題では自治体が52件の強度不足などを見逃していたが、自治体の構造審査が依然、脆弱(ぜいじゃく)な実態が浮かび上がった。

 調査対象は、構造計算が必要なマンションなどの建築確認事務を行うことを、建築基準法で認められている276自治体。

 それによると、審査体制強化のため、愛知県が外部委託を含め構造担当者を8人増やしたほか、千葉県が4人増やすなど76自治体が担当を増員。また島根県や東京都足立区が構造担当の管理職を新設したりするなど、計91自治体が増員や組織改編を行った。このほか92自治体が大臣認定の構造計算ソフトや専用パソコンを導入した。

 その一方、2000年の民間開放以降、自治体への確認申請が減少していることなどを理由に、「増員の必要性を感じない」(大阪府寝屋川市)、「公務員削減を求められる中、増員する環境にない」(福井県)とする回答も多かった。

 00年から使用が認められている構造計算方法「限界耐力計算」については、約45%の123自治体が「対応可能な職員が1人もいない」と回答。この中には宮城県、京都府など12府県、大阪、千葉、神戸の3政令指定都市も含まれていた。

木村建設粉飾決算、取締役会の承認“偽装” 05/17/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件に絡み、建設業法違反容疑で元社長の木村盛好容疑者(74)ら幹部4人が逮捕された「木村建設」(熊本県八代市、破産)は、赤字を黒字に粉飾した2004年6月期の決算について、取締役会で正式な承認を得ていなかったことがわかった。

 警視庁などの合同捜査本部は、さらに別の決算期でも同社が、同様にずさんな経理処理を行っていたとみて、17日に拘置満期を迎える木村容疑者ら同社幹部について、同容疑での捜査を進めている。

 木村容疑者ら同社の幹部4人は、粉飾した04年6月期の決算書類を国土交通省に提出したとして、同法違反(虚偽申請)容疑で逮捕された。

 関係者などによると、同社では、複数の役員が自分の印鑑を本社に預けたままにしており、この決算を承認する取締役会も実際には開いていないのに、各役員の印鑑を押すなどして、決算が承認されたように議事録を偽造していた。

札幌の耐震偽装問題 2検査機関が6件に評価書 05/13/06(朝日新聞)

 札幌市の2級建築士による耐震強度偽装問題で国土交通省は12日、構造計算書に偽造のあった同市のマンション16件のうち6件に、民間検査機関の日本ERI(本社・東京)とハウスプラス住宅保証(同)が住宅性能評価書を交付していたと発表した。うち4件は強度不足にもかかわらず、耐震性を満たすとの評価を下していた。国交省は住宅品質確保促進法に基づき両社を処分する方針。

強度偽装見逃し、国交省が2機関を処分へ 05/12/06(読売新聞)

 北海道の浅沼良一・2級建築士による耐震強度偽装問題で、国土交通省は12日、偽装が判明した16物件中6件に対し、二つの住宅性能評価機関が「耐震強度などに問題がない」とする住宅性能評価書を交付していたことを明らかにした。

 国交省は住宅の品質確保促進法に基づき2機関を処分する方針。

 偽装を見逃したのは「日本ERI」と「ハウスプラス住宅保証」。両機関は2001~04年にかけて、偽装が判明した札幌市内の分譲マンション3件ずつに対し、耐震性や耐火性、防音性能などが一定の水準に達していることを証明する同評価書を交付した。

 住宅性能表示制度での偽装見逃しは、元1級建築士・姉歯秀次容疑者(48)の偽装物件1件でも見つかっており、国交省では「消費者保護のための制度が結果的に機能しなかったことは遺憾で、評価方法を検討したい」としている。

「『別の計算方法なら問題ない』と主張」

国土交通省も強度の計算方法で結果の差があまり違わないように対応し、 改正すべきだろう。

ホリエモンの件に似ている。抜け道を作っておいた行政にも問題がある。

朝日新聞(2006年5月12日)より

強度不足、関西で初 大阪市のマンション データー誤入力が原因

大阪でも強度不足分譲マンション、検査機関見落とす 05/12/06(読売新聞)

 大阪市は11日、城東区の分譲マンションが強度の不足状態にあり、震度6強の地震で一部損壊する恐れがある、と発表した。

 構造計算で数値の入力ミスがあり、審査を担当していた民間の指定確認検査機関「日本ERI」(東京)が誤りを見落としていたことが判明。市は同日、建築主に対し、早急に補強工事をするよう指示した。

 市によると、このマンションは2004年11月に建設された「アルティスタ大阪城東」(鉄筋コンクリート造り11階建て、23戸)。

 市の調査では、横揺れに対する耐震力である保有水平耐力の指数が、最も低い4階で0・61。最高でも0・91どまりで、全階で建築基準法の耐震基準(1・0)を下回っていた。

 ただ、震度5強で倒壊の恐れがあるとされる0・5を下回っていないことなどから、市は「補強工事で修復可能」と判断。使用禁止命令は出さなかった。

浅沼建築士のマンション強度偽装、札幌でさらに6棟 05/10/06(読売新聞)

 北海道の浅沼良一・2級建築士によるマンション耐震強度偽装問題で、新たに6棟の構造計算に偽装があったことが10日、札幌市の再調査でわかった。

 このうち3棟の耐震強度は基準の1・0を下回っていた。

 関係者によると、新たに偽装が確認されたのは2002年から04年までに札幌市内で建設された分譲マンション。うち3棟は基準を上回る強度があったが、残る3棟は0・75~0・86と基準値を下回った。

 浅沼建築士が関与した物件で、構造計算に偽装があったとされるのは33棟。

 今回の6棟を含めると、再調査が終了した17棟中16棟で偽装が確認され、うち9棟の耐震強度が基準を下回った。

サムシング:構造計算書、福岡市の公営住宅でも偽造か 05/10/06(毎日新聞)

 福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(02年廃業)が構造計算書を偽造していたとされる問題で9日、新たに福岡市営住宅1棟を含む計2棟で構造計算書が偽造されていた疑いがあることが明らかになった。いずれも福岡市が日本建築構造技術者協会(JSCA)九州支部に再計算を依頼していた物件で、安全性に問題はないというが、公営住宅で「偽造」の疑いが指摘されたのは初めて。

 市によると、新たに偽造が疑われているのは、木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が施工し、サムシングが構造計算した市内の民間マンション。建物の重量が10~20%減らされ、構造計算プログラムの入力データと出力データに食い違いがあった。市は「従来と同様に構造計算書の差し替え」とみているが、耐震基準は確保されているという。

 また、サムシングが設計した福岡市営住宅19棟の中で、市がJSCAに今年3、4月に調査を依頼した10棟のうち、98年度に着工した1棟(8階建て)で構造計算に問題があった。市は4月末、JSCAの説明で実態を把握。構造計算の入力データと出力データの食い違いから、構造計算書の差し替えがあったとみている。こちらも建物の安全性は確保されているとみられるという。

 市は今後、JSCAから正式な報告書の提出を受けた後、サムシング側から事情を聴く方針。市の調査で同社の偽造が疑われている物件は、今回判明した2棟を含めて計5棟となる。【安達一成、米岡紘子】

耐震偽造:公営住宅でも発覚 設計会社サムシング関与 05/09/06(毎日新聞)

 福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(02年廃業)が構造計算書を偽造していたとされる問題で、福岡市は9日、新たに市営住宅1棟を含む計2棟で構造計算書が偽造されていた疑いがあることを明らかにした。いずれも市が日本建築構造技術者協会(JSCA)九州支部に再計算を依頼していた物件で、安全性に問題はないが、公営住宅で「偽造」の疑いが指摘されたのは初めて。

 市によると、新たに偽造が疑われているのは、木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が施工し、サムシングが構造計算した市内の民間マンション。建物の重量が10~20%減らされ、構造計算プログラムの入力データと出力データに食い違いがあった。

 また、市はサムシングが設計した市営住宅19棟のうち10棟について、今年3~4月、JSCAに精査を依頼。うち98年度に着工した1棟(8階建て)で構造計算に問題があったという。【安達一成、米岡紘子】

イーホームズの書類引き継ぎ、新宿区「責任持てぬ」 05/02/06(毎日新聞)

 耐震強度偽装事件で、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が指定機関業務を今月末で廃止する方針を示していることに対し、新宿区は2日、省令に基づき、区内約700の建築物の構造計算書など関係書類を同社から引き継ぐことになるものの、「イーホームズはきちんと検査していない恐れがあり、今後の証明書発行業務などの際、書類の内容に責任が持てない」として、国土交通省に対応策を求める要請書を出した。

 同省によると、自治体からのこうした要請は初めてだが、今後、他の自治体から同様の訴えが出てくる可能性もあるとみられる。

 建築基準法に基づく同省令では、指定確認検査機関が業務を廃止した場合、建築物のある特定行政庁(都道府県、建築主事がいる市区など)が書類を引き継ぐと規定している。省令の記載はこれだけだが、同区によると、今後、建築物が売買されれば、その際の証明書発行など、建築物を巡る手続きは区が行うことになる。同区では、万一の場合は「区民の不利益にもつながる」とし、民間の検査業務が頓挫した場合の国の対応策に不備があると指摘している。

 国交省では「建築確認などの審査書類は、各建物を所管する自治体に引き継ぐ義務があり、法の規定に従って対処してほしい」と話している。

耐震偽装:架空増資は検査資格受けるため 藤田容疑者 05/03/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件に絡み、民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)社長、藤田東吾容疑者(44)=電磁的公正証書原本不実記録(虚偽登記)などの疑いで逮捕=が、警視庁などの合同捜査本部の調べに対し、「大規模物件を検査する資格を早く得たかった」と、検査資格を受けるために資本金を多く見せかける架空増資をしていたことを認める供述をしていることが分かった。捜査本部は、一気に業績を拡大しようという藤田容疑者の焦りが一連の耐震偽装の背景にあったとみている。

 藤田容疑者は先月26日の逮捕直後は架空増資を否定していたが、その後、「今考えると、借りたお金を資本金に使った増資で違法だった」と容疑を認めた。さらに動機について「大規模な物件を検査する資格を国から得るために、資本金を増やしておくことが必要だった。早く確認検査機関の指定を受けて業績を伸ばしたかった」と詳しい供述を始めたという。

 関係者によると、藤田容疑者は01年10月、司法書士の岸本光司容疑者(66)=同=から2400万円を借り、自己資金300万円と合わせた2700万円をイーホームズの口座に振り込んだ。当時のイー社の資本金2300万円に加えて、10月22日、資本金を5000万円とする増資を法務局に登記した。

 しかし、イー社は直後に増資分の2700万円を藤田容疑者が経営する造園会社に融資。造園会社は同額を藤田容疑者に貸し付け、藤田容疑者はうち2400万円を岸本容疑者に返済していた。返済は、岸本容疑者からの借り入れから約5日しかたっていなかった。一連の資金のやり繰りは、すべて藤田容疑者が行っていたという。

 藤田容疑者は99年12月にイー社を設立。01年5月に住宅性能評価機関として指定された後も、仕事の受注はほとんどなく、決算では欠損が出ていた。増資を計画した当初は銀行に融資を申し込んだが、ベンチャー企業の経営者として実績が認められず断られたという。

 藤田容疑者は資本金5000万円とする登記をもとに確認検査機関の指定申請を国土交通省に行い、01年12月に指定を受けた。5000万円は、床面積2000~1万平方メートルの建物を検査できる資本金の下限額に当たる。

 藤田容疑者は、この指定がなかなか下りなかったことから、知り合いの都議に同省に対して働きかけをするよう求めていたことが既に明らかになっている。

 捜査本部は、大規模物件を扱う資格を得るための必要最低限の資金繰りを急いだことが違法な増資につながったとみて経緯をさらに追及する。【佐々木洋】

姉歯容疑者の「木村の仕事が9割」証言に疑義 05/01/06(朝日新聞)

 耐震強度を偽装した元建築士姉歯秀次容疑者(48)=建築士法違反幇助(ほうじょ)の容疑で逮捕=が昨年12月の国会の証人喚問で、初めて構造計算書を偽造したとされる98年当時、「仕事の90%ぐらいは木村建設から請け負っていた」とした説明は事実と異なる疑いがあることがわかった。国土交通省が現時点で把握しているデータでは、同社がらみの仕事の割合は大幅に低かった可能性がある。姉歯元建築士は、偽装したのは木村建設からの圧力があったためだとしていたが、証言と客観的データが大きく食い違っており、警視庁などは押収資料を分析するなどして動機の解明を進めている。

 姉歯元建築士の証人喚問は昨年12月14日。

 98年当時の仕事は「9割以上が木村建設がらみ」だったとし、元東京支店長の篠塚明容疑者(45)=建設業法違反容疑で逮捕=から「鉄筋を減らさなければ仕事を一切出さないと言われた」と証言。「(同社の仕事が)なくなると生活できなくなる」ことや、「病気がちの妻が入退院を繰り返していた」こともあり、「いけないとわかっていながら、弱い自分がいてやってしまった」などと説明した。

 併せて、初めて偽装したのは木村建設が施工したグランドステージ池上(東京都大田区、98年5月に建築確認申請)だったと明かした。

 ところが、姉歯元建築士が構造設計やその一部である構造計算に関与したとして国交省が把握している205件のうち、97年までに請け負ったのは17件で、木村建設が施工した物件は1件もなかった。98年は受注した10件のうち同社がらみは2件で、99年になると24件のうち10件に増えたが、割合は4割程度。木村建設がらみの仕事が9割に上るという実態は確認されていない。

 姉歯元建築士が過去に請け負った仕事の調査は、事務所に残された書類などを千葉県が調べた結果がベースになっており、新たな関与物件が今後判明する可能性もあるが、98年当時の仕事の状況は大きくは変わらないとみられる。

 木村建設関係者によると、同社は96年に構造設計とは別の仕事で姉歯元建築士を初めて使い、98年のグランドステージ池上を手始めに構造計算を依頼するようになったという。

 証人喚問で篠塚元支店長は鉄筋の減量を要求したことは認めたものの、「法令順守の範囲内のこと」などと違法行為の強要は否定した。同社関係者は篠塚元支店長が姉歯元建築士に鉄筋の減量を要求したのは、同社がホテルなどの構造設計を頻繁に発注し始めた99年以降だとしている。

「見せ金増資」イーホームズの藤田社長、容疑認める 04/30/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件にからみ、虚偽の増資をしたとして、電磁的公正証書原本不実記録などの疑いで逮捕された民間検査機関「イーホームズ」社長の藤田東吾容疑者(44)が警視庁などの合同捜査本部の調べに対し、「今にして思えば、見せ金増資だった」として、容疑を認める供述を始めていることが分かった。藤田容疑者はこれまで、「増資は正当に行われており、資本として実態がある」と反論していた。

 関係者の話や捜査本部の調べでは、藤田容疑者は01年10月、イーホームズの元監査役で、同じ容疑で逮捕された司法書士の岸本光司容疑者(66)らから借金し、同月20日、イーホームズの資本を2300万円から5000万円に増資した。岸本容疑者が法務局で増資に関する登記の手続きをとったという。

 しかし、藤田容疑者は増資の4日後、資本から2400万円を引き出し、岸本容疑者に返済。同時に、当時社長を兼任していた造園会社に2400万円を融資する形を取って、架空増資を隠蔽(いんぺい)しようとしたとみられている。

 逮捕前、架空増資の疑惑について「見せ金には当たらないと考えている。造園会社に貸し付けたが、返還が確実に見込める相手先で、資本へ充当されない恐れはなかった」と反論していた。

耐震偽造:イーホームズ社長 「株式上場」もくろむ計画 04/29/06(毎日新聞)

 「増資は適法。いわれのない嫌疑報道で当社を非難する状況は不自然で遺憾」。国指定の確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)社長の藤田東吾容疑者(44)は、電磁的公正証書原本不実記録(虚偽登記)などの疑いで逮捕される直前、自社のホームページで2度にわたって釈明をした。国会の参考人招致でも「唯一の独立系検査機関」と胸を張った藤田容疑者。短期間のうちに異様ともいえるほど増資を繰り返す一方で、「株式上場」をもくろむ計画が深く進行していた。

   ■   ■

 昨年10月21日、株式上場に詳しいある経済専門家(69)が、イー社の監査役に就任した。証券会社や証券取引所勤務を経て、ソフトバンクグループの上場を手がけ、現SBIホールディングス最高経営責任者の北尾吉孝氏らとともに、ソフトバンク社の役員を務めた人物だ。

 「将来性があると思った。証券市場は『新しもの好き』。私も45年この商売してますから……」。知人の紹介で藤田容疑者に面識があった専門家はそう話した。昨年2月、経済専門誌で「今後伸びる未上場の会社ベストテン」にイー社があるのを見つけた。「(藤田容疑者に)電話をすると、すぐに飛んできた。『上場したい』と相談を受け、監査役就任を依頼された」と専門家は説明する。

 昨年3月、イー社は第三者割当増資で銀行や損保会社に株式を譲渡。社内向けにも株式を公開し、取締役クラスは100万円単位で購入したという。ある元社員は、「例えば10万円で買ったら、上場時には50万円になると言われた。社長は2部上場に移行しやすい東証マザーズ上場を狙っていた」と話す。

 そして昨秋、耐震偽装が発覚。「(株式)公開という目的でなった監査役だから、もう意味がなくなった」と、専門家は就任からわずか1カ月で監査役を辞任した。

 検査機関の指定を取り消されれば、上場はおろか、会社の存立さえ危ぶまれる。しかし、国土交通省の処分方針も決まらない中で今月4日、SBIは突然、イー社の株式49%の買収を発表。この専門家は「北尾氏からこの件で相談を受けたこともないし、SBIの狙いはわからない」と話す。ところが、20日に架空増資疑惑が急浮上、25日にイー社が検査業務廃止を宣言、26日に藤田容疑者の逮捕という急展開で、49%すべてがイー社に返還された。1カ月足らずで、淡く膨らんだ再建の夢は、はじけて消えた。

 造園業などを手がけた藤田容疑者が99年12月、資本金1000万円で設立したイー社。資本は住宅メーカーなどの“ひも付き”ではない「独立系」の検査機関だった。それから5年余で8回の増資を重ね、資本金は12倍に膨れ上がった。だが、その検査ぶりは、元1級建築士の姉歯秀次容疑者(48)に「見ていない」と断言された。規制緩和で誕生した新規ビジネス。大いなる野望を抱いたが、検査機関として安全な住環境を守る使命は果たせなかった。

耐震偽装:繰り返し一切の関与を否定… 篠塚元東京支店長 04/29/06(毎日新聞)

 「今さら話す気はありません。国会で犯人扱いされ、もう再就職できない。人生が終わったと覚悟を決めたんだ。あとはブタ箱に入るか死ぬしかない」。逮捕前、「木村建設」(熊本県八代市、破産手続き中)の元東京支店長、篠塚明容疑者(45)は、毎日新聞の取材に、いら立ちをぶつけた。この約5カ月間に体重が20キロも落ちていた。

 逮捕容疑は、会社の決算を黒字に見せかけたとする建設業法違反(虚偽報告)の疑い。熊本空港で26日午前10時59分、捜査員らに囲まれた篠塚容疑者が報道陣をにらみつけた。

 「国会でうそはついていない。それでも他人にまで『あんたは正直に言うべきだ』と言われるんだ……」。篠塚容疑者は取材にこう答えていた。

   ■   ■

 「篠塚さんから鉄筋を減量しろと圧力をかけられた。断りきれなかった」。元1級建築士、姉歯秀次容疑者(48)のこの発言は、日本中に衝撃を与えた。たちまち「疑惑の人」となった篠塚容疑者は、国会に呼ばれ、2人の出会いが96年の鉄骨業者の紹介だったこと、姉歯容疑者に約220万円分の架空請求書を書かせて、木村建設から支出した金を自分に戻させていたことを認めた。しかし、「リベートではなく、営業経費だった。姉歯氏の偽造には一切関与していない。常に経済設計を求めてきたが、法を犯すことは認識していなかった」と繰り返した。

 取材に対しても「違法性の認識」を否定し続けた。だが、その一方でこんな言葉を口にした。「だいたい、日常生活で法律を意識しますか? 法律を守る守らないと、いちいち意識して仕事している人などいないでしょう」。企業に法令順守を求める声が高まっている中、意識の低さが垣間見えた。

 「自分にとって一番は仕事、二番は家族と友人」(篠塚容疑者)

 木村建設は昨秋、中国・上海に事務所を開設した。その準備のため、篠塚容疑者は頻繁に上海に出張。土曜日に帰国しても家族がいる熊本の自宅に帰らず、仕事が気になるのか、東京支店に顔を出した。二つの携帯電話を使い、メールで部下に次々と仕事の指示を送っていた。

 ある同僚は「社内きっての切れ者。昔から出来が違った。先輩を追い越して東京支店長になった」と話す。売り上げの6~7割を占める東京支店の支店長は要職だ。社長の木村盛好容疑者(74)にかわいがられ、順調に出世する篠塚容疑者を同僚は「プリンス」と呼んだ。

 「本当にまじめな人間。姉歯からキックバックさせていたと聞いても信じられない」「実際に飛び回っていたから、『営業経費が必要だった』という彼の言い分は理解できる」。篠塚容疑者をかばう同僚も少なくない。

 「圧力」を巡り、食い違う姉歯容疑者と篠塚容疑者の言い分。篠塚容疑者は粉飾決算への関与も否定している。だが、篠塚容疑者の説明に本当に“改ざん”はないのか。

 今月になって、木村容疑者が篠塚容疑者の体調を気遣って電話をしてきた。二人とも捜査の行方は話題にしなかった。篠塚容疑者は「互いに(悪いことは)やっていないと分かっているから」と話した。

朝日新聞(2006年4月28日)より

偽りの安全 元建築士ら一斉逮捕 業者に巣食う名義貸し

姉歯容疑者ら8人を送検 5人が否認 04/27/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は27日、建築士法違反容疑などで一斉に逮捕した元建築士の姉歯秀次容疑者(48)ら8人を東京地検に送検した。

 8人のうち、粉飾決算で逮捕された木村建設元東京支店長の篠塚明(45)、同社元役員森下三男(51)、同橋本正博(48)の3容疑者と、架空増資で逮捕されたイーホームズ社長の藤田東吾(44)、司法書士岸本光司(66)の2容疑者は、捜査本部の調べに対し、いずれも建設業法違反や電磁的公正証書原本不実記録の容疑を否認している。

 篠塚容疑者は「東京支店の売り上げ報告はしていたが、本社で(決算の粉飾を)やっていることは全然知らなかった」などと供述。藤田容疑者は「増資をしたのは事実だが、違法の認識はない」と明確に容疑を否定している。

 一方、容疑を認めているのは、建築士法違反容疑の姉歯、建築デザイナー秋葉三喜雄(46)、木村建設社長木村盛好(74)の3容疑者のみ。

 木村容疑者は「5年ごとに建設業許可を更新しなければならないのは、昔から知っていた。それを守らなければ、罰せられることは分かっていた」などと供述しているという。

イーホームズ、国交省に廃業届を提出 04/27/06(朝日新聞)

 増資をめぐる虚偽登記の疑いで社長が逮捕された住宅検査会社イーホームズ(東京都新宿区)は27日、国土交通省に対し、確認検査機関と住宅性能評価機関の業務を5月31日で廃止すると届け出た。「今後の事業運営を維持することが困難になった」としており、国交省は書類の形式が整っていることを確認した後、正式に受理する。

 民間検査機関は、構造計算書など建築確認の書類を5年間保存するよう義務づけられている。国交省は廃業に備え、同社の書類を建物の所在地の自治体で保存するよう、近く全国の自治体に協力を求める。

都議に働きかけ依頼、イーホームズが検査機関申請時に 04/27/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で逮捕された民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)社長の藤田東吾容疑者(44)が2001年、確認検査機関の指定を申請した際、吉原修・東京都議(50)(自民)に国土交通省への働きかけを依頼していたことがわかった。

 吉原都議は働きかけを認め、「軽はずみな行動だったかもしれない」と話している。

 吉原都議によると、藤田容疑者から「申請した確認検査機関の指定が下りずに困っている。いつになるか聞いてほしい」と依頼を受け、国交省に出向き、建築指導課の担当者に「早く指定して欲しい」と話したという。

 吉原都議は、自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官の元秘書で01年6月に初当選し現在2期目。藤田容疑者からは、自らの資金管理団体などに02年に計36万円、03年に計39万円、04年に計326万円の献金を受けている。

 吉原都議は「藤田容疑者は十数年来の友人なので力になりたかった」と話している。一方、国交省によると、イーホームズは2001年11月8日に申請、同年12月21日に指定を受けたが、「指定まではごく平均的な日数」としている。

「調べなどによると、同社の社員らは『検査はほとんどノーチェックだった』『検査件数が多すぎて、とてもさばききれなかった』 などと捜査本部に証言している。」

産経新聞(2005年11月26日)によると「二十二人の確認検査員が所属。ほとんどが自治体の 建築検査部署で審査業務を経験した職員OBだ。」

産経新聞(2005年12月8日)によると「耐震強度偽装問題で、国土交通省は八日、姉歯秀次元建築士による 構造計算書の偽造を見逃した指定確認検査機関の日本ERI(東京都港区)に立ち入り検査した。

 検査機関への立ち入りは、十一月二十四日と二十五日のイーホームズ(東京都新宿区)に次いで二社目。

 国交省の担当者十二人が同日午前九時半、日本ERI本社ビルに入った。同社の確認検査本部などを中心に 資料提出を求めるとともに、社員から事情聴取。帳簿や書類の保管状況、構造計算書の審査体制を詳しく調べる。」 と書いてある。

国土交通省による民間検査機関の総点検で上記のような実態は把握できたのだろうか。日本ERIの検査は 総点検でどのような結果となったのだろうか。

民間検査機関や行政の対応を検証する国交相直属の緊急調査委員会の結論を先送りしたが、 結論次第では、調査委員会の調査が効果的に出来たのかも問題になるだろう。

耐震偽造:イーホームズ ずさん検査の実態、社員ら証言 04/27/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の複数の社員らが、警視庁など捜査本部の調べに対し「建築確認検査はずさんだった」と証言していることが分かった。また、監査法人や上場を担当していた証券会社が、同社の増資を問題視する指摘をしていたことも判明。捜査本部は、同社が確認検査数を急速に増やす裏で、ずさんな検査や不正な増資をしていたことが耐震偽装の背景にあるとみて、今後厳しく追及する方針だ。

 調べなどによると、同社の社員らは「検査はほとんどノーチェックだった」「検査件数が多すぎて、とてもさばききれなかった」などと捜査本部に証言している。同社はもともと、住宅性能評価機関として社長の藤田東吾容疑者(44)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕=が99年に設立したが、受注がほとんどなかったため01年12月に確認検査機関の指定を取得した。その後、検査業務の受注が増えたが、業容の拡大に要員や検査体制が追いつかず、耐震強度などのチェックを素通りさせるケースが多かった。

 05年9月に建築確認した10階建てマンションでは、別物件の書類がまじっていたほか「地下10階建て構造」などと書かれた間違い書類が検査を素通りしていた。元1級建築士、姉歯秀次容疑者(48)=建築士法違反容疑で逮捕=に国会証人喚問で「見ていない」とまで言わせるほどだった。

 一方、藤田容疑者は01年10月、資本金を2300万円から5000万円にしたが、資金を用意できず、司法書士の岸本光司容疑者(66)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕=から大半を借りるなどして調達。岸本容疑者は同社元監査役で、確認検査機関の指定を国土交通相から受けるための増資であることを知っていた。

 ところが、藤田容疑者は登記から数日後、増資分を自分が経営する造園会社に融資。さらに、造園会社から数回に分けて自分に戻したうえで、岸本容疑者に全額返済した。今回はこの虚偽登記容疑で逮捕された。

 この経緯について、イーホームズの監査法人は02年決算の監査報告書で「支配株主への貸付金」と問題視する付記事項を付けていた。また、東証マザーズへ今年3月上場するため審査をしていた証券会社も昨年7月ごろ、増資の直後に同額を造園会社に融資していることに気付き「問題あり」として、最終的に上場は延期になった。【石丸整、佐々木洋】

イーホームズ:都議に働きかけ依頼 検査機関の早期指定で 04/27/06(毎日新聞)

 「イーホームズ」(東京都新宿区)の架空増資事件に絡み、社長の藤田東吾容疑者(44)=電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕=が、民間確認検査機関の指定を受けるために、かつて伊藤公介・元国土庁長官の秘書を務めた経験のある吉原修・東京都議(50)=自民=に、国土交通省への「働きかけ」を依頼していたことが分かった。伊藤元長官はマンション販売会社「ヒューザー」(大田区、破産手続き中)の小嶋進社長(52)を耐震偽装問題が公表される直前に同省幹部に引き合わせたことが問題になっている。藤田容疑者の依頼を受けた吉原都議は国交省に要請しており、一連の耐震偽装に政治家が深くかかわっている実態が改めて浮かび上がった。

 警視庁などの合同捜査本部の調べや関係者によると、イーホームズは01年5月に国交相から住宅性能評価機関の指定を受けたが、受注実績がほとんどなかったため、建築確認申請を審査できる民間確認検査機関の指定を得ることを計画。藤田容疑者は同10月に増資の登記をした直後、国交省に指定の申請を行った。しかし、同省は同社の企業規模を理由に東京都内のみの検査業務ができる都指定の検査機関になるよう指導した。

 ところが、全国展開を希望していた藤田容疑者は、吉原都議に「国に指定の申請を出しているのになかなか下りない。どうして時間がかかるのか聞いてほしい」と要請。吉原都議は国交省に出向き「友達が申請をしているが時間がかかっているようだ。なるべく早くお願いします」と同社が国交相指定の確認検査機関になるよう求めたという。

 同社はその後の12月21日に国交相の指定を受け、建築確認検査の業務を開始した。藤田容疑者はこの指定を受けるために、同社の資本を2300万円から5000万円に増資したが、増資に必要な資金を知人の司法書士から借り、間もなく返却した架空増資だったとして逮捕されている。無理な増資だったうえに、指定を受けるために、吉原都議を利用していたことになる。

 吉原都議は自民党公認で01年6月に初当選し、現在2期目。84年1月~00年12月まで伊藤元国土庁長官の秘書を務め、伊藤氏の長官時代(96年11月~97年9月)は秘書官だった。吉原都議の資金管理団体「吉原修連合後援会」と同都議が支部長を務める「自民党東京都町田市第3支部」の政治資金収支報告書によると、藤田容疑者から2団体に対し、▽02年に計36万円▽03年に計39万円▽04年に計326万円の献金があった。

 藤田容疑者と吉原都議は青年会議所時代からの友人。吉原都議は毎日新聞の取材に「藤田君から電話があり、何課だか覚えていないがアポを取って国交省に行った。(藤田容疑者と)一緒かどうかは覚えていないが、友達のために、頼まれて何もしないわけにはいかなかった。お金をもらうために口利きしたことはない」と話している。

 指定の窓口となる国交省建築指導課の当時の課長は「イーホームズの申請のことは覚えていない。(吉原都議から)陳情があったとの報告もない」と話している。【青島顕、石丸整、種市房子】

名義貸し:建築士業界で横行 昨年度の懲戒28人中7人も 04/27/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件では元1級建築士の姉歯秀次容疑者(48)が無資格者に名義を貸していたとして逮捕されたが、こうした建築士による「名義貸し」が業界内で横行している実態が浮かび上がった。05年度に懲戒処分となった1級建築士28人のうち、7人までが「名義貸し」。ある建築士は「名義を貸して報酬をもらえる建築士と、『設計・施工一括』の実績をうたえる無資格者しかいない建築設計業者の利害が一致するから」と指摘する。国土交通省は事件後、再発防止策をまとめたが、実効性には疑問の声も出ている。

 国交省によると、処分された7人のうち一人は、70代の1級建築士。無断改築問題が発覚したホテルチェーン「東横イン」の関連会社「東横イン開発」(東京都港区)の管理建築士として自分の名前を使うことを承諾して、勤務実態がないのに月10万円の報酬を受け取っていた。

 名義貸しは、建築士と無資格者との間▽建築士同士の間--の2種類に大別できる。

 姉歯容疑者の逮捕容疑は建築士法違反。無資格者の建築設計業者に対する名義貸しで、東京都内の1級建築士(64)は「確かに設計士がいない業者が関与する例が多い」と話す。さらに「設計・施工一括の契約実績を上げたい業者が、報酬を出して名義を借りる。業者は、自社の無資格者でも設計を担当でき、双方の利害は一致する」とその理由を説明した。

 一方、これまで建築士同士の名義貸しは、建築基準法にも明確な禁止規定がなかったが、国交省は近年、こうした名義貸しについても積極的に処分する方針に転換。耐震データ偽造事件発覚以降は、改正建築士法案に名義貸しの禁止規定を盛り込み、「誰が設計したのか」を透明化するように変える方針を固めている。

 しかし、こうした対策に疑問をはさむ専門家もいる。1級建築士で特定非営利法人「建築Gメンの会」の大川照夫理事長は「実際に下請けした建築士は自分の名前などを申請書類や業務報告書に書くのだろうか。『知られたらまずい』と思うことは隠される可能性がある」と話している。【種市房子】

姉歯容疑者「申請先はイーホームズに」と要請 04/27/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、建築士法違反幇助(ほうじょ)の疑いで逮捕された元建築士姉歯秀次容疑者(48)が03年ごろ、知人の建築デザイナー秋葉三喜雄容疑者(46)に、建築確認の申請先を業界最大手の検査機関からイーホームズに変えるように要請していたことが分かった。秋葉容疑者は、姉歯容疑者から「1級建築士」の名義を借り、設計業務を請け負うなどしていたとして、姉歯容疑者とともに逮捕された。警視庁などの合同捜査本部は、構造計算書を偽造した姉歯容疑者が審査が甘いとされるイ社を利用して、建築確認を通過させようとしていたとみて調べている。

 姉歯、秋葉の両容疑者は04~05年、千葉県船橋市内の共同住宅2棟の設計業務を請け負った際、1級建築士の名義を貸し借りしたとして逮捕された。

 調べなどによると、両容疑者は従来、建築確認の申請を主に民間検査機関で最大手の日本ERI(東京都港区)に出していた。ところが03年ごろ、姉歯容疑者が「ERIはチェックが厳しい。イ社に出してみたら、相性がよく、仕事がしやすかった」と秋葉容疑者に検査機関の変更を持ちかけたという。

 姉歯容疑者から1級建築士の名義を借りて設計業務を実質管理していた秋葉容疑者は、この要請を受け入れて検査機関をイ社に変更したとされる。

 その後、秋葉容疑者が地元不動産会社から設計を請け負ったマンションの多くは、イ社の建築確認を受けた。秋葉容疑者が姉歯容疑者名義の印鑑を利用して書類を作成、姉歯容疑者名で申請していたという。

 一方、架空の増資をした疑いで藤田東吾社長(44)らが逮捕されたイ社も当時、独立系の検査機関として急成長していた時期だった。問題発覚後、国土交通省などから、審査のずさんさを指摘されており、姉歯容疑者関与の37物件で、構造計算書の偽造を見逃していた。

耐震偽装 姉歯偽装の半数「木村」が施工 04/27/06(産経新聞 朝刊)

≪崩れた蜜月、醜き確執≫

 姉歯容疑者による偽装は、国土交通省の集計で計98件。この半数の約50件で木村建設が施工を担当していた。「二人三脚」ともいえる密接な関係がうかがえるが、発覚後の両者の主張は、「偽装は木村建設からの圧力があったため」(姉歯容疑者)、「法律の範囲内でという認識で圧力ではない」(篠塚明容疑者)と食い違う。一部では主張にほころびも見える中、「二人三脚」の実態解明は警察捜査にゆだねられた。

 国交省の最終調査結果によると、姉歯容疑者が偽装した物件はマンション57件▽ホテル38件▽一戸建て住宅3件。完成済みは85件、工事中や未着工は13件だった。

 このうち、木村建設が施工したのは書類上では28件だが、元請けのゼネコンから“丸投げ”され、実際の施工を担当した物件が約20件あることが判明。木村建設は偽装物件の約半数を手掛けていたことになる。

 姉歯容疑者が昨年12月、衆院国土交通委員会の証人喚問で最初に偽装したと証言した、東京都大田区の「グランドステージ池上」も木村建設の施工。ヒューザー(当時の名称はハウジングセンター)と木村建設が初めて組んで手掛けた物件で、建築確認は平成10年7月だ。

 証人喚問で姉歯容疑者は、偽装のきっかけを「木村建設東京支店長(篠塚容疑者)から、鉄筋を減らすようプレッシャーをかけられた」と証言。篠塚容疑者の「圧力」に対し、「これ以上は(鉄筋減量は)できないと、法律に触れるとの意味合いで言った」とし、「(木村建設にも)違法性の認識はあったはず」と指摘。「構造事務所はほかにもある」と恫喝(どうかつ)まがいの言葉もたびたびあったと訴えた。

 偽装の動機を「病気がちの妻が当時入退院を繰り返していた。9割以上木村建設絡みで仕事を請け負っていたので、断ると収入が限りなくゼロになる。弱い自分がいた」と語った。その妻は先月28日、自殺した。

 姉歯容疑者の名指しの“糾弾”に、篠塚容疑者も証人喚問で強く反論。「もう少し何とかならないか、ということは言ったかもしれないが、法律の範囲内と認識していた」と説明し、「圧力」を全面否定した。

 「篠塚容疑者からの圧力」を偽装の動機とする姉歯証言は一定の説得力は持つものの、疑問点が浮かぶのも事実だ。

 最初の偽装と姉歯容疑者が証言した「グランドステージ池上」とほぼ同時期に建築確認を受けた川崎市の別の物件でも偽装が発覚。姉歯容疑者が「木村建設絡みの仕事が9割だった」とした平成10年当時、木村建設の内部資料などでは、10年以前に姉歯容疑者に大規模建築物の構造計算を依頼した形跡はなく、取引の本格化は11年以降だという。このため「当時、木村建設の仕事が生活を支えていた」という姉歯容疑者の説明には疑問符がつく。

 どのように偽装が始まり、広がったのか。姉歯容疑者と木村建設のかかわりの解明がカギを握りそうだ。



 ■解決には立法措置

 国会で事件を追及した民主党の馬淵澄夫衆院議員の話「国会で明らかにしたように、関係者の従属性や『鉄筋を減らせ』等々を含めた指示性を、捜査当局がどういう形で今後立件していくか見守りたい。同じく国会で取り上げたサンホテル奈良をめぐり、木村建設から総研へ不明朗な手数料が流れていた疑惑も、当局の視野に入っていると思う。姉歯容疑者ら関与した人の罪は問われなければならないが、それで問題が終わりではない。制度の本質的欠陥に踏み込む立法措置まで行わないと解決にならない。再発防止は罰則強化などが政府案の柱だが、本当にそれでいいのか。犯人捜しは捜査当局にゆだねるしかないが、立法府にいる者は法の網をくぐられるようなものを作っていてはいけない。実際に効果のある法案作成が求められている」

◇  ■国交省の責任大

 偽装マンションの被害住民を支援している谷合周三弁護士の話「イーホームズが姉歯容疑者の偽装物件を見逃していたことが偽装拡大の要因にもなった。これは、建築基準法を改正してまで確認検査業務を民間に開放した制度が機能していなかったということだ。国土交通省は昨年10月26日にイーホームズの藤田東吾容疑者から構造計算書偽造の指摘を受けながら『そちらで対応されたし』と、即座に対応しなかったのも問題だった。建築確認の民間開放や制度面の欠陥など、国交省の責任は大きく、追及していく必要がある。どこに根本的な原因があるかを解明しなければ対策も講じられない。そのためにも今後は住民支援のなかで、国交省が偽装にどう対応したのか事実関係を解明していきたい」

◇  ■国民納得しない

 元最高検検事、土本武司白鴎大法科大学院教授(刑法)の話「『姉歯容疑者、木村建設、ヒューザー、総研といった一連の関係者が共謀して構造計算書を偽造し、被害者からマンション代金などをだまし取った詐欺罪』と見込んでいた構図が現段階でうまくいかない。発覚から5カ月も経過し、それぞれで成り立つ容疑で立件していくしかないということが、今回の逮捕の背景ではないか。だが、今回の容疑だけでは国民は納得しない。捜査当局も関係者が共謀した詐欺罪という構図は崩したくない。詐欺罪立件に向け、あらゆる状況証拠などをもとに『構造計算書が偽造されていたということを知っていてマンションやホテルを売った』との事実認識を立証できるかどうかが今後のポイントだ」

イーホームズ、来月末で廃業へ 04/26/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で架空増資疑惑が浮上している指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)は25日、5月末で指定機関業務を廃止する方針を表明した。

 藤田東吾社長名で、同社ホームページで明らかにした。国土交通省に対しても同日、役員が訪れ、取締役会で廃業を決めたことを口頭で伝えた。国指定の検査機関が廃業するのは初めて。

 ホームページでは、「過去の増資に係る嫌疑により、私が立件されるという報道がなされた」ことなどにより、「今後の事業運営の維持は困難だと取締役会で判断した」と、廃業の理由を説明している。

 同社は問題発覚前は、売り上げの8割以上を建築確認検査業務が占め、常時数千件の物件を担当していた。しかし姉歯偽装物件98件中37件で構造計算書改ざんを見逃していたことなどから業務が激減。現在継続中の業務は約200件にまで落ち込んでいた。

耐震偽装8人逮捕…「厳罰を」住民、今も不安な生活 04/26/06(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度が偽装されたという衝撃の事実が公表されてから5か月。元1級建築士の姉歯秀次容疑者(48)らキーパーソンが、警視庁などの合同捜査本部に逮捕された。

 この間、偽装マンションの建て替えや補修計画は遅々として進まず、多くのホテルは休業に追い込まれた。マイホームが欠陥物件だったという悪夢の事実を突き付けられた住民らは、「耐震偽装の本筋を解明してほしい」と、今後の捜査への期待を口にした。

 建て替えなどの方向が見えないまま、今も不安な生活を強いられている偽装マンションの購入者やホテル経営者は、「可能な限りの厳罰に処してほしい」などと訴えた。

 全偽装物件中、最悪の15%しか強度がないとされる「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)を購入した50歳代の男性は、「強度不足のマンションを建てれば、住民がどうなるか分かるはず。ある意味で殺人未遂だ」と姉歯容疑者らへの怒りをぶちまけた。

 30歳代の男性は、「木村容疑者は一番の主犯格。藤田容疑者も、『特定行政庁でも偽装を見抜けなかったはず』と開き直った態度が許し難い。手抜き審査の責任もきちんと追及してほしい」と訴えた。

 最弱部分の強度が基準の31%とされる「GS東向島」(東京都墨田区)を購入した団体職員男性(34)は「姉歯容疑者らが逮捕されたからと言って、我々は元の暮らしに戻れる訳ではない」と語気を強め、「国側の責任も明確にしないことには、事件が二度と起こらないような仕組みは作られない」と話した。

 強度が50%に満たない分譲マンション11件については、解体費の全額と共用部分の建て替え費用の3分の2などを国と自治体で負担する支援策を政府が打ち出している。ただ、住民の追加負担は平均2000万円と重く、合意形成は難航。計画が具体化しているのは、川崎市の「GS溝の口」だけで、その他のマンションでは自治体側などとの協議が続いている。

 一方、原則として一切の公的支援が受けられない偽装ホテル。補強工事を済ませて営業再開にこぎつけたのは、群馬県伊勢崎市の「伊勢崎サンホテル」など4件にとどまる。開業指導したコンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」や内河健所長らに対しては、奈良市の「サンホテル奈良」、愛知県半田市の「センターワンホテル半田」が損害賠償を求めて提訴した。

 昨年12月から休業している鹿児島県霧島市の「サンホテル国分」の源島新太郎副支配人は「だれの指示で、どのような経緯で偽装が行われたのかを追及してほしい」と力を込めた。偽装発覚で工事が中断したままの「苅田プレモントホテル」(福岡県苅田町)の社員は、「関係者が逮捕されても現状は変わらない。一日でも早く営業にこぎ着けることしか考えていない」と話した。

「しかし、同社が昨年、東証マザーズへの株式上場の準備をしていた際、過去の決算や経営内容を 精査していた監査法人が、増資直後に同額の2700万円をすぐに引き出していることを確認。 『見せかけ増資ではないか』と指摘していた。 指摘を受けて、藤田社長は弁護士に相談した。 藤田社長が関係者に示した資料によると、昨年6月、弁護士は『関連会社への融資であり、 確実に返済されることが見込まれていた』と回答。『増資に問題はない』としていた。このため、 これ以降は問題化することはなかった。目標だった昨年10月の上場は手続き上の問題で今年9月に 延期していた。」

警察はこの弁護士から直接、説明を聞いたのだろうか?監査法人も問題があれば罰せられる。 弁護士の解釈で問題化しなくなったのであれば、今回の件で違法となるのであれば、弁護士にも 問題があるのでは??

イーホームズ、増資直後に同額融資 藤田社長の別会社に 04/24/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件をめぐり、国指定の民間検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の藤田東吾社長(44)が01年10月、知人から2700万円を借りて行った同社の増資について、監査法人が昨年、「見せかけの増資ではないか」と指摘していたことが分かった。藤田社長が社長を兼任する造園会社に、知人から借りた金と同額を融資するという不透明さが指摘されたという。警視庁などの捜査本部もこうした資金の流れを把握、2700万円はすぐに返済する前提で借りた金で、造園会社への融資はこうした狙いを隠すためだったとみている模様だ。

 関係者の話や捜査本部の調べでは、藤田社長は01年10月、知人の男性から個人的に2700万円を借りてイーホームズの増資に充当。登記の手続きをした数日後に知人に返済したという。同時期、イーホームズは資本金2700万円を取り崩し、藤田社長が造園会社(新宿区)に貸し付けたという。造園会社は藤田社長が当時、社長を兼任しており、融資は半年で完済された。

 しかし、同社が昨年、東証マザーズへの株式上場の準備をしていた際、過去の決算や経営内容を精査していた監査法人が、増資直後に同額の2700万円をすぐに引き出していることを確認。「見せかけ増資ではないか」と指摘していた。

 指摘を受けて、藤田社長は弁護士に相談した。藤田社長が関係者に示した資料によると、昨年6月、弁護士は「関連会社への融資であり、確実に返済されることが見込まれていた」と回答。「増資に問題はない」としていた。このため、これ以降は問題化することはなかった。目標だった昨年10月の上場は手続き上の問題で今年9月に延期していた。

 捜査本部も増資時の金の流れに着目し、家宅捜索で押収した資料をもとに知人に返した2700万円の原資や、造園会社に対する融資状況を分析。この金は一時的に借りた金で、実際には増資になっていないとの見方を強めている。

 イーホームズは今月に入って架空増資疑惑が浮上した際、ホームページで「出資金額は実態のある資産として資本の充実が図られている」と反論していた。

 同社は01年12月、国の指定を受けた後、確認検査業務で業績を伸ばし、資本金を1億2600万円まで拡充した。しかし、姉歯秀次元建築士(48)が構造計算書を偽造した98物件中37物件で確認検査を担当していたため、検査態勢の不備が批判された。

国の検査・調査「身分証に顔写真を」…総務省が通知 04/24/06(読売新聞)

 国が行う立ち入り検査や統計調査などで職員、調査員らが携行する「身分証」のうち、半数近くの様式に顔写真が付いていないことが、総務省の調査でわかった。

 同省は25日、顔写真の添付などの改善を図るよう関係10府省に通知した。

 調査は、立ち入り検査496、統計調査41、国が委嘱・委託する相談員5の計542様式(関係13府省)の身分証などを対象に、昨年8~9月に行った。検査・調査に従事する場合、身分証を携帯し、必要があれば提示しなければならない。身分証にどのような事項を表記するかは、各省令などで定めている。

 調査によると、顔写真を付けているのは284様式(52%)に過ぎなかった。事業所の帳簿書類検査などのために行う立ち入り検査では、添付率は55%だった。総務省、国土交通省の検査はそれぞれ5%、16%と低かった。

 身分証に顔写真がない場合、各府省は、顔写真付きの「職員証」を提示させることにしているが、正式に訓令で定めているのは、国税庁だけだった。

 総務省は、立ち入り検査については<1>身分証に顔写真と生年月日を付ける<2>職員証も提示することを訓令で義務づける――のいずれかの措置を取るよう求めた。竹中総務相は25日の記者会見で、「(総務省は)自ら襟を正していかなければいけない」と述べた。

強度不足の疑い、再計算で12件…国交省が抽出調査 04/24/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件を受け、国土交通省が、姉歯秀次・元1級建築士(48)らが関与していないマンションなど103件について構造計算書を検証したところ、少なくとも12件で、強度が建築基準法の基準を下回る疑いがあることが24日、わかった。

 いずれも国指定の民間指定確認検査機関が建築確認をしていたが、再計算の結果、強度が暫定値で、基準の60~90%しかなかった。

 国交省が、国指定機関50機関が建築確認をしたマンションなど約500件を無作為に抽出。このうち計算上の強度が基準ぎりぎりの100~110%の物件103件について、耐震強度を国交省の所管団体「日本建築防災協会」で再検証した。

 この結果、12機関の12件の強度が、暫定的な数値で60~90%台しかないことが判明。いずれも偽装ではなく、計算間違いや、構造計算書の数値を設計図に写す際の転記ミスなどの可能性が高いという。

 国交省では、今後、検査機関や担当の自治体に連絡し、設計者から事情を聞く予定。強度不足が確定すれば、建築士や検査機関に対する厳しい処分を検討している。

耐震偽造:不審103件再計算、国交省「偽造はない」 04/24/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、国土交通省は24日、国交相指定の50の民間確認検査機関から不審点があるとして抽出していた103件の建築物の構造設計の再計算結果を発表した。12件のマンションで設計図と構造計算の一部に整合性がなく疑問点がみられたが、いずれも意図的に書類を差し替えた痕跡はなく、「偽造はない」としている。耐震強度は基準を下回ったが震度5強程度では倒壊する恐れはなかった。

 同省は、50機関から、10階以上の建築物で図面上、鉄筋の本数や柱の断面積が少ない計103件を抽出。財団法人「日本建築防災協会」を通じて、構造計算の設計事務所に再計算を依頼していた。このうち12機関の12件で構造計算書に計算ミスの疑いがある、といった疑問点が認められた。

 同省は連休明けにも、構造計算に疑問のある物件に建築確認を与えた検査機関から事情を聴き、問題があると判断した場合は行政処分する。【種市房子】

「国土交通省の担当者は、『阪神大震災後、耐震基準に関する法改正はしていないし、鉄筋量が増えるような認定プログラムの改善も一切なかった。 姉歯元建築士が何を根拠に言っているのか、全く理解ができない』と話している。」

「限界耐力計算」と「許容応力度等計算」の定義や適用例について国土交通省は明確にしなければ ならない。計算法の違いにより結果の強度にかなりの違いがある。何を根拠にこのような違いを 認めているのかもコメントしてほしい。

姉歯元建築士「鉄筋多すぎて設計不能に」と施主へ弁解 04/24/06(読売新聞)

 姉歯秀次・元1級建築士(48)による耐震強度偽装が公表される1週間前の昨年11月10日、姉歯元建築士が、偽装マンションの建築主となった千葉県船橋市の不動産会社に対し、「阪神大震災後、(国交相認定の構造計算)プログラムが改善され、まともにやると鉄筋が多くなり過ぎる」などと、構造計算書改ざんの理由を説明していたことがわかった。

 この不動産会社が23日、姉歯元建築士の説明などを録音した内容を公表した。しかし大震災後に計算プログラムの大幅な改定などが行われた事実はなく、その場しのぎの言い訳だったとみられる。

 この不動産会社は、船橋市内の賃貸マンションなど偽装物件6件の建築主となった「サン中央ホーム」。昨年11月8日、名義借りの疑いが浮上している意匠デザイナーを通じ、構造計算書の改ざんを知らされた。このため同10日、姉歯元建築士らを同社に呼んで説明を求め、その際のやりとりを録音していたという。

 録音によると、同社社長らから偽装の理由を問いつめられた姉歯元建築士は、「阪神(大震災)後に、プログラムがどんどん改善されていて、まともに計算すると、鉄筋が入りすぎっていうのがある」と弁解。

 そのうえで、「べらぼうに鉄筋が入りすぎて設計不能状態になっちゃう。自分の判断で(耐震強度を)多少落とした」と、構造計算書を改ざんした理由を淡々とした口調で説明している。

 船橋市内の賃貸マンションについて、鉄筋量をどの程度減らしたのかという質問に対しては、具体的には答えず、「このあいだ(昨年7月)震度5弱の地震がありましたよね。それに関しては一切問題なかった」などとはぐらかしている。

 国土交通省の担当者は、「阪神大震災後、耐震基準に関する法改正はしていないし、鉄筋量が増えるような認定プログラムの改善も一切なかった。姉歯元建築士が何を根拠に言っているのか、全く理解ができない」と話している。

「イーホームズは、01年12月に国土交通相から確認検査機関の指定を受けた際、藤田社長が 2700万円を一時的に借り入れ、資本金を5000万円に増資したとする虚偽の法人登記をした疑い。」

イーホームズのような虚偽の法人登記などをおこなっている会社は多いのでは?? このような逮捕は、制裁的な逮捕のように思える。詐欺でも逮捕されないケースも多いのでは??

耐震偽造:木村社長、姉歯氏らの逮捕状、24日に一括請求 04/24/06(朝日新聞)

 耐震データ偽造事件で、警視庁と千葉、神奈川両県警の合同捜査本部は、「木村建設」(熊本県八代市、破産手続き中)の木村盛好社長(74)、民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の藤田東吾社長(44)、姉歯秀次・元1級建築士(48)らの逮捕状を24日に請求する方針を固めた。木村社長は建設業法違反、藤田社長は公正証書原本不実記載、姉歯元建築士は建築士法違反の容疑。ほかに、木村建設の経理担当役員ら幹部数人や姉歯元建築士の知人の建築設計業者(46)らも含み、逮捕状請求の対象は計10人前後に上る。

 調べでは、木村建設は昨年6月期まで数年にわたり、業績を良く見せかけるために数字を操作した決算書類を作成。国土交通省の経営事項審査の際、粉飾した決算書類を提出した疑い。イーホームズは、01年12月に国土交通相から確認検査機関の指定を受けた際、藤田社長が2700万円を一時的に借り入れ、資本金を5000万円に増資したとする虚偽の法人登記をした疑い。一方、姉歯元建築士は、建築設計業者が千葉県の不動産会社からマンションの設計を受注し、自治体に建築確認を申請した際、この業者に1級建築士名義を貸した疑いが持たれている。【佐々木洋】

姉歯元建築士、鉄筋減は「自分の判断」 施主が明かす 04/23/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次元建築士(48)が千葉県船橋市のマンションの構造計算書を偽造した理由について、「まともに設計すると鉄筋が入りすぎる」などと施工主に説明していたことがわかった。鉄筋量が増えて建設コストがかさむことを避けるために「自分の判断で減らした」と述べたという。

 施工主のサン中央ホーム(同市)が23日、姉歯元建築士と同社社長らのやりとりの録音記録を明らかにした。

 同社社長らは、このマンションの強度が不足しているとの指摘を受けて姉歯元建築士と昨年11月10日に面談。その際、姉歯元建築士は「地震力を低減した」と耐震強度を意図的に低くしたことを認め、「鉄筋がべらぼうに入りすぎて設計不能になる」などと説明した。

 姉歯元建築士は国会の証人喚問で木村建設の元東京支店長からコスト削減を迫られて偽装に手を染めたと説明した。このマンションの建設には木村建設はかかわっておらず、姉歯元建築士は自らの判断だけで構造計算書を偽造していた。

「知人は昨年11月、『名義貸しと言われればそうかもしれないが、姉歯元建築士に構造設計という大事な部分を担ってもらっている。 業界では珍しくない』と話していた。」

この点について報道は詳しく調べ公表するべきであろう。「業界では珍しくない」と言う事は 氷山の一角。国土交通省の対応は、建築確認問題や耐震偽装防止に不十分。同じ問題は 起こらないかもしれないが、似たような背景での問題は起こるだろう。体質など重い罰則や 厳しい取締りがなければ改善など期待できない。

名義貸しで報酬1000万円超 姉歯元建築士 04/22/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、構造計算書を偽造した姉歯秀次元建築士(48)が、「1級建築士」の名義を貸したとされる知人の建築デザイナー(46)から、1物件当たり約80万~約120万円の報酬を受け取っていたことが分かった。知人が姉歯元建築士名義で設計を請け負った物件はマンションなど14棟で、姉歯元建築士に支払った報酬は総額1千万円を超えるとみられている。警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は、違法な名義貸しが常態化していたとみて、2人について、建築士法違反容疑での立件に向け詰めの捜査を進めている。

 調べや関係者の話によると、知人は、姉歯元建築士の名義で、千葉県内の不動産会社から設計業務を請け負っていた。自治体などに提出する書類の「元請け設計者」欄も「姉歯建築設計事務所」とし、自ら保管していた「姉歯」の印鑑も使用していたとされる。

 一方、不動産会社への設計料などの請求は、知人の会社名で、振込先も同社の銀行支店口座を指定していた。その上で不動産会社から受領した設計料の一部を、構造計算・監修料として、姉歯元建築士の口座に振り込んでいたという。

 設計料の相場は工事費の3~4%で、不動産会社から知人に支払われた設計料は、1物件当たり500万~800万円だった。うち80万~120万円が姉歯元建築士に報酬として渡されていたという。

 捜査本部は、設計料と報酬の流れから、姉歯元建築士が名義を貸すことで、知人は、マンション設計などの設計業務を違法に請け負い、利益をあげてきたと判断したとみられる。

 姉歯元建築士が名義を貸したとされる物件は船橋市の賃貸マンションなど共同住宅と木造住宅の計14棟で、うち9棟で構造計算書の偽造が確認されている。

 知人は、約10年前まで助手を務めていた地元の設計事務所で、不動産会社の幹部と知り合った。独立後に姉歯元建築士と組んで同社の仕事をするようになったとされる。

 知人は昨年11月、「名義貸しと言われればそうかもしれないが、姉歯元建築士に構造設計という大事な部分を担ってもらっている。業界では珍しくない」と話していた。

耐震偽造:詐欺立件へ突破口、関係者の容疑出そろう 04/21/06(毎日新聞)

 マンション、ホテルの安全を揺るがした耐震データ偽造事件は、姉歯秀次・元1級建築士(48)ら強度不足の建物の建築・販売にかかわった人物への捜査が大詰めを迎えている。警視庁と千葉、神奈川両県警が捜査員200人以上を動員して進めてきた捜査。「物件の購入者に対する詐欺容疑」という“本丸”に切り込むための“突破口”となる容疑が、ほぼ固まった。【佐々木洋】

 データの改ざんを全面的に認めている姉歯元建築士。昨年12月、捜査本部は告発容疑の建築基準法違反(強度不足の構造計算)容疑で約120カ所を家宅捜索した。しかし、同容疑の罰則は「50万円以下の罰金」に過ぎず、捜査本部は姉歯元建築士の周辺を重点的に捜査。その結果、構造計算の発注元の建築設計業者(46)に1級建築士の名義を貸した建築士法違反容疑が浮かんだ。罰則は「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」。捜査幹部は「名義貸しを14回も繰り返し、総額1000万円の報酬を受けるなど悪質」と話す。

 姉歯元建築士の改ざんデータに基づき不良物件を造ってきた木村建設。姉歯元建築士は、同社からの「コスト削減のプレッシャー」を改ざんの理由に挙げており、同社は事件の中心的存在に位置づけられる。しかし、建設した物件の欠陥を承知で売却した詐欺容疑(10年以下の懲役)を問う段階にまで、捜査は進んでいないのが現状だ。一方で、粉飾した決算書類を国土交通省などに提出したとして建設業法違反(6月以下の懲役または50万円以下の罰金)容疑が浮上した。「家宅捜索の押収資料を分析し、不正を見つけ出した」と、捜査幹部は語る。木村盛好社長(74)は「8年前から決算を粉飾していた」と、任意の事情聴取で認めている。

 強度不足のマンションを販売してきたヒューザーに対して、捜査本部は、小嶋進社長(52)らが耐震強度の偽装という「重要事項」を顧客に伝えずマンションを引き渡した経緯を巡り、宅地建物取引業法違反(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)容疑での立件を検討している。同法違反は、法人も両罰規定で立件対象だ。顧客をだます意思があったかどうかが、詐欺容疑適用の課題となる。

 建築確認で、姉歯元建築士による多数のデータ改ざんを見逃したイーホームズ。「第一通報者として事件を公表した」と、自らの“功績”を国会で主張した藤田東吾社長(44)だが、国交相から確認検査機関の指定を受ける際、資本金を5000万円に積み上げるため知人から2700万円を一時的に借り受け、見せかけの増資をした疑惑が浮上している。容疑は、虚偽の登記をした公正証書原本不実記載で「懲役5年以下または50万円以下の罰金」。捜査本部は、同社のずさんな検査業務が、多数の偽装物件を生んだ背景にあるとみている。

 捜査幹部は「今見えているのは、入り口の犯罪容疑。最終的には、設計から建設、販売の各段階で、顧客に対する不正や不作為を立証し、詐欺容疑で事件を構成したい」と話している。

耐震偽造:姉歯元建築士が業者に検査機関の変更求める 04/21/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)が、名義を貸して継続的に謝礼を受け取っていた千葉県の建築設計業者(46)に対し、建築確認の申請先を「イーホームズ」(東京都新宿区)に変更するよう要求していたことが分かった。警視庁など合同捜査本部は、姉歯元建築士が、自らデータを偽造した耐震強度不足の物件の確認申請をパスさせるため、同社のずさんともいえる検査実態を利用したとみて追及する方針。

 関係者によると、姉歯元建築士は6年前から、この建築設計業者に1級建築士の名義を貸し、総額約1000万円の謝礼を受領。この業者は当初、最大手の民間確認検査機関「日本ERI」(港区)に建築確認を申請していた。

 ところが03年ごろ、姉歯元建築士が申請先をイーホームズに変えるよう要求。理由について姉歯元建築士は「日本ERIは構造計算のチェックが厳しく、イーホームズの方が甘いから」と説明したという。

 これを受け、申請先をイーホームズに変更。その後、この業者から請け負った3件の構造計算で姉歯元建築士はデータを偽造したが、いずれもイーホームズの審査をパスしていた。

 民間信用情報調査機関によると、イーホームズの収益額(3月期決算)は03年の1億3500万円が、04年は6億1600万円、05年は11億2800万円と急速に拡大した。捜査本部は、急速に伸びた業績の背景に「チェックの甘さ」があるとみて、検査や経営の実態も調べている。

イーホームズ「指定」来月にも取り消し、増資疑惑で 04/20/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、架空増資疑惑が浮上した民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)について、国土交通省は20日、建築基準法が規定する「不正の手段で(検査機関の)指定を受けた」ケースに該当する疑いが強いとして、指定取り消しに向けた手続きに入ることを決めた。

 近く、藤田東吾社長(44)らから事情聴取し、姉歯秀次・元1級建築士(48)の偽装を見逃したずさんな業務と合わせ、来月にも同社を処分する方針だ。

 イーホームズを巡っては、2001年10月に架空の増資を行い、資本金が5000万円以上あるように見せかけた公正証書原本不実記載の疑いで、警視庁などの合同捜査本部が本格捜査に乗り出している。この結果、同社は、国交省の通達に基づき、検査機関として床面積2000~1万平方メートルの物件の確認業務を行うことが認められた。

 この経緯について国交省は、イーホームズが虚偽の申請を行って国交相の指定を受けた疑いがあると判断。建築基準法は、検査機関が「不正な手段により指定を受けた」場合には、指定取り消しなどの処分とすると定めており、国交省は処分手続きに入る。

 このほかイーホームズは、姉歯元建築士による偽装物件計98件のうち、37件の建築確認を下ろした。これらの中には1階から最上階まで柱や梁(はり)の太さが同じという異常な構造だったり、構造計算書と構造詳細図の数値が食い違っていたりしたケースがあったが同社は完全に見逃していた。

イーホームズに架空増資疑惑、警視庁が捜査へ 04/20/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)による構造計算書の偽造を見逃していた民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区、藤田東吾社長)が、国土交通省から検査機関の指定を受ける直前の2001年10月、約2700万円を増資したかのように装い、計約5000万円の資本金があるとする登記をした疑いがあることが19日、警視庁などの合同捜査本部の調べでわかった。

 指定確認検査機関は、資本金などを基準に検査対象の範囲が定められており、捜査本部は、同社が、マンションなど大規模物件の検査を請け負うため、架空増資をした疑いがあるとみて、公正証書原本不実記載容疑で本格捜査に乗り出す。

 法人登記簿によると、イーホームズは1999年12月に資本金1000万円で設立。01年4月に約1300万円の増資を実施して資本金を約2300万円にした。さらに同10月には資本金を倍以上の総額約5000万円にまで増やした。

 建築基準法に基づく国交省の局長通達では、民間の指定確認検査機関には、資本金などの財務基盤を3000万円以上にするよう義務付け、床面積が2000~1万平方メートルの建物の確認検査業務を行う場合は5000万円以上に、1万平方メートル超の場合は1億円以上にするよう求めている。

 これに基づき、イーホームズは資本金が約5000万円とする登記簿を国交省に提出し、02年12月に確認検査機関の指定を受けた。

 捜査本部は昨年12月、姉歯元建築士による建築基準法違反容疑の関連先としてイーホームズ本社を捜索。押収資料を分析したところ、資本金が約5000万円になった01年10月の増資などに不審な点があることを突き止めた。

 捜査本部は、同社が、増資を引き受ける企業などに株式の購入原資を提供して、実態は、資本が増えたわけではないのに増えたように見せかけた疑いがあるとみている。

 刑法の公正証書原本不実記載罪は、「懲役5年以下または罰金50万円以下」の罰則を定めている。

イーホームズ 増資、1年余で7回 検査資格、次々得る 04/20/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、見せ金を使った架空増資疑惑が浮上した国指定の民間検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が、01年3月から1年3カ月の間、架空を含む計7回にわたって約5700万円の増資を繰り返していたことが分かった。同社は増資後、民間検査機関としての資格を複数獲得していた。警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は、架空増資には業務拡大の意図があったとみて、公正証書原本不実記載容疑での立件に向けた調べを進める。

 登記簿や捜査本部の調べでは、イーホームズの藤田東吾社長(44)は01年10月、知人らからの融資などで2700万円を調達。その資金を金融機関に預け入れ、そこから証明書を受け取って01年10月、法務局に資本金が5000万円とする登記をした。しかし、この増資が「見せ金」と呼ばれる架空のもので、登記後、知人らに借入金を返還していたとみられることから、公正証書原本不実記載の疑いが持たれている。

 イーホームズはこの登記の2カ月後、国から「建築確認検査機関」の指定を受けた。より大きな物件を扱うためには、資本金として5000万円が必要だったという。

 これに前後して、同社は01年4月に1300万円を増資し、約2カ月後には「住宅性能評価機関」の指定を受けた。さらに02年5月から6月にかけて約1700万円を増資した2カ月後には財団法人「住宅保証機構」から審査受託機関の認可を受けていた。

 いずれも、住宅品質確保促進法に基づく資格で、住居の性能のチェックや、住宅に関する紛争を解決する業務内容となっている。

 建築確認検査は、98年に建築基準法が改正され、民間に開放された。イーホームズは同法改正を見越して設立され、現在、売上高の85%が確認検査で占められているという。一方、確認検査の民間開放は急速に進んでおり、00年度は全体の1割だったものの、04年度は民間が初めて半数を超え、競争が激化している。

 イーホームズは99年12月に設立。民間信用調査会社によると、02年までは赤字が続いていたが、03年3月期で約2600万円の経常利益を計上。それ以降、04年同期で約8600万円、05年同期で約1億6000万円の経常利益を出すなど、順調に業績を伸ばしていた。05年3月には資本金を約1億2600万円に増やしている。

■「増資は適法」HPで反論

 見せ金増資の疑惑について、イーホームズは、インターネットのホームページ上で、「増資は適法に行われており、出資金額は実態のある資産として資本の充実は図られている。嫌疑は事実無根で、現在、警察当局より一切の問い合わせや通知を受けていない」と、藤田社長名で反論している。

耐震偽造:木村建設 慢性的な赤字体質、粉飾重ね隠ぺい 04/20/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、決算を粉飾していたとして建設業法違反容疑で幹部らが事情聴取を受けている木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が東京進出前の80年代から、慢性的な赤字体質に陥っていた疑いがあることが、複数の同社役員らの話で分かった。元役員の1人は「80年代後半から粉飾決算をしていた」と証言しており、警視庁などの合同捜査本部は、粉飾決算を重ねることで慢性的な赤字を隠そうとしていたとみて、詰めの捜査を進めている。

 木村建設は、80年代から経営コンサルタント「総合経営研究所」(総研、東京)の会員企業となり、県外や首都圏のビジネスホテル建設などを手掛け始めた。関係者によると、当時から経営難で、ある元役員は「内部留保もなく赤字。未回収の売上金も収益に入れて、やっと黒字決算を作っていた」と、粉飾決算の実態を明かした。

 総研が指導したローコスト工法を修得してからは、多数の大型ホテルや分譲マンションなどの建設に乗り出した。売り上げは飛躍的に伸び、不良債権は減ったが、利益率が低い低予算で受注している工事が多いため、収支バランスは悪く、赤字が続いた。

 別の役員は「売り上げの6~7割を占める東京支店は特に慢性的赤字で全体の赤字を引っ張っていた」と打ち明ける。00年に東京支店長が更迭され、02年には篠塚明・元東京支店長が就任したが、赤字は03年ごろまでは続いていたという。

 同社が国に提出した財務諸表などによると、売上高はその後03年6月期103億円▽04年101億円▽05年127億円と成長しているが、この数字も粉飾だった疑いが出ている。

 一方、同社では少なくとも過去3年間、決算に対する監査が行われていなかった。元監査役の税理士は「監査を要請されたことも、決算書類を受け取ったこともない」と話している。

 元監査役は三十数年前から同社の税理を担当。96年ごろ、監査役就任を要請された。ところが、貸借対照表などの決算書類さえ届かず、経理をチェックしたことも、監査役として押印したこともなかった。03年3月に別の監査役が辞任した後は監査役はこの税理士1人だった。【石川淳一、阿部周一】

耐震偽造:イーホームズ、虚偽増資の疑い 指定得るため 04/20/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、姉歯秀次・1級建築士(48)が構造計算書を改ざんした多数の物件を建築確認した民間確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が、国土交通相から検査機関の指定を受けた際、資本金を増資したように装った疑いのあることが、警視庁など合同捜査本部の調べで分かった。捜査本部は公正証書原本不実記載容疑での立件を視野に捜査している。

 同社は01年10月、2300万円から5000万円に増資。その2カ月後、検査機関に指定された。しかし、この増資は、一時的に第三者から借りて調達したもので、登記後、引き出していた可能性があるという。捜査本部は、法務局に対し虚偽の登記申請を行った疑いがあるとみている。

 検査機関は、建築基準法に基づき国に登記簿などを提出して経営基盤などを証明する必要がある。検査対象の規模で必要な資本金は違うが、床面積が2000~1万平方メートルの場合、5000万円が必要となっている。

耐震偽造:鹿島札幌支店に構造計算書など提供求める 小樽 04/20/06(毎日新聞)

 浅沼良一2級建築士(47)が97年に手掛けた小樽市のマンション「小樽ベイサイドシティ7・8」が国の耐震基準を大幅に下回っていた問題で、市は19日、設計施工業者の鹿島札幌支店から構造計算書などの提供を求める方針を決めた。精査した上で、下請けの設計事務所や浅沼建築士からも事情を聴く方針。

 市は98年3月の建築確認の際には同計算書を保管していたが、3年間の期間を過ぎたため、既に破棄済み。今回の問題の具体的内容について把握できない状況のため、市は改めて同計算書をチェックし、「不測の事態に備えるため、市として、どこが悪いのかを確認することが必要」(建築指導課)と判断した。

 一方、市は、同支店が開いている住民説明会に当面、建築指導課職員を派遣することを決めた。現場に職員を置き、同支店との今後の協議を円滑に進めていくことなどが目的という。

 今のところ、市に対して、住民や一般市民からの問い合わせや苦情は寄せられていない。19日の説明会に訪れたマンション6階の女性会社員(28)は「費用すべてを負担してくれるということだったので、特に不満はない。補強工事をするのであれば心配はないし、また戻るつもり」と話した。【和田浩幸】

「姉歯」名義貸し14件に、報酬1000万円受領か 04/18/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、構造計算書を偽造していた姉歯秀次・元1級建築士(48)が、マンションなど少なくとも計14件の設計で、知人の建築デザイナー(46)に1級建築士の名義を貸していたことが、17日分かった。

 建築デザイナーは、名義貸しに使ったとみられる姉歯元建築士の印鑑を保管していたという。警視庁などの合同捜査本部は月内にも、姉歯元建築士を建築士法違反容疑で立件する。

 捜査本部の調べや関係者の証言によると、知人の建築デザイナーは6年ほど前から、千葉県船橋市の不動産会社から主に賃貸マンションなどの設計を請け負うようになった。しかし、デザイナーが依頼を受けた物件は、いずれも建築士の資格がなければ請け負うことが出来ないものだった。

 捜査本部は、建築士の資格を全く持っていなかったデザイナーが、姉歯元建築士に名義貸しを依頼し、印鑑を保管、自治体に提出する書類に押印していたとみている。姉歯元建築士は、名義を貸した見返りと構造設計料として、不動産会社が支払った設計料の約2割にあたる1000万円程度を受け取っていたとみられる。

 このデザイナーが姉歯元建築士の名義を借りて設計した物件は、ビルやマンションが9件、木造家屋などが5件の計14件で、関係者によると、うち6件で耐震強度の偽装も確認された。

 捜査本部は、姉歯元建築士について、耐震強度を満たさない構造設計をした建築基準法違反容疑での立件を目指してきた。しかし、それぞれの物件の強度については正確な鑑定を待つ必要があることから、違法性を立証しやすい建築士法違反を適用するという。

北九州のホテル、「日本ERI」に損害賠償請求へ 04/18/06(読売新聞)

 耐震強度が偽装され、営業休止を余儀なくされた北九州市八幡西区のビジネスホテル「アルクイン黒崎」を経営する菅原不動産(菅原康夫社長)は17日、週内にも同ホテルの耐震強度を検査した民間の指定確認検査機関「日本ERI」(東京都)を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こす考えを明らかにした。

 同ホテルは、姉歯秀次・元1級建築士が構造計算書を改ざんし、木村建設(熊本県八代市、破産)が施工した。

 耐震強度が一部で87%しかなく、市の営業自粛要請を受けて昨年12月10日から営業を休止していた。18日から営業を再開するが、改装工事費や収入減などで約2億4000万円の損害を受けたという。

耐震偽造:木村建設と総研 建築費、発覚前に全額回収 04/18/06(毎日新聞)

 「サンホテル奈良」(奈良市)を施工した「木村建設」(熊本県八代市、破産手続き中)が昨年10月下旬、コンサルタント「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)とともに、オーナー側に建築代金を前倒しして支払うよう求めていたことが分かった。同建設は、耐震データ偽造問題が公表される前に代金を全額回収していた。警視庁などの合同捜査本部は、詐欺容疑を視野に慎重に捜査を進めている。【合田月美、平野美紀】

 ホテルオーナーの不動産会社によると、総研などから「絶対にもうかる」と強く勧められ、ホテル建設に乗り出した。木村建設には昨年3月に工事を発注。11月15日を完成予定日とし、建築代金は着工、中間、完成の各時期の3回に分けて計約6億3000万円を支払うことになった。

 9月末の打ち合わせ時点では、完成時に支払う予定の残金2億2500万円が未払いだったが、予定変更の話はなかった。ところが10月下旬になって、木村建設と総研の担当者から「予定より早く11月5日にオープンできる。鍵は2日前に引き渡すので、前日には残金を支払ってほしい」との要請があった。

 不動産会社側の都合で支払いは11月7日になったが、ホテルはその2日前にオープンした。しかし、17日に国土交通省が問題を公表。オープンから20日後に営業中止に追い込まれた。「木村建設の担当者が姿を見せなくなったのも17日だった」と不審がっている。

 民間確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)は前月の25日に、マンション販売会社「ヒューザー」(大田区、破産手続き中)や元請け設計事務所などに、姉歯秀次・元1級建築士(48)のデータ偽造を伝えており、捜査本部は木村建設などがこの情報を得ていなかったか調べている。

 一方、このホテルを担当した同建設の元社員は「『早くオープンできないか』と持ちかけたのはオーナー側だ」と疑惑を全面的に否定している。

耐震偽造:木村建設社長「赤字はまずい」と粉飾指示の疑い 04/17/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)の木村盛好社長(74)が、経理担当者らに「赤字はまずい」と決算書類の粉飾を指示した疑いがあることが、警視庁などの合同捜査本部の調べで分かった。捜査本部は17日、建設業法違反容疑で木村社長ら役員数人から任意で事情聴取をし、粉飾の経緯について説明を求めたが、同日夜になり、全員をいったん帰宅させた。今後、関与した経営陣の特定を進め、今月中にも同容疑で逮捕する方針。

 調べでは、同社は国土交通省に経営事項審査(経審)を申請した際、業績を良く見せかけるために粉飾した決算書類を提出した疑いを持たれている。粉飾は▽売り上げの水増し▽決算期をまたぐ工事の前期への繰り上げ計上▽経費の過少計上--などの手口で行われていたらしい。

 木村社長が「赤字はまずい」などと発言していたことが関係者の供述から明らかになっており、これが粉飾のきっかけになったとみられる。

 同社の財務諸表によると、経常利益は01年6月期約3464万円、02年約1562万円、03年約2562万円と推移したが、04年は約2億6000万円に急増した。昨年6月期もほぼ同額。捜査本部は、実質的に債務超過に陥っていた可能性があるとみており、粉飾額は少なくとも3億円近くに上るとみている。

 一方、捜査本部は18日、マンション販売「ヒューザー」(東京都大田区)の小嶋進社長(52)を任意で事情聴取し、「グランドステージ藤沢」などデータ偽造発覚前後に販売した可能性がある物件を中心に経緯を聴く。【佐々木洋】

耐震偽造:木村社長ら事情聴取、逮捕へ 04/17/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が、03年6月期~05年6月期、売上高を水増しして決算書類を粉飾していた疑いがあることが、警視庁など合同捜査本部の調べで分かった。業績が堅調にアップしていることを装ったとみられる。同社の粉飾決算に絡んで捜査本部は17日、木村盛好社長(74)らに対し、事情聴取を始めた。粉飾に関与した役員らを特定し、建設業法違反容疑で逮捕する方針。篠塚明・元東京支店長(45)についても聴取する。

 捜査本部は、マンション販売会社「ヒューザー」の小嶋進社長(52)の任意での事情聴取や姉歯秀次・元1級建築士(48)の建築士法違反容疑での逮捕も近く予定しており、捜査は新たな段階を迎える。

 調べでは、木村建設は、数年にわたって国土交通省や県に経営事項審査(経審)を申請した際、業績を良く見せかけるために粉飾した決算書類を提出した疑いが持たれている。売上高を水増し計上するなどの手口で数億円を粉飾したとみられている。

 経審は、公共工事を受注しようとする業者に対して義務付けられている。経営状況や技術力を総合的に判断した評点は入札参加資格の格付けにも使われており、木村建設は粉飾決算で得た評点で有利な資格を得た可能性もある。

 調べによると、同社は国や県に対する決算書類に、受注高について02年7月~03年6月は約95億8500万円▽03年7月~04年6月は約132億4000万円▽04年7月~05年6月は約137億8300万円--と記載。当期利益は、それぞれの期ごとに▽約1100万円▽約4900万円▽約6700万円--と記し、業績が堅調に上昇していることを示していた。捜査本部は、こうした数字は粉飾で、同社の実態は赤字経営だった可能性があるとみている。

 木村建設は、姉歯元建築士が構造計算書を偽造した多数の物件に施工者として関与。姉歯元建築士は、昨年12月の衆院国土交通委員会での証人喚問で「篠塚明元支店長から鉄筋量を減らしてくれとプレッシャーをかけられた」などと証言し、背景に、建設コストの削減を追求する木村建設の意向があったことを繰り返し証言した。

 また木村建設は、データ偽造に絡んだ多数のビジネスホテルを開業指導した「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)とも、工事の請負を通じて深いつながりがあった。捜査本部は、木村建設への捜査が一連の耐震データ偽造の全体像を解明するカギになるとみている。【佐々木洋】

耐震偽造:木村建設社長ら17日にも一斉聴取 04/17/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、警視庁などの合同捜査本部は、多数の偽造物件の施工にかかわった木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)の木村盛好社長(74)や篠塚明・元東京支店長(45)ら10人前後から、建設業法違反容疑などで17日にも一斉聴取する方針を固めた。また、マンション販売会社「ヒューザー」(東京都大田区、同)の小嶋進社長(52)に対し、18日に任意の事情聴取に応じるよう要請した。

 調べでは、木村建設は国や県に経営事項審査(経審)の申請を行う際、業績を良く見せかけるために、粉飾した決算書類を提出した疑いが持たれている。経審は公共工事を受注しようとする業者に義務付けられ、経営状況や技術力を総合的に判断した評点は、入札参加資格の格付けにも使われる。木村建設は、有利な入札参加資格を得るために、提出書類を粉飾したとみられる。

 一方、小嶋社長は姉歯秀次・元1級建築士(48)による構造計算書のデータ偽造を知った後、マンションの引き渡しを指示した疑いが指摘されている。問題が公表される前の昨年10月27日、小嶋社長は関係者を集めてデータ偽造への対応を協議。この後、販売子会社役員からグランドステージ(GS)藤沢の引き渡しをどうするかと問われ「問題ない」と引き渡しを指示したとされる。

 この時点で、小嶋社長はすでにGS藤沢のデータ偽造を知っていた可能性があり、捜査本部は、詐欺や宅地建物取引業法違反などの容疑を視野に、小嶋社長から詳しい説明を求める方針。

姉歯氏に重い罪を課する事はできる。しかし、でたらめなことをしている 会社や人間は多くいるだろう。結果として、多くの人が被害にあった。

耐震偽装に関わった人間全てを取り調べるべき。そして、背景を国民に公表するべきだ。 まあ、警視庁と千葉、神奈川県警がやることを見守るしかない。 最近の話だけではないだろう。(最近は問題を隠せなくなったと考えたほうが良いだろう。) 警察、問題が多いぞ。結果で挽回しろよ。

知人宅で姉歯氏の印鑑押収 建築士法違反容疑で適用へ 04/15/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次元建築士(48)が名義を貸したとされる知人男性の自宅から、警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部が昨年12月の家宅捜索で姉歯元建築士の印鑑を発見、押収していたことが分かった。捜査本部は、この印鑑が姉歯元建築士の建築士法違反(名義貸し)を裏付ける有力な物証と判断。国土交通省が告発した建築基準法違反より刑罰が重い建築士法違反(名義貸し)容疑を適用する。

 これまでの調べや関係者によると、姉歯元建築士の知人男性は千葉県船橋市の不動産会社からマンションなどの設計を請け負った。しかし、マンションの規模が大きく、法律上、1級建築士の資格がなければ元請け設計者として担当することができなかったという。

 男性は、旧知の姉歯元建築士に名義を貸すよう依頼。姉歯元建築士はこの物件では構造計算を担当するにとどまり、男性に名義を貸す代わりに報酬を受け取っていたという。

 男性は自身で姉歯元建築士の印鑑を管理し、自治体に提出する書類に押印していたらしい。捜査本部は昨年12月の家宅捜索で、男性宅から姉歯元建築士の印鑑や行政機関に提出した押印のある文書を押収。印鑑と照合するなど名義貸しの立証を進めてきた。

 建築士法は建築士以外が建築士を名乗ったり名義を使ったりすることを禁じている。姉歯元建築士と知人男性は6年ほど前から同様の手口で設計を繰り返し、マンションなどの建設にかかわっていたとみられる。

 捜査本部は、当初耐震強度が基準を満たしていないとして建築基準法違反の疑いで調べを進めてきた。しかし、構造計算には複数の方法があり、計算方法によっては耐震強度が基準の1を超えたり下回ったりするケースがあることも明らかになった。こうした事情もあり、不正の立証がより確実な建築士法違反の適用をまず優先したとみられる。

 国土交通省が姉歯元建築士を告発した建築基準法違反容疑では、量刑は50万円以下の罰金だが、建築士法違反(名義貸し)は1年以下の懲役も可能となっている。

耐震偽造:認識後、小嶋氏が引き渡し指示 詐欺の可能性も 04/15/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、マンション販売会社「ヒューザー」の小嶋進社長(52)が、「グランドステージ(GS)藤沢」の構造計算書偽造を知りながら、購入者への引き渡しを指示していたことが、関係者の話で分かった。警視庁などの合同捜査本部は、詐欺容疑にあたる可能性もあるとみて、小嶋社長から詳しく説明を求める。

 姉歯秀次・元1級建築士(48)の偽造を民間検査機関「イーホームズ」から伝えられた昨年10月25日夜、ヒューザー役員が姉歯事務所へ行き、GS藤沢を含む7棟の偽造を把握した。関係者によると、対応策を協議するため27日開いた会議で、小嶋社長は「完成済みの物件もあるようだが、突然公表されたのでは対応のしようもない」と発言した。

 さらに、会議の直後、販売子会社役員からGS藤沢への対応を尋ねられた小嶋社長は、「会議でも(GS藤沢の名前は)出ていないし、検査済み証が下りているので、問題ない」と引き渡しを指示したという。

 結局、翌28日にGS藤沢の17戸が引き渡されたが、ヒューザー側はこの日、一部の購入者から代金を受け取った。捜査本部は、ヒューザーが意図的に強度不足を伝えず、売却益を得た可能性があるとみている。

 一方、捜査本部は、構造計算書を偽造したとして姉歯元建築士を建築基準法違反容疑で逮捕する方針だが、千葉県の建築設計業者に1級建築士の名義を貸した建築士法違反の疑いでも追及する。【佐々木洋】

耐震偽装、ヒューザーなど3社を一斉立件へ 04/14/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は、強度が偽装されたマンションを販売した開発会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産手続き中)と、ホテル建設などにかかわった「木村建設」(熊本県八代市、破産)、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(千代田区)の3社の関係者について、月内にも一斉に強制捜査に乗り出す方針を固めた。

 捜査本部はマンション、ホテル両ルートとも詐欺容疑での立件が可能かどうか詰めの捜査を急いでいるが、合わせて構造計算書を改ざんした姉歯秀次・元1級建築士(48)についても、強制捜査に踏み切る方針。

 捜査本部はこのうちマンションルートについて、ヒューザーの設計担当責任者だった役員(45)の事情聴取に踏み切るほか、来週中にも同社の小嶋進社長(52)から事情を聞く。

 調べによると役員は、「イーホームズ」(新宿区)から、姉歯元建築士による強度偽装を指摘された昨年10月25日の会議に出席。翌26日、強度が偽装された別の2棟のマンションについて、構造計算書などが記録されたCD―R(書き込み可能CD)を同元建築士から受け取っていた。

 27日のイーホームズとの会議には、役員は小嶋社長とともに出席しており、捜査本部は、翌28日に分譲マンション「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)を購入者に引き渡す前に、強度偽装を認識していた疑いがあるとみている。

 一方、捜査本部は、姉歯元建築士が強度を偽装した奈良市のビジネスホテル「サンホテル奈良」(12階建て)を検証するなど、木村建設が施工し、総研が開業を指導したホテルルートの捜査も急いでいる。捜査本部では、両社の関係者が強度偽装を認識しながら、ホテル建設にかかわったうえ、ホテルのオーナー側に引き渡していた詐欺の疑いがあるとみている。

ヒューザー、GS藤沢の耐震性強調 パンフ「安心構造」 04/14/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、ヒューザーが神奈川県藤沢市のマンションを販売する際、耐震性を強調するパンフレットを作成していたことがわかった。同社はこのマンションの特徴の一つとして耐震強度がすぐれていることを挙げ、販売を進めていたという。警視庁と千葉、神奈川両県警の捜査本部は、小嶋進社長(52)が民間検査機関から偽装の指摘を受けた時点で問題の重大性を認識しながら、購入者には告知せず代金を受け取ったとみて調べている。

 このマンションは、ヒューザーが販売を手がけた「グランドステージ藤沢」(GS藤沢)。パンフレットでは、「暮らしをしっかり支える安心の建築構造」と題したコーナーにページを割き、GS藤沢の耐震性を高める工夫を紹介していた。

 同マンションの、それぞれ独立した主要な柱やはりの周囲に、鉄筋を巻き付けて強度を高める「スパイラル筋」や、揺れによるゆがみを吸収し、開かなくなるのを防ぐ玄関ドアの「耐震枠」などを使用していることを説明。マンションの設備・仕様、断熱性の紹介に先立ち、最初にこうした耐震性をアピールしている。

 しかし、実際には鉄筋量が少ないなど、姉歯秀次元1級建築士が構造計算書を偽造したとされる物件の中では、耐震強度が基準値の15%と最も低かった。

 小嶋社長は、昨年10月27日、ヒューザー本社で、イーホームズの藤田東吾社長らから耐震強度が偽装されているとの指摘を受けた。この際、パンフレットや構造計算書などの記述と実態が食い違うことが分かり、善後策を協議。藤田社長に対し、問題の公表を控えるよう迫ったとされる。

 捜査本部は、小嶋社長が公表しないよう迫ったのは、問題の重要性を認識しながら、翌日の28日に予定されていたマンション販売代金の受け取りを優先するためだったとみて、来週にも同社長から事情を聴く方針だ。

姉歯計算書の奈良のホテル、検証開始…破壊検査実施も 04/13/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は13日、姉歯秀次・元1級建築士(48)が構造計算書を改ざんした奈良市のビジネスホテル「サンホテル奈良」(12階建て、休業中)について、建築基準法違反容疑で検証を始めた。

 検証は3日間程度の予定で、壁をくりぬいて強度を調べる「破壊検査」などが実施される。

 同ホテルは、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)の開業指導を受け、「木村建設」(熊本県八代市、破産)が施工、建築確認は民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)が担当。

 昨年11月の開業直後に姉歯元建築士による強度偽装が発覚し、営業自粛に追い込まれた。奈良市が公表した耐震強度は、基準の44%しかなかった。

 一方、同ホテルを巡っては、「鉄筋量を減らすよう総研が指示した」などとして、オーナー会社が総研やイーホームズなどに計約7億1300万円の損害賠償を求め、奈良地裁に提訴。13日、第1回口頭弁論が開かれ、総研は「強度偽装などは、全く知らないところで行われた」とする答弁書を提出し、全面的に争う姿勢を見せた。

 イーホームズも「建築確認申請は申請者が事実を正しく申告することが前提。検査で『なぜ見抜けなかったのか』というのは難癖だ」と主張した。

指摘されなければ、問題ない!!行政(国や地方自治体)の問題放置(怠慢)が問題を拡大させた!!

耐震偽造:緊急調査委が報告書 政治家の関与には触れず 04/06/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、行政の対応を検証してきた国土交通相の諮問機関「緊急調査委員会」(座長・巽和夫京都大名誉教授)は6日、民間検査機関による建築確認制度の問題点などを指摘した最終報告を提出した。報告は、国交省の対応の遅れも問題点として挙げたが、伊藤公介・元国土庁長官ら政治家の不透明な関与については、具体的には触れなかった。

 報告は事件について、姉歯秀次・元1級建築士による特異なものではなく、大規模で根深い構造的な問題があったと強調。特に、民間検査機関による審査の形がい化を指摘し「建築確認制度は機能不全を起こしている」と早急な対応を求めた。また、検査機関の業務がチェックされず、地方自治体も必要な職員数が確保できていないことを批判した。

 国交省についても、民間確認検査機関からデータ偽造の報告を受けたのに対応が遅れたことを挙げ「重大性を理解できなかった」と問題を認めた。しかし、ヒューザーの小嶋進社長が伊藤元長官と国交省を訪問するなど、政治家が関与した疑惑に関しては具体的には触れず「不自然な点は認められなかった」と記すにとどまった。

 巽座長は記者会見で「我々は国会でも検察庁でもない」と調査の限界を認めながらも「制度は破たんしたのだから、行政の対応が不十分だったことは明らか」と述べた。

 同委は昨年12月に発足。国交省住宅局や検査機関など関係者からヒアリングを行い、議論を重ねていた。【種市房子】

安全偽装:耐震計算偽造 改正建築基準法案、閣議決定 再発防止、実効性に疑問 03/31/06(東京夕刊 毎日新聞)

 政府は31日、改正建築基準法、改正建築士法など耐震データ偽造事件の再発防止策を盛り込んだ関連法案を閣議決定した。建築確認の審査に加え、新たに第三者機関によるダブルチェックを行うほか、危険なマンションを設計した建築士に対する罰則に懲役刑を導入するなど罰則を大幅に強化した。北側一雄国土交通相はこの日の閣議後会見で、「まだまだ先は長い。全国で行っているマンションのサンプル調査などを早く終わらせ、居住者の安全確保を図りたい」と述べた。

 ■解説

 改正建築基準法など住宅関連法案は、耐震データ偽造事件の苦い教訓を反映し、構造計算書のダブルチェックや建築士への罰則引き上げが新たに盛り込まれた。国が「制度不備」を認めた形だ。

 従来の建築確認では、人の命を預かる意識があったのかと疑わせるほどずさんな審査があった。事件が「氷山の一角」だったことも明らかになりつつある。だが、新制度でも、コンピューターによる複雑な構造計算を第三者機関が本当にチェックできるのか。工事現場で確認する中間検査の義務化にしても、審査体制の充実がなされないままで切り札となるのか--など疑問点は残る。

 一方、建て替えが必要になるマンションの住民が売り主から確実に補償を受けられる仕組みについては、国土交通省が目指した売り主に対する損害保険や銀行保証への加入義務付けが、結局見送られた。ある損保会社幹部は「新制度で本当に偽造が防げるのかが分からないのに、押し付けられても困る」と言う。

 改正法案について国交省幹部は「当面できることはすべて盛り込んだ」と説明するが、国は今後、新制度が狙い通りに実効性を発揮できるのか厳しく点検する責任を負っている。【長谷川豊】

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 ◆建築関連法案の改正ポイント◆

(1)一定の建築物については、第三者機関が構造計算書をダブルチェック。中間検査も義務付け

(2)指定確認検査機関に自治体が立ち入りできるなどの監督強化

(3)建築士に対する罰則強化

(4)住宅販売時の情報開示の徹底

監査法人も収入なしでは生きてゆけない。 いくら公正な立場であることを要求されても、顧客が粉飾決算の容認を要求し 従わなければ、他の監査法人が仕事を依頼され、粉飾決算の容認するだけのことである。

建築確認機関もおなじような環境に置かれていると思う。しかし、原因追求はなし。

ライブドア事件:2会計士、在宅起訴 「契約切られたくなかった」 03/31/06(毎日新聞)

 ライブドア前社長の堀江貴文被告(33)らによる粉飾決算事件で、東京地検特捜部は31日、起訴対象となった04年9月期連結決算の監査を担当した港陽監査法人(横浜市)所属の久野太辰(ひさのたいしん)(41)▽元同監査法人所属の小林元(もとし)(51)両会計士を証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)で在宅起訴した。両会計士は「大きな顧問先なので契約を切られたくなかった。以前から見逃していたので、他の監査法人が入ると自分たちの粉飾見逃しが発覚すると思った」と供述しているという。

 ライブドアを巡る一連の事件のうち、粉飾決算についてはこれで捜査を終えた。

 起訴状などによると、両会計士は堀江前社長らと共謀し、ライブドアの同期連結決算で、本来は売り上げと認められない自社株売却益37億円余や、子会社2社に対する架空売り上げ15億円余を売上高として計上。実際には3億円余の経常損失だったのに50億円余の経常利益と記載し、計53億4699万円を粉飾した有価証券報告書に「適正」と記載した監査報告書を添付して関東財務局に提出した。

 久野被告は同監査法人の代表社員として監査報告書の作成に関与。小林被告は03年12月に同監査法人を脱退後、ライブドア前財務担当取締役の宮内亮治被告(38)が設立したコンサルタント会社「ゼネラル・コンサルティング・ファーム」(横浜市)の代表取締役を務め、実質的な監査の責任者として指示や助言をしていた。

 両会計士は30日、証券取引等監視委員会から同法違反容疑で特捜部に告発されていた。

耐震偽装、国交相・緊急調査委の対応報告案は“甘口” 03/27/06(毎日新聞)

 耐震強度偽装事件の行政対応などを検証する「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」(国土交通相の私的諮問機関)の最終会合が27日、国交省内で開かれ、巽和夫座長(京都大名誉教授)がまとめた最終報告案が公表された。

 同委員会は、姉歯秀次・元1級建築士(48)の偽装を相次いで見逃した民間の指定確認検査機関や行政の責任、事件発覚後の危機対応などを問う目的で設置。しかし報告案では、昨年10月、国交省が最初に偽装の通報を受けた後の対応について、「大臣に報告するまで1週間も要したことは反省すべき」とする一方、「その後は関係省庁、自治体との連携が図られている」などと、全体的に“甘口評価”となった。

耐震偽造:強度1.0下回るマンション名の公表検討 札幌 03/24/06(毎日新聞)

 札幌市のマンションの耐震偽造問題で、浅沼良一2級建築士(47)が偽造を認めたマンション33棟のうち、耐震強度が国の基準1.0を下回ったものについて、同市は住民の了解を条件にマンション名の公表を検討していることを明らかにした。毎日新聞の取材に同市幹部が答えた。同市議会などでは公表しない姿勢だったが、初めて公表の可能性に触れた。

 同市は震度5強で倒壊の恐れのある0.5以下の場合にのみ、周囲の住民にも影響するとの理由で公表する方針だった。同市の偽造事例では0.5以下はないとみられている。しかし、国土交通省が1.0未満を公表するよう自治体に求めているため、これに従うことにした。

 同市は耐震強度の再検証を進めており、確定値が出た後にマンション住民に公表を提案する。反対が予想されるが、一定のお願いをするという。住民の多数決とするかなど、了解を得る手続きについては決めていない。

 公表した場合のマンションの資産価値低下などの影響を今後分析する。そのうえで、「国の方針に合わせるが、姉歯秀次・元1級建築士の1.0未満の偽造マンションを公表していない自治体もあるので、本当にできるかもう少し検討を重ねる」と話している。【去石信一】

耐震偽造:浅沼建築士の元請け設計事務所公表へ 札幌市 03/23/06(毎日新聞)

 浅沼良一2級建築士(47)が札幌市のマンションの耐震データを偽造していた問題で、札幌市は浅沼建築士に耐震強度計算を下請けに出していた元請け設計事務所を公表することを決めた。浅沼建築士に批判が集中している中で、監督する立場にあった元請け事務所の責任も免れないと判断した。建築士法関連の事務を所管する道と共同で発表する。公表の時期は道と相談し、早ければ4月中となりそうだ。

 浅沼建築士は同市内で33棟のマンションで偽造を認めている。浅沼建築士に仕事を依頼した設計事務所は7社ある。

 建築士法では、高さ13メートルを超える鉄筋コンクリート造りのマンションなど一定規模以上の耐震強度を計算する場合、1級建築士の資格がいる。2級建築士が行った場合は、元請けの1級建築士が監督しなければならない。しかし、元請けの1級建築士は浅沼建築士の偽造を見抜けず、中には浅沼建築士に仕事を事実上丸投げしていた事務所もあった。

 元請け設計事務所はマンションの設計図など関係書類に記載されているが、下請けは記載されていない。公表すれば浅沼建築士が無関係のマンションの住民にも不安が広がる可能性がある。このため、市は公表時期を慎重に検討する。

 同市が耐震強度を検証している33棟すべての結果が判明し、国の基準以下のマンションに通知が終わるのは5月ごろ。その作業後に公表する場合は5月以降、半分が終わった時点だと4月中になるという。【去石信一】

「許容応力度等計算」で計算せず、「限界耐力計算」で計算すれば数値上は良くなると思われる。 他の計算方法で計算して1以下なのでと何回も計算するのであれば、「限界耐力計算」で チェックすべきだろう。マンションの販売では、購入者のガイドとして「許容応力度等計算」も 公開すれば良い。規則で満足すれば、地震後、住めなくなっても倒壊しないマンションを 購入したいのか、それ以上の強度のマンションを購入したいのか、購入者の判断となる。 国土交通省が改善や見直しをしないのであれば、この方法が良いと思う。

耐震偽造:北電グループ賃貸マンション2棟、強度1未満 03/23/06(毎日新聞)

 浅沼良一2級建築士が偽造を認めた北海道電力グループ「北電興業」建設の賃貸マンション2棟の耐震強度が日本ERIの再計算で基準値の1.0を下回っていたことが22日、分かった。

 この2棟は北電興業が札幌市内に建設した「エナコート大通22」(9階建て、23戸)と「エナコート山鼻」(10階建て、30戸)。日本ERIによると、浅沼建築士が使った「許容応力度等計算」を同じ計算ソフトで再計算した。その結果、耐震強度は震度5強で倒壊の恐れがある0.5は上回ったが、1.0には達しなかったという。札幌市と北電興業に結果を報告した。

 「山鼻」に入居する予定だった15世帯は契約を解約し、入居を中止した。「大通」には22戸が入居しているが、対応は未定。同社は札幌市の指示を待ち、今後の対応を決める。【岸本悠】

東京・大田区議が公明党離党 長女にヒューザー側が援助 03/22/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件にからみ、ヒューザー側との関係で誤解を与えた責任をとるとして、公明党の有川靖夫・東京都大田区議(62)が20日付で同党を離党した。有川区議の長女が音楽家で、音楽活動を支援する目的で同社側が03年ごろから資金援助していたという。有川区議は「やましいところはないが、家族に関することであり、党や支持者にご迷惑をおかけした」と説明している。

 有川区議によると、資金援助は長女がドイツに留学していた際、ヒューザーの小嶋進社長が長女に会って申し出た。「将来ある若手音楽家の活動を援助したい」と小嶋社長は話し、資金は長女の口座に直接振り込まれたという。

札幌の耐震強度偽装、4棟が耐震基準下回る 03/20/06(朝日新聞)

 浅沼良一2級建築士による札幌市の耐震強度偽装問題で、4棟のマンションの耐震強度が基準の1を下回っていることがわかった。市内では別の設計業者の物件でも構造計算の改ざんが発覚し、元請け設計業者が下請けの偽装を見抜けない実態と、後手に回る行政の対応が次々と明らかになっている。

 浅沼建築士が偽装した建物は33棟に上るとされる。札幌市はこのうち6棟について再計算を専門家に依頼。5棟で偽装が確認され、4棟は強度が足りず、基準を最高で2割余り下回っていた。

 「数値は操作したが、強度は十分ある」と浅沼建築士は記者会見で繰り返し、「耐震壁(梁(はり)と柱などとともに建物を支える壁)を多用すれば強度が上がる」と主張した。

 だが、市の幹部は「本人が言うようにして耐震壁を理論的に多用した跡はなく、漫然と配置されているだけ。完全な技術、知識不足だ」と話す。残りの偽装物件27棟の再調査を今後進める。

 道は浅沼建築士に構造計算を委託した九つの元請け設計業者から事情聴取した。

 1級建築士が監督・指導すれば、構造計算の実務は免許がなくても行うことができる。だが、元請けの中には「浅沼建築士の免許を確認していなかった」と話す業者もいたという。

 ある元請け業者は朝日新聞の取材に「姉歯秀次元建築士の偽装が発覚する前は、下請けの免許をいちいち確認しろとは誰も言わなかった」と明かす。別の業者も「下請けの仕事を再計算で検証すれば1カ月以上かかる。それでは外注する意味がない」と話した。

 浅沼建築士自身、「元請けから偽装の指示はなかった」と話す一方、「間違っているという指摘もなかった」と語っている。耐震構造に詳しい石山祐二・北海道大名誉教授は「アルバイトが構造計算しても、わからない仕組みになっている」と問題点を指摘する。

 行政の対応も後手後手だ。昨年11月、姉歯元建築士の偽装発覚の際、札幌市は「二重にチェックしており、偽装はあり得ない」としていた。

 建築基準法は札幌市、建築士法は北海道と、札幌市内の偽装物件は法律によって調査する役所が違う。市は建物の強度が基準を満たすかどうかに調査の主眼を置き、道は建築士の資格や元請けと下請けの指示・監督の関係などに着目する。

 札幌市では埼玉県にある設計事務所による構造計算書のデータ改ざんも発覚した。市は強度が基準を満たしているとして「建築基準法上の違法性はない」と早いうちに結論づけたが、建築士法に照らした場合の違法性の検討はこれからだ。相次ぐ偽装について市と道は今後、刑事告発するかどうかの検討に入る。

元請け業者を立ち入り検査 札幌の耐震強度偽装 03/17/06(産経新聞)

 札幌の耐震強度偽装問題で、北海道は17日、耐震データの偽造を認めた浅沼良一(あさぬま・りょういち)・2級建築士に構造設計を発注していた元請け業者に対し、建築士法に基づき立ち入り検査を始めた。

 元請け9社を順次検査した後、再び浅沼建築士から直接事情を聴き同法違反を確認。聴聞を経て、有識者らで構成する北海道建築士審査会に諮った上で、建築士免許取り消しなどの行政処分にする方針にしている。

 また元請け業者についても、建築基準法に違反する建物の設計をしていた責任を追及し、1級建築士を監督する国土交通省とも相談しながら業務停止などの処分を検討する。

 さらに建築基準法違反や建築士法違反などの容疑で、浅沼建築士や元請け業者の刑事告発も視野に入れて調べを進めている。

 17日は札幌市内の元請け業者の事務所に道職員が入り、浅沼建築士との契約や業務関係がどのような状況だったかを確認するために関係書類を調べ、話を聞いた。

 これまでの事情聴取に対し、9社の中には浅沼建築士が2級建築士であることを知らずに発注していたという社と、知った上で発注していた社があった。2級建築士は高さ13メートル以上の中高層物件を設計する資格はない。資格のない浅沼建築士に丸投げしていた疑いも出ている。

 元請け業者は当初10社とされていたが、その後の北海道の調べで9社だったことが分かった。

朝日新聞(2006年3月15日)より

耐震偽装 罰則を大幅強化 着工前の懲役刑も新設

「限界耐力計算」で計算すれば、「許容応力度等計算」により求められる耐震強度が1以下であっても、 1以上になる可能性が高い。言い方を変えれば、今後、わざわざ偽装やごまかしをしなくとも 耐震強度1以上のマンションを建てることが出来る。

しかし、これまでより「許容応力度等計算」で耐震強度1以下の建物が法的に建てられる可能性が 考えられる。また、「限界耐力計算」で偽装やごまかしが行われれば、さらに強度が弱い建築物が 建てられる可能性も出てきた。国土交通省は、明確に基準と定義を定めるべきである。 もし自分がマンションを購入する場合は、「限界耐力計算」で計算されている建築物は買わない。 耐震強度が1以上であろうが、国土交通省が認めていようが、後でトラブルに巻き込まれる可能性は 避けたい。

サムシング社長、福岡市に抗議 「震度強度あり安全」 03/15/06(朝日新聞)

 福岡市から構造計算書の偽造を指摘されている設計会社「サムシング」(福岡県太宰府市、02年廃業)の仲盛昭二社長は15日、耐震強度不足も指摘された物件について、改めて許容応力度等計算で計算し、「耐震強度は1.00~1.42あり安全」と同市に抗議した。

 仲盛氏は2月初め、福岡市内の3棟のマンションについて構造計算書の偽造を指摘され、耐震強度は「1以上」「0.9」「0.85」で2棟が基準以下とされた。「0.85」の物件についてはすでに自身で再計算し「耐震強度は1以上」として市に抗議している。

 一方、市では、3棟について、建築主を通じて別の専門家に再計算を依頼。限界耐力計算で検証した結果、「安全基準を満たしている」との報告を受けており、耐震性の有無について慎重に再検討している。

耐震強度偽装に懲役刑を新設 国交省の法改正案固まる 03/14/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件を受けて国土交通省が検討を進めていた建築基準法と建築士法などの改正案の概要が固まった。姉歯秀次元建築士らの偽装を見逃していた建築確認は審査を厳格化し、現在は実施するかどうかが自治体の裁量に任されている中間検査を義務化する。強度偽装に対する罰則は大幅に引き上げ、未着工の建物についても懲役刑を新設する。国交省は与党との協議を経て細部を詰め、3月中に国会に提出する方針だ。

 国交省は14日の自民党国交部会と住宅土地調査会の合同会議で両法案と宅地建物取引業法の改正案の概要を説明した。

 建築確認の審査強化では建築基準法を改正。構造計算が適正かどうかを判断する第三者機関「構造計算適合性判定機関」を新たに設置し、7階建て以上に相当する高さ20メートル超の鉄筋コンクリート造りの建物については、自治体や民間検査機関が建築確認する際にこの判定機関で専門家による審査(ピアチェック)を受けるよう義務づける。

 これに伴って建築確認の審査期間は現行の21日以内から原則35日以内、最長70日以内に延長する。中間検査も3階建て以上の共同住宅については義務化する。

 罰則の強化は建築士法、建築基準法、宅地建物取引業法の3本立てで行う。設計段階の偽装は建築士法改正により「懲役1年以下または罰金100万円以下」とし、建物の着工後に発覚した偽装は建築基準法改正で「懲役3年以下または罰金300万円以下」とする。

 これまでは未着工の建物について偽装が判明しても、これらの法律では罰する規定がなく、加えて着工後にわかった偽装に対する建築基準法の罰則も「罰金50万円以下」で、今回の偽装事件では被害の大きさに対してあまりに軽いという指摘がなされていた。

 また、販売業者が偽装を隠して売った場合の宅建業法の罰則も、現行の「懲役1年以下または罰金50万円以下」から「懲役2年以下または罰金300万円以下」に引き上げる。さらに販売業者に対しては、住宅の欠陥を補償する保険への加入の有無を買い主に対して書面で説明するよう義務づける。

 今回の事件をめぐっては、分譲住宅の売り主に対する保険加入の義務化も焦点の一つとなっていたが、今の通常国会の法律改正では見送られることになった。国交省は保険制度全体の整合性の観点から、財務省などとの調整に時間がかかると判断した。

耐震偽造:違反建築物設計で罰則内容固まる 基準法改正案 03/14/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件を受け、国土交通省は13日、違反建築物設計などへの罰則の強化や構造計算書の審査期間の延長などを柱とする建築基準法の改正案をまとめた。同省は今月中に改正案を建築士法改正案とともに国会に提出する方針。

 改正案では、強度不足の建築物を設計した建築士への罰則を懲役3年以下、罰金300万円以下とし、民間確認検査機関などによる構造計算書の審査期間についても現行の21日以内から35日以内と延長する。

 現行基準法では、危険な建築物を設計しても罰金50万円が上限。「性善説」に立つ現行法の不備が指摘されていた。一定規模以上の建物の構造計算書は第三者機関によるダブルチェックが義務化されることに伴い、審査期間も大幅に延長する。

 一方、同省は危険なマンションを購入した消費者を保護するため、売り主が住宅を販売する際に損害保険加入や銀行による信用保証などの情報を開示するよう宅地建物取引業法を改正する方針。売り主への保険加入の義務化については、業界の反発などがあり見送った。【長谷川豊】

札幌耐震偽造:浅沼氏に依頼の元請け退会勧告へ 建築士会 03/14/06(毎日新聞)

 札幌市のマンション耐震データ偽造問題で、日本建築士会連合会(事務局・東京)の宮本忠長会長は13日記者会見し、浅沼良一2級建築士(47)に構造設計を依頼した元請けの建築士に対し、退会を勧告する方針を明らかにした。建築士は北海道建築士会に加入し、札幌市中央区の設計事務所に所属。元請けの建築士は構造設計の状況を把握する必要があり、責任は重いと判断した。

 同連合会は元請けの建築士の名前は明らかにしていない。浅沼建築士に構造設計を依頼した設計事務所は10社あり、同連合会によると、ほかの事務所は建築士会に未加入か、事務所名を確認中。

 建築士会への加入は任意で、建築士は退会後も業務を続けることができる。【桐野耕一】

伊藤元長官:04年にも不記載 パーティー券収入 03/11/06(毎日新聞)

 衆院議員の伊藤公介元国土庁長官(64)が代表を務める資金管理団体と自民党支部が、東京都新宿区の不動産会社に購入してもらった04年のパーティー券収入や00年の献金計112万円を政治資金収支報告書に記載していないことが新たに分かった。政治資金規正法違反の疑いがある。

 不動産会社によると、04年8月に伊藤氏が開いた2万円のパーティー券50枚を購入し、100万円を資金管理団体「東京公友会」の銀行口座に振り込んだ。

 00年1~3月にも毎月4万円を献金した。同社広報担当は「パーティー券は払込証もある。社長の地元が伊藤氏の(中選挙区制時代の)選挙区だったので(以前から)付き合いが続いている」と説明している。

 また、毎日新聞は伊藤氏が代表を務める自民党東京都23選挙区支部が00年2月21日と3月21日付で、不動産会社あてに発行した各4万円の領収書の写しを入手している。2、3月分の献金の領収書と書かれている。

 だが、東京公友会の収支報告書には不動産会社からのパーティー券収入の記載がなく、取材を受けて今月6日付で収支報告書を訂正して記載した。また、23選挙区支部の00年以降の収支報告書には、同社からの資金提供を示す記載はない。

 同社は昨年12月の伊藤氏のパーティー券100万円分も購入したが、伊藤氏が耐震データ偽造事件に絡んで、建築主のヒューザー(東京都大田区)の小嶋進社長らを、問題公表直前に国土交通省課長に引き合わせたことが明らかになった影響でパーティーが中止された後、返金されたという。

 政治資金規正法は、政治団体が年間5万円以上の献金や20万円以上のパーティー券購入を受けた場合、収支報告書 への記載を義務付けている。

 伊藤氏の事務所は10日夕までに取材に回答していない。【青島顕】

耐震偽造:10市、民間6社に再計算要請へ 北海道 03/10/06(毎日新聞)

 札幌市の浅沼良一2級建築士の耐震データ偽造問題を受け、北海道は10日、道内で建築確認検査を実施する10市、民間6社に対し、4月以降に新たに検査する構造計算書について、一部を抽出した上での再計算を要請する方針を固めた。道自身が確認検査する際の一部再計算の方針は決まっており、道内すべての機関が足並みをそろえ、不正の抑止を目指す考えだ。

 検査機関が耐震偽造を見抜くには構造設計図で柱の太さや本数などを確認する方法が有効とされるが、浅沼建築士の手口では、設計図上は見抜けないケースもある。道は同様の偽造を防ぐには構造計算書を再計算する必要があると判断した。

 道が検査する構造計算書は年間約3000件。一方、10市分は計約5000件、民間は計約2000件で、すべてを再計算するのは難しいことから、一部を抽出した上で、民間機関などに委託すると見られる。道建設部は「一部でも再計算されると意識させ、不正防止につなげたい」と話している。【丸山博】

政治資金規正法違反:政治団体の元幹部、伊藤元長官を告発 03/10/06(毎日新聞)

 伊藤公介元国土庁長官(64)の資金管理団体と自民党支部が、政治団体から受けた献金を政治資金収支報告書に記載していなかった問題で、献金元の「西多摩夏冬会(かとうかい)」元幹部で東京都あきる野市の会社役員、上田政晴さん(58)が10日、報告書に虚偽の記載をさせたとして、伊藤元長官を政治資金規正法違反容疑で東京地検に告発した。【青島顕】

 伊藤氏の資金管理団体は「東京公友会」で、自民党支部は同氏が代表の「東京都第23選挙区支部」。告発状では、公友会と23支部は01、02両年、夏冬会から計421万円の献金を受けたのに、伊藤元長官は両団体の収支報告書に記載させず、虚偽の報告書を提出した疑いがあるとしている。

 両団体は97~02年に夏冬会から受けた計1764万円の献金を収支報告書に記載していなかったことが、夏冬会に発行した29枚の領収書から判明している。上田さんは今回、公訴時効(5年)にかからないものに限って告発対象とした。

 両団体は昨年12月、上田さん側からの指摘を受けて、都選管に収支報告書の原本が残っている02年分(146万円)のみを訂正している。

 上田さんは「夏冬会の会員から集めた現金を定期的に議員会館に運び、領収書をもらった。不記載に気づいて伊藤氏に裏金処理をやめるように進言したが、聞いてもらえなかった。その後も責任を取らない態度が許せなかった」と告発に踏み切った理由を語った。伊藤氏は先月23日の衆院政治倫理審査会で着服を否定したうえで「資料が残っておらず、調査中」と述べた。

 夏冬会は、東京都青梅市など中選挙区時代の伊藤氏の選挙区に含まれた西多摩の支援者で作る団体だったが、02年に解散している。

 伊藤氏は耐震データ偽造事件に絡み、建築主の不動産会社「ヒューザー」(東京都大田区)の小嶋進社長らを、問題公表前に国土交通省課長らに引き合わせたことが明らかになっている。

 告訴状の提出について、伊藤氏の事務所は「議員は会議中で連絡がつかない」としている。

 政治資金規正法では、収支報告書に虚偽の記入をした場合、5年以下の禁固または100万円以下の罰金が科される。

浅沼建築士、数値操作認める 北海道の聴取に 03/10/06(朝日新聞)

 札幌市の浅沼良一2級建築士がマンションなどの構造計算書を偽造したとされる問題で、北海道は9日、浅沼建築士から事情を聴いた。道によると、浅沼建築士は数値を操作したことを認めたものの、強度は不足していないと主張した。道は数値の操作などが建築基準法に違反するかどうか調べを進める。構造計算を浅沼建築士に委託していた元請け設計会社についても違法行為がなかったかどうか調べる。

 道によると、浅沼建築士は建物の強度を計算する際、実際より高い数値を入力するなどしたと操作を認めた。一方で強度には自信があると強調した。自らが1級建築士の免許を持っていると偽って仕事をしたことはないと説明したという。

「限界耐力計算」と「許容応力度等計算」の違い。耐震強度が基準をはっきりさせろ。 国土交通省や自治体が耐震強度の基準を満たせば良いと解釈し、容認している。 しかし、計算方法により建築物の強度が違うのは明らか。同じ計算方法や解釈の仕方で 比較すれば、3~5割ほどの違いもあるのでは?基準を満たしていても、購入者から みれば、どちらの建物が丈夫に出来ているのか、わからない。建築確認を出す、自治体や 建築確認検査機関でさえ、耐震偽装や強度不足の見逃しを見つけられなかったケースがある。 このような専門的な知識や経験不足の組織を単純に信用できない。既に完成した建物は、 「限界耐力計算」により補強の負担から逃げれるが、これから購入する場合、「限界耐力計算」 で計算されている建物の場合、専門知識がないから敬遠するほうが良いと思うが、どうなのか?

国土交通省や自治体は、今後、購入者のために明確な基準を定めるべきである。 建物の品質評価も、同じ計算方法や定義で比較するように変えるべきだ。そうでなければ、品質評価の 意味が無い。意味が理解できない購入者を見た目で騙すようなことになる。国土交通省や自治体に 問題があることだけは間違いないようだ。北海道の浅沼建築士のケースを見ても、チェックが ずさんである事がわかる。これらの問題は、氷山の一角である可能性も高い。

国土交通省や自治体は問題の理解、原因そして防止策について真剣に取組むべきだ。 いい加減にしろと言いたい。

札幌耐震偽造:北海道が浅沼建築士を聴取、全体像解明へ 03/10/06(毎日新聞)

 札幌市のマンション耐震データ偽造問題で、北海道は9日、浅沼良一2級建築士(47)から事情聴取した。1級建築士を抱える元請けの設計事務所との関係を中心に聴き取り、元請けの責任をはじめ全体像解明に乗り出した。今後も聴取を重ね、関係法令違反が明らかになれば、聴聞会や建築士審査会を経て浅沼建築士への行政処分を行うほか、元請けの刑事告発も検討する。

 聴取は、道建設部の建築指導課長ら4人が道庁別館で1時間40分間にわたり非公開で行った。浅沼建築士は▽1級建築士しか設計出来ない一定規模以上のマンションを無資格で設計▽耐震データを偽造--について建築士法違反や建築基準法違反の疑いが持たれており、元請けからの圧力の有無、契約内容、依頼を受けるようになった経緯などを確認。その上で、元請け10社との契約状況を1社ずつただした。

 道によると、浅沼建築士は「元請けからの圧力はなく、自分の判断でデータを変えた」と従来の説明を繰り返した。元請け各社とは知人や仕事を通じて知り合い、仕事を受けるようになったという。

 一方、浅沼建築士と元請け10社との関係について道が調査したところ、▽元請けが丸投げした疑いがあり、浅沼建築士の独断を許した▽元請けが構造計算書をチェックしたものの偽造を見逃した--など、各社の対応に差があることが分かった。この点に対し、浅沼建築士も「各社の対応は異なっていた」と説明したという。道は今後も浅沼建築士、事務所双方から事情を聴く。【丸山博】

朝日新聞(2006年3月9日)社説より

耐震偽装 「安全」は物差し次第か

耐震計算偽造:札幌市議会、行政を批判 03/09/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題を巡り、8日開かれた札幌市議会建設委員会で、市が偽造を見逃したことに対する批判が集中した。

 昨年11月、姉歯秀次元1級建築士の偽造が明らかになって以降、市は「書類を二重にチェックする態勢を取っているので札幌で偽造問題は起こりえない」と説明していた。しかし、同委員会では一転して「1000ページに及ぶ書類から数値を拾って(偽造を)見つけるのは困難」などと弁明に終始した。

 また、耐震強度が国の基準1・0を下回った5件のマンション名を市が公表しないことについて「市内のマンション居住者が心配している」との批判や「建築主や浅沼建築士に仕事を依頼した設計事務所も明らかにすべきだ」などの意見も出た。

 しかし、市はマンションの資産価値が下がるなど風評被害への懸念を理由に、非公表の姿勢を変えず「震度5強でも倒壊の恐れのある0・5以下なら公表する」としている。【去石信一】

耐震計算偽造:道、民間検査機関を再点検へ 03/09/06(毎日新聞)

 今回の耐震データ偽造問題を受け、道は8日、昨年12月に知事指定の民間確認検査機関3社を対象に実施した調査を再点検する方針を固めた。姉歯秀次元1級建築士による偽造事件をきっかけに実施した前回調査は主に設計図から耐震強度を調べたが、浅沼良一2級建築士のような数値操作という手口を考慮していなかった。複雑な計算が求められる中高層建築物を中心に調べる。

 前回調査で、道は札幌市内の検査機関3社を立ち入り検査。審査開始の01年以降の760件の構造計算書や設計図について、1級建築士の資格を持つ道職員が点検し、耐震強度が著しく劣る物件は見つからなかった。

 しかし、住民の不安が高まっている状況を受けて、浅沼建築士の偽造方法を確認した上で、構造計算の入力と出力の食い違いの有無を調べる。

 一方、札幌市は8日、浅沼建築士が偽造を認めていない物件についても再計算することを明らかにした。

 浅沼建築士は同市内で96年以降に構造計算を請け負った79件のうち、同市が建築確認していたのは49件で、16件の偽造物件を含んでいる。同市はこの16件以外の市の確認分について日本建築構造技術者協会に再計算を依頼することにした。【田中泰義、去石信一】

耐震計算偽造:札幌の元請け社長、資格確認せず発注 「1級と思った」 03/09/06(毎日新聞)

 札幌市のマンションの耐震データ偽造問題で、改ざんを認めた浅沼良一2級建築士(47)に構造計算業務を発注していた札幌市内の元請け5社のうちの1社の設計事務所社長が8日、毎日新聞の取材に対し「04年末まで(浅沼建築士が)2級建築士だとは知らずに発注していた」と答えた。浅沼建築士の資格を確認しないまま仕事を発注していた元請け業者のずさんな管理責任が問われそうだ。【武内亮】

 浅沼建築士は道内で112棟の構造設計を担当し、このうち5社が発注した札幌市内の33棟について、耐震データの偽造を認めている。

 建築士法では、延べ面積300平方メートル、高さが13メートルを超える鉄筋コンクリート造りの建築物は1級建築士しか構造計算書を作成できないと定められており、33棟はすべて該当する。2級建築士が設計に携わる場合は1級建築士が管理しなければならない。

 社長によると、同事務所には構造設計専門の建築士がおらず、00年ごろから、構造計算業務を浅沼建築士に発注するようになった。社長は浅沼建築士が2級建築士との事実を把握した後も、構造計算業務を発注し続けており、発注件数はこれまで10件以上に上る。浅沼建築士が構造計算書のデータ改ざんを認めたマンション33棟にも複数含まれているという。

 社長は「(浅沼建築士が)1級建築士の資格を持っていると思った。それまでの実績から大丈夫だと判断していたので、確認することもなかった」と話す。04年末以降も仕事を発注し続けたことについては「技術力に何ら問題はなかったからだ。事務所の1級建築士が管理・指示を行っており、法律上は問題はない」と述べた。

耐震計算偽造:道、札幌の建築士から聴取へ 03/09/06(毎日新聞)

 道は8日、浅沼建築士と監督責任がある元請けの設計事務所について、建築士法違反の疑いがあるとみて、今週中に事情聴取する方針を固めた。元請けが浅沼建築士に設計を依頼した経緯や構造計算書の内容を両者から聴き、違反行為が確認できれば建築士取り消しなどの処分を行う考えだ。

 浅沼建築士が耐震データの偽造を認めた33棟のマンションは、いずれも1級建築士しか構造計算書を作成できない規模で、資格のない浅沼建築士が仕事を請け負った経緯のほか、データ偽造の手口について詳細を聴く。

 元請けの設計事務所については、今回の偽造にどこまでかかわっていたのかが聴取の焦点となる。道建設部は「今のところ(偽造への関与は)聞いていない」としているが、指示などが確認されれば、事務所の登録抹消なども検討する考えだ。

 浅沼建築士は7日の記者会見で構造計算書のデータ書き換えを認めたが、第三者の関与は否定している。

 一方、日本建築構造技術者協会北海道支部が札幌市に提出した再計算の中間報告で、耐震データ偽造が明らかになったマンション5棟の中に耐震強度が「0・7程度」の物件が含まれていることが分かった。

 「保有水平耐力」を求めた計算による数値で、さまざまなデータパターンを入力した結果の一つ。確定した数値ではないため、同協会は「限界耐力」という別の指数でも再計算し、最終的な耐震性を確定させる。その結果、国の基準の1・0を超える可能性もある。【田中泰義、去石信一】

耐震壁に自信、信念もって数値置き換え…浅沼建築士 03/07/06(読売新聞)

 札幌市のマンション耐震強度偽装問題で、計33棟の偽装をしたとされる浅沼良一・2級建築士(47)は7日、札幌市役所で記者会見し、「プログラムの基準を満たすために1999年か2000年ごろから入力数値を置き換えていた。建築士としての信念に基づき行った」と述べ、偽装を認めた。

 浅沼建築士は「個人的な解釈で、保有水平耐力の基準そのものに疑問があった」とし、「構造計算に合う数値をこだわることなく入力していた」と説明した。

 「耐震壁を使う耐震工法が優れているとの信念を持っていた」とし、耐震壁の量を多くしたところ、十分な保有水平耐力指数を求めることができなかったという。建築基準法で定める保有水平耐力指数を算出する際に、思うような計算結果が出ない物件については、「入力数値を(都合の良いように)勝手に置き換えていた」と述べた。

 浅沼建築士は、「耐震壁を多く採用して建築した物件は耐震性に問題がないと信じている。過ちは過ちかもしれないが、(建築士としての)考えを理解してほしい」と弁解した。

 また、コスト低減などを理由に「何らかの圧力で数値の入れ替えを行ったことはない」と話し、第三者の指示や関与による偽装であることは否定した。

耐震偽造:浅沼建築士は技術不足 複雑計算できず改ざんか 03/07/06(毎日新聞)

 札幌市の浅沼良一2級建築士(47)による耐震データ偽造問題で、浅沼建築士が構造設計した計112棟のうち、偽装疑惑のある33棟は、すべて複雑な構造計算が義務付けられていた物件だったことが分かった。2級建築士単独では手がけられない構造設計をしており、市から報告を受けた国土交通省は技術不足だったのに無理をして体裁を整えたとみている。同省は元請け設計事務所などから事情を聴いたうえで、処分も検討する方針。

 問題の構造計算は、地震に対してどれだけ持ちこたえられるかを示す「保有水平耐力」という数値の算出。建築基準法では、高さ31メートル以上の建築物ではこの計算を行い、各階ごとに耐震強度を満たしていることが義務付けられている。数値は、柱や鉄筋、はりの太さや本数などによって左右され、複雑な計算が必要とされる。

 一方、33棟が建築確認を受けた年の内訳も判明。偽装を始めたとされる99年は2棟、00年が1棟だったが▽01年4棟▽02年6棟▽03年7棟▽04年6棟▽05年7棟とエスカレートしていたことが分かった。【長谷川豊】

耐震偽造:浅沼建築士は疑惑否定 道は元請けなども調査へ 03/07/06(毎日新聞)

 札幌市のマンションの耐震データ偽造問題で、北海道は33棟の構造計算書の改ざんを認めた浅沼良一2級建築士(47)を管理監督する立場にあった1級建築士や元請けの責任を重くみて、元請けなどについても建築基準法違反などがないか、調査する方針を固めた。浅沼建築士は7日、札幌市役所で会見し、「深くおわびする」と謝罪したが、「耐震性はあり、偽装していない。保有水平耐力(耐震強度)の計算上の問題」と述べ、偽造の疑いがあると発表した市に反論した。

 道の調査の焦点は、元請けと浅沼建築士との具体的なかかわりだ。建築士法では高層マンションなどの複雑な建築物の設計には1級建築士の資格がいる。2級建築士が設計に携わる場合は1級建築士が管理しなければならない。元請け事務所が浅沼建築士に設計を丸投げしていれば、浅沼建築士は無資格設計したことになり、建築士、事務所とも建築士法違反に問われる可能性がある。

 会見で浅沼建築士はこの点について、「元請けの事務所があり、意匠事務所と共同で作業している。構造の分野だけお手伝いしたので良いと思った」と同法違反にはあたらないとの見方を示した。

 浅沼建築士は自らの構造計算の正当性について、耐震壁があれば安全との「信念」を持っていると主張。「耐震壁がたくさん存在するので耐震性に優れている。建物の強度が足りないとの認識はない。耐震強度0.5が1.0になるのは不可能だが0.9が1.0になるのは(計算の仕方で)ありうる」と述べた。

 データを変えたのは保有水平耐力が必要なマンション。コスト削減や手抜きではなく、「計算上の解釈の違いで意図しない結果が出たと思った。自分の思っている保有水平耐力の値を出して、NG(間違い)でないよう計算し直す。繰り返し計算するなか、良いところばかり見て、結果的にいろいろな出力結果のデータが混在した」と説明した。

 「保有水平耐力の計算を理解していなかった」と反省したものの、耐震壁の信念は「超高層の建物なら別だが、今も正しいと思っている」と繰り返した。住民に対しては「安全を数値で立証しないと理解していただけないと思う。安心できるよう、再検査で基準を満たすとの回答を持っていく」と述べた。

 設計事務所を登録せず、休眠中の不動産会社の名義を使っていることを明らかにし、「登録しなければならないことを知らなかった」と釈明した。【柴沼均】

5棟で構造計算書偽造 数値割り増し建築士認める 03/07/06(産経新聞)

 札幌市は7日、市内の浅沼良一(あさぬま・りょういち)2級建築士(47)が構造設計したマンション5棟の構造計算書を偽造していたことを確認したと発表した。ほかにも札幌市を中心に28棟で偽造したことを認めており、日本建築構造技術者協会(JSCA)に委託し、検証を進めている。

 既に分譲され入居している物件もあるが、緊急に退去が必要とされる耐震基準0.5を下回る物件はなく、市は「現段階で物件名は公表しない」としている。

 最終的な検証結果が出て耐震基準を下回っている物件があれば、補強工事など是正を勧告する方針。同時に入居者に通知し、公表する。

 浅沼建築士は市の調査に対し「耐震壁を多く配置するなど努力したが、思うような計算結果にならなかった物件について、2003年ごろから構造耐力の数値を割り増ししていた」と話している。また「元請け設計会社からの指示や圧力はなかった」といい、札幌市は姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)元1級建築士のように経済性のために鉄筋量を減らそうとした偽装とは違うとしている。

 浅沼建築士は1996年から構造計算業務を始め、複数の設計会社の下請けとして構造計算を請け負っていた。これまでに北海道内で112棟に関与、建築主には大手不動産会社もあった。道外では仕事していなかった。

 札幌市内の79棟中、33棟で構造計算書の偽造を認めた。このうち北海道電力グループが建設した2棟では耐震基準1.0を下回っていたことが分かり、入居予定者と契約解除の手続きを取っている。

 北海道によると、管轄する札幌市以外の物件20棟では偽造はなかったという。

 2月はじめ、市内のマンション管理組合の依頼を受けて検証したJSCAから「計算書の一部に食い違いがある」と指摘を受けた浅沼建築士が市に届け出た。

 札幌市は緊急対策チームを設置し検証を進めるとともに、住民からの相談に対応する。田中透(たなか・とおる)都市局長は確認申請の際に偽造を見抜けなかったことについて「誠に遺憾。深くおわび申し上げる」と陳謝した。

別計算法では「安全」…新宿区の「姉歯」マンション 03/07/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次・元1級建築士が構造計算書を改ざんしていた東京都新宿区の投資型の分譲マンションについて、同区の調査でいったんは耐震強度が基準の85%しかないとされながら、別の計算方法で再計算したところ、基準を満たし、安全と判断されていたことが分かった。

 二つの計算方法はいずれも建築基準法で認められたもので、採用する計算法によって安全か否かの判断が分かれたことになる。区では「地盤が固いなどの固有の要因があったため、計算方法で結果に開きが出たが、まれなケースではないか」(建築課)としている。

 2度目の計算に使われた「限界耐力計算」は、法改正に伴って2000年から構造計算に使われるようになった。同区は今年1月、姉歯元建築士が使ったのと同じ、従来の計算法「許容応力度等計算」で構造計算書を調べたところ、85%との結果を得ていた。

 その後建築主と協議したうえ、民間の設計事務所に依頼、限界耐力計算で計算をやり直したところ、120%以上という結果が出たという。耐震診断でも安全が確認されマンションは改修されないことになった。

 国土交通省によると、許容応力度等計算は強度判定に幅が出る傾向があり、地盤の状況など諸条件を考慮する限界耐力計算の方が、詳細な強度計算ができるという。全国の自治体による再計算では許容応力度等計算を使っていたが、現在、全国で十数件の物件について、限界耐力計算での再計算を進めているという。

 同省では、「限界耐力の方が、安全性が高いことを示す数値が出る傾向は確かにあり、適切な計算方法を選択して構わない。公的支援については現行の判断基準に変更はない」(建築指導課)としている。

浅沼建築士、「99年ごろから偽装」と話す 03/07/06(朝日新聞)

 札幌市で明らかになった耐震強度偽装で、構造計算書の偽造を認めたとされる浅沼良一2級建築士は96年に独立し、構造計算などを行う現在の設計事務所を構えた。しかし、事務所の名前として使っていたのは知人が設立した有限会社の名称だった。この会社についても2級建築士事務所として北海道には届け出ておらず、ふだんの仕事も別の場所で行っていたという。

 この知人によると、数日前に浅沼建築士から電話があり、「自分の能力を超えた仕事をやってしまった。迷惑をかけるかもしれない」と話していたという。

 浅沼建築士は元請け設計会社から仕事を請け負い、主にマンションなどの構造計算をしていた。2級建築士の場合、1級建築士の指示がない限り、大型の鉄筋コンクリートの建物の構造計算をすることは認められていない。

 札幌市などの調査に対して33棟の偽装を認めるとともに「99年ごろから最近まで偽装をしている」と話し、「元請けには構造計算の専門家はおらず、技術的な相談ができなかった」とも語っているという。

 偽装の疑いが指摘されているマンションの元請け設計会社の社長は「5年ほど前から仕事をしていたが、非常にまじめで一生懸命だった。信用していたのに、こんなことになって残念だ」と話している。

札幌の2級建築士、33棟の偽装認める 市、5棟で確認 03/07/06(朝日新聞)

 札幌市内の2級建築士が手がけた建物の構造計算が偽装されていた疑いが浮上した問題で、同市は7日、この建築士が市内のマンションなど33棟について偽装を認め、このうち5棟で同市が偽装を確認したと発表した。強度が0.5を下回るような大幅な強度不足ですぐに退去が必要な建物はないといい、同市は入居者にも知らせていない。建築士は朝日新聞の取材に「期日までに建築確認申請を出す必要に迫られて、数値を入れ替えた」と話している。

 偽装を認めたのは浅沼良一2級建築士(47)。96年から構造計算を始め、複数の元請け設計会社から業務を請け負ってマンションなどの構造計算をしていた。

 札幌市によると、浅沼建築士は北海道で112棟、このうち札幌市内では79棟の構造計算を手がけており、33棟については偽装を認めている。強度不足が確定すれば建築基準法違反に問われる可能性がある。

 同市は自らが建築確認した16棟について専門機関に再計算を依頼し、5棟について偽装が確認された。残りについても検証している。

 浅沼建築士は耐震壁と呼ばれる壁を多用することで耐震性を高める手法を多く使っていたが、大型の建物では狙い通りの計算結果にならないことがあり、水増しした数値に差し替えていた。「信念を貫いて設計したが結果には問題が残った。偽装は故意ではなく、計算を繰り返した結果だ」と浅沼建築士は釈明している。

 同市は鉄筋量を減らすことにより建築コストを削減しようとした偽装ではなく、「技術不足を覆い隠すための偽装ではないか」と見ている。

偽装の建築士、無資格業務の恐れ 国交省が報告要請へ 03/07/06(朝日新聞)

 国土交通省は構造計算書を偽造した浅沼良一2級建築士について、1級建築士にしか認められていない設計業務を無資格で請け負った建築士法違反(無資格業務)の可能性があるとみている。札幌市と北海道に対し、浅沼建築士の業務実態について報告を求める方針だ。

 建築士法によると、延べ床面積が300平方メートルを超える鉄筋コンクリート造りの建物の設計は1級建築士しかできない。ただ2級建築士でも、1級建築士の指示に従った場合は部分的に請け負うことが可能とされ、違法かどうかは指示の有無による。違反と認められると1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性がある。

 浅沼建築士は元請けの1級建築士事務所からの委託で構造設計を請け負っていたといい、国交省は「無資格業務であれば、刑事責任を問うことも視野に対応することになるだろう」としている。

新宿の姉歯物件、強度不足が一転「安全」 新構造計算で 03/07/06(朝日新聞)

 姉歯秀次元建築士の偽装により耐震強度が足りないとされた東京都新宿区のマンションが、新しい構造計算法である「限界耐力計算」で計算し直したところ、今度は一転して「安全」とされたことがわかった。この計算法も建築基準法に基づく正規の計算法だが、建物の揺れ方など設定する条件によっては従来の「許容応力度等計算」より大幅に高い強度が出る可能性があると指摘されている。同じ建物なのに計算法で強度が大きく違ったことになり、同様の例が増えれば、強度の値で線引きする公的支援の仕組みが揺らぎかねない。

 このマンションは投資用の分譲マンションで、新宿区の調査で昨年12月、建物の一部で強度が1を基準とした場合の0.85しかないと判定された。姉歯元建築士が構造計算したことがわかり、姉歯元建築士が使ったのと同じ従来の計算法で調べた結果、偽装による強度不足が明らかになった。

 建築主が新宿区と対応策を話し合う中で、新計算法で計算し直す案が浮上。設計事務所に頼んで計算したところ、強度は1を超えるという結果が出た。新宿区が行った耐震診断でも問題はなく、同区は安全が確認されたと判断した。

 0.85のままだった場合は建築基準法違反となり、補強工事をしなければならないが、建築主は改修しないで済んだ。

 限界耐力計算は00年から使えるようになった。国交省は2月15日、耐震偽装問題について「技術的助言」を出し、強度の検証手順などを示した。この計算法で強度を調べる場合の手順もこの中で明示している。

 偽装物件が安全かどうかは自治体が最終的に判断する。新しい計算法で強度が基準を満たし、自治体が安全だと判断すれば補強しなくてもいい。自治体は判断に際し、日本建築防災協会の助言を受けることができる。

 強度1は震度6強の大地震でも建物が倒壊しない強さを示す。偽装問題をめぐる国の支援策は、分譲マンションは強度0.5未満が建て替えの対象で、0.5以上1未満は改修費用の一部を助成する。ホテルや賃貸マンションについては強度にかかわりなく公的支援の適用例はない。

 新宿区の例のように、建て替えや改修で重い費用負担を迫られているマンションの住民やホテル経営者らが新しい計算法で計算し直し、基準を満たす強度が出ることは他でも起こり得る。ある自治体の担当者は「同じ建物なのに計算法で結果が大きく違えば、収拾がつかなくなるのではないか」と口にする。

 国交省は「計算結果が大きく食い違う場合こそ、安全性を判断するためには専門家の助言が必要になるだろう。ただ、元の強度が著しく低い場合は別の計算法で数値が上がったとしても、安全だと判断されるとは限らないのではないか」としている。

札幌市の設計事務所、耐震強度偽装の疑い 市が調査 03/07/06(朝日新聞)

 札幌市内の設計事務所が構造計算したマンションなどの中に、耐震強度が不足している可能性が高い物件が数件あることが、同市の調査で分かった。一部は構造計算書の数字が差し替えられており、同市は構造計算の偽装があったとみている。この事務所が手がけた物件は市内に33件あり、同市は事実確認の作業を進めている。倒壊の危険などで住民に立ち退きを求めざるを得ない物件は、いまのところないという。

 札幌市などの調査によると、この事務所は複数の元請け設計会社から構造計算の業務を請け負い、事実上、1人の2級建築士が構造計算の業務を担当していた。元請け設計会社には大手のマンション開発業者も含まれているという。

 この建築士は市販の構造計算ソフトなどを使い、鉄筋の量などをずさんに見積もって作業を進め、最終的に計算が合わなくなった場合などに、数字を差し替えて帳尻を整えていたという。極端に多くの鉄筋を入れている物件や、上層階にいくほど鉄筋を多くしている物件など、常識では考えにくい設計もあるといい、同市は「建築士の技術不足は明らかだ」としている。

 耐震強度不足の可能性が出たため入居契約を解除するなどした北海道電力の子会社、北電興業(札幌市)が建設した2棟の賃貸マンションについても、この事務所が構造計算を担当していたという。

 この建築士に会社の名義を貸しているという男性は「建築士とは数日前から連絡が取れなくなっている」と話している。

不正の建築士7人、免許取り消し 東横イン・耐震偽装 03/06/06(朝日新聞)

 国土交通省は6日、ビジネスホテルチェーン「東横イン」(東京都大田区)の不正改造工事の設計を請け負った関連会社「東横イン開発」の管理建築士だった1級建築士を、建築士法違反(名義貸し)で免許取り消しの懲戒処分にした。また、耐震強度偽装事件で設計業務の元請けなどに関与した1級建築士6人についても、同法違反で1人を免許取り消し、5人を2~12カ月の業務停止処分にした。

 7人の処分は、この日あった中央建築士審査会の同意を得て決めた。今年度の免許取り消しは計11人となり、過去最多。

 国交省によると、東横イン開発の管理建築士だった建築士は、業務をする意思がないにもかかわらず00年2月から今年1月まで名義を貸し、結果として少なくとも7件の違法改造ホテルの設計者となったという。

 耐震偽装事件に関与したとして免許取り消しになったのは、木村建設東京支店の建築士。

姉歯物件の元請け建築士6人、国交省が追加処分 03/07/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、国土交通省は6日、姉歯秀次・元1級建築士(48)による偽装物件の元請け建築士6人を追加処分した。

 「木村建設東京支店」に所属していた1級建築士1人を資格取り消しとし、他社の建築士5人も業務停止12~2か月とした。

 処分を受けたのは、木村建設のほか、「世紀東急工業」(東京都)、「中村組」(静岡県)、「アーキグラム」(福岡県)、「岡田建築設計」(同)、「醇建築・まちづくり研究所」(同)。

 木村建設の建築士は、東京都港区の賃貸マンション「ドルチェ芝浦・弐番館」(芝浦2丁目マンションに改称)など3物件の実質的な設計元請けとして、姉歯元建築士に構造計算を依頼。アーキグラムの建築士も、震度5強程度の地震で倒壊の恐れがある「STAGE麻布」(東麻布1丁目マンションに改称)の元請けとして、業務停止で最も重い12か月の処分となった。

東横イン開発に名義貸し、1級建築士の免許取り消し 03/06/06(読売新聞)

 大手ビジネスホテルチェーン「東横イン」(東京都大田区)による不正改造問題で、国土交通省は6日、同社の関連会社「東横イン開発」(東京都港区)に名義を貸していた70歳代の男性1級建築士1人(千葉県白井市)の免許を取り消すことを決めた。

 1級建築士の処分の審査などを行う第三者機関「中央建築士審査会」が同日、免許取り消しに同意した。

 この問題で、同省が関係者に行政処分を下すのは初めて。

 同省は今後、実際に不正改造に関与した建築士数人を特定し、不正事実を確認した上で処分する。

 同省によると、この1級建築士は2000年2月~今年1月、東横イン開発への勤務実態がないのに、設計・建築の責任者である管理建築士として自分の名義を使うことを承諾し、その報酬などとして月10万円を受け取っていた。「東横イン仙台中央1丁目1番」(仙台市青葉区)など法令違反が確認された少なくとも7件のホテルで設計者として名前が使われ、自治体に建築確認申請書が提出されていた。

 1級建築士は、先月21日の国交省の聴聞で、「東横イン開発の求人広告に応募し、『前の建築士が辞めたので、名前を貸して欲しい』と持ちかけられ、了承した。(不正改造は)知らなかった」などと話したという。

 同省は「一連の行為は極めて悪質」として、建築士法で最も重い行政処分を下すことを決めたが、「実名公表を義務付ける規定がない」として氏名公表は見送った。

耐震偽造:北電系マンション、新たに2棟で強度が不足 03/06/06(毎日新聞)

 北海道電力のグループ会社「北電興業」(本社・札幌市中央区)が建設した同区内の賃貸マンション2棟で耐震強度が不足している可能性のあることが6日、分かった。耐震データ偽造問題を受け、同じ北電グループの設計会社に構造計算書の再計算をさせたところ、国が定める基準を下回っていたという。北電興業は入居開始予定の解約手続きや入居世帯への事情説明を始めた。

 耐震強度不足が判明したのは、昨年3月完成の「エナコート大通22」(9階建て23戸)と今年1月完成の「エナコート山鼻」(10階建て30戸)。同社によると、昨年12月に構造計算書の再計算をしたところ、震度5程度の地震では倒壊しないものの、国の耐震基準を満たしていないという結果が出た。同社は第三者検査機関に三度目となる検査を依頼しており、結果が出次第、補強工事などの対策を決める。2棟の設計には、一連の問題で免許取り消しになった姉歯秀次・元1級建築士は関わっていない。

 エナコート大通22には22世帯が入居している。一方、完成から間もないエナコート山鼻には今月18日から15世帯が入居する予定だったが、入居を見合わせ、契約者との解約手続きを進めている。同社不動産管理部は「契約者に迷惑をかけないよう、転居先確保や費用面など誠心誠意取り組んでいく」と話している。

 同市では、住友不動産(本社・東京都新宿区)が販売していた札幌市内のマンション2棟で耐震性に不安があることが分かり、販売が中止された。【鈴木勝一】

マンションに強度不足の疑い、解約手続き…札幌 03/06/06(読売新聞)

 北海道電力の子会社、北電興業(札幌)が、札幌市中央区に建設した賃貸マンション2棟の耐震強度に疑問が生じたとして、入居予定者への解約手続きなどを始めたことが6日、分かった。

 同社によると、解約手続きを始めたのは1月に完成した「エナコート山鼻」(10階建て、30戸)で、18日以降に15戸が入居する予定だった。

 同社が昨年の構造計算書偽装問題を受け、構造計算書の再検査を設計会社に依頼したところ、必要な耐震強度を満たしていない可能性があることが分かった。

 すでに22戸が入居している同区の「エナコート大通22」(9階建て、23戸)も同様の状況のため、入居者への説明を始めたという。

 同社は「震度5強の地震で倒壊の恐れはないが、必要な耐震強度を満たしていない可能性がある」としている。

構造計算書、紛失は計154棟分 都市再生機構 03/04/06(毎日新聞)

 独立行政法人「都市再生機構」をめぐる構造計算書の紛失問題で、同機構が紛失した分譲マンションの計算書は少なくとも154棟分に上ることが新たにわかった。この他に保管場所が不明で調査中の計算書が252棟分あり、紛失した計算書の数はさらに増える可能性がある。同機構はすべての分譲マンションについて計算書があるかどうか調査したり、管理方法を見直したりすることを検討する。

 計算書の紛失が報じられた2月28日、計算書を見せてほしいという要請が分譲マンションの住民から殺到した。開示要請はすでに来ていた分と合わせて136団地939棟分に上った。

 同機構によると、88団地は全417棟の計算書が保管されていることを確認した。しかし、16団地では116棟分は見つかったものの、107棟分は紛失していた。別の8団地は計47棟分がすべてなくなっていた。

 さらに保管場所がはっきりせず、いま探している計算書が24団地252棟分ある。

 同機構をめぐっては、東京都八王子市の多摩ニュータウンで深刻な欠陥工事がわかった問題にからみ、8棟の計算書を紛失していたことがすでに明らかになっている。また都内の倉庫で保管していた計算書約200冊が昨夏の豪雨で水浸しになり、判読が難しくなっていることも判明している。

 同機構は日本住宅公団時代の1956年から住宅の分譲を始め、分譲物件は全国で約1300団地に上る。計算書は永久保存すると内規で定めていたが、04年に同機構に改組された後は最長40年の保存に切り替えた。

 姉歯秀次元建築士による耐震強度偽装が発覚する昨年11月以前は計算書の開示要請がほとんどなく、分譲した物件の計算書類が整理されないままになっていた。

「こうした実情について藤沢市建築指導課は『そもそも工事監理者が責任をもって建築すべきもの。 阪神大震災の教訓を踏まえて木造に重点を置いている』と釈明している。」

公務員も給料泥棒。工事責任者にだけに責任を転嫁している。検査する権利があるのであれば、 検査を省く判断する地方自治体にも責任がある。官製談合は公務員が関わらなければ不可能。 公務員が関与しなければ問題解決。しかし、現実は行われている。取締りが甘ければ、 罰則が甘ければ、責任よりも利益や私欲に流れることもある。

藤沢市建築指導課の釈明を聞いていると、なぜ偽装が可能であったのか、なぜ偽装がおこなわれた のか、いくらかの原因を推測できる。

耐震偽造:GS藤沢 中間検査行わず、市の裁量「木造に」 03/03/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、偽造発覚物件で最も耐震強度の低い「グランドステージ(GS)藤沢」(神奈川県藤沢市)施工の際、建築基準法で定める中間検査が行われていなかったことが分かった。藤沢市の裁量で省いていたが、施工に当たった木村建設(熊本県八代市)でも「マンション建設では当然するものだと思っていた」と藤沢市の対応を疑問視する。中間検査が行われていれば、最弱物件の偽装を見抜けた可能性もある。国土交通省はこうした事態を重くみて、今国会で建築基準法を改正し、中間検査を義務化する方針だ。【鈴木梢】

 中間検査は、手抜き工事を防止するため、実際に建設現場に出向き、鉄筋の本数などが設計図通り施工されているかどうかを調査する制度。阪神大震災で家屋倒壊が相次いだ教訓から、99年施行の改正建築基準法で盛り込まれた。工事着手前の「建築確認」と、建物完成後の「完了検査」の間に実施する。

 また、報告書や写真を提出させ、書類だけでチェックする完了検査と異なり、鉄骨を組んだ状態を市職員や検査機関が実際に目視で確認するため、同省も「コンクリートで隠れてしまう鉄筋の本数や鉄骨の太さなどをチェックするのに最も効果的」としている。

 ところが、中間検査の導入は自治体の裁量に委ねられており、職員不足などを理由に実際に実施しているのは全国で約7割の自治体にとどまっているのが実情だ。さらに対象建物なども各自治体の判断に任されており、藤沢市では、木造3階建てや一戸建て住宅などに限って実施していた。

 東京都では既に3階建て以上の建築物についてすべてで実施しているといい、GS藤沢を担当した木村建設の工事担当者は「GSシリーズを含め、これまで手がけたマンションで中間検査をしなかったところは、ほとんどなかったので、GS藤沢は本当にやらなくていいのか、心配になった」という。

 こうした実情について藤沢市建築指導課は「そもそも工事監理者が責任をもって建築すべきもの。阪神大震災の教訓を踏まえて木造に重点を置いている」と釈明している。

 <グランドステージ藤沢>

 05年9月に完成。姉歯秀次元1級建築士が建築関係者に偽造を告白して以降、建築主のヒューザー(東京都大田区)が入居者に引き渡しを行った物件として知られる。耐震強度は基準値の15%と、発覚した偽造物件の中で最も低く、震度5弱程度で倒壊の恐れがあるほか、施工途中での手抜き工事疑惑も指摘されている。

熊本県担当者が報告不手際を陳謝…耐震偽装緊急調査委 02/27/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件の行政対応などを検証する「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」(国土交通相の私的諮問機関)が27日、東京都内で開かれた。

 「非姉歯」物件に関する調査の公表や国への報告に関して不手際があった熊本県の担当者が出席し、「不正確な情報を公表して混乱を招いたことは大変申し訳ない」と陳謝した。

 また、同県には構造設計に詳しい担当者がほとんどおらず、欠陥住宅の防止に効果があるとされる施工段階での「中間検査」も、全く実施していないことなどが明らかになった。

 委員会には、姉歯秀次・元1級建築士(48)が関与していない「非姉歯」物件で、耐震強度が64%しかないマンションが見つかった横浜市の担当者も出席。

 民間の指定確認検査機関による相次ぐ偽装の見逃しを受け、国交省が再発防止策として打ち出した自治体による監督権限の強化に対し、「民間機関が建築確認を出した物件をサンプル調査するのは二度手間だ」と強い不満を表明した。

構造計算書、第三者機関で再点検…国交省方針 02/22/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、社会資本整備審議会(国土交通相の諮問機関)の「基本制度部会」は22日、構造計算書改ざんを見抜けなかった現行の建築確認制度を抜本的に見直し、一定規模以上の建物について、新たに設立する第三者機関が構造設計を再点検する「ピアチェック」の義務化などを柱とする再発防止策をまとめた。

 第三者機関は、必要に応じて建築士から事情聴取を行うなど厳格に点検し、審査をパスしない限り建築確認が下りない仕組みとする。国土交通省は早ければ年内の設立を目指し、近く、建築基準法などの改正案を提出する方針だ。

 構想では、新たな第三者機関は、外部の構造設計専門家を起用、耐震強度基準を満たす設計になっているかどうかなどを再点検する。姉歯秀次・元1級建築士(48)は書面の差し替えなどで改ざんしていたことから、現在は書面で提出させている構造計算過程は電子データで提出させ再計算する。場合によっては設計者からの事情聴取も行い構造計算の偽装やミスを防ぐ。

 ピアチェックとは、専門家による二重チェックで、義務付ける対象は、高さ5階程度以上のビルやマンションのほか、病院など公共性の高い建物とすることを検討している。第三者機関は、既存の国交省関連団体をもとに組織する方向だ。

 このほか再発防止策には、▽新築マンション、戸建て住宅の欠陥に備えた保険加入などの義務化▽建物の完成前に自治体などが現場でチェックする「中間検査」の義務化▽強度不足の建物を建てさせた建築士・施工者らに懲役刑を科すなど建築基準法などの罰則強化――などを盛り込んだ。

耐震偽造:法律の改正案提出へ 再発防止策の中間報告 02/22/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件を受け、国土交通相の諮問機関である社会資本整備審議会の基本制度部会は22日、構造計算書の審査方法の見直しや違反建築士への懲役刑導入などを柱とする再発防止策の中間報告をまとめた。国交省は、3月にも建築基準法と建築士法の改正案を国会に提出する。

 同部会は同省から示された再発防止策をたたき台に議論していた。中間報告は、これまでの議論をまとめた内容。早急に構ずべき施策として、▽一定規模以上の建物について、従来の確認検査に加え、第三者機関などによる審査▽多くの人が利用する建物について施工途中の検査の義務付け▽住宅購入者への責任を果たせるよう売り主の保険加入措置▽罰金50万円が上限の建築基準法の罰則に懲役刑の導入--などを挙げている。

 一方、建築士の資格を構造や意匠(デザイン)など専門分野ごとに分けることや、元請けと下請けの契約の適正化などについては、今後の課題として夏ごろまで議論を続ける。

サムシング社長、衆院の参考人招致を拒否 02/20/06(読売新聞)

 福岡市内のマンション3棟の構造計算書を偽造したと指摘されている設計会社「サムシング」(福岡県太宰府市、業務休止中)の仲盛昭二社長(55)は20日、衆院国土交通委員会に対し、参考人招致に応じない意向を伝えた。

 これを受け同委員会は、21日に予定していた仲盛社長らの参考人招致を見送ることを決めた。

 仲盛社長によると、「潔白を証明しようとしている段階なので、応じられない」とする文面を20日午前、ファクスで衆院事務局に送ったという。

強度不足、国交省が「田中研究所」の8棟の調査指示 02/20/06(読売新聞)

 横浜市鶴見区の分譲マンションで設計ミスによる耐震強度不足が判明した問題で、国土交通省は20日、同マンションを構造計算した「田中テル也構造計画研究所」(東京都杉並区)が手がけた都内と神奈川県のマンションやビル計8件について、調査するよう各自治体に指示した。

耐震偽造:建築基準法改正案は不十分 4都県知事ら 02/17/06(毎日新聞)

 東京、神奈川、埼玉、千葉の4都県知事と横浜市長は17日、耐震データ偽造事件に絡み、国が1月30日に示した建築基準法改正についての中間報告案は不十分だとして、見直しを求める要望書を北側一雄国土交通相あてに提出した。

 4知事らはこれまで、建築確認を行う特定行政庁や民間の指定確認検査機関の法的責任を明確にすべきだと主張してきたが、要望書では「いまだに対策が講じられず、制度上の欠陥は解決されていない」としている。

 特に現行法では、指定確認検査機関が行った検査内容について自治体が関与できないことから、検査機関に法的責任があることを明確にするよう求めている。【猪飼順】

非姉歯物件:横浜のマンションで強度不足 設計と審査ミス 02/17/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で横浜市は17日、同市鶴見区の10階建てマンションの耐震強度が国基準の1.0を下回っていたと発表した。国土交通省への報告によると、耐震強度は0.6~0.7で、震度5強の揺れで少なくとも損傷する可能性があるという。構造計算書に偽造の形跡はなく、市は「設計と審査ミスが原因で、故意ではない」と判断した。姉歯秀次元1級建築士が関与していない「非姉歯物件」で、市は18日に住民説明会を開く。

 市はマンション名や耐震強度の数値、構造計算をした建築士などは、住民説明が終わっていないことを理由に公表していない。

 市などによると、同マンションの建築主はヒューザー、施工業者は木村建設で指定確認検査機関の日本ERIが建築確認をしていた。プログラムを使った構造計算結果に異常が出ているのにERI側が気付いて、設計者を指導。設計者は手計算でやり直した際に再びミスをして、ERI側も気付かず、審査を通過させていたという。

 市は国交省の依頼で、非姉歯物件のうち、ヒューザーや木村建設、平成設計、総合経営研究所が関与したマンション12棟を精査。構造計算ソフトを用いて再計算した結果、同マンションのみが基準を下回っていることが判明した。【堀智行】

耐震偽造:ヒューザーの宅建業免許取り消しへ 東京都 02/17/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で東京都は17日、宅地建物取引業法に基づく処分に先立ち、不動産会社「ヒューザー」(東京都大田区)の小嶋進社長ら2人の聴聞を行った。小嶋社長らは出席に代えて「違法行為はなかった」とする陳述書を提出、姿を見せなかった。都はヒ社の役員が姉歯秀次元1級建築士の事務所で偽造を確認しながら、マンション購入者に物件を引き渡したとして近く、宅建業免許を取り消す。

 聴聞の対象は、小嶋社長のほか、ヒ社の販売代理会社「ジャスティホーム」の犬山正一社長。

 聴聞で都は、これまでの聴取などを基に処分理由を説明。偽造物件の指摘を受けた昨年10月25日の民間検査機関「イーホームズ」との会合後、ヒ社役員の設計部長が姉歯氏の事務所に出向き、姉歯氏にパソコンを操作させて神奈川県藤沢市の「グランドステージ藤沢」など分譲マンション7物件の偽造を確認していたことを明らかにした。

 小嶋社長は同27日のイ社との再協議後、「検査済証が下りており、引き渡しは問題ない」として、翌28日に「藤沢」の17戸を購入者に引き渡した。

 聴聞は同法に基づく行政処分を行う際に当事者から反論を聞く手続き。都は両者から具体的な反論がなかったことから、処分を行う方針を固めた。【猪飼順、桐野耕一】

耐震偽造:川崎の2棟強度不足 40日以上も公表せず 02/15/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、耐震強度が基準値を下回ることが判明した川崎市内のマンション2棟について、川崎市は偽造確認後40日以上経過した現在も、物件名や耐震強度の数値を国に報告していない。同市は「入居者の了解が得られないため」と言うばかりだが、周辺住民にとって大事な安全対策上の情報であり、他の自治体から「行政の怠慢ではないか」と批判の声も上がる。国土交通省も「地震はいつ起きるかわからず、近隣住民の安全性を考え、速やかに報告するようお願いしている」と話している。

 2棟のうち1棟は住宅地にあり、98年に川崎市が建築確認した物件。姉歯秀次元1級建築士が「最初の偽造」と証言した「グランドステージ(GS)池上」(東京都大田区)よりも以前に偽造した可能性も指摘されている。同市は昨年末の調査で、耐震強度が基準値を満たしていないことを確認し発表したが、それ以上の情報は一切公表していない。

 国交省は、姉歯元建築士が構造設計し、耐震強度が基準値を下回ることが判明した物件については「事件の事実解明や近隣住民への安全情報に結びつく」として、名称や耐震強度の公表を各自治体に求めている。現在、97件の偽造物件が判明しており、完成済みで基準値未満の物件は、川崎市を除きすべて公表されている。

 先月30日に97件目の偽造と認定された東京都江東区のマンションも、2月7日に公表。同区の担当者は「国から『物件を明らかにしないと通行人にも危険だ』と公表の要請があった」と話す。

 しかし、計6物件がある川崎市で公表されているのは、姉歯元建築士が当初に偽造を認めたGS川崎大師など、ヒューザーが建築主の3棟のみ。未公表のうち一つは基準値を満たしている。強度不足の2棟を公表しないことについて川崎市は「住民の了解がまだ得られず、強度の数値も公表すると数字が独り歩きしてしまう」と釈明する。こうした対応に、偽造物件を抱える他の自治体からは「私たちも所有者の理解を得るため苦労して公表したのに、不公平だ」「国交省も一定の公表基準を設けたなら守らせるべきだ」と、不満が噴出している。【広瀬登、吉永磨美、桐野耕一】

耐震偽造:伊藤氏、小嶋社長と再生機構幹部を仲介 02/15/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件に絡み、不動産会社「ヒューザー」の小嶋進社長を国土交通省幹部に引き合わせた伊藤公介・元国土庁長官が昨年6月、産業再生機構幹部に対し、機構の競売案件だったホテルの落札を希望していた小嶋社長と面談するよう要請していたことが14日、分かった。機構側が競売で便宜を図ったことはなかったとされるが、同社は実際に落札に成功した。元長官が小嶋氏のために関係当局への要請を繰り返していた実態が浮かび上がった。

 毎日新聞の取材に伊藤元長官は事務所や家族を通じ、「ヒューザーの小嶋社長から連絡があり『西神オリエンタルホテルの件で産業再生機構に聞きたいことがある』と言われたので、機構に連絡を取り『質問に答えてやってくれ』と伝えたことはある。あくまで陳情の一つととらえている」と面談要請を認めた。要請を受けた機構の企画調整室長は「個別の案件には答えられないが、政治家や業者からの問い合わせに応対することはある」と話している。

 関係者によると、伊藤元長官は昨年6月上旬、機構の企画調整室長に小嶋社長と面談するよう電話で要請、その後、小嶋社長やヒューザー社員と室長の面談が実現した。伊藤元長官は同行しなかったという。

 小嶋社長は機構の支援で再建中だったダイエーの100%子会社で、「西神オリエンタルホテル」(神戸市)を運営する「西神オリエンタル開発」(同)の買収に意欲を示した。室長は入札事務はダイエーが担当していることなどを説明、ヒューザーに便宜を図ったことはなかったという。

 数カ月後の入札には複数の業者が参加、最高価格を提示したヒューザーが落札したが、昨年11月に耐震データ偽造事件が発覚、ヒューザーへのホテル売却は中止となった。

 伊藤元長官は耐震データ偽造事件が公表される2日前の昨年11月15日に、小嶋社長に同行して国土交通省幹部を訪ねたことが判明している。

伊藤元長官、小嶋社長を産業再生機構にも仲介 02/15/06(毎日新聞)

 自民党の伊藤公介元国土庁長官が昨年、産業再生機構(東京都千代田区)の競売案件に関連し、開発会社「ヒューザー」(小嶋進社長、大田区)を同機構に仲介していたことがわかった。

 小嶋社長はその後、担当者と面談、競売では最高値で落札したが、再生機構は「便宜は図っていない」としている。

 ヒューザーは、同機構の支援を受けて経営再建中のダイエーの子会社で、西神オリエンタルホテル(神戸市)を運営する「西神オリエンタル開発」(同)の買収を計画。元長官の事務所などによると、ヒューザー側が競売案件について事務所側に連絡、同事務所が同機構に対し担当部署を問い合わせるなどしたという。ダイエーは昨年11月、ヒューザーへの売却を発表したが、耐震強度偽装事件の発覚で中止された。

 ヒューザーは「一連の偽装事件とは関係ない話なので、コメントは差し控えたい」としている。

耐震偽造:サムシング社長らの参考人質疑へ 02/14/06(毎日新聞)

 衆院国土交通委員会は14日、理事懇談会を開き、姉歯秀次・元1級建築士以外による初めての構造計算書偽造疑惑が明るみに出ている設計会社「サムシング」(福岡県太宰府市、02年廃業)の仲盛昭二元社長ら関係者の参考人質疑を行うことを申し合わせた。人選や日程などは17日の理事会で改めて協議する。

 野党側はほかに、00~01年にサムシングによって構造計算書の偽造があった福岡市の3棟のマンションの施工者の木村建設(熊本県八代市)の担当者、建築確認をした福岡市の建築主事らを招致するよう求めている。【青島顕】

耐震偽装ホテルを初の現場検証 総研関与の実態解明へ 02/13/06(産経新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は13日、建築基準法違反容疑で、姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)元1級建築士(48)が構造計算書を偽装し、強度が基準の46%しかない愛知県刈谷市のビジネスホテル「名鉄イン刈谷」を現場検証した。

 偽装物件の検証は4棟目で、ホテルが対象となったのは初めて。総合経営研究所(総研、東京都千代田区)が名古屋鉄道の子会社名鉄不動産に開業を指導しており、合同捜査本部は、総研が関与したホテルについても偽装の実態解明を目指す。

 同ホテルは地上11階建てで162室。平成設計(千代田区、破産)が設計を元請けし、木村建設(熊本県八代市、破産)が施工した。国土交通省の告発対象には入っていない。

 建築確認した愛知県が1階部分の柱の鉄筋数について「16本では少ない」と指摘すると、平成設計が「30本に増やす」と改善策を示し、2002年8月に審査を通過していた。

 03年5月に開業したが、問題発覚後の昨年11月23日から営業を休止。解体作業は1月10日から始まっていた。(共同)

熊本市の再調査で入力ミス 設計事務所長が指摘 02/13/06(朝日新聞)

 熊本県で木村建設(同県八代市、破産手続き中)が施工したマンションなど22棟が耐震強度不足を指摘された問題で、熊本市のマンションなど3棟の構造計算を担当した中山構造研究所(同市)の中山明英所長が13日、県庁で記者会見し、「(熊本市が実施した1棟の)構造計算の再計算に入力ミスがあった」と反論した。同研究所が再検証したところ、耐震強度は基準値の1を上回ったという。

 中山氏によると、熊本市が再計算を委託した県建築士事務所協会から耐震強度0.43~0.45と指摘された10階建てマンション1棟について、市から再計算結果のデータ提供を受け、鉄筋の数などを記した設計図と突き合わせた。その結果、再計算では梁(はり)の一部で鉄筋の数が実際より少なかったり、径の細い鉄筋を使ったりしたようにデータ入力されていた。

 中山氏は「単純な手入力のミスとしか考えられない。一部の強度が下がるだけで、建物全体の強度も低くなる」と主張。再計算のデータ自体が違うとして、「(耐震強度の)数値がおかしくなるのは当然で、信頼性はない」と反論した。

 市建築指導課は「構造計算書がなく、不完全なデータで検証したため、(委託先の)協会が入力ミスをしたのだろう。現在、協会が(中山構造研究所が提出した)新しい構造計算書のデータを基に安全性を検証している」。同協会の福冨秀孝専務理事は「守秘義務があるので何も言えない」と話している。

「耐震偽装なし」の460件、国交省が再点検指示へ 02/13/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件に絡み、熊本県が著しい耐震強度不足の可能性のある物件の報告を怠っていた問題で、国土交通省は13日、これまでに「偽装なし」と報告があった460件について、耐震強度を満たしていないにもかかわらず、国への報告がない物件がないか、各自治体に再点検するよう指示することを決めた。

 この問題は、熊本県などが、専門家に依頼していた再計算結果で、一部のマンションについては、耐震強度が、震度5強程度の地震で倒壊の恐れのある50%未満の可能性があるなどという指摘を受けながら、国には「偽装なし」とだけ報告していたもの。

 他の自治体が「偽装なし」と報告した分についても、同様に耐震基準を満たしていないケースがないか、点検を求めることにした。

耐震偽造:姉歯元建築士が建設業者に名義貸し 02/13/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件に絡み、姉歯秀次・元1級建築士が千葉県での建築確認の仕事で、建築士の「名義貸し」をしていたことが分かった。13日の衆院予算委員会で、原口一博議員(民主)の質問に国土交通省の山本繁太郎住宅局長が認めた。

 原口議員が「(千葉県の建築現場の構造計算について、姉歯氏が)1級の名義貸しを行っていたのではないか」と尋ねたのに対し、山本局長は「千葉県当局が同様の事実をつかんでいると聞いている」と答えた。名義貸しをしていたのは、姉歯氏が懇意にしていた建築設計業者に対してだった。【青島顕】

強度不足マンション、熊本で新たに16件 02/13/06(読売新聞)

 熊本県は13日、木村建設(熊本県八代市、破産)が施工した「非姉歯物件」のうち、耐震強度が基準を下回るマンションなどが、新たに熊本市内で16件見つかったと発表した。

 県はいったん、国土交通省に対し「構造計算書に偽造なし」と報告していたが、この16件について「調査中」と訂正した。同県内の強度不足の建物は、すでに発表された6件と合わせ計22件となった。

 熊本市によると、この16件はマンション15件とホテル1件で、最弱部分の強度は基準の72~99%。市が8日以降、これまでの調査内容を改めて点検した結果、基準以下ということがわかったとしている。

 この問題では、建築確認を行った県、熊本市、八代市が、国交省の指示で、「非姉歯物件」を含め、木村建設が手がけた建物の構造計算を再計算した。県は同省に対し、「構造計算の偽造なし」とだけ報告し、強度不足について伝えていなかった。

耐震偽造:木村建設物件 16棟の強度不足確認 熊本県 02/13/06(毎日新聞)

 木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が建設した熊本県内のマンションなど6棟で耐震強度の不足が指摘された問題で、熊本県は13日、耐震強度が基準を下回っている疑いのある建物が新たに16棟見つかったと発表した。熊本市はこれまで「耐震計算プログラムの誤差の範囲内」として発表を見送っていた。国土交通省とも協議した結果、十分な安全確認が必要と判断し、今後精査することを決めた。

 16棟はマンションとホテルで、熊本県建築士事務所協会が構造計算書を再計算したところ0.72~0.99との結果が出た。熊本市建築指導課は「担当者の能力不足で構造計算書のチェックすべき数値を見誤っていた」と釈明している。

 県と熊本、八代両市との検討会に参加した国交省建築指導課の岡崎敦夫国際基準調査官は「16棟には耐震性が早く判断できそうなものもあれば、かなり専門的な知識から検討が必要なものもある。強度が基準値を下回っても別の確認方法で安全と判断される物件も出てくるかもしれない」と話している。【門田陽介、山田宏太郎】

サムシング社長、構造計算書の差し替え認める 02/11/06(読売新聞)

 福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(業務休止中)が福岡市内のマンション3件の構造計算書を改ざんしたとされる問題で、同社の仲盛昭二社長は10日、福岡市役所で会見し、「構造計算書の差し替えは1級建築士に与えられた裁量権の範囲内。強度が十分なら偽造ではない」と弁明した。

 これに対し福岡市幹部は10日、読売新聞に対し、「違法が確認されれば、告発をちゅうちょしない」と述べ、問題のマンションなどで強度不足が確認されれば、建築基準法違反容疑で刑事告発する方針を明らかにした。

 福岡市は、サムシングは強度を満たした計算書と満たさない計算書を組み合わせる手法で改ざんしていたとみている。これについて仲盛社長は「当時は、計算書は誰も見ない闇の部分。建物の構造図さえ正確ならいいという認識だった」と計算書差し替えを認めたうえで、「書類の不備」と強調した。

耐震偽造:「サムシング」時効成立、福岡市が告発見送りへ 02/11/06(毎日新聞)

 福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(仲盛昭二元社長)が耐震データを偽造したとされる問題で、福岡市は10日、同社が構造計算書を偽造した疑いのあるマンション3棟について建築基準法違反容疑の告発を見送る方針を固めた。市は告発を視野に入れて県や県警と相談していたが、時効(3年)が成立しているため。同社は約1万2000件の物件を手がけたが、02年に廃業しており、他の自治体にある物件を含めて刑事責任の追及は困難になる可能性が高まっている。

 市建築指導課によると、サムシングの耐震データ偽造の疑いがあるマンション3棟は00年から01年にかけて福岡市が建築確認した。いずれも時効が成立し、会社自体も廃業していることから10日に県と相談して告発を見送ることにした。

 建築基準法には、同法が定めた強度に適合しない建物の設計者に対して50万円以下の罰金を科す規定がある。しかし、耐震データ偽造事件の発覚後、罰則が軽すぎるとして問題化しており、国土交通省は法改正を目指して検討している。

 同課は「時効にかからない新たな偽装物件が確定しない限り、今後は国に報告して建築士法に基づく建築士免許取り消しなどの行政処分を検討してもらうことになる」と話している。【耐震データ偽造取材班】

サムシング偽装問題 うちのマンション大丈夫? 「1万2000件」不安増幅 調査依頼が殺到 02/10/06(西日本新聞)

 「私のマンションは大丈夫か」。福岡県春日市の設計会社「サムシング」による耐震強度偽装問題。姉歯秀次元一級建築士に限られていた偽造が他の設計会社でも確認されたことで関係者に衝撃を与えている。特に、サムシング問題では関与物件が約一万二千件に上るにもかかわらず、大半が特定されていない。マンション住人の不安は広がるばかりだ。

 「本業の仕事が何もできない」。構造設計士でつくる日本建築構造技術者協会(JSCA)九州支部(福岡市)の幹部はため息をつく。

 同支部は、姉歯元一級建築士による偽装問題発覚後の昨年十二月から、マンション管理組合など一般向けに構造計算書の検査を開始。「サムシング問題」が発覚した八日には、福岡市のマンション管理組合などから依頼数全体(二百五十七件)の二割となる五十件の調査依頼が押し寄せた。

 その内容は「サムシングがかかわっているか調べてほしい」「うちはサムシングの物件。念入りに調査してほしい」「(サムシングがかかわってないが)心配なので調べてほしい」と、住人の漠然とした不安を訴えたものばかりだ。

 姉歯元一級建築士は全国約二百物件の構造計算を手掛けた。これに対し、サムシングの関与は一九八〇年からの約二十年間で約一万二千物件。「けた違い」の物件数にもかかわらず、行政がサムシング物件と特定できたのは福岡など四県のわずか五十八物件。「構造計算した物件数の多さと地元の業者という衝撃。福岡のマンション住民の不安は、姉歯氏の問題よりはるかに大きい」と担当者は話す。

 また、サムシングが構造計算をしたマンション住人の声も深刻だ。佐賀県鳥栖市内のマンションに住む男性会社員(53)は「水漏れなどを指摘して販売会社と交渉している。構造計算の不備があって不具合と関係しているのでは…」と再計算を求めた。福岡沖地震で壁などにひび割れが生じた福岡県筑後地区のマンション管理組合の理事長も「不具合の原因は構造計算書の偽造ではないのか」と疑念を深めている。

急きょ対策班を設置 九州の各自治体 専門家嘱託採用も 02/10/06(西日本新聞)

 “偽装の闇”はわが町にも広がるのか。福岡県春日市の設計会社「サムシング」(二〇〇二年廃業)による構造計算書の偽造問題を受け、九州の各自治体は九日、同社が関与した建築物の特定や構造計算書の再計算に追われた。一方、熊本県で浮上したマンションの耐震強度不足問題は安全性が確認できないまま。不安の連鎖の中、行政が揺れ続けている。  「ほかにも福岡市のような(偽装の)物件が出てくるんじゃないか」。九日、福岡県議会の委員会で県議から不安の声が相次いだ。サムシングが関与した物件は約一万二千件あるとされるが、同県が県所管分で確認したのは三十五件だけ。福岡県は業界団体などに呼び掛け、情報収集を図る一方、建築指導課内に九人体制の専門チームを設置。職員四人が計算ソフトを使い耐震強度の再計算を始めた。住民の不安解消のため、同社の関与が明らかなマンションの管理組合から依頼があれば無料で再計算を請け負う方針も打ち出した。

 福岡市は新年度から住民相談や再計算、耐震診断補助の申請を受け付ける「耐震推進課」を設置。構造計算の専門家も嘱託として採用する。

 サムシング関与のマンションが二件確認された福岡県大牟田市はソフトがなく、独自に再計算できない状況。担当者は「偽装か分からないので、はっきりした対応は取れない」と歯切れが悪い。

 二件のサムシング関与物件が確認された北九州市では九日、新たな物件の特定につながる情報は寄せられなかった。「業界団体に呼び掛け、情報提供を待つしかない」と市建築都市局。担当職員が十日、福岡県庁に出向き、情報交換や物件の割り出し方法を話し合う。

 佐賀県と佐賀市は九日、保存している建築確認申請書の調査を始めた。同県が把握しているサムシング関与物件は六件で、このうち木村建設(熊本県八代市)が関係したアパートの三件はいずれも偽装はなかった。残る三件は再計算するかマンション管理組合と協議する。再計算する場合、国と県で費用の三分の二を補助する。

 長崎県内では同県大村市のマンション二件について関与が判明。同県は、近く設計事務所に構造計算書の再計算を依頼する。大分市は過去五年以内に建設されたサムシング関与物件が七件あったと発表した。うち五件は問題なく、残り二件は十日に調査結果を出す。

●建築士ら偽装否定 熊本

 熊本県内で木村建設(同県八代市、破産)が施工したマンションなど六件の耐震強度不足が指摘された問題で、同県と八代市は九日、建築確認をした計四物件について、構造計算をした建築士や設計者を呼んで聞き取り調査をした。県側の指摘に対し全員が偽装や強度不足を否定した。同県は「現時点では強度不足が確定したとは認識していない」として、十七日をめどに聴取内容を精査し、対応を決める方針を示した。

 九日に聴取を受けたのは同県西合志町、宇土市、大津町のマンション計三件と八代市のビジネスホテル一件の構造計算などをした七事務所の計九人。昨年十二月から県側が専門機関に委託して実施した耐震強度の再計算では、いずれも建築基準法に定めた基準値(一・〇)を下回っていた。

 これに対し、聴取を受けた建築士らは取材に対し「県側と計算方法が違う」などと反論し、県の担当課に強く抗議した。強度が〇・四五と指摘された物件の建築士は「県側の計算は壁の強度計算に見落としがある」とし、強度〇・六八とされた建築士は「計算方法について文書で反論したい」と報道陣に語った。

 一方、同県の潮谷義子知事は「このような事態になったのは遺憾」と述べながらも、今後の対応については「現在は安全性を精査中で、見極めていく必要がある」と慎重姿勢。別に会見した高木奎一・県土木部次長も、調査の中身については「整理分析した上で報告したい」と繰り返した。

 県は、主張の食い違いを検証し強度を確定させた上で再計算を求めるなど対応を決める方針。強度不足が指摘された六件のうち残る熊本市内の二件については、建築確認をした同市が既に聴取を終え、再計算を指示している。

国交相が熊本県を批判「当然調べるべき、遺憾」 02/10/06(産経新聞)

 熊本県が耐震強度不足の指摘を受けた物件について確認調査を怠り、国交省に「偽装なし」と報告していた問題で、北側一雄(きたがわ・かずお)国土交通相は10日、閣議後の記者会見で「偽装がないのになぜ耐震性に問題があるのか、当然調べるべきで遺憾に思う。耐震性不十分との指摘は、そのまま報告してほしかった」と指摘し、同県の対応を批判した。

 また、姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)元建築士以外の建築士による偽装が確認されたことについて「建築への信頼回復のため実態把握が重要」と述べ、指定確認検査機関と特定行政庁(建築主事のいる自治体)から任意提出を受けた「非姉歯物件」の構造計算書約500件の再計算を3月末までに行い、偽装の有無や耐震性を確認することも明らかにした。

 国交省はこれとは別に、全国の自治体を通じて姉歯元建築士とつながりがあったとされる木村建設など4社の全関与物件約600件を調査中。約400件の調査が済み、この中から福岡市の偽装物件が見つかったが、残る200件の調査も3月末までに終えたいとしている。

 北側国交相は、東京都中央区が書類の残っているすべての建築確認物件の再調査方針を表明したことなどに触れ「自治体や民間企業にも報告を求め、実態をとりまとめたい」と述べた。(共同)

耐震強度「問題ない」 熊本のマンション、建築士が計算書提出 02/10/06(産経新聞)

 熊本県内の建築物の耐震強度不足が指摘された問題で、熊本市のマンションの構造計算を行った1級建築士(52)が10日、自ら再計算した構造計算書を熊本市に提出した。耐震強度は基準の1.0を超えており、建築士は「強度は問題ない。正しい結果を早く示したかった」と話した。

 このマンションは、熊本県建築士事務所協会(熊本市)が建物の概要を基にした調査で、強度が0.43とされていた。建築士は構造計算時の全データを基に構造計算書を再計算したという。

 熊本市は、受け取った構造計算書を同協会に再度調べてもらい、17日にも最終的な耐震強度結果を公表する。(共同)

設計事務所「サムシング」の仲盛昭二社長のケースは良い教訓となるだろう。 性善説など成り立たないことを証明してくれるだろう。

「仲盛氏は「我々が耐震性を実証するまで公表しないという約束だった。市はなぜ守らなかったのか。 市民をむやみに不安にさせるだけだ」と述べ、改めて偽装を否定した。」

仲盛氏のような説明では、欠陥や問題のあるマンションを購入者はかなわないであろう。 福岡市も信頼性が高い建築士や経験豊富な建築士を集め、結論を出すべだ。 長引かせても仕方が無い。

設計会社「サムシング」の仲盛昭二社長や耐震強度が不足の建物に関与した熊本県内の複数の設計事務所 の言い分が適切であるのか判断出来るように国土交通省は構造計算方法の明確化にするべきだ。 定義が曖昧な部分があるから、建築士が反論していると思う。建築士の考え方で、 耐震強度が2割以上違えば問題だ。

サムシング社長が福岡市に抗議 偽装を改めて否定 02/10/06(朝日新聞)

 福岡県太宰府市の設計事務所「サムシング」(仲盛昭二社長、02年廃業)による構造計算書の偽造問題を巡り、仲盛氏は10日、福岡市役所を訪れ、「偽装」を指摘した市に抗議した。仲盛氏は「我々が耐震性を実証するまで公表しないという約束だった。市はなぜ守らなかったのか。市民をむやみに不安にさせるだけだ」と述べ、改めて偽装を否定した。

 仲盛氏は同日午後1時前、福岡市役所5階の建築指導課に姿を見せた。構造計算書の差し替えは認めたが、「耐震性に本当に問題があるのか。我々に検証する時間を与えるべきだ。これは偽装ではなく、姉歯さんの事件とまったく違うものだ」と主張した。

 対応した同課の職員は「なるべく早く公表して実態を解明する必要があった。構造計算書を差し替えていることは住民や建築主が知らないことだ」と話した。

 仲盛氏はこの問題が発覚した後、福岡県や福岡市が指摘する偽装を否定し、「途中で設計などの変更が出て、必要な部分だけ(数値を)修正し、差し替えた」と説明していた。

福岡のマンション強度偽装、2種類の構造計算書用意 02/10/06(毎日新聞)

 福岡市内のマンション3件の耐震強度を偽装していたことが明らかになった福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(仲盛昭二社長、業務休止中)は、姉歯秀次・元1級建築士(48)と同様に、二つの構造計算書を組み合わせる手口で改ざんを行っていた疑いが強いことが9日、福岡市などの調査でわかった。

 同市によると、構造計算ソフトを使って構造計算書を作成する際、強度が足りない場合は画面に「エラー」が表示される仕組みになっており、設計士は「OK」が示されるまで、柱の太さや鉄筋量などを調整し、強度を高めなくてはならない。

 しかし、同社はこの調整作業を省略。建物の重量を実際より軽く見積もり、「OK」を出した計算書の結果部分だけを、元の計算書と組み合わせ、市などに提出していたと見られている。

 同社が使用していた構造計算ソフトは、ページごとの作成日時が記載されないタイプで、姉歯元建築士も使用していた。

 専門家からは「改ざんが容易」との指摘も出ている。

サムシング、計算スピード化図る? データ差し替えで 02/10/06(朝日新聞)

 福岡県太宰府市の設計事務所「サムシング」(仲盛昭二社長、02年廃業)による耐震強度偽装問題で、日本建築構造技術者協会(JSCA)は9日、記者会見し、入力する数値が意図的に変更された可能性を示唆した。だが、仲盛氏は偽装を否定し、設計変更の際に一部のデータを差し替えたため食い違いが生じたと説明している。設計に変更があれば、一部のデータの差し替えではなく、最初から計算をし直すのが一般的。県は、少なくとも同社がこれをせずにスピード化を図ったとみている。

 JSCAの許斐(このみ)信三九州支部長は福岡県庁での会見で「明確な意思を含む『偽装』かどうかというのは我々は判断していない」とした上で、「構造計算書に一貫性がないのは事実」と述べた。

 同支部は福岡市から依頼され、サムシングの構造計算書を再計算。サムシングと同じ柱や梁(はり)の大きさや重さをコンピューターに入力したところ、建築基準法に合わない部分が出たという。

 しかし、サムシングが建築確認の際、市に提出した計算書では「適合」して矛盾が生じている。これについて、JSCAは「壁や床の重さを軽くするなど入力数値を意図的に変更した可能性がある」としている。

 一方、仲盛氏は、これまでの県の調べに対し、「途中で設計などの変更が出て、必要な部分だけ修正し、差し替えた。最終的な結果が建築基準法に適合していればいい。そのずれをどこまで許容するかは建築士の裁量」と説明している。

 また、構造計算のやり直しをしないことについて仲盛氏は「納期内に業務をこなし、経済性を図るのは事務所としては当然。変更があって数値を替えたが、設計士として30年の経験から数値をどこまで下げても大丈夫かは分かる」としている。

 これに対し、同支部の浜田敬二顧問は「構造計算書は必ずしも一貫性はなくてもいいが、それを補う説明を別に記す必要がある」と指摘する。

 サムシングは80年に創業。90年代後半にピークを迎え、年間の売上高は6億7000万円(99年7月期)と、九州では有数の構造設計専門の設計事務所だった。仲盛氏によると、最盛期には1級建築士5人を含む55人がおり、1級建築士をリーダーに4、5人のグループで構造設計をし、仲盛氏が最終的に点検し、依頼主に渡していたという。

 総受注件数は1万2000件とされるが、国土交通省九州地方整備局は「分かっているのは58棟だけ」としており、解明には時間がかかりそうだ。

国土交通省が設計会社「サムシング」の仲盛昭二社長の主張に対して残っている資料や 当時の社員からの聴取などを基にどう判断をするかを注目したい。

熊本県建築課課長の発言をテレビで見ると、構造の専門家でないとか、 設計が適切にやっているのを前提に書類を受け取ると解釈した。

結局、このような状態だとチェックされないので不正が出来る、専門家がいないので 問題が発覚しない等の問題が放置される。たぶん、運が良いだけで、同じような 問題を抱えている自治体は多いはず。処罰の強化、計算方法の明確化、設計会社だけでなく、 担当した設計者の名前の公表など、やることは多いと思う。

サムシング社長、国交省の事情聴取に偽装を否定 02/09/06(読売新聞)

 国土交通省九州地方整備局は9日、福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」の仲盛昭二社長から事情聴取した。

 聴取に対し、仲盛社長は「技術的に問題はなく、偽装はしていない」と従来の主張を繰り返した。

 同局によると、仲盛社長は構造計算書の不備について、「計算中に地質調査の結果が判明するなどし、変更が必要なケースがあった。その際、手間を省くため、最初から計算をやり直すのではなく、一部だけを修正した」などと説明。「法令には適合している」と強調したという。

 同局は今後、仲盛社長からさらに聴取を続けるほか、当時の社員からも事情を聞く。また、福岡県や福岡市とともに協議会を発足させ、情報交換をしながら全容の解明を進める。

サムシング耐震偽装 計算書結論差し替え 姉歯氏と同ソフト 02/09/06(西日本新聞)

 設計会社「サムシング」(福岡県春日市、二〇〇二年廃業)の耐震強度偽装問題で、同社が姉歯秀次元建築士と同じパソコンソフトを構造計算に使用し、基準を満たさない耐震強度が記された構造計算書の結論部分を別の計算書に差し替えていた疑いがあることが八日、分かった。  同社元社長(55)は「当初の設計を変える必要があった場合、手間をかけたくないので、最初の時点に立ち戻って(計算して)いないケースもある」と一部の関与物件での差し替えを認めつつも「偽装ではない。やましいことは何もしていない」と説明している。

 これに対し、福岡市は「設計変更があれば構造図や入力データを変更し、計算し直すべきだ。差し替えによって構造計算書が建築物の実態と合わなくなるのは問題がある」としている。

 同市によると、姉歯元建築士やサムシングが使用していた構造計算ソフトは、計算結果をまとめた構造計算書を印字しても各ページに計算時刻が記録されないタイプだった。書類を見ただけでは、いつ計算が行われたかチェックできず、差し替えを行うには好都合なソフトだったという。

 市は、サムシングが設計した三棟の構造計算書の入力データに基づいて同ソフトで再計算したところ、建物の重さを9―16%減らして設計していたことを確認した。

 市は、サムシングが適正なデータで作った構造計算書とは別に、実際より柱や梁(はり)などのデータを短く入力して建物を軽くすることで耐震強度基準を満たした計算書を作成したと推定。正しい計算書を印字した後、耐震強度を記した結論部分を基準を満たした計算書に差し替えた、とみている。

 サムシング関与の三棟は木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が施工したが、設計完了後に施工者が決まっており、同市は「木村建設が偽装に関与した可能性は低い」とみている。

国交省、全物件調査へ 書類なく難航必至 サムシング偽装 02/09/06(西日本新聞)

 福岡県春日市の設計会社「サムシング」(二〇〇二年九月廃業)がマンションの耐震強度を偽装していたとされる問題で、国交省は近く、全国の自治体と民間確認検査機関に同社関与の全物件について調査するよう要請する。ただ同社が構造計算した物件は、福岡県を中心に約一万二千件。このうち福岡県と福岡、北九州、大牟田各市が保存する構造計算書などの建築確認申請書類は四十二件分しかない。全容把握の調査は難航しそうだ。  「『非姉歯』物件ではこれまで偽装は出ていなかったのに出た。残念だ」。八日、記者会見した山本繁太郎・国交省住宅局長は肩を落とした。

 国交省は、姉歯秀次元一級建築士と関係があった木村建設やヒューザーなど四社の物件六百七件については、姉歯氏の設計でなくても調査するよう自治体に依頼していた。これまで報告のあった三百八十件に偽装は見られず、国交省幹部が「姉歯氏個人の事件だったかもしれない」と思い始めた矢先、今回の福岡市の三件が見つかった。

 三件とも木村建設の施工だったため、調査の網にかかった。いずれも設計後に施工者が決まっており、木村建設の偽装への関与はないもようだ。

 サムシングが構造計算した約一万二千件のうち、五割程度が福岡市内に集中しているとされる。しかし、福岡県や福岡市が構造計算書などの確認申請書類の大半を残していないのは、保存義務期間(各自治体は内規で定め、おおむね三―五年、民間は五年)を経過した物件が多いため。実態把握は、書類を保存しているマンション管理組合などから申告がなければ事実上、難しい。

 耐震偽装が姉歯氏、サムシング以外にもある可能性も否定できず、国交省には「全国の建物をしらみつぶしに調べるのは不可能」(幹部)と戸惑いも広がっている。

耐震偽造:熊本県土木部次長が対応の遅れ陳謝 02/09/06(毎日新聞)

 熊本県は、耐震強度の不足が判明した6棟のうち3棟について、昨年12月~今月1日にデータを把握していたが、国土交通省には「偽装なし」と報告していた。潮谷義子知事は9日の臨時会見で「県民への影響が大きいだけに、精査中の段階では公表できなかった」と釈明。西山一郎・土木部次長が国交省を訪れ陳謝したが、同省は「安全のため、全国自治体が懸命に調査している時に不信を招きかねない」と納得せず、再度報告するよう求めた。

 6件の物件については、国交省の指示で、県などが耐震強度偽装がないかどうかを調査。いずれも構造計算書の改ざんなどの偽装は確認されなかったが、県が日本建築構造技術者協会九州支部に再計算を委託した2物件について1月13日、耐震強度が基準の1を下回る0.68、0.94との結果が出た。さらに今月1日までに、熊本市で0.43のデータが出るなどしたが公表せず、対策を取ることもなく事実上放置していた。

 西山次長は報道陣に「耐震強度が不足しているとなると、住民や事業者らに影響が大きいと思い、数字が本当に正確なのか精査しようとしていた。もう少し、てきぱきと対応していればとも思う」と弁明した。

木村物件の強度不足6件、国交省が熊本県に再調査指示 02/09/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件に絡み、木村建設(熊本県八代市、破産)が熊本県内で施工したマンションなど6件で新たに強度不足が判明した問題で、国土交通省は9日、これまで「構造計算の偽造はなかった」と報告していた県に対し、事実関係の再調査を指示した。

 さらに、問題の6件の構造計算を担当した4設計事務所が関与した他の物件についても偽装の有無などの調査を指示した。一方、県は9日、この4事務所の建築士から聞き取り調査を始めた。

 新たな6件は、国交省の指示で、木村建設や平成設計(東京都千代田区、破産)の関与した物件のうち、姉歯秀次・元1級建築士(48)以外が手がけた建物について、外部の専門家に構造計算書の再計算を依頼した結果、判明した。

 県は当初、同省に対し「構造計算の偽造なし」とだけ報告し、強度不足については伝えていなかった。

耐震偽造:新たに4自治体8件で問題点判明 02/09/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件に関連し、国土交通省が各自治体を対象に行った緊急調査で、新たに4自治体8件の建築確認審査に問題点があったことが分かった。姉歯秀次・元1級建築士が関連していない物件で、これで同省が把握した「姉歯物件」以外で審査に問題があったことが判明したのは計8自治体18件となった。再審査の結果、いずれも強度に問題はなかったとしている。

 新たに問題点が判明したのは、神奈川県(1件)▽三重県(2件)▽広島県(2件)▽沖縄県うるま市(3件)。構造計算書に印字される「エラー」の有無の表示を見逃すなどしていた。調査は建築主事のいる全国271自治体を対象に1月に実施。このうち、姉歯物件の偽造を見逃した28自治体について「姉歯物件」以外でも4自治体で10件の問題点があることが判明していた。【種市房子】

木村物件、強度不足6件…2件は震度5強で倒壊の恐れ 02/09/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件に絡み、木村建設(熊本県八代市、破産)が施工した熊本県内の建物で、新たにマンションなど6件の耐震強度が不足していたことがわかり、県は9日、構造計算を担当した建築士から聞き取り調査を始めた。

 この6件は、マンション5件とビジネスホテル1件で、それぞれ最弱部分の強度は0・43~0・94。このうち2件は震度5強程度の地震で倒壊の恐れがあるとされる強度0・5未満だった。

 いずれも熊本県内の複数の設計事務所が構造計算を担当し、姉歯秀次・元1級建築士(48)や、「非姉歯物件」では初めて強度偽装が判明したマンションの設計事務所「サムシング」(福岡県)は関与していない物件だった。

 この日の聞き取り調査は、熊本県宇土市のマンションや八代市のビジネスホテルなど計4件を担当した建築士。調査に先立ち、熊本市内の設計事務所の所長(52)は「使用ソフトや設計条件によって数値は変わる。県は何も検証せずに数値を公表しており、心外だ」などと抗議した。

 今回の問題は、国土交通省の指示で、県内にある木村建設や平成設計(東京都千代田区、破産)の関与した「非姉歯物件」について、外部の専門家に構造計算書の再計算を依頼した結果、判明した。しかし、県は、同省に対し、「構造計算の偽造なし」とだけ報告し、強度不足については伝えていなかった。

熊本県の件で、課長の対応をテレビで見たが、ひどかった。 国土交通省には「偽造はない」と報告している。報告に信頼性が なければ、報告の集計を基に議論や改善を検討しても意味が無い。

国土交通省の管理体制の甘さ、地方自治体への監督の甘さがわかる。 結局、このような甘さが違法、違反、偽装、ごまかしを許してきたのだろう。

監督や法の不備につけこむのも悪いが、不備を放置した行政や国にも責任がある。 公務員の責任が問われないのもおかしい。テレビを見る限り、対応した課長にも 「偽造はない」と国土交通省へ報告した責任はあると思う。耐震強度0.68を 聞いていないと言っていたが、部下の報告書を読んだのか、読んでも理解できなければ 課長の役職は必要ない。行政や公務員の責任も明確にするべきだ。

「木村建設」施工の6棟、強度不足が判明…熊本県調べ 02/09/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件に絡み、木村建設(熊本県八代市、破産)が施工した熊本県内の建物のうち、姉歯秀次・元1級建築士(48)が関与していないマンションなど6件の耐震強度が不足していることが8日、わかった。

 県は、専門家から強度不足の指摘を受けていたが、「構造計算の偽造はない」として国への報告を怠っていた。再計算の結果、6件のうち2件は震度5強程度の地震で倒壊の恐れがあるとされる強度0・5未満だった。県は9日、設計者から計算の経緯について事情を聞く。

 県によると、問題の建物はマンション5件とビジネスホテル1件で、それぞれの最弱部分の強度は0・43~0・94だった。6件とも、非姉歯物件で初めて偽装が判明したマンションの構造計算を手がけていた「サムシング」(福岡県)以外の複数の設計事務所が担当していた。

「構造計算ではプログラムや設計者の考え方で違う数値が出る」 設計会社「サムシング」の仲盛昭二社長も似たような発言をしている。 つまり、2割から5割の範囲で耐震強度は、プログラムや設計者の違いで 結果が違ってくると言うことなのか。そうであるなら、耐震強度問題なしと 報告している自治体の中でも、使用するプログラムや依頼する設計者が 違えば耐震強度不足の物件があるとも解釈できる。

なぜ、このようなことになるのか、国土交通省は構造計算方法に関する定義、 統一解釈、許容値などを明確しする必要がある。出来なければ、耐震強度問題の 解決はない。

熊本県、3設計事務所から事情聴取 耐震強度不足6棟 02/09/06(朝日新聞)

 木村建設(熊本県八代市、破産手続き開始)が熊本県内で施工したマンションなど6棟で新たに耐震強度不足が明らかになった問題で、県は9日、三つの設計事務所などから事情聴取を始めた。一部の事務所は「耐震強度が不足している認識はない」と反論している。

 県は6棟のうち熊本市内を除く4棟の建築確認をしていた。強度不足を指摘した日本建築構造技術者協会九州支部などの再計算結果と、設計事務所の見解の相違を詰める。設計者に構造計算や設計についての考え方などを聴き、必要ならば耐震強度の再計算を求める。

 八代市も、耐震強度が基準の0.91との指摘を受けたホテル1棟の設計事務所から事情を聴いている。市建築指導課は「計算の手法やプログラムで強度の数値が変わる。このホテルも偽装されたとの認識はなかった。さらに詳しく調べたい」としている。

 マンション2棟の建築確認をした熊本市は1月中旬、国土交通省の要請を受け、木村建設が関与した市内のマンションなど13物件の調査を県建築士事務所協会に依頼し、「計算上、耐震強度は低い数値になった」と指摘を受けていた。市建築指導課は1月末、設計事務所に事情を聴いたが、「構造計算書が無いので反論できない」と回答され、7日に構造計算書の再作製を依頼していた。

 一方、マンションやホテル3棟の構造計算を担当した熊本市の設計事務所長は9日、県に抗議した。「強度が不足していたという認識はない。構造計算ではプログラムや設計者の考え方で違う数値が出る。誰がどうチェックして強度不足と断定したのか」と話した。

 別の設計事務所役員も「どの物件も構造計算はきちんと行っており、故意に強度を偽ったことはない」と偽装などの可能性を否定。「構造計算書が残っていれば独自に再計算し、県と話し合いながら解決していきたい」と話した。

国交省「あり得ない数値」 木村建設の強度不足 02/09/06(朝日新聞)

 木村建設施工の建物の耐震強度が基準値を大きく下回っていたことについて、国土交通省は「通常の構造設計ではあり得ない数値。意図して不正な計算をしたか、設計の技術が著しく劣るかのどちらかだ」と指摘する。

 国交省によると、7日朝、「偽装なし」と報告していた木村建設施工の建物6棟について熊本県が「調査中」に変えたいと連絡してきたという。その際、耐震強度に問題がある旨の説明はなく、8日夜、報道で強度不足を知ったという。

 熊本県は「数字についての認識が弱かった」と説明したという。だが、国交省は県の対応について「早い時点で耐震性の問題に気づきながら連絡をしなかったり、公表を控えたりしたとすれば遺憾。信頼を損なう行為だ」としている。

木村建設また強度不足 熊本で6棟、姉歯氏は関与せず 02/09/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件を巡り、木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が熊本県内で施工したマンション5棟とホテル1棟について、耐震強度不足を指摘されていたことが8日、県の調査で分かった。耐震強度は0.43~0.94で基準の1を下回っている。構造計算に姉歯秀次元建築士はかかわっていないという。県は9日、構造計算を担当した熊本市などの設計事務所から事情を聴く。

 県建築課によると、国の指示を受け、木村建設が関与した県内の物件に耐震強度偽装がないかどうかを調べた。構造計算書の改ざんなどの偽装は確認されなかったが、日本建築構造技術者協会九州支部などに再計算を依頼。昨年12月末に「耐震性に懸念がある」として2棟、さらに今月までに4棟について強度不足を指摘されたという。

 6棟の内訳は熊本市のマンション2棟、八代市のホテル1棟のほか宇土市、西合志町、大津町のマンション3棟。いずれも木村建設が95~03年に施工した。熊本市のマンション1棟の耐震強度は0.43~0.45、大津町のマンションは0.45だった。強度が0.5未満の場合、震度5強程度の地震で倒壊する恐れがあるとされる。

 県は一連の事実を公表せず、1日に「構造計算書の再計算の結果、改ざんなどは認められなかった」と発表。国にも同じ内容で報告していた。

 耐震強度が懸念される物件が指摘されたことについて、県建築課の吉川泰久課長は「県に構造計算の専門家がいなかったので、結果的に見抜くことができなかった。(耐震強度偽装事件を契機に)構造計算のプログラムを購入したのでチェック態勢を確立したい」と話している。

熊本県、基準値下回る物件を報告せず 02/08/06(JAPAN NEW NETWORK)

 熊本県内で木村建設が施工した「非姉歯」物件が県の調査で「耐震強度が基準値1.0を大きく下回る0.68」と判定されていたことが、JNNの取材で分かりました。県は、この事実を国に報告せず、「偽装はない」とだけ発表していました。

 「418物件、250件で偽装はなし」(国土交通省 事務次官)

 先週、国土交通省は全国の自治体に構造計算書の点検を命じている「非姉歯」物件について、調査が終了した250件に耐震強度の偽装はなかったと発表しました。

 「耐震偽装は姉歯氏が関与した物件だけ」との中間報告。ところが・・・。

 JNNが入手した資料。これは、木村建設の物件について熊本県から構造計算書の計算を依頼された建築士団体が、その調査結果をまとめ、県に報告したものです。

 調査対象は熊本県内のマンション。問題の構造設計者は熊本県内の設計会社。国交省が「偽装なし」と発表した「非姉歯」物件の1つです。

 「耐震強度は結果的に最低数値で0.68となった」(調査報告書)

 再計算ではじき出された耐震強度は0.68でした。これまで偽装が判明した強度0.5から1.0の建物は、補強工事などの改修が求められています。

 「(問題の物件も)低層マンションなので、強度に余力があると思う。一概に0.68だから危ない建物ということはないが、(構造設計者は)設計手順を間違っていたり、本当に設計を知っているのか。知っているとすれば悪意を感じる」(報告書を見た専門家)

Q.調査で耐震強度が0.7以下の物件が・・・  「(設計に)必要以上の強度をと考える人もいるし、建築士の考え方次第ですから」(設計会社の社長)

 設計会社社長は、あくまでも検査した建築士との見解の相違だと主張しました。しかし、報告書には具体的な問題点も記されていました。

 「アバウトな計算。仕上げ重量が少なめに設定してある」(報告書)

 そして、報告書が出した結論。  「電子プログラム上の偽装は無いことを確認した。しかし、重量の低減などが故意だった場合、偽装となる可能性はある」(報告書)

 「当社としては、こういう荷重(重量)でいいという判断でやってます」(設計会社の社長) Q.偽装という認識は?  「ありません」(設計会社の社長)

 物件の問題点は、去年暮れの段階で建築士団体から熊本県に報告されていました。なぜ、県はこれまで公表しなかったのでしょうか。

 「設計が雑だとは聞きました」(熊本県土木部建築課 吉川泰久 課長) Q.耐震強度は?  「1以下じゃなかったでしょうか・・・」(吉川泰久 課長) Q.0.68と聞いているんですが・・・  「0.68ですか?0.68・・・」(吉川泰久 課長)

Q.吉川課長に報告は?  「報告したつもりでしたが・・・」(担当者)  「0.68とは聞いてないですよ」(吉川泰久 課長)

 熊本県は、建築士団体から耐震強度が基準以下になる可能性があると報告を受けた後も、建物の安全性や設計会社について詳しい調査をせず、「電子計算書の偽装はない」とだけ国土交通省に報告していました。

Q.「偽装なし」の発表は=「安全」ということでは?  「それは、安全かどうかは別ですね」(吉川泰久 課長)

 姉歯氏の偽装に端を発した今回の問題。日本の建物の信頼性は大きく揺らいでいます。

8自治体の建築確認18件に「重大な問題」 国交省指摘 02/08/06(朝日新聞)

 国土交通省は8日、全国の自治体が行っている建築確認について各10件程度のサンプルを抽出した調査結果を発表した。神奈川、三重、広島県、福岡、前橋、長野県松本、沖縄県うるま市、東京都中央区の8自治体が計18件について「重大な問題点がある」と指摘された。構造計算書に印字される「エラー」の有無の表示を見過ごすなどのミスをしながら適正と判断していた。

 調査は1月、構造計算が必要な建物の建築確認をしている271自治体を対象に実施した。重大な問題点があるとされた18件は、いずれも建築確認が最近出たマンションで、耐震強度に問題はないという。

 8自治体のうち前橋、松本、福岡市、中央区は、姉歯秀次元建築士の偽装も見逃したことが明らかになっている。

「非姉歯」偽装、関与の建築士処分へ 福岡県立ち入り検査 02/08/06(朝日新聞)

 姉歯秀次元建築士以外の建築士による耐震強度の偽装が福岡市のマンション3棟で見つかった問題で、国土交通省は、構造計算をした福岡県の設計事務所「サムシング」(管理建築士・仲盛昭二1級建築士)が関与した全物件の記録を調べるよう、近く全国の自治体と民間検査機関に要請する。事実関係を確認したうえで偽装に関与した建築士の免許取り消しなどの処分をする方針。福岡市の調査にサムシング側は偽造を否定している。

 福岡県は8日、仲盛建築士が現在勤めている福岡県太宰府市の設計事務所に立ち入り検査に入った。

 国交省などによると、構造計算書の偽造が確認されたのは、サムシングが手がけた福岡市内のマンション3棟。市は「緊急に安全性が問題となる状況ではない」としている。いずれも福岡市が建築確認した。施工は木村建設(熊本県八代市)だったが、国交省は「設計が終わった後に木村建設の施工が決まっており、特段の関係はみられないと考えている」とした。

 福岡市によるとほかにマンション1棟でも強度不足が見つかった。建築確認の書類が保管されておらず、偽造の有無は確認できなかったが、耐震強度は0.9だった。

 国交省などによると、サムシングは80年に開設し、福岡県内を中心に1万棟程度を手がけ、うち7割が福岡市内の物件という。同社は02年9月に廃業しており、設計関連書類は散逸している恐れが強い。

 国交省の山本繁太郎住宅局長は8日午前、緊急会見して、姉歯元建築士以外による偽装の判明を明らかにし「非常に残念であり、深刻に受け止めている」と話した。

 国交省によると、構造計算の途中で、別の数字を使った計算に変わっていたといい、姉歯元建築士による一部の偽装と同様に、途中で構造計算書を差し替える手口の可能性が高いという。福岡市の聴取に対し、仲盛建築士は「故意ではなく設計変更に伴って構造計算の一貫性がなくなった」と説明しているという。しかし山本局長は「少ない重さで入力し、構造計算に一貫性がないといった不正な操作が行われているという意味で、偽装があったと考えている」との認識を示した。

 北側国交相は8日午前の衆院予算委員会で、「サムシングがかかわった物件がどれぐらいあるか、しっかり特定する必要がある。事実が明確になったうえで厳正な処分をしたい」と話した。

耐震偽造:福岡のサムシング 「可」と「不可」合体 02/09/06(毎日新聞)

 福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(02年廃業)がマンションの構造計算書を偽造したとされる問題で、同社が福岡市に提出した構造計算書は、別々に作られた二つの計算書をつなぎ合わせて作られていた疑いが強いことが市の調べで分かった。物件ごとの構造計算書に、耐震強度を満たす構造計算結果を付け足して審査をパスしていたとみられる。

 ◇“第3の構造計算書”でパス

 今回見つかったマンション3棟に関する構造計算書の偽造は、同社が使っていた構造計算プログラムに構造計算書と同じデータを入力しても、出力結果が書類通りにならないことで判明した。

 市が内容を調べたところ、構造計算書の食い違いは、建物の各階にかかる重さを表す「床荷重」の部分を境に生じていた。市は、元々の設計どおりだと耐震基準を満たさないことから、同社が(1)耐震強度を満たさない元々の構造計算(2)耐震強度を満たす構造計算--を別々に行い、入力条件から途中までを(1)で、それ以降は(2)となる“第3の構造計算書”を作り上げていたとみている。

 また、ほぼ全階で荷重が減らされており、設計上のひずみが1~2階の耐震強度低下につながったとみられるという。

 ◇「仕事の早さ」で急成長

 福岡地区の建築設計業者によると、「サムシング」は80年に従業員3人で創業し、90年代には50人のスタッフを抱えるまで急成長した。その秘密は「仕事の早さ」。スタッフを5チームに分け、構造計算担当と図面作成担当の分業態勢で、1件あたり1週間から10日間で済ませていたという。

 最盛期には、九州一円や関東の設計事務所やゼネコンを含め、年間500~600件を受注。4億円前後の売り上げがあった。特に福岡市内では5~6割の仕事を請け負っていたという。

 仲盛昭二元社長(55)は途中から営業に回るようになり、構造計算の具体的な仕事はチームリーダーに任せていたという。しかし、建築設計部門以外に、鉄筋・鉄骨工事請負に進出したのがきっかけで業績が悪化し、99年に倒産した。

「非姉歯」偽装3棟、福岡市調べで判明…木村建設施工 02/08/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、多くの偽装物件に関与していた木村建設(熊本県八代市、破産)が施工した福岡市内の賃貸マンション3棟の構造計算書に偽造があったことが8日、同市の調べで分かった。

 構造計算はいずれも、福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」(仲盛昭二社長)が請け負っていた。姉歯秀次・元1級建築士以外による偽造が明らかになったのは初めて。

 仲盛社長は読売新聞の取材に「法令の範囲内で設計した」と偽造を否定している。

 福岡市が依頼した日本建築構造技術者協会九州支部(JSCA九州)の詳細調査によると、3棟はいずれも、建物の各階の重量を実際よりも軽くして構造計算ソフトに入力し、柱や梁(はり)の太さや鉄筋量が少なくて済むよう偽装していた。重量は最大16%軽くしていたという。

 耐震強度は、1棟は建築基準法が求める基準の「1」を満たしていたが、残る2棟は0・85、0・9と下回っていた。市建築局は「計算書の数値が不自然で、偽装と判断した」としている。同局は「いずれの物件も緊急に安全性が問題となる状況にない」として、住民には偽造を知らせない方針。

 同社の物件は、市が構造計算書を保管しているものと住民から持ち込まれたもの計9件が未調査で、これについても偽造の有無を調べる。

 構造計算を行ったサムシングは1980年に設立された。福岡市の調査に対し、仲盛社長は「福岡県を中心に約1万件の構造計算を手がけた」と話しているという。現在は事業を休止している。

 同社が構造計算をした福岡県篠栗町の分譲マンションでは、管理組合が昨年11月、「天井や壁が入居当初からひび割れ、構造計算書が偽造された疑いがある」として、販売、施工会社などに建て替え費用を求める訴訟を福岡地裁に起こした。

 仲盛社長は「設計士によって構造計算のやり方は違う。基準の範囲内で計算を行った」としている。

「非姉歯」偽装、関与の建築士処分へ 福岡県立ち入り検査 02/08/06(朝日新聞)

 姉歯秀次元建築士以外の建築士による耐震強度の偽装が福岡市のマンション3棟で見つかった問題で、国土交通省は、構造計算をした福岡県の設計事務所「サムシング」(管理建築士・仲盛昭二1級建築士)が関与した全物件の記録を調べるよう、近く全国の自治体と民間検査機関に要請する。事実関係を確認したうえで偽装に関与した建築士の免許取り消しなどの処分をする方針。福岡市の調査にサムシング側は偽造を否定している。

 福岡県は8日、仲盛建築士が現在勤めている福岡県太宰府市の設計事務所に立ち入り検査に入った。

 国交省などによると、構造計算書の偽造が確認されたのは、サムシングが手がけた福岡市内のマンション3棟。市は「緊急に安全性が問題となる状況ではない」としている。いずれも福岡市が建築確認した。施工は木村建設(熊本県八代市)だったが、国交省は「設計が終わった後に木村建設の施工が決まっており、特段の関係はみられないと考えている」とした。

 福岡市によるとほかにマンション1棟でも強度不足が見つかった。建築確認の書類が保管されておらず、偽造の有無は確認できなかったが、耐震強度は0.9だった。

 国交省などによると、サムシングは80年に開設し、福岡県内を中心に1万棟程度を手がけ、うち7割が福岡市内の物件という。同社は02年9月に廃業しており、設計関連書類は散逸している恐れが強い。

 国交省の山本繁太郎住宅局長は8日午前、緊急会見して、姉歯元建築士以外による偽装の判明を明らかにし「非常に残念であり、深刻に受け止めている」と話した。

 国交省によると、構造計算の途中で、別の数字を使った計算に変わっていたといい、姉歯元建築士による一部の偽装と同様に、途中で構造計算書を差し替える手口の可能性が高いという。福岡市の聴取に対し、仲盛建築士は「故意ではなく設計変更に伴って構造計算の一貫性がなくなった」と説明しているという。しかし山本局長は「少ない重さで入力し、構造計算に一貫性がないといった不正な操作が行われているという意味で、偽装があったと考えている」との認識を示した。

 北側国交相は8日午前の衆院予算委員会で、「サムシングがかかわった物件がどれぐらいあるか、しっかり特定する必要がある。事実が明確になったうえで厳正な処分をしたい」と話した。

「非姉歯」初の耐震偽装 福岡の3棟、木村建設が関与 02/08/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、新たに福岡市内のマンション3棟について福岡市が構造計算書の偽造を確認したことがわかった。いずれも木村建設(熊本県八代市、破産手続き開始)が施工などに関与していることから調査していた。構造計算したのは3棟ともに福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」で、姉歯秀次元建築士以外の構造計算書偽造が確認されたのは初めて。福岡市の調査にサムシングの社長は偽造を否定している。

 福岡市は今後、サムシングが関与した他の物件についても、関係者へのヒアリングを行うなどして確認を進めるとみられる。信用調査会社などによると、同社は福岡市を中心に多い時で年間600~700件の構造計算をしていた。

 福岡市が3棟について日本建築構造技術者協会九州支部(JSCA九州)に調査を依頼し、3棟の構造計算書は(1)建物の重さを9~16%少なく計算していた(2)構造計算における一貫計算の流れの連続性がない――などの問題点が見つかった。

 福岡市も独自に計算書を検討し、「偽装としか考えられない」との結論に達した。1を基準とした耐震強度は0.85、0.9、1以上で「安全性が緊急に問われるものではない」としている。

 サムシングをめぐっては、福岡県篠栗町にあるマンションの管理組合が、構造計算に問題があったなどとして同社を相手取り損害賠償請求訴訟を起こしている。

 同社は01年1月に民事再生法の適用を受けた。再生手続きは05年3月に終結したが、事業停止の状態が続いている。

非姉歯物件で初の偽装確認 福岡市のマンション3件 02/08/06(毎日新聞)

 耐震強度偽装問題で、姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)元1級建築士(48)以外の建築士が構造計算し、木村建設(熊本県八代市、破産)が施工に関与した福岡市内の賃貸マンション3件について、同市は8日、構造計算書の偽造があったと発表した。北側一雄(きたがわ・かずお)国交相も同日の衆院予算委で事実を明らかにした。

 国交省は都府県を通じ、木村建設が施工などに関与した物件の実態調査を進めていた。姉歯元建築士以外の建築士による偽装が確認されたのは初めて。

 福岡市によると、構造計算をしたのは福岡県春日市の設計会社「サムシング」(2002年9月廃業)。

 福岡市は偽装物件名を公表していないが、2000年に建築確認されたマンションが2件、03年が1件で8、9階建て。同市が日本建築構造技術者協会(JSCA)に調査を依頼し、いずれも構造計算に連続性がないことや荷重を少なく見積もって計算されたと判明した。

 1件の耐震強度は基準を満たしており、ほかの2件は基準の1に対し0.9と0.85だった。

 福岡市は「姉歯元建築士と同様の手法と思われるが、耐震性は一定基準をほぼ満たしている」と説明。安全性に緊急の問題はないとしている。

 福岡市は7日に同社代表だった仲盛昭二(なかもり・しょうじ)1級建築士から事情聴取。「設計変更に伴い、計算に連続性がなくなった。偽装はしていない。建築基準法は守っている」と主張したという。また、仲盛元代表は8日「書類上の不備はあったかもしれないが、やましいことは100パーセントない」と語った。

 福岡県は8日、仲盛元代表が現在所属する事務所を立ち入り検査した。国交省も今後、仲盛元代表から事情を聴き、偽装に関与したサムシングの元所属建築士を処分、告発する方針だ。

 サムシングの構造計算物件は計1万件を超すとされ、まず県などが保管している39件の書類について再計算する。

 サムシングをめぐっては、福岡県篠栗町のマンションでも構造計算書の偽造があったとして住民が損害賠償を求めて訴訟を起こしている。(共同)

耐震偽造:姉歯氏以外の物件で3棟に疑い 福岡市発表 02/08/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で福岡市は8日、市内の賃貸マンション3棟で新たに構造計算書偽造の疑いがあると発表した。いずれも木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が施工、福岡県太宰府市の設計会社「サムシング」が設計を請け負っていた。姉歯秀次・元建築士以外による耐震偽造疑惑は初めてとなる。サムシング側は福岡市に対し、偽造を否定しているという。

 福岡市は木村建設が関与する4棟のマンションについて、日本建築構造技術者協会九州支部(JSCA九州)に詳細調査を依頼。同支部は設計時と同じプログラムを使って再計算した。

 その結果、建築確認申請時の書類が残っていた3棟は、建物荷重を9~16%少なく見積もって設計していたほか、各階の重量を示す内訳表が添付されていないなどの問題点が指摘された。

 市は「同じプログラムとデータを使って再計算した結果が違うことはあり得ず、偽造があったとしか思えない。書類の一部を差し替えている可能性がある」とした。

 これに対し、サムシングの元社長は「偽造はしていない。設計変更の依頼があった場合、本来は構造計算書を一から作成しなければならなかったが、必要な部分だけ修正を加えたことはある」などと話しているという。

 ただ、耐震強度を示す「保有水平耐力」(1が基準)はそれぞれ0.85▽0.9▽1以上。一部は違法建築とならない可能性もあるため、市は建物所有者に別の構造計算方法で改めて計算してもらい、違法建築かどうかの確認を急ぐ。

 同社はこれまで約1万件の設計、構造計算を手がけたとされる。市は今後、同社の元管理建築士などに聞き取り調査を行うとともに、マンション業者に呼びかけて実態把握を進める。ただ、JSCAが「緊急な安全上の問題を問われるものではない」としたため、入居者に通知はしない方針。

 サムシングは80年に設立。建築設計や鉄筋・鉄骨工事請負を行っていた。99年に倒産、01年に民事再生手続きに入ったが、02年に廃業した。

 同社が構造計算をした福岡県篠栗町の分譲マンション2棟を巡っては、住民が「設計や施工のミスで構造上の安全が確保されていない」として、販売主や建設会社とともにサムシングの元社長に損害賠償訴訟を起こしている。

 福岡県は8日午前、サムシング元社長だった1級建築士が所属する太宰府市内の建築事務所を立ち入り調査し、本人から事情を聴いている。【山本泰久、安達一成】

朝日新聞(2006年2月8日)より

伊藤元長官 偽装公表前に「国責任」耐震問題 会見説明と矛盾

伊藤元長官:三男の会社が、献金先から業務大量受注 02/07/06(毎日新聞)

 衆院議員の伊藤公介元国土庁長官(東京23区)の三男(26)が経営する会社が、元長官に長年政治献金している住宅販売会社から、清掃業務を大量受注していたことが分かった。三男の会社は、耐震データが偽造されたマンションの建築主「ヒューザー」の関連会社から、排水ポンプ点検業務を受注していたことが明らかになっている。耐震偽装問題発覚前に、ヒューザーの小嶋進社長らを国土交通省課長に引き合わせた伊藤元長官と業者側との密接な関係が、一層鮮明になった。

 この住宅販売会社は、東京都内に本社がある中堅業者。同社によると、伊藤元長官の三男が社長を務める「フューチャービジネスネットワーク」(東京都中央区)に、建築した分譲マンションの完成後の清掃業務を、過去2年間で約70件発注した。1回あたり50万円前後だったという。フューチャー社は、この住宅販売会社が所有する中央区のビルに入居しているが、住宅販売会社は「適正な家賃を頂いている」としている。

 伊藤元長官の資金管理団体「東京公友会」の政治資金収支報告書によると、この住宅販売会社は04年にパーティー券を100万円購入したほか、社長が98~03年に各16万円を献金している。また、社長は、問題発覚のため中止になった昨年12月の伊藤元長官の政治資金パーティーの発起人を、ヒューザーの小嶋社長らとともに務めることになっていた。

 登記簿によると、フューチャー社は04年8月に設立。伊藤元長官の親族や関係者が役員に名を連ね、妻が取締役。また、公設秘書の二男が取締役、政策秘書が監査役を務めていたが、問題発覚後の今年1月下旬、辞任している。同社は毎日新聞の取材に対し、7日朝までに回答していない。【青島顕】

耐震偽装「国にも責任」 伊藤元長官、国交省で公表前に 02/07/06(毎日新聞)

 自民党衆院議員の伊藤公介元国土庁長官が耐震偽装問題公表の2日前に国土交通省住宅局長室で「国にも責任がある」などと発言していたことがわかった。7日の衆院予算委員会で山本繁太郎住宅局長が明らかにした。伊藤議員は1月19日の記者会見で、昨年11月17日の国交省の発表を受けた報道で耐震偽装を知ったと説明していた。

 伊藤議員は11月15日、ヒューザーの小嶋進社長らと国交省建築指導課長と面談。この後、小嶋社長らを残して住宅局長室に入った。山本局長は予算委で、「『建築確認検査機関を指定した国にも責任があると思う。居住者の安全確保などが大事だと思うが、国としてどう対応するのか』という話があった」と述べた。

 民主党の馬淵澄夫議員は「小嶋さんの代弁をされた。『働きかけ』ではないか」と伊藤議員の証人喚問を改めて求めた。北側国交相は「伊藤議員から働きかけはなかった」などと答えた。

 伊藤議員は建築指導課長との面談については「姉歯(秀次元建築士)やイーホームズの話も出たが何のことか分からなかった」と説明している。

耐震偽造:伊藤元長官がヒューザー寄り発言 国交省認める 02/07/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件に絡み、衆院議員の伊藤公介元国土庁長官が問題公表直前、国土交通省を訪れた際の対応が7日、衆院予算委員会で取り上げられた。山本繁太郎住宅局長は「元長官は『(偽装を見逃した)建築確認機関を指定した国にも責任がある』と話した」と、元長官が建築主の小嶋進・ヒューザー社長の主張に沿った働き掛けをしていたことを認めた。

 馬淵澄夫議員(民主)の質問に答えた。山本局長の答弁によると、伊藤元長官は11月15日に小嶋社長らを伴って、国交省を訪問。課長らと面談した後、小嶋社長を残して局長室に入った。

 これについて、北側一雄国交相は「(働き掛けの)影響はなかった」と答弁した。

 伊藤元長官は1月19日の記者会見で「(局長室では)十分検討して国もしっかり対応するように」と述べたとし、働き掛けを否定していた。【青島顕】

耐震偽造:竣工図と相違点、業者補償へ 川崎のマンション 02/05/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、川崎市川崎区の「グランドステージ川崎大師」(9階建て、23戸)の住民と施工業者の「太平工業」(東京都中央区)が5日協議し、同社は竣工(しゅんこう)図通りに施工されなかった部分について補償する考えを示した。同マンションは1月、同社の調査で不適当な施工が見つかっていた。一方で同社は「耐震強度にはほとんど影響がない」と主張、住民から「自己弁護だ」と憤りの声も上がった。

 同社は1月、住民側の要望を受け、図面通りに施工されているかを調査。この際、地震によるひび割れを防ぐために壁と柱の間に入れる耐震スリットが不足しているなどの問題点が発覚した。

 同マンションの建築主は「ヒューザー」。耐震強度が基準値の半分以下だったため、川崎市が昨年11月に使用禁止命令を出している。【市川明代】

ヒューザー元社員、次々聴取 偽装認識時期探る 02/02/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件を調べている警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は、マンションの建築主ヒューザーや施工した木村建設の元社員ら関係者について任意の事情聴取に乗り出した。偽装を知った時期や姉歯秀次元建築士に対する偽装問題発覚前の認識などを中心に説明を求めているとみられる。捜査本部は家宅捜索で押収した大量の資料の分析と建物の強度検証を進めている。併せて偽装物件の建築主や施工業者、設計業者など関係者から幅広く事情を聴く方針で、対象者は100人を超える見通しだ。

 捜査本部が元社員らの事情聴取を始めたのは1月下旬から。建物の建設現場の主任クラスや営業担当者たちも対象となっているとみられる。小嶋進ヒューザー社長や篠塚明・木村建設元東京支店長らからも今後事情を聴く方針だ。

 捜査本部はヒューザーについて、姉歯元建築士が構造計算書を偽造した建築基準法違反容疑に対する関与の有無を調べている。また同社は強度不足を知りながらマンションの売買契約を結んだ宅地建物取引業法違反の疑いも浮上している。

 木村建設は多数の偽装物件の施工や設計を手がけていた。姉歯元建築士は偽装した理由について篠塚元支店長から「鉄筋を減らすよう圧力を受けた」と話し、篠塚元支店長は鉄筋の減量を求めたことは認めているものの、偽装は知らなかったと主張している。

 捜査本部は資料の分析や建物の検証、両社をはじめとする関係者への聴取を進め、偽装物件がどのようにして造られたか▽姉歯元建築士の偽装をだれが、いつの時点で把握していたか――などを見極めて刑事責任の追及につなげる。

関与の1級建築士の免許取り消しへ 東横イン偽装 01/31/06(朝日新聞)

 国土交通省は30日、不正工事の設計に関与した東横インの関連会社「東横イン開発」の1級建築士について、免許取り消しや業務停止の処分をする方針を固めた。横浜市のホテル改造で設計をした建築士については近く聴聞をし、2月下旬の中央建築士審査会で処分を決める。また、東京都は近く同社を立ち入り検査する方針。

 建築士法に基づき処分対象になるとみられるのは、同社の管理建築士となっていた建築士のほか、実際に設計していた別の建築士。管理建築士は同社に名義貸しをしていたとされ、別の建築士は違法工事の設計に携わったとされる。

05年1月31日、別の1級建築士(46)の名義を無断で使い、このマンションの確認申請書を偽造、 指定確認検査機関の札幌支店に提出した疑い。

このような事が起きることは、違法な行為が出来ることを意味している。 別の1級建築士(46)の名義を無断で使えないように、確認要求や防止策を すみやかに実行するべきであろう。

建築士法違反:登録失効後も営業…書類を偽造 札幌・逮捕 01/31/06(毎日新聞)

 1級建築士事務所の登録失効後も営業を続けた上、実在する1級建築士の名前を勝手に使って書類を偽造したとして、札幌南署と道警生活経済課は30日、札幌市豊平区平岸2の3、建築事務所経営、板倉一司容疑者(48)を建築士法違反(無登録業務の禁止)と有印私文書偽造・同行使の疑いで逮捕した。

 建築士法は都道府県に建築士事務所登録をせずに報酬を得て設計業務を行うことを禁じている。

 調べでは、板倉容疑者は04年12月末ごろ、経営する建築事務所が道の1級建築士事務所登録をしていないのに同市中央区内の14階建てマンションの建築設計を請け負い、同市内の1級建築士(53)に委託した疑い。05年1月31日、別の1級建築士(46)の名義を無断で使い、このマンションの確認申請書を偽造、指定確認検査機関の札幌支店に提出した疑い。

 このマンションは昨年2月に着工し、今年2月中旬に完成する予定だが、構造計算や施工状況に問題はないという。

 板倉容疑者は建築士資格は持っていないが、91年に1級建築士事務所を開業し、道に登録した。5年後の更新手続きを怠ったため、96年で失効していた。「更新の必要があるとは知らなかった」と供述しているという。【岸本悠】

耐震偽造:事件の再発防止案を提示 国交省 01/30/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件を受けて国土交通省は30日、建築行政の見直しを議論している社会資本整備審議会の基本制度部会に、再発防止策案を示した。これまでの議論を集約した内容で、違法建築物を設計した建築士の罰則強化や、建築確認時に第三者機関によるダブルチェックを導入して監視を強めることなどが柱となっている。同部会は2月末に中間報告をまとめる見込み。同省は、中間報告を受けて建築基準法や建築士法の改正案を国会に提出する方針だ。

 再発防止策案では、違法建築物を設計した建築基準法上の建築士の罰則に、現在の罰金50万円から懲役刑を導入するとともに、行政処分を受けた建築士の名前を公表する。また、設計にかかわったすべての建築士の名前を建築確認申請書に記載し、責任を明確にする。これまで書類上は元請け設計を行った建築士の名前しか記載されなかった。

 姉歯秀次元1級建築士の構造計算書の改ざんを見逃し続けた建築確認検査については、一定の建築物の建築確認を行う場合、申請時に電子データを添付させたうえで第三者機関が書類を確認することとした。また、市町村に確認検査機関への立ち入り権限を与え、審査の中身についてもサンプル検査で確かめる。地域によって任意となっている中間検査も義務付ける。

 さらに、危険なマンションなどの購入者を救済するため、建築主や指定確認検査機関、建築士に賠償保険の加入を義務付けることを検討課題とした。【長谷川豊】

川崎の耐震偽装マンション、検証調査で施工ミスも判明  01/30/06(読売新聞)

 耐震強度に偽装があった川崎市川崎区中瀬3の分譲マンション「グランドステージ川崎大師」で29日、マンションを施工した「太平工業」(東京)が検証調査を行い、耐震強度をさらに低下させかねない施工ミスがあったことを認めた。

 同社によると、マンション北側の耐震壁と、玄関の梁(はり)に、幅、深さとも約2センチの不必要な溝が垂直方向に掘られていた。壁の溝は壁紙のたるみをなくすためで、梁の溝は下請け業者が誤って掘ったという。

 溝で強度が落ちるため、壁や梁の厚みを増す必要があったが、対策はとられていなかった。

 地震の揺れを抑えるために柱と壁の間に設けるスリットも、施工されていない個所が確認された。

 同社の金山亜希雄副社長らは記者会見で、「どう対応すべきか、施工の瑕疵(かし)を含めて社内検討を始めたい」とし、管理組合の平貢秀副理事長は「30%と診断された強度よりも低いと想像できる。建て直すしかない。費用はすべてもってもらいたい」と語った。

 同社は当初、「建築確認済みの設計図に従った。施工者の責務は全うしている」としていたが、管理組合が施工上の問題点を指摘、調査を求めた。

耐震偽装に懲役刑導入 国交相諮問機関が中間報告案  01/30/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で国土交通相の諮問機関、社会資本整備審議会の専門部会は30日、耐震強度の偽装など重大な違反をした設計者や建築主への懲役刑導入をはじめとした21項目の緊急の再発防止策などを盛り込んだ中間報告案を示した。2月下旬に正式にとりまとめ、具体的な内容を詰めた上で、今国会に提出される建築基準法や建築士法の改正案に盛り込まれる。

 21項目の緊急の安全確保対策のうち、設計者や建築主の罰則・処分の強化では、生命にかかわる違反への懲役刑導入のほか、設計で不正をした建築士への罰則新設、免許取り消しなど懲戒処分を受けた建築士名の公表などの必要があるとした。

 審査の厳格化では、建築確認時の構造計算書の審査は原則的に電子データ審査とするほか、国交相認定プログラムを用いない構造計算書は第三者機関での審査を義務付ける必要があるとした。また、建設途中の中間検査の義務化のほか、民間検査機関への自治体の監督権限の強化などを提示した。

 分譲住宅の売り主の保険加入に関しては、「瑕疵(かし)担保責任の履行の実効を確保するための措置を講じる必要がある」と、義務化を示唆した。

 緊急対策以外に引き続き検討すべき課題として専門別の建築士資格の導入や、建築士会への加入義務付けなどを挙げた。

 今後、国交相直属の第三者機関・緊急調査委員会の提言も加味して正式にまとめる。

新たに重大ミス、確認検査機関立ち入りで見つかる  01/26/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件に絡み、国土交通省は26日、全国の民間の指定確認検査機関に対する立ち入り検査の結果、新たに「確認検査機構アネックス」(大津市)の構造審査に重大なミスが見つかったと発表した。

 同社は、大阪府内のマンションの構造審査で、一部の柱の鉄筋の本数が、構造設計図と構造計算書で食い違っていることに全く気付かず、建築確認を出していた。

元請け建築士8人、国交省が免許取り消し 耐震偽装問題  01/24/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で国土交通省は24日、中央建築士審査会を開き、偽装のあったマンションやホテルの設計を元請けした東京都内の設計事務所6社の1級建築士計8人の免許取り消しを決めた。構造計算書を偽造した姉歯秀次元1級建築士は昨年12月に免許を取り消されている。

 建築士法に基づく免許取り消しが決まったのは、スペースワン建築研究所と平成設計各2人(それぞれ1人はすでに離職)と、エスエスエー建築都市設計事務所、下河辺建築設計事務所、シノケン東京支店、木村建設東京支店各1人。氏名は公表していない。

 うち平成設計など5社の6人は、姉歯元建築士の構造設計に基づいて、耐震強度が不足した危険な構造のホテルやマンションを建てさせた。シノケンとスペースワンの計2人は、設計や工事監理をするつもりがないのに、複数物件の設計者や工事監理者として名義貸しをしていた。

 各建築士は処分前の聴聞で、「設計の際に『鉄筋が少ないのでは』と言ったところ、(建築主の)ヒューザーから『経済設計だ』と言われた」「建築主から『優秀な建築士だ』と言われ、(姉歯元建築士に)疑いを持たなかった」などと話したという。

耐震強度偽装事件、1級建築士8人の資格取り消し処分  01/24/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、国土交通省は24日、姉歯秀次・元1級建築士(48)による偽装物件の元請け建築士となっていた6人と、偽装物件を含む多数の物件で元請け建築士の「名義貸し」をしていた2人の計8人について、1級建築士の資格を取り消した。

 構造計算書の改ざんを見逃した責任は大きいなどとして、最も重い処分に踏み切った。

 資格を取り消されたのは、エスエスエー建築都市設計事務所(東京都新宿区)、木村建設東京支店(同)、スペースワン建築研究所(港区、2人)、シノケン東京支店(同)、下河辺建築設計事務所(大田区)、平成設計(千代田区、2人)の建築士。いずれの処分も中央建築士審査会が同意した。

 うちスペースワンの建築士1人とシノケンの建築士は、実際には設計を行っていない物件で、設計上の全責任を負う元請け建築士の名義を貸していた。残りの建築士は偽装物件の元請けとしての責任を問われた。

 処分者の氏名について国交省は、建築士法には実名公表を義務付ける規定がないとして、明らかにしなかった。

 処分に先立ち国交省は聴聞を実施。この中でスペースワンの建築士は、「姉歯元建築士の構造設計は、断面が小さめで鉄筋も少ないという認識はあった」ものの、建築主の「ヒューザー」(千代田区)の担当者から、「建築確認は下りており、これが経済設計だ」と言われ、それ以上の追及をしなかった、と述べたという。またこの建築士は、建設会社「木村建設」(熊本県八代市、破産)の担当者にも同様の疑問をぶつけたが、担当者は「施工の容易さを優先させた経済設計だ」と答えたという。

 国交省は、6社以外で偽装物件の元請けとなっていた建築士についても順次、処分を進める方針。

判断するのが遅い気もするが、被害者が決めること。 日本人の会計士が海外にペーパー会社設立を仲介しているところもある。 どこにペーパー会社を設立するかによっては、秘密が守られる場合もある。 日本は外国がらみのケースに弱い。一度、会社からお金が出れば、 回収は不可能になる場合もある。グローバルは良いことばかりでない。 「ヒューザー」の破産申し立てには9マンションが参加  01/22/06(毎日新聞)

 耐震強度偽装事件で、販売元の開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の破産申し立てについて、都内と千葉、神奈川県の九つのマンション計309世帯が参加することが22日、固まった。

 ヒューザーの資産を保全するのが目的で、今月末をめどに東京地裁に申し立てる。

 住民によると、参加するのは、ヒューザーが販売した「グランドステージ」シリーズのうち、都内にある「住吉」「茅場町」「稲城」「赤羽」「千歳烏山」「豊田」、千葉県市川市の「下総中山」、川崎市の「江川」と、横浜市の「コンアルマーディオ横濱鶴見」。

 一方、申し立てを検討してきた東京都墨田区の「グランドステージ東向島」は投票の結果、「賛成と反対が同数で意見が割れた」として、参加を見合わせることになった。

耐震偽造:小嶋社長「補強工事で対応したい」と住民に説明  01/20/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、ヒューザーの小嶋進社長は22日、同社が建築した「グランドステージ溝の口」(川崎市高津区、24戸)の住民説明会に出席した。国が建て替え基準とした耐震強度0.5に「理解できない」と疑問を呈し、0.39と震度5強で倒壊の恐れがあるとされる同マンションも補強で対応したいと述べた。さらに「ロッキード事件以来の国策捜査」と批判し、「何年も拘束されれば(被害回復の)約束は守れない」とまくし立てた。

 小嶋社長はまず、耐震強度の数値について「基本的に0.1以上あればいいと聞いている」「0.3以上あれば何も問題ないとアドバイスする専門家もいる」と主張。「人命最優先という観点からすれば、なぜ耐震強度が0.5以下なら強制的に取り壊しなのか全く理解できない」と持論を展開し、補強工事で対応したいとの考えを述べた。

 さらに「私の有罪が前提」と批判の矛先を警視庁などの捜査当局に向け、「(民間確認検査機関の)イーホームズ社長や国のシナリオに沿い、私の身柄が持って行かれてしまう」と強調した。補償については「最後には皆さんの損失を絶対に弁償できる」と述べる一方、「無実なのに身柄が何年も拘束されれば、申し訳ないが(住民の被害回復の)お約束は守れないことになる」と話した。

 また、国会の証人喚問で度々証言を拒否したことについて「証言拒否なら偽証罪より(量刑が)相当軽いので、正しいと思うことも拒否せざるを得なかった」と釈明した。

 小嶋社長は約1時間半の説明会後、カメラマンに対し、「下がってくれ。落ち着かない。気持ち悪いですよ」と一方的に予定の記者会見をキャンセル。住民代表の男性(33)は「身柄がどうこうではなく、今できることをやってくれないのは不誠実」と憤った。【広瀬登】

耐震偽造:「補償不能の財務」ヒューザー会計担当者説明  01/20/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、ヒューザー(東京都千代田区)が、偽造マンションの住民に損害を全額補償することは不可能な財務状況であることが分かった。ヒ社側が19日夜、住民代表に行った説明で判明したもので、倒産した場合、住民への賠償分を除いても約10億円の債務超過に転落する見通しだ。資産保全のため、ヒ社の破産申し立てを決めている管理組合が複数あり、「住民への補償は必ず実行したい」と繰り返してきた小嶋進社長の発言は有名無実になりそうだ。

 小嶋社長は17日の衆院の証人喚問で、「資産は負債を含め約70億円」と説明したが、具体的な財務内容については「後日、文書で回答する」と言及を避けた。このため、マンションの住民が18日、同社長と面談し、財務内容を具体的に示すよう要求していた。グランドステージの「東向島」(墨田区)と「藤沢」(神奈川県藤沢市」の住民代表3人が、ヒ社の会計担当者から昨年9月末の資料などを基に説明を受けた。

 住民によると、ヒ社側は帳簿上では資産が負債を約10億円上回っている。しかし、破産すれば所有する未販売の物件が競売されるうえ、所有している建設中の物件の土地も安く売却されてしまい資産価値が大幅に下落。工事費などの負債を差し引くと、住民への賠償分を除いても約10億円の債務超過になるという。

 ヒ社側の説明では、現在約5億円の預貯金があるが、ほとんどは金融機関の担保になっている。また、未販売のマンションも金融機関が購入希望者にローンの貸し付けを拒否しているため、新たな収益も望めない状況。

 住民側は「ヒ社は『競売になっても土地や所有マンションの価値は約15億円ある』としているが、さらに下がる可能性もある。補償されるべき額の数パーセントしか返ってこないのでは」と落胆している。

 ヒ社広報部は「営業を停止し最小限の組織で存続して、国などに損害賠償を求め住民補償に充てる方針であることは、15日付の書面で住民に伝えており、その指針に沿って運営したい」と話している。【桐野耕一】

姉歯発注は小嶋社長の指示 偽装物件建築確認も要求 01/20/06(産経新聞)

 耐震強度偽装問題をめぐり19日に開かれた衆院国土交通委員会の参考人質疑で、姉歯秀次元建築士(48)に構造設計を発注した設計事務所スペースワンの井上正一代表は「姉歯という固有名詞は出ていないが、ヒューザーの小嶋進社長から優秀な設計士が木村建設にいるので使うように言われた」と述べた。

 昨年10月27日に関係者が偽装問題への対応を協議した際、小嶋社長が千葉県船橋市の工事中マンションについて「『曲げてでも建築確認を下ろしてもらう』と(指定確認検査機関の)イーホームズに強く求めていた」とも話した。また、席上、小嶋社長が偽装問題公表を遅らせるよう主張したと述べた。

 小嶋社長は17日の衆院証人喚問で協議内容に関する証言を拒否したが、詳細なメモをイ社が残しており、井上代表の発言はその内容の一部を裏付ける形となった。

 井上代表は昨年10月25日の関係者協議にも同席。協議後、姉歯元建築士とヒューザーに向かう車中で「どうせ分かってしまう。(偽装を)やりました」と告白されたという。

 木村建設子会社の平成設計に鉄筋量削減のメモを渡していた総合経営研究所(総研)の四ケ所猛チーフコンサルタント(67)は、ゼネコンで10年間、構造設計を担当し、免震構造の専門資格も持っていることを認めた。「(削減の)数値は経験から来た勘で、検討してくださいというメモ」として強制ではないとの主張を繰り返した。

 しかし、平成設計の山口時也社長は「変更を断ると四ケ所氏が『(知り合いの)構造設計事務所でやる』と言った」と証言、食い違いを見せた。

 山口社長は平成設計について「営業も頼っており、総研の設計部のようだった」と説明。元平成設計社員の徳永豊氏も「総研に絶対服従のように感じた」と述べた。

 山口社長は姉歯元建築士との関係を「1999年が最初で、(総研との)暗黙の了解でずっと続いてきた」とした。(共同)

耐震偽造:建築界実務家ら問題の背景検証 参院参考人質疑  01/20/06(毎日新聞)

 参院国土交通委員会の参考人質疑は19日午後、建築界の実務家らが問題の起きた背景を検証した。

 ◇「設計から検査の一体化に問題」

 宮本忠長・日本建築士会連合会会長は「設計、施工、確認検査が実質一体化していたことで、チェック機能が弱り、問題の発覚を遅らせた」と述べ、建築物の安全性を確保する仕組みに構造的な問題があることを改めて指摘した。西田実仁議員(公明)の質問に答えた。

 宮本氏はそのうえで、一連の問題では「元請け設計士や確認検査機関の責任も大きい」と強調。さらに構造計算の設計士について「全国でアンケート調査を実施したところ、工事が設計図どおりに進められているかどうかについて現場をしっかり監視していないケースも目立った。独立性、専門性、職業倫理が求められている」と述べた。

 また、榊原信一・東京構造設計事務所協会会長は「確認検査機関には構造計算の専門家が少ない。検査員が、構造計算の設計士から細かく説明を求めていればデータ偽造はありえない」と話した。

 一方、この日午前の参考人質疑では、分譲マンションの住民が被害の実情などを語った。被害者本人が国会で証言するのは初めて。住民は「ヒューザー」が建築主の「グランドステージ住吉」(東京都江東区)の会社員、清水克利さん(37)で「提示された建て替え案は面積が20%減り、新たに2000万円以上の負担を求められ、住民は受け入れられない」と支援策の見直しを求めた。【種市房子】

 ◇「もっと姉歯氏との関係追及を」

 「もっと姉歯氏との関係を追及してほしかった」。参院の参考人質疑に出席した「センターワンホテル半田」(愛知県半田市)の中川三郎社長(49)は19日午後、衆院の参考人質疑を傍聴し、「総合経営研究所(総研)」幹部らの証言に聴き入った。しかし、偽造への関与は明確にならず、「議員にもう一押ししてほしかった」と唇をかんだ。

 「センターワン」は総研が開業指導。平成設計が設計し、01年に愛知県が建築確認したビジネスホテル。

 参考人質疑で平成設計が総研に従属的な関係だったことが証言され、中川社長は傍聴後、「偽造が指示されていたかが一番の問題。平成は怖くて何も言えないのでは」と語った。さらに、総研幹部が地震に強いとの推薦状の額面を自ら書いていたことに「まるで詐欺じゃないか」と憤った。

 また、自ら発言した参院の参考人質疑について「支援策を受けるマンションとは異なり、『ホテルは民と民の問題』と多くの議員が感じていた。私への質問も少なく、収穫のない質疑だった」と悔しがった。【桐野耕一】

◆総合経営研究所(総研)を巡る主な経過◆

05年

11.29 衆院の参考人質疑で、姉歯秀次元1級建築士の構造      計算書偽造事件の「黒幕」として名前が浮上

12. 2 内河健社長が記者会見し、偽造事件への関与を否定

12. 5 愛知県の偽造ビジネスホテルを設計した平成設計が      、県の聴取に「総研の指示で設計した」と証言

12.10 内河社長が中小ゼネコン向け会報で鉄筋量を減らす      よう推奨していたことが判明

12.14 衆院の証人喚問に内河社長が出席。平成設計に文書      で鉄筋の減量を指示していたことが明らかに

12.16 国交省の聴取に、総研の四ケ所猛・チーフコンサル      タントが文書指示認める

12.20 警視庁など合同捜査本部が姉歯氏の建築基準法違反      容疑で総研の本社など約120カ所を強制捜査

姉歯氏使用「小嶋社長が指示」…スペースワン社長  01/19/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、衆院国土交通委員会は19日、偽装マンション7件の設計を元請けしていた「スペースワン建築研究所」の井上正一社長や、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」の四ヶ所猛チーフコンサルタントら4人の参考人質疑を行った。

 この中で井上社長は、「姉歯の名前は出なかったが、小嶋社長から『優秀な構造設計士が木村建設にいるので使うように』と指示された」と述べ、姉歯秀次・元1級建築士を使うよう、「ヒューザー」の小嶋進社長から指示されたとの認識を明らかにした。

 また井上社長は、問題公表前の昨年10月27日、小嶋社長と民間確認検査機関「イーホームズ」の藤田東吾社長らが集まった場に同席していたが、「(問題を)『公表したい』というイーホームズに対し、小嶋社長は『公表を少し待て』という風な、やりとりがあった」と述べた。

 井上社長は2日前の同月25日、ヒューザーとイーホームズが問題を協議した場にも同席していた。この協議の後、井上社長は姉歯元建築士とともに、報告のためヒューザー本社に車で向かったが、車中で姉歯元建築士から「もうどうせわかってしまうのだから、(偽装を)やりました」と告白されたことも明らかにした。

「生活破綻の危機」 住民窮状を訴え 耐震偽装参考人招致 01/19/06(産経新聞 夕刊)

営業中止のホテル社長 「姉歯」文字に愕然

 「私たちにこれ以上何ができたのか」。耐震強度偽装問題で、十九日行われた参院国土交通委員会の参考人質疑。事件発覚以来、初めて国会に被害者の声が響いた。使用中止命令が出されたマンションの住人は切々と支援策を求め、営業中止に追い込まれているホテルの社長は、姉歯秀次元一級建築士(48)による設計と知り愕然(がくぜん)とした様子などを振り返った。

 この日の参考人質疑は参院の委員会室で開催。東京のマンション「グランドステージ住吉」の住民、清水克利さんや愛知県のビジネスホテル「センターワンホテル半田」の中川三郎社長らが意見陳述した後、質疑応答をするという形で進められた。

 清水さんは「被害住民の生活は破綻(はたん)の危機にある」と怒りを押し殺すかのように語り、「住民を苦しめているのは、何年にもわたり同じ業者が何件もの違法建築を行ったことを防げなかったこと。法制度に問題はなかったか」と指摘した。

 一方、中川社長は駅前の再開発に伴い、ビジネスホテルへの事業転換を考え、地元の建設業者からコンサルタント会社「総合経営研究所」の内河健所長を紹介されたと説明。「立地から設計、建築、施工、ホテルノウハウまですべて指導しますと言われ、安心して任してきた」と話した。

 ところがオープンから半年後、総研が同じ地域で別のホテルの開業準備を進めていることを聞かされた。「総研は『ビジネスの世界だからあなたには関係ない』と言った。金のためなら何でもする」と怒りをぶつけた。

 また、自分のホテルが姉歯元設計士の設計と気づいたのは昨年十一月で、耐震強度偽装事件を報じるニュースで映し出されたマンションのタイルの張りが一緒であることに気づき、構造計算書を確認したところ、「姉歯設計事務所」の文字が書かれていたという。

 「何を信じていいか分からなかった。これは危ないと思い、愛知県に相談に行ったが放置され、結局自分で調べて、自主休業した」と行政側の対応にも不満をぶつけた。

 清水さんらは参考人招致を終えた後に会見。「言いたいことは伝わっていると思う。委員の方からも支援したいと言ってくれた」と満足そうな表情。これに対し、中川社長は「(支援策について)同じ『民民取引』なのに、委員からマンションとホテルは違うといわれ、愕然とした」と肩を落とした。

ヒューザーの小嶋進社長の証人喚問を見る限り、何かあるとの印象を受けた。 多くの人も同じような印象を受けたと思う。なぜ、あのような行動をしたのか。 やはり、伊藤公介議員の証人喚問が必要であろう。自民党の対応も注目したい。

伊藤公介議員「偽装を知ったのは報道通じて」  01/19/06(朝日新聞)

 自民党衆院議員の伊藤公介元国土庁長官は19日、党本部で記者会見し、耐震偽装を知ったのは昨年11月17日の国土交通省の発表を受けた報道を通じてだったと述べた。発表の2日前にヒューザーの小嶋進社長らとともに国交省課長に面会したが、「姉歯(元建築士)やイーホームズの話も出たが何のことかわからなかった」と説明。議員辞職や離党を否定したうえで、国会の証人喚問について「きちっと対応したい」と述べた。

 伊藤氏によると昨年11月15日、強度不足が判明した千葉県白井市のマンションの建築主の東日本住宅社長から「小嶋氏の紹介で建てたマンションに工事中止命令が出た。国交省に向かっている」と連絡を受けたという。小嶋社長とは11月10日に免震技術の相談に大成建設に行っており、連絡したところ「私も行きます」と返事があり、別々に出向いたという。

 また、三男(26)の会社がヒューザーのマンションの管理業務を請け負っていたことについては、「取材を受けるまで知らなかった。管理組合から1件だけ排水ポンプの約2万円の契約をしただけだ」とした。

 小嶋氏と三男とが会ったときに同席したかどうかは「覚えていない。(三男が)パーティーとかで名刺交換をしたのかもしれない」と述べた。

 小嶋氏との関係については「5、6年前の業界の総会やパーティーで出会ったと思う」と述べた。

耐震偽造:伊藤元長官 小嶋社長ら仲介、自ら国交省に電話 01/19/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件に絡み、建築主の小嶋進・ヒューザー社長らを問題公表前に国土交通省課長に仲介した伊藤公介元国土庁長官(64)が19日、自民党本部で記者会見した。伊藤元長官は仲介当日、別の建築主から仲介依頼の電話を受けた後、自ら課長に電話を掛けて予約を取り付けていたことを明らかにした。

 伊藤元長官によると、昨年11月15日、千葉県白井市のマンション建築主の桃野直樹・東日本住宅社長から「工事中止命令が出た」と連絡を受け、国交省の小川富由・建築指導課長に電話。「来ていただければ説明する」との返答を得たという。しかし、小嶋氏を呼んでの面談中は「正直何のことか分からず、(耐震データ偽造の内容は)報道で知った」と釈明した。

 課長との面談後、1人で会った同省の山本繁太郎住宅局長に対し「事実関係を確かめ、十分検討して対応してほしい」と要望したことも明言。昨年11月下旬の毎日新聞の取材に伊藤元長官「局長とは世間話をしただけ」などと答えていた。

 野党が求めている証人喚問については「国会で対応するが、私はその時点時点できちっと対応する」と国会の与野党の議論をみて対応する考えを示した。【青島顕】

ヒューザーとライブドア 自民にダブル“刺客” 安倍氏、ダメージ回避懸命 01/17/06(産経新聞)

 小泉純一郎首相と自民党執行部は、通常国会召集を前に、小嶋進・ヒューザー社長の証人喚問と、昨年の衆院選で支援した堀江貴文社長率いるライブドアへの強制捜査でダブルパンチをくった格好だ。特に、「ポスト小泉」最有力候補である安倍晋三官房長官の秘書が、耐震強度偽装問題で小嶋社長に相談を持ちかけられた事実が明らかになったことは、安倍氏のイメージダウンにつながりかねず、同氏サイドはダメージ回避に懸命だ。

 小嶋社長が証人喚問で「安倍氏の飯塚洋秘書に議員会館で相談した」と証言したことに、中川秀直政調会長は、「総裁選や国会運営に影響しない」と強調した。

 安倍氏自身も「国交省などに働きかけたことは一切ない。小嶋社長と面識はない」と疑惑を否定。さらに「問題は不正にお金を取ったり、金品によって行政に働きかけをするかしないかということだ。うちの事務所はそういうことはしていない」と釈明した。

 首相も十七日夜、記者団に「安倍さん、まったく関係ないと言っていましたね」とかばった。

 ただ、野党側は、森派幹部である伊藤公介元国土庁長官と小嶋社長との関係も追及。伊藤氏の証人喚問も求めており、対応に苦慮しそうだ。

 一方、ライブドアへの強制捜査をめぐっても首相、自民党執行部ともに「影響はない」と防戦にまわっている。

 昨年の衆院選では武部勤幹事長、竹中平蔵総務相らが広島6区に乗り込んで堀江社長を応援したが、首相は十七日、記者団に「会社でも採用した人が不祥事を起こしたら採用が間違っているといえるのか」と反論。堀江氏への支援に関しても「新しい時代に適応できる人材だと思って応援していた。それはそれで良いと思う。今回の問題とは別だ」と弁明した。

 堀江社長を高く評価してきた武部幹事長も「誠に遺憾の極みで、厳正な捜査を望みたい」と述べるにとどまった。

 これに対し、堀江社長と衆院選で戦った国民新党の亀井静香代表代行は「堀江さんを『刺客』として送り込んだのは首相だ。(堀江氏の)法律違反が明確になれば(首相にも)責任がある」と批判。「堀江さんは白日の下でああいう商売をしていた。それを承知で小泉改革の旗手として送り込まれた」と皮肉った。

 森派以外の自民党議員からも「政権のおごりが出た。首相の求心力は落ちる」(無派閥議員)との見方も出ており、総裁選に微妙な影響を与える可能性もある。

                   ◇

 ■1回話を聞いた 依頼事実はない 飯塚秘書

 安倍晋三官房長官の飯塚洋秘書は十七日深夜、ヒューザーの小嶋進社長が飯塚秘書に相談をもちかけたと証言したことについて、「十一月十七日、知人の依頼があったので、極めて短時間、飛び込みで一回だけ話をきいた。小嶋社長は『自分は被害者である』と繰り返して帰った」としたうえで、国土交通省などへの依頼について「一切そういう事実はない」とのコメントを発表した。

 また、小嶋社長が安倍氏に政治献金したことや後援会に加入していた事実はないとしている。

                   ◇

 ■秘書の参考人招致要求へ 民主

 ヒューザーの小嶋進社長に対する十七日の証人喚問について、民主党は「十分な回答が得られなかった」として、小嶋社長の再喚問のほか、同社長との関係が明らかになった安倍晋三官房長官の飯塚洋秘書の参考人招致を要求する方針だ。

 前原誠司代表は、名古屋市内で記者団に「(安倍長官の出身派閥である)自民党清和会(森派)の疑惑が深まった」と指摘、小嶋社長と政界とのかかわりを重点的に解明していく考えを示した。安倍長官についても「国会審議を通じて内閣のスポークスマンとして説明責任を果たしてもらいたい」と徹底追及していく構えをみせた。

 小嶋社長が、飯塚秘書に相談を持ちかけた事実は、民主党の馬淵澄夫衆院議員が質問で認めさせた。喚問後、馬淵氏は「森派と小嶋社長が非常に近い関係であることが新たに明らかになった」と指摘。鳩山由紀夫幹事長は「正確な情報をもとに追及することで政官業の癒着を浮き上がらせ、殊勲賞ものだ」と述べ、通常国会での攻勢にはずみがついたと称賛した。

耐震偽造:小嶋証言「明らかに偽証」 イーホームズ社長 01/17/06(毎日新聞)

 小嶋社長の証人喚問を受け、指定確認検査機関「イーホームズ」の藤田東吾社長が17日、東京都新宿区の本社で記者会見し、小嶋社長が当初、偽装の事実公表を遅らせるようイ社に迫ったとの話を否定したことについて「明らかに偽証だ」と指摘した。

 この日の証人喚問では、国土交通省が偽造問題を発表する前の昨年10月27日、両社が協議した際、小嶋社長が「天災地震が起きてから調査、発覚したことにしたい」などと述べたことが取り上げられたが、小嶋社長は「言っていない」と否定した。しかし、藤田社長は当日のやり取りについて、小嶋社長が「偽装は他のゼネコンやデベロッパーでも行われてきた。これを公表したら社会的な大問題になる。地震が起きたときに壊れてから公表したらいい」などと話したことを紹介した。【西脇真一】

耐震偽造:一転、強気の態度を翻す 小嶋社長証人喚問 01/17/06(毎日新聞)

 刑事訴追の恐れがあるので、証言を拒絶したい--。姉歯秀次・元1級建築士らの証人喚問後、「私も喚問してほしい」との発言を繰り返していた小嶋進社長は17日の証人喚問で一転、強気の態度を翻した。補佐人として同席した弁護士の意見を求めながら慎重な答弁を繰り返した小嶋社長。自身に迫る警視庁などの捜査や、関係が指摘される政官界への配慮が見え隠れした。

 紺色スーツ姿で議場に現れた小嶋社長は、淡々とした表情で、11月の参考人招致のように声を荒らげる場面はなかった。冒頭、林幹雄国土交通委員長(自民)から「違法性の認識はあったのか」と問われた際にも、「ありませんでした」と明言するなど、喚問は淡々と進むかに思われた。

 しかし、公明党の佐藤茂樹議員が質問に立つと態度を一変。「偽造が発覚した際、『公表するな』と圧力をかけたか」「耐震構造に問題があると知りながらマンションを引き渡したのか」などの質問に対しては、そのたびに後方の席に座った補佐人に意見を求めた上で、「証言を控えさせていただく」と繰り返した。こうした態度に委員から「時間かせぎはやめろ」とヤジが飛び、林委員長が再三、注意を促した。

 証言拒否が続く中で質問に立った民主党の馬淵澄夫議員が、小嶋社長が11月20日に「グランドステージ川崎大師」(川崎市)の住民に対して行った説明会の録音テープについて取り上げた。「この中で安倍晋三官房長官の名前を出して『50億円の公的貸し付けをお願いしている』などと話しているが事実か」と問うと、苦しそうな表情を浮かべながら、小声で「秘書の方に相談したことはある」と答えた。

 一方、安倍官房長官を含め、名前が挙がった議員については「一時も早く住民の皆様に対応したいと考え、相談できる所に相談したということ」と述べたものの、口利き依頼の事実は否定した。

 喚問後の会見では「国民の皆さんにとって納得できないことも多かったかなと思うが、ぎりぎり許される範囲内だ。偽証はなかったと思う」と述べた。補佐人の弁護士も「不利益な内容の資料を基にした質問に答えるのは捜査当局の心証を悪くする。証言拒否は議院証言法に基づく正当な権利」と説明した。【篠原成行、種市房子】

証人喚問前に小島社長、被害住民に不正否定の文書 01/17/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、多くの偽装マンションに関与した開発会社「ヒューザー」の小島進社長(52)が、同社について「何の不正行為も違法性も無い」などと主張する文書を、被害者住民に渡していたことがわかった。

 小島社長は17日午後、衆院国土交通委員会で証人喚問されるが、喚問に先立ち自らの言い分を明らかにしたものとみられる。

 文書で小島社長は、国土交通省が耐震偽装を公表する直前の昨年11月15日、伊藤公介・元国土庁長官とともに国交省幹部と面会したことについて、「公表を遅らせろとか隠蔽(いんぺい)を要請したものでは断じてない」と弁明。それに先立つ11月9日、国交省の担当課を訪れた際に、自ら大声をあげて同フロア中に問題を「公表」した、と強調している。

 文書は「耐震偽装事件(不正公文書発行事件)について」と題した小島社長名のもので、今月10日付。偽装マンションの対策委員会の代表が今月中旬、ヒューザー本社を訪れたところ、小島社長から手渡されたという。

 この中で、小島社長は事件について「一切は確認検査機関の怠慢と国土交通省の監督責任によるもの」と主張。ヒューザーについては「耐震強度を偽造させて一番儲(もう)かるはずがなく、むしろ発注者として第1被害者」と述べている。

 また小島社長は、11月9日、自ら国交省の担当課に出向いて「責任者として謝るべき」などと抗議した経緯を説明。むしろ国交省の公表に向け、自らが「起爆剤のような役割を果たした」との論理を展開している。

伊藤元長官の公設秘書2人、無届けで役員兼職  01/17/06(朝日新聞)

 衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官の三男(26)が代表取締役を務める二つの会社で、役員に就いている伊藤氏の公設秘書が、国会議員秘書給与法に違反して、衆院議長に兼職届を出していなかったことが分かった。取材に対し、伊藤事務所は「昨年の総選挙後、少し遅れたが届け出た。公開は届け出から30日後になるとのことです」と回答した。16日現在、まだ公開されていない。

 2社は「フューチャービジネスネットワーク」と「融創国際」。公設第1秘書を務める伊藤氏の次男(30)は両社の取締役に就任、政策秘書はフューチャー社の監査役を務めている。2社は東京都中央区の同じ所在地にあり、フューチャー社はヒューザー(小嶋進社長)の分譲マンションの管理業務を受注している。融創国際は、法人登記によると貨物運送の代理店業などを事業目的に挙げている。伊藤事務所は「報酬は一切受けていない」としている。

 国会議員秘書給与法は原則として公設秘書の兼職を禁止している。議員が許可した場合に限って認められるが、兼職する企業団体名や報酬を記した兼職届を議長に出さなければならない。兼職禁止は、国会議員による秘書給与詐取事件などが相次いだことを受けて、秘書制度を見直す中で04年に規定された。

ヒューザー加盟の建設協会会員、伊藤元長官に毎年献金 01/17/06(読売新聞)

 開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小島進社長ら、社団法人「日本住宅建設産業協会」に加盟する会社経営者約20人が、自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官を囲んでたびたび勉強会を開き、政治献金も毎年行っていたことが分かった。

 このうち少なくとも2社は、ヒューザーが開発したマンションで点検業務を行っていた、伊藤元長官の三男(26)が代表取締役を務めるビル管理会社「フューチャービジネスネットワーク」(中央区)に管理業務などを発注。元長官と業界の密接な関係が浮上した。

 関係者によると、この勉強会は数年前、同協会メンバーの1人の開発会社社長を中心に有志で結成され、協会加盟社の社長ら20人前後が参加している。

 メンバーは年に数回、都内のホテルなどで会合を開き、伊藤元長官がたびたび出席。国土交通省の職員が出席することもあった。メンバーの1人は、「伊藤先生から国政の動向について報告を受ける一方、税制問題など業界の要望を聞いてもらっていた」と話している。

 勉強会メンバーは毎月2万円の会費を納め、その中から毎年4万~16万円をメンバー名で元長官の政治資金管理団体に献金。1998~2003年分が政治資金収支報告書に記載されている。別のメンバーは「先生に何回も来てもらっているのに、手ぶらというわけにはいかない」と献金の趣旨を説明している。

 一方、勉強会のメンバーが経営する大田区の開発会社は、フューチャー社に対して2004年12月から、開発会社が施工した完成直前のマンションのクリーニング業務などを発注。現在までに71件・約4800万円分を発注していた。

 またフューチャー社は開発会社所有のオフィスビルに入居している。開発会社は「契約は他社との見積もりを比較した結果で、金額は適正なもの。(ビルの)賃料も、適正な額を毎月支払っていただいている」と説明している。

 さらに、別のメンバーの開発・不動産会社(新宿区)も、同社関連会社が管理するマンション22件の清掃業務を、1回あたり約5万円の契約でフューチャー社に発注し、年間約500万円の取引があるという。メンバーの社長は「三男自身が売り込みに来て、安いから契約した」としている。

 フューチャー社は、これら物件の管理業務などを請け負ったことを認めている。一方、伊藤元長官の事務所は勉強会について「日常さまざまな勉強会に出席しており、専門的な話を聞ける場所と考えている」としている。ヒューザーの小島社長は読売新聞に対し、伊藤元長官と知り合った経緯について、「勉強会に顔を出すようになったのがきっかけ」と説明している。

千葉のマンション構造書、ヒューザーが契約前に入手  01/17/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)は、国土交通省が問題を公表する約3週間前、強度偽装された分譲マンション「グランドステージ(GS)船橋海神」(千葉県船橋市)などの構造計算書を、CD―R(書き込み可能CD)の形で、姉歯秀次・元1級建築士(48)から入手していたことが分かった。

 ヒューザーの小島進社長(52)が読売新聞に対して明らかにした。ヒューザーはCD―R入手時点で「GS船橋海神」の問題点を認識していたと見られるが、その3日後、同マンション1戸分の売買契約を締結していた。

 宅地建物取引業法は、重要な事項について故意に事実を告げなかったりすることを禁じている。17日に行われる小島社長の証人喚問では、同法に違反する行為があったかどうかが大きな焦点となる。

 小島社長によると、昨年10月25日、ヒューザーと確認検査機関「イーホームズ」などが、未完成物件など5件の耐震強度偽装について協議した直後、姉歯元建築士がヒューザー本社を訪れ、小島社長本人に対し、構造計算に際して「(建物にかかる地震の力を)低減した」と説明した。

 さらに姉歯元建築士は、小島社長の退席後、ヒューザー幹部に対し、「過去にも責任の持てないものがある」などと述べ、5件以外にも問題があることを明かしたという。

 これを受けて翌26日、ヒューザー役員が姉歯元建築士から、イーホームズ以外の確認機関が建築確認をした「GS船橋海神」など2件の構造計算書などが記録されたCD―Rの提供を受けた。

 ヒューザー側はこのCD―Rを別の設計事務所に渡し、分析などを依頼したという。この3日後の29日、「GS船橋海神」1戸の契約が結ばれたが、小島社長は読売新聞に対し、「すでに客から申し込みを受けており、(契約を)履行しないわけにいかなかった」などと説明している。

ヒューザー社員の大半退職 近く正式に営業停止へ 01/16/06(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で、マンション販売会社ヒューザー(東京都千代田区)の従業員の大半が退職し、営業継続が困難な状態に陥っていることが16日、分かった。近く正式に営業活動を休止する。同社は会社資産と小嶋進(おじま・すすむ)社長(52)の個人資産を公開し、耐震強度不足が判明したマンション住民への補償に充てるとしている。

 しかし、複数のマンション住民が「小嶋社長の言動はまったく信用できない」として、資産保全のため破産申し立ての方針を表明しており、今後の推移は不透明だ。

 ヒューザー関係者によると、11月17日の偽装問題発覚後に新たな物件の販売が進まず、事実上営業ができなくなった。これに伴い、発覚前に三十数人いた社員の9割近くが退職し、現在は数人の社員が残るだけという。ヒューザー側は、退職者に再就職先をあっせん。当面は自ら破産手続きを取らず、補償を中心に会社を存続させる考え。

 また、弁護士らによるチームをつくり、姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)元一級建築士(48)による構造計算書偽造を見逃した指定確認検査機関や、制度不備を放置したとして国にも損害賠償を請求。被害住民に対しては、連絡協議会をつくるよう求め、その合意に基づいて補償するなどとしている。

 同社は昨年12月中旬、偽装が発覚して建設を中止したグランドステージ町田(神奈川県相模原市)の土地と、埼玉県和光市のマンション用土地を売却した。

 計約21億5000万円の売却益のうち、約20億5000万円が銀行への借入金返済に充てられた。住民への補償原資は残る約1億円で、約200世帯に「迷惑料」として50万円ずつ支払ったという。

(共同)

ヒューザー、偽装把握後も販売継続 宅建法違反の疑い 01/16/06(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で、中堅マンション販売ヒューザー(東京都千代田区)の小嶋進(おじま・すすむ)社長(52)らが、指定確認検査機関イーホームズから偽装を指摘された昨年10月25日、姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)元一級建築士(48)から直接説明を受け、販売中の物件に偽装の疑いがあることを把握しながら販売契約を結んだり、鍵を引き渡したりしていたことが16日、分かった。

 小嶋社長も同日「間違いない」と事実関係を認めた。宅地建物取引業法は販売契約締結などの際、顧客への重要事項の説明を義務付けており、同法違反の可能性がある。ヒューザーは「当時は建物が耐震基準以下になっているとの認識がなかった」と述べた。

 ヒューザーは偽装問題の発覚後に新たな物件の販売が進まず、現在は営業休止の状態。発覚前に三十数人いた社員の9割近くが退職したことも判明した。当面は破産手続きを取らず、マンション入居者への補償を進めるとしている。

 ヒューザー関係者によると、検査機関から指摘のあった昨年10月25日の午後、同社設計担当役員が姉歯元建築士から「(構造計算書の数値を)低減した」との説明を受けた。

 役員は姉歯元建築士を伴いヒューザー本社に帰り、小嶋社長に会わせた後、姉歯建築設計事務所(千葉県市川市)に同行。姉歯元建築士がパソコンを操作し、構造計算書を偽造した8件のヒューザー物件を表示させ、役員が名称や数値をメモに取ったという。

 物件は販売中のグランドステージ船橋海神(千葉県船橋市)や、引き渡しが近いグランドステージ藤沢(神奈川県藤沢市)が含まれていたが、同社は同月26日に「藤沢」の1戸で販売契約を結び、28日に17戸を引き渡し、29日には「船橋海神」の1戸を契約した。

 同社側は「(船橋海神は)契約金が振り込まれており、担当が履行が必要と述べた」としている。(共同)

ヒューザー役員、元請けに「姉歯使え」と再三指示  01/16/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区、小島進社長)の役員が2002年、都内での分譲マンション建築に際し、別の構造設計事務所を使おうとしていた元請け設計会社に対し、「その事務所は『過剰設計』だ。『経済設計』ができる姉歯を使え」と、姉歯秀次・元1級建築士(48)に構造計算を行わせるよう指示していたことが、関係者の話でわかった。

 ヒューザー役員はその後も再三にわたり、この元請け設計会社に姉歯事務所を使うよう指示しており、ヒューザーと姉歯元建築士の密接な関係が浮かび上がった。

 関係者によると、この元請け設計会社は02年、都内分譲マンションの設計をヒューザーから請け負った。元請け設計会社は当初、以前から関係のある構造設計事務所に構造計算を委託する予定だった。

 ところが、ヒューザー役員は、その構造設計事務所について「過剰設計だ」と批判。そのうえで、「経済設計ができる設計士を使うべきだ」と、姉歯元建築士を指名した。

 元請け設計会社はその後、このマンションを施工した「木村建設」(熊本県八代市、破産)の篠塚明・元東京支店長(45)を通じ、姉歯元建築士と引き合わされたという。

 このマンションについて、確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)が建築確認を出した後、姉歯元建築士による構造設計を不審に思った元請け設計会社は、「ちょっと柱が小さいんじゃないか。大丈夫か」と指摘した。

 しかし、ヒューザー役員は「検査機関がOKを出しているんだから、建築基準法をクリアしているわけで、大丈夫だ」などと答えていたという。この物件は後に、国土交通省によって偽装物件と認定された。

 この後、元請け設計会社は03年にも、都内分譲マンションの設計をヒューザーから受注。同じヒューザー役員から「姉歯を使うように」と指示を受けた。この物件についても元請け設計会社側は、「柱が少ない」と指摘したが、ヒューザー役員は「こういうのを『経済設計』と言うんだ」と押し通した。この物件も後に、偽装が確認された。

 さらに04年に2件、元請け設計会社が受注した都内分譲マンションの設計でも、ヒューザー役員は姉歯元建築士を指名。特に最後に受注した物件の施工業者は、木村建設でなかったが、ヒューザー役員は「姉歯を使え」と指示しており、ヒューザーと姉歯元建築士が直接の関係を強めていたことがうかがえる。このヒューザー役員は読売新聞社の取材に対し、「ノーコメント」などとしている。

ヒューザー物件の管理業務、伊藤元長官の家族が受注  01/16/06(読売新聞)

 自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官の三男(26)が代表取締役を務めるビル管理会社が、「ヒューザー」(東京都千代田区)が開発した都内のマンションの点検業務などを受注していたことがわかった。

 このビル管理会社は、「フューチャービジネスネットワーク」(中央区)で、一昨年8月設立。伊藤元長官の三男が代表取締役を務めるほか、伊藤元長官の妻と、公設第1秘書を務める二男が取締役に名を連ね、政策秘書が監査役を務めている。

 同社の説明では、昨年11月、ヒューザーが開発し、ヒューザー関連会社「グランドサービス」が管理業務を行っている「グランドステージ大井町」(品川区)の管理組合から、給水ポンプと貯水ポンプの点検業務など1回分の請負契約を締結した。代金は2万2000円(税抜き)だったという。

 国会議員秘書給与法は、国会議員秘書が他の仕事を兼職している場合、議長に文書で届け出ることを義務付け、同法規程はその期限を、選挙が行われた場合には議員の任期開始日から60日以内と定めている。

 しかし伊藤元長官の公設第1秘書と政策秘書は、フューチャー社の役員兼務について、昨年9月の衆院選から60日以内には、届け出をしていなかった。

 伊藤事務所では、フューチャー社の問題について、「担当者がおらず答えられない」としている。

耐震偽造:小嶋ヒューザー社長を17日に証人喚問  01/16/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、衆院国土交通委員会は17日、マンション建築主「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋進社長(52)を証人喚問する。データ偽造が判明したヒ社関連物件は24に上る。小嶋社長を巡っては、構造計算書の改ざん情報が寄せられた後もマンションを販売し続けたことや、問題公表前に自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官に伴われて国交省幹部と面会したことが分かっており、小嶋社長の説明が注目される。

 ■偽造の認識

 民間確認検査機関「イーホームズ」は昨年10月20日、姉歯秀次・元1級建築士(48)の耐震データ偽造を確認。22日にヒ社に連絡、25日に詳しく説明した。27日には小嶋社長がイー社の藤田東吾社長や姉歯氏らと対応を協議している。

 しかし、ヒ社はこの協議以降に「グランドステージ藤沢」(神奈川)と「グランドステージ船橋海神」(千葉)で計3戸の売買契約を締結。さらに「藤沢」の17戸は28日に引き渡しを始め、他の2棟の計2戸も26~27日に引き渡している。取引時に重要な事実を告知するよう義務付けた宅地建物取引業法違反の可能性が指摘されている。

 ■公表に抵抗?

 国会での参考人招致で、イー社の藤田社長は、国への報告前に小嶋社長から「(偽造問題を)公表して何の正義があるのか。公表するなら徹底的にたたく」と言われたと証言。これに対し、小嶋社長は「公表までに相当調べる時間が必要だと言っただけ」と反論している。だが、国が発表する2日前に伊藤元長官と共に同省担当課長に面会した際、「今さら壊さなきゃいけないというのは困る」と発言したという。

 ■政界工作

 「友人が困っている。今から行くから話を聞いてやってくれ」。伊藤元長官は同省担当課長にこう電話し、小嶋社長を引き合わせた。同省幹部は「代議士からの依頼を断るわけにはいかなかった」と話す。伊藤元長官は対応を相談するため小嶋社長に大手ゼネコンも紹介している。

 一方、小嶋社長は04年に伊藤元長官のために2万円のパーティー券50枚を購入。03年には元長官の資金管理団体に16万円を寄付している。【長谷川豊、渡辺暖】

  ◆偽造発覚前のヒューザーの動き◆

05年

10月22日 イーホームズから姉歯秀次元1級建築

     士の構造計算書偽造の連絡を受ける

  25日 小嶋社長や姉歯氏らがイー社を訪問

     姉歯氏が偽造を認める

  27日 ヒ社にイー社の藤田東吾社長らが集ま

     り対策会議

  28日 ヒ社が「グランドステージ藤沢」(神

     奈川県藤沢市)購入者に引き渡し開始

11月15日 小嶋社長が伊藤公介・元国土庁長官の

     仲介で、国交省幹部と面会

  17日 国交省が偽造問題を公表

ヒューザー、偽装把握の夜 姉歯氏からデータ入手  01/16/06(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、マンションの建築主ヒューザーが検査機関イーホームズから最初に偽装を知らされた昨年10月25日の夜、ヒューザーの役員が姉歯秀次元建築士の事務所に乗り込み、本人にパソコンを操作させて偽装されたマンションの名前などを聞き出していたことがわかった。小嶋進社長ら複数の関係者が明らかにした。ヒューザーはこの時点で事態の重大性に気づいた可能性があるが、翌26日以降にマンション2戸の売買契約を客と交わしていた。

 ヒューザーは売買の際に相手に重要事項を伝えることを義務づけた宅地建物取引業法に違反する疑いがもたれている。

 この点について小嶋社長は「売買契約した時点では詳しい偽装の状況がわかっていなかった。改修すれば問題ないという認識で、重要事項に当たるとは思っていなかった。宅建業法違反には当たらないと思う」と話している。

 国会の参考人質疑などによると、ヒューザーは25日午後、イーホームズからの連絡で役員を同社に差し向け、グランドステージ北千住などまだ完成していないマンション4棟で構造計算書が「改ざん」されており、完成済みの物件でも疑いがあるため調査すると通告された。同席した姉歯元建築士は「(地震の際に加わる力を)低減した」と話したものの、詳しい説明はしなかった。

 これを受けて27日、イーホームズの藤田東吾社長らがヒューザーに集まって対応を協議。この席で藤田社長は事態を公表することなどを伝え、小嶋社長と激論を交わしたことがすでに明らかになっていた。

 小嶋社長らによると、実際には25日夕、イーホームズでの会合に出席した役員が姉歯元建築士らを伴って帰社し、小嶋社長が姉歯元建築士と面会。姉歯元建築士が詳しい説明をしなかったことから、小嶋社長は役員に対して、姉歯元建築士に事実を確認し、それをもとに別の設計事務所に調査してもらうように指示した。

 同日夜、役員は姉歯元建築士と千葉県市川市の事務所に向かい、パソコンの構造計算ソフトを操作させて改ざんした数値を画面に表示し、物件名とともにメモした。

 書き取ったマンションは計7棟か8棟で、完成間近のグランドステージ船橋海神や完成済みのグランドステージ稲城などが含まれていた。引き渡しが迫っていたグランドステージ藤沢も「含まれていたことは否定できない」とヒューザーの関係者は話している。

 この作業中に役員の携帯電話に小嶋社長から電話があり、「姉歯を追いつめるな。逃げたりされると困るので適当に切り上げて帰ってこい」などと指示されたという。

 役員は翌26日にゴルフ場にいた小嶋社長に電話で連絡。27日午前、マンション名とデータが入った一覧表を小嶋社長に見せて報告した。小嶋社長は数字の意味がよくわからなかったとしている。

 この後、小嶋社長は藤田社長らとの会議に臨み、同日夕、営業・販売担当の関連会社専務に全物件の販売一時中止を指示した。専務は28日、偽装問題には触れずにこの指示を社員に伝えた。

 ヒューザーは26日に藤沢の1戸、29日に船橋海神の1戸について売買契約を結び、28日には藤沢の17戸を引き渡した。いずれも偽装の可能性は説明しなかった。29日の契約はいったん保留の扱いにしたが、担当者が売りたいと強く要望したため認めてしまったという。

     ◇

 〈キーワード:重要事項の説明義務〉 宅地建物取引業法は宅地や建物の売買で「重要事項」を説明するよう宅建業者に義務づけている。「事前には聞いていなかった」「説明と違った」という事態を防ぐためで、買い手が重大な不利益を被るような事実は重要事項に当たるとされる。故意に告げなかったり、事実でないことを告げたりすると1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。

     ◇

 ■ヒューザーが偽装を把握した状況と対応■

【昨年10月】

25日 イーホームズが偽装の疑いを通告。グランドステージ船橋海神で1戸売買契約。役員が姉歯秀次元建築士の事務所に行って調査

26日 グランドステージ藤沢で1戸の売買契約。コンアルマーディオ横濱鶴見で1戸引き渡し

27日 イーホームズ社長らと対応を協議。夕方ごろ小嶋社長が全物件の販売中止を関連会社専務に指示。グランドステージ茅場町で1戸引き渡し

28日 関連会社専務が販売中止を社員に指示。グランドステージ藤沢で17戸引き渡し

29日 グランドステージ船橋海神で1戸売買契約

【11月】

17日 国土交通省が偽装問題を公表

22日 船橋海神1戸を解約

24日 藤沢1戸を解約

ヒューザー物件の管理業務、伊藤公議員の家族受注  01/16/06(朝日新聞)

 自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官の家族が経営する会社が、ヒューザー(東京都千代田区、小嶋進社長)の分譲マンション1棟の管理業務を受注していることがわかった。小嶋社長は朝日新聞の取材に対し仲介を認め、ヒューザーの社員が伊藤元長官の選挙運動を手伝うなどしていたとも説明した。両氏の関係は、耐震偽装問題をめぐる17日の衆院国土交通委員会での小嶋社長の証人喚問でも、焦点の一つとなるとみられる。

 管理業務を受注したのは、04年8月に設立されたフューチャービジネスネットワーク(東京都中央区)。代表取締役は伊藤元長官の三男で、元長官の妻、公設第1秘書の次男も取締役に名を連ね、監査役には政策秘書の名がある。

 ヒューザー側の説明では、フューチャー社は昨年8月末、ヒューザーの関連会社グランドサービス(東京都世田谷区)を介し、グランドステージ大井町(東京都品川区)の管理組合との間で建物内の給排水設備や消防設備の点検などを請け負う契約をした。料金は年間51万円という。これに対しフューチャー社は「管理組合から過去に1件、排水ポンプの点検業務を2万3100円で受けたが、それ以外にはない」と答えた。

 マンションは昨夏に完成。構造計算は姉歯秀次元建築士が担当したとされるが、国交省が確認した強度偽装物件には13日現在、入っていない。

 小嶋社長によると、元長官の三男と「パーティーか何か」の場で名刺交換した際、フューチャー社の事業にビル管理があると知り、グランドサービスを紹介した。グランドサービスはヒューザーが販売したマンションの管理業務をしており、代表取締役は小嶋社長の義弟が務めている。

 小嶋社長は「(元長官の三男と自身の義弟を)私が引き合わせた。ヒューザーの事務所だと思う」と説明。「知っているところに頼むほうが、ありがたがられる」と話した。

 小嶋社長によると、業界団体の勉強会で、講師として招かれた伊藤元長官と知り合い、その後、元長官を囲む昼食会を開くようになったという。昨年9月の衆院選では、小嶋社長がヒューザー社員に伊藤陣営に行くよう呼びかけ、社員ははがきのあて名書きなどを手伝っている。

 また企業経営者らと伊藤元長官との旅行にも参加し、中国・大連や箱根を訪れている。

 伊藤元長官は耐震強度偽装問題が公表される2日前の昨年11月15日、小嶋社長が国土交通省課長と面会した場に同席していたことが分かっている。元長官の政治団体「東京公友会」の政治資金収支報告書によると、04年9月の政治資金パーティーでヒューザーがパーティー券100万円を購入、小嶋社長自身も、00~03年に各16万円を献金したとの記載がある。

     ◇

 朝日新聞の取材に、伊藤事務所は次のようにコメントした。「フューチャー社は議員及び事務所とは関係がありませんので回答を差し控えさせていただきます。議員が数十名で中国や箱根を訪れたことはあり、その中に小嶋氏もおられましたが、いずれも小嶋氏との個人的関係で行ったものではありません。議員の政治活動は多くのボランティアや後援者の方々に支えていただいており、ヒューザー社もほかの後援者等と同様と考えております」

中国新聞(2006年1月15日)より

耐震偽装に懲役刑 建築基準法改正案提出へ 罰金引き上げ

日本ERI「通れぬ階段」見逃す 福岡市西区のマンション「勘違い」を認める  01/15/06(西日本新聞)

 耐震強度偽装問題で、北九州市や福岡県苅田町などでホテルなどの構造計算書の改ざんを見抜けなかった民間検査機関「日本ERI」(東京都)が、二〇〇一―〇二年に福岡市西区のマンションの建築確認を行った際、階段と廊下がつながっていない図面などを合格扱いし、審査を通していたことが十四日分かった。  同社は「図面上のひさしを、階段と廊下のつながる部分と誤認した」とミスを認めているが、関係者は「廊下がないことぐらいすぐ分かるはず。いいかげんな審査が横行しているのでは」と不安の声を上げている。

 福岡市などによると、問題となったマンションは十一階建てで約百五十戸。同市内の設計事務所が設計し、東京都内の会社が開発した。

 日本ERIは設計図面を審査し、〇二年一月に合格にあたる「確認済み証」を交付した。しかし、その後近隣住民が「日照時間が減る」と訴えたため、同五月と十月に設計変更をした。二度の変更分もERIが審査し「確認済み証」を交付した。

 近隣住民側が福岡市建築審査会に審査を請求したため同市が調べたところ、三度目の「確認済み証」の図面で、一部の階で二つある階段の一つが廊下とつながらず、壁でふさがれた状態であることが判明。また、一、二回目の審査をパスした図面でも、高さや日陰の規制が建築基準法を満たしていないことが分かった。同市は同年十二月、「審査がずさん」として三回分の建築確認を取り消した。マンションは新たに設計がやり直され、〇三年五月に完成した。

 日本ERIは「ひさしの作図線を廊下と誤認し、つながっていると勘違いした単純ミス」としているが、福岡マンション管理組合連合会の杉本典夫理事長は「建築確認審査を任されている民間機関への監視強化も必要だ」と話している

「耐震データ偽造事件で、姉歯秀次・元1級建築士の改ざんを見抜けなかった国指定確認検査機関「日本ERI」(東京都港区)と同「イーホームズ」(新宿区)の検査補助員2人が、05年度の国土交通省検定「建築基準適合判定資格者」に合格していたことが分かった。建築確認の権限を持つ特定行政庁の建築主事と同等の資格で、「みなし公務員」とされる。国交省は「合否判定に問題はない」としているが、実務での致命的なミスが反映されない検定のあり方は、 建築確認制度の信頼性をいっそう揺るがしそうだ。」

少なくとも現在の制度、要求される資格を所持する検査補助員では、今回の耐震偽造問題の ケースでは、見抜けない。建築確認制度の信頼度は低いと言うことが分かる。

「国交省によると、受験資格の「2年の実務経験」は、申し込み時に自己申告で職歴を記載するだけで、同省は勤務先の検査機関に実務中のミスの報告などは求めていない。 検定もペーパーテストのみで面接はなく、同省建築指導課は「偽造見逃しを理由に合格を取り消すことはない」としている。」

国土交通省が決めたこと。決めた国土交通省は、耐震偽造問題を見抜けない制度、そして、 耐震偽造問題を見抜けない検査補助員が合格できる受験制度の責任はある。いい加減に 適切な対応をすべきだ。公務員を処罰する制度や法律も作るべきだ。責任を取らない行政は 真剣さが足りない。

耐震偽造:ERIなど検査補助員2人 建築判定資格に合格  01/12/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、姉歯秀次・元1級建築士の改ざんを見抜けなかった国指定確認検査機関「日本ERI」(東京都港区)と同「イーホームズ」(新宿区)の検査補助員2人が、05年度の国土交通省検定「建築基準適合判定資格者」に合格していたことが分かった。建築確認の権限を持つ特定行政庁の建築主事と同等の資格で、「みなし公務員」とされる。国交省は「合否判定に問題はない」としているが、実務での致命的なミスが反映されない検定のあり方は、建築確認制度の信頼性をいっそう揺るがしそうだ。

 この検定は、検査補助員として実務2年以上の経験がある1級建築士が受験できる。択一、図面を見ての記述、小論文に分かれ、05年度は昨年8月26日に794人が受験した。合否判定は偽造発覚後の12月16日、学識経験者ら10人による検定委員会で行われ、348人が合格した。

 この合格者の中に、偽造発覚の端緒にもなった東京都港区のマンションのデータ偽造を見逃したERIの検査補助員と、「グランドステージ北千住」(足立区)の審査を担当したイー社の検査補助員も含まれていた。民間の検査機関では、最終的な建築確認は有資格者が行うが、構造計算書など事実上の審査はほとんど補助員に委ねられているという。

 港区のマンションは、国会でも証言したアトラス設計社長の指摘を受け、姉歯氏とは別の設計士に変更して構造計算を差し替えたため耐震性に問題はない。「北千住」も構造計算書の改ざんが見つかったため工事途中で確認が取り下げられた。

 国交省によると、受験資格の「2年の実務経験」は、申し込み時に自己申告で職歴を記載するだけで、同省は勤務先の検査機関に実務中のミスの報告などは求めていない。検定もペーパーテストのみで面接はなく、同省建築指導課は「偽造見逃しを理由に合格を取り消すことはない」としている。

 ERIは「8月時点では偽造見逃しを把握しておらず、受験が不適当だったとは一概には言えない」とし、イー社は「個々の物件を誰が担当したか、資料を警察に押収されているので分からない」としている。【種市房子】

 <建築基準適合判定資格者>

 設計中の建物が建築基準法に適合するか検査して、建築確認を与える国家資格。確認検査業務を民間に開放するのを機に、公務員向けの「建築主事検定」を衣替えする形で99年から年に1回検定が実施されている。資格を取ると、公務員は建築主事として、民間人は検査員として確認検査する。1級建築士で、確認検査の実務経験2年以上が必要。

中国新聞(2006年1月14日)より

シノケン、違法丸投げか 木村建設に 発注者承諾得ず 国交省処分検討

強度成績書を偽造、容疑の鉄筋工事業の男逮捕へ…仙台  01/10/06(読売新聞)

 仙台市内のマンション5棟で、鉄筋溶接部分の強度検査の成績書が偽造された事件で、県警捜査2課と仙台南署は、公文書偽造、同行使の疑いで、同市宮城野区岩切、鉄筋工事業の30歳代の男の逮捕状を取った。13日午後にも逮捕する。

 県の告発状によると、男は昨年10月下旬、鉄筋溶接を請け負っていた同市若林区の分譲マンションについて、県産業技術総合センターの所長印が入った強度検査「引張試験」の成績表を無断で複製。同センターに強度検査を依頼していないにもかかわらず、複製した成績表に5か所の鉄筋溶接部分の強度について架空の数値を記入し、元請けの大手ゼネコン「大林組」(東京)に提出した。

 県警は昨年12月5日、容疑者不詳で告発を受け、同26日、男が実質的に経営する宮城県亘理町の鉄筋工事会社「カップリング圧接」や自宅などを家宅捜索していた。

イーホームズ幹部を参考人聴取、ヒューザーとの協議で  01/10/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部が、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の幹部から任意で参考人聴取したことが10日、明らかになった。

 この幹部は、問題が表面化する約3週間前、開発会社「ヒューザー」(千代田区)との間で2回にわたって行われた会議に出席しており、捜査本部は、協議内容について詳しく説明を求めた模様だ。

 一方、捜査本部は、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(同)がかかわったホテルルートについても並行して参考人聴取を進める方針で、建築基準法違反や宅地建物取引業法違反容疑などでの立件を視野に、幅広く捜査を進めるものとみられる。

 この事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)以外の聴取が明らかになったのは初めて。

 これまでの調べでは、イーホームズは外部からの情報提供をきっかけに構造計算書の改ざんを知り、昨年10月25、27の両日、姉歯元建築士も交え、ヒューザーとの間で善後策を協議した。

 この中でイーホームズ側は、ヒューザーが建築主となっている未完成の分譲マンション5件(1件は計画段階)で、姉歯元建築士が構造計算書を改ざんしていたことを伝えた。

 その一方でヒューザーは、1回目の会合翌日の26日、別の偽装マンション「グランドステージ(GS)藤沢」1戸を契約、「コンアルマーディオ横濱鶴見」1戸を引き渡した。さらに2回目会合の翌28日にも「GS藤沢」17戸を購入者に引き渡すなどしていた。この両マンションは完成済みで、2度の協議では、具体的な物件名は挙げられなかったとされる。

 聴取を受けたイーホームズ幹部は、この2度の協議の両方に出席。完成済みマンションの強度偽装に関する、ヒューザー側の発言などについて説明を求められたものと見られている。

 イーホームズ幹部によると、ヒューザー側は協議の席上、「(イーホームズは)3年間も偽装を見過ごしてきた」などと発言。このため同幹部は、ヒューザー側は完成済み物件の問題点についても把握していた可能性を指摘しており、捜査本部に対しても同様の説明をした模様だ。

 一方、捜査本部は、偽装ホテルの多くに関与した総研による「開業指導」の内容にも注目。関係者の参考人聴取を行う方針で、事件の全容解明に向け、各ルートで並行して捜査を進める。

ヒューザーの小島社長、証人喚問は17日に  01/10/06(読売新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装事件で、衆院国土交通委員会は10日、理事懇談会を開き、開発会社「ヒューザー」の小島進社長(52)を17日午後1時45分から証人喚問することを決めた。

 野党側は小島社長の証人喚問と併せ、伊藤公介・元国土庁長官らの参考人質疑を実施するよう求めたが、与党側は、伊藤元長官の招致については「(小島社長の)喚問の内容をみて決めたい」とするにとどまった。

 一方、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」の四ヶ所猛チーフコンサルタント、「平成設計」の山口時也代表取締役ら4人については、1月中に参考人質疑を行う方向で、与野党が協議を進めている。

「偽造見逃し」一級建築士6人を処分へ 国交省、24日決定  01/10/06(産経新聞)

 国土交通省は10日、姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)元一級建築士(48)による構造計算書偽造を見逃したとされるシノケン東京支店など元請け設計事務所5社の一級建築士の処分について、6人を対象に24日に免許取り消しか業務停止の懲戒処分とすることを決めた。

 処分は、建築基準法20条に違反して強度不足の建築物を建てたというのが理由。6人については、かかわりの度合いによって処分内容が異なる見込み。建築士法に基づき、24日に開く中央建築士審査会(会長・村上周三(むらかみ・しゅうぞう)慶大教授)の同意を経て正式決定する。

 姉歯元建築士による計算書の偽造は9日現在で89物件が確認されている。国交省は平成設計など残る計11事務所の建築士十数人についても、聴聞など事実確認の手続きを経て3月末ごろまでに処分を決める方針。

 処分対象の一級建築士は、11月に国交省が発表した偽造21物件にかかわったシノケン東京支店のほか、エスエスエー建築都市設計事務所、木村建設、下河辺建築設計事務所の各1人と、スペースワン建築研究所の2人。

 国交省が昨年末に開いた弁明のための聴聞では、建築士らは「偽造は知らなかった」「姉歯元建築士は優秀な構造設計者と聞いていた」などと説明したという。(共同)

耐震偽造:小嶋社長の証人喚問 17日午後に  01/10/06(毎日新聞)

 衆院国土交通委員会は10日、耐震データ偽造事件に関連して理事懇談会を開き、耐震データが偽造されたマンションの建築主である小嶋進・ヒューザー社長の証人喚問を17日午後に開くことを申し合わせた。12日の委員会で議決する見通しだ。

 小嶋社長が偽造を知ってからの対応ぶりや、偽造の公表前に伊藤公介元国土庁長官とともに国土交通省を訪ねた経緯などが尋問されるものとみられる。

 理事懇では、野党側が伊藤元長官と、データが偽造されたビジネスホテルの開業指導をした「総合経営研究所」の四ケ所猛・チーフコンサルタントら5人の参考人質疑を要求。与党側は伊藤元長官を除く4人について「前向きに検討する」と応じた。【青島顕】

自民・耐震偽装問題対策チーム、総研の四ヶ所氏ら聴取  01/10/06(読売新聞)

 自民党の耐震強度偽装問題対策検討ワーキングチームは10日、姉歯秀次・元1級建築士(48)による偽装ホテルの多くを開業指導していたコンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)の四ヶ所猛チーフコンサルタント(67)らから聴取を行った。

 四ヶ所氏は、中部地方のホテル建設を巡り、設計元請けの「平成設計」(同、破産)に鉄筋量を減らすよう指示していたことが明らかになっているが、聴取では「信頼している構造設計事務所に図面をみてもらい、専門家の意見をきいた。十分検討の余地があるとの返答が得られたので、平成設計に(鉄筋減らしの)検討を指示した」と説明した。

構造設計費、木村建設が請求=元請け設計事務所に-姉歯氏への支払いに介在  01/10/06(時事通信)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次元1級建築士(48)が木村建設施工の建物を下請けとして構造設計した際の費用を、木村側が元請け設計事務所に請求していたことが9日、関係者の話で分かった。元請け設計事務所との契約は木村建設が結んでおり、同社が姉歯氏に下請けさせていた。代金は同社を通じて姉歯氏に払われていたという。

 関係者は「通常、構造設計は元請けが自分で発注し、代金も直接支払う。間に木村建設が入るのは不自然」と指摘しており、同社と姉歯氏の密接な関係が改めて浮き彫りになった。

「提言書では、建築士法を改正し、建築士が何らかの公的職能団体に加入することを義務づけ、 免許の登録更新制度も導入するべきだとした。また、名義貸しなどをした建築士の摘発と罰則を強化し、 懲戒処分者の公表も提案している。」

金儲けなのか、日本建築士会連合会の会員集めなのか知らないが、あまり意味があると思えない。

「問題監査」会計士協会が11件未処分 について日本公認会計士協会が身内に甘いことを示している。カネボウ粉飾の中央青山監査法人に ついても、日本公認会計士協会が機能していたのか、疑問である。

法改正で研修強化するよりは、建築主、施工主、下請け業者、元請け設計会社、 確認検査機関(検査機関)がわかるように表示すること、また、インタネットで 公表するようにすればよい。

船の世界では、全ての情報ではないが、 検査会社、船主、船舶管理会社、 どこの国の外国船舶監督官(PSC)にいつ検査されているかまで公開されている。

よく見れば、どこの国に登録されている船舶に問題がある傾向、どこの検査会社に 検査されている船舶に問題がある傾向、船舶管理会社が管理している船舶が 不備を指摘された確率等も調べることも出来る。

情報を公開すれば、どこの検査会社が信頼できるのか、施工主が立てた建物の問題発生率、 建築主の情報及び問題の発生率とも調べることが出来るようになるかも知れない。

情報公開のほうが、消費者にとってはメリットがあると思う。

建築士団体「法改正で研修強化を」 国交省に提言  01/06/06(産経新聞)

 耐震強度偽装問題を受けて「日本建築士会連合会」(東京都港区)は6日、北側一雄(きたがわ・かずお)国土交通相に対し、建築士法改正などを求める提言書を提出した。建築士の質向上には継続的な研修が必要で、法改正で受講者を増やす環境づくりを進めるとしている。

 建築士には弁護士のような強制加入の団体はなく、総数約60万人に対し、日本最大規模の同連合会でも会員数約10万7000人。免許更新の必要がないことから、資格取得後の業務実態がつかみにくい問題点が指摘されている。

 提言書では、建築士法を改正し、建築士が何らかの公的職能団体に加入することを義務づけ、免許の登録更新制度も導入するべきだとした。また、名義貸しなどをした建築士の摘発と罰則を強化し、懲戒処分者の公表も提案している。

 同会は、職能団体を通じて研修を受けるよう働き掛けることで、受講者増につながるとしている。

 同会は昨年4月から全国で研修制度を本格スタート。まちづくり、構造、環境設備など8つの専攻領域に分かれ、講習会や通信教育で学習。その上で論文執筆したり、住宅相談の講師として社会貢献をしたりするカリキュラムで、通常業務をしながら、5年間で250単位を取得する。受講者は同連合会員の約2万5000人と少ない。

 定期的に研修を受けた建築士に対して証明書を発行し、名前をインターネットで公表している。宮本忠長(みやもと・ただなが)会長は「まじめに努力している建築士を、消費者にアピールする仕組みをつくりたい」と話した。(共同)

ヒューザーが姉歯氏指定 自民ヒアリングで藤田社長  01/06/06(共同新聞)

 自民党の耐震偽装問題対策検討ワーキングチームは6日、イーホームズの藤田東吾社長らからのヒアリングを都内で行った。藤田社長は、偽装判明後の昨年10月、ヒューザー本社に関係者が集まった際、元請けの設計事務所社長が「構造設計に姉歯秀次元建築士を使うようヒューザーから直接指定された」と発言したと述べた。

 藤田社長によると、外部からの指摘で構造計算書偽造が判明した直後の昨年10月27日、ヒューザー本社で小嶋進社長や、関係する元請け設計事務所社長らが協議。その際、設計事務所社長は「ヒューザーの物件については構造設計に姉歯元建築士を使うよう指定された。当初は木村建設からだったが、後にヒューザーから直接指定されるようになった」と話したという。

「耐震強度偽装事件について、警察庁の漆間巌長官は5日の定例会見で、『建築関係の法令に欠陥がある可能性もあり、 捜査の過程を踏まえて、警察が問題提起していく必要も出てくる』 と述べ、建築基準法など現行法令に不備があるとの認識を明らかにした。」

建築基準法など現行法令に不備があるがあるなら、明らかにすればよい。 不備を放置した国、問題を指摘してこなかった地方自治体、不備の指摘や 改善の努力をしてこなかった国土交通省は責任があるだろう。

もっと、処分を厳しくし、賠償の範囲、責任者の明確化も検討するべきであろう。

警察庁長官「建築関係の法令に欠陥も」  01/05/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件について、警察庁の漆間巌長官は5日の定例会見で、「建築関係の法令に欠陥がある可能性もあり、捜査の過程を踏まえて、警察が問題提起していく必要も出てくる」と述べ、建築基準法など現行法令に不備があるとの認識を明らかにした。

 長官は「警察に対して、この問題の解決に期待する声は多い。解明できないとすれば、現行法令に欠陥がある可能性がある。国民に貢献できるような捜査にしなくてはいけない」と述べ、法令の不備については積極的に明らかにする方針も示した。

地下の柱、鉄筋半分以下…藤沢のマンションで検査  01/05/06(読売新聞)

 姉歯秀次・元1級建築士(48)による強度偽装が判明している89物件中、耐震強度が基準の15%と最も低かった分譲マンション「グランドステージ藤沢」(神奈川県藤沢市、30戸)について、読売新聞は非破壊検査を実施した。

 その結果、建物全体を支えている地下1階の柱の鉄筋が必要量の半分以下しかなく、「耐力壁」の鉄筋も通常求められるものより細いことを確認。住民側に渡された「工事監理報告書」と「施工結果報告書」には、事実と異なる工事名や構造が記されていたことも明らかになった。

 同マンション(地上10階、地下1階)は、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の物件で、「木村建設」(熊本県八代市、破産)が施工。2005年9月下旬に完成したばかりで、民間検査機関「イーホームズ」(新宿区)が建築確認や完了検査を行った。

 読売新聞は住民の了解を得たうえで、民間の耐震調査会社に依頼し、先月26日に、レーダー探査やエックス線探査による非破壊検査を実施。最も強度が弱いとされる地下1階部分の駐車場と、5階と8階の二つの居室について、鉄筋の状態を調べた。

 駐車場では、17本あるコンクリート柱のうち4本にレーダー探査器でマイクロ波をあて、内部の配筋状態を映し出した。

 その結果、ほぼ中央の柱には、約63センチ幅の断面に直径2・5センチの鉄筋が縦方向に7本入っていたが、それより幅広の残り3本の柱は、縦方向の鉄筋が3~4本しか入っていなかった。

 これについて、検査に同行した構造設計専門の1級建築士は、「本来であれば、直径3・5センチの鉄筋が6本以上必要だろう」と分析。各鉄筋の間隔も10センチ程度が適正だが、問題の3本の柱は約25~20センチも空いていた。「これだけ極端に鉄筋が少ないと、経験を積んだ工事関係者ならおかしいと気づいたはずだ」という。

耐震偽造:ホテルは姉歯・木村・平成で86%  01/05/06(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、構造計算書を改ざんした姉歯秀次元1級建築士▽元請け設計事務所「平成設計」▽施工者「木村建設」が手掛けたホテル中心物件の「改ざん率」が約86%の高率だったことが、国土交通省の調べで分かった。姉歯元建築士と木村建設、建築主「ヒューザー」の組み合わせのマンションでも改ざん率は約78%に上る。ホテルとマンションの両ルートに関与したそれぞれの3者の「疑惑」が数字に表れており、国交省は、改ざんの疑いが残る全物件の調査を急ぐ。

 姉歯元建築士と3業者は、計506物件にかかわったことが判明しており、国交省は関係自治体に対し、構造計算書改ざんの有無を調査依頼した。うち「姉歯物件」205物件では既に8割以上で調査が終わり、89物件で改ざんが判明。3業者との関連も調べた。

 姉歯元建築士は、国会の証人喚問などで「改ざんは木村建設の篠塚明元東京支店長に迫られて始めた」と証言。調査結果では、これを裏付けるように、姉歯元建築士が改ざんした89物件中、半数以上に当たる47物件に木村建設が関与。さらに、平成設計も加えた3者が関与した22物件では、約86%に当たる19物件で改ざんが見つかった。

 また、ヒューザーが開発したマンションは27件中22物件(約81%)で改ざんが判明。マンションルートでは、木村建設が関与していない9物件でも姉歯元建築士は8件を改ざんしており、ヒューザーとの密接な関係も浮かび上がっている。

 一方、ヒューザー、木村建設、平成設計が関与していない姉歯元建築士単独でも、18物件で改ざんが判明。姉歯元建築士は事件発覚直後、周囲に「時間短縮のためにやった」と惰性で偽装したことを証言しているが、他者からの働きかけの有無は不明のままだ。

 事件発覚から間もなく2カ月。構造計算書の再計算には相当の時間がかかるうえ、改ざんの手口が複数あることから、関係自治体の調査は難航している。「姉歯物件」以外に改ざんが見つかれば、社会に大きな衝撃を与えるのは必至で、残る物件について慎重な調査が続けられる。【渡辺暖、長谷川豊】

元請け設計者全員を懲戒処分へ 耐震強度偽装事件で  01/05/06(朝日新聞)

 国土交通省は耐震強度偽装事件で、耐震強度が不足しているすべてのマンションやホテルの元請け設計担当者について、建築士法に基づいて免許取り消しか業務停止の懲戒処分にする方針を固めた。元請けの設計者には安全な設計をする義務があり、危険で違法な建物を建てさせた責任は重大だと判断した。処分を受けるのは約20人に上る見通しで、一つの事件としては前例のない大量処分となる。

 姉歯秀次元建築士による強度偽装が判明している建物は計89棟。このうち昨年11月21日までに判明した21棟(未完成を含む)の設計を元請けした7事務所については、姉歯元建築士(12月に免許取り消し)と自殺した1人を除く担当建築士5人の聴聞会をすでに終えており、1月下旬に処分する。5人は「偽装には気づかなかった」「結果責任を感じている」などと話しているという。

 11月22日以降に偽装がわかった68棟のうち、耐震強度が基準を下回ることが判明したのは43棟。物件名を公表していない4棟を除くと、元請けの設計事務所は聴聞会を受けた事務所の他に10業者ある。国交省は担当建築士から事情を順次聴いた上で原則として全員処分する方針だ。

元請け建築士らを聴聞、「責任免れない」と述べる  01/04/06(読売新聞)

 耐震偽装事件で、国土交通省の聴聞に対し、偽装マンションなどの設計を元請けした6事務所の1級建築士らが「偽装には気付かなかった」とする一方、「結果として、強度不足の建物を建ててしまった責任は免れない」などと述べていたことがわかった。

 同省は今月半ばにも中央建築士審査会を開き、資格取り消しなどの処分を決める。

 聴聞を受けたのは、姉歯秀次・元1級建築士(48)に構造設計を下請けに出していた「エスエスエー建築都市設計事務所」「木村建設東京支店」「シノケン東京支店」「スペースワン1級建築士事務所」「下河辺建築設計事務所」「平成設計」の1級建築士たち。

 同省では今後、偽装物件に関与した他の元請け設計事務所の建築士についても順次、聴聞を実施し、処分を検討する。

公的支援の差に困惑 「強度0.5以上」偽装物件の住民  01/02/06(朝日新聞)

 構造計算書の偽造が明らかになった分譲マンションのうち、耐震強度が基準の0.5以上だった建物の居住者たちが、国が示した支援策の線引きに困惑している。自治体が解体し、建て替える対象は0.5未満の建物だけで、0.5以上は耐震補強工事費の一部が補助されるだけだ。「業者は本当に補償してくれるのか。このまま見捨てられるのではないか」。居住者たちは不安をぬぐえないでいる。

 「緊急性は少ないかもしれませんが、危険なマンションに変わりはありません」。グランドステージ下総中山(千葉県市川市)で妻と暮らす早川和幸さん(27)は言う。

 建築主のヒューザーから安全だと説明を受けたのが11月27日。だが、その2日後に偽装があったとわかった。耐震強度は0.73だった。

 強度が0.5未満のマンションは震度5強程度の地震で倒壊する恐れがあるとされ、支援の緊急性が高い。国は自治体が居住者から買い取って解体、建て替えし、再分譲することなどを中心とする支援策を打ち出した。転居先の家賃も原則として3分の2は2年間補助する。

 これに対してグランドステージ下総中山をはじめ、0.5以上の分譲マンション8棟(12月28日現在、耐震強度判明分のみ)は、この支援策の対象にはならない。耐震強度が低い建物を解体せずに改修・補強する既存制度を活用し、耐震補強工事費の15%を国と自治体が補助する。

 住民説明会で早川さんらは売り主のヒューザーや施工した太平工業、建築確認した日本ERIに、建て替えや改修の方針を示すよう迫った。しかし、3社から納得のいく返答はなかった。下請けで施工した木村建設はすでに倒産している。

 グランドステージ川口(埼玉県川口市)。日本ERIは0.56、ヒューザーは0.75、施工元請けの福田組は0.52と、それぞれがばらばらの強度をはじき出し、いずれも0.5以上だった。

 居住者の会社員(38)は「国が決めたこと。公的支援が受けられるなら交渉はしたいですが、不満を言いだしたらきりがない」と自分を納得させている。そして「どの程度の補強をすればいいのでしょうか。先が見えない」と不安を口にした。

耐震偽装防止、建築主に保険加入を義務付け 国交省検討  12/31/05(朝日新聞)

 国土交通省は、分譲住宅の建築主(販売業者)に、住宅の欠陥を補償する保険への加入を新たに義務づける方向で検討に入った。一連の耐震強度偽装事件では、建築確認審査のずさんさが明らかになり、住宅購入者の不安が高まっている。このため、保険会社の審査を活用して「二重」に点検することにした。

 国交相の諮問機関「社会資本整備審議会」の専門部会で、住宅品質確保促進法(品確法)改正に向けて議論する。

 国交省の構想によると、保険加入の対象はマンションだけでなく、戸建てを含むすべての分譲住宅。

 保険を引き受けるにあたり、保険会社は施工の段階で第三者の検査機関に依頼するなどして、工事が適正か独自にチェックするため、構造部分の強度不足や手抜き工事を見抜ける可能性が高まるという。販売後に住宅の欠陥が見つかり、補修や建て替えが必要になった場合、建築主は支払われた保険金で対応することになる。

 今回の事件では、民間検査機関や自治体が、姉歯秀次元建築士による構造計算書の偽造に気づかずに建築確認を出していた。建築物への信頼を回復するために新たなチェック方法が必要との声が出ており、国交省は保険の義務化をめざすことにした。すでに省内にワーキンググループを設け、保険業界の実務担当者も交えて検討を始めており、保険会社が保険を引き受けなかった場合の対応などについてさらに検討する。

 品確法は新築分譲住宅の欠陥に関し、10年間の「瑕疵(かし)担保責任」を定めて、柱など主要な構造に欠陥があった場合、建築主は補修や建て替えに応じるよう義務づけられている。建築主の倒産や資金難に備えて、住宅保証機構による中小業者向けの保険や民間の保険制度もあるが、加入は任意。今回の偽装事件でも分譲マンションの建築主ヒューザー(東京都千代田区)は加入していなかった。

 保険料負担は住宅価格の引き上げにつながるため、住宅業界には慎重論も予想される。また、姉歯元建築士がかかわっていない建物についての国交省の調査で、強度不足が多数見つかった場合、保険料が高くなることもありうる。

 このため国交省幹部は「『第2、第3の姉歯』に拡大しないことや、建築確認時などの点検強化が保険の義務化への前提になる」と話している。国交省は、自治体によっては必要としていない施工段階での中間検査を一律に義務づけるなど、建築基準法の規制を強める方針だ。

 保険は通常、姉歯元建築士による書類偽造のように「詐欺的な行為」があった場合、保険金は支払われない。今回のような偽装マンションの購入者への補償について、国交省は「今回、新たに導入を検討している保険とは別の仕組みで検討することになる」としている。

耐震偽装、月内にも一斉聴取…基準法違反など先行捜査  01/01/06(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁などの合同捜査本部は早ければ1月中旬にも、一斉に関係者の参考人聴取に乗り出す方針を固めた。詐欺罪の適用も検討しているが、当面は、建築基準法、宅地建物取引業法、建設業法などの違反摘発を先行させる。

 一方、解体マンションの居住者を支援する目的で支出した公費を回収するため、国は、各居住者が「ヒューザー」(東京都千代田区)などの建築主に対して持つ損害賠償請求権の一部を譲り受けることを決めた。近く、居住者側との協議に入る。

 合同捜査本部は、耐震偽装は設計、施工、販売などの業者が関与した組織的な行為だった可能性もあるとして、詐欺罪の適用を視野に入れて捜査している。だが、これまでの捜査では、姉歯秀次・元1級建築士(48)以外に、強度偽装を知りながら施工や販売を行った業者は特定できていない。

 このため、年明け後の捜査では、押収資料の分析などで浮上した個々の法令違反の摘発を順次進めていく。当面は、姉歯元建築士の建築基準法違反のほか、施工会社が同法に違反して手抜き工事をしていた可能性や、建築主が強度偽装を購入者に告げなかった宅建業法違反の疑いなどについて、調べを進める。

 一方、国が損害賠償請求権の一部の譲渡を受けるのは、姉歯元建築士の強度偽装により、震度5強程度の地震で倒壊の恐れがあるとされた分譲マンションの居住者たち。該当する物件で既に判明しているのは、いずれもヒューザーが分譲した10件で、国土交通省では、最終的には約20件が対象になると見込んでいる。

 国は、自治体とともにマンションを敷地ごと買い取ったうえで建て替え、再分譲する方針だが、建物の解体や、居住者の移転、移転先の家賃などに多額の費用が必要になるとして、2005年度の補正予算に50億円を計上している。

 国交省はこうした支出を、10年間の瑕疵(かし)担保責任を負っているヒューザーなどに請求する方針だが、建築主に賠償請求できるのは、法的には買い主の居住者に限られるため、居住者と損害賠償請求権の譲渡契約を結ぶことを決めた。国がヒューザーの債務を肩代わりする形で住民に被害を弁済していれば、同社に直接、債務の支払いを求めることができたが、国は「それでは国民の理解が得られない」として、代位弁済の方法を取らなかった。

総研が短期工法で名義借り推薦状…専門外の大学講師名  12/31/05(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)が専門知識のない大学非常勤講師の名義を借りて、自社の勧める短期工法への推薦状を作り、建設業者らに示していたことが、読売新聞の調べでわかった。

 都内の3棟で偽装が判明したビジネスホテル「京王プレッソイン」建築主の京王電鉄が求めたのがきっかけで、その後も建設業者らに工法の安全性を示すために使われたという。総研と大学講師を橋渡しした関係者は「総研に頼まれ、知人の研究者から名前を貸してもらった」と話している。

 推薦状には、総研が勧める短期工法について「法的にも十分な安全性と強度性能を有する」などとして推薦する旨が数行記されていたほか、当時、土木学会コンクリート委員会委員と都内の有名私大講師を務めていた男性の肩書と氏名が印字され、印鑑が押してあった。

 関係者によると、この推薦状は2002年2月ごろ、京王電鉄が総研の指導で1号店の「東銀座」を開業する際、短期工法の安全性を確認するために要求。総研の四ヶ所(しかしょ)猛チーフコンサルタントが、経営指導先だった中部地方の建設会社社長に依頼し、社長の古くからの知人で同社の顧問も務める私大講師に名前を借りたという。

耐震偽造:見逃し自治体担当者も処分検討 国交省  12/31/05(毎日新聞)

 国土交通省は30日、姉歯秀次元1級建築士による構造計算書の改ざんを見逃した地方自治体の建築主事についても、一部で処分を検討する方針を固めた。同省は来月から自治体関係者から経緯を聴く予定だ。

 ◇偽造物件89件に 

 また同日、新たに鹿児島県霧島市のビジネスホテル「サンホテル国分」の偽造を確認。同ホテルは木村建設が施工、県が建築確認を行っていた。これで姉歯氏がかかわった205物件中、偽造が確認されたのは18都府県89件になった。

 同省によると、このうち36件で計25自治体が偽造を見逃していたことが分かっている。各自治体は「偽造は巧妙だった」などと釈明しているが、書類の差し替えなどの単純な手口の見逃しなど審査がずさんな場合は、建築基準法に基づく何らかの処分をするという。同省はこれまでに、偽造物件にかかわった元請け設計事務所、指定確認検査機関などの処分を検討。当初発表の21物件に関係した元請け設計事務所について資格取り消しや業務停止処分を行う方針だ。【長谷川豊】

耐震偽造:木村建設、独断で姉歯氏起用 鉄筋2割減量  12/31/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造が明らかになっているビジネスホテル「アルクイン黒崎」(北九州市)を施工した木村建設(熊本県八代市)が、鉄筋減らしの要求を設計者から断られたために、独断で構造設計者を姉歯秀次・元1級建築士(48)に変更し、その結果、総鉄筋量が2割に当たる48トンも減っていたことが分かった。1平方メートル当たりでは17キロの減量。姉歯氏は国会で「木村建設は(減量の)違法性を認識していたと思う」と証言しており、独断で姉歯氏に変更した経緯は、木村側が違法性を認識していた可能性を示すものとして注目される。

 ◇国会証言裏付け 変更拒否の業者を交代、違法性認識か…北九州のホテルで

 姉歯氏が国会で「木村側から1平方メートル当たり20キロ程度鉄筋量を減らせと圧力を受けた」とする「姉歯証言」とも合致している。警視庁など合同捜査本部もこうした設計変更の過程を把握しており、詳しい経緯などについて調べを進めている。

 同ホテルは11階建て155室。木村建設が関連の営業企画会社(千葉県習志野市)を通じて開業を持ちかけた。経営者は北九州市の菅原不動産。建築確認書類上の元請けデザイン設計事務所は福岡市中央区の「醇建築・まちづくり研究所」となっているが、実際は木村建設の子会社・平成設計(東京都千代田区)が担当。構造設計は、04年6月20日に「塩見」(広島市東区)が受注した。

 「塩見」によると、8月ごろに、平成設計から「柱やはりの鉄筋やコンクリートをもう少し減らせないか」と要望されたという。塩見の構造担当者は「これ以上は無理」と断り、そのままの構造設計で9月30日に納品したところ、延べ床面積2870平方メートルに対する総鉄筋量は245トン、1平方メートル当たりの鉄筋量は85キロになった。

 ところが木村建設は、塩見や経営者にも承諾を得ずに構造設計を姉歯氏に変更。構造計算データを偽造した結果、総鉄筋量は197トンとなり、1平方メートルあたり68キロになった。

 国指定確認検査機関の日本ERI(東京都港区)はこの偽造を見逃し、木村建設が施工した同ホテルは今年6月2日に開業。事件発覚後、ERIは「偽造は確認したが、耐震強度は満たす」などと発表していたが、北九州市の調査で耐震強度が87%しかないことが分かり、同ホテルは12月10日から完全休業している。

「平成設計」も立件へ 昨年3月、偽装認識 姉歯氏供述  12/31/05(産経新聞)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次元建築士(48)が警視庁など合同捜査本部に「平成設計(東京)は昨年三月には偽装に気が付いていた」と供述していることが三十日、分かった。

 平成設計は告発物件には関与していないが、ホテルルートで偽装が発覚した物件の約三分の二で設計を元請けしており、合同捜査本部は昨年三月以降に建築確認が行われた複数の「姉歯物件」にも関与している点を重視、建築基準法違反容疑で平成設計側を立件する方針を固めた。

 姉歯元建築士は昨年三月八日、アトラス設計から地震係数の低減を指摘され、その場で認めたが、平成設計の担当者も同席しており、合同捜査本部の事情聴取に「平成設計は少なくともその時点で偽装に気が付いた」と供述したという。

 元建築士は証人喚問でも、偽装を指摘された際について、「(平成設計などは)単純な計算ミスではなく、意図的な改竄(かいざん)と理解したとみていいか」との質問に「そういうふうに認識していると思う」と答えている。

 平成設計はホテルルートで偽装が発覚した三十八棟中、約三分の二の二十七棟で設計を担当。うち昨年十一月に建築確認した愛知県のホテルや今年三月に建築確認した奈良市のホテルは偽装が指摘された会合の後であることから、合同捜査本部は偽装を認識した上で元建築士に下請けさせていた疑いが特に強いとみている。

 合同捜査本部は任意聴取で容疑を認めている元建築士の建築基準法違反での立件や、マンションルートの施工と実質的な元請け設計として中心的存在である木村建設側に対する同容疑での本格捜査の方針を既に固めており、ホテルルートの中心的な元請け設計会社で木村建設の子会社でもある平成設計側も刑事責任を追及する必要があると判断した。

 平成設計は総合経営研究所(総研)の指揮下にあったとされ、合同捜査本部は、総研が偽装を認識していたかどうかについても平成設計を追及する。

建築行政や業者の情報提供窓口を開設…偽装問題調査委  12/31/05(読売新聞)

 耐震強度偽装事件を巡る行政対応を検証する「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」(国交相の私的諮問機関)は28日、建築行政や業界の関係者から広く意見や情報を受け付ける情報提供窓口を設けた。

 情報は、ファクス(03・5253・8031)、国交省内の同委員会情報提供受付窓口への郵送(〒100・8918)、電子メール(giso110@milt.go.jp)で受け付け、同省ホームページ(https://www.mlit.go.jp/hotline/hotline8001.html)からも入力できる。

 1月5日からは専用電話も設置する予定。

 同委員会では、寄せられた情報を、現行制度の問題点のあぶり出しなどのために活用する。

耐震偽装マンション、東京・稲城市が公費支援を拒否  12/31/05(読売新聞)

 姉歯秀次・元1級建築士(48)が耐震強度を偽装した分譲マンション「グランドステージ稲城」(24世帯)を抱える東京都稲城市が、国が打ち出した公的支援策に伴う財政支出を拒否する意向を、都に伝えていたことがわかった。

 石川良一市長は読売新聞に対し「市に責任はなく、多額の費用を支出する法的根拠がない」と説明している。この問題で、関係自治体による費用負担拒否が明らかになったのは初めて。

 マンションは昨年2月完成。姉歯元建築士の構造計算書改ざんにより、強度は基準の33%しかなく、都は今月16日、使用禁止命令を出している。建築確認をしたのは民間の確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)で、建築基準法上の責任を負う「特定行政庁」は都多摩建築指導事務所(立川市)になる。

 今月6日に国が公表した支援策では、転居先の家賃補助、解体費などの半額を国が負担。東京の場合、残りを都と区市で折半することになり、区市の負担はマンション1件当たり5~6億円になると見られる。

 稲城市は都との協議で「市は特定行政庁にも当たらず、財政負担の法的根拠がない」と主張。国が特別措置法を制定しない限り、市財政からの多額の支出は困難として、財政支出を拒否する考えを伝えた。

 石川市長は、「現状では議会や市民に説明できない。特措法を作らない場合、国と都で負担してもらうのが筋だ」と話している。

姉歯・木村・ヒューザーの刑事責任追及へ 詐欺罪も検討  12/31/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で警視庁と千葉、神奈川県警の合同捜査本部は、建築基準法違反容疑で告発された姉歯秀次元建築士(48)に加え、木村建設(熊本県八代市、破産手続き開始)とヒューザー(東京都千代田区)についても刑事責任を問う方針を固めた。事件の背景にはコスト削減を求める施工業者と建築主の強い意向があったとみられる。姉歯元建築士以外はいずれも偽装への関与を否定しているが、捜査本部は総合経営研究所(千代田区)を含め、他の関係者についても年明けから事情聴取を本格化させ、詐欺罪の適用も検討しながら調べを進める。

 姉歯元建築士は構造計算書を偽造し、耐震強度が低いマンションとホテルの計4棟を建てさせたとして告発された。姉歯元建築士自身も98年ごろから多数の偽装を重ねたと認めている。国土交通省のまとめでは、偽装が確認された建物は30日までに89棟に上る。

 木村建設はそのうち半数を超える建物の施工を元請けや下請けとして担当したほか、国交省が告発の対象とした京王プレッソイン茅場町などでは元請け設計者になっていた。元請け設計者には安全な建物を建てる責任があり、仮に偽装に直接は関与していなくても、危険な建物を建てさせた建築基準法違反に問うことができると捜査本部は見ている。

 姉歯元建築士は偽装に手を染めた動機に関し、木村建設の篠塚明・元東京支店長から「鉄筋を減らすように圧力を受けた」と警視庁の事情聴取に供述している。篠塚元支店長は鉄筋の減量を求めたと国会の証人喚問で自ら認めたが、偽造行為は知らなかったと主張している。

 一方で姉歯元建築士は木村建設がかかわっていない建物でも、多数の偽装を重ねていた。偽装に対する篠塚元支店長の関与の有無とともに、姉歯元建築士が木村建設とは別の建物でなぜ偽装したのかについても捜査本部は調べを進める。

 ヒューザーは10月、耐震強度不足の恐れがある建物が同社の完成済みマンションの中にあると知らされた後も、千葉県船橋市のマンションなどについて売買契約を交わしたことが明らかになっている。宅地建物取引業法は重要な事実を故意に告げないで契約することを禁じており、同法に違反する疑いがある。

 同社はマンションの建築主として建築基準法の適用対象にもなる。しかし、建築主の刑事責任を問うには元請け設計者とは違い、偽装が建築主の故意であることを立証する必要がある。

 さらに総合経営研究所は木村建設などに低コスト工法を勧めたほか、開業指導したホテルに鉄筋の減量を指示したと指摘されており、家宅捜索で押収した多数の資料の分析を進めている。

 耐震強度が不足した建物を建てさせたとする建築基準法違反の罰則は50万円以下の罰金。重要事項を故意に購入者に告げなかった宅建業法違反の罰則は1年以下の懲役か50万円以下の罰金で、ともに行為者個人に加えて法人も罰する両罰規定がある。捜査本部が適用を検討しているのは住民を被害者とする詐欺罪で、罰則は10年以下の懲役となる。

山梨県発注の橋脚工事、鉄筋の留め金が基準の半数  12/29/05(読売新聞)

 山梨県が発注した同県甲州市の橋脚建設工事で、強度を高めるために必要な鉄筋の留め金が国の基準の半分しか使われていなかったことが29日、わかった。民間の検査機関も欠陥を見落としていた。同県は「震度7程度の地震がある程度の時間続けば倒壊の恐れがある」として工事のやり直しを命じ、工事業者3社と検査機関を1~3か月の指名停止処分にした。

 問題の工事は、同市塩山上萩原の国道411号バイパスに新設する橋脚2本のうち1本の建設工事で、総工費約2億8900万円。同市内の建設会社「田辺建設」と「広川工業所」の共同企業体(JV)が受注、甲府市の「坂本建運」が下請けし、昨年12月に着工、今月、完成の予定だった。

 橋脚は高さ27メートルの円柱で、橋の強度を高めるため、柱内に垂直に建てられた鉄筋の棒に、大小2種類のリング状の鉄筋を幅15センチ間隔で水平に重ねていく構造。2種類のリングは棒状の留め金(直径22ミリ)で固定することになっていた。国の基準では高さ12メートルまでの部分にこの留め金が計1280本必要だったにもかかわらず、半分の640本しか使われていなかった。

 今月上旬、県塩山建設部の職員が業者から提出された工事写真で異常に気づき、業者に事情を聞いたところ、「勘違いによるミスだった」と説明したという。

 また、同県指定の民間確認検査機関・社団法人「山梨県建設技術センター」は、今年9月以降、中間検査を含め計3回、検査を行ったが、設計図と実際の工事との違いを見抜けなかった。

耐震偽造:イーホームズ、再検査物件も偽造の判断できず  12/29/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、姉歯秀次元1級建築士の偽造を多数見逃していた国指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)が、事件発覚後に設計会社から提出を受けて再検査した「姉歯物件」の複数物件について、偽造の有無を判断できずに送り返していたことが分かった。「問題なし」と回答したものの、後に偽造と発覚した物件もある。国土交通省は28日、確認検査機関に対する立ち入り調査結果を公表し、ずさんな審査実態が明るみに出ており、民間や自治体の「検査能力そのもの」が問われている。

 同事件は11月17日、国交省が、イー社が20件、東日本住宅評価センターが1件、それぞれ偽造を見逃していたと発表。これに対してイー社は、姉歯氏を使っていた元請けデザイン設計事務所に、他の民間機関や特定行政庁に申請していた物件のリストの公開を求めた。

 これに応じて設計会社は、過去5年分のリストとともに、姉歯物件の構造計算書を提出。イー社は同月下旬、自社で確認検査したものも含め約20物件の再検査結果を返送した。

 これによると、イー社自らが建築確認した都内と近畿地方のホテルについて「OK」と表記。さらに、日本ERI(東京都港区)や行政が確認審査を行った東海地方や関東地方の3ホテルについて「OK?」や「?」として送り返していた。これらのホテルはいずれも、後に国交省などの調べで耐震データに偽造があると判明している。

 こうしたことについてイー社の藤田東吾社長は「早急な返答が必要と考え、問題発覚当時に分かっていた偽造パターンに当てはまるかどうかだけを調べた。再計算は現在行っている最中で、最初の返答だけで『検査機関としておかしい』と言われるのは心外だ」とコメント。設計会社側は「繰り返しやっても白黒の判断もつかないところが、なぜ検査機関として指定を受けているのか分からない」と話している。

 国交省が28日現在で確認している偽造物件は88件。建築確認を通していた検査機関・自治体の内訳はイー社36件▽ERI12件▽他の4検査機関5件▽24自治体35件--となっている。

耐震偽造:姉歯改ざん建物の6割以上、木村建設が施工  12/29/05(毎日新聞)

 姉歯秀次元1級建築士が構造計算書を改ざんしたマンションやホテルの6割以上を、木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)が施工していたことが28日、国土交通省の調べで分かった。姉歯元建築士と木村建設の深い関係が改めて明らかになった。

 同省は今月20日現在で構造計算書の改ざんが判明した78棟を対象に、施工者を調査。計画中で施工者が未定だった8棟を除く70棟のうち、木村建設は▽元請け21棟▽下請け21棟▽他社との共同企業体(JV)2棟--の計44棟(63%)で施工にかかわっていた。下請けした21棟のうち20棟は、別の業者から一括して下請けしていた。

 建設業法は発注者を保護するため、発注者に無断で建設工事を一括下請けさせることを禁じており、同省は適切な手続きがされていたかどうかの確認を急いでいる。

 木村建設が一括下請けしていた建築物には、大手ゼネコンの鹿島(東京都港区)と大林組(同)が受注したホテルも含まれていた。また、分譲マンションの場合は、購入者が下請け業者を知ることが難しいことから、同省は「実際の施工者が消費者に伝わるような方策を検討したい」としている。【渡辺暖】

姉歯氏、建築確認にイーホームズ指定 「楽、早い」と  12/28/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次元建築士(48)が木村建設(破産手続き中)に対し、建築確認は民間の検査機関イーホームズ(東京都新宿区)に申請するよう求めていたことがわかった。姉歯元建築士はイーホームズは審査が甘いと説明していたといい、審査態勢の「不備」を積極的に悪用しようとした姿勢が浮き彫りになった。イーホームズは審査に問題はなかったと主張している。

 姉歯元建築士の偽装が確認された建物は28日時点で計88棟になった。木村建設は総合経営研究所が開業指導した各地のビジネスホテルやヒューザーのマンションなど、このうち半数近くについて施工者やその下請けなどとして関与していた。

 木村建設が姉歯元建築士に設計を委託するようになったのは96年で、姉歯元建築士は98年から偽装を続けたとされる。

 木村建設の元幹部によると、姉歯元建築士は建築確認の申請はイーホームズに出すようにと木村建設の社員たちに指示し、「(審査が)楽、早いから」などと話していたという。

 姉歯元建築士は14日にあった国会の証人喚問でも、イーホームズの審査について「明らかに通りやすいというか、見ていないのが実情だと思う」などと証言していた。

 偽造が確認された88棟のうちイーホームズが建築確認した建物は36棟に上るが、同社はホームページで「審査が甘いから、偽造物件が多いという理由では断じてないと考えている」と説明している。

 また同社の藤田東吾社長は26日、国土交通省が設置した緊急調査委員会から事情聴取を受けた際、同社が個々の建築確認で審査に要した平均日数が26日余りであると明かし、姉歯元建築士の「見ていない」という指摘に反論。併せて現在の制度では偽装を見抜くのは困難だと強調した。

5検査機関で重大ミス、不備あっても建築確認  12/28/05(読売新聞)

 国土交通省は28日、全国に50ある民間の国指定確認検査機関に対する立ち入り検査の結果、5機関で、重大な審査ミスが6件見つかったと発表した。

 国交省はこれら機関の処分も検討する。

 国交省が、10階建て以上のビルの構造計算書などを抽出して調べたところ、横浜市の「ビューローベリタスジャパン」、広島市の「ジェイ・イー・サポート」、大阪市の「技研」、同市の「確認検査トラスト」(以上、各1件)、兵庫県西宮市の「阪神建築確認検査」(2件)で、重要な書類の抜け落ちや、計算書の入力データと構造図のデータに食い違いがあるのに建築確認を出していたケースが見つかった。

 ただ、いずれも故意に構造計算書を改ざんしたケースではなく、強度不足もなかったという。

 このほか、必要な書類の添付を省略していた違反が、「オーネックス」(大阪府茨木市)で8件見つかるなど計15機関であり、帳簿など書類上の不備も17機関で見つかった。

重大審査ミス8件 民間検査機関、規定違反26件に 国交省  12/28/05(産経新聞)

 耐震強度偽装事件で国土交通省は二十八日、指定確認検査機関への立ち入り検査結果をまとめた。構造計算書上で耐震強度が基準を下回っていたのに建築確認するなど、重大な問題のあるケースが七社で八件見つかった。このほか、規定に反して書類の一部を省略していたケースも二十六件確認され、民間検査機関のずさんな審査の実態が改めて明らかになった。国交省は悪質なケースについては行政処分を検討する。

 検査は、国指定と都道府県指定の民間確認検査機関百二十三社が対象。各検査機関から確認済みの物件を十件程度ずつ抽出して構造計算書などを精査したほか、構造審査担当者からのヒアリングや構造計算書の添付書類が適正かどうか調べた。

 このうち兵庫県の未着工のマンションでは、構造計算書上の耐震強度が基準を下回っていたのに建築確認していた。確認申請に提出された計算書が作成途中のものだったことが原因という。

 また、広島県や大阪府の未着工マンションでは、構造計算書のリストの内容と構造設計図の内容が一致していないのに、見過ごして建築確認を行っていた。

 この八件について国交省は検査機関に再確認を指示し、いずれも耐震性に問題がないことを確認したという。

 一方、審査方法についてのヒアリングでは、国指定の五十社中五社の検査員が、構造計算書の一部を省略できる「図書省略制度」について、「知らなかった」と回答した。

 こうした制度自体への甘い認識の中で、省略制度の要件を満たしていないのに構造計算書の一部を省略したまま審査していたケースが二千五十八件中二十六件(十二社)あった。この二十六件のうち十三件は構造計算書に必要な一貫した認定番号もなく、国交省は建物の安全性に問題がないか、確認を指示した。十一件は現在も調査中という。

 国交省は検査結果について、「残念な結果だ。コンピューターの入力と出力だけ見ればいいという、大臣認定プログラムに対する過信があったのではないか」としている。

問題建築確認は計8件 耐震不足の見逃しも  12/28/05(共同通信)

 耐震強度偽装問題で国土交通省は28日、建築確認を担当する民間の指定確認検査機関123社を立ち入り検査した結果を発表した。建築主から出された構造計算書の算定結果に不備があるにもかかわらず、見逃して建築確認を出すなど7機関で計8件の重大な問題があった。

 国交省は「残念な結果だ。制度的な改善をしたい」と述べた。

 うち兵庫県の未着工のマンションでは、一部の階で構造計算結果の耐震強度が基準を下回っていたにもかかわらず、阪神建築確認検査(兵庫)が建築確認をしていた。

 国指定で問題があったのは、計5社で6件。計429件の建築確認を抽出し調査した。都道府県指定の確認検査機関2社でもそれぞれ1件ずつ問題があった。

 8件については国交省などが、再計算や書類の再提出を求めた上で安全性を確認した。同省は過失で偽造の可能性は低いとみているが、設計事務所や施工業者から事情を聴き処分が必要か検討する。

国分・ホテル偽装 再計算、独自に実施を
鹿県内専門家 現行制度の限界指摘  12/28/05(南日本新聞)

 霧島市国分中央3丁目の「サンホテル国分」の構造計算書が偽造された問題で、県は2度、偽造を見抜けなかった。建築確認した1999年と、偽装問題発覚後に再点検した今年11月。偽造を前提とした審査をしない確認制度の盲点を突かれた格好。問題が明らかになった27日、県内の専門家からは「再点検時に独自に十分な対応をしていれば」と、指摘する声も聞かれた。

 「想定外の偽造で見抜くのは不可能」。安藤恒次県建築技監は同日の会見で言い切り、県の責任を否定した。

 県の委託を受け再計算した県建築構造設計事務所協会は、構造図面と計算書を照合したが、「異常はなかった」と偽造の精巧さを認めた。ただ、コンピューターソフトにデータを入力し再計算すると、すぐに偽装の疑いは確認できたという。

 県の建築確認では、構造計算書の鉄筋量などを部分的にチェックする。全体を再計算する仕組みはない。再点検では、計算書のページ差し替えなど国土交通省が示した偽装手口を、1級建築士を含む複数の職員が3日間、書類で確認。同ホテルに該当するものはなかったという。

 国交省によると、25日までに確認された構造計算書の偽造物件は85。うち行政が建築確認したのは33。見逃しは鹿児島に限らない。

 鹿児島大学の皆川洋一工学部長(構造力学)も、「偽造を前提に審査しない現行の建築確認制度の限界」と指摘する。だからこそ「再点検時、安全性を重視し独自に構造の専門家に外注すべきだった」と批判する。

 偽装問題の発覚以降、構造計算の再計算に取り組む自治体が出始めた。抜き打ちで再計算する方針の自治体もある。鹿児島県は建築確認の人員を増やし、より詳しく審査する方針。

 「国の対応待ちでなく県独自の改革も必要」。皆川学部長はこれを機に、実効性ある検査体制の確立を求めた。

抜き打ちでも、イーホームズが確認した物件をチェックしたほうが問題物件に当たる可能性は高いだろう。

見抜けなくとも過失はないと思いながら検査すれば楽である。数をこなすことのみに専念できる。

建築確認検査機関の取消しを受けない限り、社長の発言の通り、制度が悪い、騙す人間が悪いと 言いながら、問題がある物件に対しても検査確認を出していくのだろう。

国は手抜き工事の存在を認識したうえで、建築確認の制度を廃止し、新たな検査制度をつくるべきだ。 耐震偽造マンションのケースのように、税金を使うことがないような検査制度を作るべきだ。

大阪市 抜き打ち検査 耐震偽装  12/28/05(産経新聞)

構造再計算 2月から新築物件で

 耐震強度偽装問題を受けて大阪市は二十八日、五階建て以上の新築分譲マンションについて、来年二月から、市や指定確認検査機関で建築確認された物件のうち一割を、無作為に抽出し、構造再計算を行うと発表した。

 市によると、構造計算書などの偽装防止が狙い。調査の結果、建築基準法に適合しないことが判明した場合には、工事停止などの措置を取る。初回は来年一月に建築確認したものを二月に抽出して再計算を行う。

 新築分譲マンションの建築確認は年間百六十件前後あるという。

 また市は同日、過去十年間に建築確認された建築物のうち、「平成設計」が関与した二ホテルについて、再計算の結果、建築基準法に適合していると結論付けた。

 安全性が確認されたのは、いずれも市が建築確認した「ヴィアイン新大阪」(大阪市東淀川区)と、市内のもう一棟(建築主の了解がないためホテル名は非公表)。

 ヴィアインの系列ホテルの「ヴィアイン新大阪ウエスト」ではすでに、強度偽装が発覚している。

伊藤元国土長官の政治団体、寄付5900万を裏金処理  12/27/05(読売新聞)

 元国土庁長官の伊藤公介衆院議員(64)の資金管理団体などが1990~2002年、後援会から受けた寄付計5964万円を政治資金収支報告書に記載せず、裏金として処理していたことが分かった。

 伊藤議員は後援会の元幹部に寄付するよう指示し、一部は自ら受け取っていた。

 伊藤議員事務所は、02年の寄付計146万円については収支報告書を訂正しているが、政治資金規正法に抵触する恐れがある。

 伊藤議員側に資金提供していたのは、東京・西多摩地区の会社経営者らを会員とする政治団体「西多摩夏冬(かとう)会」。

 夏冬会を発足させた後援会元幹部によると、伊藤議員支援のため夏冬会を設立した90年から95年まで、会費収入から計4200万円を伊藤議員の事務所口座に振り込んだという。

 夏冬会は同年、いったん解散したが、96年11月に国土庁長官に就任した伊藤議員の要請に応じ、97年に再結成。議員側への寄付も再開し、元幹部らが東京・永田町の議員会館内の事務所などで直接、議員や秘書に現金で渡した。

 資金提供は再結成から02年まで計1764万円に上り、伊藤議員側はこの間、資金管理団体「東京公友会」や同議員が代表を務める「自民党東京都第23選挙区支部」の領収書を元幹部らに渡していた。秘書給与詐欺など「政治とカネ」を巡る事件が相次いだため、夏冬会は資金提供をやめ、再び解散した。

 伊藤議員側は90年から02年まで、関係する政治団体の収支報告書に夏冬会からの資金提供を全く記載せず、夏冬会も伊藤議員側への支出を収支報告書に記載していなかった。

 伊藤議員事務所は、「02年分の寄付は政治団体間の事務手続き上の問題で記載漏れがあったことが判明したので修正報告をした。その余の分は事実関係を確認する」としている。

朝日新聞(12/27/05)より

「構造計算ソフト問題」耐震偽装国交省聴取 イーホームズ反論

鉄筋データ偽造業者を捜索 宮城県警  12/26/05(産経新聞)

 大手ゼネコンの大林組が仙台市で施工したマンションの建設工事で、下請け業者が鉄筋をガス圧接した部分の強度試験をせずにデータを偽造していた問題で、宮城県警捜査2課と仙台南署は26日、有印公文書偽造と同行使の疑いで宮城県亘理町の下請け業者など数カ所を捜索した。関係書類を押収し、偽造の実態を解明する方針。

 大林組によると、試験機関の県産業技術総合センターが試験を実施したように見せ掛けて業者がデータを偽造。大林組に「検査に持ち込む時間がなかった。試験手数料を着服しようと考えていた」と話していたという。

 宮城県は5日、仙台市内のマンション建設工事で、県産業技術総合センターの「試験等成績証」を偽造したとして、仙台南署に告発状を提出していた。

 ガス圧接は、鉄筋同士に高温高圧をかけて接ぐ方法。金属同士を溶かして接ぐ溶接とは異なる。(共同)

ヒューザー、借りた名義で施工 保証能力の不足が背景  12/26/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、ヒューザー(東京都千代田区)がマンションを建設した際、無関係の建設会社に形式的な「施工者」になるよう依頼し、実際には木村建設(破産手続き中)に施工させていたことがわかった。マンション建設では建築主が倒産して購入者に手付金を返すことができない事態に備え、施工者が連帯保証することが多い。建設会社の名前を借りたのは、ヒューザーと木村建設が一緒に手がけた物件が多すぎて保証能力に疑問符がついたためとみられる。

 このマンションは千葉県市川市のグランドステージ下総中山。名目上の施工者は太平工業(東京都中央区)で、02年4月から03年2月に工事が行われた。

 関係者によると、競争入札には太平工業も参加したが木村建設の受注が決まった。ところが、「木村建設はマンションの買い主が支払う手付金の連帯保証人になれない」として太平工業に対し、形式的な施工者になってほしいとの依頼がヒューザーからあったという。

 木村建設は「施工協力」の形で工事に加わり、実質的に施工を担当した。太平工業は名義を貸し、連帯保証するリスクを負う代わりに対価を得たとされる。

 太平工業の関係者は受け取ったのは「手数料」だと説明し、「(名義貸しの)依頼があったのは手付金保証の能力を買われたからではないか」と話している。

 同じような例は川崎市川崎区のグランドステージ江川でもあった。名目上の施工者は松村組(本社・大阪市、民事再生手続き中)東京本店で、実際には木村建設が施工を担当した。

 松村組によると、同マンションの施工をめぐっては「松村組は一切の責任を負わない」という趣旨の文書を同社、ヒューザー、木村建設の3者で交わしているという。

 不動産業者が購入者から手付金を受け取る際、手付金の額が売買価格の5%を超える場合などは保証会社と契約するなどし、手付金を保全するよう宅地建物取引業法で義務づけられている。

 建築主が倒産するなどし、購入者にマンションの引き渡しや手付金の返還ができなくなる事態に備える措置だ。保証会社と建築主は事業ごとに契約し、元請けの施工業者が連帯保証に入ることが多い。

 保証会社は建築主や施工会社の実績や財務力など様々な点を審査する。建築主が短期間に同じ施工業者に集中発注し、建設中の物件が増えると審査を通過できないことがある。

 ヒューザーのマンションは計62棟。99年に完成したグランドステージ池上以降の計45棟についてみると、木村建設が実質的に施工した建物が4割近い17棟に上っている。

「責任論は不思議」イーホームズ社長主張…緊急調査委  12/26/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題について行政の対応を検証する「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」(国土交通相の私的諮問機関)の第2回会合で、26日、偽装を見逃した民間の2指定確認検査機関と2自治体に対するヒアリングが行われた。

 この中で、35物件の偽装を見逃した「イーホームズ」(東京都新宿区)の藤田東吾社長は、「確認検査機関の見逃しが問題となっていることが不思議でならない」「(鉄筋が多い少ないといった)設計上の視点は必要なく、構造審査では設計図と構造計算書の整合性を見ればいい」などと、独自の主張を展開した。

 これに対し、会合終了後、委員の一人は「設計が法の求める強度を満たしているかをチェックするのが検査機関の仕事のはずだ」と指摘。国交省幹部も「書類の不備をチェックするだけでいいなら、検査機関は必要ない。国民の求めているものとはかけ離れた議論だ」と批判した。

 この日のヒアリングには、「日本ERI」(港区)の鈴木崇英社長と、愛知県の担当理事や東京都台東区の担当部長も出席し、「現行の建築確認制度では偽装は見抜けない。早急に制度を見直してもらいたい」と訴えた。

耐震偽造:建替え支援負担、反発自治体が国提訴の構え  12/26/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、国が自治体にも費用負担を求める分譲マンションの建て替え支援策に、東京都などから「責任は国にあり、自治体に費用負担させるのはおかしい」との意見が相次いでいる。国は「緊急事態」を理由に、責任分担などをめぐる議論を後回しにしているが、一部の自治体は国相手に訴訟を起こす構えも見せている。

 支援策は、耐震強度が基準の5割に満たない分譲マンション10棟が対象。補正予算を組み、自治体のまちづくりを国が支援する「地域住宅交付金」制度を利用し、解体やマンションの共同部分整備などを公費で行う。費用負担は自治体が55%、国が45%。特別措置法を制定せずに、既存の制度を使う理由について、国は「緊急性」を挙げている。

 10棟のうち9棟の建築確認は民間の「イーホームズ」が出しているが、国が自治体側にも責任分担を求める根拠の一つは、最高裁が6月に出した「民間検査機関による建築確認は、地方公共団体の事務」とした決定だ。

 一方、自治体側は「建築確認制度に不備があり、責任は国にある」との考えが強く、国が「支援は賠償ではない」としたまま、自治体に費用負担を求めることに反発が広がっている。

 石原慎太郎都知事は22日の会見で「暫定措置で(支援策を)受け入れた。この問題は特別立法しない限り片付かないと思う。(地方自治体から)訴訟起こされたら国は負ける。国の責任なんだから」と発言。横浜市の中田宏市長と川崎市の阿部孝夫市長も「自治体に過失がないのに公費を支出すれば、住民訴訟を起こされる。自治体に負担を求める法的根拠を示して」などと国に要望している。

 国は「住民の生命や財産を守るのは行政責任」と説明し、地域住宅交付金を使っての支援を通常の行政施策の延長線上にあるとの立場だ。しかし、都は「国の対応によっては、自治体が負担したものを請求するなど訴訟も辞さない」と強い姿勢を見せている。【渡辺暖】

 ◇地域住宅交付金

 地方公共団体の自主性と創意工夫を生かし、住宅の整備や居住環境整備など地域の暮らしをトータルに支援する制度として今年度に創設。自治体から提出された計画の妥当性などを審査して国土交通省が配分額を決めるもので、9月中旬に全国221計画に計1089億円を配分することが決まっている。最も配分額が大きいのは東京都の247億6800万円。費用負担は自治体が55%、国が45%と決まっている。

「姉歯」23物件、大手から木村建設に“丸投げ”  12/25/05(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)による偽装が判明した85物件のうち、少なくとも23物件の施工は、元請けのゼネコンなどから木村建設(熊本県八代市、破産)に一括下請負(丸投げ)されていたことが国土交通省の調査で分かった。

 元請けには鹿島(東京都港区)などの大手ゼネコンも含まれている。マンション購入者にとっては実際の施工者が分からないうえ、建築に欠陥があった場合の責任の所在も不明確になるため、国交省は、民間の“丸投げ”について何らかの規制を行うことも視野に入れ、実態調査を進める方針だ。

 工事をそっくり下請けに出す“丸投げ”は、公共工事では中間搾取などを招くとして建設業法などにより禁じられている。しかし民間工事では、発注者が書面で了承すれば認められており、元請け業者は監理技術者1人を常駐させるだけで、全体の工程管理などを含めてすべて下請けに出すことが許されている。

 85の偽装物件のうち、25物件は木村建設が元請けとなっていた。その他については、実際の施工者は建築確認申請の書類では分からないため、国交省が元請け業者を通じて調査を進めているが、これまでに12社が計23物件の施工を木村建設に“丸投げ”していたことが判明している。

 姉歯偽装物件のうち、分譲マンション「グランドベイ横浜」(横浜市)と「グランドステージ町屋」(東京都荒川区)の施工元請けは中堅ゼネコン「東鉄工業」(新宿区)だった。だが実質的に施工したのは木村建設。東鉄工業は「建築主のヒューザーの意向で木村に下請けに出した。当社がどこまで工事にかかわったかは調査中」としている。

 ホテルでは、「プラザホテル舞鶴」(京都府舞鶴市)の元請け施工者が鹿島、「ヴィアイン新大阪ウエスト」(大阪市)が大林組(東京都港区)だが、実際の施工者は木村建設だった。

 鹿島は「建築主の不動産業者から『欠陥があった場合の責任は木村に負わせる。ポイントで監理をしてくれればいいから元請けになってほしい』と頼まれ、建設費の数%を受け取る契約で応じた」(広報室)と話しており、責任の所在のあいまいさが浮き彫りになっている。鹿島は、現場に技術者1人を月数回派遣しただけで、鉄筋不足などには気付かなかったとしている。

 “丸投げ”が横行しているのは、各業者にメリットがあるからだ。マンションなどの建築主は「有名ゼネコンが手掛けた」などとPRできる。元請け業者は「監理料」が得られる上に、工事実績を上げることができる。また下請け業者も、大手の下に入ることにより大型物件の受注が可能になる。

 しかし、マンションの購入者らにとっては、大手が施工したと信じて購入したマンションが、実は別の業者が手掛けていたという事態が起きるため、「実質的に工事を行った業者名を表示させる仕組みなどを検討すべきだ」(国交省幹部)との指摘も出ている。

国の「不作為」に言及 耐震偽装で武部自民幹事長  12/25/05(朝日新聞)

 自民党の武部勤幹事長は25日、テレビ朝日の番組で、耐震強度偽装事件について「(国や自治体の責任は)大きい。違法性、不法性の監視、摘発、告発をさぼっていたということは明確じゃないか。責任に応じて補償などの対応をするべきだ」と述べた。国の法的責任について「不作為という問題がある」と踏み込み、与党としてマンション住民らに対する公費投入による支援を強く求めた形だ。

 「住民に政府はどの程度補償するのか」との出席者の質問に答えた。マンション住民の「自己責任」もあると述べつつも、「建築確認制度があるのに何で放置されたままになっていたのか。責任をだれがどの程度負うべきか」について解明すべきだとの考えを示したものだ。

建築基準法を大幅に変えればよい。 建築確認を各自治体の事務とするのか、国の権限にするのか、決めればよい。 専門性が要求されるのであれば、各自治体の事務の扱いは無理だろう。 やはり国の専門家が抜き打ち的なチェックを全国規模で行うしかないであろう。

税金を使うのは反対である。問題を放置しておいて、建築基準法の話を出して 言い訳するは不適切。なぜ、建築基準法の問題点や各自治体のチェック能力に ついて指摘されることがなかったのか。これが日本の問題である。

建築確認、自治体の審査能力調査 耐震偽装で国交省方針  12/25/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装事件で、国土交通省は、建築確認を出す権限のある約400自治体の審査能力を調査する方針を固めた。24自治体が姉歯秀次元建築士の構造計算書の偽造に気づかずに建築確認を出していたことを受け、構造設計の審査担当者数や構造計算プログラムソフトの有無、構造計算書の保存期間を都道府県を通じて尋ねる。自治体の審査体制強化を促す狙いで、偽装を見逃した自治体については、直接事情を聴く。

 国による自治体の審査の実態調査は初めて。国交省は来年2月までに結果をとりまとめ、審査方法の見直しを進める。

 国交省などによると、11月現在で建築確認を出せるのは、47都道府県と370市区町。計約1900人の「建築主事」という職員が、建築主から出された申請を最終的に確認している。

 法改正で建築確認業務が民間開放された99年以降、自治体の確認件数は減っているが、04年度でも約33万件にのぼる。

 ただ、建築主事や補助の職員は、必ずしも構造設計の専門教育を受けてはいない。審査は書類の様式や、景観条例など地域ルールとの整合性の点検が中心で、多くの場合、構造計算書の中身は詳しく調べていないのが実情という。

 また現状の建築確認制度は審査時に構造計算書の再計算を求めていないため、相当数の自治体が構造計算ソフトを持っていないとみられている。国交省は姉歯元建築士の関与物件について26日までに回答を求めているが、東京都足立区や中央区、名古屋市など9自治体はソフトがなく、報告が遅れる見通しという。

 こうした結果、姉歯元建築士が構造計算書を偽造した85棟(22日現在)のうち、24自治体が計33棟の偽装を見逃していた。

 現在の建築基準法では、審査体制の不備が確認できても、実際に危険な建物がないと、国交省は改善策を指示できない。建築確認は各自治体の事務で、国の権限は一部に限られるためだ。今回の調査後の対応も「助言」にとどまるが、国交省は今回の偽装事件による建築行政への不信感の高まりを懸念しており、調査を通じて、各自治体の審査能力向上をめざす意向。審査体制強化に関連し、次期通常国会で、自治体への書類保存の義務づけなどを建築基準法改正案に盛り込む方針。

 国交省と都道府県は、民間検査機関に対して立ち入り検査をしている。

耐震偽造:総研短縮工法「土木学会」推薦で拡大  12/25/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件に絡み、警視庁など合同捜査本部の家宅捜索を受けた総合経営研究所(総研)=東京都千代田区、内河健社長(72)=が推奨するコンクリート工法について、既に解散した土木学会小委員会の委員名で推薦状が作成されていたことが分かった。学会の研究内容と総研の工法とは無関係だったが、総研は委員に作成を依頼し、複数の建築主に配ったことを認めている。推薦状を受けた京王電鉄はこの工法でホテルのシリーズ化を進め、3棟が休業に追い込まれた。委員は「推薦状を書いた覚えはない」と否定している。

 推薦状は02年に作成され、総研が指導するコンクリートの超短期化工法、システム型枠工事などについて、法的にも十分な安全性と強度性能を有する▽実績的にも良好▽安全性も高く、経済的--などとして「推薦するしだいである」と結んでいる。「土木学会コンクリート委員会自己充填(じゅうてん)型高強度高耐久コンクリートを用いた構造物の性能照査法検討小委員会委員」の肩書で、鬼頭誠・慶応大講師(当時)の実名が記載されている。

 しかし、同委員会は01年6月に解散しており、研究内容も総研の工法とはまったく無関係だった。

 京王電鉄は総研に持ちかけられ、02年2月の「東銀座」を始め、今年10月の「大手町」まで「京王プレッソイン」シリーズ計7棟を開業した。うち、木村建設(熊本県八代市)が施工した5棟が総研の推奨工法で建てられており、「池袋」「五反田」「茅場町」の3棟が耐震強度に問題ありとして休業している。

 総研によると、この工法は通常10~14日かかる1フロア分のコンクリート工事を4~6日に短縮するもの。総研幹部は「プレッソイン1号店(東銀座)か2号店(神田、03年6月開業)のころ、京王から要請があり、SG(総研グループ)会員ゼネコンを通じて、鬼頭氏に推薦状を出してもらった。他にも強度に不安を訴えた複数の建築主に、この推薦状を提示した」と説明している。

 ◇本人は否定

 鬼頭氏は毎日新聞の取材に「総研など知らないし、推薦状を書いた覚えもない」と話している。

 土木学会コンクリート委員長の丸山久一・長岡技科大教授は「土木学会が一企業に推薦状を出すことはない」と話している。【松岡洋介】

耐震強度偽装問題 内河所長側に多額還流  12/25/05(産経新聞)

「平成」から1億4000万、関連3社に「企画料」

 耐震強度偽装問題で、総合経営研究所(東京)が開業指導したホテル建設に絡み、内河健所長(71)が関係する三社が、設計を担当した平成設計(同)に、過去五年間で少なくとも約一億四千万円を「企画料」として請求していたことが、二十四日分かった。平成設計は三社と契約を交わしていない。平成側は「仕事を紹介された『仲介料』」と証言、総研側からの請求との認識を示している。ホテル事業主が設計事業を平成設計に発注したのは総研側の強い意向だとされるが、内実は、平成設計を使うことで内河所長側に多額の資金が流入するシステムになっていた疑いが出てきた。

≪「企画」契約はなし≫

 平成設計の親会社である木村建設(熊本、破産)が衆院国土交通委員会に提出した資料の分析などから判明した。

 資料によると、平成設計に請求していた内河所長の関連三社は、「内河(ないがわ)」(東京)、「栄光企画」(福岡)、「丸安エビスビル」(札幌)。

 平成設計に残された請求書によると、内河は平成十三年から十四年にかけて、広島県や愛知県豊田市など六件のホテル開業の際、計約三千四百万円を「企画料」名目で平成設計に請求していた。栄光企画は十四年から今年にかけて、栃木県小山市や神奈川県厚木市など十四件のホテル開業で計約八千百万円を、丸安エビスビルも十二年から十五年にかけて約二千六百万円を請求していた。

 関係者の証言では、平成設計と三社の間には「企画料」名目で交わした契約はなく、総研側から三社の送金先の口座を指定されていたという。

≪「総研から」と認識≫

 登記簿によると、内河の登記上の本店は、平成設計と同じ総研ビル。法人登記変更前の代表取締役は内河所長の元妻で、監査役は内河所長本人だった。栄光企画は、内河所長が昭和五十三年の設立直後から今月八日まで代表取締役に就任。丸安エビスビルについては、グループ会社の監査役を内河氏が務めており、いずれも内河所長と深い関係が認められる。

 平成設計関係者の証言では、同社が設立された平成元年以降、総研から仕事の紹介を受けた際には、設計料の25%を総研側に支払っていたという。関係者は「平成設計は総研の意向で設立された会社だから、総研側への(25%の支払いは)仕方がないと思っていた」と話す。

 総研は「平成からのキックバックといわれるような金額が送金されたという事実は、総研としてこれまでのところありません」と否定。だが、実際は総研本体ではなく、内河所長の関連会社が“仲介料”を請求していた疑いが浮上した。

 今回判明した計約一億四千万円についても、平成関係者は「総研側への仲介料」との認識を示している。表に出ない方法で、内河所長側に資金が流れるシステムになっていた疑いがある。

 内河所長は証人喚問で、内河や丸安エビスビルとの関係を「不動産を探して持ち込んでくれた人たちの集まり」などと説明した。だが、自身が役員だったことなど“深い関係”については明かしていなかった。

≪なぜ平成なのか≫

 「総研の優等生」といわれた木村建設が離反後も、子会社の平成設計は総研の仕事を受けていた。その平成から姉歯秀次元建築士(48)に構造計算が下請けに出され、偽装されていた。

 総研が開業指導したホテル建設の設計に平成設計を使うのは、総研側の強い意向だったとされる。木村建設と同様に総研の経営指導を受け、総研からホテル建設の工事を受けた建設会社は「設計は平成に決まっていた」と証言している。

 総研が推薦して平成設計に設計業務が発注され、その平成に、内河所長が関係する企業から「企画料」名目の請求がなされていたわけで、平成設計が入れば内河所長側に資金が流れる独特のシステムになっていたことが判明した。

 平成設計側にはこれが“上納金”と映っていたようで、「総研から仕事を受けると仲介料が高くてかなわない」(関係者)と独自受注の仕事を増やそうとしていた。実際、独自受注した北九州市のホテルの建築確認申請では、近くに総研指導ホテルがあって総研に知られるのを嫌がってか、別の設計事務所の名を借り、自社の名を隠したほどだった。

耐震偽装 木村社長、姉歯氏と接触 複数回、報酬額など交渉  12/25/05(産経新聞)

 耐震強度偽装事件で、木村建設(熊本、破産)の木村盛好社長(73)が姉歯秀次元建築士(48)と複数回にわたり、東京・新宿の同社東京支店で会合を持っていたことが二十四日、関係者の話で分かった。姉歯氏は衆院国土交通委員会の証人喚問などで、同社の篠塚明元東京支店長(45)から「鉄筋を減らすよう指示された」と証言。木村社長は姉歯氏を「あまり存じていない」と証言しているが、木村社長と姉歯氏の具体的な接点が明らかになったのは初めて。

 偽装事件の刑事責任の所在を調べている警視庁など合同捜査本部も、木村建設と姉歯氏の関係の経緯を重視しているとみられ、両者の会合でのやりとりや関係を解明していくものとみられる。

 関係者によると、木村社長と姉歯氏はここ数年以内に二、三回、東京支店内で会い、姉歯元建築士が下請けで構造計算を担当する際の報酬額などについて話し合ったという。こうした場には篠塚元支店長も同席していたとみられる。

 木村建設は「ホテルルート」「マンションルート」いずれについても、多くの偽装案件に関与していたことが判明している。コストダウンを売り物にした総合経営研究所(東京)の手法に習熟した後、総研と離反し、ホテルからマンションへと受注の軸足を移動させたことが偽装の拡散を招いたとみられている。

 同社と姉歯氏は次第に関係を深め、証人喚問では、篠塚元支店長が平成十四年八月から十五年八月ごろの間、営業経費に回すため、姉歯氏から七回にわたって計約二百二十万円の架空発注費を受け取っていたと認め、相当親密な間柄だったことをうかがわせた。

 会合はこうした時期に持たれたとみられており、「木村」「姉歯」の強固な結び付きが改めて明確になった。

 木村社長は十一月二十九日の参考人招致で、架空発注費の授受について「すべて東京支店に委任しているので全く知りません」と答弁。証人喚問では、姉歯元建築士との関係について「あまり存じておりません」と述べていた。

 警視庁などの合同捜査本部は同社本社と東京支店を連日捜索するなど重点的に捜査。同社が偽装事件で果たした役割の全容解明を急いでいる。

                  ◇

 ■元支店長が姉歯氏をヒューザーに紹介

 姉歯元建築士による最初の偽装とされる「グランドステージ池上」をめぐり、建築主のヒューザーに姉歯氏を紹介したのは木村建設の篠塚元東京支店長だったことが二十四日、木村建設元幹部の話で分かった。元幹部は姉歯氏について「融通が利き仕事が早い。高額な構造計算料を求めてくるわけでもない。使い勝手の良い建築士という評価だった」と話している。

 木村建設は平成十一年完成の「池上」建設以前に数件しか姉歯氏に発注していなかったといい、元幹部は「姉歯氏が証人喚問で『当時の仕事のほとんどが木村建設からだった』と証言したのは事実ではない」という。

 元幹部によると、篠塚氏は十年ごろ、「池上」の設計に際し、ヒューザーに「姉歯氏でやらせてほしい」と伝え、姉歯氏を「仕事が早い」と紹介。ヒューザーはその後、木村建設以外の仕事でも姉歯氏に仕事を直接依頼するようになった。当初はヒューザー側から篠塚氏らに「姉歯氏に構造計算を頼みたいが」と連絡があった。

 だが次第にヒューザーは断らずに姉歯氏を使うようになった。元幹部は「ヒューザーと姉歯氏との直接の関係が続いていたことを、木村建設は把握していなかった」としている。木村建設で姉歯氏と面識があったのは約十人だが、交渉窓口は主に篠塚氏だったという。

偽装の自治体調査が難航、ソフト・人手なく  12/24/05(読売新聞)

 姉歯秀次・元1級建築士(48)が関与した全国209件の建物について、偽装の有無を調べる自治体調査が、最終段階を迎えて難航している。

 当初、国土交通省は今月1日をめどに調査を終えるよう指示していたが、24日現在、27件が調査継続中。このうち13件は、同省から「最終期限」と指定された26日までに結果を出すのは絶望的な状況だ。

 偽装発覚の直後、同省は姉歯元建築士が関与した全物件について、構造計算書が改ざんされていないかどうか調査するよう全国の自治体に指示。当初は単純な手口の改ざんを念頭に確認を求めていたため、締め切りを12月1日に設定した。

 ところが、その後、次々と新手の手口が判明。いったん“偽装なし”と判断された物件が、“クロ”になるケースも続出したため、回答期限を26日に延長。手計算ではなく、構造計算プログラムソフトなどを使って再計算するよう指示していた。

 締め切り目前の24日現在、調査対象209件のうち85件で改ざんが見つかり、80件は“シロ”と判明。しかし、関係資料が紛失するなど調査困難なものが17件、残りの27件もまだ調査が終わっていない。

 このうち、東京都足立区、葛飾区、新宿区、大田区では各2件、中央区、文京区、品川区、豊島区、名古屋市は各1件と、計9自治体の13物件が、最終期限の26日までの報告は無理な見通しという。

 9自治体は、いずれも構造計算ソフトを持っておらず、自力で再計算できない。外部の専門家に発注しているが、足立区の場合、いまだに依頼先が見つからない状態。同区は「偽装物件が首都圏に集中しているためか、数社に頼んだが断られた」と説明。文京区も「当初、偽装は単純なものという認識しかなく、出遅れた」と話す。

 また、姉歯元建築士が関与した物件を6件抱え、このうち「グランドステージ茅場町」など3件で改ざんが見つかった中央区は「偽装マンションの住民に連日のように説明会を開いており、忙しくて手が回らない」と説明する。

 調査が遅れている13件のうち、11件は自治体が建築確認した物件で、民間の指定確認検査機関が担当した物件は2件だけ。国交省幹部は「自分たちが建築確認した物件で、また偽装を見逃したらと、慎重になっているのかもしれない」とみている。

 13件のうち9件については、住民らに対して調査対象物件であることは自治体が伝えているというが、国交省は、「シロかクロか分からない状態がいつまでも続くのは住民の方に申し訳ない」として、各自治体に一日も早い回答を求めている。

福岡市の耐震偽装調査、1/3で構造計算書不明~安全確認困難に  12/24/05(読売新聞 九州発)

 耐震強度偽装事件で、福岡市が独自調査している木村建設(熊本県八代市、破産)や不動産会社・シノケン(福岡市)が関与したマンションやホテルなどのうち、調査開始から約1か月が過ぎても約3分の1で構造計算書が見つかっておらず、偽装の有無が確認できない恐れがあることがわかった。

 多くが建築士法で義務付けられた5年間の保存期間を過ぎており、廃棄か紛失したものもあるとみられる。計算書が残っていない場合、建物の安全性の確認も困難になり、関係者は「法の不備だ」と指摘している。

 市建築局によると、調査対象は、木村建設関連19件、シノケン関連33件、福岡県西方沖地震による半壊マンション8件(うち1件は木村建設関連と重複)の計59件。

 このうち、民間検査機関「日本ERI」が建築確認した16件は同社が構造計算書を調査し、偽装は確認できなかったと市に報告。残りの43件は市が建築確認したが、大半が市の文書保存期間(3年)を超えていた。このため、市は11月24日から12月2日にかけて、建築主や設計会社などに計算書など設計図書の提出を要請。20日現在、「探しているが見つからない」などとして22件の書類が提出されていない。

 建築士法では、構造計算書などの作成後、設計した建築士事務所に5年間の保存を義務付けている。しかし、市建築局によると、未提出のうち17件は1999年度以前に建築確認を受けて5年以上が経過、廃棄や紛失の恐れがあるという。

 シノケンは「保存期間を過ぎた計算書は、紛失しているかもしれない」としている。

 計算書などがない場合、エックス線を使ったり、壁を削ったりして鉄筋の本数や太さなどを調べなければ耐震強度を確認できず、一棟につき数百万円の費用がかかるという。NPO法人・福岡マンション管理組合連合会の杉本典夫理事長は「何十年も住むマンションの重要書類の保存期間が、たった5年なのは法の不備」と指摘している。

 市建築局は「調査対象は安全性を確認する必要があり、引き続き計算書などの提出を求めたい。書類が残っていない場合、どのように対応するかは、今後検討したい」としている。

耐震偽造:姉歯氏、相場の4分の1で契約  12/24/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)が相場の「4分の1」という異常に低い金額で、木村建設(熊本県八代市)の構造計算を請け負っていたことが、姉歯氏と取引があった建築関係者の証言で分かった。姉歯氏はこれまで「仕事の9割が木村建設に占められており、生活するために断ることができなかった」と話していた。こうした事実は警視庁などの合同捜査本部も把握しており、木村建設から強い圧力がかかっていた重要な証拠とみて、捜査を進めている。

 関係者によると、マンションの構造計算料金の一般的な相場は「1平方メートルあたり500~600円」とされる。この関係者は数年前に姉歯氏と契約。その際、姉歯氏から「600~700円で契約してほしい」との要望があったという。関係者は相場より少し高いと感じたが、「経済設計ができる」などの理由で承諾。この結果、延べ床面積約1830平方メートルの10階建てマンションの料金として、一般的な相場の約100万円より高い約130万円を支払った。

 ところが、合同捜査本部の調べで、姉歯氏は木村建設とは「1坪(約3.3平方メートル)あたり450円」程度で契約を結んでいたことが判明。1平方メートルあたりに換算すると136円だった。

 同じ10階建て1830平方メートルの構造計算をした場合、姉歯氏の受け取り額はわずか約25万円。一般的な相場と比較すると「4分の1」程度にしかならなかった。

 こうした超低金額での契約が、姉歯氏に多くの仕事を受注せざるを得ない状況を生じさせ、偽造を繰り返す要因になった可能性もある。

 姉歯氏は、14日の衆院国土交通委の証人喚問で「木村建設からコストダウンするよう強い圧力を受けた」などと証言。これに対して木村建設の篠塚明・元東京支店長は「コストダウンは迫ったが、あくまで法律の範囲内でのこと」と説明している。【篠原成行】

耐震偽装 総研、鉄筋52キロ推奨 教本で経費削減追求  12/23/05(産経新聞)

 耐震強度偽装事件で、総合経営研究所(東京)がセミナーで、建設業者に一平方メートル当たり鉄筋量を五二・七四キロに絞った“経済設計”を教本で推奨していたことが二十二日、分かった。鉄筋不足が懸念される木村建設(熊本)施工三十一ホテルの最低値と同水準で、ある建設会社は「考えられない少なさ。違法を承知でコストカットした結果ではないか」と指摘する。総研が具体的数値を挙げて鉄筋削減を推奨していた実態が判明した。

 教本は平成四年六月発行の建設業経営者向け講座テキスト。内河健所長(71)が発行元。指導企業で構成する「SG会」を対象にセミナーを開催、テキストを配布した。

 テキストは「今こそコストダウンの原点に戻れ」とし、「躯対(くたい)工事を徹底的に追求せよ」と提言。構造設計で、コストがどう削減できるか、「経済設計物件」とそうでない物件を対比させ、鉄筋やコンクリートなど、資材量を数値比較した。

 従来型の「一般物件」は一平方メートル当たり鉄筋量七六・八二キロ、金額一万一千五百二十三円。一方、構造設計を工夫し資材量を絞った総研推奨の「経済設計物件」は鉄筋量五二・七四キロ、金額は七千九百十一円と大幅に削減されていた。

 「五十二キロ」は、木村建設が衆院に提出した積算対比表の三十一物件のうち、最低の五一・一四キロに次ぐ少なさ。姉歯秀次元建築士(48)が構造計算した偽装物件十七件の最低値五九・二キロを大幅に下回る。

 テキストは「外観は同じように見えても構造設計の違いで躯体数量は大きく違う」などと説明。当時の単価で計算した結果、「坪単価で五万二千九百六十五円の違いが出る」とし、「躯体工事の設計の違いだけで坪当り約五万三千円。この違いは受注活動や利益に相当影響を与えている」と結論づけている。

 セミナーに出席した中堅建設会社社長は「構造に詳しくない業者が読めば感動する数値。『こんなに安くあげられるなら、この先生と組んでやればもうけられる』と飛び付くだろう。しかし、私の経験からすれば五十二キロはありえない」と指摘。総研は「担当者がいないのでコメントできない」と話している。

52キロ設計 専門家「もはや手抜き」  12/23/05(産経新聞)

 ホテルやマンションなど高層建築物には、地震などによってさまざまな外力がかかる。外側に引っ張る力、内側に圧縮しようとする力。こうした外力で柱や壁が崩壊するのを防ぐ重要な資材が鉄筋である。

 外側に引っ張られる力に強い鉄筋と、内側に押す力に強いコンクリートが一体化した鉄筋コンクリートは、建築物が外力に耐えるための技術。建造物の耐震強度は、鉄筋の量だけでは一概に判断できないものの、建築専門家らは、総研が教本で推奨する鉄筋量「五十二キロ」に対し、一様に疑問を示した。

 「日本建築積算協会」(東京)は、「常識的な鉄筋量の目安」はマンションの場合、「一平方メートル当たり約八十-百二十キロ」だと説明する。それ以下は「要注意」とみるよう、会員らに指導しているという。

 同協会によると、鉄筋量は建築物の形状、階数、床から床までの高さ、柱の間隔、壁の配置や量といった条件によって異なる。

 数値はあくまで一つの目安でしかないが、中野由一会長は「私どもの経験では、一平方メートル当たり六十-五十キロ台という鉄筋量は見聞したことがない。すぐ異常に気づき、設計者にただすだろう」と疑問を呈する。

 耐震性では、建築物の構造のバランスが重視される。ある一級建築士は「建物が同じ強度の壁に囲まれていれば耐震性も高いが、一辺だけ強いと、地震で他の三辺が極端に揺れる恐れがある。逆にバランスが取れていれば、少ない鉄筋でも耐震性は確保される場合がある」という。

 しかし、「鉄筋量を減らすにも限度がある」と、一級建築施工管理技士の鹿又(かのまた)勉氏は指摘。「一平方メートル当たり五十キロ台前半となると、もはや『経済設計』ではなく単なる手抜き。いくらバランスを良くしても耐えられないだろう」と批判的だ。

 また、協(かのう)計画研究所代表の柴英治一級建築士は「最近は強度の高い鉄筋も出ているし、鉄筋量は建物の用途に応じても変わる。(柱と梁(はり)、壁で支える)『壁付ラーメン構造』にし、バランスをとれば十階程度の建物で六十キロ台に近づけることは可能だろうが、五十キロはちょっと不可能」と指摘している。

施工図の強度、構造図より劣る 耐震偽造のマンション 12/22/05(毎日新聞)

 神奈川県藤沢市のマンション「グランドステージ藤沢」の耐震強度が不足している問題で、木村建設(破産手続き開始)が衆院国土交通委員会に提出した建設段階の施工図が、姉歯秀次元建築士が作った構造図より強度の劣る内容になっていることが22日わかった。地震の揺れを吸収する「スリット」と呼ばれるすき間が構造図より減っており、配置場所も変わっているという。建設工事が施工図通りに行われていたとすれば、設計段階よりさらに強度が減ったことになる。

 同マンションは当初、国土交通省の発表で耐震強度が0.28とされた。しかし、藤沢市はその後、強度はさらに低い0.15で、震度5弱の地震で倒壊の恐れがあると修正した。

 施工図は実際の工事の内容を反映させた図面。構造図との食い違いは民主党の下条みつ衆院議員が指摘した。

 下条氏によると、地下1階の構造図は柱と壁の間のスリットが19カ所あるのに、施工図では10カ所しかなく、場所も変わっていた。スリットは地震の際、柱と壁が揺れ合ってできるずれで破壊されるのを防ぐために設けられる。

 施工図と構造図の食い違いは衆院の証人喚問でも取り上げられ、木村建設の篠塚明・元東京支店長は「作図のミスがあったと聞いている」と証言した。同マンションの施工担当者は朝日新聞の取材に対して「手抜き工事はしていない。施工図では鉄筋が少ないところもあるが、実際には構造図の通りにした。市役所に出した写真を見てもらえばはっきりする」と話している。

 この件に関連して下条氏は同日、施工図は藤沢市も保管しているが、内容が国土交通委に提出された施工図とは違うことも明らかにした。下条氏は「明確に違う。問題だと思う」と話している。

建築基準法:建物の「完了検査」3割未実施 国交省調査 12/22/05(毎日新聞)

 建築基準法で建物の完成後に建築主に義務付けられている「完了検査」の実施率が約7割にとどまっていることが、国土交通省の調査で分かった。完了検査を受けない建築主には罰則があるのに、自治体からの告発も行われていなかった。同省は「完了検査を徹底するために、罰則の適用も検討するよう、行政機関に働きかけたい」としている。

 工事完了後4日以内に自治体の建築主事か指定確認検査機関に申請する。建築確認時の図面や構造計算書をもとに現地調査し、建ぺい率や容積率、外壁材や窓ガラスなどが規定通りかがチェックされ、適合していれば検査済証が交付される。提出書類の中には、工事途中の現場写真も含まれ、鉄筋の数や太さのチェックも可能だ。

 しかし、検査を受けることは建築主の義務にもかかわらず、同省の調べでは、昨年度の実施率は全国で73%に過ぎなかった。99年の46%と比べれば向上しているものの、3割近くは完了検査を受けないまま使用されていることになる。

 また、都道府県によって実施率が大きく違い、岩手(90%)▽北海道(89%)▽広島(同)などが高率なのに対し、50%台も茨城(51%)▽和歌山(55%)▽群馬(55%)▽香川(57%)と4県あった。

 さらに、現行法では完了検査を受けなかった建築主は、30万円以下の罰金が科せられることになっているが、自治体からの告発は過去10年間で1件もなかった。自治体が違法状態であることを知りながら、“野放し”にしていた実態が浮き彫りになったといえる。【青島顕、渡辺暖】

ヒューザーなど3社と1人、自民・森派などに892万 12/22/05(毎日新聞)

 マンションの開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)など、耐震強度偽装問題にかかわった3社と、1社の経営者が2004年、自民党の森派や4人の国会議員に計892万円の政治資金を提供していたことがわかった。

 22日に出そろった04年の政治資金収支報告書などを読売新聞が調べて判明した。

 ヒューザーは、自民党森派の政治団体「清和政策研究会」(清和研)の政治資金パーティー券を100万円分購入したほか、同派の伊藤公介・元国土庁長官のパーティー券も100万円分買っていた。小林興起・前衆院議員にも60万円の献金をしていた。

 ヒューザーは清和研のパーティー券を、03年にも100万円分、今年5月にも50万円分購入している。

 強度不足マンションの建築主の「東日本住宅」(東京都新宿区)は、清和研と伊藤氏のパーティー券各60万円分を購入し、小林氏にも12万円を献金していた。

 ヒューザーの小島進社長と東日本住宅の桃野直樹社長は、国土交通省が問題を公表する直前の11月15日、伊藤氏の仲介で同省の担当課長に会っていた。伊藤氏は02、03年には、小島社長から計32万円、桃野社長から計116万円の献金を受けている。

 このほか、偽装を見逃した民間の指定確認検査機関「日本ERI」(東京都港区)の鈴木崇英社長は、清和研に100万円、旧建設省出身で同派の上野公成・元官房副長官(前参院議員)にも300万円を献金していた。鈴木氏が02年5月まで社長を務めた設計会社「UG都市建築」(東京都港区)も01~03年、清和研のパーティー券を計300万円分購入していた。

 複数の強度不足マンションを施工した「木村建設」(熊本県八代市)は、園田博之・元官房副長官のパーティー券を100万円分購入していた。02、03年にも、園田氏のパーティー券、計100万円分を買っていた。

伊藤元国土庁長官、ヒューザー社長とゼネコンへ 12/22/05(毎日新聞)

 耐震強度偽装事件で、国土交通省が問題を公表する1週間前の11月10日、自民党衆院議員の伊藤公介・元国土庁長官が、開発会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小島進社長(52)らと共にゼネコン「大成建設」(新宿区)を訪れ、偽装マンションの免震化について相談していたことが22日、分かった。

 大成建設によると、訪問の1週間ほど前、伊藤元長官の秘書から「集合住宅の免震化についてのレクチャーを受けたい」と同社側に連絡があり、伊藤元長官、秘書、小島社長、設計会社「スペースワン建築研究所」(港区)の社員の計4人が大成建設本社を訪れた。

 面会では、対応した大成建設の総務担当者と技術担当者に対し、ヒューザーが建築主でスペースワン建築研究所が設計し、姉歯秀次・元1級建築士が構造計算した、千葉県船橋市の分譲マンション「セントレジアス船橋」(工事停止中)について、「免震化できないか」と相談があったという。技術担当者は「かなり難しい」と判断し、ヒューザー側にその結果を伝えたという。

 伊藤元長官は11月15日、小島社長を国交省の担当課長に引き合わせていたことも明らかになっている。

 伊藤元長官の事務所は「議員がいないので分からない」と話し、ヒューザーも「担当者がいない」としている。

朝日新聞(12/22/05)より

ヒュ-ザー偽装指摘後、売買 国交省が答弁 宅建業法違反の疑い

耐震偽装 姉歯元建築士立件へ 建築基準法違反容疑 篠塚元支店長も捜査  12/21/05(産経新聞)

 耐震強度偽装事件で警視庁など合同捜査本部は二十一日、建築基準法違反容疑で姉歯秀次元建築士(48)を立件する方針を固めた。姉歯氏が任意聴取で容疑を全面的に認め、立証に必要として押収を目指していた資料が二十日の捜索で差し押さえられたことなどから、刑事責任の追及は可能と判断した。姉歯氏に圧力をかけ偽装させたと指摘される木村建設の篠塚明元東京支店長(45)についても、同容疑で本格捜査する。

 調べでは、姉歯氏は平成十五年二月から十六年六月にかけて建築確認が行われたヒューザー販売のマンション「グランドステージ東向島」と「グランドステージ稲城」、シノケン販売のマンション「ステージ大門」、ビジネスホテル「京王プレッソイン茅場町」の都内四物件の構造計算書を偽造し、耐震強度を低減させた疑い。

 姉歯氏はこれまでの聴取に「篠塚元支店長から『構造事務所はほかにいくらでもある』と圧力をかけられ偽装を始めた」と容疑を認めており、合同捜査本部は、偽装に使われたプログラムソフト「SS2」が入ったパソコンや構造計算書の原本など、押収を予定していた重要資料を確認し、差し押さえたことから、建築基準法違反の容疑は固まったと判断した。

 姉歯氏は今月五日、建築基準法違反の罪で国土交通省から刑事告発された。八日には一級建築士免許の取り消し処分が確定した。

 合同捜査本部は今後、篠塚元支店長から参考人としてではなく、同容疑で事情聴取する方針。来年早期の立件や公判維持に向け、他の関係者からの聴取や押収資料の詳しい分析も進め、ヒューザーや総合経営研究所などが偽装を認識していた宅地建物取引業法違反や詐欺などの容疑でも捜査を進める。

 一方、合同捜査本部は二十一日、前日に引き続き、木村建設本社や東京支店、建設会社「志多組」(宮崎市)など計十九カ所を再捜索。二日間での捜索個所は百十一となり、押収資料は段ボール約四千箱に上った。

 木村建設については、二十二日も捜索を続行する。

 また、捜索を受けたシノケンは二十一日、「違法な設計が行われていた可能性すら認識していなかった」とする上申書を警視庁に郵送した。

裏金処理:伊藤元長官の団体が献金1764万円分 12/22/05(毎日新聞)

 伊藤公介元国土庁長官(68)=衆院東京23区=の資金管理団体と自民党支部が97年から02年に受けた献金計1764万円が政治資金収支報告書に記載されず、使途不明になっていたことが分かった。毎日新聞はカネの流れを示す領収書29枚を入手した。献金した政治団体「西多摩夏冬会(かとうかい)」幹部(58)は「裏金として処理されていた」と証言した。伊藤氏側は今月、02年分146万円について収支報告書を訂正した。

 伊藤氏の資金管理団体は「東京公友会」で、自民党支部は同氏が代表の「東京都第23選挙区支部」。公友会と支部が発行した領収書によると、97年から02年まで、夏冬会から毎年、146~435万円の献金を受けている。公友会は計1229万円、支部は計535万円に上るが、両団体の政治資金収支報告書には一切、記載がなかった。夏冬会の報告書には02年分のみ146万円を寄付したとの記載がある。夏冬会は東京都青梅市など西多摩地区の伊藤氏の支援者で作る団体。

 夏冬会幹部の証言では、伊藤氏の要請で2カ月に1度ほど現金数十万円を議員会館に持参し、領収書をもらったが、「裏金」として処理されたという。幹部は夏冬会の収支報告書について献金分は領収書が要らない「1件5万円未満の支出」として処理されたとみている。

 幹部は「伊藤氏の指示で夏冬会を結成した。01年秋ごろ、収支報告書の不記載に気づき、怖くなって伊藤氏にやめるよう進言したが、伊藤氏から『会員を増やせばいい』とだけ言われた」と語る。このため02年に夏冬会を解散し、同年分の夏冬会の収支報告書は自身で正確に記載したという。

 99年分まで公友会などの収支報告書記載を担当した元秘書は「公友会発行の領収書のうち4枚は自分の筆跡だ。だが覚えていないし収支報告書になぜ記載しなかったか分からない」と話した。

 伊藤公介事務所は取材に「02年の公友会と支部の収支報告書には寄付が確認されたので記載漏れを訂正した。(その他は)事実関係を調査中」と書面で回答した。

 伊藤氏は耐震データ偽装事件に絡み、建築主の不動産会社「ヒューザー」(東京都千代田区)の小嶋進社長から献金を受けていたほか、問題公表前に、小嶋社長らを国土交通省課長らに引き合わせたことが明らかになっている。【青島顕】

ヒューザー、偽装把握後に契約 宅建業法違反の疑い 12/21/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装事件で、マンション開発会社のヒューザー(東京都千代田区)が、構造計算書の偽造を指摘された後に分譲マンション2棟で入居希望者と売買契約を交わしていたことが21日、わかった。重要な事実を故意に告げなかったり事実でないことを告げたりする行為を禁止した宅地建物取引業法(宅建業法)に違反する疑いがある。ヒューザーは「担当者が出社していないので答えられない」としている。

 同日の衆院国土交通委員会で北側国交相が長妻昭委員(民主)の質問に答えた。

 11月29日の同委員会の参考人質疑などでは、ヒューザーの幹部が10月25日午後、民間検査機関イーホームズ(東京都新宿区)から他のマンションについて耐震強度の偽装を指摘され、その場にいた姉歯秀次元建築士も書類の偽造を認めたことが明らかになっている。

 国交省によると、25日以降に売買契約を結んでいたのは「グランドステージ藤沢」(神奈川県藤沢市)1戸、建設途中だった「グランドステージ船橋海神」(千葉県船橋市)の2戸。「藤沢」では26日に、「船橋海神」では25日と29日に締結していた。

 また、「コンアルマーディオ横濱鶴見」(横浜市)の1戸を26日に、「グランドステージ茅場町」(東京都中央区)の1戸を27日に、それぞれ引き渡していたことが新たにわかった。

 東京都は、「藤沢」の17戸を28日に引き渡したことに関し、すでにヒューザー幹部から宅建業法違反の疑いで事情を聴いている。国交省も今月20日、ヒューザーに対し、外部から偽装の指摘を受けた後の顧客への物件引き渡しや売買契約について事情聴取をした。

 国交省は、取り扱っているマンションについて、耐震強度の偽装の事実や可能性を知っていた場合は「宅建業法違反になる恐れもある」としている。

 ヒューザーは98年から姉歯元建築士に構造計算を委託し、同年以降、グランドステージ、セントレジアスシリーズなど約60棟のマンションを販売。国交省によると工事中なども含め21棟で偽装が見つかった。この中で耐震強度が0.5を下回ったうちの10棟は、国がまとめた公的支援による建て替えの対象となっている。

 宅建業法の業務禁止事項の違反は、最高で1年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる。

「総研」関係4社も捜索…耐震偽装で合同捜査本部 12/21/05(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、警視庁と神奈川、千葉両県警の合同捜査本部が20日に捜索した関係先に、コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)の関係4社が含まれていたことがわかった。

 「総研ビー・エイチ企画」(同)、「トータルサービス・エスジー」(同)、「エス・ジー通商」(同)、「ファン」(新宿区)の4社で、登記簿などによると、総研の内河健所長(71)や親族、総研役員が代表取締役などを務め、建築用資材の輸入・販売やホテルの開業・経営指導などを業務目的としている。

 捜査本部は、21日も姉歯元建築士の建築基準法違反容疑で、「木村建設」(熊本県八代市、破産)の本社や東京支店など19か所を捜索。これまでに、段ボール2000箱分の資料を押収した。

20年前「工法の欠陥」忠告 総研「商売邪魔するな」 12/21/05(産経新聞)

大分の事務所と決裂 「平成」設立

 耐震強度偽装事件で関係先として家宅捜索を受けたコンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)の内河健所長(71)が約二十年前、効率的な工法の先駆けだった設計事務所から、安価な材料の使用など工法について忠告を受けたのに「商売の邪魔をするな」と拒否していたことが二十一日、分かった。

 これをきっかけに両者は決裂し、強度不足のホテルを設計した姉歯秀次元一級建築士(48)の元請け会社「平成設計」(同)が設立されたという。関係者は「総研のこうした利益至上の姿勢が今回の問題を招いたのではないか」と指摘している。

 関係者によると、内河所長は昭和五十九年、独自の型枠を使う効率的工法に取り組んでいた大分県の設計事務所を訪問。「いいものは取り入れたい」として、総研の会員企業に工法の指導を受けさせるようになった。

 会員の中には「木村建設」(熊本県八代市)も含まれており、同社は総研とともに、海外の安価な資材と効率的工法を組み合わせた新たな工法を発案、さらにコストダウンを図ろうとしたという。

 設計事務所側は「海外の資材は良くない。安かろう悪かろうという見方をされるからやめた方がいい」と忠告したが、内河所長は「邪魔をするな。もう指導は受けない」と反論し、両者は二年余りで決裂した。

 平成設計の設立はこの二年後の平成元年。木村建設の設計部門を独立させる形でつくられ、関係者は「総研と木村の意向に沿う設計事務所がなかったため、自分たちでつくったのではないか」と指摘する。

 総研が開業指導したホテルは計二百三十八棟で、ほとんどすべての元請け設計は平成設計となっている。また、内河所長が自ら同社の営業を担っていたことも分かっている。

≪捜索を続行≫

 耐震強度偽装事件で警視庁と千葉、神奈川両県警の合同捜査本部は二十一日、構造計算書を偽造した姉歯秀次元建築士(48)の関連先として建築基準法違反容疑で、木村建設本社(熊本県八代市)と東京支店(東京都新宿区)などを再捜索した。

 木村建設の篠塚明元東京支店長(45)が、姉歯元建築士に対して鉄筋減らしを要求していたことが、衆院国土交通委員会の証人喚問などで判明。同社と子会社の平成建設(千代田区)は偽装物件の半数以上で設計か施工を受注している。

 合同捜査本部は、姉歯元建築士への圧力が偽装のきっかけとなったとの見方を強め、二社が一連の偽装で果たした役割の解明を目指す。

 新宿区の木村建設東京支店近くには同日午前八時四十五分ごろ、資料運搬のためのトラック二台が待機。捜査員十数人が支店事務所へ捜索に入り、窓にブラインドを下ろしたまま資料の押収を進めた。

 合同捜査本部は、立会人の不在で二十日中に捜索できなかった十カ所についても強制捜査を実施した。

プログラムの改ざんを気にしているが、図面と合っているのかチェックしなければ意味がない。 また、現場でのごまかしも可能。フロッピ又はCD-Rによるデータの提出も求めれば、 打ち出したデータと入力したデータ-が同じものであるかも確認できる。ソフトさえあれば、 チェックが可能である。

構造計算を知らない有名企業にプログラムの作成を依頼しても、良いものなど出来ないことだけ 言っておく。高くつくだけである。ある業界が大手の会社に依頼したケースを知っているが、 お粗末な物だった。何も知らない年寄りが決定権を持つからこうなる良い例になると思った。

改ざんが発覚した時の処罰と抜き打ちによるチェックを厳しくしたほうが良いと思う。

耐震偽造:構造計算 改ざん防止の「暗号キー」検討 12/21/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件で、国土交通省は、構造計算を行う国土交通相認定のプログラムでも改ざんが行われたことを重く見て、印刷物よりも改ざんしにくい電子データによって構造計算結果を管理する検討を始めた。姉歯秀次元1級建築士は計算結果を印刷する直前に文書ソフトを使って書き換えて改ざんして、提出していたことから、電子的な手法で偽造の防止を目指す。新たに構造計算プログラムを保証する第三者機関を設置し、同機関が発行する「暗号キー」で管理する。

 同省はプログラム製作会社ごとに異なっている構造計算のフォーマットを共通化することなどと合わせて、改ざん防止の整備費用として来年度予算案に2億5000万円を盛り込んだ。

 同省によると、姉歯秀次元1級建築士による構造計算書偽造の手口は、当初に判明した単純な「書類の差し替え」以外に、計算結果書類を見ただけでは分かりにくい改ざんが報告されている。コンピュータ画面で数値を書き換えた場合は、再計算などをしないと偽造が判明しない場合が多いとみられている。一方で、印刷する前のプログラムソフトそのものが改ざんされた例は確認されていない。

 このため、書類での検査漏れを防ぐため、建築確認申請が出された場合、国交省から独立した第三者機関が、提出された構造計算の電子データについて、出力するまでのプログラムを正当に使ったことを証明する暗号キーを発行してデータをロックする。指定確認検査機関や自治体は、建築確認の申請者からの電子書類を暗号キーを使って開き、印刷された構造計算結果と照合するため、書き換えされた場合に気づくことができる。

 同省は暗号化の方法についてプログラム製作会社から意見を聴取したうえで、改ざん防止システムの構築を整備することを検討している。【長谷川豊】

当然の処分。設計会社や一級建築士など多くある。他の会社や一級建築士に チャンスを与えることは良いことである。下記の設計事務所以外にも処分を 広げるべきだ。

耐震偽装元請け7社、国交省が担当建築士処分へ 12/21/05(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、国土交通省は21日、元請け設計事務所7社で偽装マンションやホテルの設計を担当した1級建築士について、資格取り消しや業務停止の処分にする方針を固めた。

 実際に構造計算書を改ざんしたのは姉歯秀次・元1級建築士(48)だが、偽装を見逃し、結果的に強度不足の建物を建てさせた責任は重大と判断した。年内に聴聞会を開き、処分手続きに入る。

 これとは別に東京都も同じ元請け設計7社について、設計事務所としての登録取り消しや、業務停止にあたる「閉鎖」の処分にすることを決め、近く処分手続きに入る。

 国交省と都が建築士法に基づく処分を検討しているのは、「エスエスエー建築都市設計事務所」(東京都新宿区)、「木村建設東京支店」(同)、「シノケン東京支店」(港区)、「スペースワン1級建築士事務所」(同)、「下河辺建築設計事務所」(大田区)、「森田設計事務所」(世田谷区)、「平成設計」(千代田区)の7社。

 この7社以外にも、偽装物件の構造計算を姉歯元建築士に下請けさせていた設計事務所はあった。しかし7社は件数が多く、また著しく強度が不足している物件も含まれていることから、国交省は、各社の1級建築士の責任は極めて重いと判断した。

偽装発覚後も3戸売却、19戸引き渡し…ヒューザー 12/21/05(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、開発会社「ヒューザー」が、偽装の疑いについて第1報を受けた10月25日以降、分譲マンション3物件の19戸を購入者に引き渡し、他の2物件3戸の売買契約も結んでいたことが分かった。

 21日の衆院国土交通委員会で、長妻昭委員(民主)の質問に対し、北側国土交通相が明らかにした。国交省では、同社が偽造を知りながら説明を怠った宅地建物取引業法違反の疑いもあるとみて、東京都と協力し、さらに調査を進める方針。

 国交省によると、引き渡しが行われたのは「グランドステージ藤沢」の17戸(10月28日)、「グランドステージ茅場町」の1戸(同27日)、「コンアルマーディオ横濱鶴見」の1戸(同26日)。売買契約を結んでいたのは、「グランドステージ藤沢」の1戸(同26日)、「グランドステージ船橋海神」の2戸(同25日と29日)。

 一連の強度偽装をめぐっては、10月25日、民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)からの連絡で、ヒューザーの設計担当部長が、姉歯秀次・元1級建築士からヒューザー物件の一部で構造計算書の偽造を行っていたとの説明を受けていたことが分かっている。

 10月29日にグランドステージ藤沢に入居したという男性は「入居時にはヒューザー側から何の説明もなかった。問題を認識していたとすれば腹立たしい。一刻も早く補償して欲しい」と話している。

 グランドステージ藤沢については、東京都が15日、宅地建物取引業法にもとづき、ヒューザーの専務ら4人から事情を聞いたが、同社側は、「10月28日以前には強度不足の認識はなかった」とする報告書を提出している。

偽造防止策について、日本建築構造技術者協会の大越俊男会長は「防止には『ピアチェック』しかない」 と話す。

耐震強度の結果が3~4割近くも違う結果が出る解析方法が許される日本では、「ピアチェック」 など意味がない。日本建築構造技術者協会会長はもっと問題点を行政に指摘するべきでなかったのか。 設計会社に勤務しているのであれば、問題点について発言するべきである。建前だけで 言っているのであれば、「ピアチェック」は仕事を増やすために言っているだけであろう。「ピアチェック」 制度が採用されれば、仕事が増えるのはわかりきったことである。今回の問題点についてあまり触れないこと について、信頼に値するのか疑問である。無茶を強いる現場や不正の現場を見てきていないエリートの 意見と思える。

条件や解析方法で結果が違うのは理解できる。しかし、これほど違いが出ればやはり耐震強度の数値が 一番良くなる方法でチェックする認定検査機関に仕事が行くのではないのか。いちばん、 耐震強度の数値が良く出る方法や解析で、判定するのか、条件や解析方法を絞るのか、はっきりさせる べきであろう。

「神田順・東京大大学院教授(建築構造学)は『安全に携わる構造設計者の姿がもっと見えるように 変えていくべきだ』と指摘している。」

名前を記載するようになっても責任を取らされるだけだ。ISO9001を取得していた木村建設を 見るがよい。ISOなど宣伝だけ。意味がない状態ではないか。

技術がわからないと逃げる営業の人間にも無理なことをさせた場合、責任を負わせるようにするべきだ。 法改正が必要だ。技術者の方だけが責任を負わされるのはおかしい。また、政治家に対して対応が甘い。 被害者はもっと政治家や党の対応を見定めるべきであろう。

耐震偽造:冷遇される構造設計者 取り分わずか1割 12/21/05(毎日新聞)

 構造計算書の偽造を認めている姉歯秀次元1級建築士(48)と同じ「構造設計者」を取り巻く問題点がいま、クローズアップされている。警視庁など合同捜査本部による強制捜査が始まった耐震データ偽造事件。背景には、安全を支えるべき専門家がないがしろにされている実態があった。今後、どうしたら偽造を防げるのか。専門家同士でダブルチェックする方法を提言するプロもいる。

 建築の世界では、建物の高層化、巨大化に伴い、設計の仕事が「デザイン」「構造」「設備」と、大きく三つに専門化されてきた。だが、法律が前提とするのは一つの建築物に対し建築士は1人だけだ。

 例えば、建築基準法に基づく確認申請の申請書類には、建築主や設計者、施工者、工事監理者らの欄がある。通常、ここに登場する設計者はデザインを担当した建築士をさす。このため「申請書類に含まれる構造計算書の署名押印も、デザインの設計者名が入っていれば事足りる」(自治体の建築主事)というのが実態だ。

 こうした状況もあり、全国に約30万人いる1級建築士のうち、構造設計に携わっているのは約9000人とみられる。

 受注の面でも厳しく、構造や設備が、デザインの下請けに入る構図ができあがっているという。さらに、マンションなどの設計料は工事費全体の2%ほどだが、このうちの80%はデザインにいき、構造の取り分は10%足らずとされている。

 「素人の女性に構造計算プログラムを入力できるよう訓練して、人件費を抑えている事務所もある」と明かす関係者もいる。

 一方、海外では「建築」と「構造」が明確に区分されているのが一般的という。マレーシアの物件を担当した経験のある1級建築士(49)は「審査自体が別々で、膨大な構造計算を一つ一つチェックしてあり、疑問点には色鉛筆で印がついていた」と話す。

 神田順・東京大大学院教授(建築構造学)は「安全に携わる構造設計者の姿がもっと見えるように変えていくべきだ」と指摘している。

 また、偽造防止策について、日本建築構造技術者協会の大越俊男会長は「防止には『ピアチェック』しかない」と話す。「ピア」は「同等の人」などの意味の英語で、同レベルの能力を有する者が、内容をチェックすることという。大越会長は「確認申請の大半は問題はない。疑問に感じた場合に、ピアチェックが出来る制度作りが早急に必要だ」と提言している。【西脇真一】

分譲マンション居住者「強度調べたい」62% 世論調査 12/21/05(朝日新聞)

 耐震強度の偽装問題で、既に名前の挙がっている業者や設計士だけでなく、ほかでも偽装が行われている、との疑いを持つ人が93%に達することが、朝日新聞社が17、18の両日に実施した全国世論調査で明らかになった。分譲マンションなど持ち家の集合住宅に住む人では、62%が今の住まいの耐震強度を調べたいと答え、不安は広がっている。一方、マンションの建て替え費用の一部を補助するなどの政府の支援策をめぐっては、「適正だ」が39%、「手厚すぎる」が33%で見方が割れた。「足りない」は13%だった。

 ほかでも偽装が行われているのではないかとの疑いを持っている人は、「大いに」(50%)、「ある程度」(43%)を合わせて93%。「大いに」疑いを持つ人は女性より男性に多く、男性の30、40代では6割を超える。

 自宅の耐震強度を「調べたい」と思うかどうかは住居形態で差があり、一戸建てでは3割に満たなかったが、集合住宅では賃貸でも39%、持ち家に住む人では62%だった。男性より女性、年配者より若い人に「調べたい」が多い傾向があり、全体では32%だった。

 耐震強度の偽装が明らかになった分譲マンションの解体や建て替えに、公的な支援を導入する政府の対応策への評価をめぐっては、「適正だ」と「手厚すぎる」がともに3割台で、意見が分かれた。最も身近な問題だと感じているとみられる持ち家の集合住宅に住む人では、「適正だ」と「手厚すぎる」が39%で並んだのが目立っている。

 政府は従来、建物が災害にあった場合でも、個人の資産形成に税金を使うべきではないという原則から、公的支援の拡大には慎重な姿勢を示してきた。それだけに、今回の政府の対応には、両様の見方があるようだ。

 行政や民間検査会社による建築確認については、「信頼できない」が「あまり」と「まったく」を合わせて60%を占めた。

 内閣支持率は50%で、先月の53%からやや減った。政党支持率は自民41%(先月40%)、民主13%(同16%)。自民が支持を維持しているのに対し、民主は減らした。

耐震偽装に別ルート?「木村・総研」以外11件 12/21/05(読売新聞)

 耐震強度偽装事件で、姉歯秀次・元1級建築士(48)が構造計算書を改ざんした物件のうち、「木村建設」(熊本県八代市、破産)もコンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)も関与していない物件が11件以上あることが、20日わかった。

 うち6件は、開発会社「ヒューザー」(同)が建築主で、「スペースワン建築研究所」(港区)か「森田設計事務所」(世田谷区)が設計を元請けしていた。

 警視庁と神奈川、千葉両県警の合同捜査本部は20日、ヒューザーと2設計事務所も捜索しており、今後、この3者と姉歯元建築士の接点についても解明を進める方針だ。 これまでに国土交通省が公表した強度偽装物件は計78件。うち木村建設が下請けを含めて施工した物件は42件。総研がホテル開業を指導した物件は24件で、双方が関係した物件は10件になる。残り22物件のうち少なくとも11件は、木村建設も総研も関与していなかった。

 この11件のうち、ヒューザーが建築主となった分譲マンションが6件(未着工1件)を占める。元請け設計は4件をスペースワン、2件を森田設計が担当しており、姉歯元建築士はその下請けとして構造計算を行っていた。

 木村建設は、篠塚明・元東京支店長(45)が姉歯元建築士に対し、鉄筋減らしを強く要請したことが、国会証人喚問などで明らかになっている。総研も、四ヶ所猛・チーフコンサルタント(67)が鉄筋減らしを促すメモを元請け設計会社に示していたことが判明している。

 だが、ヒューザー、スペースワン、森田設計の3者と姉歯元建築士との接点は、明確にはなっていない。森田設計の森田信秀社長(55)は読売新聞の取材に、「ヒューザーの人から姉歯さんを紹介された」と話したが、問題発覚直後の先月26日に自殺。スペースワン側も姉歯元建築士に下請け発注した経緯などを一切、説明していない。

 この3者の組み合わせによる耐震偽装物件は、ヒューザーなどと姉歯元建築士との関係を解明する糸口にもなるとみられ、合同捜査本部でも、ヒューザーと2設計事務所からの押収資料などの分析を急ぐ。

          ◇

 合同捜査本部は20日午後も、姉歯元建築士の建築基準法違反容疑で、100か所以上の捜索を続け、建築物確認申請書や関係図面など多数の関係資料を押収した。

 このうち千葉県市川市の姉歯元建築士の自宅兼事務所からは、ノートパソコンとプリンター、段ボール箱11個分の資料を押収した。

 姉歯元建築士は、受注した業務の概要や出納状況などを過去5年にわたってA4判ほどの大きさのスケジュール帳に書き留めていたことが、千葉県の立ち入り調査でわかっており、捜査本部はこのスケジュール帳も押収したとみられる。

 捜査本部は21日も、木村建設などに対する捜索を引き続き行う。

耐震偽造:強制捜査、「不作為の連鎖」にメス! 12/21/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造の発覚から1カ月余を経て、警視庁と千葉、神奈川両県警の合同捜査本部は20日、強制捜査に乗り出した。捜査本部は、姉歯秀次元建築士の建築基準法違反容疑を足掛かりに、詐欺容疑での立件を目指す方針だ。だが、姉歯元建築士以外は「偽造に気づかなかった」などと関与を否定。「法の不備」もあり、捜査には多くの壁が立ちはだかっている。【合田月美、大平誠】

 ◇詐欺立件に多くの壁

 姉歯元建築士の偽造書類を素通りさせた指定確認検査機関「イーホームズ」▽欠陥のある設計図面のまま工事をした施工者「木村建設」▽強度不足の事実を伝えないままマンションを販売した建築主「ヒューザー」。事件の構図は現在、関係者がなすべきことをしなかった「不作為」の連鎖にとどまっている。

 いずれも民事上の責任は問える可能性があるが、刑事責任追及は難しい。捜査本部は「購入者をだまして欠陥マンションを売った」という詐欺容疑の適用を目指すが、まず第一に「物件の安全性が違法状態と知っていた」ことの立証が欠かせない。さらに、購入者をだます意図があったかなど、越えなければならないハードルは多い。

 ヒューザーの小嶋進社長は11月29日の衆院参考人質疑で「正常でない人によって間違った計算書が作られ、確認済み証通りに(マンションを)着工しただけ」と主張。他の関係者も姉歯元建築士の「個人犯罪」を強調している。「不作為では詐欺容疑の適用は難しい。言い逃れを崩すには、物証が必要だ。一斉捜索でそれが得られるかどうかで流れは変わる」と専門家は指摘する。

 ◇「偽造認識」の翌日引き渡し…GS藤沢

 偽造が確認された78棟のうち、グランドステージ藤沢(神奈川県藤沢市、30戸)は、詐欺罪の立証を阻む「不作為の壁」が最も低いとみられる物件だ。

 完成は9月末で、鍵の引き渡しが始まったのは10月28日。ヒューザーの小嶋進社長が、イーホームズの藤田東吾社長らと協議し「偽造を認識」した翌日のことだ。また、偽造段階で基準値の28%だった耐震強度が、木村建設の施工段階で15%まで落とされ、震度5弱で倒壊の恐れがあることも分かった。

 引き渡し時点で、偽造が確認されていたヒ社のマンションは「藤沢」を含めた完成済み7棟と、建築中や未着工の4棟。藤田社長は「小嶋社長には、7棟を公表しないでくれ、4棟については何としても審査を通してくれ、と言われた」と話す。さらにその際、同席していたデザイン設計事務所経営者が「(審査を通すため)偽の写真を貼り付ければいい」と提案し、小嶋社長が「そうしよう」と勢いづいたという。「偽の写真」とは、中間検査や完了検査の際に検査機関に提出する現場写真で、正規の鉄筋量を使った場合の写真にすり替えることを意味する。

 ところが、ヒ社広報部は「協議でイー社が偽造に言及したのは建築中などの物件。完成済み物件については触れなかったので、大丈夫だと思った」と主張。東京都は、耐震構造に問題があることを知りながら引き渡した疑いがあるとみて、ヒ社から事情を聴き、20日に報告書の提出を受けた。都は「内容は言えない」としているが、同様の説明をしたとみられる。

 耐震強度が15%しかなかったことについて、木村建設の篠塚明・元東京支店長は「施工図にする段階で作図ミスがあった」と国会の証人喚問で釈明したが、真相は闇の中。今後の捜査でポイントになるとみられる。

 ◇建築基準法に限界

 捜査本部が事件に適用する罪名を模索している背景には、国土交通省の告発容疑になった「建築基準法」の限界がある。同法は、構造耐力が基準を下回る建築物について「設計者に50万円以下の罰金」としか規定していない。書面上のミスを対象にした「形式犯」であり、故意の設計偽造を想定したものではない。

 さらに、設計図に忠実な工事をすれば、たとえ強度不足の建物でも、故意でなければ施工者に罰則は及ばないというのが通説。具体的指示がなければ建築主、経営コンサルタントに適用するのはもっと難しい。「捜査の過程で、さらに法の不備がはっきりするだろう」と捜査幹部は指摘する。

 また、罰金相当の犯罪は、裁判所に起訴(公判請求)されず、略式起訴で罰金処分となるのが通例だ。それでは世論が納得しないことは、捜査幹部も承知しており、そのことが、詐欺容疑を視野に入れた「徹底捜査」を迫らせている。

 一方、三菱自動車製大型車のタイヤ脱落事件で、検察当局は昨年、旧道路運送車両法違反で同社元幹部を起訴した。同法違反は最も重くて罰金20万円だが「企業責任の解明に不可欠」との理由で異例の公判請求に踏み切った。警察庁幹部はこの事件を例に挙げ「建築基準法や業界が抱える問題の本質に迫りたい」と意気込みを見せている。

耐震偽造:千葉・白井の問題マンション、来月5日から解体 12/21/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造が判明し、建設が中止されている千葉県白井市の分譲マンション「ラ・ベルドゥーレ白井駅前」(10階建て、93戸)の解体工事が、来年1月5日に始まることが決まった。建築主の東日本住宅(東京都新宿区)が20日、県に報告した。

 県によると、施工した木村建設(熊本県八代市)が経営破たんしたため、工事は東日本住宅が指定した都内の解体専門業者が担当。内装の解体から着手し、1月末から重機2台で建物を壊し、4月15日に作業終了の予定。耐震上問題があるため、重機は建物の上に乗せず、地上からアームを伸ばして解体するという。【森禎行】

あんまり警察や警視庁に期待できないよ。 ヒューザーやその他と議員の問題もあるし。やはり自民党が今回問題の真相究明に 積極的でない。証人喚問も行う気もないようだし。金と政治家の問題が 絡むと難しいと思う。それに 警察は能力的に信頼できるとは思わない。 やる気がないのも事実だけど!

偽装の構図徹底的に調べて、とマンション住民 12/20/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で一斉捜索――20日、関係個所への捜索をテレビで確認してから出勤したという「グランドステージ東向島」(東京都墨田区)の会社員荻津健二さん(40)は「こんなに多くの場所が捜索の対象になるとは驚いた。姉歯、木村建設、ヒューザーの関係を徹底的に調べてほしい」と捜査に期待を寄せた。

 また、姉歯元建築士が、最初に強度偽装を行ったと明らかにした「グランドステージ池上」(大田区)では、管理組合理事の男性(56)が「捜査をきっかけに、二度と被害者が生み出されないよう法律の整備にもつなげてほしい」と話した。

 耐震強度の偽装が確認されている「岡崎第一ホテルイースト館」(愛知県岡崎市)の近藤久子社長(65)は、コンサルタント契約を結んだ「総合経営研究所(総研)」も捜索の対象になったことを知り、「洗いざらい真相を解明し、業界のウミを出し切ってほしい」と捜査に期待をかけた。

被害者が多く出ないと警察は動かない! と思えるような記事である。実際は、どうなのか!

いつもながら犠牲者や被害が拡大しないと動かない行政。人災だ。
警察もマスコミで取り上げられると動くのか??
不正な検査ならどこにでもあるよ! 広警察は神奈川県警に協力を要請したのか、要請をしたけれど無視したのか、事実関係は知らない。 無視したと思える対応や捜査しかしなかった!

今回も詰めれなかったら、能力の問題だね!

住の安全へ「組織的偽装」解明 12/20/05(産経新聞)

 警視庁などの合同捜査本部は全国百カ所以上で大掛かりな強制捜査に着手した。今後の焦点は刑事責任の追及に移る。

 十四日の証人喚問で姉歯秀次元建築士は、木村建設の元東京支店長からのコスト削減への圧力を説明。合同捜査本部もこうした証言や基礎捜査とあわせ、「組織的偽装」との疑いを強めている。

 捜査幹部は「全体像解明には建築主から設計者、確認機関の主たる流れで、どういった不正があったか、偽装見逃しの経緯を突き止めなければならず、幅広い捜索が必要になった」と説明する。

 国が告発対象とした都内の四棟の検査を担当したイーホームズや、偽装疑惑を一年半も放置した日本ERIなど、民間確認検査機関を捜索したのもこのためだ。

 告発対象物件に直接関係していない総合経営研究所(総研)が、捜索を受けたことも注目される。総研は、木村建設に低コストの建築工法を指導したとされ、内河健所長は参考人招致で「黒幕」と指摘された。全容把握に、総研の関与の解明が欠かせないと、合同捜査本部が関心を持っていることをうかがわせる。

 今回の問題では、捜索容疑の建築基準法の罰則が「五十万円以下の罰金」と軽いこともクローズアップされた。政府・与党は次期通常国会に同法改正案を提出する方針だ。

 マンション購入者の被害感情に応えるにはどういう方法があるか。警察当局はこの点に最も神経を使った。

 捜査幹部は「ローンを抱えたマンション購入者を被害者とした詐欺事件として問題をとらえなければ、おそらく国民の理解は得られない」。広範囲な捜索も、押収資料をもとに「あらゆる法令の適用」を念頭に置いているためだ。警察の力量が試されている。(耐震強度偽装事件取材班)

「建設は信用」一瞬で崩れ 木村元社長 12/20/05(産経新聞)

 全国に生中継された証人喚問。一代で年商百二十七億円の木村建設を築き上げた木村盛好元社長(73)は、やつれた表情で「まったく知りませんでした」と繰り返した。九州有数の売り上げを誇った栄華は一瞬で崩れ去り、本社や元社長宅には今、人の気配はない。

 木村元社長は現場監督を経て、昭和三十八年に前身の「木村鉄骨工業」を創業。当時は「建設は信用」と話し、部下や周囲からは「おやじ」と慕われたという。

 自己破産の申請に伴い解雇された従業員の一人は「昔かたぎで仕事にプライドを持っていた。絶対に偽装をするような人ではない。いや、そう思いたい」とつぶやいた。

 十一月二十一日に一回目の不渡りを出し、以降は熊本県八代市の本社や隣接する元社長宅に人けはなくなった。役員の多くもマスコミや債権者の目を逃れ、自宅に戻っていない。

 大手より短い工期と低価格で右肩上がりに伸ばした業績。しかし下請け業者は「安く、早くばかりで質を問わない体質だった」。そして、既に取り返しがつかなくなるほど耐震強度が弱いマンションやホテルを造り続けた。

「責任感じ」走り書き 自殺した設計士 12/20/05(産経新聞)

 耐震偽装をめぐっては国土交通省が十一月十七日に問題を公表してから約一週間後、早くも死者が出た。森田設計事務所の森田信秀代表(55)。「偽装は知らなかったが、自分も責任を感じている」。妻あてに記した遺書は、わずか五、六行の走り書きだった。

 偽装が見つかったグランドステージ藤沢(神奈川県藤沢市)の設計を担当し、姉歯秀次元建築士に構造計算書を外注していた。妻と娘を残した自殺。仕事仲間の一人は「まじめで紳士的な人だった」と悼む。

 国交省の問題公表に先立つ十月二十七日、指定確認検査機関イーホームズの内部監査で偽装が見つかったことを受けて、マンション販売ヒューザーの本社ビル(東京都千代田区)に関係者が集まった。小嶋進社長、姉歯元建築士、イーホームズの藤田東吾社長、森田代表ら。

 「姉歯先生、どのくらいの地震まで持つの?」「震度5ぐらいまでは持つと思う」「5でも大丈夫じゃないか」。グランドステージ藤沢は翌二十八日が鍵の引き渡し。小嶋社長は公表差し止めに躍起になった。森田代表は顔を引きつらせていたという。

 国交省の指示を受けた藤沢市は十一月十一日、森田事務所に構造計算の再計算を求めた。その後、森田代表から「ご迷惑をかけて申し訳ないです」「他の偽装物件の再計算もあるので、報告を待ってください」と恐縮した声の電話が何度もあった。市の担当者は「責任感が強い人だと感じた」と振り返る。

 国交省の問題発表を受け、東京都が事務所を立ち入り検査した二十二日、森田代表は立ち会った。翌二十三日、グランドステージ藤沢の再計算結果が藤沢市に報告された。耐震強度は基準のわずか15%、震度5弱で倒壊するという偽装物件の中でも最悪の数字。「結果は届いていますか」。既に結果を知っていた森田代表から、市の代表に確認の電話があった。

 二十四日朝、自宅を出た森田代表はそのまま消息を絶った。

姉歯元建築士1か月ぶり“帰宅”…捜索に立ち合い 12/20/05(読売新聞)

 姉歯元建築士は20日午前8時40分ごろ、警視庁の捜査員5人とともにワゴン車で、千葉県市川市内の自宅兼事務所前に到着した。

 問題発覚翌日の11月18日、マスコミ各社の取材に応じて以来、自宅前で待ち受ける報道陣に姉歯元建築士が姿を見せたことは一度もなく、この日の“帰宅”も捜索に立ち会うため。

 14日の証人喚問に出席した時と同じようにネクタイとスーツ姿で、車を下りると、約80人の報道陣にもみくちゃにされながら玄関に向かい、自ら鍵を開けて捜査員と中に入った。

 捜索は約4時間後の午後0時20分ごろまで続き、捜査員と一緒に再び姿を見せた姉歯元建築士は、無言のままワゴン車に乗り込み、自宅を離れた。

 一方、構造計算書の改ざんを見抜けなかった民間の指定確認検査機関「イーホームズ」(東京都新宿区)の本社にも午前9時前から、捜査員約30人が相次いで入った。その直前、車で出社した藤田東吾社長(44)は、報道陣の問いかけに、「当社が被疑者扱いされるのであれば心外。捜査には協力します」と語った。

 同社では午前10時ごろから、国交省による2度目の立ち入り検査も行われ、刑事手続きと行政処分のための検査が同時並行するという異例の事態になった。

 同じく検査機関の「日本ERI」(港区)でも午前8時30分すぎ、捜査員約30人が捜索を始めた。同社の鈴木崇英社長(63)は、世田谷区内の自宅前で「我々に法令違反はない。どこをみられても構わない。隠す物はないですし」などと話した。

 新宿区内にある木村建設の篠塚明・元東京支店長(45)の自宅アパートでは午前10時30分すぎに捜索が終わった。捜査員を見送った篠塚元支店長は、「出せるものはすべて出しますから。隠すものはないので」と繰り返した。

 開発会社「ヒューザー」(千代田区)では午前9時前、約30人の捜査員がビル内に入ったが、同社は「当社で進めてきたコストダウンは強度の偽装事件とは関係がなく次元が違う問題。しかしながら、捜査には協力していく所存であります」などとする文書を出しただけだった。

同じことを広島県の広警察にも言ってほしかった。 担当の警官は、専門でない、理解するのが難しいと繰り返していたのに!保安庁の仕事だとも 言っていた。

税金投入は反対。責任がある企業や人間から利子も付けて徴収すればよい。

耐震偽造:「捜査で解明を」 北側国交相 12/20/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造事件の強制捜査が始まったことについて、北側一雄国土交通相は20日の閣議後会見で「国交省として今後も調査していくが限界がある。建築基準法違反は明らかだし、刑法の犯罪に該当する疑いもある。捜査機関の手で事実関係を明らかにしてもらいたい。捜査にできる限り協力する」と話した。【渡辺暖】

耐震偽造:姉歯元建築士の手口 03年以降、書類差し替え 12/20/05(毎日新聞)

 姉歯秀次・元1級建築士による構造計算書の偽造方法は、コンピューターの画面上で別の数値を張り付ける比較的巧妙な初期に比べ、ここ数年は書類を差し替えるだけの単純な手口に移行していたことが国土交通省の調べで分かった。03年後半以降はほとんどが書類の差し替えで、多くはイーホームズが建築確認していた。同省は、姉歯氏が書類の差し替えでも偽造を見抜かれないと知り、より手間を省いていったとみて、調べている。

 国交省はこれまで姉歯氏がかかわった210物件のうち、77件について構造計算書の改ざんを確認した。建築確認が行われた年次別では▽99、00両年が各6件▽01年10件▽02年9件▽03年19件▽04年16件で、今年は現在まで11件。

 同省が偽造手口を分析した結果、コンピューター画面上で数字を書き換えるなどの「巧妙な改ざん」と、2通の計算書を用意して都合の良い部分だけを組み合わせる「単純な差し替え」とに大別できた。差し替え方式は、02年9月にイーホームズが建築確認した「グランドステージ千歳烏山」(東京都世田谷区)が最初とみられている。03年前半までは両方式が混在するが、同年後半からはほとんど差し替え方式になったという。【長谷川豊】

「構造計算書を偽造した建物の耐震強度を調べ直したところ、結果が大きく食い違うケースが生じている。 調査手法が一律でないためだ。」

耐震強度の計算方法や計算の時の条件などを国土交通省は定めてないのかと疑問に思う。

「3通りの計算結果が出た理由について奈良県建築課の担当者は『日本ERIや建築主とは、建物にかかる地震の力の解析方法に違いがあった』と説明する。  地震の時は建物にねじれるような力が働く。県の再計算では、この力を立体的に解析する手法を採ったが、日本ERIは縦、横方向だけで解析していたという

解析の条件を同じにしないと、計算結果が違ってくるのは当然。

「県は『日本ERIのやり方も違法ではないが、やや一般的ではない手法だったようだ』とする。 」

違法でなくともこれだけ計算結果が違うのでは、耐震強度の基準を満足することを定めていても、 実際には意味がないと思う。

国は解析条件を示した上で、耐震強度を計算するように通達を至急出すべきである。そうでなければ、 時間と費用の無駄である。条件が指定されていなければ、建築確認をした民間検査機関は出来るだけ 数値が良くなる方法を取るだろう。推測できることである。

このような状態だから、構造計算書偽造が可能だったのだろう。

耐震強度、「どの調査信じれば?」 結果の食い違い多発 12/19/05(朝日新聞)

 自治体や民間検査機関が姉歯秀次元建築士(48)が構造計算書を偽造した建物の耐震強度を調べ直したところ、結果が大きく食い違うケースが生じている。調査手法が一律でないためだ。関係者の間では調査の信頼性をめぐり戸惑いの声も上がっている。

 奈良県大和郡山市のビジネスホテル「サンホテル大和郡山」。奈良県は16日、耐震強度を調べ直したところ、基準の47%しかなかったことを明らかにした。震度5強の地震で倒壊の恐れがあるという。

 このホテルについては、建築確認をした民間検査機関・日本ERI(東京都港区)が強度を再調査した際は基準の94%という結果が出た。建築主の総研ビー・エイチ企画(東京都千代田区)が設計者に依頼した再計算結果は63%だった。

 3通りの計算結果が出た理由について奈良県建築課の担当者は「日本ERIや建築主とは、建物にかかる地震の力の解析方法に違いがあった」と説明する。

 地震の時は建物にねじれるような力が働く。県の再計算では、この力を立体的に解析する手法を採ったが、日本ERIは縦、横方向だけで解析していたという。

 下の階ほど大きくなる地震時の荷重の計算で、各階ごとの配分方法でも県と違いがあった。県は「日本ERIのやり方も違法ではないが、やや一般的ではない手法だったようだ」とする。

 北九州市のホテル「アルクイン黒崎」でも食い違いがあった。建築確認をした日本ERIは11月30日、「構造計算書の偽造があった」と市に報告する一方、「建物自体の強度は基準を満たしている」と発表した。

 しかしホテルの運営会社が構造計算の再計算をしたところ、耐震強度は87%だったという。市の実地調査の結果、耐震補強工事で対応できる見通し。営業再開を目指すホテル関係者は「振り回された」と話している。

 日本ERIは奈良のホテルについて「県側の計算手法とは違うようだが、当社の計算が甘いとか正しくないということはない」と話している。

「姉歯」以外の疑惑物件担当の4社、不正行為否定 12/19/05(読売新聞)  耐震強度偽装問題で、「木村建設」(熊本県八代市、破産)が衆院国土交通委員会に提出した「積算対比表」のホテル31物件について、姉歯秀次・元1級建築士(48)以外に構造設計を担当した4社すべてが、19日判明。いずれも強度偽装などの不正行為を否定した。

 このうち、福岡県など6物件のホテルの構造計算を担当した熊本市の設計会社は「十分な時間をかけて、必要な鉄筋を必要な分だけ配筋」しており、問題はないと回答。また、高知県内のホテル1物件を担当した宮崎県の設計会社は「建築基準法を破るようなことはしない」とコメントした。静岡県内の1物件を手がけた会社は、「再計算の結果、強度に問題はなかった」と語った。残る1社の「塩見」(広島市)は17日に記者会見し、偽装を否定している。

国土交通省が依頼したある英文の翻訳に間違いがあるのを指摘した。 原文とは違うことを指摘して、間違いの訂正を求めたが職員は、訂正することを 否定した。本省に連絡しても誰も相手にしないとも言った。

こんなケースに遭遇すると国土交通省が認定したプログラムも適切にチェックされた 上で認定されたのか疑問に思う。

今回の耐震偽造に税金が使われるのは反対。国土交通省への非難とある議員への非難を 避けるために、行うパフォーマンスに思える。本当に再発を防ぐために何をすべきなのか 考えるつもりがあるのなら、現場に行かない大学教授だけでなく、現場を知っている 人で問題点を指摘する人達も含め、検討するべきである。また、原因究明も行うべきである。

耐震偽装 国交省、認定プログラムの改ざん防止チーム 12/19/05(朝日新聞)  マンションなどの耐震強度偽装問題で、国土交通省は19日、構造計算書の作成に用いる国交相認定プログラムの改ざん防止策を検討するプロジェクトチームを、国交相諮問機関の社会資本整備審議会内に設置した。姉歯秀次元建築士による強度偽装のうち一部物件は、認定プログラムの不正使用で計算書が改ざんされ、民間検査機関や自治体が審査で見逃していた。国交省は、再発防止にはプログラムを専門的に検討する必要があると判断した。

木村建設物件の設計2社が偽装否定 塩見と中山構造研 12/17/05(朝日新聞)

 木村建設が手がけ、姉歯秀次元建築士以外が構造設計をした建物の中に鉄筋の量が少ないホテルが14棟あり、国土交通省が調査を指示している問題で、このうち6棟を担当した広島市の設計会社「塩見」が17日に記者会見し、「不正行為は全くない」と表明した。この問題ではやはり6棟を請け負っている熊本市の中山構造研究所も朝日新聞の取材に偽造を全面的に否定している。

 14棟の構造計算を担当した設計業者は計4社。両社のほかに二つの業者が1棟ずつ構造計算している。

 塩見の難波清孝社長は同社が柱の代わりに耐震壁を使う手法を採用しているとし、「鉄筋量が少なくても安全性は保たれている」と強調した。

 中山構造研究所は偽造や耐震強度不足を文書で強く否定し、「バランスのとれたデザインにすれば耐震強度を満足する建物が(1平方メートルあたりの鉄筋量)60キロ程度でも設計できる」と説明している。姉歯元建築士については「勉強不足の建築士がきちんと検討されている合理的な設計の結果をまねしただけ」と批判した。

公正?民間検査機関…住宅メーカーなどが出資・出向 12/17/05(読売新聞)

 マンションなどの建築確認を行っている民間の確認検査機関のうち、国土交通相が指定する民間企業11社中の9社に対し、複数の住宅メーカーや建設会社などが出資し、少なくとも計90人の社員を出向させていることが17日、わかった。

 検査される側の関係企業が、検査する側に資本や人事の面で影響力を行使できる形になっており、専門家からは「公正な立場を保持できるか疑問だ」との声が上がっている。

 現在、計124ある確認検査機関は、営業範囲により、国交相指定(17機関)、国交省地方整備局指定(34機関)、知事指定(73機関)に分かれる。このうち、民間企業は、国交相指定で11社、整備局指定で33社、知事指定で30社ある。ほかは財団法人など。

 営業範囲が広域に及ぶ国交相指定の11社について読売新聞が調べたところ、姉歯秀次・元1級建築士(48)による構造計算書の改ざん9件を見逃していた「日本ERI」(東京都港区)は、ミサワホームなど住宅メーカー5社が計約20%の株を保有。ほかにも、設計・建設業を営む約10社が計約5%を出資していた。

 また、改ざん1件を見過ごした「東日本住宅評価センター」(横浜市)は、住宅設備機器を販売する東京ガスが約30%を出資。これとは別に、住宅産業に縁の深い他の企業十数社も計30%以上の株を保有しており、約160人の社員のうち約40人は、出資企業からの出向組だった。

 さらに、「ハウスプラス住宅保証」(東京都港区)の場合、住宅メーカーと協力してオール電化住宅の提案型営業を進めている東京電力が約40%出資し、全職員約70人のうち15人が同社から出向。三十数件の改ざんを見逃していたことがわかっている「イーホームズ」(新宿区)も、関係業界にかかわる個人2人が計1%の株を保有している。

 資本関係のある企業からの建築確認の依頼は、東日本住宅評価センターの場合、年間受注件数の約80%、日本ERIが約20%、住宅性能評価センター(新宿区)は約15%となっている。

 建築基準法は、検査機関の指定にあたり、「役員や検査員が検査業務の公正な実施に支障を及ぼさない」ことを条件としており、国交省は1999年、建設、設計・監理のほか、ガス、電力会社などを「制限業種」とし、50%以上の株の保有を原則禁止した住宅局長通達を出している。

 ただ、検査機関内部に監査委員会を設けた場合に限り、制限業種の会社が3分の2未満までの株を保有することを可能としており、問題の民間検査会社9社中4社は、制限業種の企業によって60%以上の株が保有されている。

 検査会社側は「株主だからといって検査に手心を加えることはあり得ない」(西日本住宅評価センター・大阪市)としているが、ある検査機関の役員は「住宅メーカーと資本関係があれば、ひも付きの仕事が来るので、『なあなあ』になることはある」と証言。欠陥住宅問題に詳しい吉岡和弘弁護士も、「中立性を欠き、問題。自治体認定の確認検査機関でも同様な状態とみられるが、実態が公表されず不透明」と話している。

平成設計に総研側、1億円超請求 20ホテルで「企画料」名目 12/17/05(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で、20件のホテル開業に絡み、経営コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」の内河健(うちかわ・たけし)所長(71)が役員を務めた二つの会社が、破産した木村建設(熊本県八代市)の子会社「平成設計」(東京都千代田区)に対し、「企画料」の名目で5年間に約1億1000万円を請求していたことが17日、平成設計の内部資料で分かった。

 内部資料によると、請求金額のうち少なくとも約1300万円が内河所長側に振り込まれたことが確認されている。

 内河所長は14日の衆院国土交通委員会の証人喚問で「コンサルタント料以外に金をもらったことは一切ない」と説明したが、ホテルオーナーからのコンサルタント料に加え、設計を請け負った平成設計からも多額の資金が総研側に流れていた疑いが出てきた。

 2社は千代田区の不動産管理業「内河」と、福岡市の経営コンサルタント会社。

 内河と平成設計は総研所有の同じビルに入居。内河の役員には内河所長や親族が名を連ねていた。福岡市の会社は内河所長が代表取締役を務めたが、耐震強度偽装問題発覚後の今月8日に解任されている。

 内部資料によると、内河は2001―02年、群馬県伊勢崎市と高崎市、東京都中央区、愛知県豊田市、佐賀県鳥栖市、大分県別府市の6件のホテル開業に際し、「企画料」として計約3400万円を平成設計に請求。

 また福岡市の会社も02年から今年にかけ、栃木県小山市や東京都中央区、神奈川県厚木市、静岡市、兵庫県姫路市などの14件のホテル開業で計約8100万円の「企画料」を請求していた。

 平成設計側には請求に応じて金を銀行口座に振り込んだ際の証明書の一部が残っていた。

 「企画料」請求の舞台となったホテルの中には、姉歯秀次(あねは・ひでつぐ)元一級建築士による構造計算書偽造が確認された例がある一方、無関係とみられるホテルもある。

 証人喚問で内河所長はホテル1件当たりのコンサルタント料を「3000万―5000万円」と説明。馬淵澄夫議員(民主)が2社について「総研とどういう関係か」とただしたのに対し、内河所長は「不動産情報を持ち込んでくれた協力者」などと証言していた。

 総研は「担当者がいないので分からない」としている。(共同)

耐震偽造:総研、平成、イーホームズも捜索対象 合捜本部 12/16/05(毎日新聞)

 姉歯(あねは)秀次・元1級建築士(48)による耐震データ偽造問題で、警視庁と千葉、神奈川両県警の合同捜査本部は15日、構造計算書の偽造が発覚したビジネスホテルの開業を指導した経営コンサルタント会社「総合経営研究所(総研)」(東京都千代田区)と関連会社の「平成設計」(同)について、建築基準法違反容疑での一斉捜索対象に加える方針を固めた。平成設計に鉄筋の減量を指示した総研幹部の文書の存在が明らかになり、強制捜査により両社の関与の解明が不可欠と判断した。

 「ヒューザー」(千代田区)や「木村建設」東京支店(新宿区)など建築主、施工者に加え、偽造を見逃したとされる指定確認検査機関「イーホームズ」(新宿区)も捜索対象とする。捜索先の拡大に伴い、要員や日程を再調整し、一斉捜索は来週中にずれ込む。

 総研は、姉歯元建築士が構造計算書を作成した27軒のホテルを開業指導し、うち24軒の偽造が判明している。平成設計は愛知県の聴聞などで「木村建設が施工する場合は姉歯元建築士に請け負わせるのが慣例だった」と証言。データ偽造問題に総研がどうかかわったかが焦点になっている。

 14日の衆院国土交通委員会での証人喚問で、馬淵澄夫委員(民主)から、平成設計に対してホテルの鉄筋の減量を指示する総研幹部の文書が、内河健・総研社長(71)に示された。馬淵委員は内河社長をトップとし、「姉歯設計」を構造設計の欄に記した「組織表」の存在も指摘していた。【合田月美】

社説:偽造証人喚問 「ぐるみ」の疑惑は強まった 12/15/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題をめぐる証人喚問が14日、衆院国土交通委員会で行われた。姉歯秀次元1級建築士が、木村建設側も違法性を認識していた可能性を指摘するなど重要証言も少なくなかった。今後、どこまで事件として追及できるかは捜査当局に委ねられるが、偽造は関係者ぐるみではなかったのかという疑惑が一段と強まった喚問だった。

 2度の参考人招致を欠席していた姉歯元建築士の証言のポイントは三つあった。

 一つは、木村建設の篠塚明元東京支店長から具体的な数字をあげて鉄筋量を減らすよう圧力をかけられたと証言したこと。そして違法性についても「元支店長は十分に認識していたと思う」と明言したこと。さらに、「(偽造の)内容は単純で、すぐばれると思った」と語り、偽造を見抜けなかった民間確認検査機関の欠陥にまで踏み込んだ点だ。

 「悪いのは自分だけではない」という責任逃れの側面は否定できない。しかし、問題の主役が、はしなくも今回の全体構図をあぶり出したのは確かだろう。

 これに対し、元支店長は「法を犯すとは思っていなかった」と従来の証言を繰り返した。だが、「鉄筋量を減らさなければ、事務所を代えるとは言っていない。他にも事務所があると言っただけだ」といった説明は、やはり説得力に乏しい。

 姉歯元建築士から「審査が通りやすいというか、見ていないのではないか」と、その存在意義まで指摘された検査機関の問題も深刻である。民間だから甘いのか、そもそも検査方法に根本的な欠陥があるのか、早急に検討が必要だ。

 一連の鉄筋減らしの指南役ではないかと言われている経営コンサルタント会社・総合経営研究所(総研)の内河健社長の証言も、この日の大きな焦点だった。

 内河社長は「構造を変えろと言ったことも、相談を受けたこともない」などと関与を全面的に否定した。しかし、民主党がただしたように、総研が設計会社に対し、詳細に数字を示して鉄筋量を減らすよう指示していた文書も明らかになり疑問は増す一方だ。国会でも引き続き解明が必要だ。

 それにしても……と改めてあきれ果てるのは、関係者の責任感のなさだ。姉歯元建築士は「違法性」こそ再三口にしたが、建設された場合の危険性については「そういう認識はなかった」と語った。建築士に求められる最低限のモラルが欠如していると言わざるを得ない。一方の木村建設は「建築確認が下りたから問題ない」と開き直る。無責任の連鎖は、今回の偽造が構造的なものであることを物語っているように思える。

 もう一点、指摘したい。久しぶりの証人喚問で、各党の「追及力」も注目されたが、自民党は余りにお粗末だった。まさか、業界批判を遠慮しているのではあるまいが、材料も乏しく、演説のような話をだらだらと続けられては時間の無駄だ。その分、質問時間を野党に配分した方がましだった。

木村建設の構造設計、「姉歯」以外2、3社に集中 12/15/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、「木村建設」(熊本県八代市、破産手続き中)と「平成設計」(東京都千代田区、同)が設計や施工を請け負ったホテルで、姉歯秀次・元1級建築士(48)以外の構造設計の外注先が、2~3社の設計事務所に集中していることが、国土交通省などの調べでわかった。

 同省では、関係自治体を通し、これら設計事務所から事情を聞く方針。

 14日の衆院国土交通委員会の証人喚問では、木村建設の篠塚明・元支店長(45)が、「(鉄筋量などで)コスト削減を求めたのは姉歯元建築士に限らない」と証言。また同元支店長が提出した31ホテルの「積算対比表」では、姉歯元建築士以外の建築事務所が構造計算を請け負った建物でも鉄筋量が低く抑えられており、国交省は、再点検が必要と判断した。

耐震偽装 証人喚問 総研、鉄筋削減のメモ 数字挙げ「4本減らせる」 12/15/05(産経新聞)

 耐震強度偽装問題で、偽装ホテルの多くの開業指導をした「総合経営研究所」(東京)が「平成設計」(同)に対し、具体的な数字を挙げて鉄筋量を減らすよう指示していた疑いのあることが十四日、衆院国土交通委員会の証人喚問で分かった。総研は設計への介入を否定し、偽装は「知らなかった」としてきたが、これを覆す内容。コストダウンが特徴の総研が、具体的に鉄筋量削減を指示していたことが判明し、同社の偽装への関与が疑われる状況になってきた。

 馬淵澄夫委員(民主)が指摘した。同委員は、総研の四ケ所猛チーフコンサルタントが平成設計にあてた、直筆とみられるメモを示し、「総研幹部が指示している事実がある。コストダウンのしわ寄せは予見できたのではないか」と内河健所長(71)を追及した。

 メモは計画中のホテルに関し、構造設計の面からコストダウンの検討を迫ったもの。「鉄筋の使用量が百十九キロ/m2になっている。多くても七十五から八十キロ/m2で納めてほしい」「杭(くい)工事で、一本でも少なければ喜ばしい」「もう少し経済的に納めようとする気持ちで構造担当者は設計してもらいたい」などと具体的に数字を挙げ、平成設計に検討するよう指示していた。

 さらに、「1F、2Fの柱、鉄筋36-D32(一階、二階の柱、直径三十二ミリの鉄筋、三十六本)、四隅の主筋をタバネ配筋にすれば四本は減らせる」などと、手書きで柱の中の配筋図まで添付されていた。

 メモを書いたとされる四ケ所氏は別のマンション建設で、姉歯氏と打ち合わせに同席していたことが判明している。

 内河氏は、「そのメモは全く知らない。調査して回答したい」と述べた。

 この日の証人喚問には内河氏のほか、偽装した姉歯秀次元一級建築士(48)、姉歯氏に構造計算を発注していた木村建設(熊本、破産)の木村盛好元社長(73)、篠塚明元東京支店長(45)の計四人が出席した。

耐震強度偽装問題 国会証人喚問 傍聴席に被害住民「まだ隠している…」 12/15/05(産経新聞)

 14日の衆院国土交通委員会を傍聴した偽装マンションの住民は、やっと現れた姉歯秀次元建築士や総合経営研究所の内河健所長から直接証言を聞けたことを評価する一方で、先の見えない生活への不安を口にした。

 偽装のきっかけは木村建設からの圧力と語った姉歯元建築士と、圧力を否定した木村建設の元東京支店長。グランドステージ東向島の男性(45)は「力関係に加え、リベートも要求していた木村建設が『圧力ではない』と言っても信じられない。コスト、コストと繰り返す元支店長の姿勢が偽装の背景」と語った。

 内河所長について別の男性住人(36)は「(偽装を)暗黙の了解の中でしなければならない組織をつくったのでは。まだ隠していることがある」と不信感を募らせた。

 同マンション住民代表の田中拓さん(32)は「『偽装は簡単に見つかる』という姉歯建築士の言葉には驚いた。確認検査機関はやはりザルか」とあきれ気味。

 一方、耐震強度が最低基準の33%と確認され、国土交通省の告発対象にもなっている東京都稲城市の分譲マンション「グランドステージ稲城」では、年内の退去要請を受け、住民らは引っ越しに向け準備中だった。

 テレビで証人喚問を見た主婦(38)は「姉歯元建築士の責任はもちろん大きいが、木村建設の指示が明らかになり、その責任も大きいと分かった」と話し、「トカゲのしっぽ切りにならないように、全体(の責任)を明らかにしてほしい」と注文を付けた。

                   ◇

≪住居の基本 見直しを≫

 京都府立大人間環境学部の上野勝代教授(住生活学)の話 証言では圧力をかけたとか、かけていないという議論が注目されたが、鉄筋を減らすコストダウンや工期の短縮など、人の命にかかわる住居を、商品として見過ぎている点が問題の根幹という印象を受けた。「安心して生活できる空間」という住居の基本を、業界関係者全員が見直す必要がある。建築士が全体として国民からの信用を失っている。設計の改竄(かいざん)や施工の手抜きをした業者は公開するなど、消費者に対して透明な仕組みづくりを考えてもいいのではないか。

≪対等な関係つくって≫

 東大大学院の神田順教授(建築学)の話 姉歯秀次元建築士が圧力があったと証言していることから分かるように、構造設計者が建設会社の下請けではなく、対等にものが言える関係をつくっていくことが大切だ。姉歯氏はすぐばれると思っていたと発言しているが、検査機関の誰かが止めてくれるという甘い考えがあったのではないか。業界全体の信用が低下している中で、構造の専門家らでつくる第三者機関が審査するとか、確認の仕組みを見直す必要もある。消費者がマンションなどを購入する際、安全を確認できるように、設計者の名前や審査の過程を明らかにするなど目に見える形に変えていくことも求められるのではないか。

≪「是正」経緯 重要に≫

 「欠陥住宅を正す会」副代表幹事の木村孝弁護士の話 今回の証人喚問では、違法性の認識について当事者間の主張に食い違いがあり、鮮明にならなかった。今後注目されるのは、構造設計段階の偽造にもかかわらず、途中でチェック機能が働き、問題のない物件に仕上がったケースだ。偽造された通りに建った物件については、関係業者が皆「気が付かなかった」と言い合って終わっている。しかし、途中で是正された物件については問題があることを業者が認識したはずで、そのときにどういうやりとりで是正したかが重要なポイントになるのではないか。

証人喚問「がっかり、あとは司法で」 マンション住民 12/14/05(朝日新聞)

 東京都中央区のマンション「グランドステージ茅場町」(36戸)の住民代表が14日夜、同マンションで記者会見し、姉歯秀次元建築士ら4人に対する証人喚問を傍聴した感想を述べた。

 会見した管理組合理事長はこの日、姉歯元建築士と木村建設の木村盛好社長、篠塚明元東京支店長の3人の喚問を傍聴した。理事長は「責任のたらい回しばかりで、あきれ、がっかりしました」と話した。その上で「結局は誰が悪いのか、責任の追及はできていません。あとは司直の手に任せたい」とした。

 このマンションは耐震強度の偽装が判明し、中央区は住民に退去を勧告しているが、9割以上の住民は転居先がまだ決まっていない。

 理事長は「今後は他のマンションの被害者たちとも力を合わせて動いていきたい」と語った。

「鉄筋減らせ」総研が木村側に直筆書類 耐震偽装 12/15/05(朝日新聞)

 耐震偽装が判明した各地のビジネスホテルを開業指導したコンサルタント会社「総合経営研究所」の幹部が、木村建設の子会社の平成設計に、鉄筋量などを減らすよう直筆の書類で具体的に指示していたことがわかった。総研が経費削減を主導していることを示す内容で、民主党の馬淵澄夫議員が入手し、14日の衆院国土交通委員会での証人喚問で取り上げた。総研の内河健所長は書類について「知らない」としたが、構造計算の専門家は、指示された鉄筋量では強度不足に陥る可能性が高いと指摘している。

 この日の証人喚問では姉歯秀次元建築士ら4人が証言。姉歯元建築士は、木村建設の篠塚明元東京支店長を名指しして、鉄筋の量を減らすよう圧力があったと指摘した。喚問を受け、全容解明に向けた警視庁などの捜査に焦点が移る。

 馬淵議員が入手したのは、ホテル建設に絡み、総研の四ケ所猛・チーフコンサルタントから平成設計の担当者にファクスで送られた書類で、総研の便箋(びんせん)で4枚。この1、2年につくられたもので「1FL、2FLの柱寸法 1000×1000 36―D32?大きすぎる」と記されていた。1、2階の1メートル四方の柱に直径32ミリの鉄筋を36本使うのは多すぎるとの意味とみられる。

 さらに書類では、別のホテルは同じ太さの柱に関し「20―D25~22―D25(直径25ミリの鉄筋を20~22本使うとの意味)で済ませている」とし、「もう少し経済的に納めようとする気持ちで構造担当者は設計してもらいたい」などと具体的に指示していた。

 20―D25という鉄筋の太さと本数について、ある1級建築士は「鉄筋コンクリートの10階建て前後の建物なら、直径25ミリを使う可能性は極めて低い。強度不足が考えられるためで、普通は29ミリか30ミリ強をもっと多く使う」と述べた。

 また、書類には柱への鉄筋の配置のイラストをまじえ、「4隅の主筋をタバネ配筋にすれば、4本は減らせる」とする記述もあった。内河所長は喚問で、書類について調査する意向を示した。

 一方、馬淵議員は、平成設計が03年5月に、同社本来の組織表とは別に「SGホテル建設計画組織表」を作っていたことも指摘した。組織表では内河所長をトップに、ナンバー2が平成設計の幹部、設計の構造の欄に「姉歯設計」とあった。

 馬淵議員は、03年には内河所長をトップに姉歯元建築士の構造設計まで貫く構図ができていたとして、「利益追求一辺倒の総研のやり方が偽装の仕組みを生み出した」と語った。

 姉歯元建築士から鉄筋の量を減らすよう圧力を受けたと名指しされた篠塚元支店長は、「偽造について一切関与していません。鉄筋量は法律の範囲内で経済効果を会話することはありますが、強く圧力をかけたことはありません」と否定した。木村建設の木村盛好社長は「姉歯さんとの関係はあまり存じていません」と語った。

 内河所長は「鉄筋を減らせと言ったことも、(木村建設から)相談を受けたこともありません」と語った。

耐震偽造:鉄筋減らしコスト抑制、総研方式 衆院証人喚問 12/15/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題をめぐり14日行われた衆院国土交通委員会の証人喚問。過去2回の参考人招致を含めて、姉歯秀次・元1級建築士(48)以外の関係者は、いずれも偽造への関与を否定した。国会での追及も真相解明にはほど遠い内容に終わったが、鉄筋を減らして建築コストを抑える経営コンサルタント「総合経営研究所(総研)」方式が偽造の背景に浮かび上がる。【大平誠】

 ◇木村建設が「広告塔」に

 「鉄筋を減らせと言われ続けた」。この日の証人喚問で、姉歯元建築士は、木村建設の篠塚明・元東京支店長から、物件の一覧表をもとに、1平方メートル当たり20キロもの鉄筋の低減を迫られた模様を証言した。

 11月24日の国土交通省の聴聞会でも語られた言葉は、偽造の背景に、コスト削減に直結する鉄筋量減らしが隠されていることを示している。そして、証人喚問や関係者の話などから見えてくるのが、その「頂点」に位置しているのが総研という実態だ。

 71年の設立以来、総研が開業指導したビジネスホテルは238棟に上る。総研がこだわるのは、通常のビジネスホテルやマンションでは70万~80万円程度の建設費の坪(3.3平方メートル)単価を55万円に抑えることだった。

 総研の内河健社長(71)は証人喚問では、海外から輸入した大型型枠を使った工期短縮工法を紹介し、「経済設計」のポイントがスピードにあることを強調した。しかし、実際には内河社長自ら経営指導先の中小ゼネコンに鉄筋量削減を推奨し、幹部が1平方メートル当たりの鉄筋量を3割以上も減らすよう設計会社に要求するなど、鉄筋減らしに異常なこだわりをみせてきた。

 総研の指導先ゼネコンは約300社で、うち160社は海外工法や輸入資材を導入できる「SG会」として登録されている。SGは「総研グループ」からとった。1級建築士など約10人のコンサルタントが担当の指導先を割り振られているが、筆頭格の木村建設は内河社長自らが直接指導してきた。

 証人喚問では、99年以降に総研が関与した75棟のホテルのうち、30棟を木村建設が手がけていたことも明らかにされた。関係者は「木村建設は、“優等生”として、他の会員に輸入型枠などを売りつける広告塔だった」と打ち明ける。

 木村建設のホテル事業部は本店直属で全国展開しており、関係者は「ホテル以外で業績を伸ばす必要があった東京支店は、マンション建設受注を伸ばそうと必死になっていた」と話す。

 一方、マンションの建築主の不動産販売会社「ヒューザー」(小嶋進社長)は97年に「グランドステージ」シリーズの展開を始め、同支店とのつながりを深めた。

 「広くて安価な」マンション提供を売りにしていたヒューザーも、建設費の坪単価を45万円に抑えることにこだわり、99年以降6年連続で業界トップの供給面積を達成した。姉歯氏が初めて同シリーズの構造計算を手がけたのは12棟目。証人喚問で初めての偽造と証言した「グランドステージ池上」(99年完工、9階24戸)だ。

 総研方式の鉄筋減らしをマンションルートで実践した木村建設の東京支店。篠塚元支店長はこれ以降、架空請求書の提供という形で姉歯元建築士を巻き込み、本社からの裏金づくりに手を染めていった。

 ◇偽造素通り、浮き彫りに

 この日の証人喚問で改めて問われるのは、偽造の構造計算書を見逃した民間指定確認検査機関や特定行政庁の責任だ。国交省調べでは、既に偽造物件は17都府県71棟にまで拡大している。

 姉歯氏も証人喚問で「(偽造の手口が単純で)構造のプロが見れば、すぐにばれると思っていた」と証言した。33物件の偽造を見逃していた「イーホームズ」をはじめ、官民の機関とも「偽造は複雑」などと口をそろえるが、ザルのように偽造を素通りさせていた実態は看過できない。

 西日本のある民間確認検査機関は「はっきり言って、行政よりも民間の方がレベルが高い。どの機関も行政OBの天下りを受け入れているが、建築主事の資格だけ取って10年以上実際の確認審査をしていない人もごろごろいる」と打ち明ける。

 <総合経営研究所(総研)>

 1956年に個人で経営コンサルタント業を始めた内河健氏が71年に設立した。本社は東京都千代田区で、従業員約25人。経営指導をする中小ゼネコン会員に、ビジネスホテルを施工させ、ホテルオーナーからは開業指導料を徴収している。民間調査機関によると、毎年3億~5億円の経常利益を確保。直営の4ホテルや木村建設東京支店が入る新宿区のビルを含め全国に多数の土地・建物を所有している。平成設計や建築資材輸入商社などでグループ企業を形成する。

耐震偽造:偽造見抜けず大林組と契約否決 千葉・柏市議会 12/15/05(毎日新聞)

 千葉県柏市議会は14日、耐震データの偽造を見抜けなかったと批判された大手ゼネコン「大林組」との契約締結議案(予定金額約50億円)を全会一致で否決した。議案の提出後、大林組が大阪市内の偽造ホテルの建設を元請けしていたことが発覚したため、議会で「契約締結は不適切」との声が高まっていた。

 否決された契約は「市総合保健医療福祉施設」の新設と維持管理事業。施設は床面積約9300平方メートルで、診療所や知的障害児らの通所施設を整備する計画だった。08年の完成予定で、大林組を中心とした共同群が入札で落札し、14日の議会で承認されるはずだった。

 本多晃市長は「困惑している。速やかに善後策を考える」との談話を発表したが、来年度に入札公告からやり直さなければならず、完成予定は1年以上遅れそうだ。同施設は民間の資金や経営ノウハウを生かす「PFI」と呼ばれる手法を使い、施設は市が保有するが、設計や建設、維持管理は入札業者に委託される。【木下豊】

耐震偽造:木村・総研「全然知らない」、姉歯氏と矛盾 12/15/05(毎日新聞)

 「圧力をかけてない」「全然知らない」--。耐震データ偽造問題を巡り、14日午後も続いた衆院国土交通委員会の証人喚問。経営コンサルタント「総合経営研究所(総研)」の内河健社長(71)と施工者の木村建設側からは、姉歯秀次・元1級建築士(48)に偽造するよう圧力をかけたことや、関与を否定する言葉ばかりが続いた。偽造を認めた姉歯氏の証言と矛盾する発言が繰り返されるたびに、退去を迫られたマンションの住民からは怒りの声が上がった。【西脇真一、青島顕、篠原成行】

 コンサルタントとして講演慣れした内河氏は、よく通る関西弁で「応戦」。委員から、内河氏が会員企業に配布する直筆の「月報」の中で「鉄筋の量を減らせば安くなる、と指導している」と指摘されると、語気を強め「『減っていたら』と書いているだけで『減らせ』とは書いていない」と反論した。

 ホテルとマンションの2ルートで被害が拡大した責任を問われると、総研として木村建設の分譲マンション建設には反対していた話を披露。「マンションルートについて知らない。どうにかしてくれと言われるのは大変心外だ」と応じた。

 しかし、総研が「鉄筋を3分の1に減らせ」と設計会社に出した指示文書を馬淵澄夫委員(民主)が頭上に掲げると、強気な発言が影を潜めた。「その件については、全然知りません」。青ざめた表情で、そう言うのがやっとだった。

 一方、木村建設の篠塚明取締役(45)=元東京支店長=もあいまいな態度に終始した。「自分はコストの抑え役」「『もう少し何とかならんか』と言ったことはある」と話したものの、耐震データの偽造に関して姉歯氏に圧力をかけたことは否定。姉歯氏から「『構造事務所はほかにある』と篠塚さんから言われた」と指摘された点についても「『プレッシャーになった』というのは(意味が)分からない」。さらに「確認機関を通ったものを疑いようがない」とまで言い切った。

 木村建設の木村盛好社長(73)は委員の質問に「耳が遠いので聞こえません」と繰り返した。偽造に関与したかと問われても「偽造?」とつぶやくだけ。唯一冗舌になったのは、倒産の経緯を聞かれた時。「42年間つきあったメーンバンクがこんな非情なことができるのか」と銀行の対応に怒りが収まらない様子。最後に心境を問われ「あとは死ぬだけです」。

 午前中に証言した姉歯氏も偽造の内容について問われると「プロが図面を見れば明確に(偽造が)分かる」「すぐにばれると思った」とまるで人ごとのように開き直り、責任転嫁に終始した。

 ◇総研 ブローカー使い営業

 また、この日の証人喚問で「サンホテル奈良」の営業にかかわった地元紡績業者が、総研の「開発事業部」の名刺でホテルオーナーらに営業をかけ、施工の木村建設から建築費の3%がキックバックされていたことが分かった。さらに、総研の内河社長は、同様の不動産ブローカーが全国に5~6人存在し、総研グループの一員として土地確保など新規ホテルの建設などに協力させている実態を認めた。

ヒューザー窓口会社が社名変更 「もう関係ない」 12/14/05(朝日新聞)

 耐震強度偽装問題で、ヒューザー(小嶋進社長)とともにマンション入居者との交渉窓口になっていたヒューザーマネジメント(犬山正一社長)が、11月末に社名を変えたことがわかった。同社は「ヒューザーとの契約が終わったので社名を変えた」などとし、これに伴って住民との関係も終了したと説明している。住民は「寝耳に水の話だ」と不信感を募らせている。

 マネジメント社はヒューザーが建設したマンションの販売代理や引き渡し業務を手がけていた。ともに東京・丸の内の同じビルに入居し、マネジメント社の役員がヒューザーの役員にも名を連ねている。

 強度偽装問題が発覚後に相次いで開かれた住民説明会ではマネジメント社の名前で会場を借りたりするなど、両者は実質的に一体となって活動している。犬山社長は11月25日、小嶋社長とともに国土交通省の事情聴取を受けた。

 社名は11月30日付で「ジャスティホーム」になり、その登記手続きも終わった。ヒューザーの担当者は「両社に資本関係はない。(マネジメント社は)ヒューザーと交わしていた販売代理契約の終了を機に社名を変えた。契約の終了で住民との関係はなくなったので変更は知らせなかった」と話している。

 倒壊の恐れがあるマンション・グランドステージ東向島=東京都墨田区=の住民の一人は13日、「きょうも担当者と電話で話したが、そんな話は一言もなかった。いったいどうなっているのか」と驚いていた。

ヒューザーへ売却中止発表 西神オリエンタルホテル 12/14/05(神戸新聞)

 経営再建中のダイエーは十三日、耐震強度偽装問題に関わっているマンション開発のヒューザー(東京)への、西神オリエンタルホテル(神戸市西区)の売却を中止すると発表した。ヒューザーが倒壊の恐れのあるマンションの建て替えなどで、資金繰りのめどが付かない公算が大きいためとみられる。

 ダイエーは「(同ホテルを)売却する方針は変わらない」としており、新たな売却先を探す。ホテルは通常営業を続ける。

 ダイエーは当初、同ホテルを所有する運営会社を、十一月二十五日にヒューザーへ譲渡する契約を交わしていた。しかし、同社の耐震強度偽装問題への関与がわかり、譲渡期日を十二月二十二日に延期していた。解約の理由について、ダイエーは「協議の結果で詳しくは言えない」としている。

 ダイエーが受け取った契約保証金の三億円は同日付でヒューザーに返却する。

検査会社の処分、国交省が来春に延期 調査委を優先 12/14/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、国土交通省は、姉歯秀次元建築士による構造計算書の偽造を見過ごしたイーホームズ(東京都)や日本ERI(同)など民間検査機関への建築基準法に基づく処分を来春に決める方針を固めた。当初は偽装の全容が分かり次第、処分する考えだったが、13日に発足した民間検査機関や行政の対応を検証する国交相直属の緊急調査委員会の結論の出る来年3月末まで待つべきだと判断した。

 緊急調査委は、偽装の発覚をめぐる両社の反応や国土交通省住宅局の初動対応などを、第三者の識者らで検証し、建築行政の危機管理を考える。国交省は、業務停止などの厳しい処分を下した後で、調査委が民間検査機関から詳しい証言を得ることは困難として、調査委の作業を優先することにした。

耐震偽造:「鉄筋3分の1以上減らせ」総研が文書指示 12/14/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造が発覚したビジネスホテルの開業指導に当たっていた「総合経営研究所(総研)」=東京都千代田区、内河健社長(71)=が、構造設計を元請けする設計会社に、鉄筋量を3分の1以上減らすよう文書で指示していたことが分かった。毎日新聞が文書を入手した。内河社長が鉄筋量の指示を認める発言を業界誌上でしていたことは判明していたが、実際に同社から設計会社への指示が裏付けられたのは初めて。姉歯秀次・元1級建築士に対し、鉄筋量を減らすよう指示していた木村建設(熊本県八代市)は、総研の経営指導を受けていた。極端に鉄筋を減らした偽造物件乱造の根幹は、総研だった疑いが強まった。

 この文書は、今年に入って総研の担当幹部から、平成設計(千代田区)にファクスで届いたA4判の手書きの指示書。東京都内の構造設計事務所が構造計算した中部地方のホテル名を明記したうえで「検討願います」と記されていた。

 内容は、1平方メートル当たり119キロで計算されていた鉄筋量を「多くても75~80キロで納めてほしい」と構造設計の変更を要求。くいの本数も「1本でも少なければ喜ばしい」とし、32~36ミリになっていた鉄筋の直径も「大きすぎる。以前、大阪のもので20~25ミリで済ませている」などと指示。「もう少し経済的に納めようとする気持ちで構造担当者は設計してもらいたい」とも書かれている。

 これに対し、平成設計側は▽既に水平力に対するくいの本数を最低に設計している▽建物の特徴から鉄筋は32~36ミリが必要--などと専門家の見解として回答、構造設計は変更しなかったという。

 総研の複数の幹部は、毎日新聞の取材に「鉄筋量を減らす指示をすることはあるが、法令の範囲を逸脱することはない」などと話している。

 総研は内河社長が創業。全国約300社のゼネコンの経営指導をしている。【吉永磨美、鈴木梢】

耐震偽造:「98年から60件」証人喚問で姉歯元建築士 12/14/05(毎日新聞)

 衆院国土交通委員会で14日、耐震データ偽造問題をめぐり姉歯秀次元1級建築士(48)の証人喚問が行われた。2度の参考人招致を欠席していた姉歯氏は、「木村建設」の篠塚明取締役(元東京支店長)から鉄筋量を減らすようプレッシャーをかけられ、「偽造は98年ごろから60件前後やった。最初はグランドステージ池上(東京都大田区)だった」と証言し、謝罪した。また篠塚氏から鉄筋減量について具体的な数値を示されたとし、篠塚氏が違法性を知っていた可能性を指摘。偽造方法は「独自に考え出した」と述べた。午後には、木村建設の木村盛好社長、篠塚氏、経営コンサルタント「総合経営研究所(総研)」の内河健社長の証人喚問が行われる。

 姉歯氏はまず、林幹雄委員長(自民)の質問に対し、偽造の全体像を「98年ごろから60件ぐらい」と説明。「国交省が当初公表した21件以外は覚えていない」とする従来の主張を翻した。

 動機について「当時、木村建設の仕事が90%ぐらいを占めていた。篠塚氏から『(鉄筋量を)減らさないと仕事を一切出さない』と言われ、生活が出来なくなるので、やった」と、収入の確保のためだったことを強調した。妻が入退院を繰り返していたことも明かし、「やってはいけないと分かっていたが、弱い自分がいた」などと述べた。

 建築基準法の基準を満たさないレベルまで減らしたことについて、「図面を見て、(篠塚氏から)『これじゃあ(予算に)合わない』と言われた」と証言。一覧表を見せられて「通常80~100(キロ)とあるところを、60ぐらいに」などと具体的な数字を指示されたとした。篠塚氏の違法性認識については、「(鉄筋量は)最低限ギリギリの世界でやってきて、法律に触れるという意味で、これ以上は出来ないと言った」と、認識していたとの見方を示した。また篠塚氏に計約200万円のリベートを渡したことも明かした。

 姉歯氏は民間確認検査機関「イーホームズ」の責任も「プロがいるので見抜くことはできると思っていた」と強調した。

 国交省によると、姉歯氏がかかわった210物件中、マンションやホテル計71棟で構造計算書の改ざんが明らかになっている。

 これまで、篠塚氏は衆院での参考人質疑で「法令を守る範囲で、という趣旨だった」と改ざんへの関与を否定。元請け設計として多くの物件にかかわった「平成設計」は愛知県の聴取に対して総研の指示で設計を主導したことを認めたが、総研の内河社長は記者会見で「(姉歯元建築士とは)会ったこともないし、聞いたこともない」と全面的に否定している。

 国会の証人喚問は02年3月の外務省をめぐる疑惑での鈴木宗男元北海道・沖縄開発庁長官以来。証人喚問は議院証言法に基づいて行われ、参考人招致と異なり、証言内容について偽証罪も適用される。【長谷川豊、渡辺暖】

耐震偽造:姉歯元建築士 数年前から羽振りよく 12/14/05(毎日新聞)

 姉歯秀次・元1級建築士は、宮城県大郷町出身。関係者によると、母と兄の3人暮らしで、80年に地元の工業高校を卒業後、大阪に本社を置く中堅ゼネコンに入社したという。東京支社の施工部門に配属され、主に建設現場の管理を担当していたが、「設計の仕事がしたい」との理由で、84年3月に退社。この直後に結婚し、披露宴のあいさつでは「母の笑顔が見たくてここまで勉強してきた」と話すなど、まじめな仕事ぶりがうかがえたという。

 その後、建築事務所などの勤務を経て、88年、千葉県市川市に事務所を開設。90年には同県に1級建築士登録し、本格的に「構造建築士」として活動を始めた。

 10年以上の付き合いがあるという建築関係者の男性によると、姉歯氏は独立当時、東京都内の大手ゼネコンが施工するビルなどの構造計算を地道にこなしていた。

 しかし、病気の妻の容態が悪化した98年ごろから「妻の面倒がみられるように、もっと効率がいい仕事がほしい」と、接待などに時間を割かれる大手ゼネコンとの取引を断るようになったという。この直後から、木村建設との取引が始まったとみられる。

 国交省の調べなどでは、姉歯氏の偽造は98年から始まり、01年から急増している。10年ほど前は、知人から譲り受けた中古車に乗っていたが、木村建設の仕事を請け負うようになって高級車に換え、3~4年前からは高級外車やオートバイを次々と購入するなど、羽振りよく振る舞っていたという。

 知人の男性は「最初は妻のために仕方なく偽造をしたのかもしれないが、次第に感覚がマヒし、カネを得て虚栄心を満たすことが目的になったのでは」と話す。披露宴にも出席した親類の女性は「一昨年8月の母親の葬儀で会ったが、偽造などをしているようには全く見えなかった。善悪の区別はつく子だったのに、天国のお母さんも悲しんでいると思う」と嘆いた。【篠原成行、松岡洋介】

耐震偽造:「架空の壁」設定も 姉歯建築士の新手口発覚 12/14/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、姉歯(あねは)秀次・元1級建築士(48)による偽造行為の新たな手口が発覚した。従来の「書類差し替え」や「数値書き換え」とは異なり、構造計算書の中で、図面に描かれていない「架空の壁」を設ける方法。現実には存在しない壁を計算書の中だけで、マンション1階に設置し、耐震性を強く装っていた。実際に建物を建築確認した東京都中央区は「計算書に記された数字の羅列からでは、とても見抜けない」と話す。

 姉歯元建築士はきょう14日、衆議院国土交通委員会に証人喚問で呼ばれている。こうした手口についての具体的な証言にも注目が集まりそうだ。

 架空の壁があったのは同区内の8階建て賃貸マンション(14戸)。03年5月に同区が建築確認。04年2月に完成した。国交省による偽造特定はされていないが、姉歯元建築士が関与していた全国209物件の一つで同区が建築主と設計・施工者に再計算を要請していた。

 建築主が委託した設計事務所で再計算した結果、数値に不一致があることが判明。同事務所が構造計算書の通りに、構造図を描き出したところ、マンションのエントランスと駐輪場がある1階部分に、厚さ約20センチ、幅約6メートルのコンクリート壁が出現した。建築確認時に、構造計算書と同時に提出される図面には描かれていなかった。

 同事務所による再計算は現在も進行中。中央区は偽造の程度は不明としているが「まるでゲーム感覚。審査する我々に見抜けるか挑戦してきたようだ」と話している。

 一方、証人喚問には姉歯氏のほか、木村盛好・木村建設社長▽篠塚明・同社取締役(元東京支店長)▽経営コンサルタント「総合経営研究所」の内河健社長の3人が出席の予定。【桐野耕一、青島顕】

「木村建設、違法性を認識」姉歯元建築士が証言 12/14/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、衆院国土交通委員会は14日午前、構造計算書を改ざんした姉歯秀次・元1級建築士(48)らに対する証人喚問を行った。

 姉歯元建築士は、改ざんは1998年ごろの分譲マンション「グランドステージ池上」(東京都大田区)が最初で、「木村建設」(熊本県八代市、破産手続き中)の篠塚明・元東京支店長(45)から、「『予算が合わないから鉄筋を減らせ』と言われた」と説明。「これ以上、鉄筋を減らすのは無理だと伝え、法律に触れるという意味合いの事も言ったので、篠塚元支店長は(違法性を)十分認識していたと思う」と証言した。

 篠塚元支店長側からの具体的な指示について、姉歯元建築士は、「毎回ではないが、一覧表を示され、通常は80~100キロのところを60キロ(に落とせ)と具体的な数字を挙げられたことがある」と証言。「仕事の90%が木村建設で仕事がなくなると生活できなくなるという葛藤(かっとう)があった。弱い自分がいてやめられなかった」と偽装を続けてきた心境を述べ、強度偽装をした物件の数は「60件前後だったと思う」と話した。

 さらに、自らの偽造の手口については「構造のプロであればすぐわかるもの」と証言。とくに、千葉県船橋市に建設中のマンションについては「単純な手口で、指定確認検査機関に出せばすぐばれると思った」と述べた。このマンションは約30棟の偽装を見逃した「イーホームズ」(東京都新宿区)が建築確認をしており、同社の審査について「審査が通りやすいというか、明らかに見てないと思った」と述べた。

 一方、木村建設以外に誰から、コスト削減の指示があったかについては、木村建設の篠塚元支店長からの指示がほとんどで、ほかからは「直接的な指示はなかった」と答えた。

 また、2004年3月8日に、姉歯元建築士と篠塚元支店長のほか、コンサルタント会社「総合経営研究所」(東京都千代田区)の四ヶ所猛・チーフコンサルタントと元請け設計会社「平成設計」(同)の役員が、東京都港区内のビルの構造設計について協議した会合について、「地震に対する外力を低減したと言った。私が認めた場にいたので、周りの人間も認識していたと思う」とも述べた。

構造計算書改ざんのマンション、東京・北区でも確認 12/14/05(読売新聞)

 東京都北区は13日、姉歯元建築士が設計に関与した同区内の分譲マンション「グランドステージ赤羽」(9階建て、18戸)で、構造計算書に改ざんが見つかったと発表した。

 耐震強度は最も弱い部分で32%で、建て替えを検討する必要があるという。同区によると、この物件は、開発会社「ヒューザー」(千代田区)が建築主で、施工は中堅ゼネコンの「松村組東京本店」(港区)。区が1999年に建築確認を行い、2000年5月に完成した。

耐震計算ソフト、印刷物の改ざん可能 電子審査に転換も 12/13/05(朝日新聞)

 マンションなどの耐震強度偽装問題で、建築確認の申請書類作成に用いる国土交通相認定の構造計算用コンピュータープログラム106種類すべてで、計算過程のデータが改ざん可能とみられることが、国交省の調べでわかった。国交省は「審査の一部省略を認めた今の制度では見抜くのは困難」と判断。電子データを提出させてコンピューターで点検する審査方式の導入など、制度の全面的な見直しを進める。

 国交相認定プログラムは、入力した数値が建築基準法の基準を満たしていれば、印刷した構造計算書に「適合」のメッセージと全ページに認定番号が印字される仕組み。

 姉歯秀次元建築士が偽造した計算書の一部は、正規の書類と、地震など外部の力を小さく入力して作った書類を組み合わせる「単純な手口」(国交省)。この場合、認定番号が印字されておらず、偽造に気づくのは比較的容易だった。

 ところがその後、計算書中の数値を別の数値に書き換えた例が見つかった。姉歯元建築士が使っていたプログラムは、正しく計算した後、印刷する際に文書編集ソフトで別に作った数値をパソコン上で張りつけられ、データ改ざんが可能。この場合も各ページには認定番号が印字され、外見上は正規の書類と変わらない。

 また、国交省の調べで、すべてのプログラムは特定の編集ソフトを用いると、同様の手口で印刷前にデータを書き換えられることが判明した。プログラムに改ざん防御機能がないためで、国交省建築指導課は「『性善説』を前提に制度を作ってきた。こうした偽造に現在、防止策はとられていない」としている。

 ある大手ソフトメーカーも「使い勝手を優先させたのが裏目に出た。建築士が改ざんをするとは思ってもいなかった」と認める。プログラムに国交相認定を与える日本建築センターは「多くのプログラムで書き換えが可能なことは最近、判明した。対応を検討している」と話している。

 国交相認定プログラムを使ったことを示す書類が申請書に添付されていると、検査機関は途中の審査を省略できる。だが、審査を省略すると、書類の数値改ざんに気づくのは困難で、書類がついていない場合でも、数百ページに及ぶ計算書をすべて点検するのは、実務上困難という。

 国交省はプログラム改良で偽造を防ぐのは難しいとみて、構造計算書の審査省略制度を見直す方針を固めた。建築確認の申請時に構造計算を書類ではなく、再計算しやすい電子データで提出させ、コンピューターですべて点検する方法や、別の構造専門の建築士に分析させる制度の創設などを検討する。電子データでの審査は、プログラムの規格統一など技術的な課題もあり、12日に発足した社会資本整備審議会の専門部会で具体的な中身を詰める。

耐震偽造:ヒューザー、ゼネコン名義借り建築申請 12/13/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、ヒューザー(東京都千代田区)が建築主となった川崎市川崎区の分譲マンションが、実際の施工業者は木村建設(熊本県八代市、破産手続き中)だったのに、大阪市の中堅ゼネコンの名義を借りて川崎市の建築確認を受けていたことが分かった。偽造物件の建築主がゼネコンの信用を背景にマンション販売を進めていた実態が浮上した。

 このマンション(7階建て、42戸)は1999年に完成した「グランドステージ江川」。川崎市が保管する建築計画概要書などによると、建築主はハウジングセンター(現在のヒ社)、元請けの設計事務所は下河辺建築設計事務所(東京都大田区)で、構造計算の下請けは姉歯(あねは)秀次・元1級建築士が担当した。ヒ社は98年12月に中堅ゼネコンの東京本店を施工業者として川崎市に建築確認の申請書類を提出。市は99年2月に建築確認した。

 中堅ゼネコンによると、マンションの着工前、ヒ社が「実際に施工するのは木村建設」と説明したうえで、「販売戦略のために名義を貸してほしい」と持ち掛けてきたという。中堅ゼネコンは以前、首都圏でヒ社のマンションなどを建設したこともあり、名目上の元請け業者となることを了承した。

 中堅ゼネコンの広報担当者は「下請け業者が全責任を負うという話だった。木村建設にはこちらからは指示もしていない」と話している。これに対しヒ社の広報担当者は「コメントは差し控えたい」としている。

 ヒ社は先月、このマンションの住民に対し、独自調査に基づいて「耐震強度が不足している可能性がある」との文書を配布した。その際には施工は木村建設と説明していた。一方、川崎市は「ヒ社の調査には根拠がない」と指摘し、このマンションの強度計算を継続している。【内橋寿明】

耐震偽造:総研の「上納方式」判明 赤字は施工業者が負担 12/13/05(毎日新聞)

 耐震データ偽造問題で、経営コンサルタント「総合経営研究所」(総研)=東京都千代田区、内河健社長(71)=が開業指導したビジネスホテルは、建築費が請負金額を上回った場合、施工業者が赤字分を負担する仕組みだったことが、関係者の証言で分かった。オーナーから取るコンサルタント料や、施工業者などからのキックバック率は変わらないため、総研は損をすることはないという。問題物件の設計を主導してきた総研の「上納方式」が明らかになった。

 こうした徹底的なコストダウンの流れが、鉄筋量を少なくするなどの耐震データを偽造した姉歯秀次・元1級建築士(48)を生む背景になったとみられる。

 事業計画書などによると、総研は、建築費を全国一律で坪単価55万円に決め、うち4%を設計料と設定。オーナーからのコンサルタント料は部屋数に応じ、110~150室で3000万~3500万円程度にしていた。これに加え、施工業者からは建築費の3%、設計業者からは設計料の25%を「総研指導料」などの名目でキックバックさせていた。

 関係者によると、軟弱地盤で基礎工事費が上がる場合などでも、この坪単価は変動せず、実際にかかる建築費が、施工業者が請け負った金額を上回った場合、施工業者が赤字分を負担していた。関係者は「赤字があっても、もうけの出る物件をたまに紹介してくれるため、付き合いをやめられない」と話す。また別の関係者は「どんな場合でもキックバック率は変わらず、総研は絶対損をしない仕組み」と証言した。

 今年11月に開業したサンホテル奈良(約180室、休業中)では、総研がオーナーから受け取ったコンサルタント料は4600万円。建築費6億3333万円の4%を、平成設計(千代田区)と木村建設から徴収したと、衆院国土交通委員会でも指摘されている。

 総研側は「坪単価は55万~58万円だが、損をしてまでゼネコンが仕事を受けるはずはない。キックバックなども一切ない」などと話している。【吉永磨美、鈴木梢、西脇真一】

強度偽装、行政の対応を検証…国交省が緊急委発足へ 12/13/05(読売新聞)

 耐震強度偽装問題で、国土交通省は13日、行政側の対応に問題がなかったかを検証する「構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会」を設置し、第1回の会合を16日に開くと発表した。

 メンバーは、NPO法人「全国マンション管理組合連合会」の穐山精吾会長ら10人で、学識経験者、弁護士、消費者代表などで構成される。

 同委員会では、▽国土交通省住宅局▽建築行政を担当する地方自治体▽行政事務を代行する指定確認検査機関――について、それぞれ問題発覚後の対応や危機管理上の問題点を議論。

 国交省を巡っては、「計算書の改ざん」の一報を受けた際、「報告の必要なし」と判断した点や、自民党の伊藤公介元国土庁長官らの訪問を受けた際の対応が議題に上るとみられる。

こうして偽装は広がった 総研からホテル新工法習得後、木村建設離反 12/13/05(産経新聞)

マンションに傾倒

 姉歯秀次・元一級建築士(48)が耐震強度を偽装した物件の多くを施工した木村建設(熊本、破産)が、マンション受注に反対する総合経営研究所(東京)と対立し、以降は総研のホテル事業からマンション事業に傾倒していたことが十二日、関係者の話で分かった。総研から長く経営指導を受け、総研提唱の「ホテル新工法」を“売り”にした木村建設が受注対象を切り替えたことにより、偽装物件がビジネスホテルからマンションに拡散した疑いが浮上した。

≪重点調査≫

 国土交通省は偽装問題の中核には木村建設の存在があるとの見方を強め、同日までに「木村物件」を重点調査の対象に指定。姉歯氏が構造計算に関与しなかった平成十年以降の物件百九十九件(二十五都府県)についても調査に乗り出した。

 昭和三十八年創業の木村建設が売り上げを伸ばすのは、総研の内河健所長(71)の経営コンサルティングが契機だった。木村建設について書かれた本の中で木村盛好社長(73)もそう認めている。

 総研は経営ノウハウだけでなく、コストダウンや工期短縮を実現する「大型パネル工法」と呼ばれる工法を指導。海外で購入した金属製の大型型枠を使う独自の工法で、「規制が厳しい日本では一般的ではないが、海外では普通に取り入れられており、安全性も実証済み」(総研)というものだった。

 関係者の証言では、総研はこの工法を「総研グループ」に属する建設会社に指導。全国で数社が工法をマスターし、総研が手がけるホテルの建設で利用するようになった。木村建設もその一つで、「総研グループの中心的存在だった」(関係者)といわれる。

≪介入嫌う≫

 木村建設は当初、総研が手がけるホテルの施工を主要事業としていたが、数年前から「ヒューザー」(東京)などと組み、分譲マンション建設を受注。大型パネル工法について「海外で独自で探し、取り入れた」と喧伝(けんでん)し、総研とは無関係なマンション事業を受注するようになった。

 これに対し、総研の内河所長は「分譲マンションでは利幅が小さい」などと反対、マンション事業をやめるよう助言。木村建設は総研の介入や、高額な仲介料を嫌って反発、二年二カ月ほど前に両社の関係は断絶した。

 この間の経緯について総研関係者は「うちが紹介、導入した技術を木村が『独自で探した』と宣伝してもうちは黙っていた。内河所長はマンション事業に反対していたが、木村は聞かずに続け、うちから離れていった」と証言、「木村建設が成長していく中で若い人が幹部になっていき、そういう人たちが内河所長に口出しされるのを嫌がるようになったようだ」と話している。

 総研のホテル事業に木村建設がかかわることは徐々に少なくなり、逆にヒューザーなどのマンション事業の受注が増加していった。

≪早い安い≫

 東京都小金井市の賃貸マンション建設を木村建設に発注し、強度偽装が発覚した世紀東急工業(東京)は「九州に工期が短いと評判の会社があると聞き、一度使ってみようと考えた」と木村建設を選んだ理由を明かすように、当時、既に木村建設の「早い、安い」工事は業界の中で評判だったとみられる。

 この結果、ビジネスホテル建設での総研提唱の工法が、木村建設によってマンションへ拡散していく結果となった。その傍らでは、同社“お抱え”の姉歯元建築士が構造計算をしていた。

 こうした経緯を踏まえ、「木村物件」を重点調査する国交省は、関係する二十五都府県に、偽装の有無や耐震性、構造計算を担当した設計者名などを調べ、今月二十六日までに報告するよう指示。木村建設の子会社、平成設計(東京)とヒューザーの二社についても関連六十二物件の調査を急いでいる。

まともな検査を行っているのであれば、問題ない。 検査機関の人材難は検査会社の問題。人手が足りないからと言って、 検査を簡単にして良い理由とならない。

でたらめな検査を行っている検査会社に仕事が来る現状では、検査官になろうと 考える人も少ないだろう。甘く検査すると言うことは、故意に見逃すことである。 見逃してもらって、問題が起これば検査官の責任にする人間も存在するかもしれない。

国や行政は今回の耐震偽造問題まで、問題のある検査会社を野放し。「保険会社が消費者に 代わり厳格に監視する仕組みが考えられる。」と書かれてある。しかし、船舶油濁損害賠償保障法例を考えるべきだ。 北朝鮮籍船を含む保険に加入できない船も受け入れてくれる保険会社を探し、日本に入港し始めた。 船の状態はたいして変化がない。船の安全性が向上したわけでない。ただ、船に保険が掛けられているだけ。 事故により損害が出れば保険会社が保証することになっているだけ。しかし、被害が大きい場合、 保険会社が倒産しない保証もない。

朝日新聞(12/13/05)より

耐震偽造 検査機関は人材難 国、数・勤務把握せず

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